JP2009065427A - 音響信号用電力増幅装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハイパスフィルタ部51、ローパスフィルタ部52は、カットオフ周波数が可聴帯域の上限(18kHzないし22kHz)以上の設定値に固定設定されて周波数特性がクロスオーバする特性を有している。ハイパスフィルタ部51は入力信号(1)の周波数成分の内、高域成分を抽出し、ローパスフィルタ部52は低域成分を通過させる。ハイパスフィルタ部51の出力信号(2)は、レベル制御部53に入力され、ここで、高域成分のレベルが所定値を超えないようにゲイン(利得)が制御された出力信号(4)となり、加算器54において、ローパスフィルタ部52の出力信号(5)と加算(混合)され、高域制限部26の出力信号(6)となる。
【選択図】図3
Description
最近では、可聴帯域よりも高域の成分を記録再生できる音楽ソースが増えてきた。例えば、以前のデジタルオーディオのサンプリング周波数は44.1kHz又は48kHzであったが、DVDオーディオ、SACD(スーパオーディオ・コンパクト・ディスク)など、サンプリング周波数が96kHz,192kHz、さらに、それ以上の音楽ソースが出現している。
業務用の音響機器、例えば、ディジタルミキサにおいても、サンプリング周波数を96kHz,192kHzに上げて、可聴帯域よりも高域の成分を減衰させることなく処理するものが出現した。
このような高いサンプリング周波数であれば、その半分の周波数まで、従って、人間の可聴帯域(20Hz〜20kHz、個人差、年齢差がある)よりも高域の成分を含んだオーディオ信号を処理することができる。
従って、業務用の大出力オーディオ・パワーアンプについても、可聴帯域よりも高域の成分を減衰させずに出力したいという要望がある。
そこで、業務用オーディオ・パワーアンプにおいて、入力部のローパスフィルタ(LPF)を取り外して高域成分も減衰させずに出力できるようにしたい。
B級又はAB級のパワーアンプの場合、元来、電力利用効率が良いため、これに合わせてヒートシンク(放熱器)の放熱能力が設計されているために、発熱量の増加により、出力トランジスタを破壊してしまうおそれがある。
従来のオーディオ・パワーアンプにおいては、過大出力電力等に対して、出力段のトランジスタやスピーカを保護する回路が設けられている(特許文献1参照)。保護回路は、例えば、出力段への信号を減衰させたり遮断させたりする。
しかし、高域の成分が過大であった場合に、これを直接的に検出してスピーカやトランジスタやを保護する回路は設けられていなかった。
例えば、高効率アンプ駆動技術を採用したオーディオ・パワーアンプ(特許文献2参照)は、出力トランジスタに供給する電源電圧をオーディオ入力信号の瞬時振幅に追従させて、出力トランジスタを動作させるに必要な最小限のコレクタ電圧を供給することにより、出力トランジスタのコレクタ損失を最小限に抑えるものである。
そのために、オーディオ入力信号の瞬時振幅に応じてスイッチング動作をする主電源路と、主電源路の不足分を補うために、入力信号の瞬時振幅に高速で追従する直列型の電圧制御をする補助電源路とを備えている。
しかし、可聴帯域を超える高域の信号に対しては制御動作に時間遅れが生じる。そのため、高域の入力信号の瞬時振幅が0又は0に近い期間においても、出力トランジスタのコレクタ電圧が低下しなくなる。そのため、出力トランジスタのコレクタ損失が増大し、発熱量が増えて、出力トランジスタを壊してしまうという問題もある。
その結果、電力増幅手段に入力される信号に含まれる、可聴帯域の上限以上の設定値を超える高域成分のレベルが所定値を超えないから、ボイスコイルの破損からスピーカを保護するとともに、内部損失の増大による温度上昇による熱破壊から出力トランジスタを保護することができる。
可聴帯域の上限値は18kHzないし22kHz、典型的には20kHzとする。可聴帯域の上限以上の設定値としては、この上限値に設定すればよい。
従って、可聴帯域を超える高域の成分に対して、出力トランジスタに供給する電源電圧が追従できない場合に、出力トランジスタの損失が大きくなって温度が上昇することによる熱破壊を回避することができる。
出力トランジスタとしては、バイポーラトランジスタを用いる他、MOS-FET(metal oxide semiconductor - field effect transistor)を用いる場合もある。
これに対し、可聴帯域の上限以上の設定値を超える高域成分のレベルが、固定設定された閾値を超えた場合は、その高域成分のレベルが制限される。このような高域成分は、もともと人間の可聴帯域の上限を超えているから、制限されたことに気付かれることが少ない。その結果、人に気付かれないような高域成分によりスピーカのボイスコイルや出力トランジスタが破損するのを未然に防止できるという効果がある。
図中、1はソースであって、可聴帯域よりも高域の成分を含んだ音響信号を出力する装置である。2はパワーアンプ、3はパワーアンプ2の負荷となるスピーカである。
