JP2009101801A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵部材と転舵輪との間に介在する遊星ギヤ機構は、第1および第2のサンギヤ21,22と、遊星ギヤ23と、遊星ギヤ23を支持するキャリア24と、を含んでいる。キャリア24に、各上記ギヤ21〜23の外周に近接して配置された潤滑剤飛散防止用カバー56が設けられている。潤滑剤飛散防止用カバー56は、各上記ギヤ21〜23の外周を連続的に取り囲む環状の薄板を用いて形成されている。
【選択図】図4
Description
遊星歯車機構は操舵補助用の油圧サーボ弁装置とともにハウジング内に収容されており、油圧サーボ弁装置の作動油を潤滑油として遊星歯車機構に供給するようになっている。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、差動機構の潤滑を長期間に亘って維持することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
また、本発明において、上記差動機構は遊星伝達機構(19)を含み、上記遊星伝達機構は、入力軸に連なる第1の太陽要素(21)と、出力軸に連なる第2の太陽要素(22)と、第1および第2の太陽要素の双方に回転伝達可能に係合する遊星要素(23)と、遊星要素を自転可能且つ上記第1および第2の太陽要素の回りに公転可能に保持するキャリア(24)と、を含み、上記潤滑剤飛散防止用カバーは、所定の構成要素としての第1の太陽要素、第2の太陽要素および遊星要素の外周を連続的に取り囲む環状の薄板を含む場合がある(請求項2)。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる車両用操舵装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に付与された操舵トルクを、操舵軸としてのステアリングシャフト3等を介して左右の転舵輪4L,4Rのそれぞれに与えて転舵を行うものであり、操舵部材2の操舵角θ1に対する転舵輪の転舵角θ2の比としての伝達比θ2/θ1を変更することのできるVGR(Variable Gear Ratio)機能を有している。
第1のシャフト11の一端に操舵部材2が同行回転可能に連結されている。第1のシャフト11の他端と第2のシャフト12の一端とは、同行回転可能に連結されている。第2のシャフト12の他端と第3のシャフト13の一端とは、トーションバー5を介して所定の範囲内で相対回転可能に連結されている。
舵取り機構10は、自在継手9に連なるピニオン軸15と、ピニオン軸15の先端のピニオン15aに噛み合うラック16aを有し車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸16と、ラック軸16の一対の端部のそれぞれにタイロッド17L,17Rを介して連結されるナックルアーム18L,18Rとを有している。
遊星ギヤ機構19は、遊星伝達機構を構成しており、第3のシャフト13に同行回転可能に連結された第1の太陽要素としての第1のサンギヤ21と、第1のサンギヤ21と相対向して配置され第4のシャフト14に同行回転可能に連結された第2の太陽要素としての第2のサンギヤ22と、第1および第2のサンギヤ21,22の双方に回転伝達可能に係合する遊星要素としての遊星ギヤ23と、遊星ギヤ23をその軸線回りに自転可能且つ第1および第2のサンギヤ21,22の軸線(軸線A)回りに公転可能に保持するキャリア24と、を有している。第3のシャフト13は操舵部材2に連なる入力軸を構成しており、第4のシャフト14は転舵輪17L,17Rに連なる出力軸を構成している。
遊星ギヤ23は、第1および第2のサンギヤ21,22を互いに関連付けるためのものであり、ステアリングシャフト3の周方向に等間隔に複数(本実施の形態において、2つ)配置されている。各遊星ギヤ23の軸線は、ステアリングシャフト3の軸線Aと平行に延びている。
