JP2009122298A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フォトリソグラフィーの技術、金属の延伸工程を用いない新たな大面積のワイヤーグリッド偏光板およびその製造方法の提供。
【解決手段】 樹脂製の表面が平坦な基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって特徴的に得られるナノバックリング形状を有するシート上に金属蒸着層を設ける。また、前記金属層が金属蒸着層であることを特徴とする偏光板である。前記ナノバックリング形状を有するシートが、ナノバックリングシートおよび/またはナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートであることを特徴とする偏光板である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、偏光板およびその製造方法、詳しくのべるならばワイヤーグリッド偏光板およびその製造方法に関する。更に詳しくは、大面積のワイヤーグリッド偏光板の提供および製造方法に関するものである。
近年、液晶ディスプレー(LCD)は、薄型・軽量・低消費電力等の特徴から、高度情報・通信時代に必須の表示素子として多用されている。この結果、この用途が年々拡大し、大画面化および低消費電力化が求められている。LCDは、光の偏光を利用していることから偏光板が欠くことのできない重要な部材となっている。
しかし、LCDに一般的に用いられる偏光板は、高分子フィルム基板にヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸収させ、高度に延伸・配向させたものである。このようにして作製された偏光板は、光の一方の偏光成分を透過し、他方を吸収する吸収型の特性を示す。このため、当該偏光板は、偏光を得るために投入される光の50%が原理的に吸収され、熱として損失される。このため、光の利用効率が悪いという問題があった。
上記に対し、光の一方の偏光成分を透過し、他方を反射する反射型の偏光板としては、金属細線を平行に並べたワイヤーグリッド偏光板が知られている。ワイヤーグリッド偏光板は、金属細線に垂直に振動する光を透過し、金属細線に平行に振動する光を反射する特性を有する。このため、当該偏光板は、反射された光を、偏光を回転させた後に再入射することによって、吸収による損失を受けることなく、高い効率で直線偏光を得ることができる。
ワイヤーグリッド偏光板が偏光特性を示すのは、金属細線の周期が使用する光の波長より十分に短い場合のため、波長の長い光に対しては古くから用いられている。一方、可視光で使用するワイヤーグリッド偏光板としては、LCD基板電極上に液晶分子配向用斜め蒸着膜(二酸化珪素)上にアルミニウムあるいは金を斜め蒸着することによりワイヤーグリッド偏光板を作成する方法がある。(例えば、特許文献1参照)。
可視光で用いるためには金属細線の周期を十分に小さくする必要があることから、従来のフォトリソグラフィーの技術では難しかったが、最近のナノテクノロジー微細加工技術の進歩により、最新のフォトリソグラフィーを用いたワイヤーグリッド偏光板を可視光領域で使用することが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
その他に金属膜を延伸させることで金属細線を得る方法が提案されている。この従来技術では、柔軟な材料よりなる基板に所定の厚みの金属膜を形成した後、当該基板を延伸させることで金属細線を得ている。透明で柔軟な誘電体基板上に金属膜を形成し、金属膜の融点以下で基板と金属膜とを延伸することにより、異方的な形状を有する金属部分と誘電体部分とからなる構造を有する。当該構造の短い方向の長さは光の波長より短く、長い方向の長さは光の波長より長い(例えば、特許文献3参照)。
特開昭55−95981号公報 特開平10−153706号公報 特開2001−74935号公報
本発明の課題は、大面積のワイヤーグリッドタイプの偏光板およびその製造方法の提供である。更に詳しく述べるならば、特許文献1に示したようなLCD基板電極上に液晶分子配向用斜め蒸着膜を用いる方法は、LCD基板が枚葉であるためロールtoロール方式の製作方式でないため大画面化には向いていないことと液晶分子配向膜(二酸化珪素)を斜め蒸着膜とすることは生産性の面で向いておらず、現在の液晶分子配向膜はポリイミド系樹脂を塗布したのちラビング処理で作成することからも経済的に向いていないのは明らかである。特許文献2に示したようなフォトリソグラフィーを用いる方法は半導体製造プロセスのため大面積化には向いていない。また特許文献3に示すように金属の延伸工程を用いる場合は、延伸工程で金属の破断の問題と延伸の応力により基板から金属細線が剥がれるという問題を抱えており好ましくない。本発明では上記問題を鋭意検討した結果、新たな大面積のワイヤーグリッドタイプの偏光板およびその製造方法を見出した。
上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(16)の構成を採用する。
(1) ナノバックリング形状を有するシートの少なくとも片面上に不連続な金属層が設けてあることを特徴とする偏光板。
(2) 前記金属層が金属蒸着層であることを特徴とする(1)に記載の偏光板。
(3) 前記ナノバックリング形状を有するシートが、ナノバックリングシートおよび/またはナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートであることを特徴とする(1)または(2)に記載の偏光板。
(4) 前記ナノバックリング形状が、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって特徴的に得られる表面形状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の偏光板。
(5) 前記ナノバックリング形状の最頻ピッチが400nm以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の偏光板。
(6) ナノバックリング形状の配向度が1.0以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の偏光板。
(7) 前記ナノバックリング形状の平均深さBが最頻ピッチAの比(B/A)が0.1以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の偏光板。
(8) 前記硬質層は、厚さが0.1〜80nmであることを特徴とする(4)〜(7)のいずれか一項に記載の偏光板。
(9) 前記硬質層が樹脂より成り、かつ前記硬質層を構成する樹脂のガラス転移温度Tgが前記基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgより10℃以上高いことを特徴とする(4)〜(8)のいずれか一項に記載の偏光板。
(10) 前記硬質層が無機物であることを特徴とする(4)〜(8)のいずれか一項に記載の偏光板。
(11) 前記無機物が、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドニウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウム砒素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物であることを特徴とする(10)に記載の偏光板。
(12) 前記樹脂製の基材が1軸加熱収縮性フィルムであることを特徴とする(4)〜(11)のいずれか一項に記載の偏光板。