図示の例では、1系統の信号経路を示している。スピーカ3は、クロスオーバ・ネットワークを介して接続される複数のスピーカユニットで構成される場合もある。また、可聴帯域を複数に分割し、各帯域別にパワーアンプを使用してマルチアンプ構成にする場合は、各アンプの内部に、クロスオーバ・ネットワーク用フィルタを内蔵する。この場合、その高域を分担するパワーアンプに本願発明の実施形態を適用する。
信号処理部5は、例えば、96kHzのサンプリング周波数で処理を行い、可聴帯域(20kHz)を超える48kHz近傍までの周波数成分を処理する。信号処理部5では、図2を参照して後述するように、特性調整及びレベル制御を実行するとともに、本願発明の実施形態に特有の、高域制限処理を実行する。信号処理された波形データ形式の信号は、D/A・A/D部6に出力される。
電力増幅部7においては、図2を参照して後述するように、電流、電圧、温度を検出しており、これらのアナログ検出信号は、D/A・A/D部6において、A/D変換されて信号処理部5に戻される。
従って、図示の信号処理部5は、オーディオ信号の処理に加えて、電力増幅部7の保護のために、電流、電圧、温度の異常を検出し、電力増幅部7に供給する信号を減衰させたり遮断(カット、ミュート)させたりする処理を行う。
CPU12は、また、パワーアンプの電源起動時に、フラッシュメモリ13に記憶されていた信号処理部5を機能させるためのプログラム、及び、係数データを信号処理部5に初期設定(セットアップ)する。なお、上述した電力増幅部7の保護のための検出機能は、信号処理部5に代えてCPU12が実行してもよい。この場合も、電力増幅部7に出力する信号の減衰又は遮断処理自体は、信号処理部5内で実行することができる。
表示器10は、入力信号のレベルを表示したり、係数データの設定値を表示したり、検出している温度、電圧、電流の異常を表示したりする。
その他の入出力部(I/O11)は、外部コントローラ、パーソナルコンピュータに接続するためのLANインタフェースである。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付している。
21は特性調整部であって、波形入力部4が出力した波形データ形式の入力信号の特性を調整するブロックであって、クロスオーバフィルタ部22、ディレイ部23、イコライザ部24、リミッタ部25を有している。
ディレイ部23は、広い会場に複数のスピーカを配置する場合において、各スピーカに出力を供給する各パワーアンプにおいて、遅延量を調整するために使用される。
イコライザ部24は、スピーカが設置された室内の壁からの反射により定在波が立って周波数特性が平坦にならないのを補償するために使用される。これは、入力信号の周波数特性を制御する。
リミッタ部25は、過大な波形データ入力に対して、スピーカ3を保護するために使用される。
人間の可聴帯域の上限値は、一般に、20kHzと言われているが、個人差があり、また、年齢が上がるほど低下すると言われている。そこで、人間の可聴帯域の上限値を18kHzないし22kHz、典型的には20kHzとして設計する。可聴帯域の上限以上の設定値としては、この上限値に設定すればよい。
一般に、入力信号に30〜40kHz以上の高域成分のレベルが大きくなると、問題が生じる。従って、可聴帯域の上限以上の設定値を30kHzとして、これを超える高域成分について、そのレベルが過大になったときに、この高域成分のレベルを抑制して出力するように設計してもよい。
高域制限部26を実現するための詳細な構成は、図3〜図5を参照して後述する。
レベル制御部27は、また、電力増幅部7を保護すべき時に、信号処理部5から出力される信号のレベルを減衰させたり遮断させたりする処理を実行する。
D/A・A/D部6内には、後述する温度検出部46,電流検出部47,電圧検出部48のアナログ検出出力をディジタル値に変換するA/D変換器33,34,35を備えている。
後続のレベル制御部27において音量ボリュームにより設定される設定レベルの値に応じて、レベル制限をする閾値をシフトさせて、電力増幅部7への出力信号のレベルに対して高域制限ができるようにすればよい。
あるいは、レベル制御部27の後に高域制限部26を設けるとともに、信号処理部5から出力する信号の減衰や遮断処理は、高域制限部26の後に、図示しない第2のレベル制御部を設けて実行するようにし、この第2のレベル制御部の出力を、信号処理部5の出力とすればよい。
36はオーディオ信号を入力する前段増幅部、37は正電源、38は負電源、39は正側の入力信号追従型電源部、40は前段増幅部36から正方向のバイアスを加えられた信号を入力し、正側の電力増幅をする出力トランジスタ、41はそのエミッタ抵抗である。42は負側の追従型電源部、43は前段増幅部36から負方向のバイアスを加えられた信号を入力し、負側の電力増幅をする出力トランジスタ、44はそのエミッタ抵抗である。出力トランジスタ40,43は、AB級又はB級で動作するプッシュプル構成となっている。なお、出力トランジスタ40,43はバイポーラトランジスタとして図示しているが、MOS-FETを用いる場合もある。
温度検出部46は、ヒートシンク45の温度を検出するセンサであり、A/D変換器33により温度データとなって、信号処理部5内の温度判定部31に出力される。
電流検出部47は、出力トランジスタ40,43の各エミッタ抵抗41,44の端子電圧を検出することにより、正負の出力電流を検出し、A/D変換器34により電流データとなって、信号処理部5内のDC(直流)検出部30及び過電力検出部29に出力される。