第1のサンギヤ21の歯数と、第2のサンギヤ22の歯数とは、相異なっており、第1のサンギヤ21、および第2のサンギヤ22の少なくとも1つ(例えば、第2のサンギヤ22)が、転位歯車を用いて形成されている。この転位歯車は、ピッチ円の直径が小さくなる方向に転位された負転位歯車、またはピッチ円の直径が大きくなる方向に転位された正転位歯車とされている。
伝達比可変用モータ20は、例えば、遊星ギヤ機構19およびステアリングシャフト3の双方と同軸上に配置されたブラシレスモータからなり、キャリア24に同行回転可能に連結されたロータ201と、このロータ201を取り囲みハウジング26に固定されたステータ202と、を含んでいる。
上記伝達比可変用モータ20およびトルク制御用モータ25の駆動は、それぞれ、CPU、RAMおよびROMを含む制御部28によって制御される。制御部28は、駆動回路29を介して伝達比可変用モータ20と接続され、駆動回路30を介してトルク制御用モータ25と接続されている。
操舵角センサ31からは、操舵部材2の直進位置からの操作量である操舵角θ1に対応する値として第3のシャフト13の回転角についての信号が入力される。トルクセンサ32からは、操舵部材2に作用する操舵トルクTに対応する値として第1および第2のシャフト11,12と第3のシャフト13との間に作用するトルクについての信号が入力される。転舵角センサ33からは、転舵角θ2に対応する値として第4のシャフト14の回転角についての信号が入力される。キャリア回転角センサ34からは、キャリア24の回転角についての信号が入力される。車速センサ35からは、車速Vについての信号が入力される。ヨーレートセンサ36からは、車両のヨーレートγについての信号が入力される。
図2は、図1の要部のより具体的な構成を示す断面図である。図2を参照して、第1のシャフト11、トーションバー5、第2のシャフト12、第3のシャフト13、伝達比可変機構6、第4のシャフト14等は、ハウジング26内に収容されている。
ハウジング26の第1の部分261は、針状ころ軸受等の転がり軸受からなる第1の軸受39を介して第2のシャフト12の一端を回転自在に支持している。
ロータコア253は、環状の内筒部40および外筒部41と、これら内筒部40および外筒部41を互いに連結する連結部42と、連結部42から延設された延設部43と、を含んでいる。ロータコア253の内筒部40は、第3のシャフト13に圧入等により外嵌固定されており、この第3のシャフト13と同行回転可能である。ロータコア253の外筒部41は、内筒部40と径方向Rに相対向しており、且つ内筒部40に対してステアリングシャフト3の軸方向S(入力軸の軸線に沿う方向。単に軸方向Sともいう。)の他方S2側に突出している。
トルク制御用モータ25のステータ252は、電磁鋼板を軸方向Sに複数積層してなるステータコア255と、電磁コイル256とを含んでいる。
ステータコア255は、円環状のヨーク49と、ヨーク49の周方向に等間隔に配置され且つヨーク49からステアリングシャフト3の径方向R(以下、単に径方向Rともいう。)の内方に突出する複数のティース50と、を含んでいる。ヨーク49の外周面は、ハウジング26の第1の環状部47の内周面に焼きばめ等によって固定されている。ティース50は周方向Cに等間隔に配置されている。各ティース50のそれぞれに電磁コイル256が巻回されている。各ティース50は、永久磁石254と軸方向Sの全域に亘って対向している。
図4は、キャリア24の周辺の要部の分解斜視図である。図2および図4を参照して、キャリア24は、各遊星ギヤ23の一方の支軸23bを支持する一方の端壁53と、各遊星ギヤ23の他方の支軸23cを支持する他方の端壁54と、一方の端壁53および他方の端壁54を同行回転可能に連結する連結部55と、を有している。
キャリア24の一方の端壁53には、第3のシャフト13が挿通される挿通孔57と、各遊星ギヤ23の対応する一方の支軸23bが挿通される支軸支持孔58と、が形成されている。
