JP2009099553A - 高分子電解質膜及び燃料電池 - Google Patents

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恭弘 山下
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伸 齋藤
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Abstract

【課題】実用的なプロトン伝導性を維持し、且つ高分子電解質膜の工業的製造を容易にする程度の柔軟性を有する高分子電解質膜及びそれを用いてなる燃料電池を提供する。
【解決手段】[1]酸性基を有する高分子電解質からなる高分子電解質膜であって、
前記酸性基の一部が、アンモニウムイオン及びピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオンを対イオンとして有する酸性基であり、且つ
プロトン伝導度が0.01S/cm以上であることを特徴とする高分子電解質膜。
[2]前記含窒素イオンが、4級アンモニウムイオンである[1]の高分子電解質膜。
[3]前記何れかの高分子電解質膜を有する、膜−電極接合体及び燃料電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質膜及びそれを用いてなる固体高分子形燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、「燃料電池」と略記することがある。)は、水素と酸素の化学的反応により発電させる発電装置であり、次世代エネルギーの一つとして電気機器産業や自動車産業等の分野において大きく期待されている。
燃料電池に用いられる高分子電解質膜としては、ナフィオン(デュポン社の登録商標)に代表される、主鎖がテトラフルオロエチレン系高分子であり、側鎖にパーフルオロスルホン酸基を有するフッ素系高分子電解質が、これまで主として検討されていた。しかしながら、該フッ素系高分子電解質は、耐熱性や機械特性の点で実用上問題があるため、かかる問題を改良できる炭化水素系高分子電解質が注目されてきている。該炭化水素系高分子電解質としては、例えば、特許文献1〜3にはスルホン化ポリエーテルケトン系高分子やスルホン化ポリエーテルスルホン系高分子等が開示されている。
特開2003−31232号公報(特許請求の範囲) 特開2007−177197号公報(特許請求の範囲) 特開平6−93114号公報(特許請求の範囲)
ところで前記高分子電解質膜は燃料電池を製造するに当たって、様々な加工を施す必要がある。一方、耐熱性や機械強度に優れる炭化水素系高分子電解質は、比較的柔軟性が低いという難点があり、このような高分子電解質膜は加工処理が困難になる場合があった。特に、柔軟性が低い高分子電解質膜の場合は、工業的生産に係る連続製膜法において、高分子電解質膜を適当な巻芯に巻き取った形態(巻き取り体)とした場合、該巻き取り体の巻き締めを強くすると、該巻き取り体の内周部にある膜と外周部にある膜とが、かかる張力の差によって特性が変り易くなったり、皺が発生し易くなったりするといった弊害が生じることがあった。
これまで開示されている炭化水素系高分子電解質膜、特に芳香族系高分子電解質膜に対し、その柔軟性を向上させるために、該高分子電解質の主鎖に比較的可とう性の高いセグメントを導入すると、耐熱性や機械特性が損なわれやすいという問題点があり、製造上の制約も大きい。
かかる状況下、本発明の目的は、このような問題点を解消できる程度の柔軟性を有する高分子電解質膜、すなわち比較的低弾性の高分子電解質膜及びその製造方法を提供することにある。そして、燃料電池用として十分な実用性を備えた高分子電解質膜を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は下記[1]を提供するものである。
[1]酸性基を有する高分子電解質からなる高分子電解質膜であって、
前記酸性基の一部が、下記式(A)で表されるアンモニウムイオン及び下記式(B)で表されるピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオン1種以上を対イオンとして有する酸性基であり、且つ
プロトン伝導度が0.01S/cm以上である、高分子電解質膜。
Figure 2009099553
(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R1、R2、R3及びR4のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
Figure 2009099553
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
さらに本発明は、前記[1]に係る好適な実施形態として、以下の[2]〜[5]を提供する。
[2]前記含窒素イオンが、前記式(A)のR1〜R4のうち、少なくとも1つが炭素数4以上のアルキル基のアンモニウムイオンである、[1]の高分子電解質膜
[3]前記含窒素イオンが、前記式(A)のR1〜R4の全てが1価の有機基の4級アンモニウムイオンである、[1]の高分子電解質膜
[4]前記含窒素イオンが、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンからなる群より選ばれるアンモニウムイオンである、[1]の高分子電解質膜
[5]酸性基の総数に対する、含窒素イオンを対イオンとして有する酸性基の合計の割合が0.5〜20%である、[1]〜[4]の何れかの高分子電解質膜
また、本発明はさらに好適な実施形態として、以下の[6]〜[10]を提供する。
[6]前記高分子電解質が、芳香族系高分子電解質である、[1]〜[5]の何れかの高分子電解質膜
[7]前記高分子電解質が、酸性基を有するセグメントと、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとを有し、共重合様式がブロック共重合又はグラフト共重合の高分子電解質である、[1]〜[6]の何れかの高分子電解質膜
[8]前記高分子電解質が、以下の式(1a)、式(2a)、式(3a)又は式(4a)
Figure 2009099553

(式中、mは5以上の整数を表わす。Ar1〜Ar9は、互いに独立に、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合した酸性基を有する。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2の何れかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sの何れかを表す。Yは直接結合もしくは下記式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。mは括弧内の構造単位の繰り返し数を表す。)
で表される酸性基を有するセグメントと、
以下の式(1b)、式(2b)、式(3b)又は式(4b)
Figure 2009099553
