JP2009085607A - 生体分子検出素子及び生体分子検出素子の製造方法 - Google Patents

生体分子検出素子及び生体分子検出素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光検出感度を向上させる。
【解決手段】基板表面に2個以上の金属微粒子(半径r)104を軸対称に隣接して固定し、基板表面に固定したプローブ分子106がその金属微粒子群の重心点から距離R ≦6rの位置にあるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体分子をセンシングするための検出素子及びその製造方法並びに生体分子検出方法に関するものである。
近年、ヒトゲノムDNAの解読がほぼ終了したことにより、遺伝子の機能を解明する研究が盛んに行われている。そこでは、生体内の遺伝子やタンパク質を特異的かつ網羅的に検出することが必要であり、遺伝子・タンパク質検出技術の開発が世界的に進められている。一方で、生体内に進入した病原菌やウイルスを、遺伝子やタンパク質レベルで特定する技術も従来から検討されており、実用化されつつある。このような目的に応じて、特定の遺伝子やタンパク質等の生体分子を検出するための手段として、種々のバイオセンサが用いられている。最も一般的なバイオセンサの構造は、生体分子を捕捉するプローブ分子が固体表面上に固定されたものである。核酸を捕捉する場合には、プローブ分子として主に核酸が用いられ、タンパク質を捕捉する場合には、プローブ分子として主にタンパク質が用いられる。基板にプローブ分子を固定したバイオセンサのメリットは、同一の基板に、多種類のプローブ分子をスポッティングやインクジェットなどの方式を用いて固定できることである。このバイオセンサ基板を用いれば、多種類の生体分子に対する網羅的な解析を一度に迅速に行うことができる。そして基板表面を利用したバイオセンサの代表例が、DNAマイクロアレイやプロテインチップのような生体分子検出素子である。DNAマイクロアレイに代表される生体分子検出素子は、将来は癌等の病気の診断を含む医療診断に使われると予想されている。医療診断にDNAマイクロアレイを用いる場合には、マイクロアレイから得られるデータに対して高い信頼性が要求される。また、検体中の微量な生体分子を検出するため、高感度に検出することも要求される。そこで、様々な検出方法の中で、比較的高感度な生体分子に蛍光色素を付加する蛍光法が主に用いられている。
一方、最近、DNAマイクロアレイで行われているような遺伝子発現解析の精度の大幅向上を狙って、特許文献1ないし非特許文献1に示されているように、単一分子ベースのシーケンシング(SBS(Sequencing by Synthesis)法等)による遺伝子配列決定方法が開発されている。この方法は、基板表面に適当なプライマーで修飾された検体のポリヌクレオチドを固定し、これを鋳型としてポリメラーゼによる一塩基ずつの伸長反応を実行し、検体ポリヌクレオチドの相補鎖を形成させるものである。この一塩基伸長の個々のステップで、異なる4種のヌクレオチドのそれぞれのプリン又はピリミジン部、あるいは3リン酸のリン酸基の末端部にユニークな蛍光色素を導入しておき、伸長ステップ毎に単一分子蛍光検出を行うことで、導入されたヌクレオチドを識別する。このステップを繰り返し、単一ポリヌクレオチド固定サイトごとのシーケンスを読み取って、検体の配列情報を網羅的に取得する。ここでは、高いS/N比で検出し、シーケンシング時の配列決定の正確性を向上させることが重要となる。
これらのDNAを解析する手段であるマイクロアレイあるいはシーケンシングを用いて少量のサンプルを検出するためには、蛍光検出感度を上げることが必要である。蛍光検出感度を向上させるために蛍光増強を用いる方法が非特許文献2に報告されている。非特許文献2では、プローブ分子であるDNAを修飾した銀ナノ粒子を基板に固定し、蛍光標識された検体中の分子と反応させている。反応量を検出するために蛍光励起光を照射すると、銀ナノ粒子の自由電子が共鳴振動、すなわち局在プラズモン共鳴を起し蛍光が増強する。この現象を用いることで、感度を向上させることができるとしている。
一方で、蛍光分子が金属微粒子近傍に位置する場合の蛍光輻射速度の変化、即ち蛍光分子の量子効率の変化を計算した例が非特許文献3に報告されている。金属微粒子周囲の電位ポテンシャル、金属微粒子の持つ双極子モーメントと金属微粒子の近傍に位置する蛍光分子の双極子モーメント等の関係から、蛍光分子が金属微粒子の近傍にある場合、蛍光輻射速度が増加する可能性があることを示している。また特許文献2には、粒子状あるいは膜状の金属と蛍光分子の間にスペーサを設けることで、金属によって蛍光を消光させることなく増強させる装置が示されている。
非特許文献4は、銀微粒子表面に吸着した分子からのラマン散乱光が1014程度増強すると報告している。銀微粒子表面全てにおいて、強い増強度が見られるのではなく、10%程度の限られたサイトで極めて強い増強度が得られることを見出し、そのサイトをホットサイトと呼んでいる。一方で、非特許文献5は、銀粒子と銀粒子の接合部で非常に強いラマン散乱増強が見られることを報告している。同様に、非特許文献6に、2つの金属微粒子が直線状に並んだ場合及び3つの金属微粒子がトライアングル状に並んだ場合に、金属微粒子間で比較的強い電磁場が生じることが示唆されている。
米国特許第6,787,308号明細書 特表2005-524084号 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.100(7),pp3960,2003 Biochem. Biophys. Res. Comm. 306, p.213 (2003) J. Chem. Phys. 75 (3), p.1139 (1981). Science 275, p. 1102 (1997). Phys. Rev. Lett. 83, p. 4357 (1999). Surface Science 158, p. 165 (1985).
DNAマイクロアレイを用いて検出を行う際には、通常、検出工程の前工程で、抽出したDNAを増幅させる。これは、アレイの検出限界を上回るDNA量を得るためである。PCR(Polymerase Chain Reaction)等の増幅工程では、抽出したDNA配列の全てが増幅されるのではなく、特定のDNAが増幅される。従って、増幅されなかったDNA断片は検出されないという問題点がある。また、この増幅プロセスによって、検査プロセスが煩雑になるだけでなく、増幅時のバラツキから検査結果の定量的解釈が困難になるという問題点もある。医療診断あるいは病理解析を行うためには、検体から抽出したDNAをもれなく定量的に検出することが重要になる。したがって、この増幅工程を省いて検出を行うべく、DNAマイクロアレイの感度を大幅に向上させる必要がある。非特許文献2に開示された銀アイランド蛍光増強を用いたDNA検出方法では、銀アイランド上にプローブ分子となるDNAを複数本固定したアレイを用いている。捕捉すべきFluorescein 付きDNAとプローブ分子が反応し結合した場合、12倍の蛍光増強が得られると報告している。しかし、増幅せずにDNA検出を行うためには、更なる蛍光増強、例えば二桁以上の増強が必要である。そこで、強い蛍光増強場を形成する必要がある。前述の特許文献2には、高い蛍光強度を得るための金属配置及び密度、あるいは金属と蛍光分子間の距離に関する具体的な記載は見られない。
一方で、単一分子DNAシーケンシング時には、DNAに一塩基(A,T,C,G)を伸長させる際に、一塩基に付加させた蛍光分子からの蛍光を例えばCCDカメラの一画素で測定することによってシーケンシングを行う。この場合、伸長ステップ毎に単一分子レベルでの蛍光計測が必要である。蛍光検出の検出スループット向上及びS/N比向上のためには、蛍光分子からの蛍光強度を大幅に増大させる必要がある。単一分子蛍光の強度を増大させることができれば、蛍光の露光時間を短縮でき、したがって、検出時間を短縮することができる。また、検出部分のみに蛍光増強場を形成し、シグナル成分のみを増強することも必要である。すなわち、非特異的に吸着した蛍光分子からの蛍光強度といったノイズ成分を増強することなく、S/N比を向上させることが必要である。
以上の理由により、検出スループット向上及びS/N比向上の点から、検出部分に、局所的に高い蛍光増強場を形成することが本発明の課題である。また、使用するそれぞれの蛍光色素の励起波長に適した蛍光増強場を設計することも本発明の課題である。
本発明では、基板の表面に金属微粒子とプローブ分子とを規則的に複数配列し、それぞれが複数の金属微粒子とプローブ分子とを含む検出スポットを複数設け、各検出スポット内では複数の金属微粒子を近接させて配置することで、局所的に高い蛍光増強効果が得られる生体分子検出素子を実現する。検出スポット内に含まれる複数の金属微粒子は基板表面に回転対称に固定するのが好ましい。ここで、回転対称とは、金属微粒子群の質量中心を通りかつ基板表面に垂直な軸に対して、各金属微粒子が同一円周上に基板表面に並んでいることを意味する。隣接した金属微粒子同士は接触していても、あるいは一定の隙間を持っていても良い。金属微粒子の半径をrとし隣接する金属微粒子の中心間の距離をdとすると、例えば金属微粒子同士が接触した場合d=2rである。dの範囲を2r以上4r以下(2r≦d≦4r)にすることで、金属微粒子間に強い蛍光増強場を形成する。
更に、基板に固定されたプローブ分子に修飾した蛍光分子を、軸対称に固定された金属微粒子群の重心点から6rの距離(R≦6r)に存在させることで高い蛍光増強を得る。したがって、プローブ分子は重心点から6rの距離に存在させる。この時、プローブ分子全体が金属微粒子群の重心点から6rの距離に含まれるようにする。更にこのプローブ分子を、前述の蛍光増強場を形成する金属微粒子群の粒子径と異なる径の金属微粒子に固定することによって、プローブ分子に修飾した蛍光分子を効果的に蛍光増強場内に載置する、すなわち蛍光分子の金属微粒子群の重心点からの距離Rを、R≦6r以内に容易に制御することができる。
