JP2009107196A - 木質繊維板とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量で断熱性に優れたいるにもかかわらず、高硬度、高強度を有する木質繊維板を湿式抄造法によって生産性よく製造する。
【解決手段】 木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤を水に添加してなるスラリーを抄造して湿潤マットを形成したのち、この湿潤マットを熱圧プレスによって表裏層の結合剤が半硬化状態になるまで熱圧して表裏層の木質繊維がスプリングバックし得ない状態にし、次いで、解圧して湿潤マットの芯層の木質繊維にスプリングバックを発生させたのち、熱風乾燥して結合剤を完全に硬化させることにより、全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ、表裏層の密度が0.6 〜0.9 g/cm3 、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3 の木質繊維板を得る。
【選択図】 図3

Description

本発明は、軽量であるにもかかわらず優れた強度を備え、且つ、断熱性の高い木質繊維板とその製造方法に関するものである。
従来より、0.45g/cm3 以下の比較的低密度の木質繊維板は湿式抄造によって製造されている。通常、湿式抄造による木質繊維板の製造方法によれば、湿潤マットは多量の水分を含有しているために極めて長時間の加熱乾燥が必要であり、結合剤が硬化する時間までに木質繊維の反発力によるスプリングバックが生じて高密度の繊維層に形成することができず、従って、高強度の木質繊維板を得ることができない。密度の低下の原因となる木質繊維のスプリングバックを抑制するために、木質繊維に添加する結合剤の量を増加させることが考えられるが、生産性が悪くなると共に、木質繊維の表面が結合剤によって覆われて断熱性や吸放湿性が低下するといった問題点が生じる。
そこで、湿式抄造によって製造される木質繊維板を高強度にするための解決方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、湿式抄造法によって木質繊維板を製造する際に、木質繊維の結合剤として、水及び木質繊維の水酸基と反応するイソシアネート基を含有する結合剤(接着剤)を使用し、この結合剤を木質繊維の水酸基と反応させることによって一次強度を生じさせ、しかるのち、上記結合剤をその他の結合剤と共に硬化させて二次強度を生じさせる木質繊維板の製造方法が開発されている。
特開2007−138311号公報。
しかしながら、上記の木質繊維板の製造方法においても、結合剤によるスプリングバックの抑制には限界があるので、更に密度を高めて高強度を目指そうとすれば、ハードボード製法のように熱圧プレスによる全体的な高密度化が考えられるが、単なる高密度化では断熱性や吸湿放性が低下する。一方、湿潤マットあるいは木質繊維板の表裏面に結合剤を塗布含浸して、木質繊維板の表裏面だけを強化させる手段を講じることで高強度を目指すことが考えられるが、結合剤量や製造工程が増加するので、コスト上昇や生産性の低下を招くといった問題点が生じることになる。また、通常、湿式抄造で得られる湿潤マットは、その表裏層と芯等との繊維密度が同等であって、乾式抄造のように表裏層と芯層とで密度変化してその密度分布が表裏側から中心に向かって傾斜状に低密度となった木質繊維板を製造することは困難であった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、木質繊維による優れた断熱性及び吸湿放性を備えていると共に、軽量化を図っているにもかかわらず、より高い強度を備えた木質繊維板とその製造方法を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の木質繊維板は、請求項1に記載したように、木質繊維板に少なくともイソシアネート基を含む結合剤を添加して湿式抄造により製造された木質繊維板であって、表裏層はスプリングバックを生じさせることなく木質繊維同士を結合させてなる繊維層に、芯層はスプリングバックを発生させた状態で木質繊維同士を結合させてなる繊維層に形成していることを特徴とする。