(式中、nは5以上の整数を表わす。Ar11〜Ar19は、互いに独立に側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2の何れかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sの何れかを表す。Yは直接結合もしくは下記式(10)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。nは括弧内の構造単位の繰り返し数を表す。)
で表されるイオン交換基を実質的に有さないセグメントとを有する、[7]の高分子電解質膜
Figure 2009099553
(式中、Ra及びRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RaとRbが連結して環を形成していてもよい。)
Figure 2009099553
(式中、Ra及びRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RaとRbとが連結して環を形成していてもよい。)
[9]酸性基を有するセグメントの密度がイオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度より高い相と、イオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度が酸性基を有するセグメントの密度より高い相とを含む、ミクロ相分離構造を有する、[7]又は[8]の高分子電解質膜
[10]前記高分子電解質が、スルホン酸基を有する高分子電解質である、[1]〜[9]の何れかの高分子電解質膜
また、本発明は前記何れかの高分子電解質膜を用いてなる、下記の[11]及び[12]を提供する。
[11][1]〜[10]の何れかの高分子電解質膜を有する、膜−電極接合体
[12][11]の膜−電極接合体を具備する固体高分子形燃料電池
さらに、本発明は下記の[13]を提供する。
[11]以下の(i)、(ii)及び(iii)の工程を含む、高分子電解質膜の製造方法。
(i)実質的に全ての酸性基が遊離酸の形態である高分子電解質を準備する工程
(ii)前記(i)の高分子電解質における、酸性基の一部の対イオン(水素イオン)を、下記式(A)で表されるアンモニウムイオン及び下記式(B)で表されるピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオンにイオン交換する工程
(iii)前記(ii)のイオン交換後の高分子電解質を製膜して、高分子電解質膜を製造する工程
Figure 2009099553
(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R1、R2、R3及びR4のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
Figure 2009099553
(式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
本発明によれば、燃料電池用としての高分子電解質膜の諸特性を著しく損なうことなく、燃料電池用として優れた加工性を有する程度の柔軟性を備えた高分子電解質膜を得ることができる。本発明の高分子電解質膜によれば、工業生産に係る作業性をより良好にして、燃料電池を得ることができるため、産業上極めて有用である。
以下、本発明に係る高分子電解質膜について具体的に説明する。
<高分子電解質膜>
本発明の高分子電解質膜は、酸性基を有する高分子電解質からなるものであり、一部の酸性基が、前記式(A)で表されるアンモニウムイオン及びピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオンを対イオンとして有する酸性基であり、且つ、そのプロトン伝導度が0.01S/cm以上であることを特徴とする。
ここで、プロトン伝導度とは、1mol/Lの希硫酸中に浸漬させたときの膜抵抗から算出した膜厚方向のプロトン伝導度である。より具体的にプロトン伝導度の測定方法を説明すると、新実験化学講座19 高分子化学(II)992p(日本化学会編、丸善)に記載の方法を参考とする測定方法である。ただし、使用したセルはカーボン製であり、また白金黒付白金電極は使用せず、セルに直接インピーダンス測定装置の端子を接続する。まずセルに高分子電解質膜をセットして抵抗値を測定し、その後高分子電解質膜を除いて再度抵抗値を測定して、両者の差から膜抵抗を算出する。高分子電解質膜の両側に接触させる溶液には、1mol/Lの希硫酸を用いる。この測定はいずれも測定温度23℃で行ない、希硫酸浸漬時の膜厚と抵抗値からプロトン伝導度を算出することができる。
なお、酸性基の対イオンが水素イオンである酸性基を、水素イオン以外のイオン(カチオン)を対イオンとして有する酸性基にイオン交換することを、以下「塩置換」と呼ぶことがある。
該高分子電解質膜において、そのプロトン伝導度は、0.05S/cm以上であると好ましく、0.08S/cm以上であるとさらに好ましい。
酸性基の総数に対する、含窒素イオンを対イオンとして有する酸性基(以下、「含窒素イオン塩型酸性基」ということがある)の合計の割合は、このようなプロトン伝導度を満足する範囲であればよいが、好ましくは0.5〜20%であり、さらに好ましくは1〜15%であり、2〜10%であると特に好ましい。また、プロトン伝導度が前記の範囲を満たす限り、含窒素イオン塩型酸性基以外の酸性基の対イオンは限定されるものではないが、残部の酸性基は実質的に水素イオンを対イオンとして有する遊離酸の形態の酸性基(以下、「フリー型酸性基」ということがある)であることが好ましい。なお、酸性基の総数に対する含窒素イオン塩型酸性基の合計の割合を「塩置換率」ということがある。
前記含窒素イオンとして前記式(A)で表されるアンモニウムイオンを用いる場合、R1〜R4の少なくとも1つが、炭素数4以上のアルキル基のアンモニウムイオンであると好ましい。このような有機基を有するアンモニウムイオンであると、得られる高分子電解質膜の柔軟性がより向上することに加え、耐水性も高く維持できるという利点がある。
さらに、前記式(A)で表されるアンモニウムイオンは、そのR1〜R4の炭素数の合計が40以下であると好ましく、30以下であるとより好ましく、25以下であるとさらに好ましい。このような炭素数の4級アンモニウムイオンであると、得られる高分子電解質膜のヘーズが認められなくなり、機械強度にも優れたものとなる。
