以下、本発明の一実施形態であるビルトインコンロ1について、図面を参照して説明する。本実施形態のビルトインコンロ1(図1参照)は、図示外のキッチンユニットのカウンタートップに形成された開口に、その器具2が落とし込まれて係止することによって、キッチンユニットに組み込まれるものである。そして各種バーナに設置された熱電対の熱起電力を読み込むことによって、各種バーナの失火等を速やかに検出し、ガス供給を強制的に遮断する安全機能を備えたものである。
はじめに、ビルトインコンロ1の構造について、図1,図2を参照して概略的に説明する。図1は、ビルトインコンロ1の斜視図であり、図2は、ビルトインコンロ1の平面図である。ビルトインコンロ1は、略直方体状の器具2を備えている。器具2の天面の左側には標準バーナ5が設けられ、右側には強火力バーナ6が設けられている。標準バーナ5と強火力バーナ6との間の後方には、とろ火用の奧バーナ7が設けられている。奧バーナ7の後方には、グリル排気口(図示外)が設けられている。そのグリル排気口には、複数の排気穴を有する平面視横長矩形状の排気カバー10,11が覆設されている。これら構造を有する器具2の天面には、標準バーナ5、強火力バーナ6、奧バーナ7およびグリル排気口が各々露出するように開口するトッププレート3が設けられている。そのトッププレート3の上面には、標準バーナ5、強火力バーナ6および奧バーナ7をそれぞれ取り囲むようにして、調理鍋(図示外)を載置するための五徳5a,6a,7aが各々設置されている。
器具2の中央には、グリルの本体であるグリル庫(図示外)が組み込まれている。グリル庫内の上側には、左右一対のグリルバーナA,B(図示外)が設けられ、下側にも、左右一対のグリルバーナC,D(図示外)が設けられている。器具2の正面中央には、グリル庫内を確認できるグリル窓13が設けられている。グリル窓13の下方には、グリル庫内から受皿(図示外)および焼き網(図示外)を手前に引き出すためのグリル用取っ手14が前方に突出して設けられている。
器具2の正面左側には、標準バーナ5を点火するための点火ボタン15が設けられ、その右隣りには、奧バーナ7を点火するための点火ボタン17が設けられている。器具2の正面右側には、強火力バーナ6を点火するための点火ボタン16が設けられ、その左隣りには、グリル庫内のグリルバーナA,B,C,Dを同時に点火するための点火ボタン18が設けられている。点火ボタン15,16,17,18には、これらボタンの操作によってオンオフされるコックスイッチ15a,16a,17a,18a(図3参照)が各々内蔵されている。
また、点火ボタン15の直上には、標準バーナ5の火力を手動で調節するための火力調節レバー15bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン17の直上には、奧バーナ7の火力を手動で調節するための火力調節レバー17bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン16の直上には、強火力バーナ6の火力を手動で調節するための火力調節レバー16bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン18の直上には、グリルバーナA,B,C,Dの火力を手動で調節するための火力調節レバー18bが、左右方向に回動可能に設けられている。点火ボタン15,17の下側には、ビルトインコンロ1を操作するための操作パネル20が手前方向に開閉可能に設けられている。点火ボタン16,18の下側には、2つの乾電池を格納する電池ボックス21が設けられている。
そして、標準バーナ5、強火力バーナ6、奧バーナ7およびグリルバーナA,B,C,Dには、点火電極をスパークさせて点火するためのイグナイタ27(図3参照)が各々接続されている。これら各種バーナには、着火、失火を検知するための熱電対が各々設けられている。具体的に言うと、標準バーナ5には、第1熱電対31(図3参照)が設けられ、強火力バーナ6には、第2熱電対32が設けられ、奧バーナ7には、第3熱電対33(図3参照)が設けられている。グリルバーナAには、第4熱電対34(図3参照)が設けられ、グリルバーナBには、第5熱電対35(図3参照)が設けられ、グリルバーナCには、第6熱電対36(図3参照)が設けられ、グリルバーナDには、第7熱電対37(図3参照)が設けられている。つまり、第1熱電対31、第2熱電対32および第3熱電対33は、コンロ側に設置され、第4熱電対34、第5熱電対35、第6熱電対36および第7熱電対37は、グリル側に設置されている。
さらに、標準バーナ5には、五徳5a上に載置される調理鍋の鍋底温度を検出するためのサーミスタ23(図3参照)が設けられている。また、グリル庫と排気通路との連通口付近には、グリルサーミスタ24が設けられ、グリル庫内温度を検出するようにされている。
