JP2009084346A - トリスアゾ化合物、インク組成物、記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、高濃度水溶液及びインクを長期間保存した場合でも安定であり、印字された画像の濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、印字された画像の堅牢性、特に耐光性と耐オゾンガス性が共に優れた黒色の記録画像を与える黒色インク用色素化合物とそのインク組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)で表されるトリスアゾ化合物またはその塩
【化1】
(式(1)中、nは0または1、基Aは置換複素環基、基Bは置換されてもよいフェニル基またはナフチル基、R1は置換されても良いC1−C4アルキル基、カルボキシ基など、R2からR4はそれぞれ独立に水素原子、置換されても良いC1−C4アルキル基、置換されても良いC1−C4アルコキシ基などをそれぞれ表す。)
【選択図】なし
Description
(1)
下記式(1)で表されるトリスアゾ化合物またはその塩
R1はカルボキシ基;C1−C8アルコキシカルボニル基;C1−C8アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基で置換されていても良いC1−C4アルキル基;またはヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されていても良いフェニル基を表し、
R2からR4はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いモノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基またはカルボキシ基で置換されても良いC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いフェニルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いベンゾイルアミノ基;またはベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されていても良いフェニルスルホニルアミノ基;をそれぞれ表し、
基Aは下記式(2)または(3)で示される置換複素環基であり、
基Bは置換されても良いフェニル基またはナフチル基であり、
基Bが置換フェニル基の場合はヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;アセチルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される置換基を有し、
基Bが置換ナフチル基の場合はヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;ベンゼン環がメチル基、ニトロ基または塩素原子で置換されても良いフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される置換基を有する。)、
(2)
基Bが置換されても良いフェニル基であり、置換基がヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基である上記(1)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(3)
基Bが置換されても良いナフチル基であり、置換基がヒドロキシ基またはスルホ基である上記(1)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(4)
R1が無置換C1−C4アルキル基またはカルボキシ基、R2がスルホC1−C4アルコキシ基、R3が水素原子、R4が水素原子、メチル基またはエチル基である上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(5)
基Aが式(2)で表され、R1がメチル基またはカルボキシ基、R5がスルホC1−C4アルキルチオ基またはカルボキシC1−C4アルキルチオ基である上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(6)
基Aが式(3)で表され、R1がメチル基またはカルボキシ基、R6からR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルスルホニル基である上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、。
(7)
nが1、R1がカルボキシ基、R2がスルホプロポキシ基、R3が水素原子、R4がメチル基、R6からR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、メチル基、メトキシ基、メチルスルホニル基であり、かつ基Bがスルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いフェニル基である上記(1)乃至(4)又は(6)に記載のトリスアゾ化合物またはその塩、
(8)
上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩を、色素として少なくとも1種含有することを特徴とするインク組成物、
(9)
上記(8)に記載のインク組成物を用いてインクジェットプリントにより記録することを特徴とするインクジェットプリント方法、
(10)
インクジェットプリント方法における被記録材が情報伝達用シートである上記(9)に記載のインクジェットプリント方法、
(11)
情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである上記(10)に記載のインクジェットプリント方法、
(12)
上記(8)に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ、
(13)
上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩によって着色された着色体、
に関する。
式(1)で表されるトリスアゾ化合物は互変異性体を有し、この互変異性体としては、式(1)の化合物以外に下記式(4)から(6)等が考えられる。これらの互変異性体も本発明に含まれる。
より好ましくは直鎖C1−C6、さらに好ましくは直鎖C1−C4アルコキシカルボニル基である。具体例は、上記のうちから該当するものと同じである。