(13) 樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作成する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートの少なくともナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第2の工程よりなることを特徴とする偏光板の製造方法。
(14) 樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作製する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートを作製する第2の工程と、前記第2の工程で得たナノバックリング形状レプリカシートのナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第3の工程よりなることを特徴とする偏光板の製造方法。
(15) 前記硬質層は、厚さが0.1〜80nmであることを特徴とする(13)または(14)に記載の偏光板の製造方法。
(16) 前記蒸着が斜方蒸着であることを特徴とする(13)〜(15)のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
本発明により、近年の大画面・低消費電力化したフラットパネルディスプレー、特にLCDに利用すべき産業上極めて有用な大面積のワイヤーグリッド偏光板を提供することである。
以下、本発明のワイヤーグリッド偏光板およびその製造方法について詳細に説明する。
ここで、ナノバックリングシートとは、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって得られるシートである。
また、ナノバックリング形状レプリカシートとは、ナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したシートである。
また、ナノバックリング形状を有するシートのナノバックリング形状とは、樹脂製の表面が平坦な基材(以下、基材という。)の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって硬質層を設けてある表面上に特徴的に得られる表面形状である。
(ワイヤーグリッド偏光板)
本発明は、ナノバックリング形状を有するシートの少なくとも片面上(この面上にはナノバックリング形状を有している)に不連続な金属層を設けている。
また、不連続な金属層は、ナノ金属塗布層、金属蒸着層であることが好ましく、ナノ金属塗布層の場合は、ナノ金属分散液を塗布乾燥後に焼成(熱処理)工程が必要とする場合が多く、焼成工程においてナノバックリング形状を有するシートへダメージを与える可能性があるのに対し、金属蒸着層は蒸着後の焼成工程不要の点で金属蒸着層であることが特に好ましい。さらに、不連続な金属層は、金属細線状に配列していることが好ましい。
本発明の金属蒸着層の金属種としては、蒸着できる金属であれば公知のものを使用でき、ゲルマニウム、スズ、シリコン等の半金属やITO(酸化インジウム−スズ)などの金属化合物も含む。具体的には、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマス、ITOよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくはアルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ、クロム、コバルト、金、銀、銅、ITOであり、特に好ましくは値段、金属光沢の安定性等の理由によりアルミニウムおよび/またはニッケルである。
前記の金属あるいは金属蒸着層の表面は、空気暴露により酸化されていても構わない。
金属蒸着層の厚さは、1〜100nmであることが好ましく、斜方蒸着角を0〜30°で設けた場合はより好ましくは1〜30nmであり、特に好ましくは5〜20nmであり、斜方蒸着角30〜90°で設けた場合はより好ましくは5〜100nmであり、特に好ましくは10〜60nmである。金属蒸着層の厚さが薄すぎると十分な金属光沢が得られない場合があり、厚過ぎる場合は得られる偏光板の光透過率が十分得られないことがある。
このような金属蒸着層を設ける方法は、公知の蒸着方式を用いることが好ましい。公知の蒸着方式として物理蒸着方式、化学蒸着方式を挙げることができ、物理蒸着方式として、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、高周波誘導蒸着、分子線エピタキシー蒸着、イオンプレーティング蒸着、イオンビームデポジション蒸着、スパッタ蒸着等を好ましく挙げることができる。また化学蒸着方式としては、熱CVD、プラズマCVD、光CVD、エピタキシャルCVD、アトミックレイヤーCVD、有機金属気相成長法、触媒化学気相成長法等を好ましく挙げることができる。特に好ましい蒸着方式は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ蒸着である。
本発明のナノ金属塗布層の金属種としては、ナノ金属であれば公知の如何なるものも使用できる。好ましくは、ナノ銀、ナノ金、ナノ銅、ナノ白金であり、特に好ましくはナノ銀である。ナノ金属とは、粒径0.1〜200nmである金属分散体であることが好ましく、より好ましくは1〜100nm、特に好ましくは5〜70nmである。粒子径が大きすぎると得られる偏光板の偏光特性が十分でない場合がある。ナノ金属塗布層は、ナノ金属分散液を塗布乾燥後、金属光沢を強く得る為に焼成(熱処理)することが好ましい。ナノ金属塗布層は公知の塗布方式を使用することができる。例えば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等を好ましく挙げることができる。
(ワイヤーグリッド偏光板の製造方法)
本発明の偏光板の製造方法は、下記の製造方法(1)、製造方法(2)および両方を組み合わせた方法である。
本発明の偏光板の製造方法(1)は、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作製する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートの少なくともナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第2の工程よりなる。
本発明の偏光板の製造方法(2)は、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作製する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートを作製する第2の工程、前記第2の工程で得たナノバックリング形状レプリカシートのナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第3の工程よりなる。
偏光板の製造方法(1)における第2の工程と、製造方法(2)における第3の工程の金属を蒸着する方法は、斜方蒸着であることが好ましい。斜方蒸着とすることにより、ナノバックリング形状の凹凸パターンの凸部近傍のみに蒸着層を設けることができ、凹部近傍は蒸着層が無い部分あるいはほとんど無い部分を作り出すことができるため好ましい。
斜方蒸着角が大きければ、より凸部近傍のみに蒸着層を設けることができるため、得られる偏光板の偏光特性を向上することができるので好ましい。