また、器具2の内側には、標準バーナ5にガスを供給するための第1ガス供給管(図示外)と、強火力バーナ6にガスを供給するための第2ガス供給管(図示外)と、奧バーナ7にガスを供給するための第3ガス供給管(図示外)と、グリルバーナA,B,C,Dにガスを供給するための第4ガス供給管(図示外)とが各々設けられている。第1ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁38(図3参照)が設けられ、第2ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁39(図3参照)が設けられ、第3ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁40(図3参照)が設けられ、第4ガス供給管には、ガス供給を遮断する安全弁41(図3参照)が設けられている。これら安全弁38〜41は、ガス供給を遮断して各種バーナを強制的に消火するためのマグネット式の電磁弁である。
さらに、第1ガス供給管には、ガス供給量を制御する火力調整切替弁28が設けられている。火力調整切替弁28は、サーミスタ23によって検出される標準バーナ5による加熱温度を、所定温度範囲内に維持するために、標準バーナ5の火力の大小を切り替えるための切替弁である。火力調整切替弁28は、後述するマイコン制御回路50のCPUによって制御される。
次に、ビルトインコンロ1の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3は、ビルトインコンロ1の電気的構成を示すブロック図である。ビルトインコンロ1は、電装基板70を備えている。電装基板70には、ビルトインコンロ1の燃焼動作を制御するマイコン制御回路50が設けられている。マイコン制御回路50は、図示しないCPU、各種制御プログラム、各種データの初期値等を記憶したROM、CPUの演算処理中に発生するデータ等を一時的に記憶するRAM、タイマ、不揮発性のフラッシュメモリ等を備えている。
マイコン制御回路50には、電池ボックス21(図1参照)に格納された乾電池の電圧を、電装基板70上の各種回路に供給する電源回路43と、コックスイッチ15a〜18aからそれぞれ出力されるオンオフ信号を入力するスイッチ入力回路44と、サーミスタ23,24から出力されるアナログ信号を入力するサーミスタ入力回路45と、操作パネル20との間で通信する操作パネル通信回路46と、イグナイタ27を駆動させるイグナイタ回路47と、火力調整切替弁28を駆動させる切替弁回路48と、4つの安全弁38〜41を各々駆動させるための安全弁回路49とが各々接続されている。
さらに、マイコン制御回路50には、アナログ入力のための8つのアナログチャンネル(以下、アナログCHと呼ぶ)が設けられている。そのうちの4つのアナログCH1〜4(図4参照)は熱電対のアナログ入力用に使用される。アナログCH1(図4参照)には、標準バーナ5の第1熱電対31から出力された熱起電力を増幅して入力する第1熱電対入力回路51が接続されている。アナログCH2(図4参照)には、強火力バーナ6の第2熱電対32から出力された熱起電力を増幅して入力する第2熱電対入力回路52が接続されている。アナログCH3(図4参照)には、奧バーナ7の第3熱電対33から出力された熱起電力を増幅して入力する第3熱電対入力回路53が接続されている。アナログCH4(図4参照)には、グリルバーナA〜Dの第4〜7熱電対34〜37から出力された熱起電力を1つずつ増幅して入力する第4熱電対入力回路54が接続されている。その他のアナログCHには、上記した電源回路43からの乾電池電圧や、サーミスタ23,24等が各々接続されている。
ところで、電装基板70では、グリル庫内に設けられた第4熱電対34〜第7熱電対37が、スイッチング素子であるFET回路64〜67に各々接続されている。具体的には、第4熱電対34は、FET回路64のソース側に接続されている。第5熱電対35は、FET回路65のソース側に接続されている。第6熱電対36は、FET回路66のソース側に接続されている。第7熱電対37は、FET回路67のソース側に接続されている。さらにFET回路64〜67のドレイン側は、第4熱電対入力回路54に接続され、ゲート側は、マイコン制御回路50に接続されている。そしてFET回路64〜67のスイッチタイミングは、マイコン制御回路50のCPUによって制御される。これにより第4熱電対34〜第7熱電対37から各々出力される4つの熱起電力が1つずつ順に読み込まれ、第4熱電対入力回路54によって増幅されて、マイコン制御回路50のアナログCH4(図3参照)に順次入力されるようになっている。