電圧検出部48は、出力端子の電圧を検出し、A/D変換器35により電圧データとなって、DC(直流)検出部30及び過電力検出部29に出力される。
DC(直流)検出部30は、出力電圧又は出力電流に直流成分が含まれているか否かを検出し、直流成分が検出されたとき、レベル制御部27を、温度判定部31と同様に制御する。
過電力検出部29は、出力電圧と出力電流との各平均値(数100msec)を乗算することにより出力電力を検出し、この出力電力が定格を超えるとき、レベル制御部27を、温度判定部31やDC(直流)検出部30と同様に制御する。
上述した電力増幅部7において、ブロック化して表示されている部分も、回路構成としては、接地端子と接続されているが、図示を省略している。
図中、51はハイパスフィルタ(HPF)部、52はローパスフィルタ(LPF)部である。これらは、波形入力部4から特性制御部21を経由した信号を入力し、カットオフ周波数が18kHzないし22kHzに固定設定されて周波数特性がクロスオーバ(交叉)する特性を有している。カットオフ周波数近傍の特性は急峻にする必要はないから2次のフィルタを用いればよい。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)は、レベル制御部53に入力され、ここで、高域成分のレベルが所定値を超えないようにゲイン(利得)が制御された出力信号(4)となり、加算器54において、ローパスフィルタ部52の出力信号(5)と加算(混合)され、高域制限部26の出力信号(6)となって、図2に示したレベル制御部27に出力される。
図中、横軸はレベル制御部53に入力されるハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)のレベルであり、縦軸はレベル制御部53が出力する出力信号(4)のレベルである。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)は、整流部55に入力され、半波整流又は全波整流され、追従信号生成部56において、整流部55の出力信号の立ち上がりへの追従速度に比べてこの出力信号の立ち下がりへの追従速度が遅い追従信号(3)を生成する。この追従信号(3)は、ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号のレベル(エンベロープレベル)に相当する。従って、図4の横軸は追従信号(3)の大きさでもある。
入力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が閾値Thになるまで、ゲイン生成部57は、入力信号(2)を、そのまま出力信号(4)として出力する。
入力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が閾値Thを超える(Th+x)(0<x)と、ゲイン生成部57は、出力信号(4)のレベルが閾値Thを維持するようなゲインを生成する。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値Th(リニア値)になるまで、ゲイン生成部57は、ゲイン「1」を生成し、レベル制御部53は、上述した出力信号(2)にゲイン「1」を乗算して出力信号(4)とする。
上述した出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値Th(リニア値)を超えて(Th+x)となるとき、ゲイン生成部57は、1より小さい値になるゲイン「Th/(Th+x)」を生成し、レベル制御部53は、入力信号(2)にゲイン「Th/(Th+x)」を乗算して出力信号(4)とする。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値20logTh[dB]になるまで、ゲイン生成部57は、ゲイン「0[dB]」を生成し、レベル制御部53は、上述した出力信号(2)(dB値)にゲイン0[dB]を加算して出力信号(4)(dB値)とする。
上述した出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値20logTh[dB]を超えて、20log(Th+x)[dB]となったとき、ゲイン生成部57は、20logTh[dB]から20log(Th+x)[dB]を引いた値(20logTh−20log(Th+x))[dB](負値になる)を、ゲイン[?]とする。
レベル制御部53は、入力信号(2)[dB]にゲイン(20logTh−20log(Th+x))[dB]を加算して出力信号(4)とする。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が閾値Thになるまで、ゲイン生成部57は、上述した出力信号(2)を、そのまま出力信号(4)として出力するが、閾値Thを超えて大きくなるほど、出力信号(4)のレベルを小さくして、高域成分のレベルを低下させる。
信号処理をリニアで実行する場合について説明する。
上述した出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値Th(リニア値)を超えて(Th+x)となったとき、ゲイン生成部57は、{Th/(Th+x)}k(0<x,1<k)をゲイン(リニア)とする。