ここで、好適な含窒素イオンの具体例を挙げる。前記式(A)で表されるアンモニウムイオンとしては、ブチルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、デシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、セチルアンモニウムイオン、イコシルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、ジヘキシルアンモニウムイオン、ジオクチルアンモニウムイオン、ジデシルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、トリヘキシルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ブチルジエチルアンモニウムイオン、ヘキシルジメチルアンモニウムイオン、ヘキシルジエチルアンモニウムイオン、オクチルジメチルアンモニウムイオン、オクチルジエチルアンモニウムイオン、デシルジメチルアンモニウムイオン、セチルジメチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリエチルアンモニウムイオン、オクチルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルトリエチルアンモニウムイオン、デシルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、シクロヘキシルトリエチルチルアンモニウムイオン、トリメチルアニリニウムイオン又はトリエチルアニリニウムイオンが挙げられる。
一方、前記式(B)で表されるピリジニウムイオンとしては、メチルピリジウムイオン、エチルピリジニウムイオン、プロピルピリジニウムイオン、ブチルピリジニウムイオン、ヘキシルピリジニウム、ドデシルピリジニウムイオン、ヘキサデシルピリジニウムイオン、オクチルピリジニウムイオン、デシルピリジニウムイオン、セチルピリジニウムイオン、イコシルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムイオン、1−エチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−エチル−3−メチルピリジニウムイオン、1−プロピル−4−メチルピリジニウムイオン、1−プロピル−3−メチルピリジニウムイオン、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムイオン、2,6−ジメチルピリジニウムイオン又は2,6−ジエチルピリジニウムイオンが例示される。
これらの中でも、含窒素イオンとしては、式(A)で表されるアンモニウムイオンが好ましく、さらに上述のとおり、前記式(A)において、R1〜R4のうち、少なくとも1つが炭素数4以上のアルキル基を有するものがより好ましく、R1〜R4の全てが有機基である4級アンモニウムイオンがさらに好ましい。中でも、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンからなる群より選ばれる4級アンモニウムイオンが特に好ましい。
<高分子電解質膜の製造方法>
次に、本発明の高分子電解質膜の好適な製造(製膜)方法について説明する。
本発明の高分子電解質膜は、酸性基の一部が含窒素イオン塩型酸性基であり、含窒素イオン塩型酸性基以外が実質的にフリー型酸性基であれば好ましい。
実質的に全ての酸性基がフリー型酸性基である高分子電解質から、その酸性基の一部を含窒素イオン塩型酸性基にして、高分子電解質膜を得る方法、実質的に全ての酸性基が含窒素イオン塩型酸性基である高分子電解質から、該含窒素イオン塩型酸性基の一部を残すようにして、高分子電解質膜を得る方法、
の何れでも製造可能であるが、下記の(i)、(ii)及び(iii)の工程(以下、「(i)〜(iii)の工程」ということがある)を含む、高分子電解質膜の製造方法であると、製造がより容易になる点で好ましい。
(i)実質的に全ての酸性基がフリー型酸性基である、高分子電解質を準備する工程
(ii)前記(i)の高分子電解質における、酸性基の一部の対イオン(水素イオン)を、前記式(A)で表されるアンモニウムイオン及び前記式(B)で表されるピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオンにイオン交換(塩置換)する工程
(iii)前記(ii)の塩置換後の高分子電解質を製膜して、高分子電解質膜を製造する工程
また、このような(i)〜(iii)の工程を含む製造方法であると、高分子電解質膜中に、ほぼ均一に含窒素イオン塩型酸性基が存在するようになる。高分子電解質膜中に、含窒素イオン塩型酸性基が偏在すると、その偏在部がプロトン伝導に係る経路を閉塞するようになることがある。そのような高分子電解質膜は、プロトン伝導性が著しく低下した部分が生成して、プロトン伝導性が均一にならないといった不都合が生じる。
続いて、前記製造方法の各工程について詳述する。
まず、(i)においては、準備した高分子電解質が、その酸性基の全てが実質的にフリー型酸性基のものであればよく、そうでない場合は、公知のイオン交換処理によって、フリー型酸性基の高分子電解質を調製することができる。このイオン交換手段としては、適当な酸を水及び/又は有機溶剤に溶解させてなる酸性溶液を準備し、該酸性溶液を高分子電解質に接触させるという方法が一般的である。このような酸としては硫酸、塩酸等の強酸が用いられる。好ましくは、高分子電解質と酸性溶液とを、10分〜500時間、好ましくは0.5〜400時間、より好ましくは1〜350時間、攪拌・混合させる。イオン交換に係る温度は、通常室温程度で十分である。酸性溶液を、高分子電解質にある酸性基の総量に対して大過剰になるように使用し、使用した酸性溶液や副生した塩を常法により除去すれば、実質的に全ての酸性基がフリー型酸性基である高分子電解質が得られる。このようにして得られた高分子電解質の酸性基の総量は、公知の滴定法を用いて、そのイオン交換容量として求めておくとよい。
次に(ii)において、前記(i)で準備した高分子電解質における、フリー型酸性基の一部の対イオン(水素イオン)を、前記含窒素イオンにイオン交換、すなわち塩置換する。例えば、該含窒素イオンの水酸化物、該含窒素イオンの塩化物等を塩置換剤として用い、該塩置換剤を水及び/又は有機溶剤に溶解させた塩置換剤溶液を準備し、該塩置換剤溶液を高分子電解質に接触させる方法が、操作が簡便であるので好ましい。該塩置換剤溶液と高分子電解質を接触させる際の処理条件において、処理時間及び処理温度は、上述した高分子電解質の酸性溶液によるイオン交換処理と同等の処理条件が採用される。
前記(i)で準備された、実質的に全ての酸性基がフリー型酸性基である高分子電解質のイオン交換容量を予め求めておけば、使用する塩置換剤の使用量を制御することで、該高分子電解質の酸性基の総量に対し所望の割合で、含窒素イオン塩型酸性基に塩置換することができる。種々塩置換剤量を変更した予備実験を行ない、各々について塩置換後の高分子電解質のイオン交換容量を求めれば、酸性基の総量に対する含窒素イオン塩型酸性基の含有割合を容易に求めることができる。
次に(iii)において、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質から、高分子電解質膜を製膜する。製膜に係る手段としては、高分子電解質を溶融成形して製膜する方法、高分子電解質を適当な溶剤により溶液状態にして製膜する溶液キャスト法等が挙げられる。中でも、溶液キャスト法が操作がより簡便であり、高分子電解質自体の熱分解が生じるおそれもないので好ましい。