次に、熱電対による各種バーナの立ち消え安全機能について、図3を参照して説明する。例えば、標準バーナ5(図2参照)の点火ボタン15(図1参照)が押下されると、点火ボタン15の押下操作に連動して、メイン弁(図示外)が開弁される。この際、標準バーナ5に対応する安全弁38のコイルに、マグネット保持電流が流れて励磁される。これにより安全弁38が吸着開弁状態に保持される。次いで、第1ガス供給管(図示外)を介して標準バーナ5にガスが供給され、イグナイタ27が駆動して標準バーナ5が点火される。標準バーナ5が点火されると、炎口に形成された燃焼炎によって第1熱電対31が加熱される。このとき第1熱電対31では熱起電力が発生する。発生した熱起電力は、第1熱電対入力回路51で増幅されてマイコン制御回路50のアナログCH1に入力される。
そして、マイコン制御回路50では、入力された熱起電力が所定レベル以上である間は、安全弁回路49を制御して安全弁38に吸着保持電流を供給する。一方、炎の立ち消えによって、熱起電力が所定レベルを下回った場合、吸着保持電流の供給を停止させ、安全弁38を閉弁させる。これにより標準バーナ5へのガス供給が遮断されて、第1熱電対31による立ち消え安全機能が働くようになっている。第2熱電対32〜第7熱電対37についても同様である。
次に、熱電対チェック処理のチェックタイミングについて、図4のタイミングチャートを参照して説明する。図4は、CPUによる熱電対チェック処理のタイミングチャートである。熱電対チェック処理では、第1熱電対31〜第7熱電対37(図3参照)から各々出力される熱起電力が読み込まれ、失火や故障等の異常チェックが行われる。この熱電対チェック処理は、t0〜t12で分割された13タイミングで行われる。1タイミング単位は2(msec)とする。よって1回の読み込み周期は、13(タイミング)×2(msec)=26(msec)となる。
そして、1回の読み込み周期において、t0〜t3タイミングでは、第1熱電対31〜第3熱電対33から各々出力される熱起電力のチェックが行われる。t4タイミングでは、FET回路64〜67の異常を検知するためのゼロチェック処理が行われる。t5〜t12タイミングでは、第4熱電対34〜第7熱電対37から各々出力される熱起電力のチェックが行われる。第4熱電対34〜第7熱電対37のチェックでは、FET回路64〜67のオンオフが時分割制御で切り替わる。これにより第4熱電対34〜第7熱電対37から出力される4つの熱起電力を1つずつ読み込むことができる。
次に、FET回路64〜67のスイッチタイミングの切替制御方法について、図3,図4を参照して説明する。マイコン制御回路50は、FET回路64〜67に各々対応する4つの切替チャンネル(図4参照:以下、切替CHと呼ぶ)を備えている。切替CH1はFET回路64に対応し、切替CH2はFET回路65に対応し、切替CH3はFET回路66に対応し、切替CH4はFET回路67に対応している。これら4つの切替CHから、FET回路64〜67のオンオフを指示する切替パルスが各々出力される。図4に示すように、オンを指示する場合は、ハイレベル信号(以下、H信号と呼ぶ)が出力され、オフを指示する場合は、ローレベル信号(以下、L信号と呼ぶ)が出力される。
例えば、切替CH1からH信号が出力され、切替CH2〜4からL信号が出力されると、切替CH1に対応するFET回路64のみがオンとなり、他のFET回路65〜67がオフとなる。この場合、第4熱電対34から出力された熱起電力だけがマイコン制御回路50のアナログCH4に読み込まれる。従って、切替パルスを変更し、FET回路64〜67のオンオフを順次切り替えることによって、第4熱電対34〜第7熱電対37から出力される4つの熱起電力を1つずつ読み込むことができる。
また、第4熱電対34〜第7熱電対37のチェックでは、切替パルスの出力変更後の波形を安定させるために、所定のタイミングで2(msec)の休止期間を各々設けている。例えば、t5〜t12タイミングのうち、t6、t8、t10、t12タイミングにおいて、第4熱電対34〜第7熱電対37の熱起電力の読み込みを行い、t5、t7、t9、t11タイミングにおいて、2(msec)の休止期間を設けている。この休止期間では、次タイミングに先だって切替パルスの出力変更を行う。これにより切替パルスの波形が安定してから次タイミングに移行するため、t6、t8、t10、t12タイミングにおいて、FET回路64〜67のオンオフを確実に行うことができる。