金属微粒子の材料としては、貴金属、貴金属の合金、あるいは貴金属の積層体が良い。蛍光励起光と金属微粒子のプラズモン共鳴による近接場の効果を活用して蛍光強度を増強する。隣接する金属微粒子間の距離を変化させると、局在プラズモン共鳴の波長が長波長側にシフトする(Optics Communications 220, p. 137 (2003))。金属微粒子群の配置及び大きさを適正化することによって、検出に用いる蛍光色素の励起波長と局在プラズモン共鳴波長を一致させ、強い蛍光増強を得る。
本発明によれば、生体分子検出用の蛍光分子を、金属微粒子群により形成した強い蛍光増強場にさらすことによって、極めて高い蛍光強度を得ることができる。本発明をマイクロアレイ等のバイオチップに用いた場合には、蛍光増強効果によってアレイの感度を大幅に向上させることができる。したがって、検体サンプルからDNAを抽出した後に、抽出したDNAを増幅することなしにそのまま測定することを可能にする。検出バラツキを発生させる増幅工程を省くことで、検出の定量性向上に寄与する。
次に、本発明を単一分子DNAシーケンサに用いた場合、局所的な蛍光増強場を活用して検出部分のみの蛍光増強を達成できる。したがって、単一蛍光分子からの蛍光を高S/N比で安定に検出することが可能となる。また、蛍光増強が得られるため露光時間を大幅に短縮でき、検出スループットを向上させることができる。
更に、蛍光色素の励起波長と、局在プラズモン共鳴波長を一致させて強い蛍光増強場を得ることにより、様々な蛍光色素に対して感度向上を図ることができる。
以上から、検出感度向上、検出データの定量性向上、検出スループット向上の三つの効果が同時に得られる生体分子検出素子を提供できる。
図1に、本発明による生体分子検出素子の表面構造の一例を示す。まず担体基板101の表面にリンカーのパターン102が形成されている。この時、このパターンは、図1に示すように、基板に垂直な軸108に対して軸対称に設置した蛍光増強用の金属微粒子104を固定するためのドットパターン102と、プローブ分子固定用の金属微粒子105を固定するためのドットパターン103から成る。ここでリンカーとは、担体基板表面側が共有結合により固定され、基板と反対側にはアミノ基やチオール基のような金属と強い相互作用をする官能基を持つ分子、あるいは基板と金属微粒子の密着性を上げるための金属薄膜である。このリンカーと金属微粒子を結合することにより、一つの金属微粒子固定ドットの上に一つの金属微粒子を固定する。軸108に対称に配列された金属微粒子104の群は蛍光増強場形成用であり、中央の金属微粒子105はプローブ分子固定用の粒子である。この金属微粒子105の表面には、プローブ分子106を固定する。
担体基板表面上の金属微粒子が固定された領域即ち金属微粒子固定ドットパターン以外の領域には、種々の生体分子の非特異的な吸着を防止するための吸着阻害分子を固定し、吸着阻害層107を形成する。さらに、プローブ分子固定用金属微粒子105の表面のうち、プローブ分子が結合していない領域には、第二の吸着阻害分子を固定し、金属微粒子表面への種々の生体分子の非特異的な吸着も防止する。なお金属微粒子表面の吸着阻害層は図1では省略してある。検出用の蛍光分子は、プローブ分子106に修飾される。
次に、本発明の生体分子検出素子を製造するプロセス概念の一例を、図2を用いて説明する。ここでは、ポジ型電子線レジストを用いた電子線直接描画によるパターン形成を利用したプロセスを取り上げる。製造プロセスは下記の10工程からなる。
(1) 基板表面へのポジ型電子線レジストの塗布
(2) 電子線描画及び現像による開口形成
(3) リンカー分子層の形成I(金属微粒子固定ドット:リンカー分子A)
(4) 蛍光増強用金属微粒子の固定
(5) プローブ分子固定用金属微粒子の固定
(6) レジスト剥離
(7) リンカー分子層の形成II
(8) 吸着阻害分子の形成I(吸着阻害分子C)
(9) プローブ分子の固定
(10) 表面吸着阻害分子の形成II(金属微粒子表面:吸着阻害分子D)
各工程について以下に説明する。
(1) 基板表面へのポジ型電子線レジストの塗布:図2(a)
先ず担体基板201を洗浄する。具体的には例えば、基板201をNaOH水溶液等のアルカリ性水溶液で洗浄した後、HCl水溶液等の酸性水溶液で洗浄し、純水ですすいだ後に乾燥する。あるいは、硫酸と過酸化水素を約4:1で混合した溶液で有機物汚染を洗浄する。基板としては、ガラス基板(スライドガラス)、石英基板、プラスチック基板等を用いることができる。また、金属コーティング基板等でもよい。基板の材質は、表面にシラノール基を有するものが好ましい。
次いで、基板にポジ型電子線レジスト202をスピンコートし、所定の温度で乾燥ベークする。本発明では、レジスト膜厚は塗膜の均一性が確保できることを前提としてできるだけ薄いことが望ましいが、スループロセス検討結果から少なくとも100nm以下が望ましく、さらに好ましくは60nm以下が好適である。
なお、図2のプロセスでは酸化膜付きSiウェハのような導電性基板の上で電子線描画を実施する場合を想定しているが、酸化膜が例えば10nm以上と厚い場合や、石英、ガラスのような絶縁性基板の上で電子線描画を施す場合には、基板のチャージアップを防ぐために電子線レジストの表面にさらに水溶性導電性樹脂の極薄膜を形成する。この導電性樹脂薄膜もスピンコートで容易に形成でき、レジストの電子線感度にはほとんど影響を与えない。また描画後、水洗によって容易に溶解除去され、次のレジスト現像工程には一切影響を与えない。
ここでは、ポジ型電子線レジストを用いているが、描画パターンによってはネガ型レジストを用いても良い。
(2) 電子線描画及び現像による開口形成:図2(b)
電子線描画は、目的の解像度を満たす電子線描画装置によって実行する。ここでは、実効解像度(最小加工寸法)10nmの電界放射型電子線描画装置を用い、ドットパターンを描画する。基本パターンは円形であり、サイズは最小20nmφから100nmφ程度が主要な値である。電子線走査フィールドは、75μm〜2400μm角の範囲であり、必要に応じて走査フィールドを繋ぎ合わせ、照射面積を確保する。走査フィールド内ではx方向、y方向それぞれ数万ステップ程度に分割され、各ステップにてスポット径約2〜3 nmの EB (electron beam)がパルス照射される。レーザー干渉計を用いた高精度アライメント機構を用い、走査フィールド繋ぎ精度は3σで50nm以下(走査フィールド600μmの場合)程度を確保する。電子線描画パターンはCADデータとして設計し、コンピュータ制御により描画を実行する。描画パターンはナノ孔加工であり、スループットの観点からポジ型レジストが向いている。ポジ型電子線レジスト塗布基板を電子線描画した後、所定の有機溶剤系現像液に浸漬して、照射部のレジストを除去し、さらにリンス液で洗浄して蛍光増強用金属微粒子を固定するための開口パターン203及びプローブ分子固定用金属微粒子を固定するための開口パターン204を得る。φ20nmからφ100nmの開口パターンは光学顕微鏡では観察できないので、電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡(AFM)を用いてパターン解像検査を行う。
ここで、例えば蛍光増強用金属微粒子を固定するための開口部203の孔径は、プローブ分子固定用の金属微粒子を固定するための開口部204の孔径よりも大きくする。これは、蛍光増強用とプローブ分子固定用の金属微粒子を別々に固定させるためである。即ち、初めに径の比較的大きな蛍光増強用金属微粒子を開口部203に入れ、次いで、径の比較的小さなプローブ分子固定用の金属微粒子を開口部204に入れるためである。
また、発明の効果に記載したように、強い蛍光増強を得るためには、蛍光増強用の金属微粒子の半径をrとし、隣接する金属微粒子の中心間の距離をdとすると、dを2r≦d≦4rの範囲にする必要がある。したがって、隣接する蛍光増強用金属微粒子を固定するための開口部203間の距離d’を2r≦d’≦4rとする。
(3) リンカー分子層の形成I(金属微粒子固定ドット):図2(c)
電子線レジスト開口パターンを形成した基板を、リンカー分子Aの溶液に浸漬し、開口パターン底の酸化膜(SiO2)表面に反応させる。リンカー分子Aとしては、金属微粒子と結合する活性基を持つシランカップリング剤などを使用する。シランカップリング剤としては、例えば、基板表面にアミノ基を固定する場合には、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimthoxysilane)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3-aminopropyltriethoxysilane)、N-(2-aminoethyl)-3-aminopropyltrimethoxysilane)、(aminoethyl-aminomethyl) phenethyltrimethoxysilane等を用いることができる。一方、基板表面にチオール基を固定する場合には、3-mercaptopropyltrimethoxysilane等を用いることができる。溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、トルエン、ベンゼン、水等を用いることができる。反応温度は、通常、20℃〜85℃の範囲である。ここで、リンカー分子Aは、開口部の酸化膜表面とはシラノール基と共有結合で固定されるが、レジスト表面部では表面に結合基が存在しないため物理吸着しているだけである。リンカー分子Aのアミノ基又はチオール基が基板と反対側に露出し、それによって次工程の金属微粒子と結合する。