このように構成した木質繊維板において、請求項2に係る発明は、上記木質繊維板を全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ、表裏層の密度が0.6 〜0.9 g/cm3 の密な繊維層に、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3 の粗な繊維層に形成していることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記木質繊維板の製造方法であって、木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造し、この湿潤マットを一次脱水した後、熱圧プレスにより二次脱水しながら該湿潤マットの表裏層の結合剤が半硬化状態になるまで熱圧して表裏層の木質繊維がスプリングバックし得ない状態にし、次いで解圧して湿潤マットの芯層の木質繊維にスプリングバックを発生させたのち、熱風乾燥して結合剤を硬化させることを特徴とする。
この木質繊維板の製造方法において請求項4に係る発明は、全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ、表裏層の密度が0.6 〜0.9 g/cm3 、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3の木質繊維板を得ることを特徴とする。
本発明の木質繊維板によれば、湿式抄造によって得られた木質繊維板であって、表裏層はスプリングバックを生じさせることなく木質繊維同士を結合させてなる繊維層に、芯層はスプリングバックを発生させた状態で木質繊維同士を結合させてなる繊維層に形成しているので、表裏層を密度が0.6 〜0.9 g/cm3 の高密度の繊維層に形成しているにもかかわらず、芯層を表裏層の密度よりも粗な0.4 〜0.65g/cm3 の繊維層に形成することができて、この低密度の繊維層によって軽量化を確保できるばかりでなく、優れた断熱性と吸湿放性を発揮させることができ、その上、表裏層の密度が高いので、軽量であるにもかかわらず同じ密度の木質繊維板よりも高強度を実現することができる。
さらに、この木質繊維板は湿式抄造によって製造されているので、全体的に繊維密度のバラツキの少ない均質の木質繊維板を提供できると共に、湿式抄造によって製造された木質板はその木質繊維が板面に平行に配向しているので、一層優れた断熱性を発揮させることができる。
また、上記木質繊維板の製造方法によれば、木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造し、この湿潤マットを一次脱水した後、熱圧プレスにより二次脱水しながら該湿潤マットの表裏層の結合剤をその表裏層の木質繊維がスプリングバックし得ない半硬化状態にまで熱圧するので、一次脱水によって含水率が低下して次工程への湿潤マットの搬送が容易に行えると共に、熱効率も高まるので、その後の熱圧プレス時における熱エネルギーも少なくてすみ、その上、二次脱水しながら熱圧プレスするので、一層熱効率が高くなってその後の熱風乾燥での熱エネルギーも少なくてすみ、生産性を向上させることができる。
さらに、熱圧プレス時には、熱圧によって湿潤マットの表裏層部の密度を高めることができると共に、イソシアネート基を含有する結合剤と水及び木質繊維の水酸基との反応を促進して表裏層部を短時間で一次強度を発現した半硬化状態(以下、この半硬化状態をセミキュア状態という)が進んだ状態にすることができ、表裏層の密度を高く保つことができるものであり、その上、上記イソシアネート基を含有する結合剤は、上述したように、木質繊維に含まれる水酸基とも反応するので、少量であっても繊維同士の結合力を高めることができ、より高強度の木質繊維板を能率よく生産することができる。
なお、セミキュアが進んだ状態とは、結合剤の半硬化状態が進んだ状態のことであって、少なくとも湿潤マットの芯層のセミキュアよりも表裏層の硬化が進んでいて、もはや木質繊維のスプリングバックが生じない状態のことをいう。一方、芯層もセミキュア状態ではあるが、結合剤の硬化が進んでいないため、木質繊維のスプリングバックが生じてしまう硬化状態にあって、表裏層よりも密度の低い繊維層を形成することができる。