次に、CPUによる熱電対チェック処理について、図4のタイミングチャートと、図6〜図10のフローチャートとを参照して説明する。図5は、CPUによる熱電対チェック処理のメインのフローチャートであり、図6は、図5に示すコンロ側TCチェック処理のフローチャートであり、図7は、図5に示すゼロチェック処理のフローチャートであり、図8は、図5に示すグリル側TCチェック処理のフローチャートであり、図9は、図8の続きを示すフローチャートであり、図10は、図9の続きを示すフローチャートであり、図11は、図10の続きを示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、点火ボタン15〜18に内蔵されたコックスイッチ15a〜18aの何れかがオンされたか否かが判断される(S1)。コックスイッチ15a〜18aの何れも押下されていない場合(S1:NO)、S1に戻って、コックスイッチ15a〜18aのオンオフが引き続き監視される。そしてコックスイッチ15a〜18aの何れかがオンされたと判断された場合(S1:YES)、t0タイミングで、2(msec)の休止期間を経た後に、コンロ側TCチェック処理が実行される(S2)。
コンロ側TCチェック処理について、図6を参照して説明する。コンロ側TCチェック処理では、第1熱電対31、第2熱電対32および第3熱電対33から出力された熱起電力が順に読み込まれる。従って、t0〜t3タイミングの間は、切替CH1〜4から出力される切替パルスは全てL信号とされ、FET回路64〜67は全てオフされる。
まず、t1タイミングで、第1熱電対31から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S6)。つまり、第1熱電対入力回路51によって増幅され、アナログCH1に入力された入力電圧が、マイコン制御回路50のフラッシュメモリ(図示外)に記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、標準バーナ5に対応するコックスイッチ15aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、入力電圧が失火電圧と判断された場合(S6:YES)、安全上、標準バーナ5に対応する安全弁38が閉弁される(S12)。これにより標準バーナ5にガスを供給する第1ガス供給管が遮断されるので、立ち消えによるガス漏れを防止できる。
次いで、点火ボタン15が再押下され、コックスイッチ15aが再度オンされたか否かが判断される(S13)。再度オンされない間は(S13:NO)、S13に戻って、点火ボタン15の押下が監視される。そして点火ボタン15が再押下されたと判断された場合(S13:YES)、安全弁38が開弁され(S14)、S6に戻って、コンロ側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S6:NO)、その熱起電力が異常電圧か否かが判断される(S7)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S7:YES)、標準バーナ5の異常、第1熱電対31の異常、第1熱電対入力回路51の異常等が考えられる。この状態では、標準バーナ5の燃焼状態を正確に検知できない。この場合、標準バーナ5に対応する安全弁38が閉弁され(S15)、標準バーナ5が消火される。そして点火ボタン15の操作に連動することなく、安全弁38を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S7:NO)、第1熱電対31からの熱起電力は正常であるので、強火力バーナ6に設けられた第2熱電対32のチェックに移行される。
次に、t2タイミングで、第2熱電対32から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S8)。つまり、第2熱電対入力回路52によって増幅され、アナログCH2に入力された入力電圧が、マイコン制御回路50のフラッシュメモリ(図示外)に記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、強火力バーナ6に対応するコックスイッチ16aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、入力電圧が失火電圧と判断された場合(S8:YES)、安全上、強火力バーナ6に対応する安全弁39が閉弁される(S12)。これにより強火力バーナ6にガスを供給する第2ガス供給管が遮断されるので、立ち消えによるガス漏れを防止できる。
次いで、点火ボタン16が再押下され、コックスイッチ16aが再度オンされたか否かが判断される(S13)。再度オンされない間は(S13:NO)、S13に戻って、点火ボタン16の押下が監視される。そして点火ボタン16が再押下されたと判断された場合(S13:YES)、安全弁39が開弁され(S14)、S6に戻って、コンロ側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S8:NO)、その起電力が異常電圧か否かが判断される(S9)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S9:YES)、強火力バーナ6の異常、第2熱電対32の異常、第2熱電対入力回路52の異常等が考えられる。この状態では、強火力バーナ6の燃焼状態を正確に検知できない。この場合、強火力バーナ6に対応する安全弁39が閉弁され(S15)、強火力バーナ6が消火される。そして点火ボタン16の操作に連動することなく、安全弁39を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S9:NO)、第2熱電対32からの熱起電力は正常であるので、奧バーナ7に設けられた第3熱電対33のチェックに移行される。