該C1−C4アルキル基が置換基を有する場合も、該アルキル基は好ましいものを含めて上記と同じでよい。置換基がC1−C8アルコキシカルボニル基である場合、該アルコキシカルボニル基は、R1がC1−C8アルコキシカルボニル基である場合と、好ましいものを含めて同じでよい。
R1がC1−C8アルコキシカルボニル基で置換されたC1−C4アルキル基の場合、好ましい具体例としては、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、n−ブトキシカルボニルメチル、n−オクチルオキシカルボキシエチル等が挙げられる。
R1がカルボキシ基で置換されても良いC1−C4アルキル基の場合、好ましい具体例としてはカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、等が挙げられる。
式(1)における好ましいR1の具体例としては、メチル、エチル、tert−ブチル、カルボキシメチル、3−カルボキシプロピル、メトキシカルボニルメチル、カルボキシ、メトキシカルボキシ、エトキシカルボキシ、n−オクチルオキシカルボキシ、フェニル、2−ヒドロキシフェニル、4−スルホフェニルメチルであり、より好ましくはメチル、カルボキシメチル、カルボキシ、フェニルであり、さらに好ましくはメチル、カルボキシである。
該アルコキシ基がヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
該モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基が、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ等のヒドロキシ置換モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、4−スルホブチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ等のスルホ置換モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ、2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ等のカルボキシ置換モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;等が挙げられる。
該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基が、ヒドロキシ基またはカルボキシ基で置換されている場合、該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては例えば、、ヒドロキシエタノイルアミノ、2−ヒドロキシプロパノイルアミノ、4−ヒドロキシブタノイルアミノ等のヒドロキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;3−カルボキシプロパノイルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。
該N’−C1−C4アルキルウレイド基が、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシエチルウレイド等のN’−ヒドロキシC1−C4アルキルウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−スルホC1−C4アルキルウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−カルボキシC1−C4アルキルウレイド基;等が挙げられる。
R5が置換基を有するC1−C4アルキルチオ基の場合、該置換基はヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基が好ましく、スルホ基又はカルボキシ基がより好ましい。置換基を有するC1−C4アルキルチオ基の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシチオ等のヒドロキシC1−C4アルキルチオ基;メトキシエチルチオ、エトキシエチルチオ、n−プロポキシエチルチオ、イソプロポキシエチルチオ、n−ブトキシエチルチオ、メトキシプロピルチオ、エトキシプロピルチオ、n−プロポキシプロピルチオ、イソプロポキシブチルチオ、n−プロポキシプロピルチオ等のC1−C4アルコキシC1−C4アルキルチオ基;2−ヒドロキシエトキシエチルチオ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルチオ基;3−スルホプロピルチオ、4−スルホブチルチオ等のスルホC1−C4アルキルチオ基;カルボキシメチルチオ、2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ等のカルボキシC1−C4アルキルチオ基;等が挙げられる。
式(7)におけるZ1、Z2、Z3、Z4のアルキル基の具体例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられ、ヒドロキシアルキル基の具体例としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基が挙げられ、ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシC1−C4アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては水素原子;メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシC1−C4アルキル基が挙げられる。
下記式(8)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これと下記式(9)で表される化合物を常法によりカップリング反応させ下記式(10)で表される化合物を得る。