また、上記のように、湿潤マットの表裏層をセミキュアが進んだ状態にすることによって、熱圧プレスを解除した際における木質繊維板のスプリングバックを僅かな程度に押さえることができるので、湿潤マットの形態を維持したまま熱風乾燥することができ、この熱風乾燥によって表裏層と芯層との結合剤を最終硬化させるので、表裏の繊維層を木質繊維がスプリングバックすることなく硬化してなる密度が0.6 〜0.9 g/cm3 の高密度層に、芯層を木質繊維がスプリングバックして表裏層よりも密度が粗な0.4 〜0.65g/cm3 、望ましくは0.4 〜0.6 g/cm3 の低密度層に形成することができ、且つ、全体の比重が0.5 〜0.7 g/cm3 の軽量にして高強度の木質繊維板を得ることができる。
この際、湿潤マットの表裏層を、熱圧プレスによって密度が高められて解圧しても木質繊維がスプリングバックしないセミキュアが進んだ状態にしてから最終硬化させるので、特に表裏層の繊維密度を高くすることができ、軽量であるにもかかわらず、従来の湿式抄造では得られなかった優れた強度を発揮する木質繊維板を製造することができる。また、セミキュアが進んでいる状態であっても、最終硬化していないので、湿潤マットに残存している水分が湿潤マットの表裏面から蒸発するのを妨げることはなく、従って、加熱乾燥時におけるパンクの発生を抑えることができる。
一方、湿潤マットの芯層は、熱圧プレス時にセミキュア状態の度合いが表裏層よりも低いので、解圧時に木質繊維をスプリングバックさせることができ、このスプリングバックによって上述したように芯層の繊維密度を表裏層よりも低下させることができるが、この芯層部の木質繊維板のスプリングバックはセミキュア状態の進行した表裏層部によって必要最小限度に抑えることができ、熱圧プレスの解圧によってその芯層部の繊維を僅かにスプリングバックさせて密度を低下させ、軽量にして優れた断熱性を発揮する木質繊維板を得ることができる。また、木質繊維量を減少させることなく低密度で高強度を実現できるため、吸湿放性を損なうことがない。
本発明の実施の形態を具体的に説明すると、図1は木質繊維板Aの一部の簡略縦断面図であって、この木質繊維板は湿式抄造法によって得られたもので、木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤によって木質繊維同士を結合させてなり、その表裏の繊維層1、2は、製造時においてそれぞれの層を形成している木質繊維がスプリングバックを生じさせることなく上記結合剤で結合してなる密度が0.6 〜0.9 g/cm3の密な繊維層に形成している一方、中間層である芯層3は、この芯層3を形成している木質繊維板がスプリングバックを発生させた状態で上記接合剤で結合してなる密度が0.4 〜0.65g/cm3 、望ましくは0.4 〜0.6 g/cm3 の粗な繊維層に形成してあり、且つ、木質繊維板全体の密度を0.5 〜0.7 g/cm3 に形成している。図2に厚さが8.4mm の木質繊維板Aの密度分布の一例を示す。
このように、上記木質繊維板Aは、湿式抄造法によって得られた繊維板であるにもかかわらず、表裏層1、2と芯層3との繊維密度が異なり、表裏層の密度が0.6 〜0.9 g/cm3 と高いので、高強度を実現することができる一方、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3 と表裏層1、2よりも低密度の繊維層に形成しているので、この繊維層によって軽量化を確保できるばかりでなく、優れた断熱性と吸湿放性を発揮させることができる。さらに、湿式抄造法によって得られた木質繊維板Aは全体的に繊維密度のバラツキが少なく、また、木質繊維が板面に平行に配向して一層優れた断熱性を奏することができる。
次に、上記のように表裏層と芯層とで密度が異なる3層構造の木質繊維板Aの製造方法を図3に基づいて説明すると、同図(イ)は製造工程、(ロ)はそれぞれの工程によって形状が変化する湿潤マットの簡略イメージ図であって、まず、湿式抄造法によって木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤を水に添加してなるスラリーを調製する。この際、木質繊維としてはその種類を限定するものではなく、針葉樹、広葉樹を問わないし、建築廃材・パレット廃材等、由来の繊維あるいはパルプ、麻、亜麻等の植物繊維も利用できる。