次に、t3タイミングで、第3熱電対33から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S10)。つまり、第3熱電対入力回路53によって増幅され、アナログCH3に入力された入力電圧が、マイコン制御回路50のフラッシュメモリ(図示外)に記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、奧バーナ7に対応するコックスイッチ17aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、入力電圧が失火電圧と判断された場合(S10:YES)、安全上、奧バーナ7に対応する安全弁40が閉弁される(S12)。これにより奧バーナ7にガスを供給する第3ガス供給管が遮断されるので、立ち消えによるガス漏れを防止できる。
次いで、点火ボタン17が再押下され、コックスイッチ17aが再度オンされたか否かが判断される(S13)。再度オンされない間は(S13:NO)、S13に戻って、点火ボタン17の押下が監視される。そして点火ボタン17が再押下されたと判断された場合(S13:YES)、安全弁40が開弁され(S14)、S6に戻って、コンロ側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S10:NO)、その起電力が異常電圧か否かが判断される(S11)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S11:YES)、奧バーナ7の異常、第3熱電対33の異常、第3熱電対入力回路53の異常等が考えられる。この状態では、奧バーナ7の燃焼状態を正確に検知できない。この場合、奧バーナ7に対応する安全弁40が閉弁され(S15)、奧バーナ7が消火される。そして点火ボタン17の操作に連動することなく、安全弁40を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S11:NO)、第3熱電対33からの熱起電力は正常であるので、コンロ側TCチェック処理の処理が終了する。続いて、図5のフローチャートに戻り、t4タイミングで、FET回路64〜67の異常をチェックするためのゼロチェック処理が実行される(S3)。
次に、ゼロチェック処理について、図7を参照して説明する。ゼロチェック処理は、FET回路64〜67がオフにされた状態で、マイコン制御回路50のアナログCHへの入力電圧がほぼ0になっていることを確認するための処理である。そこでt4タイミングでも、切替CH1〜4から出力される切替パルスは全てL信号とされ、FET回路64〜67は全てオフされる。FET回路64〜67がオフされた状態で、アナログCH4に異常電圧が入力されたか否かが判断される(S16)。つまり、FET回路64〜67の何れかから異常電圧が出力され、第4熱電対入力回路54を介して、マイコン制御回路50のアナログCH4に入力された否かが判断される。
ここで、第4熱電対入力回路54にはオペアンプ(増幅素子)が用いられている。そのため第4熱電対入力回路54には、FET回路64〜67から入力が無い状態でも、若干の電圧(オフセット電圧)を出力してしまう特性がある。そこでゼロチェック時の電圧設定をオフセット電圧とし、S16の処理では、アナログCH4への入力電圧がオフセット電圧以下になっているか否かが判断される。
そして、アナログCH4への入力電圧がオフセット電圧を上回っていると判断された場合(S16:YES)、FET回路64〜67の何れかが故障してオンされている可能性がある。FET回路64〜67が故障してしまうと、グリル庫内に設置された熱電対34〜37からの出力を正常に検出できなくなる。従ってグリルバーナA〜Dに対応する安全弁41が閉弁され(S17)、グリルバーナA〜Dが消火される。そして点火ボタン18の操作に連動することなく、安全弁41を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S16:NO)、FET回路64〜67は正常であるので、t4タイミングでのゼロチェック処理が終了する。続いて、図5のフローチャートに戻り、t5タイミングで、グリル側TCチェック処理が実行される(S4)。