各表においてスルホ基及びカルボキシ基などの官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載するものとする。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類または複素環類等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の例としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸またはジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体またはポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤の具体例としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、またはイミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系、その他の具体例として例えば、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTGなどが挙げられる。
これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。
公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、前記インクジェットプリント方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;および無色透明のインクを用いる方式なども含まれる。
着色されうるものとして特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。
このうち情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること;または多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工すること;などにより設けられる。
このようなインク受容層を設けた情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。その具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパーまたはマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア;日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルムまたはフォト用紙;コニカ株式会社製、商品名 フォトライクQP;等として市販品が入手可能である。なお、普通紙も当然に使用できる。
本発明のインクジェットプリント方法は、本発明の黒色インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)などの各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明の黒色インク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置にセットしてインクジェットプリントに使用される。
又、本発明の色素を含有するインク組成物は、インクジェットプリント用、筆記具用として用いることが可能である。
さらに情報記録用シート、特にインクジェット専用紙にプリントした場合、そのプリント画像の印字濃度が高く、加えてプリント画像の耐久性、特に耐オゾンガス性、および耐光性が優れている。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
又、下記の各式において、スルホおよびカルボキシなどの官能基は遊離酸の形で表記するものとする。
また以下に記載するpH値および反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示す。
また合成した化合物の最大吸収波長(λmax)はpH7〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に測定値を記載した。
なお合成した本発明のトリスアゾ化合物は、いずれも水に対して100g/L以上の溶解度を示した。
(1)
2−アミノベンゾチアゾール−6−カルボン酸2.5部を85%燐酸25部に懸濁し、撹拌下、5〜10℃で40%ニトロシル硫酸5.5部を約10分間で滴下することによりジアゾ懸濁液を得た。
一方、水30部に下記式(14)の化合物3.0部、スルファミン酸0.6部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH5.0〜5.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に上記のジアゾ懸濁液を反応温度20〜30℃、約10分間で滴下した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてpH0.7〜1.2にした後に析出固体を濾取することにより、下記式(15)の化合物を含むウェットケーキを得た。
なお下記式(14)の化合物は、特開2004−083492号に記載の方法で得た。
水30部に下記式(16)の化合物3.0部次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5〜8.0とすることにより水溶液を得た。
一方、撹拌下、実施例1(1)で得られた式(15)の化合物を含むウェットケーキを水110部に懸濁し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0〜6.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に35%塩酸3.6部、次いで反応温度15〜20℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.2部を約5分間で滴下することにより、ジアゾ懸濁液を得た。
得られたジアゾ懸濁液を、先に得られた式(16)の化合物を含む水溶液に、反応温度20〜30℃、20分間で滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾取することにより、下記式(17)の化合物を含むウェットケーキを得た。
水30部に下記式(18)の化合物3.3部次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5〜8.0とすることにより水溶液を得た。
一方、撹拌下、実施例1(2)で得られた式(17)の化合物を含むウェットケーキを水150部に溶解し、35%塩酸3.3部、次いで反応温度20〜25℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.0部を約5分間で滴下することにより、ジアゾ液を得た。