溶液キャスト法について具体的に説明すると、前記(ii)を経て得られた、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質を、適当な溶剤に溶解して高分子電解質溶液を得、該高分子電解質溶液を、ガラス基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持基材上に流延塗布(キャスト製膜)し、溶剤を除去することにより支持基材上に高分子電解質膜を製膜し、その後、該支持基材を剥離等によって除去することで、高分子電解質膜を製造する。
なお、このような高分子電解質膜を製造する際に、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤や、保水剤として添加される無機あるいは有機の微粒子等の添加剤を、前記高分子電解質溶液に、高分子電解質と合わせて混合使用することにより、これらの添加剤を高分子電解質膜に含有させることもできる。なお、このような添加剤を使用する場合、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導度が前記の範囲になるようにして、その種類及び使用量を選択する。
前記高分子電解質溶液に用いる溶剤は、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質が溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はない。また、添加剤等を用いる場合は、これら添加剤も溶解可能である溶剤が好ましい。具体的に好適な溶剤としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;が例示される。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMPが、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質の溶解性が高いので好ましく使用される。
本発明の高分子電解質膜の厚み(膜厚)は、特に制限はないが5〜300μmが好ましく、10〜300μmがさらに好ましい。該厚みがこのような範囲であれば、実用的な強度の高分子電解質膜が得られやすくなり、膜抵抗自体が小さくなるので、優れたプロトン伝導度を発現できる傾向がある。なお、この高分子電解質膜の厚みは、前記高分子電解質溶液の高分子電解質濃度及び基板上への塗布厚により制御できる。
また、前記高分子電解質膜としての柔軟性のさらなる向上と、強度や耐久性の向上とを目的として、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、複合膜とすることも可能である。複合化方法は公知の方法が使用できる。
該多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等が挙げられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系高分子、芳香族系高分子、又は含フッ素高分子が好ましい。
前記複合膜を製造する場合、使用する多孔質基材の膜厚は1〜100μmが好ましく、3〜30μmがさらに好ましく、5〜20μmが特に好ましい。該多孔質基材の孔径は0.01〜100μmであると好ましく、0.02〜10μmであるとさらに好ましい。また、該多孔質基材の空隙率は20〜98%が好ましく、40〜95%であるとさらに好ましい。
該多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合膜製造後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる傾向がある。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子形燃料電池のイオン伝導膜として、より優れたものとなる傾向がある。該孔径が0.01μm以上であると、該多孔質基材に対する高分子電解質の充填がより容易となり、100μm以下であると、得られる複合膜の補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、イオン伝導性の抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなって補強効果がより向上するので好ましい。
なお、このように複合膜とした場合においても、そのプロトン伝導度が前記の範囲であることが必要であり、該プロトン伝導度を勘案して、使用する多孔質基材の種類や高分子電解質の種類を適宜最適化する。
本発明の高分子電解質膜は、プロトン伝導を担う相が高分子電解質膜の厚み方向に連続相を形成し、機械強度等の特性を担う相とが機能分離するように、ミクロ相分離構造を形成していると好ましい。
該ミクロ相分離構造とは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で見た場合に、プロトン伝導を担う相(親水性のミクロドメイン)と、機械強度等の特性を担う相(疎水性のミクロドメイン)とが混在し、各ミクロドメイン構造のドメイン幅すなわち恒等周期が数nm〜数100nmであるような構造を指す。好ましくは、該恒等周期が5nm〜100nmのミクロドメイン構造を有するものが好ましい。
なお、このようなミクロ相分離構造を形成する上で好適な高分子電解質については後述する。
<高分子電解質>
次に、本発明に適用する高分子電解質について説明する。本発明の高分子電解質膜は前記背景技術に記したように、炭化水素系高分子電解質からなるものであると、該高分子電解質膜が比較的高弾性であるので、本発明の効果をより良好に享受できる。
該炭化水素系高分子電解質としては、酸性基を有する構造単位と、イオン交換基(酸性基及び塩基性基)を有さない構造単位とを有するものであると、高分子電解質膜としたとき、耐水性や機械強度に優れる傾向があるので好ましい。このような2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合の何れでもよく、これらの共重合様式の組み合わせでもよい。
なお、炭化水素系高分子電解質とは、該炭化水素系高分子電解質を構成する元素重量の含有比で表して、ハロゲン原子が15重量%以下である高分子電解質を意味する。かかる炭化水素系高分子電解質は、従来のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有する。好適な炭化水素系高分子電解質とは、実質的にハロゲン原子を含有していないものであり、このような炭化水素系高分子電解質を用いた燃料電池は、その作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりするおそれがないという点で有利である。
該炭化水素系高分子電解質の中でも、芳香族系高分子電解質膜は、より機械強度に優れ、高耐熱性であることからも好ましい。その反面、芳香族系高分子電解質膜は、比較的高弾性であるので、本発明の効果がより一層顕著に発揮される。