斜方蒸着角は、30°以上であることが好ましく、40°以上であればより好ましく、55°以上であれば更により好ましく、70°以上であれば特に好ましい。また斜方蒸着角の上限は90°であるが、蒸着量を効率的に設けることができないことから、80°未満であることが好ましい。なお、本発明の斜方蒸着角は、金属の蒸着源と蒸着される場所を結んだ直線(本発明ではJ線と呼ぶ)とシート表面上の蒸着される場所を通るシート法線方向の直線(本発明ではH線と呼ぶ)とのなす角度(J線とH線のなす角)のことであり、J線とH線が一致する場合は斜方蒸着角が0°である。なお前記した本発明のシート法線方向とは、後述するナノバックリング形状のX方向Y方向で決定することができるXY面の法線方向のことであり、ナノバックリング形状の凹凸面上に対応した各々の法線のことではない。
また、J線からXY面に垂線を落とした軌跡のXY面内の線(本発明ではI線と呼ぶ)であるI線とX方向とのなす角が60°〜120°であることが好ましく、80°〜100°であれば特に好ましく、ナノバックリング形状の凹凸パターンの凸部近傍のみに蒸着層を効率的に設けることができ、もしこの範囲でない場合は、得られる偏光板の偏光特性が十分でないことがある。また、本発明では斜方蒸着したシートを180°回転させて、再度蒸着することもできる。
本発明の偏光板の製造方法(1)における第2の工程と、製造方法(2)における第3の工程の蒸着は少なくとも1回以上行う必要があり、必要に応じて複数回行うこともでき、またその蒸着する材料を少なくとも1種以上、つまり複数種使うこともできる。この複数回蒸着する場合、必要に応じて金属以外に有色物質の蒸着をすることもできる。
有色物質としては、例えば、カーボン、フタロシアニン類、アニリン類を好ましく挙げることができ、特に好ましくはカーボンである。
本発明の偏光板の製造方法(1)における第2の工程と、製造方法(2)における第3の工程の金属の蒸着は、蒸着源を直線上に配置することが好ましい。
また、ナノバックリング形状を有するシートが枚葉であるバッチ式蒸着であっても、ナノバックリング形状を有するシートがウェブ状であるロールツーロール式蒸着であっても構わない。ロールツーロール式蒸着の場合は、シート搬送方向と蒸着する面のナノバックリング形状のX方向が一致する場合あるいはシート搬送方向とX方向とのなす角が45°以下の場合は、斜方蒸着したシートを180°回転させて、再度蒸着することが得られる偏光板の偏光特性の面内均一性の観点から好ましい。
(ナノバックリング形状を有するシート)
本発明で用いるナノバックリング形状を有するシートは、ナノバックリングシートおよび/またはナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートであることが好ましい。
本発明のナノバックリングシートとは、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって得られるシートである。
また、ナノバックリング形状レプリカシートとは、ナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したシートである。また、ナノバックリング形状を有するシートのナノバックリング形状とは、樹脂製の表面が平坦な基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって硬質層を設けてある表面上に特徴的に得られる表面形状である。
本発明の硬質層は、樹脂あるいは無機物であることが好ましい。
本発明の硬質層が樹脂よりなる場合は、前記硬質層の樹脂のガラス転移温度Tgが前記基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgより10℃以上高いことが好ましく、20℃以上であればより好ましく、30℃以上であれば特に好ましい。Tg2とTgの間の温度を加熱収縮温度とすることが好ましく、硬質層のヤング率が基材のヤング率より高くなる条件で加熱収縮でき、その結果、ナノバックリング形状を有するシートを容易に作製できる。Tg2とTgとの温度差(Tg-Tg)が十分でない場合、ナノバックリング形状を有するシートを安定的に生産できない場合があるためである。
また、Tg2が400℃を超えるような樹脂を使用することは経済性の面から必要性に乏しく、Tg1が-150℃より低い樹脂は存在しないことから、(Tg-Tg)は550℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。
Tg1は-150〜300℃であることが好ましく、-120〜200℃であることがより好ましい。Tgが-150℃より低い樹脂は存在せず、また、Tg1が300℃以下であれば、加熱収縮温度を容易に設定できるためである。
Tg2は40〜400℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。Tg2が40℃以上であれば、加熱収縮温度を室温またはそれ以上にすることができて有用であり、Tg2が400℃を超えるような樹脂を使用することは経済性の面から必要性に乏しいためである。
加熱収縮温度における基材と硬質層を形成する樹脂の収縮方向のヤング率の差は、0.01〜300GPaであることが好ましく、0.1〜10GPaであることがより好ましい。本発明のヤング率は、JIS K 7113−1995に準拠する。
基材の収縮方向のヤング率は0.01〜100MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましい。0.01MPa以上であれば、基材として使用可能な硬さであり、100MPa以下であれば、硬質層が変形する際に同時に追従して変形可能な軟らかさである。
加熱収縮温度における硬質層を形成する樹脂の収縮方向のヤング率は0.01〜300GPaであることが好ましく、0.1〜10GPaであることがより好ましい。硬質層を形成する樹脂の収縮方向のヤング率が0.01GPa以上であれば、加熱収縮温度における基材の収縮方向のヤング率より充分な硬さが得られ、ナノバックリング形状が形成された後、ナノバックリング形状を維持するのに充分な硬さであり、収縮方向のヤング率が300GPaを超えるような樹脂で硬質層を形成する樹脂として使用することは経済性の面から必要性に乏しいためである。
基材を構成する樹脂の種類にもよるが、硬質層を形成する樹脂としては、前記の条件を満たすものであれば公知の如何なる樹脂も好ましく使用することができる。より好ましい樹脂として、具体的に挙げるならば、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。硬質層を形成する樹脂は単独でも併用でもよく、配向度を高めるためには樹脂を2種以上併用することもできる。
硬質層が樹脂よりなる場合の硬質層の形成方法は、公知の塗布方式を好ましく挙げることができる。例えば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等を好ましく挙げることができる。
本発明の硬質層が無機物よりなる場合は、金属または金属化合物からなる。なお本発明の硬質層の金属とは、炭素、ゲルマニウム、スズ、シリコン等の半金属も含む。金属は公知のものを好ましく挙げることができるが、具体的には、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマス、炭素等よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であることがより好ましい。金属化合物として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化珪素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物であることが好ましい。更により好ましくは、前記した金属化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物であり、特に好ましくは、酸化珪素、酸化チタン、ITOである。