得られたジアゾ液を、先に得られた式(18)の化合物を含む水溶液に、反応温度20〜30℃、30分間で滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体を濾取することにより、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水180部に溶解し、メタノール250部を添加して晶析し、析出した固体を濾取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水150部に溶解し、メタノール400部を添加して晶析し、析出した固体を濾取し、乾燥することにより本発明の下記式(19)の化合物(表6におけるNo.29の化合物)12.0部をナトリウム塩として得た。
λmax:582.5nm。
(1)
2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール5.0部を15%発煙硫酸16部中に15〜25℃でゆっくり添加した。添加後、同温度で2時間撹拌した後、60部の氷水中に約10分間で滴下した。析出した結晶を濾取し、乾燥して、下記式(20)の化合物6.4部を得た。
50%硫酸20部に実施例2(1)で得られた式(20)の化合物3.2部を50%硫酸20部に懸濁し、撹拌下、5〜10℃で40%ニトロシル硫酸4.7部を約10分間で滴下することによりジアゾ懸濁液を得た。
一方、水30部に上記式(14)の化合物2.9部、スルファミン酸0.4部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH5.0〜5.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に上記のジアゾ懸濁液を反応温度20〜30℃、約10分間で滴下した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてpH0.7〜1.2にした後に析出固体を濾取することにより、下記式(21)の化合物を含むウェットケーキを得た。
実施例1(2)において、式(15)の化合物を含むウェットケーキを、式(21)の化合物を含むウェットケーキとする以外は実施例1と同様にして、本発明の下記式(22)の化合物11.3部をナトリウム塩として得た。なお、この化合物は、上記表4におけるNo.14の化合物と表5におけるNo.22の化合物の混合物である。
λmax:604.0nm。
実施例2(2)において、式(20)の化合物3.2部を2−アミノベンゾチアゾール−6−スルホン酸3.5部とする以外は実施例2と同様にして、本発明の下記式(23)の化合物(表5におけるNo.24の化合物)12.9部をナトリウム塩として得た。
λmax:604.5nm。
実施例2(2)において、式(20)の化合物3.2部を2−アミノベンゾチアゾール−6−スルホン酸3.3部とし、また式(14)の化合物2.9部を4−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸2.9部とする以外は実施例2と同様にして、本発明の下記式(24)の化合物(表4におけるNo.16の化合物)11.3部をナトリウム塩として得た。
λmax:552.5nm。
(A)インクの調製
下記する各成分を混合することにより黒色の本発明のインク組成物を得た後、0.45μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別した。得られたインク組成物を、以下「インク」という。
また水はイオン交換水を使用した。インク調製時において、インクのpHは水酸化ナトリウムにてpH7〜9に調整し、その後イオン交換水を加えることにより総量100部とした。
実施例1〜4で得られた各化合物 3.5部
グリセリン 5.0部
尿素 5.0部
N−メチル−2−ピロリドン 4.0部
イソプロピルアルコール 3.0部
ブチルカルビトール 2.0部
界面活性剤 0.1部
(商品名サーフィノール104 日信化学社製)
水+水酸化ナトリウム 77.4部
計 100.0部
比較対象の黒色色素として、特許文献7の実施例1に開示された下記式(25)の色素を各実施例の化合物の代わりに用いる以外は、表8と同様の組成とし、比較用のインクを調製した。このインクを用いて行った下記各種の試験を比較例1とする。
上記で得られたインクを使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名 PIXUS iP4100 により、光沢紙1(キヤノン社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー PR−101)、光沢紙2(EPSON社製、商品名 写真用紙クリスピア(高光沢))、光沢紙3(HP社製、商品名 アドバンスフォト用紙(光沢))の3種の情報記録シート(インクジェット専用紙)にインクジェットプリントを行った。
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調で得られるように画像パターンを作り、黒色の印字物を得た。
実施例6〜9、及び比較例1のインクを用いて得られた各プリント画像は、耐光性および耐オゾンガス性のそれぞれに対して、試験前後の画像の濃度変化について評価を行った。
プリント画像の濃度変化は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名 SpectroEye を用い、試験前のプリント画像の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を測色することにより測定した。
尚、試験は光沢紙1、2、及び3のそれぞれについて行い、試験結果を表9に示した。
具体的な試験方法は下記の通りである。
1)耐オゾンガス性試験
スガ試験機社製、商品名 オゾンウェザオメーターを用いてオゾン濃度を40ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で各プリント画像を4時間放置した。試験終了後、上記の測色機を用いて測色し、各プリント画像の色素の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)の式で求めた。試験結果は、以下の基準で評価を行った。
○ 残存率:75%以上
△ 残存率:65%以上で75%未満
× 残存率:65%未満
2)耐光性試験
スガ試験機(株)社製、商品名 低温キセノンウェザオメーターXL75を用い、10万Lux照度、湿度60%RH、温度24℃の条件で上記の各プリント画像に対して96時間照射を行った後、上記の測色機を用いて測色し、各画像の色素の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)の式で求めた。試験結果は、以下の基準で評価した。