上記イソシアネート基を含有する結合剤としては、モノメリックMDI(4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート)、ポリメリックMDI、TDI(トリレンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、H12MDI(4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))、IPDI(イソホロンジイソシアネート)およびそれらの各種ポリオール(低分子量ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートジオール類、アクリルポリオール類、シリコンポリオール類、2−ヒドロキシエチルアクリレート類)や、二塩基酸(アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、各種エボキシ樹脂、ひまし油、液状ポリブタジエン、ネオプレンなどの活性水素化合物などとの反応物、または、各種変性を加えることや各種界面活性剤との混合により水への分散性を向上させたものや、ポットライフを長くするためにイソシアネート基をブロックしたものを含む各種変性品があげられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、木質繊維に水と共に添加する結合剤としては、上記イソシアネート基を含有する結合剤単独でもよいが、このイソシアネート基を含有する結合剤の添加を必須として、その他の結合剤、例えば、デンプン或いはユリア樹脂、ユリア・メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂とこのイソシアネート基を含有する結合剤とを組み合わせて使用することも可能である。
この場合、イソシアネート基を含有する結合剤を含む結合剤の添加量は、10〜30重量%であることが好ましい。添加量が10重量%よりも少ないと、木質繊維が90重量%以上となって木質繊維に対する結合効果が発現し難くなり、30重量%より多いと、湿潤マットの成形、脱水の際に流出する結合剤の量が多くなるだけで結合効果が上がらず、生産性が低下するからである。なお、イソシアネート基を含有する結合剤の添加量は1重量%以上、より望ましくは1〜5重量%がよい。この添加量が1重量%よりも少ないと、後述する熱圧プレスによる湿潤マットA'の芯層部3'が100 ℃以下にならないような加熱状態下での反応効果(セミキュア状態)が期待できないからである。
さらに、イソシアネート基を含有する結合剤の反応を高めて短時間の加熱反応で強固な結合を可能とするために、水以外のイソシアネート基反応性物質を添加して湿潤マットを加熱乾燥する工程中で反応させ、ウレタン、ウレア、アミド、ビューレット、アシルウレア、アロファネート等を生成するようにしてもよい。
このようなイソシアネート基反応性物質としては、各種ポリオール(低分子量ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートジオール類、アクリルポリオール類、シリコンポリオール類等)、一般には各種ポリプロピレングリコール(以下PPGという)(エチレンオキサイド変性PPG、一級OH化PPG、ビスフェノールA変性PPG、ロジン変性PPG等)、各種ポリエチレングリコール、各種ポバール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、ひまし油系ポリオール、アクリルポリオール等であり、また、2−ヒドロキシエチルアクリレートやアミノ基をもつ化合物(アクリルアマイド類、尿素化合物類、各種ジアミン類等)や、二塩基酸類(アゼライン酸、アジピン酸、セバチン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等)、酢酸ビニール類等のカルボキシル基をもつ化合物や、各種エポキシ樹脂化合物、ひまし油、液状ポリブタジエン、ネオプレン等の活性水素化合物等があげられる。また、これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することが可能であることは勿論である。