硬質層が無機物である場合の硬質層の形成方法は、公知の蒸着方式を用いることが好ましい。公知の蒸着方式として物理蒸着方式、化学蒸着方式を挙げることができ、物理蒸着方式として、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、高周波誘導蒸着、分子線エピタキシー蒸着、イオンプレーティング蒸着、イオンビームデポジション蒸着、スパッタ蒸着等を好ましく挙げることができる。また化学蒸着方式としては、熱CVD、プラズマCVD、光CVD、エピタキシャルCVD、アトミックレイヤーCVD、有機金属気相成長法、触媒化学気相成長法等を好ましく挙げることができる。
なお、硬質層が金属のナノバックリングシート上に不連続な金属層を設けた偏光板とする場合、硬質層を含むと不連続な金属層はできないように一見思われるが、前述したように、本発明の不連続な金属層は硬質層を含まないことから、硬質層を分離して考えると不連続となる。
上記硬質層の厚さは0.1〜80nmであり、好ましくは0.5〜40nmであり、特に好ましくは1〜15nmである。前記硬質層の厚さが厚すぎると得られる偏光板の偏光特性が十分でないことがある。また前記硬質層が薄すぎるとナノバックリング形状を有するシートを得ることができなくなることがある。なお、硬質層の厚さは均一であることが好ましい。硬質層の厚さが不均一であると得られる偏光板の偏光特性が不均一になることがあるからである。
加熱収縮前の硬質層は表面が平坦であることが好ましい。平坦でない場合、得られる偏光板に十分な偏光特性を付与できないことがある。本発明の加熱収縮前の基材は、表面が平坦である基材を用いることから、後述する硬質層形成方法を用いることにより均一な硬質層を得ることが容易にでき、結果として硬質層の表面も平坦となる。
基材を構成する樹脂としては、前記の条件を満足すれば如何なる公知のものも好ましく使用できる。具体的に例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリジメチルシロキサン系等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂系、ABS樹脂系、ポリアミド系、アクリル樹脂系、ポリカーボネート系、ポリシクロオレフィン系などの樹脂がより好ましく挙げることができる。もちろん必要に応じて様々な公知の有機成分と共重合したものを用いることもできる。
また、加熱収縮前の基材の厚みは、1〜500μmであることが好ましい。基材の厚みが
薄すぎる場合は破れ易くなり、500μm以下であればナノバックリング形状を有するシートのハンドリングが容易である。
本発明の加熱収縮前の基材は、一軸方向に主に加熱収縮しさえすればよい。このため延伸されていることが好ましく、一軸延伸であっても、二軸延伸であっても構わない。1軸方向に加熱収縮に適するため、より好ましくは、一軸延伸としては、縦延伸、横延伸のいずれでも構わなく、二軸延伸の場合は縦横同時延伸よりも縦延伸後横延伸を行う遂次延伸の方がより好ましい。延伸倍率は、1.1〜15倍のものを利用するのが好ましく、より好ましくは1.3〜10倍である。また、加熱収縮させることから、延伸後のヒートセット処理は行わない方が好ましい。
また、加熱収縮前の基材は、加熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)を用いるのが特に好ましく、より特に好ましくは1軸加熱収縮性フィルム(Y方向に主に収縮するフィルムのこと)である。加熱収縮性フィルムとして、具体的に挙げるならば、ポリエステル系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム等の1軸加熱収縮性フィルムを特に好ましく挙げることができ、最も特に好ましくはポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリエトレン系シュリンクフィルム、ポリプロピレン系シュリンクフィルム等の1軸方向に主に加熱収縮するフィルムである。これら加熱収縮性フィルムの製造方法は、公知の如何なる方法を用いても構わない。必要に応じて、EB(電子線)処理を施すこともできる。
さらに、加熱収縮前の基材は、表面が平坦である必要がある。本発明の表面が平坦とは、JIS B 0601による中心線平均粗さが0.1μm以下であることが好ましい。
加熱収縮前の基材は、実際に加熱収縮させた後の収縮率より、収縮する能力の高いものを使うことが好ましく。収縮する能力の低いものを選択すると、加熱収縮後に目標とする収縮率を得ることができないため、結果として得られる偏光板の偏光特性が不十分となる場合がある。
加熱収縮前の基材の収縮する能力は、加熱収縮により収縮率が20〜90%に収縮する能力のあるものが好ましく、より好ましくは加熱収縮により収縮率35〜75%に収縮する能力のあるものがより好ましい。
本発明の加熱収縮させる条件は、加熱収縮前の基材が収縮するに十分な熱を施せば良く特に制限はない。好ましくは基材を構成する樹脂のガラス転移温度付近以上であり、詳細に述べるならば基材を構成する樹脂のガラス転移温度より10℃低いところから融点までであることがより好ましい。加熱収縮の際に、張力を掛けながら収縮してもよく、その際にクリップで基材の端を掴むようにすることもよい。
本発明の加熱収縮後の収縮率の好ましい範囲は20〜80%であり、より好ましい収縮率は30〜70%であり、特に好ましい収縮率は40〜60%である。1軸方向に加熱収縮させる収縮率が不十分だと得られる偏光板の偏光特性が十分でないことがある。収縮率が大き過ぎると収縮後のシートの面積が小さく、面積歩留まり上あまり好ましいことではない。
なお、本発明における収縮率とは、(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}/(収縮前の長さ)×100 である(但し、いずれの長さも収縮方向の長さ)。
このようにして得られた特徴的な表面形状を本発明のナノバックリング形状と呼ぶ。このようなナノバックリング形状の具体的な例として、図1と図6を挙げることができ、一見すると波状の表面形状に近く、ある程度の規則性はあるが、単純な関数でその形状を近似できるほどの規則性はない非常に特殊な形状である。
本発明のナノバックリング形状は、方向性を持っており、1軸方向に加熱収縮する方向であるY方向のナノバックリング形状の断面は、図1と図6のようにある程度の周期性(この周期性も断面形状も単純な関数で表せるものではない)を持った凹凸の表面形状を有している。一方、Y方向と垂直な基材面内のX方向のナノバックリング形状の断面は、図1と図6のようにY方向の場合と異なり、ある程度の規則的な周期性をほとんど持っていない。本発明のナノバックリング形状のX方向とY方向とは、前述したように主に加熱収縮する方向をY方向とし、シート面内Y方向に直交する方向をX方向(主に加熱収縮しない方向)とする。
本発明のナノバックリング形状の配向度は、大き過ぎるとナノバックリング形状の方向性が低下するため、得られる偏光版の偏光特性が十分得られないことがある。このようなことから本発明のナノバックリング形状の配向度は、1.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.5以下であり、特に好ましくは0.3未満である。なお本発明のナノバックリング形状の配向度の定義は、後述する。
本発明においてナノバックリング形状の平均深さをB、最頻ピッチをAとした場合、その比(B/A)が0.1以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.35以上であれば更により好ましく、0.7以上であれば特に好ましい。平均深さBと最頻ピッチAの比(B/A)が小さい場合は、ナノバックリング形状の起伏が十分でなく、得られる偏光板の偏光特性が十分得られないことがあるためである。B/Aの上限は特にないが、B/Aが大きいほど加熱収縮率が大きくなり経済的は好ましい方向ではないことから、B/Aの上限は5以下であることが好ましく、2以下であればより好ましく、1以下であればより好ましい。