支軸支持孔58は、遊星ギヤ23の数に対応して例えば2つ設けられている。各支軸支持孔58は、ころ軸受等の転がり軸受からなる第5の軸受60を介して遊星ギヤ23の対応する支軸23bを回転自在に支持している。
図5は、図2のV−V線に沿う断面図である。図2および図5を参照して、キャリア24の他方の端壁54には、第4のシャフト14が挿通される挿通孔63と、各遊星ギヤ23の対応する他方の支軸23cが挿通される支軸支持孔64と、が形成されている。
図3および図4を参照して、連結部55は、他方の端壁54と単一の部材を用いて一体に形成された断面扇形形状の部分であり、周方向Cに等間隔に複数(本実施の形態において、2つ)設けられている。なお、連結部55と他方の端壁54とを別体に形成し、ボルト等を用いて両者を互いに固定してもよい。
各フランジ部67には、周方向Cに離隔した位置に一対の挿通孔68が形成されている。各一対の挿通孔68間に、位置決め用のピン69が嵌合される嵌合孔71が形成されている。
各挿通孔68を挿通する締結部材としてのねじ74が、対応するねじ孔72に螺合することにより、各フランジ部66と対応するフランジ部67とが互いに結合される。また、各嵌合孔71と対応する嵌合孔73とに嵌合されるピン69によって、フランジ部66,67の間の周方向Cの位置決めがなされる。ピン69は、軸方向Sの他方S2側に進むに従い縮径するテーパピンとされており、各嵌合孔71,73の内周面は、このピン69の外周面に合致する形状に形成されている。
潤滑剤飛散防止用カバー56は、キャリア24の一対の端壁53,54間に配置されている。この潤滑剤飛散防止用カバー56は、薄板を環状にしたものであり、キャリア24とは別体に形成されている。潤滑剤飛散防止用カバー56の肉厚が相対的に薄くされていることにより、軽量化が達成されている。また、キャリア24の肉厚が相対的に厚くされていることにより、キャリア24の強度が確保されている。
潤滑剤飛散防止用カバー56の一端は、一方の端壁53の相対向する端面75に当接している。潤滑剤飛散防止用カバー56の他端は、他方の端壁54の相対向する端面76に溶接等により固定されている。なお、潤滑剤として潤滑油を用いる場合には、潤滑剤飛散防止用カバー56の一端と、上記端面75との間を液密的に封止するシール部材を設けてもよい。
第1の部分56aは、各サンギヤ21,22と各連結部55との間に配置されており、各サンギヤ21,22と同心の円弧状に形成されている。第2の部分56bは、対応する遊星ギヤ23と同心の円弧状に形成されている。潤滑剤飛散防止用カバー56の第1の部分56aと各サンギヤ21,22との隙間、および第2の部分56bと対応する遊星ギヤ23との間の隙間は、それぞれ、適宜に設定される。具体的には、これらの隙間は、各ギヤ21〜23が駆動しているときに、各ギヤ21〜23と潤滑剤飛散防止用カバー56との間で潤滑剤が循環できる程度に下限が設定され、且つ潤滑剤が各ギヤ21〜23に戻れなくならない程度に上限が設定される。
図2および図3を参照して、潤滑剤飛散防止用カバー56と、潤滑剤飛散防止用カバー56の一対の端部にそれぞれ配置された一対の端壁53,54とにより、キャリア24内に空間77が区画されている。空間77は、潤滑剤飛散防止用カバー56の外側の空間に対して閉じられている。この空間77に、第1のサンギヤ21、第2のサンギヤ22および遊星ギヤ23が収容されている。
第3の環状部78の内側に、相対的に大径の大径溝79が区画されており、第2の環状部48の内側に、相対的に小径の小径溝80が区画されている。大径溝79と小径溝80とは互いに連通しており、軸方向Sの他方S2側に開放されている。
図2および図5を参照して、伝達比可変用モータ20のロータ201は、キャリア24の他方の端壁54に固定された永久磁石81を含んでいる。永久磁石81は、周方向Cに交互に異なる磁極を有しており、周方向Cに関して、N極とS極とが交互に等間隔に配置されている。永久磁石81は、複数の円弧状の磁石を環状に並べたセグメント磁石であってもよいし、環状のリング磁石であってもよい。