ここでは、工程(1)(2)で電子線レジスト開口パターンを形成させた後に、工程(3)でリンカー分子層を形成させたが、基板を洗浄した後に基板全面に工程(3)でリンカー分子を結合させ、その後(1)(2)の工程を経て電子線レジスト開口パターンを形成させても良い。
あるいは、上記のように、リンカー分子として有機系材料を用いることなく、無機系材料を用いても良い。例えば、電子線レジスト開口パターンを形成した基板に、TiやCrといった薄膜をスパッタリング蒸着によって成膜させても良い。
(4) 蛍光増強用金属微粒子の固定:図2(d)
基板表面の活性基と金属微粒子の相互作用により、基板表面に金属微粒子を固定する。図2(d)は、金属微粒子205が固定された担体表面の様子を示す。金属微粒子材料としては、貴金属類である金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのいずれか、あるいはそれらの合金を用いることができる。あるいは、これらの貴金属類で作られた微粒子上に他の貴金属がコーティングされたもの、例えば金微粒子上に銀がコーティングされた金属微粒子を用いてもよい。金属微粒子径は、金属微粒子の基板への固定安定性という観点から10nm以上が望ましい。一方、蛍光を増強させるという観点から、金属微粒子径は蛍光増強効果が得られる10nm以上1mm以下を用いるのが良い。
蛍光増強用の金属微粒子は、蛍光増強場の形成のみに使用する。したがって、その表面へのプローブ分子等の反応を阻止する必要がある。そこで、蛍光増強用の金属微粒子の表面に、反応阻止層206を設ける。一方で、この蛍光増強用の金属微粒子を「(3) リンカー分子層の形成I」で示したリンカー分子を介して固定させる必要があるため、リンカー分子との結合サイトを持たなければならない。そこで、例えば反応阻止層を形成するための分子として、分子の末端に金属微粒子と反応するチオール基を有し、もう一方の末端に、例えばアミノ基と結合するNHSエステルあるいはカルボキシル基、イソチオシアナート基、エポキシ基、アルデヒド基等を有する分子を用いる。
金属微粒子の濃度は、通常、30wt%以下であり、反応温度は、通常、20℃〜85℃の範囲である。また反応時間は、0.5時間から50時間の間である。金属微粒子の反応時間は、レジストパターンの無い、リンカー分子だけの単純表面における反応時間を参考に決める。この時、レジスト開口部203の底面に金属微粒子205を到達させ、表面活性基と金属微粒子を反応させて固定するのに充分な時間で反応させる。
ここで、プローブ分子固定用の金属微粒子を固定するためのレジスト開口部204の孔径は蛍光増強用の金属微粒子205の直径よりも小さく、この工程では、開口部204に金属微粒子は入らない。
(5) プローブ分子固定用金属微粒子の固定:図2(e)
工程(4)と同様に、基板表面の活性基と金属微粒子の相互作用により、基板表面にプローブ分子固定用金属微粒子を固定する。図2(e)は、プローブ分子固定用の金属微粒子207が固定化された担体表面の様子を示す。金属微粒子207の材料としては、貴金属類である金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのいずれか、あるいはそれらの合金を用いることができる。あるいは、これらの貴金属類で作られた微粒子上に他の貴金属がコーティングされたもの、例えば金微粒子上に銀がコーティングされた金属微粒子を用いてもよい。金属微粒子径は、金属微粒子の基板への固定安定性という観点から10nm以上が望ましい。一方で、蛍光増強用の金属微粒子よりも小さい方が望ましい。
金属微粒子の固定反応溶媒として、水、あるいはエタノール、トルエンを用いることができる。溶液中での金属微粒子の凝集を防ぐために、保護剤を用いる。保護剤として、クエン酸、メルカプトコハク酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、テトラメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン、1−デカンチオール、1−オクタンチオール、デシルアミン、ホスフィン(bis(p-sulfonatophenyl)phenylphosphine)等を用いることができる。
金属微粒子の濃度は、通常、30wt%以下であり、反応温度は、通常、20℃−85℃の範囲である。また反応時間は、0.5時間から50時間の間である。
ここで、金属微粒子が、各サイトに複数個入らずに一個ずつ固定され、かつ開口パターン部への金属微粒子の固定充填率を高く保つために、金属微粒子径と電子線レジスト開口部の径の関係は以下の条件を満たすのが良い。すなわち、金属微粒子径/電子線レジスト開口部径の比をγとすると0.5≦γ≦1を満たすのが良い。γが0.5より小さい場合、電子線レジスト開口径に比べて金属微粒子径が充分小さいため、各サイトに金属微粒子が複数個入ってしまう。一方、γが1より大きい場合、電子線レジスト開口孔底部に金属微粒子が拡散できず、充填率が著しく低くなる。
ここで(4)(5)の工程では、溶液中に分散した金属微粒子を基板上に固定する方法を示したが、例えば、貴金属類である金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムのいずれか、あるいはそれらの合金をスパッタリング蒸着によって成膜させても良い。
(6) レジスト剥離:図2(f)
専用レジスト剥離液に工程(5)が終了した基板を浸漬し、レジストを溶解除去する。この際、レジスト上に吸着している金属微粒子及びリンカー分子Aがリフトオフにより除去され、基板表面に共有結合したリンカー分子Aからなる微粒子固定ドットとその上に固定された金属微粒子だけが残る。この段階で重要なことは、金属微粒子が、各サイトに一個ずつ固定されていることと、ドットパターンへの金属微粒子固定充填率が高いこと、ドット外のエリアには金属微粒子の残留付着が無いことである。
ここでは、工程(4)(5)の金属微粒子の固定後に工程(6)のレジスト剥離を行っているが、工程(6)のレジスト剥離を行った後に、工程(5)でプローブ分子固定用の金属微粒子を固定しても良い。すなわち、レジストを剥離し、リンカー分子層のパターン表面と、金属微粒子溶液を反応させて金属微粒子を固定してもよい。
(7) リンカー分子層の形成II(微粒子固定ドット外表面):図2(g)
基板表面のうち、金属微粒子が固定されていない表面に、後のプロセスで生体分子や試薬が非特異的に吸着する可能性が高い。これらの非特異吸着は、デバイスとして用いた場合のノイズとなるため、徹底的に防止する必要がある。このため金属微粒子固定ドットパターン以外のエリアに吸着阻害分子を固定し、対策する。図2(g)は、この目的のために、まずリンカー分子Bを形成した様子を示す。ここで、金属微粒子固定ドットに用いた、アミノ基やチオール基を含むシランカップリング剤を用いると、既に表面に固定されている金属微粒子表面に対しても反応するために、最終的な金属微粒子表面へのプローブ固定の障害にもなりかねない。そこで、ここでは金属微粒子とは相互作用せず、基板表面とだけ反応するリンカー分子が望ましい。このような物質として、例えばエポキシ基やカルボキシル基を持つシランカップリング剤が有望である。
(8) 吸着阻害分子の形成I(吸着阻害分子C):図2(h)
工程(7)で形成したリンカー分子Bの上に、生体分子の非特異吸着を防止する分子として吸着阻害分子Cを結合させる。リンカー分子Bが、上記エポキシ基を持つシランカップリング剤の場合は、エポキシ基やカルボキシル基と反応するアミノ基や水酸基等を持つ吸着阻害分子が有効であり、具体的には、アミノ基を末端にもつ低分子量のポリエチレングリコール(PEG)や水酸基を持つカルボキシメチルデキストラン(CM-Dextran)などが使える。ただし、リンカー分子Bのみで充分非特異吸着を防止できる場合には、吸着阻害分子Cは必ずしも必要ではない。
(9) プローブ分子の固定工程:図2(i)
この工程では、プローブ分子固定用の金属微粒子上に、この金属微粒子と結合することができる官能基を持つプローブ分子を反応させ、金属微粒子上にプローブ分子を固定する。図2(i)は、プローブ分子をPとして、基板表面の様子を示す。
本基板を用いて生体分子の検出を行う際、プローブ分子と検出すべき分子が反応した時に強い信号を得るため、例えば検出標識となる蛍光分子を蛍光増強場内に位置させること、すなわち蛍光分子と蛍光増強用金属微粒子群の重心点207との距離RをR≦6r以内にすることが必要である。蛍光増強の条件については後述する。したがって、蛍光分子で標識したターゲットを結合させるプローブDNAの長さは図2(i)に示すようにR≦6r以内であることが望ましい。
ここで、金属微粒子として金ナノ粒子を用い、プローブ分子として、チオール基を5’末端に持つプローブDNAを用いた場合について説明する。まず、プローブDNA固定条件を算出することを目的に、金ナノ粒子を均一にランダム分散固定し、上記(6)(7)に示した工程で非特異吸着を防止する吸着阻害分子がコーティングされた基板を用い、この基板に対してチオール末端基付きDNAを反応させる。チオールは金ナノ粒子表面だけに反応して吸着するが、この吸着挙動をSPR法(Surface plasmon resonance:表面プラズモン共鳴)を用いて定量化した。DNA溶液濃度と固定されたプローブ分子数の関係を測定したところ、単純なLangmuir型吸着曲線示すことが判った。この曲線から、金ナノ粒子一個当りに固定されたプローブ分子数とDNA溶液濃度の関係を把握することができる。目標のプローブ分子数を固定できる濃度に調整したDNA溶液に金ナノ粒子を固定した基板を浸漬し、所定温度で所定時間反応させた後、洗浄液で洗浄し、乾燥させた。