次に、グリル側TCチェック処理について、図8乃至図11を参照して説明する。グリル側TCチェック処理では、FET回路64〜67のオンオフを順次切り替えながら、第4熱電対34〜第7熱電対37のチェックを行う。まず、t5タイミングで、2(msec)の休止期間が設定される。この休止期間では、t6タイミングに先だって切替パルスの出力変更を行う。つまり、切替CH1からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH2〜4からL信号の切替パルスが出力される。これにより切替パルスの波形が安定してからt6タイミングに移行するため、FET回路64〜67のオンオフを確実に行うことができる。
次いで、t6タイミングにて、第4熱電対34のチェックが行われる。図8に示すように、切替CH1に対応するFET回路64のみが確実にオンされる(S18)。そして第4熱電対34からから出力された熱起電力が、第4熱電対入力回路54によって増幅され、マイコン制御回路50のアナログCH4に入力される。ここで、第4熱電対34から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S19)。つまり、アナログCH4の入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、グリルバーナA,B,C,Dに対応するコックスイッチ18aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、第4熱電対34から出力された熱起電力が失火電圧と判断された場合(S19:YES)、グリルバーナA,B,C,Dに対応する安全弁41が閉弁され(S22)、4つのグリルバーナが消火される。これによりグリルバーナAにおける立ち消えを防止することができる。
次いで、点火ボタン18が再押下され、コックスイッチ18aが再度オンされたか否かが判断される(S23)。再度オンされない間は(S23:NO)、S23に戻って、点火ボタン18の押下が監視される。そして点火ボタン18が再押下されたと判断された場合(S23:YES)、安全弁41が開弁され(S24)、S18に戻って、グリル側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S19:NO)、その熱起電力が異常電圧か否かが判断される(S20)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S20:YES)、グリルバーナAの異常、第4熱電対34の異常、第4熱電対入力回路54の異常等が考えられる。この状態では、グリルバーナAの燃焼状態を正確に検知できない。この場合、グリルバーナA〜Dに対応する安全弁41が閉弁され(S25)、グリルバーナA〜Dが消火される。そして点火ボタン18の操作に連動することなく、安全弁41を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S20:NO)、第4熱電対34からの熱起電力は正常である。そこで、第4熱電対34のチェックを終了させ、第5熱電対35のチェックを実行するために、t7タイミングで、t8タイミングに先立って切替パルスの変更が行われる。つまり、切替CH2からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH1,3,4からL信号の切替パルスが出力される。これによりオンされていたFET回路64がオフされる(S21)。
次いで、t8タイミングにて、第5熱電対35のチェックが行われる。図9に示すように、切替CH2に対応するFET回路65のみが確実にオンされる(S27)。そして第5熱電対35から出力された熱起電力が、第4熱電対入力回路54によって増幅され、マイコン制御回路50のアナログCH4に入力される。ここで、第5熱電対35から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S28)。つまり、アナログCH4の入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、グリルバーナA,B,C,Dに対応するコックスイッチ18aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、第5熱電対35から出力された熱起電力が失火電圧と判断された場合(S28:YES)、グリルバーナA,B,C,Dに対応する安全弁41が閉弁され(S31)、4つのグリルバーナが消火される。これによりグリルバーナBにおける立ち消えを防止することができる。