本発明においてナノバックリング形状の最頻ピッチAが400nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更により好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。最頻ピッチが大きいと得られる偏光板の偏光特性が十分得られないことがあるためである。
本発明の平均深さは5〜5000nmであることが好ましく、10〜500nmであることがより好ましく、20〜300nmであることが特に好ましい。
本発明の最頻ピッチは次のようにして求める。ナノバックリング形状を原子間力顕微鏡によりHeight像を観察(グレースケール画像に変換する)し、その観察したグレースケール画像(例えば、図2)をフーリエ変換する。このフーリエ変換像(例えば図3)は、図3のようにフーリエ変換像のXF-YF座標面上に頻度が濃淡で表される。これにはナノバックリング形状の凹凸パターンのピッチおよび配向の情報が含まれる。このフーリエ変換のZF軸情報の頻度は必要に応じてスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部を除く部分の最大頻度を示す位置(XFmax、YFmax)が本発明の最頻ピッチA=1/{√(XFmax 2+YFmax 2)}を示す。なお、最頻ピッチは、各ピッチの平均値とみてもよい。
本発明の配向度は、フーリエ変換像の配向の情報を取り出して求める。具体的には、図3を用いて説明する。フーリエ変換像の最大輝度部分がフーリエ変換像のXF-YF座標面のXF軸上にない場合は、フーリエ変換像の中心を原点にθだけ回転させてXF軸上に最大輝度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成する。フーリエ変換像には最大輝度部分が2つ存在するものが多く、原点を中心にほぼ180°回転した位置あるはずである。最大輝度部分はどちらか1方を任意に選択してXF軸に一致させればよい。なお、図3はθ回転したフーリエ変換像である。以後断りのない限りθ回転したフーリエ変換像をフーリエ変換像とする。(XFmax、YFmax)を通るYF軸に並行な補助線Y´Fを引き、補助線Y´Fを横軸として、補助線Y´F上の輝度(ZF軸)を縦軸としたY´F-ZF図を作成する。このY´F-ZF図のY´F軸の値を最頻ピッチAで割ったY”F-ZF図(図4)を作成する。この図4の横軸は、ナノバックリング形状の配向を示す指標が含まれている。図4のプロットにおけるピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)が、本発明のナノバックリング形状の配向度を表す。半値幅Wが大きい程、蛇行して配向がばらついていることを表している。
平均深さは、ナノバックリング形状の凹凸パターンの凸部のピークから凹部の底までの深さの平均のことを意味するが、特に本発明の平均深さBは次のようにして求める。ナノバックリング形状を原子間力顕微鏡により観察し、その観察からY方向の断面図を得る。1つの凹部の底までの深さは、両隣の2つの凸部のピークから凹部の底までのZ方向の距離の和の1/2である。例えば、図5の断面図を得た場合、凹部の底iの深さbiは、左隣の凸部ピークi-1から凹部の底iの深さLiと右隣の凸部ピークiから凹部の底iの深さRiとした場合、bi=(Li+Ri)/2となる。このようにして求めた1つ1つの深さbiの平均値が本発明の平均深さBである。本発明の平均深さを求める際、ナノバックリング形状全て凹凸の深さを求めることは現実的でないことから、無作為に抽出した10個以上のbiから本発明の平均深さBを求めれば良い。
(ナノバックリング形状レプリカシートを製造する方法)
本発明のナノバックリング形状レプリカシートを製造する具体的な方法としては、例えば、下記(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)ナノバックリングシートの凹凸パターン(ナノバックリング形状のこと)が形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布する工程と、電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜をナノバックリングシートから剥離する工程とを有する方法。ここで、電離放射線とは、通常、紫外線または電子線のことであるが、本発明では、可視光線、X線、イオン線等も含む。
(b)ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜をナノバックリングシートから剥離する工程とを有する方法。
(c)ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂をナノバックリングシートに押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂をナノバックリングシートから剥離する工程とを有する方法。
また、ナノバックリングシートを用いて2次工程用成形物を作製し、その2次工程用成形物を用いてナノバックリング形状レプリカシートを製造することもできる。2次工程用成形物としては、例えば、2次工程シートが挙げられる。また、2次工程用成形物としては、ナノバックリングシートを丸めて円筒の内側に貼り付け、その円筒の内側にロールを挿入した状態でめっきし、円筒からロールを取り出して得ためっきロールが挙げられる。
2次工程用成形物を用いる具体的な方法としては、下記(d)〜(f)の方法が挙げられる。
(d)ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、ニッケル等の金属めっきを行って、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層をナノバックリングシートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、次いで、2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布する工程と、電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(e)ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層をナノバックリングシートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗布する工程と、加熱により該樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(f)ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層をナノバックリングシートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(a)の方法の具体例について説明する。まずウェブ状のナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状電離放射線硬化性樹脂を塗布する。塗布方式は、硬質層が樹脂よりなる場合に挙げた塗布方式を用いることができる。次いで、該硬化性樹脂を塗布したナノバックリングシートを、ロールを通すことにより押圧して、前記硬化性樹脂をナノバックリングシートの凹凸パターン内部に充填する。その後、電離放射線照射装置により電離放射線を照射して、硬化性樹脂を架橋・硬化させる。そして、硬化後の電離放射線硬化性樹脂をナノバックリングシートから剥離させることにより、ナノバックリングシート形状レプリカシートを製造することができる。