前記炭化水素系高分子電解質は、主として酸性基を有する構造単位からなるセグメント(酸性基を有するセグメント)及び、主としてイオン交換基を有さない構造単位からなるセグメント(イオン交換基を実質的に有さないセグメント)とを有し、共重合様式がブロック共重合又はグラフト共重合である高分子電解質であると、上述したようなミクロ相分離構造の高分子電解質膜を形成し易い傾向があり、加えて酸性基を有するセグメントが密な相が膜厚方向に連続相を形成できれば、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜が得られるため好ましい。
ここで、「酸性基を有するセグメント」とは、該セグメントを構成する構造単位1個当たりで、酸性基が平均0.5個以上含まれているセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりで平均1.0個以上含まれているとより好ましい。
一方、「イオン交換基を実質的に有しないセグメント」とは、該セグメントを構成する構造単位1個あたりで、イオン交換基が平均0.1個以下であるセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりで、イオン交換基が平均0.05個以下であるとより好ましく、平均0個、すなわち該セグメントにイオン交換基が全くないことがさらに好ましい。
典型的には、酸性基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有さないセグメントとが、直接結合で連結されていてもよいが、適当な原子又は原子団で連結された形態のブロック共重合体であってもよい。この場合、両セグメントを連結する原子又は原子団としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基が挙げられる。
本発明に適用する高分子電解質における酸性基の量は、イオン交換容量で表して、0.5meq/g〜4.0meq/gが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gであるとさらに好ましい。該イオン交換容量が、このような範囲であると、酸性基の一部を含窒素イオン塩型酸性基としたとしても、燃料電池用に用いられる高分子電解質として、十分なプロトン伝導性が発現され、比較的耐水性も良好であるという点でも有利である。
また、好適な炭化水素系高分子電解質としては、酸性基を有するセグメントにおいて、該セグメントの主鎖に芳香環を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよく、該主鎖の芳香環か該側鎖の芳香族環の少なくとも1つが、酸性基が直接結合している芳香環を有するような芳香族系高分子電解質である。このように酸性基が芳香環に直接結合しているような芳香族系高分子電解質が、より優れたプロトン伝導性が発現されることは、本出願人が見出し、前記特許文献2で提唱している。
ここで、酸性基を具体的に例示すると、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基(−OP(O)(OH)2)、ホスホン酸基(−P(O)(OH)2)、スルホニルイミド基(−SO2−NH−SO2−)等が挙げられ、中でもスルホン酸基が好ましい。
より具体的には、本発明に用いる高分子電解質は、酸性基を有するセグメントとして、前記の式(1a)、式(2a)、式(3a)、式(4a)[以下、「式(1a)〜(4a)」と略記することがある。]の何れか1種以上と、
イオン交換基を実質的に有さないセグメントとして、前記の式(1b)、式(2b)、式(3b)、式(4b)[以下、「式(1b)〜(4b)」と略記することがある。]の何れか1種以上とを有し、
共重合様式がブロック共重合又はグラフト共重合の高分子電解質が好ましい。このような高分子電解質は、良好なミクロ相分離構造を有する高分子電解質膜が得られやすく、該高分子電解質膜が一層優れたプロトン伝導性を発現できる点で好ましい。
式(1a)〜(4a)におけるAr1〜Ar9は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。好ましくは2価の単環性芳香族基である。
また、Ar1〜Ar9は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。
式(1a)のセグメントを構成する構造単位におけるAr1及び/又はAr2、式(2a)のセグメントを構成するAr1〜Ar3の少なくとも1つ以上、式(3a)のセグメントを構成する構造単位におけるAr7及び/又はAr8、式(4a)のセグメントを構成する構造単位におけるAr9には、主鎖を構成する芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。イオン交換基としては上述のようにスルホン酸基がより好ましい。
式(1b)〜(4b)におけるAr11〜Ar19は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の2価の単環性芳香族基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の2価の縮環系芳香族基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロ芳香族基等が挙げられる。好ましくは2価の単環性芳香族基である。
また、これらの2価の芳香族基は置換基を有していてもよく、この置換基の説明は前記Ar1〜Ar9の場合と同様である。
本発明に用いる高分子電解質としては、後述のミクロ相分離構造を有する高分子電解質膜が得られる範囲であれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れか、あるいはこれらを組合わせて使用することができる。但し、製造上の容易さを勘案すると、ブロック共重合体が好ましい。より好ましいブロック共重合体に係るセグメントの組合わせとしては、下記表1に示すようなものが挙げられ、これら中でも、<イ>、<ウ>、<エ>、<キ>又は<ク>が好ましく、<キ>又は<ク>が特に好ましい。
Figure 2009099553
また、上記のブロック共重合体としては、酸性基を有するセグメントである式(1a)〜(4a)に係る構造単位の繰り返し数m、イオン交換基を実質的に有さないセグメントである式(1b)〜(4b)に係る構造単位の繰り返し数n、はともに5以上であると好ましい。より好ましくは、5〜1000の範囲であり、更に好ましくは10〜500の範囲である。繰り返し数がこの範囲である高分子電解質は、プロトン伝導性と、機械強度及び/又は耐水性との、バランスに優れ、各々のセグメントの製造自体も、容易であることから好ましい。
具体的に、好適なブロック共重合体としては、以下に示すイオン交換基を有する構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、以下に示すイオン交換基を有さない構造単位から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(イオン交換基を実質的に有さないセグメント)とからなるブロック共重合体が挙げられる。なお、上述のように両セグメント同士は直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。そして、ここでいうセグメント同士を結合する原子又は原子団の典型的なものとしては、上記に例示したとおりである。