プローブDNAを溶解させる溶液としては、リン酸バッファなどの中性付近の水溶液を用いることができる。この溶液にプローブDNAを溶解させる。この時のプローブDNAの濃度は、例えば従来のDNAチップでは通常、0.5μM〜100μMであるが、例えば、金ナノ粒子に単一分子のプローブDNAを固定する場合は、プローブDNAの濃度は数nM以下程度が適している。なおプローブDNAの最適濃度は、固定表面の状態に依存し、具体的には金微粒子のサイズ・固定密度によって変動するため、金属微粒子固定パターンの設計に応じてそれぞれプローブDNA最適濃度を決定する。
担体としてSiウェハやガラス基板を用いた金ナノ粒子固定基板の場合、基板の所望の位置に、プローブDNAを溶解した反応液を所望のサイズにスポッティングできる。この時、基板に多種類のプローブDNAをスポッティングすることが可能であり、こうすると例えばDNAマイクロアレイとして使える。反応温度は、通常、25℃から40℃の範囲である。また、反応時間は、通常、2時間から24時間の範囲である。反応させる時に溶液が乾燥しないよう、充分湿度を保った環境で反応させる。
金とチオール基は結合し易いため、チオール基を末端に持つプローブDNAが金ナノ粒子上のみに固定される。金ナノ粒子が固定されていない領域(金微粒子固定ドット外の領域)は、吸着阻害分子BまたはCで覆われているため、プローブDNAはほとんど吸着しない。以後、吸着阻害分子でコーティングすることをブロッキングと呼ぶ。
ここでは、金属微粒子を基板に固定した後に、金属微粒子が固定された部分以外の基板表面をブロッキングし、その後にプローブ分子を固定したが、金属微粒子にプローブ分子を固定した後に、この金属微粒子を表面に固定し、その後に金属微粒子が固定された部分以外の基板表面をブロッキングしても良い。
(10) 吸着阻害分子の形成工程II(金属微粒子表面):図2(j)
プローブ分子固定用の金属微粒子表面で、プローブDNAが固定されなかった領域は、検体の生体分子を吸着させる可能性がある。よって、このプローブDNA固定部以外の金属微粒子表面をブロッキングする。図2(j)は、吸着阻害分子Dを用いて、金属微粒子表面をブロッキング処理した後の基板表面の様子を示す。
ここで、金属微粒子として金ナノ粒子を用いた場合、金と反応し易く、かつ生体分子を吸着し難いブロッキング剤として、1−メルカプトヘキサノール、2−メルカプトエタノール、ホスフィン(bis(p-sulfonatophenyl)phenylphosphine)等を用いることができる。これらのブロッキング剤を溶解した水溶液と担体表面を反応させ、ブロッキング材料を固定する。
反応温度は、通常、4℃〜35℃の範囲であり、反応時間は、通常、0.5時間〜10時間である。この反応では、水溶液中のブロッキング剤の濃度が高い場合、ブロッキング剤が金ナノ粒子と反応し金ナノ粒子を覆うことで、金属微粒子と担体の間の結合力を弱める。その結果、金属微粒子が担体表面で拡散し金属微粒子が表面で凝集する可能性がある。したがって、ブロッキング剤反応溶液の濃度を100μM以下の範囲とした。
ここでは、金属微粒子にプローブDNAを固定した後に吸着阻害分子Dを固定したが、プローブDNAと吸着阻害分子Dを同時に固定しても良い。すなわち、プローブDNAを溶解させた溶液に吸着阻害分子Dを混合し、その溶液と金属微粒子を反応させても良い。
ここで、金ナノ粒子グリッドアレイ基板において、金ナノ粒子上に固定したプローブ分子がプローブDNAであるアレイ基板を、DNAマイクロアレイとして用いる場合について、以下(11)で説明する。
(11) DNAマイクロアレイを用いた検出工程:図3、図4
前述の(1)〜(10)に述べた工程を経て作成した生体分子検出素子表面に、蛍光修飾された検体試料溶液を反応させる。ここではプローブ分子304としてプローブDNAを用い、検出用生体分子として核酸を用いた場合について図3を用いて説明する。簡略化のためリンカー分子、吸着阻害分子などは図示を省略した。これに対して、蛍光分子305によって蛍光修飾されたターゲットDNA306が検体試料として供給された状況を図3(a)に示す。ここで、プローブDNAとターゲットDNAの塩基配列が完全に相補的である場合は互いに速やかに反応し、図3(b)のように相補的水素結合307で結合した2本鎖DNAを形成する。これがハイブリダイゼーション反応である。
なお、ハイブリダイゼーション反応の具体的条件としては、検出用の蛍光修飾された核酸を、界面活性剤を添加したSSC(Standard Saline Citrate)溶液に溶解し、生体分子検出素子表面にこの溶液を接触させる。溶液中の核酸量は0.1amol〜1nmolであり、反応温度は、通常、25℃〜60℃、反応時間は、通常、1時間〜24時間である。この条件で、検出用の核酸がプローブDNAの配列と完全相補的であった場合、速やかに反応して相補的水素結合により形成された2本鎖DNAを生成する。DNAマイクロアレイの場合には、基板表面に、多種類の配列のプローブDNAをスポットし、これらのプローブDNAと検体試料とハイブリダイゼーション反応させ、各スポットからの蛍光強度をスキャナーで計測し、データ化する。
ここで重要なことは、蛍光増強用金属微粒子205群を軸対称に基板201の表面に固定することで、蛍光増強が効果的に利用できることである。金属微粒子固有の蛍光強度増強について説明する。この現象については非特許文献3に詳しい記載がある。金属微粒子は、光が入射されると、金属微粒子内の自由電子が分極し振動する。この金属微粒子内の自由電子の振動と、入射光の振動電場が共鳴することを局在プラズモン共鳴と呼ぶ。局在プラズモン共鳴が起こると、金属微粒子表面での電場強度が入射光の電場強度に比べて各段に大きくなる。
次に、上述の蛍光増強について、その二つの要因を説明する。蛍光増強する要因の一つは、電場増強による蛍光分子の量子効率の向上である。蛍光分子の近傍に金属微粒子が存在する場合、電場増強の影響による金属微粒子の双極子モーメント及び蛍光分子の双極子モーメントの相互作用によって、蛍光発光過程で発光速度が加速される。したがって、蛍光分子の量子効率が上がる。ただし、量子効率は1を超えることはないため、量子効率1を持つ蛍光分子では、金属微粒子による量子効率の増加は期待できない。しかし、実際にバイオセンサで用いられる蛍光分子は、量子効率が0.04−0.3程度のものが多く、これらの蛍光分子に対して金属微粒子による量子効率の向上が期待できる。
第二の要因は、金属微粒子近傍の電場増強による光散乱強度の増加である。局在プラズモン共鳴により金属微粒子の分極率が増加し近傍の電場が増強されると、金属微粒子からの散乱光強度も増強される。散乱光強度が増加すれば、蛍光分子を励起させるための入射エネルギー密度が増加し、従って蛍光分子の光吸収量も増加する。以上の二つの要因によって、蛍光強度が増加する。
一方で、蛍光分子が金属のごく近傍に有る場合、蛍光の消光が観察される。これは、蛍光分子の励起エネルギーが金ナノ粒子中自由電子のフェルミ準位を上回り、かつ至近距離にある場合に、その励起エネルギーが金属微粒子にエネルギー移動するためである。金属微粒子の場合、この移動速度は蛍光分子と金属微粒子間の距離の6乗に反比例する。したがって、蛍光分子が金属微粒子の極表面に位置する場合にのみ、蛍光増強度がこの蛍光消光によって低下する場合がある。図3に示したように、プローブ分子と蛍光分子付きの検出すべき分子を反応させる場合で、例えばプローブ分子としてDNAを用いた場合、反応後に形成した2本鎖DNAはリジッドな構造となるため、蛍光分子が金属微粒子に接触する確率は極めて低くなる。更に、これらの金属微粒子には反応阻害層または吸着阻害分子層等がコーティングされているため、蛍光分子が金属微粒子に直接接触する可能性は低い。
ここで、図4に示すように、直径50nmの金ナノ粒子401をガラス402上に置き、ガラス側から532nm p偏光レーザー403を全反射モードで入射しエバネッセント光を発生させる系を考える。金ナノ粒子の周囲の媒体は水404である。エバネッセント光の電界方向を405で示す。この系において、FDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いたシミュレーションを行い、上記レーザー光(電磁場)を全反射モードで入射させた時の金ナノ粒子周辺に生じる電場強度を計算した結果を図5(a)に示す。計算結果、金ナノ粒子極近傍で最大約20倍の電界強度の増幅が生じた。また、金ナノ粒子401からの距離が離れるに連れて電場強度は減少した。最も電場強度増幅が大きい領域は503であり、次いで504の領域、次いで505の領域の順に電場強度増幅値が小さくなった。505の外側の領域では、電場増幅がほとんど見られない。これらの金ナノ粒子近傍の増強された電界によって蛍光増強が引き起こされる。
一方で、2個の金ナノ粒子401が隣接した場合のFDTD法を用いたシミュレーション結果を図5(b)に示す。この場合、2個の金ナノ粒子の接点付近で電界強度が大きくなり、最大約90倍の電界強度の増幅が生じた。最も電場強度増幅が大きい領域は507であり、次いで508の領域、次いで509の領域、次いで510の領域の順に電場強度増幅率が小さくなった。510の外側の領域では、電場増幅がほとんど見られない。図5(a) (b)の503〜505, 507〜510に示した領域の塗りつぶしマークは、電場強度増幅率の大きさを表し、同じマークであれば同じ増幅率を持つ。例えば、図5(a)領域503と図5(b)領域508は同じ電場強度増幅率である。図5(a)と(b)を比較すると、図5(b)の2個の金ナノ粒子が隣接した場合の方が、電界強度が増幅される領域が図5(a)の金ナノ粒子1個の時と比べて広範囲になった。また、2個の金ナノ粒子が隣接した場合の方が、電場強度増幅率がより大きい領域(507)が生じた。