(a)の方法において、ナノバックリングシートの凹凸パターンが形成された面には、離型性を付与する目的で、未硬化の電離放射線硬化性樹脂塗布前に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる層を1〜10nm程度の厚さで設けてもよい。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
未硬化の液状電離放射線硬化性樹脂を塗布した後には、樹脂、ガラス等からなる貼合基材を貼り合わせてから電離放射線を照射してもよい。電離放射線の照射は、貼合基材、ナノバックリングシートの電離放射線透過性を有するいずれか一方から行えばよい。
硬化後の電離放射線硬化性樹脂のシートの厚みは0.1〜100μm程度とすることが好ましい。硬化後の電離放射線硬化性樹脂のシートの厚みが0.1μm以上であれば、充分な強度を確保でき、100μm以上であれば、充分な可撓性を確保できる。
上記の方法では、ナノバックリングシートがウェブ状であるため、大面積で連続的に凹凸パターンを形成させることができるため、凹凸パターン形成シートの繰り返し使用回数が少なくても、必要な量のナノバックリング形状レプリカシートを短時間に製造できる。
上記の方法では、ナノバックリングシートがウェブ状であったが、枚葉のシートであってもよい。枚葉のシートを用いる場合、枚葉のシートを平板状の型として使用するスタンプ法、枚葉のシートをロールに巻きつけて円筒状の型として使用するロールインプリント法等を適用できる。また、射出成形機の型の内側に枚葉のナノバックリングシートを配置させてもよい。
しかし、これら枚葉のシートを用いる方法において、ナノバックリング形状レプリカシートを大量生産するためには、凹凸パターンを形成する工程を多数回繰り返す必要がある。電離放射線硬化性樹脂と工程シート原版との離型性が低い場合には、多数回繰り返した際に凹凸パターンに目詰まりが生じ、凹凸パターンの転写が不完全になる傾向にある。
(b),(e)の方法において、液状熱硬化性樹脂としては、例えば、未硬化の、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(b)の方法における硬化温度は、ナノバックリングシートのガラス転移温度より低いことが好ましい。硬化温度がナノバックリングシートのガラス転移温度以上であると、硬化時にナノバックリング形状レプリカシートの凹凸パターンが変形するおそれがあるからである。
(c),(f)の方法において、熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。
シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧する際の圧力は1〜100MPaであることが好ましい。押圧時の圧力が1MPa以上であれば、凹凸パターンを高い精度で転写させることができ、100MPa以下であれば、過剰な加圧を防ぐことができる。
また、(c)の方法における熱可塑性樹脂の加熱温度は、ナノバックリングシートのガラス転移温度より低いことが好ましい。加熱温度がナノバックリングシートのガラス転移温度以上であると、加熱時にナノバックリングシートの凹凸パターンが変形するおそれがあるからである。
加熱後の冷却温度としては、凹凸パターンを高い精度で転写させることができることか
ら、熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
(a)〜(c)の方法の中でも、加熱を省略でき、ナノバックリングシートの凹凸パターンの変形を防止できる点で、電離放射線硬化性樹脂を使用する(a)の方法が好ましい。
(d)〜(f)の方法においては、金属製の2次工程用成形物の厚さを50〜500μm程度とすることが好ましい。金属製の2次工程用成形物の厚さが50μm以上であれば、2次工程用成形物が充分な強度を有し、500μm以下であれば、充分な可撓性を確保できる。
(d)〜(f)の方法では、熱による変形が小さい金属製シートを工程シートとして用いるため、凹凸パターン形成シート用の材料として、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。
(a)〜(f)の方法で製造された凹凸パターン形成シートをナノバックリング形状レプリカシートとして使用する。
なお、(d)〜(f)ではナノバックリングシートの凹凸パターンを金属に転写させて2次工程用成形物を得たが、樹脂に転写させて2次工程用成形物を得てもよい。その場合に使用できる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、(a)の方法で使用する電離放射線硬化性樹脂などが挙げられる。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、(a)の方法と同様に、電離放射線硬化性樹脂の塗布、硬化、剥離を順次行って、2次工程用成形物を得る。
上述のようにして得たナノバックリング形状レプリカシートには凹凸パターンの形成された面と反対側の面に、さらに凹凸パターンを形成してもよい。
(その他)
本発明の基材と硬質層の間、ナノバックリング形状を有するシートと不連続な金属層の間には、密着性向上等の必要性に応じてプライマー層を設けることもできる。
本発明のナノバックリング形状を有するシートの少なくとも片面上に設ける不連続な金属層上に必要に応じて、金属層の酸化を防止する目的でSiO2などの酸化防止層、擦傷性向上のためのハードコート層などを設けることができる。酸化防止層、ハードコート層は公知のものを使用することができる。
本発明の偏光板には、必要に応じて公知の粘着層、反射防止層、拡散層、視野角補正層(液晶ディスプレーにこの偏光板を用いる場合は、例えばディスコティク液晶を斜め配向した視野角補正層、コレステリック液晶を用いた視野角補正層、棒状の液晶を配向させた視野角補正層等を設けることもできる。)を設けることができる。また位相差板、その他機能向上のため各種フィルム等を貼り合わせて用いたり、組み合わせて用いたりすることもできる。
本発明の偏光板および本発明の製造方法により作成した偏光板は、可視光(400nm〜700nm)で用いることが好ましく、この範囲であれば偏光特性を発揮する。波長の短い紫外領域では基材の樹脂が変質することがあり耐久性の面で問題が生じ易く、波長の長い赤外領域では、基材の樹脂の吸収があるため十分な偏光特性を得ることが難しくなるとがある。
本発明の偏光板は、公知の各種フラットパネルディスプレーに好ましく用いることができる。より好ましくは、液晶ディスプレー(LCD)、有機ELディスプレー、無機ELディスプレーである。従来からの沃素吸収型偏光板あるいは染料吸収型偏光板に変えて、これらのディスプレーに本発明の偏光板を用いることにより、輝度を向上させることができる。これは本発明の偏光板がS波(またはP波のどちらか)を選択的に反射するため、その反射されたS波(またはP波)を再度位相変換し透過可能なP波(またはS波)として有効利用できるからである。
本発明の偏光板は、従来からの沃素吸収型偏光板あるいは染料吸収型偏光板と組み合わせて(必要に応じて貼り合わせて)用いることもできる。
本発明の偏光板を液晶ディスプレーに用いる場合は、液晶セルの両面に用いることもできるし、片面に用いることもできる。片面に用いる場合は、見る人側ではなく、バックライト側または裏面側に用いるのが好ましい。バックライト側または裏面側に用いることにより写りこみを軽減できるためである。