また、スラリーから湿式抄造するため、必要に応じてサイズ剤、凝集剤、消泡剤等の抄造用添加剤を適宜添加しても良い。さらに必要に応じて、接着剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
次いで、上記のように木質繊維と上記結合剤とを主原料とし、必要に応じてその他の材料を水に添加して調製してなるスラリーを長網式または丸網式等の抄造機により湿式抄造して湿潤マットA'を得、この湿潤マットA'を一次脱水する。一次脱水は、脱水機やロールプレス等を単独又は併用することによて行われる。この一次脱水後、該湿潤マットA'を熱圧プレスに送り込み、湿潤マットA'の表裏面から熱圧して二次脱水しながら、湿潤マットA'の表裏層1'、2'の結合剤をセミキュア(半硬化状態)にしたのち解圧し、しかるのち、湿潤マットA'を熱風乾燥してその表裏層1'、2'及び芯層3'の結合剤を硬化させて密度が0.5 〜0.7 g/cm3 の木質繊維板Aを得る。
上記湿潤マットA'を熱圧プレスする工程では、あくまでも湿潤マットA'を二次脱水しながら表裏層1'、2'の結合剤をセミキュア状態にするのであって、最終硬化まで行わないことが重要であり、表裏層1'、2'の結合剤をセミキュア状態にしたのち、解圧することによって、湿潤マットA'の芯層部3'の繊維に僅かなスプリングバックを生じさせ、次いで、熱風による加熱乾燥工程において結合剤をを最終的に完全反応硬化させるものである。なお、湿潤マットA'の表裏層1'、2'が熱圧プレス工程で最終硬化すると、湿潤マットA'に含まれている水分が表裏面から抜けにくくなり、その後の加熱乾燥工程でパンクしやすくなって生産性が低下することになる。
熱圧プレスされた湿潤マットA'の表裏層1'、2'は、セミキュアが進んだ状態であって半硬化状態であり、この状態においては表裏層1'、2'の繊維のスプリングバックが生じない状態となっている一方、芯層3'内では結合剤の硬化が進んでいないため、解圧によって繊維がスプリングバックして表裏層1'、2'よりも低密度となるが、このスプリングバックによって湿潤マットA'が厚さ方向に大きく膨れるのをセミキュアが進んだ状態にある表裏層1'、2'によって抑えられ、僅かなスプリングバックを促して芯層3'の高密度化を抑制することにより、断熱性を確保すると共に軽量化を図る。なお、熱圧プレスの設定条件は、木質繊維の量や反応温度、目標とする密度等に応じて適宜に設定可能である。
この熱圧プレス工程と上記一次脱水工程とを複数回、繰り返したり、或いは、熱圧プレス工程と解圧を複数回繰り返したり、さらには、その時の熱圧プレス温度も変化させることによって、目標とする全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ表裏層は0.6 〜0.9 g/cm3 、芯層は0.4 〜0.65g/cm3 の密度に形成された木質繊維板Aをより精度よく且つ生産性よく製造することが可能となる。
熱圧プレスの温度設定は、湿潤マットA'の芯層3'の温度が100 ℃を超えないような設定にするとよい。芯層3'が100 ℃を超えると、芯層3'のセミキュア度合いが進んでしまって繊維のスプリングバックを生じさせることができなくなる。具体的には、熱圧プレスの温度は60〜120 ℃に設定される。この設定温度が60℃より低いと、結合剤が硬化するのに時間がかかって生産性が低下し、120 ℃を超えると湿潤マットA'の表裏層1'、2'の硬化が進んでしまって上述したように表裏面から湿潤マットA'内の水分が抜け難くなってその後の熱風乾燥時においてパンクが生じやすくなる。なお、加熱乾燥工程は、通常のドライヤーによって行われ、その温度は150 〜190 ℃が適当である。次に、本発明の実施例と比較例とを示す。
〔実施例1〕
木質繊維80重量%と、結合剤として粉末フェノール5.75重量%と、ポリビニルアルコール(PVA)5.75重量%と、タピオカスターチ7.0 重量%と、イソシアネート基を含有する結合剤としてポリメリックMDIを1.5 重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤、サイズ剤を適宜量添加したのち、抄造して湿潤マットを得た。さらに、この湿潤マットを加熱温度が90℃に保持した熱圧プレスにより圧力20 kgf/cm2 で15秒間、圧力40 kgf/cm2 で15秒間、圧力20 kgf/cm2 で60秒間の条件でもって熱圧し、湿潤マットの表裏層をセミキュアが進んだ状態にした。この時、芯層はセミキュア状態が進んでいない状態であった。