図5(c)に2個の金ナノ粒子間の距離を広げた場合の金ナノ粒子周辺の電場強度計算結果を示す。金ナノ粒子401間の距離がd=4r(図5(c))の時、金ナノ粒子周囲に生じる電場強度は、ほとんど金ナノ粒子一個の場合と同じになった。すなわち、図5(b)の2個の金ナノ粒子が隣接した場合に見られた、より強い電場強度増幅率の領域が見られなくなった。また、蛍光増強が得られる領域は、金ナノ粒子1個の場合とほとんど等しくなった。
図5(b)と図5(c)の中間点である2r<d<4rでは、電場強度の増幅率や増幅率が高い範囲が、dの値が増加するに従って減少した。ここでは、直径50nmの金ナノ粒子を例に挙げて説明したが、50nm以外の直径の金ナノ粒子にも同様の電場強度増幅現象が見られた。2個の金ナノ粒子を近接した場合、電場増強増幅率の増加及び増幅領域の拡大が見られた。
電場増強が見られた領域で、蛍光増強が観察される。したがって、図5(a)に示すように半径rの金ナノ粒子が1個存在する場合には、蛍光分子と金ナノ粒子の中心との距離RがR≦2〜3r以内の場合に蛍光増強が得られる。一方で、図5(b)に示すように金ナノ粒子2個が隣接する場合には、蛍光分子と金ナノ粒子の重心との距離RがR≦6r以内の場合で蛍光増強が得られる。図5(c)に示したd=4rの場合、蛍光増強が得られる領域は、金ナノ粒子1個の場合とほとんど等しくなる。ここでは金ナノ粒子2個を用いた場合の計算結果を示したが、図6(a)(b)の上面図に示すように、金ナノ粒子3個及び4個を回転対称に配置した場合も同様に、金ナノ粒子1個の場合よりも強い電界強度増幅が見られ、かつ強い電場強度増幅の領域範囲の拡大が見られた。
以上のメカニズムによって、複数の金属微粒子をプローブ分子の固定場に用いた場合には、検体分子を超高感度に蛍光検出することができ、生体分子検出素子としての大幅な感度向上が達成できる。
また、用いる蛍光色素の種類に合わせてそれぞれ励起光で最大の蛍光増強効果が得られるよう金属微粒子の配置を構築することもできる。金属微粒子間の距離を変化させることによって、局在プラズモン共鳴波長がシフトする。この局在プラズモン共鳴波長と蛍光分子の励起波長が一致した時に、高い電場増強すなわち高い蛍光増強が得られる。したがって、用いる蛍光色素の種類に対して励起光とプラズモン共鳴波長を一致させるべく金属微粒子を配置すればよい。
また上の例では、金ナノ粒子を基板表面に2次元に並べたが、金ナノ粒子を凹凸ある表面に3次元的に配列しても良い。例えば、金ナノ粒子とシランカップリング剤の混入した溶液を用いて、ゾルゲル法により、金ナノ粒子が3次元的に密に配列した膜を形成しても強い蛍光増強場が得られる。あるいは、金のナノ形状を金の蒸着等を用いて形成しても同様の蛍光増強場が得られる。
上の例では,プローブ分子をプローブ分子固定用金属微粒子上に固定したが、プローブ分子を蛍光増強場用の金属微粒子上に固定しても蛍光増強効果が得られる。
次に、前述の(1)〜(10)に述べた工程を経て作製した金属微粒子固定基板をDNAシーケンシングに用いる場合について説明する。DNAシーケンシングに用いる場合、図7に示すように、基板701の表面に、軸対称に固定された蛍光増強用金属微粒子702の群とプローブ分子固定用金属微粒子703を格子状に並べる。図7では金属ナノ粒子群をグリッド状に並べているが、格子状の格子とは正方格子、三角格子、六角格子、ハニカム型格子、長方形格子等の様々な形状の格子を指す。また、図7では、蛍光増強用の金属微粒子群とプローブ分子固定用の金属微粒子を全て直線上に並べているが、必ずしも一直線上に並べる必要はない。蛍光増強用の金属微粒子群の重心を通る線が基板に対して様々な角度を取るように形成しても良い。
(12) DNAシーケンシング評価:図8
まず、前述の(1)〜(8)に述べた工程によって、図7に示すように、蛍光増強用の金属微粒子群とプローブ分子固定用の金属微粒子を基板表面上にグリッド状に並べた。工程(2)において、電子線描画する際に、レジスト開口パターンを繰返しグリッド状に加工していく。工程(9)において、図8に示すように、配列解析対象となる単一分子DNA801を固定するためのプローブ分子802を基板701上に金属微粒子703を介して配列させる。702は軸対称に配置した蛍光増強用の金属微粒子である。プローブ分子を固定する際には、プローブ分子固定用の金属微粒子に対して一本のプローブ分子が固定するように、プローブ分子固定溶液の濃度を調整する。
次に、配列解析対象の単一分子DNA801をプローブ分子802と1対1で反応させ基板に固定する。解析対象の単一分子DNA801をプローブ分子802と反応させる際の条件として、単一分子DNAを、NaCl等の塩を含む溶液に溶かし、この溶液とプローブ分子を固定したアレイ基板表面とを接触させる。反応温度は、通常、20℃〜80℃、反応時間は、通常1時間〜24時間程度である。解析対象の単一分子DNAとプローブ分子が反応するためには、プローブ分子は単一分子DNAとの反応サイトを持つ必要がある。例えば、解析対象の単一分子DNAがAAAAAAAAAといったPolyA配列を持つ場合、これと相補的な配列であるTTTTTTTT等のTが連続したPolyT配列を有するプローブ分子を使用する。
次に、図7に示した格子間ピッチLの大きさについて述べる。DNAシーケンシングでは、背景技術で述べたように、蛍光強度を測定することによってDNA配列を読み取る。シーケンシング時には、固定されたある単一分子からの蛍光と、その分子と隣接する単一分子DNAからの蛍光を独立して測定する必要がある。したがって、ピッチLは、蛍光読取光学系の解像度と同等あるいはより大きい値とする必要がある。また、同じ理由によってCCDカメラ読取の1画素のサイズよりも大きい値とする必要がある。
図9に示すように、プローブ分子802をプライマーとして、ポリメラーゼ904によるポリメラーゼ反応により、プローブ分子802の先端にヌクレオチド905を一塩基伸長させる。この反応時には、ヌクレオチドを、例えば、塩化マグネシウム等の塩を含む溶液に溶解し、この溶液を基板と接触させる。酵素であるポリメラーゼの失活を防止するため、ジチオスレイトール(DTT)やグリセロール、界面活性剤等を上記溶液に混合しても良い。図9に示すように、伸長したヌクレオチドには蛍光分子906を結合している。この蛍光分子からの蛍光を読み取ることで、ヌクレオチドが伸長したか否か、あるいは、伸長したヌクレオチドの種類、例えば、A,T,C,Gを判別する。
図10にシーケンシング読取システムを示す。このシステムでは、励起レーザー光1001を基板701の裏面から石英プリズム1002を通して全反射条件で入射させる。一塩基伸長時に、伸長したヌクレオチド905に結合した蛍光分子906を、全反射条件で入射したレーザー光のうち単一分子DNA801が固定された側に染み出したエバネッセント光によって励起する。生じた蛍光1010を、基板上面に載置した高感度CCDカメラ1011によって測定する。
具体的な装置構成を図11に示す。基板701に全反射条件でレーザーを入射するためのレーザー光源1102、石英プリズム1002への入射角度を調整するためのミラー1104及びレンズ1105、及び入射光の強度を調整するためのフィルタ1106、蛍光分子から生じる蛍光を集光するための対物レンズ1107、蛍光分子からの蛍光のみを検出するためのフィルタ1108、CCDカメラ1011、シーケンシング反応を行うための試薬類である酵素や蛍光分子、ヌクレオチド等を供給するためのフローセル1110、フローセル内に供給する試薬の種類や量を調整するためのフローコントローラ1111、蛍光強度の経時変化データからDNA配列のシーケンシングを行うためのデータ解析システム1112によってシーケンシング装置が構成されている。
ポリメラーゼ反応でヌクレオチドが結合された後、例えば、ポリメラーゼによって取り込まれたヌクレオチドのリン酸基が切断される。この様子を図10を用いて説明する。蛍光分子がヌクレオチドのリン酸基の末端に結合している場合には、リン酸基の切断と共に、蛍光分子が解析対象の単一分子DNA801部から離れ除去される。除去された後に、別種類のヌクレオチドを反応させる。例えば、まずヌクレオチドAを含む溶液と基板を接触させ、ポリメラーゼ反応によってAが一塩基伸長した場合には、上記の読取システムによって蛍光が検出される。ヌクレオチドAが伸長しなかった場合には蛍光は検出されない。この測定結果から、蛍光が検出されたグリッドサイトでは、解析対象の単一分子DNAがAと相補的であるTを解析対象部分に持つことがわかる。一方、蛍光が検出されなかったグリッドサイトでは、解析対象部分にTを持たないことがわかる。次に例えばヌクレオチドCを含む溶液と基板を接触させた後に、蛍光を検出し、各グリッドサイトにおいて、単一分子DNAの解析対象部分にCと相補的なGを有するか否かを判別する。次に、ヌクレオチドTあるいはGを反応させる。これらの作業を繰り返すことで、各グリッドサイトに固定した単一分子DNAの配列を読み取る。あるいは、A,T,C, G4種類を含む溶液を基板と接触させ、これらのヌクレオチドが順次反応していく様子をリアルタイムに各点で読み取っても良い。
ここでは、一塩基伸長に用いる試薬としてdNTPのリン酸部分に蛍光色素が標識された試薬を用いたが、プリン、ピリミジン部に蛍光色素が結合された試薬、あるいは3’OH末端に蛍光色素が結合された試薬を用いても同様に配列を解読することができる。