本発明の偏光板を偏光板としてではなく、輝度向上フィルムとして用いることもできる。例えば、液晶ディスプレーであれば、バックラィトユニットに組み込むこともできる。この場合の光源は如何なる公知のもの(例えば、熱陰極管、冷陰極管、LED)でも構わない。バックライトユニットに用いる公知の機能性フィルムと併用することができる。このような機能性フィルムとしては、例えば、反射板、導光板、拡散板、拡散シート、プリズムシート等を挙げることができる。
以下に、実施例により本発明の一例について説明する。
<実施例1>
基材として1軸方向に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX-60S、ガラス転移温度70℃)の片面に硬質層として二酸化珪素を厚さ2.5nmになるように電子ビーム蒸着(斜方蒸着角0°)を行い、片面に硬質層を設けた表面が平坦なシートを得た。
次に、このシートを100℃にて加熱収縮を行い収縮方向の長さが加熱前に比べて50%(収縮率50%)になるように1軸加熱収縮を行った。得られた加熱収縮シート(ナノバックリングシート)の硬質層形成側の表面の凹凸を原子間力顕微鏡(日本ビーコ社製ナノスコープ3)により測定した。測定した凹凸パターンの画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行う。このフーリエ変換像の頻度(ZF)のスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部を除く部分の最大頻度を示す位置(XFmax、YFmax)から最頻ピッチA=1/{√(XFmax 2+YFmax 2)}を求めた。続いてこのフーリエ変換画像を用いて配向度を「発明を実施するための最良の形態」で示した方法で求める。すなわち、フーリエ変換像の最大輝度部分をXF-YF座標面のXF軸上にθだけ回転させてXF軸上に最大輝度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成し、(XFmax、YFmax)を通るYF軸に並行な補助線Y´Fを引き、補助線Y´Fを横軸として、補助線Y´F上の輝度(ZF軸)を縦軸としたY´F-ZF図を作成する。このY´F-ZF図のY´F軸の値を最頻ピッチAで割ったY”F-ZF図を作成し、Y”-ZF図からピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)を求め、配向度Wを求めた。
次に原子間力顕微鏡測定より得られる断面画像にて、10箇所の底までの深さを求め平均深さを求めた。
得られた加熱収縮シートの硬質層形成側の面上に斜方蒸着角60°、I線とX方向のなす角90°にて抵抗加熱蒸着にてアルミニウムを積層厚30nmになるように形成し、偏光板を作成した。作成した偏光板の偏光特性をKOBRA(王子計測機器社製)にて測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
得られた加熱収縮シートの硬質層形成側の面上に斜方蒸着角75°の電子ビーム蒸着にてアルミニウムを積層厚50nmになるように形成し、偏光板を作成する以外、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
硬質層として二酸化珪素を厚さ5.5nmになるように電子ビーム蒸着を行い、得られた加熱収縮シートの硬質層形成側の面上に斜方蒸着角60°の電子ビーム蒸着にてニッケルを積層厚40nmになるように形成し、偏光板を作成する以外、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
硬質層として二酸化珪素を厚さ3.8nmになるように電子ビーム蒸着を行い、得られた加熱収縮シートの硬質層形成側の面上に斜方蒸着角を設けず(斜方蒸着角0°)の電子ビーム蒸着にてアルミニウムを積層厚20nmになるように形成し、偏光板を作成する以外、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
1軸方向に主に加熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX-10S)の片面に硬質層としてチタンを厚さ3nmになるように電子ビーム蒸着を行い、加熱前の長さの40%に熱収縮(すなわち収縮率60%)させる以外、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
硬質層としてポリメチルメタクリレート(ポリマーソース社製P4831-MMA、ガラス転移温度100℃)を厚さ12nmになるように希釈溶媒をトルエンにてグラビアコーティングを行い設け、加熱収縮温度を80℃とする以外、実施例5と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
基材として1軸方向に主に加熱収縮する厚さ63μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成社製ピュアエースT-570、ガラス転移温度160℃)を用い、加熱収縮温度を155℃とする以外、実施例2と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
実施例1により得た加熱収縮シートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートを、以下のようにして得た。
すなわち、実施例1により得た加熱収縮シートの硬質層形成側のナノバックリング形状が形成された面に、エポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜の加熱収縮シートと接していない面に、厚さ200μmのトリアセチルセルロースフィルムを重ね合わせ、Roller Nanoimprinter NM-0606R(明昌機工社製)を用いて押圧した。
次いで、トリアセチルセルロースフィルムの上から紫外線を照射し、未硬化の紫外線硬化性樹脂を硬化させ、その硬化物とトリアセチルセルロースとの積層体を加熱収縮シートから剥離することにより、ナノバックリング形状レプリカシートを得た。得られたナノバックリング形状レプリカシートの表面形状を実施例1と同様の方法にて測定した。
得られたナノバックリング形状レプリカシートのナノバックリング形状のある面に実施例1と同様にアルミニウムを蒸着し、偏光板を得た。得られた偏光板の特性を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示す。
<実施例9>
実施例1により得た加熱収縮シートを用いて、以下のようにしてナノバックリング形状レプリカシートを得た。
すなわち、実施例1により得た加熱収縮シートのナノバックリング形状が形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ200μmのニッケルめっきシートを得た。このニッケルめっきシートの加熱収縮シートに接していた側の面が外側にくるようにRoller Nanoimprinter NM-0606R(明昌機工社製)の押圧シリンダーロール(Imprint Roll)に曲率をつけながら貼り付けた。厚さ200μmのトリアセチルセルロースフィルム上にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した面上にこのニッケルめっきシートの加熱収縮シートに接していた側の面が接するようにRoller Nanoimprinter NM-0606R(明昌機工社製)を用いて押圧した。
次いで、トリアセチルセルロースフィルムの上から紫外線を照射し、未硬化の硬化性樹
脂を硬化させ、その硬化物とトリアセチルセルロースとの積層体をニッケルめっきシート
から剥離することにより、ナノバックリング形状レプリカシートを得た。