○ 残存率:80%以上
△ 残存率:70%以上で80%未満
× 残存率:70%未満
表9
耐オゾンガス性 耐光性
比較例1 (式(25))
光沢紙1 × ×
光沢紙2 × △
光沢紙3 × △
実施例6 (式(19))
光沢紙1 ○ ×
光沢紙2 ○ ○
光沢紙3 ○ ○
実施例7 (式(22))
光沢紙1 ○ △
光沢紙2 ○ ○
光沢紙3 ○ ○
実施例8 (式(23))
光沢紙1 △ ×
光沢紙2 ○ ○
光沢紙3 ○ △
実施例9 (式(24))
光沢紙1 ○ ×
光沢紙2 ○ △
光沢紙3 ○ △
また耐光性試験においても同様に差が認められ、実施例6、7は光沢紙2、3を用いた場合には色素残存率が80%以上を、実施例8は光沢紙2を用いた場合には色素残存率が80%以上を示すのに対して、比較例1は同様の光沢紙用いた場合には色素残存率が70%以上80%未満であった。このことより、実施例6、7は比較例1に対して良好な結果が得られ、また実施例8、9についても比較例1と同等かそれ以上の結果が得られた。
以上の結果から、本発明のトリスアゾ化合物を含有するインクにより得られたプリント画像の堅牢度は、比較例1に用いた従来のトリスアゾ化合物の画像と比較しても極めて優れ、特にインクジェットプリント画像に要求される耐オゾンガス性に極めて優れ、同時に耐光性にも優れているバランスの良い染料であることがわかる。
Claims (13)
- 下記式(1)で表されるトリスアゾ化合物またはその塩
R1はカルボキシ基;C1−C8アルコキシカルボニル基;C1−C8アルコキシカルボニル基またはカルボキシ基で置換されていても良いC1−C4アルキル基;またはヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されていても良いフェニル基を表し、
R2からR4はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いモノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;ヒドロキシ基またはカルボキシ基で置換されても良いC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いN’−C1−C4アルキルウレイド基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いフェニルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いベンゾイルアミノ基;またはベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されていても良いフェニルスルホニルアミノ基;をそれぞれ表し、
基Aは下記式(2)または(3)で示される置換複素環基であり、
基Bは置換されても良いフェニル基またはナフチル基であり、
基Bが置換フェニル基の場合はヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;アミノ基;モノまたはジC1−C4アルキルアミノ基;アセチルアミノ基;ベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いベンゾイルアミノ基;よりなる群から選択される置換基を有し、
基Bが置換ナフチル基の場合はヒドロキシ基;スルホ基;C1−C4アルコキシ基;ベンゼン環がメチル基、ニトロ基または塩素原子で置換されても良いフェニルスルホニルオキシ基;よりなる群から選択される置換基を有する。)。 - 基Bが置換されても良いフェニル基であり、置換基がヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシ基である請求項1に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- 基Bが置換されても良いナフチル基であり、置換基がヒドロキシ基またはスルホ基である請求項1に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- R1が無置換C1−C4アルキル基またはカルボキシ基、R2がスルホC1−C4アルコキシ基、R3が水素原子、R4が水素原子、メチル基またはエチル基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- 基Aが式(2)で表され、R1がメチル基またはカルボキシ基、R5がスルホC1−C4アルキルチオ基またはカルボキシC1−C4アルキルチオ基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- 基Aが式(3)で表され、R1がメチル基またはカルボキシ基、R6からR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、C1−C4アルキルスルホニル基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- nが1、R1がカルボキシ基、R2がスルホプロポキシ基、R3が水素原子、R4がメチル基、R6からR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、メチル基、メトキシ基、メチルスルホニル基であり、かつ基Bがスルホ基またはカルボキシ基で置換されても良いフェニル基である請求項1乃至4又は6に記載のトリスアゾ化合物またはその塩。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩を、色素として少なくとも1種含有することを特徴とするインク組成物。
- 請求項8に記載のインク組成物を用いてインクジェットプリントにより記録することを特徴とするインクジェットプリント方法。
- インクジェットプリント方法における被記録材が情報伝達用シートである請求項9に記載のインクジェットプリント方法。
- 情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するものである請求項10に記載のインクジェットプリント方法。
- 請求項8に記載のインク組成物を含む容器を装填したインクジェットプリンタ。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載のトリスアゾ化合物またはその塩によって着色された着色体。
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