ここで重要なことは、蛍光増強用の金属微粒子群702の複合効果で、蛍光強度が増強されることである。その理由については (11)に述べた通りである。通常、単一蛍光分子からの蛍光を測定する際には、高感度に測定するために、励起光のパワー密度を上げ、検出系に光子を増幅するデバイスを用いる等の工夫が必要であり、蛍光励起及び検出系が大掛かりで複雑な系になる。しかし、本発明の蛍光増強効果を用いることで、蛍光検出系をコンパクトに設計することが可能になる。また、露光時間を大幅に短縮できるため、検出スループットを向上させることもできる。更には、検出領域のみ局所的に蛍光増強できるため、検出領域以外に非特異的に吸着した蛍光分子からのノイズ成分を増強させることなくシグナル成分のみ増強させることができる。
本発明の金属微粒子固定基板を用いれば、S/N比高く検出できることから解析の正確性が各段に向上し、また、検出スループットも大幅に向上させることができる。更には、固定された解析対象DNAの場所(座標)が予めわかっているため、場所を特定するために行う工程、例えば、解析対象DNAに予め蛍光標識を付加させ、解析を始める前にこの蛍光をマッピングすることで解析対象DNAの場所を確認するといった工程を省略できる。
ここで、プローブ分子を固定するための固定サイトとして金属微粒子を用いたが、金属微粒子を介すことなく、プローブ分子を直接基板に固定しても良い。この場合、蛍光増強用金属微粒子を固定した後に、プローブ分子固定用の金属微粒子を固定するサイトにコーティングされたリンカー分子のアミノ基等を起点としてプローブ分子を固定する。例えば、アミノ基と反応する官能基であるイソチオシアネート基を両末端に持つ分子を反応させ、更に残ったイソチオシアネート基とアミノ基を末端に持つプローブ分子を反応させる。あるいはNHSエステル、エポキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基を末端に持つプローブ分子をリンカー分子の官能基と直接反応させても良い。
本発明を実施するための最良の形態では、2個の金属微粒子によって蛍光増強用の軸対称の金属微粒子群を形成したが、3個、4個の金属微粒子を回転対称に配置した金属微粒子群を形成した場合でも同様の蛍光増強効果が得られる。例えば,4個の金属微粒子を回転対称に並べ、プローブ分子固定用の金属微粒子を中心に載置すると,1検出スポットあたりの合計金属微粒子数は5個となる。また、金属微粒子をフラットな表面に固定した場合を示したが、金属微粒子が基板内に埋めこまれた金属微粒子3D分散形状を形成した場合でも同様に高い蛍光増強効果が得られる。
本発明では、リソグラフィのプロセスを用いて担体基板表面にリンカー分子からなる規則的なドットパターンを形成し、このリンカー分子が保有する活性基と金属微粒子との結合を利用して、金属微粒子固定パターン基板を形成した。リソグラフィの方法としては電子線描画に限ったものではなく、電子線リソグラフィの代わりに近接場リソグラフィを用いることも可能である。但しその場合には、メンブレンマスクを電子線リソグラフィによって作製し、このマスクを用いたコンタクト露光によってレジスト加工を実行する。この場合、同じパターンであれば繰り返し高スループットで作製できるので、量産性の高いプロセスを達成できる。また、リンカー分子の規則的ドットパターンを、リソグラフィを用いることなくナノコンタクトプリント技術やナノインプリント技術を用いて行うことも可能である。あるいは、リソグラフィと金属薄膜形成技術を用いて金ナノパターンを形成しても良い。
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、特にDNAマイクロアレイ及びDNAシーケンサに適用した例について説明する。なお本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、核酸、タンパク、糖鎖などのあらゆる生体分子の検出用として用いることのできる蛍光検出素子の性能向上に寄与する基本技術である。また本発明の蛍光検出素子は、生体分子の検出用に限定されるものではなく、環境ホルモン等の化学物質一般を蛍光法により検出する際に用いることもできる。
本実施例では、本発明の生体分子検出素子をDNAマイクロアレイに用いた場合の例を示す。以下に示した(工程1)から(工程8)によりDNAマイクロアレイを作製し、(工程9)でそのDNAマイクロアレイを用いてハイブリダイゼーション反応を行った。
(工程1)基板表面へのポジ型電子線レジストの塗布工程:図12(a)
担体基板1201として、平坦性の高い熱酸化膜100nm付き4インチSi基板を用いた。基板を0.1wt%のNaOH水溶液で洗浄し、更に0.1wt%のHCl水溶液で洗浄し、純水で充分すすいだ後に乾燥した。ここで、レジストとして用いたポジ型レジストは、主鎖切断型のレジストである。レジストをアニソールで希釈し、スピンコーターを用いてコーティングした。コーティング後、溶剤を除去するためにN2フロー中180℃、20minベークした。本実施例では、レジスト膜厚は充分薄く、かつEB加工による膜減りが見られない60nm膜厚(レジスト:アニソール=1:3希釈)とした。また、EB描画中の基板の帯電を防止するため、塗布したレジスト膜1202の上に導電性ポリマー(ポリイソチアナフテンスルホネート)溶液をコーティングした。この溶液は、導電性ポリマーをコロイド粒子にし、界面活性剤を用いて分散させたものである。同じスピンコーターを用いて導電性ポリマー1203をコーティングした後、溶剤を除去するためにN2フロー中で100℃、10minベークした。
(工程2)電子線描画及び現像による開口形成:図12(b)
電子線走査フィールド内ではx方向、y方向それぞれ60,000ステップに分割され、各ステップにてスポット径約2〜3nmの電子線をパルス照射する。どのステップ位置で電子線照射をするかを、CADソフトを用いて指定することにより、所望のパターンを形成する。電子線加工開口径は、固定させる金属微粒子と同等である必要がある。本実施例では、安定に固定でき、かつ蛍光増強効果を得ることができる直径30nmの金ナノ粒子を蛍光増強用の金ナノ粒子として用いた。また、直径15nmの金ナノ粒子をプローブ分子固定用の金ナノ粒子として用いた。直径30nmの金ナノ粒子を孤立固定できるよう、金ナノ粒子固定用のEB開口径をφ35nmとした。
本実施例で用いた描画パターンを図13に示す。φ35nm及びφ20nmのパターンを格子状にそれぞれ100nmピッチで並べた。この時、d’を55nm(約3.7r)とした。この描画パターンを200μm角のエリアに加工した。またこの200μm角の加工エリアを基板上に100点作成した。加工エリアは基板上に2mmピッチで格子状に並べた。フィールドサイズは150μm角とし、電子線ビーム電流5×10-11Aで電子線描画を行った。
電子線照射によって主鎖が切断された部分を溶解する現像液として、n-アミルアセテートを用いた。最表面に導電性ポリマーが塗布されているため、まずこれを純水で除去し、次に、25℃、15秒n-アミルアセテート溶液に浸漬して現像後、リンス溶媒Methyl isobutyl ketone 89%/ Isopropyl alcohol 11%溶液でリンス洗浄した。これら一連のプロセスによって、直径30nmの蛍光増強用金ナノ粒子固定用の開口孔1204及び直径15nmのプローブ分子固定用の金ナノ粒子固定用開口孔1205を加工した。開口孔は電子顕微鏡で確認した。
(工程3)アミノ化層の形成(金属微粒子固定ドット):図12(c)
電子線レジスト開口パターンを形成した基板を、シランカップリング剤である3-アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimthoxysilane, APTMS)溶液に浸漬した。尚、APTMSを希釈する溶媒としてメタノールを用いた。反応温度は室温、反応時間は5分とし、反応後、メタノールで充分洗浄し乾燥した。この結果、開口孔底にAPTMSが吸着する。この基板を80℃で2hrアニールした。このアニールプロセスによって、APTMSと開口孔底のSiO2の間にシロキサン結合が形成され、開口孔底が安定にアミノ化される。一方、レジスト上にもAPTMSが吸着するため、レジスト上にもAPTMSが残留する。
(工程4)蛍光増強用金ナノ粒子の固定:図12(d)
直径が30nmの金ナノ粒子表面全面にNHSエステルをコーティング1207した。具体的には、片側の末端に金と反応するチオール基を持ち、もう片方の末端にNHSエステルを有する分子を用いて金ナノ粒子全面をコーティングした。次に、開口孔底部をアミノ化した基板に、コーティングを施した金ナノ粒子クエン酸溶液を作用させた。反応温度は室温であり、反応時間は20時間である。この時、金ナノ粒子は表面NHSエステルと表面のアミノ基が反応してアミド結合を形成し金ナノ粒子1206が固定される。金ナノ粒子を反応させた後、充分純水洗浄した。
(工程5)プローブDNA固定用の金ナノ粒子固定:図12(e)
基板に、直径が15nmの金ナノ粒子クエン酸溶液を作用させた。反応温度は室温であり、反応時間は20時間である。金ナノ粒子表面はクエン酸で覆われ負電荷を持つ。一方、アミノ化された表面は正電荷を持つため、金ナノ粒子は表面のアミノ基と引き合い、金ナノ粒子1208が固定される。金ナノ粒子を反応させた後、充分純水洗浄した。
(工程6)レジスト剥離:図12(f)
基板をジメチルアセトアミドに3分浸漬させ、レジストを除去した。この際、レジスト上に付着した金ナノ粒子が基板に再付着しないよう、充分量のジメチルアセトアミドを使用した。ジメチルアセトアミドに浸漬後、エタノール洗浄と純水洗浄を充分に行った。このプロセスによって、レジスト上に吸着された金ナノ粒子もリフトオフされ、開口部に固定された金ナノ粒子のみが残留する。
(工程7)吸着阻害分子層の固定:図12(g)
金ナノ粒子30nmを格子状に配列させた基板をエタノールに浸漬し乾燥後、エポキシ基をコーティングした。Diisopropylethylamine 0.8%が添加された3-Glycidoxypropyltrimethoxysilane(GOPS) 7.7%の脱水トルエン溶液中で、上記基板を85℃下で2hr反応させることによってエポキシ基を金ナノ粒子が固定されていない領域にコーティングした。反応後、脱水トルエン及びエタノールで洗浄し乾燥させた。