得られたナノバックリング形状レプリカシートを用いる以外、実施例8と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
紫外線硬化性樹脂組成物の代わりに熱硬化性エポキシ樹脂を使用し、紫外線を照射する
代わりに加熱により該熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させた以外は実施例9と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例11>
実施例9と同様にして、厚さ200μmのニッケルめっきシートを得た。このニッケルめっきシートの、加熱収縮シートに接していた側の面に、厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成社製パンライトフィルムPC-2151)を重ね、加熱した。加熱により軟化したポリカーボネートフィルムとニッケルめっきシートとを、それらの両側から押圧した後、冷却・固化させ、固化したポリカーボネートフィルムをニッケルめっきシートから剥離することにより、ナノバックリング形状レプリカシートを作製する以外、実施例8と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
アルミニウムの蒸着層の代わりに実施例4で得られた加熱収縮シートのナノバックリング形状を有する面上にメイヤーバーコーティングによりナノ銀(バンドウ化学社製、SL-40[粒径20〜40nm]を3倍に希釈)塗布層を設けて焼成処理なしで偏光板を作成する以外、実施例4と同様な実験を行った。結果を表1に示す。
<実施例13>
シャープ社製液晶ディスプレー(型式LC-32GS10)バックライトユニット中にあるDBEF(3M社製)を取り外し、その部分に実施例2で作成した偏光板(大きさB5番)を輝度向上フィルムとして挿入して液晶ディスプレーを映像表示させた。実施例2の偏光板のない部分に比べてある部分は、映像が明るいことを目視により確認した。
<比較例1〜11>
実施例1〜11においてアルミニウムあるいはニッケルの蒸着層を設けない以外、同様な実験を行った。結果は表2に示すと通り、偏光板としての機能は全くなかった。
<比較例12>
硬質層を設けない以外、実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。また得られた偏光板のアルミニウム蒸着面の表面観察を行ったところ、アルミニウムは均一の連続膜を形成していた。
Figure 2009122298
Figure 2009122298
本発明の偏光板およびその製造方法が特に効力を発揮する技術分野としては、フラットパネルディスプレー(特に液晶ディスプレー[LCD])に用いる光学フィルム(特に偏光板や輝度向上フィルム)などの分野が挙げられる。
実施例1のナノバックリング形状の原子間力顕微鏡観察による3次元表示図 実施例1のナノバックリング形状の原子間力顕微鏡観察によるHeight像のグレースケール表示図 実施例1のナノバックリング形状のフーリエ変換像 Y”F-ZF 実施例1のナノバックリング形状の原子間力顕微鏡観察によるY方向の断面図 実施例3のナノバックリング形状の原子間力顕微鏡観察による3次元表示図 実施例4の偏光板表面の電子顕微鏡写真

Claims (16)

  1. ナノバックリング形状を有するシートの少なくとも片面上に不連続な金属層が設けてあることを特徴とする偏光板。
  2. 前記金属層が金属蒸着層であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記ナノバックリング形状を有するシートが、ナノバックリングシートおよび/またはナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートであることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記ナノバックリング形状が、樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させることによって特徴的に得られる表面形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板。
  5. 前記ナノバックリング形状の最頻ピッチが400nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板。
  6. ナノバックリング形状の配向度が1.0以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の偏光板。
  7. 前記ナノバックリング形状の平均深さBが最頻ピッチAの比(B/A)が0.1以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板。
  8. 前記硬質層は、厚さが0.1〜80nmであることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の偏光板。
  9. 前記硬質層が樹脂より成り、かつ前記硬質層を構成する樹脂のガラス転移温度Tgが前記基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgより10℃以上高いことを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の偏光板。
  10. 前記硬質層が無機物であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一項に記載の偏光板。
  11. 前記無機物が、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドニウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウム砒素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物であることを特徴とする請求項10に記載の偏光板。
  12. 前記樹脂製の基材が1軸加熱収縮性フィルムであることを特徴とする請求項4〜11のいずれか一項に記載の偏光板。
  13. 樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作製する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートの少なくともナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第2の工程よりなることを特徴とする偏光板の製造方法。
  14. 樹脂製の表面が平坦な基材と前記基材の少なくとも片面上に硬質層を設けてあるシートを1軸方向に加熱収縮させナノバックリングシートを作成する第1の工程と、前記第1の工程で得たナノバックリングシートのナノバックリング形状を転写したナノバックリング形状レプリカシートを作製する第2の工程と、前記第2の工程で得たナノバックリング形状レプリカシートのナノバックリング形状を有する少なくとも片面上に金属を蒸着する第3の工程よりなることを特徴とする偏光板の製造方法。
  15. 前記硬質層は、厚さが0.1〜80nmであることを特徴とする請求項13または14のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  16. 前記蒸着が斜方蒸着であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の偏光板の製造方法。
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