ステータコア203は、円環状のヨーク82と、周方向Cに等間隔に配置され且つヨーク82から径方向Rの内方に突出する複数のティース83と、を含んでいる。ヨーク82の外周面は、ハウジング26の第3の環状部78の内周面に焼きばめ等によって固定されている。ハウジング26が伝達比可変用モータ20のハウジングを兼ねている。ティース83は周方向Cに等間隔に配置されている。各ティース83のそれぞれに電磁コイル204が巻回されている。各ティース83は、永久磁石81と軸方向Sの全域に亘って対向している。
具体的には、トルク制御用モータ25のロータ251の外筒部41の内側に区画された環状溝44に、遊星ギヤ機構19の少なくとも一部(本実施の形態において、キャリア24の一方の端壁53および遊星ギヤ23の一部)が収容されている。これにより、トルク制御用モータ25の一部の位置が、軸方向Sに関して、遊星ギヤ機構19の位置と重なっている。
また、伝達比可変用モータ20は、キャリア24の他方の端壁54を径方向Rの外方から取り囲んでいる。これにより、伝達比可変用モータ20の位置は、キャリア24の位置と軸方向Sの全域に亘って重なっている。
また、トルク制御用モータ25および伝達比可変用モータ20の何れか一方の位置を、遊星ギヤ機構19の位置と軸方向Sに重なるようにし、他方の位置を、遊星ギヤ機構19の位置と軸方向Sに重ならないようにしてもよい。
以上の次第で、本実施の形態によれば、トルク制御用モータ25および伝達比可変用モータ20の双方を、ステアリングシャフト3と同心の環状に形成できる。これにより、各上記モータ25,20を、ステアリングシャフト3を挟んで対向して配置しなくて済み、径方向Rに関してこれらのモータ25,20が占有するスペースを少なくでき、車両用操舵装置1の小型化を達成できる。
車両用操舵装置1の小型化により、車両用操舵装置1の製造コストを低減でき、且つ車両への搭載性を向上できる。
また、トルク制御用モータ25のロータ251の外筒部41の内側に形成された環状溝44に遊星ギヤ機構19の少なくとも一部を収容していることにより、トルク制御用モータ25が遊星ギヤ機構19の少なくとも一部を取り囲むようにでき、軸方向Sに関して車両用操舵装置1を小型化できる。また、トルク制御用モータ25を、遊星ギヤ機構19の駆動音の伝播を防ぐ防音部材として用いることができ、車両用操舵装置1の騒音を低減することができる。
さらに、キャリア24に潤滑剤飛散防止用カバー56を設けていることにより、潤滑剤飛散防止用カバー56を、第1および第2のサンギヤ21,22や遊星ギヤ23の外周により近接して配置することができ、潤滑剤の飛散をより確実に防止できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
Claims (4)
- 操舵部材に連なる入力軸および転舵輪に連なる出力軸を連結した差動機構と、
差動機構の所定の構成要素の外周に近接して設けられた潤滑剤飛散防止用カバーと、を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記差動機構は遊星伝達機構を含み、
上記遊星伝達機構は、入力軸に連なる第1の太陽要素と、出力軸に連なる第2の太陽要素と、第1および第2の太陽要素の双方に回転伝達可能に係合する遊星要素と、遊星要素を自転可能且つ上記第1および第2の太陽要素の回りに公転可能に保持するキャリアと、を含み、
上記潤滑剤飛散防止用カバーは、所定の構成要素としての第1の太陽要素、第2の太陽要素および遊星要素の外周を連続的に取り囲む環状の薄板を含む車両用操舵装置。 - 請求項2において、上記キャリアに上記潤滑剤飛散防止用カバーが設けられている車両用操舵装置。
- 請求項3において、上記キャリアは、潤滑剤飛散防止用カバーの一対の端部のそれぞれに配置された一対の端壁を含み、
上記潤滑剤飛散防止用カバーおよび一対の端壁で区画された空間に、第1の太陽要素、第2の太陽要素および遊星要素が収容されている車両用操舵装置。
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