(工程8)プローブDNAの固定:図12(h)
工程6及び7でエポキシ基をコーティングした基板をエタノール洗浄した後、基板表面とチオール基を末端に持つ50mer 1本鎖プローブDNA溶液を金ナノ粒子コーティング領域であるそれぞれ200μm角エリアにスポッティングした。用いたDNAの塩基配列は1種類であり、1種類のプローブDNA(1209)を100点にスポットした。その5’末端側からの塩基配列を下記に示す。
AGTCGAGCGGTAGCACAGAGAGCTTGCTCTCGGGTGACGAGCGGCGGACG
プローブDNA反応溶液は、チオール基を5’末端に持つ50mer 1本鎖DNAを1M Phosphate buffer (pH 6.7)に1mM溶解した溶液である。このプローブDNA反応溶液とプローブ固定用の金ナノ粒子を室温24hr、100%湿度下で反応させた後、2×SSC、0.1%SDS溶液ですすぎ、純水で2回洗浄した後に乾燥した。
(工程9)ハイブリダイゼーション
プローブDNAを固定した基板に、プローブDNAと完全相補的な配列をもち、3’末端に蛍光分子Cy3を標識した一本鎖のターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせた。ハイブリダイゼーション溶液として5×SSC(Standard Saline Citrate)と0.5%SDS溶液Sodium Dodecyl Sulphate)の混合液を用いた。ターゲットDNA量を0.1amolから1fmol まで変化させ、それぞれ42℃で20時間ハイブリダイゼーションさせた。その後、2×SSC、0.1%SDS溶液、2×SSC溶液で洗浄を行い、乾燥した。乾燥させた基板表面に対し、蛍光スキャナーを用いて励起光を入射し、表面からの蛍光強度を測定した。励起レーザー光の波長は532nmであり、このレーザー光をスポットエリアでスキャンさせた。発生した蛍光を光電子倍増管で検出した。測定した蛍光強度はハイブリダイゼーション反応したターゲットDNA量に比例するものである。
一方、Si基板上に一般的な従来からある1本鎖DNAの固定方法で、プローブDNAを固定した基板を作製した。Si基板を上記(工程1)に示した方法と同様に洗浄した後に、(工程3)に示した方法でシランカップリング剤であるAPTMSを全面にコーティングし基板表面をアミノ化した。その後に、末端のアミノ基に、イソチオシアナート基を有するPDC(phenylenediisothiocyanate)を反応させた。更に、このイソチオシアナート基とアミノ基を5’末端に持つプローブDNAを反応させ固定した。用いたプローブDNAの配列は、(工程8)で示したDNA配列と同じである。プローブDNAを反応させる際に用いた反応溶液は、弱アルカリの炭酸バッファにプローブDNAを1μM溶解させた溶液である。この溶液をイソチオシアナート化した基板にスポットした。スポット点数は100点であり、スポット径は200μmφである。室温24hr、100%湿度下で反応させた後、基板を2×SSC、0.1%SDS溶液ですすぎ、純水で2回洗浄した後に乾燥した。この基板を前述した方法で蛍光分子付きのターゲットDNAとハイブリダイゼーションさせた後に、蛍光強度を測定した。
蛍光強度の平均値とターゲットDNA量の関係を図14に示す。その結果、蛍光増強用金ナノ粒子群を固定した本発明のアレイでは従来アレイに比べて検出感度が向上した。従来のアレイでは、100amolが検出限界であるのに対し、蛍光増強用金ナノ粒子群を固定したアレイでは0.1amol以下のDNAを検出できる。これは、固定した金ナノ粒子群によって大きな電界強度増幅が得られ、より大きな蛍光増強効果を得ることができるためである。
更に、プローブDNAと、そのプローブDNAに完全相補的な配列を持つターゲットDNAの長さを変化させた時の蛍光検出結果を図15に示す。ターゲットDNAの5’末端に蛍光標識を修飾しているため、ターゲットDNAの長さを変化させると、蛍光分子と蛍光増強用金ナノ粒子群の重心との距離が変わる。その結果、金ナノ粒子群の重心と蛍光分子の距離が60 nm (4r)以内では大きな蛍光増強を持ち、90nm(6r)以内でも増強効果を持つことがわかった。
本実施例では、本発明の生体分子検出素子をDNAシーケンシングに用いた例を示す。DNAシーケンシングを行うために、実施例1に示した工程1から工程8に従ってDNAシーケンシング基板を作製した。
本実施例の場合、基板にSi基板ではなく石英基板を用いた。工程2の電子線描画及び現像による開口形成において、図16に示すように、蛍光増強用の直径30nmの金ナノ粒子を配置するためのφ35nmの加工パターン及びプローブDNA固定用の直径15nmの金ナノ粒子を配置するためのφ20nmの開口パターンを格子状に1μmピッチで並べた。このパターンにより金ナノ粒子群を1μmピッチ格子状に配置した。この場合、蛍光強度を検出するCCDカメラの1画素を1μm角とすると、シーケンシング時に、一画素でDNA一分子からの蛍光信号を読み取ることができる。画素数をより細かくし、例えば4画素でDNA一分子からの蛍光信号を読み取る、あるいは9画素でDNA一分子からの蛍光信号を読み取っても良い。
工程8で固定するプローブDNAとして、図17に示すように、5’末端にチオール基を持ち、かつT配列を20連続で持つ(TTTTT TTTTT TTTTT TTTTT (PolyT 20mer)オリゴヌクレオチド1702を用いた。この場合、このオリゴヌクレオチド末端のチオール基と金ナノ粒子を結合させることによって、オリゴヌクレオチドを固定する。
その後、解析対象となるDNA(1703)をプローブDNAにハイブリダイゼーションさせる。具体的には、解析対象のDNAとして、3’末端からA配列を連続で持ち、下記の配列を持つDNA(1703)をハイブリダイゼーションさせた(図17参照)。
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGTCGAGCGGTAGCACAGAGAGCTTGCTCTCGGGTGACGAGCGGCGGACG
次に、プローブDNAである上記PolyT20mer配列をプライマーとして、解析対象DNAのシーケンシングを行った。作製した金ナノ粒子アレイ基板と、ヌクレオチド3リン酸のリン酸基末端に蛍光標識であるCy3(1705)を持つ4種類のヌクレオチド(1704)を、ポリメラーゼを用いて反応させた。反応時に用いた反応溶液は、10mM Tris-HCl、5mM MgCl2溶液である。ヌクレオチドの濃度は1μMである。ポリメラーゼ反応によって、DNAの塩基配列と相補的な塩基を持つヌクレオチドがDNAに結合する。本実施例の場合、ヌクレオチドCを溶解した溶液と基板を反応させた場合、ヌクレオチドCが結合する。これは、ヌクレオチドCが解析対象DNA配列中のPolyA配列に隣接するGに結合するからである。
図10及び図11に示した蛍光検出系を用いて、ポリメラーゼ反応過程における蛍光画像を取得する。蛍光の強度は基板上面から高感度CCDカメラで測定した。検出する際に蛍光分子の励起光を全反射条件で当てると、蛍光分子付きヌクレオチドC(1704)が結合したサイトから蛍光が検出される。ヌクレオチドがDNAに結合すると、ポリメラーゼによって取り込まれたヌクレオチドのリン酸基が切断される。これによって、そのリン酸基の末端に結合していた蛍光分子が測定対象DNA部から除去される。次に、ヌクレオチドAを溶解した溶液と基板を反応させた場合、ヌクレオチドCの結合点の隣のTにヌクレオチドAが結合する。結合した際に、蛍光を検出することができる。次に、ヌクレオチドTを溶解した溶液と基板を反応させた場合、ヌクレオチドTはDNAに結合しない。DNA側の次の結合サイトはCであり、ヌクレオチドTとは相補的でないため、ヌクレオチドTが結合せずに蛍光が検出されないことを確認した。
これらの手順を繰返し、各グリッドにおいて、同様にDNA配列を読むことが可能であった。すなわち、個々のDNA固定サイトからの蛍光信号を他DNAサイトからの信号と分離して検出でき、無効になるDNAを生じさせることなく、繰返しDNAの配列を読むことが可能であった。
本実施例では、一塩基伸長に用いる試薬としてdNTPのリン酸部分に蛍光色素が標識された試薬を用いたが、プリン、ピリミジン部に蛍光色素が結合された試薬、あるいは3’OH末端に蛍光色素が結合された試薬を用いても同様の効果が得られる。
また、図17の状態で蛍光検出した時の結果を図18に示す。検出蛍光強度は、金ナノ粒子を固定しない従来方法で測定した場合に比べて、高くなった。これは金ナノ粒子群による蛍光増強効果によって、蛍光強度が大幅に増加したためである。したがって、本発明の素子を用いることでより高感度にシーケンシングを行うことができる。あるいは、簡易な蛍光検出系を用いてシーケンシングを行うことができる。更に露光時間を減少させることで高スループット検出が可能になる。
本発明は、DNAやmRNAの定量解析を行うDNAマイクロアレイや、DNA又はmRNAの配列を読むDNAシーケンシング、蛋白質を分析するプロテインチップとして適用できる。更には、生体分子に限らず一般的な化学物質を蛍光法を用いて検出する際の検出素子に適用できる。