(イオン交換基を有する構造単位)
Figure 2009099553
(イオン交換基を有さない構造単位)
Figure 2009099553
前記例示の中でも、イオン交換基を有するセグメントを構成する構造単位としては、(2)、(10)及び(11)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位であると好ましく、その中でも(10)及び/又は(11)の構造単位であると特に好ましい。このような構造単位を含むセグメントを有する高分子電解質は優れたイオン伝導性を発現できるものであり、当該セグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向にある。
一方、イオン交換基を有さないセグメントを構成する構造単位としては、(12)、(14)、(16)、(18)、(20)及び(22)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位であると好ましい。このような構造単位を含むセグメントを有する高分子電解質は優れた寸法安定性を発現できる高分子電解質膜を製造できるという利点がある。
また、該高分子電解質の分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法によって求められるポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5,000〜1,000,000であることが好ましく、15,000〜400,000であることが特に好ましい。
このような高分子電解質としては、例えば特開2005−126684号公報や特開2005−139432号公報に準拠して得られるブロック共重合体や、前記特許文献3で本出願人が提案したようなブロック共重合体が挙げられる。
前記ブロック共重合体の高分子電解質から得られる高分子電解質膜は、酸性基を有するセグメントの密度がイオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度より高い相(以下、「親水性セグメント相」と呼ぶことがある。)と、イオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度が酸性基を有するセグメントの密度より高い相(以下、「疎水性セグメント相」と呼ぶことがある。)とを含む、ミクロ相分離構造を形成し易い。該親水性セグメント相はプロトン伝導性に寄与し、疎水性セグメント相は機械強度等を向上できるので、このような親水性セグメント相と疎水性セグメント相とがミクロ相分離構造を形成する高分子電解質膜は、本発明に用いるうえで特に好ましい。
好適なブロック共重合体として例示した、前記の(10)及び/又は(11)からなる酸性基を有するセグメントは比較的剛直であることから、高分子電解質膜を得たとき、該高分子電解質膜がより良好なミクロ相分離構造を形成し、該ミクロ相分離構造において、該親水性セグメントが連続相を取り易くなると推定される。その反面、該親水性セグメント相は、セグメント分子鎖の会合性が強くなって、柔軟性が低下し易い。このようなブロック共重合体の高分子電解質において、酸性基を有するセグメントの一部の酸性基を、含窒素イオン塩型酸性基とすることにより、高分子電解質膜の柔軟性を良好に向上させることができる。定かではないが、この窒素イオン塩型酸性基の導入により、親水性セグメント相のセグメント分子鎖の会合性が低下して柔軟性が向上すると推定される。
<燃料電池>
次に本発明の高分子電解質膜を用いてなる燃料電池について説明する。
この燃料電池は、本発明の高分子電解質膜(又は複合膜)の両面に、触媒成分及び集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
ここで触媒成分としては、水素又は酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金又は白金系合金の微粒子を触媒成分として用いることが好ましい。白金又は白金系合金の微粒子は、しばしば活性炭や黒鉛等の粒子状又は繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
カーボンに担持された白金又は白金系合金の微粒子を、パーフルオロアルキルスルホン酸樹脂等の高分子電解質のアルコール溶液と共に混合してペースト化したものを、ガス拡散層及び/又は高分子電解質膜(又は複合膜)に塗布・乾燥することにより触媒層が得られる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知のものを用いることができる。
集電体である導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
このような燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
かくして得られる燃料電池は、高分子電解質膜を燃料電池用部材に加工し易い程度の柔軟性を有し、燃料電池として十分なプロトン伝導性を有するため、工業的に極めて有用である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例に係わる物性測定方法を以下に示す。
(イオン交換容量の測定)
測定に供する高分子電解質膜を、加熱温度105℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて、乾燥重量を求めた。次いで、この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、予め求めておいた乾燥重量と、前記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質膜のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
(塩置換率の算出法)
測定に供する高分子電解質膜中の酸性基の総数に対する、含窒素イオン塩型酸性基の合計の割合を、塩置換率として定義する。この算出法としては、含窒素イオン塩型酸性基を有する高分子電解質膜のイオン交換容量をIEC1、含窒素イオン塩型酸性基を有さないときの高分子電解質膜のイオン交換容量をIEC2とした時、下記式で算出される。
塩置換率(%)={1−(IEC1/IEC2)}×100
(GPCの測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。なお、移動相(溶離液)としては以下の何れかを用いて測定した。
[移動相1]DMAc(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
[移動相2]DMF(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