この熱圧プレス工程後、解圧して湿潤マットの芯層の繊維を僅かにスプリングバックさせ、しかるのち、乾燥機に搬送して170 ℃で90分間の熱風乾燥を行い、表裏層部及び芯層部の結合剤を完全に反応硬化させて厚さが8.4mm 、全体の密度0.62g/cm3 で、表裏層の密度が0.6 〜0.8 g/cm3 、芯層の密度が0.5 〜0.6 g/cm3 の3層構成の木質繊維板を得た。この木質繊維板をASTM D 1037 に準じて釘側面抵抗試験、釘頭貫通試験を行うと共に、「木造耐力壁及びその倍率の試験・評価業務報告書」(建材試験センター)に準じてラッキング試験を行った。また、厚さ方向の密度分布の測定結果を図2に示す。
〔比較例1〕
木質繊維80重量%と、結合剤として粉末フェノール5.75重量%と、ポリビニルアルコール(PVA)5.75重量%と、タピオカスターチ7.0 重量%と、イソシアネート基を含有する結合剤としてポリメリックMDIを1.5 重量%とを水中で攪拌混合してスラリーを調製し、このスラリー中に凝集剤、サイズ剤を適宜量添加したのち、抄造して湿潤マットを得た。この湿潤マットを脱水機およびロールプレスで脱水した。この時の湿潤マットの含水率は200 %であった。次いで、この湿潤マットを乾燥機に搬送して170 ℃で90分間の熱風乾燥を行い、表裏層部及び芯層部の結合剤を完全に反応硬化させて厚さが12mm、密度0.43g/cm3 の木質繊維板を得た。この木質繊維板を上記実施例1と同じ試験を行った。これらの実施例1と比較例1との試験結果を表1に示す。
Figure 2009107196
この表から明らかなように、実施例1と比較例1とは同じ組成物からなる湿潤マットから木質繊維板を製造しているにもかかわらず、その熱圧処理条件の相違によって実施例1は比較例1に比べて木質繊維板の密度が高まり、強度が増大していた。また、図2から明らかなように、実施例1の木質繊維板は、表裏層の密度の方が芯層の密度よりも高く形成されており、表裏層と芯層とで密度変化して、その密度分布が表裏側から中心に向かって傾斜状に低密度となっていることが分かる。
木質繊維板の一部の簡略縦断面図。 木質繊維板の密度分布を示すグラフ。 (イ)は製造工程、(ロ)はそれぞれの工程によって形状が変化する湿潤マットの簡略イメージ図。
符号の説明
A 木質繊維板
A' 湿潤マット
1、2 表裏層
3 芯層

Claims (4)

  1. 木質繊維板に少なくともイソシアネート基を含む結合剤を添加して湿式抄造により製造された木質繊維板であって、表裏層はスプリングバックを生じさせることなく木質繊維同士を結合させてなる繊維層に、芯層はスプリングバックを発生させた状態で木質繊維同士を結合させてなる繊維層に形成していることを特徴とする木質繊維板。
  2. 木質繊維板は、全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ、表裏層の密度が0.6 〜0.9g/cm3 の密な繊維層に、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3 の粗な繊維層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木質繊維板。
  3. 木質繊維を主体とし、少なくともイソシアネート基を含有する結合剤を水に添加してなるスラリーから湿潤マットを抄造し、この湿潤マットを一次脱水した後、熱圧プレスにより二次脱水しながら該湿潤マットの表裏層の結合剤が半硬化状態になるまで熱圧して表裏層の木質繊維がスプリングバックし得ない状態にし、次いで解圧して湿潤マットの芯層の木質繊維にスプリングバックを発生させたのち、熱風乾燥して結合剤を硬化させることを特徴とする木質繊維板の製造方法。
  4. 全体の密度が0.5 〜0.7 g/cm3 で、且つ、表裏層の密度が0.6 〜0.9 g/cm3 、芯層の密度が0.4 〜0.65g/cm3 の木質繊維板を得ることを特徴とする請求項3に記載の木質繊維板の製造方法。
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