本発明による蛍光検出素子の基本構成を示す図。 本発明による蛍光検出素子の製造工程を示す図。 本発明による蛍光検出素子を用いたDNAハイブリダイゼーション反応をイメージした図。 金ナノ粒子の周囲に生じる電界強度の計算に用いた系を示す図。 金ナノ粒子の周囲に生じる電界強度の計算結果を示す図。 蛍光増強用の金ナノ粒子を複数個用いた時の金ナノ粒子の配置を示す図。 DNAシーケンシングに用いる金属微粒子固定基板を示す図 DNAシーケンシングに用いる金属微粒子固定基板表面の詳細を示す図。 DNAシーケンシング反応の模式図。 DNAシーケンシング検出系を示す図。 DNAシーケンシング装置を示す図。 本発明による蛍光検出素子の製造工程の具体例を示す概念図。 本発明による蛍光検出素子の製造工程で、DNAマイクロアレイ作製に用いた電子線描画パターンを示す図。 DNAをハイブリダイゼーションさせた時の検出蛍光強度とターゲットDNA量の関係を示す図。 DNAをハイブリダイゼーションさせた時の検出蛍光強度とターゲットDNA鎖長の関係を示す図。 本発明による蛍光検出素子の製造工程で、DNAシーケンサ用基板作製に用いた電子線描画パターンを示す図。 DNAシーケンシング配列とシーケンシング反応を示す図。 DNAシーケンシング時の蛍光検出結果を示す図。
符号の説明
101:担体基板、102:蛍光増強用金属微粒子固定ドット、103:プローブ分子固定用金属微粒子固定ドット、104:蛍光増強用金属微粒子、105:プローブ分子固定用金属微粒子、106:プローブ分子、107:吸着阻害層、108:軸、201:担体基板、202:電子線レジスト、203:蛍光増強用金属微粒子固定のためのレジスト開口部、204:プローブ分子固定用金属微粒子固定のためのレジスト開口部、205:蛍光増強用金属微粒子、206:反応阻止層、207:プローブ分子固定用金属微粒子、304:プローブDNA、305:蛍光分子、306:ターゲットDNA、307:相補的水素結合、401:金ナノ粒子、402:ガラス基板、403:レーザー光、404:水、405:エバネッセント光の電界方向、503:電界強度が高い領域、504:電界強度が503領域以下であるが高い領域、505:電界強度が504領域以下であるが高い領域、507:電界強度が高い領域、508:電界強度が507領域以下であるが高い領域、509:電界強度が508領域以下であるが高い領域、510:電界強度が509領域以下であるが高い領域、701:ガラス基板、702:蛍光増強用金属微粒子、703:プローブ分子固定用金属微粒子、801:配列解析(シーケンシング)対象DNA、802:プローブ分子、904:ポリメラーゼ、905:ヌクレオチド、906:蛍光分子、1001:励起レーザー光、1002:プリズム、1010:蛍光、1011:CCDカメラ、1102:レーザー光源、1104:ミラー、1105:レンズ、1106:フィルタ、1107:対物レンズ、1108:フィルタ、1110:フローセル、1111:フローコントローラ、1112:データ解析システム、1201:基板、1202:電子線レジスト、1203:導電性ポリマー、1204:蛍光増強用金ナノ粒子固定のためのレジスト開口部、1205:プローブ分子固定用金ナノ粒子固定のためのレジスト開口部、1206:蛍光増強用金ナノ粒子、1207:反応阻止層、1208:プローブ分子固定用金ナノ粒子、1208:プローブ分子、1601:基板、1602:蛍光増強用金ナノ粒子固定のためのレジスト開口部、1603:プローブ分子固定用金ナノ粒子固定のためのレジスト開口部、1701:金ナノ粒子、1702:プローブ分子Poly T連続20配列、1703:解析対象単一分子DNA、1704:ヌクレオチドC、1705:蛍光分子Cy3

Claims (19)

  1. 基板の表面に半径rの金属微粒子とプローブ分子とが規則的に複数配列され、
    それぞれが複数の前記金属微粒子とプローブ分子とを含む検出スポットが複数設けられ、
    各検出スポットは、中心間距離dが 2r≦d≦4r を満たすように隣接配置された複数の前記金属微粒子と、当該隣接配置された複数の金属微粒子によって囲まれた領域内に固定されたプローブ分子とを含むことを特徴とする生体分子検出素子。
  2. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記検出スポット内で前記金属微粒子は前記基板の表面に回転対称に配列されていることを特徴とする生体分子検出素子。
  3. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記プローブ分子は、当該プローブ分子に最も近接した2つの前記金属微粒子の重心点から距離6r以内にあることを特徴とする生体分子検出素子。
  4. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記金属微粒子は貴金属類に属する金属、貴金属類に属する金属の合金又は貴金属類に属する金属の積層体からなることを特徴とする生体分子検出素子。
  5. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記金属微粒子は直径が10nm以上1mm以下であることを特徴とする生体分子検出素子。
  6. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記1つの検出スポットに含まれる金属微粒子の数が2個以上5個以下であることを特徴とする生体分子検出素子。
  7. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記プローブ分子が核酸であることを特徴とする生体分子検出素子。
  8. 請求項1記載の生体分子検出素子において、前記プローブ分子は半径rと異なる半径r’の金属微粒子に固定されていることを特徴とする生体分子検出素子。
  9. 請求項8記載の生体分子検出素子において、r’<r であることを特徴とする生体分子検出素子。
  10. 請求項8記載の生体分子検出素子において、前記半径r’の金属微粒子は、複数の前記半径rの金属微粒子の間に位置することを特徴とする生体分子検出素子。
  11. 基板表面に半径rの金属微粒子とプローブ分子とが規則的に複数配列され、中心間距離dが2r≦d≦4r を満たすように隣接配置された複数の前記金属微粒子と当該隣接配置された複数の金属微粒子によって囲まれた領域内に固定されたプローブ分子とを含む検出スポットを複数有する生体分子検出素子の製造方法において、
    基板表面に金属微粒子を固定する工程と、
    前記基板表面に吸着阻害分子を固定する工程と、
    前記金属微粒子にプローブ分子を固定する工程と、
    を有することを特徴とする生体分子検出素子の製造方法。
  12. 請求項11記載の生体分子検出素子の製造方法において、前記基板に半径rの第一の金属微粒子を固定する工程と、半径rより小さな半径r’の第二の金属微粒子を固定する工程を有し、前記半径r’の第二の金属微粒子に前記プローブ分子を固定することを特徴とする生体分子検出素子の製造方法。
  13. 請求項11記載の生体分子検出素子の製造方法において、1つの検出スポット含まれる前記金属微粒子の数は2個以上5個以下であり、前記検出スポット内で前記金属微粒子は前記基板の表面に回転対称に配列されていることを特徴とする生体分子検出素子の製造方法。
  14. 基板表面に半径rの金属微粒子とプローブ分子とが規則的に複数配列され、中心間距離dが2r≦d≦4r を満たすように複数の前記金属微粒子が隣接配置され、前記プローブ分子が前記隣接配置された複数の金属微粒子の重心点から距離6r以内にある生体分子検出素子を用いて、
    前記生体分子検出素子の前記プローブ分子と蛍光標識された試料生体分子とを反応させる工程と、
    反応後の生体分子検出素子に励起光を照射する工程と、
    前記プローブ分子が固定された領域から発生する蛍光を検出する工程と
    を有することを特徴とする生体分子検出方法。
  15. 請求項14記載の生体分子検出方法において、前記隣接配置された複数の金属微粒子は前記基板の表面に回転対称に配列されていることを特徴とする生体分子検出方法。
  16. 基板表面に半径rの金属微粒子とプローブ核酸分子とが規則的に複数配列され、中心間距離dが2r≦d≦4r を満たすように複数の前記金属微粒子が隣接配置され、前記プローブ核酸分子が前記隣接配置された複数の金属微粒子の重心点から距離6r以内にある生体分子検出素子を用いて、
    前記生体分子検出素子の前記プローブ核酸分子と被シーケンシング核酸分子とを反応させる工程と、
    前記被シーケンシング核酸分子に、蛍光標識されたヌクレオチドを反応させる工程と、
    前記生体分子素子に励起光を照射する工程と、
    前記標識されたヌクレオチドから発生する蛍光を検出する工程と
    を有することを特徴とする生体分子検出方法。
  17. 請求項16記載の生体分子検出方法において、前記隣接配置された複数の金属微粒子は前記基板の表面に回転対称に配列されていることを特徴とする生体分子検出方法。
  18. 生体分子検出素子を用いて核酸分子のシーケンシングを行うシーケンシング装置において、
    基板表面に半径rの金属微粒子とプローブ核酸分子とが規則的に複数配列され、中心間距離dが2r≦d≦4r を満たすように複数の前記金属微粒子が隣接配置され、前記プローブ核酸分子が前記隣接配置された複数の金属微粒子の重心点から距離6r以内にあり、前記プローブ核酸分子に被シーケンシング核酸分子を固定した生体分子検出素子を保持する保持部と、
    前記生体分子検出素子にシーケンシングに必要な試薬を供給するためのフローセルと、
    前記生体分子検出素子に励起光を照射する照射系と、
    前記生体分子検出素子からの蛍光を検出する検出系と、
    蛍光検出データからシーケンシングを行うためのデータ解析系と
    を有することを特徴とするシーケンシング装置。
  19. 請求項18記載のシーケンシング装置において、前記隣接配置された複数の金属微粒子は前記基板の表面に回転対称に配列されていることを特徴とするシーケンシング装置。
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