(プロトン伝導度の測定)
新実験化学講座19 高分子化学(II)992p(日本化学会編、丸善)に記載の方法で膜抵抗を測定した。
ただし、使用したセルはカーボン製であり、また白金黒付白金電極は使用せず、セルに直接インピーダンス測定装置の端子を接続した。まずセルに高分子電解質膜をセットして抵抗値を測定し、その後高分子電解質膜を除いて再度抵抗値を測定して、両者の差から膜抵抗を算出した。高分子電解質膜の両側に接触させる溶液には、1mol/Lの希硫酸を用いた。測定はいずれも測定温度23℃で行った。希硫酸浸漬時の膜厚と抵抗値からプロトン伝導度を算出した。
(弾性率の測定)
測定に供する高分子電解質膜を、23℃50%RH雰囲気中で12時間静置して乾燥させた後、さらに80℃の熱風循環型恒温槽中で40分間乾燥させた膜について、日本工業規格(JIS K 7127)に準拠して、80℃雰囲気下、引張速度10mm/minで実施した引張試験から弾性率を求めた。
(合成例1)
国際公開番号WO2007/043274実施例7、実施例21記載の方法を参考にして、スミカエクセルPES 5200P(住友化学株式会社製)を使用して合成した、下記
Figure 2009099553
で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するセグメントと、下記

Figure 2009099553

で示される、イオン交換基を有さないセグメントとを有するブロック共重合体(以下BCP−1とする。IEC=2.5meq/g、Mw=350,000、Mn=170,000[移動相2])を得た。
(製膜:高分子電解質膜の作製)
キャスト製膜については、連続乾燥炉を用いて行った。すなわち、後述する高分子電解質溶液を、連続的に走行する支持基材上に流延塗布して、流延塗布後の支持基材を連続的に乾燥炉を通過させることにより、大部分の溶媒を除去した。該乾燥炉の乾燥条件を下記に記す。なお、支持基材上に流延塗布する際には、膜厚可変型ドクターブレードを用いて所望の膜厚へと調整した。
乾燥条件:温度100℃、時間33分
(なお、温度は乾燥炉の設定温度を指し、時間はキャスト製膜された
高分子電解質膜が乾燥炉に入炉してから出炉するまでの時間を指す。)
次いで、乾燥後の高分子電解質膜をイオン交換水で水洗を行って溶媒を完全に除去した。この膜を2N硫酸に2時間浸漬後、再度イオン交換水で水洗せしめて、更に風乾することで、高分子電解質膜を作製した。
実施例1
合成例1で得られたBCP−1をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。また別に、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(以下AD−1とする)をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。得られた二種類の溶液を、BCP−1とAD−1の重量比が95.2対4.8になるように混合して高分子電解質溶液1を調製した。該高分子電解質溶液1を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、前記の方法で製膜することにより、膜厚約20μmの高分子電解質膜1を作製した。
得られた高分子電解質膜1のイオン交換容量(IEC)、塩置換率、弾性率及びプロトン伝導度を表2に示す。
実施例2
合成例1で得られたBCP−1をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。また別に、臭化ヘキシルトリメチルアンモニウム(以下AD−2とする)をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。得られた二種類の溶液を、BCP−1とAD−2の重量比が96.2対3.8になるように混合して、高分子電解質溶液2を調製した。該高分子電解質溶液2を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、前記の方法で製膜することにより、膜厚約20μmの高分子電解質膜2を作製した。
得られた高分子電解質膜2のイオン交換容量(IEC)、塩置換率、弾性率及びプロトン伝導度を表2に示す。
実施例3
合成例1で得られたBCP−1をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。また別に、硫酸水素セチルトリメチルアンモニウム(以下AD−3とする)をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。得られた二種類の溶液を、BCP−1とAD−3の重量比が95.1対4.9になるように混合して、高分子電解質溶液3を調製した。該高分子電解質溶液3を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、前記の方法で製膜することにより、膜厚約20μmの高分子電解質膜3を作製した。
得られた高分子電解質膜3のイオン交換容量(IEC)、塩置換率、弾性率及びプロトン伝導度を表2に示す。
実施例4
合成例1で得られたBCP−1をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。また別に、臭化メチルトリオクチルアンモニウム(以下AD−4とする)をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。得られた二種類の溶液を、BCP−1とAD−4の重量比が94.7対5.3になるように混合して、高分子電解質溶液4を調製した。該高分子電解質溶液4を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、前記の方法で製膜することにより、膜厚約20μmの高分子電解質膜4を作製した。
得られた高分子電解質膜4のイオン交換容量(IEC)、塩置換率、弾性率及びプロトン伝導度を表2に示す。
比較例1
合成例1で得られたBCP−1をDMSOに溶解して、濃度が8wt%の溶液を調製した。得られた溶液を、支持基材として巾300mm、長さ30mのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E5000グレード)を用いて、前記の方法で製膜することにより、膜厚約20μmの高分子電解質膜5を作製した。
得られた高分子電解質膜5のイオン交換容量(IEC)、塩置換率、弾性率及びプロトン伝導度を表2に示す。
Figure 2009099553
実施例1〜4に示す高分子電解質膜は、比較例1に示す実質的に全ての酸性基がフリー型酸性基の高分子電解質からなる高分子電解質膜よりもIECが低下しているので、一部の酸性基が含窒素イオン塩型酸性基となっていることを示している。実施例1〜4に示す高分子電解質膜は、このように含窒素イオン型酸性基を有するので、比較例1の高分子電解質膜と比較して柔軟性に優れ、実用的に十分なプロトン伝導度を有していることが明らかとなった。

Claims (13)

  1. 酸性基を有する高分子電解質からなる高分子電解質膜であって、