次いで、点火ボタン18が再押下され、コックスイッチ18aが再度オンされたか否かが判断される(S32)。再度オンされない間は(S32:NO)、S32に戻って、点火ボタン18の押下が監視される。そして点火ボタン18が再押下されたと判断された場合(S32:YES)、安全弁41が開弁され(S33)、S18に戻って、グリル側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S28:NO)、その熱起電力が異常電圧か否かが判断される(S29)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S29:YES)、グリルバーナBの異常、第5熱電対35の異常、第4熱電対入力回路54の異常等が考えられる。この状態では、グリルバーナBの燃焼状態を正確に検知できない。この場合、グリルバーナA〜Dに対応する安全弁41が閉弁され(S34)、グリルバーナA〜Dが消火される。そして点火ボタン18の操作に連動することなく、安全弁41を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S29:NO)、第5熱電対35からの熱起電力は正常である。そこで、第5熱電対35のチェックを終了させ、第6熱電対36のチェックを実行するために、t9タイミングで、t10タイミングに先立って切替パルスの変更が行われる。つまり、切替CH3からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH1,2,4からL信号の切替パルスが出力される。これによりオンされていたFET回路65がオフされる(S30)。
次いで、t10タイミングにて、第6熱電対36のチェックが行われる。図10に示すように、切替CH3に対応するFET回路66のみが確実にオンされる(S36)。そして第6熱電対36から出力された熱起電力が、第4熱電対入力回路54によって増幅され、マイコン制御回路50のアナログCH4に入力される。ここで、第6熱電対36から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S37)。つまり、アナログCH4の入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、グリルバーナA,B,C,Dに対応するコックスイッチ18aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、第6熱電対36から出力された熱起電力が失火電圧と判断された場合(S37:YES)、グリルバーナA,B,C,Dに対応する安全弁41が閉弁され(S40)、4つのグリルバーナが消火される。これによりグリルバーナCにおける立ち消えを防止することができる。
次いで、点火ボタン18が再押下され、コックスイッチ18aが再度オンされたか否かが判断される(S41)。再度オンされない間は(S41:NO)、S41に戻って、点火ボタン18の押下が監視される。そして点火ボタン18が再押下されたと判断された場合(S41:YES)、安全弁41が開弁され(S42)、S18に戻って、グリル側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S37:NO)、その熱起電力が異常電圧か否かが判断される(S38)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S38:YES)、グリルバーナCの異常、第6熱電対36の異常、第4熱電対入力回路54の異常等が考えられる。この状態では、グリルバーナCの燃焼状態を正確に検知できない。この場合、グリルバーナA〜Dに対応する安全弁41が閉弁され(S43)、グリルバーナA〜Dが消火される。そして点火ボタン18の操作に連動することなく、安全弁41を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S38:NO)、第6熱電対36からの熱起電力は正常である。そこで、第6熱電対36のチェックを終了させ、第7熱電対37のチェックを実行するために、t11タイミングで、t12タイミングに先立って切替パルスの変更が行われる。つまり、切替CH4からH信号の切替パルスが出力され、他の切替CH1〜3からL信号の切替パルスが出力される。これによりオンされていたFET回路66がオフされる(S39)。
次いで、t12タイミングにて、第7熱電対37のチェックが行われる。図11に示すように、切替CH4に対応するFET回路67のみが確実にオンされる(S45)。そして第7熱電対37から出力された熱起電力が、第4熱電対入力回路54によって増幅され、マイコン制御回路50のアナログCH4に入力される。ここで、第7熱電対37から出力された熱起電力が、失火電圧か否かが判断される(S46)。つまり、アナログCH4の入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された所定レベルを下回っているか否かが判断される。なお、グリルバーナA,B,C,Dに対応するコックスイッチ18aがオンされていない場合は、入力電圧が所定レベルを下回っていても失火電圧とは判断しない。
そして、第7熱電対37から出力された熱起電力が失火電圧と判断された場合(S46:YES)、グリルバーナA,B,C,Dに対応する安全弁41が閉弁され(S49)、4つのグリルバーナが消火される。これによりグリルバーナDにおける立ち消えを防止することができる。
次いで、点火ボタン18が再押下され、コックスイッチ18aが再度オンされたか否かが判断される(S50)。再度オンされない間は(S50:NO)、S50に戻って、点火ボタン18の押下が監視される。そして点火ボタン18が再押下されたと判断された場合(S50:YES)、安全弁41が開弁され(S51)、S18に戻って、グリル側TCチェック処理が最初から実行される。
ところで、入力電圧が失火電圧と判断されなかった場合(S46:NO)、その熱起電力が異常電圧か否かが判断される(S47)。ここでは、入力電圧が、フラッシュメモリに記憶された許容範囲の上限値を超えたか否かが判断される。許容範囲の上限値を超えた場合(S47:YES)、グリルバーナDの異常、第7熱電対37の異常、第4熱電対入力回路54の異常等が考えられる。この状態では、グリルバーナDの燃焼状態を正確に検知できない。この場合、グリルバーナA〜Dに対応する安全弁41が閉弁され(S52)、グリルバーナA〜Dが消火される。そして点火ボタン18の操作に連動することなく、安全弁41を閉じたままで処理が終了する。つまり、再点火不可とすることによって、燃焼トラブル等が新たに誘発されるのを防止できる。
一方、入力電圧が異常電圧と判断されなかった場合(S47:NO)、第7熱電対37からの熱起電力は正常である。そこで、第7熱電対37のチェックを終了させ、次のコンロ側TCチェック処理に移行するために、t0タイミングに戻って、切替CH4から出力される切替パルスがL信号とされ、オンされていたFET回路64〜67がオフされる(S48)。次いで、第7熱電対37のチェックが終了し、図5のフローチャートに戻って、点火ボタン15〜18が再度押下され、コックスイッチ15a〜18aの全てがオフされたか否かが判断される(S5)。コックスイッチ15a〜18aの何れかがオンされ、加熱調理中の場合は(S5:NO)、S2に戻って、上記処理を繰り返す。一方、コックスイッチ15a〜18aの全てがオフされたと判断された場合(S5:YES)、処理が終了する。
以上の説明において、図1に示すビルトインコンロ1が本発明の「ガス加熱調理器」であって、図3に示すFET回路64〜67が本発明の「スイッチング回路」に相当し、第4熱電対入力回路54が本発明の「入力回路」に相当し、マイコン制御回路50が本発明の「制御回路」に相当し、図4に示すアナログCH1〜4が本発明の「入力端子」に相当する。さらに、図7のフローチャートのS16の処理を実行するマイコン制御回路50のCPUが本発明の「確認手段」に相当し、S17の処理を実行するマイコン制御回路50のCPUが本発明の「閉弁指示手段」に相当する。
以上説明したように、本実施形態のビルトインコンロ1では、グリル庫内に設けられた第4熱電対34〜第7熱電対37が、FET回路64〜67に各々接続されている。FET回路64〜67のスイッチタイミングは、マイコン制御回路50によって制御される。よって、第4熱電対34〜第7熱電対37から出力される4つの熱起電力を1つずつ順に読み込みと共に、第4熱電対入力回路54で増幅して、マイコン制御回路50のアナログCH4に順次入力できる。即ち、複数の熱電対から出力される複数の熱起電力を、マイコン制御回路50の1つのアナログCH4に入力できるので、他のアナログCHを他のアナログ入力に使用できる。また4つの熱起電力を1つずつ順に読み込むことができるので、第4熱電対入力回路54のみで対応できる。これにより電装基板70上の回路構成を簡単にできる。さらに熱電対の数に対して、熱電対入力回路の数を少なくできるので、コストを削減できる。
また、FET回路64〜67を全てオフした状態で、各熱電対からの熱起電力をチェックするゼロチェック処理を行う。FET回路64〜67を全てオフした状態で熱電対から異常電圧が検出された場合、FET回路64〜67の故障が考えられるので、安全弁を閉弁して強制終了する。これにより安全なビルトインコンロ1を提供することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、標準バーナ5、強火力バーナ6および奧バーナ7に設置された第1熱電対31〜第3熱電対33のアナログ入力を、FET回路を用いて時分割制御してもよい。また、全ての熱電対のアナログ入力を、FET回路を用いて時分割制御してもよい。
また、グリル庫内のグリルバーナの数については、上記実施形態に限定されない。