    前記酸性基の一部が、下記式(A)で表されるアンモニウムイオン及び下記式(B)で表されるピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオン1種以上を対イオンとして有する酸性基であり、且つ
    プロトン伝導度が0.01S/cm以上であることを特徴とする高分子電解質膜。
    Figure 2009099553
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R1、R2、R3及びR4のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
    Figure 2009099553
    (式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
  2. 前記含窒素イオンが、前記式(A)のR1〜R4のうち、少なくとも1つが炭素数4以上のアルキル基のアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質膜。
  3. 前記含窒素イオンが、前記式(A)のR1〜R4の全てが1価の有機基の4級アンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質膜。
  4. 前記含窒素イオンが、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンからなる群より選ばれるアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1記載の高分子電解質膜。
  5. 酸性基の総数に対する、含窒素イオンを対イオンとして有する酸性基の合計の割合が0.5〜20%であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の高分子電解質膜。
  6. 前記高分子電解質が、芳香族系高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の高分子電解質膜。
  7. 前記高分子電解質が、酸性基を有するセグメントと、イオン交換基を実質的に有さないセグメントとを有し、共重合様式がブロック共重合又はグラフト共重合の高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の高分子電解質膜。
  8. 前記高分子電解質が、以下の式(1a)、式(2a)、式(3a)又は式(4a)
    Figure 2009099553

    (式中、mは5以上の整数を表わす。Ar1〜Ar9は、互いに独立に、主鎖に芳香族環を有し、さらに芳香族環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香族環か側鎖の芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合した酸性基を有する。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2の何れかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sの何れかを表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(10)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rは互いに独立に1、2又は3を表す。mは括弧内の構造単位の繰り返し数を表す。)
    で表される酸性基を有するセグメントと、
    以下の式(1b)、式(2b)、式(3b)又は式(4b)
    Figure 2009099553
    (式中、nは5以上の整数を表わす。Ar11〜Ar19は、互いに独立に側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。Z、Z’は互いに独立にCO、SO2の何れかを表し、X、X’、X”は互いに独立にO、Sの何れかを表す。Yは直接結合もしくは下記式(10)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2又は3を表す。nは括弧内の構造単位の繰り返し数を表す。)
    で表されるイオン交換基を実質的に有さないセグメントとを有することを特徴とする請求項7記載の高分子電解質膜。
    Figure 2009099553
    (式中、Ra及びRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基を表し、RaとRbとが連結して環を形成していてもよい。)
  9. 酸性基を有するセグメントの密度がイオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度より高い相と、イオン交換基を実質的に有さないセグメントの密度が酸性基を有するセグメントの密度より高い相とを含む、ミクロ相分離構造を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の高分子電解質膜。
  10. 前記高分子電解質が、スルホン酸基を有する高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の高分子電解質膜。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の高分子電解質膜を有する膜−電極接合体。
  12. 請求項11記載の膜−電極接合体を具備する固体高分子形燃料電池。
  13. 以下の(i)、(ii)及び(iii)の工程を含む、高分子電解質膜の製造方法。
    (i)実質的に全ての酸性基が遊離酸の形態である高分子電解質を準備する工程
    (ii)前記(i)の高分子電解質における、酸性基の一部の対イオン(水素イオン)を、下記式(A)で表されるアンモニウムイオン及び下記式(B)で表されるピリジニウムイオンからなる群より選ばれる含窒素イオンにイオン交換する工程
    (iii)前記(ii)のイオン交換後の高分子電解質を製膜して、高分子電解質膜を製造する工程
    Figure 2009099553
    (式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R1、R2、R3及びR4のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
    Figure 2009099553
    (式中、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、互いに独立に水素原子又は1価の有機基を表し、少なくとも1つが有機基である。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10のうち、2つが結合して環を形成していてもよい。)
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