レベル制御部53は、上述した出力信号(2)に{Th/(Th+x)}kを乗算して出力信号(4)とする。
上述した出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が、閾値20logTh[dB]を超えて、20log(Th+x)[dB]となったとき、ゲイン生成部57は、20logTh−20log(Th+x)にkを掛けた値を、ゲイン値[?]とする。
レベル制御部53は、上述した出力信号(2)[dB]にゲインk×(20logTh−20log(Th+x))[dB]を加算して出力信号(4)[dB]とする。
そこで、上述したレベル制限特性a,bとさほど異ならない特性を簡単な演算で実現できるレベル制限特性cについて説明する。
ハイパスフィルタ(HPF)部51の出力信号(2)のレベルを表す追従信号(3)が閾値Thになるまで、ゲイン生成部57は、上述した出力信号(2)を、そのまま出力信号(4)として出力する。
レベル制御部53は、上述した出力信号(2)にゲイン(1−x)を乗算して出力信号(4)とする。出力信号(4)のレベルは、(Th+x)×(1−x)となる。追従信号(3)に対して設定される閾値Thの設定値によっては、出力信号(4)のレベルが、閾値Thを超えるが、所定のレベルを超えることはなく、全体としては、入力レベルが大きくなるほど出力レベルが小さくなる傾向がある。
レベル制限をする対象は、可聴帯域を超えた高域成分であるため、このような簡単化されたレベル制限特性であっても、音質に影響を与えることがない。
すなわち、追従信号(3)が閾値Thを超えてから所定のアタックタイムを経過した後にレベル制限処理を開始する。また、追従信号(3)が閾値を下回ってから所定のリリースタイムを経過したときにレベル制限処理を解除する。このようなアタックタイムの設定により、高域成分のレベルが一時的に過大になった程度ではレベル制御部53がレベル制限処理をしないようにしたり、リリースタイムの設定により、高域成分のレベルが過大になっている間に一時的にレベルが低下したときにも、レベル制御部53がレベル制限処理を継続するような動作をすることができる。
図5(a)は、高域制限部26への入力信号(1)を示す波形図である。可聴帯域の低周波信号成分(500Hz)と可聴帯域を超える高域の信号成分(40kHz)とが混合された信号である。高域の信号成分は、その波長が図示の時間目盛に比べて十分短いために、黒く塗りつぶされたようになっている。レベル制限特性の動作がよくわかるようにするため、レベルが変動する高域成分を入力している。
図5(c)は、追従信号(3)を示す波形図である。この追従信号(3)は、図5(b)に示したハイパスフィルタ(HPF)51の出力信号(2)のレベルにほぼ等しい。しかし、追従信号生成部56において、信号の立ち上がりへの追従速度に比べて該信号の立ち下がりへの追従速度が遅いことから、追従信号(3)は、波形の立ち上がりの傾斜に比べて立ち下がりの傾斜の方が緩やかになっている。そのため、出力信号(2)のレベル(エンベロープ波形のレベル)とは厳密には一致しない。従って、ゲイン生成部57における閾値と出力信号(4)のレベル制限が開始される値とは、厳密には一致しない。
図5(d)はレベル制御部53の出力信号(4)を示す波形図である。この出力信号(4)の波形のレベルが所定値=(0.55+x)(1−x)の最大値=0.6(x=0.225)を超えないようにレベル制限されている。
図示のように、出力信号(2)及び出力信号(3)が閾値Th=0.55を超えている期間において、出力信号(4)の波形が凹んでいる。これは、レベル制限特性bが、ハイパスフィルタ(HPF)51の出力信号(2)のレベルが大きくなるにつれて、出力信号(4)のレベルを低下させる傾向を有するためである。
図5(a)と図5(e)とを比較すると、高域成分のレベルが低下している。その結果、後続の電力増幅器7の出力トランジスタや負荷であるスピーカを破損から保護する。
しかし、「ディエッサー」は、もともと、「サシスセソ」(周波数3〜7kHz)にあたる摩擦音に対してコンプレサが働くようにユーザが調整するものである。
これに対して、本願発明の実施形態において、目的とするところは、オーディオ信号の特性調整ではなく、スピーカや出力トランジスタの保護であるから、ハイパスフィルタ(HPF)部51及びローパスフィルタ部52のカットオフ周波数が、通常では設定されることのない可聴帯域の上限(18kHzないし22kHz)以上の設定値であって、かつ、ユーザによる調整対象ではなく、固定的に設定されているという点で、従来の「ディエッサー」とは相違する。
また、高域制限部26におけるゲイン生成部57において、アタックタイムやリリースタイムを設定する場合についても、スピーカや出力トランジスタの保護に適した値が固定的に設定される。
上述した説明では、電力増幅部7は、高効率アンプ駆動技術を採用したものを具体例としたが、これに限られない。また、出力トランジスタがB級又はAB級で動作するものであったが、本発明を、D級(パルス幅変調方式)で動作する電力増幅部を有したパワーアンプに適用することもできる。いずれの場合も、可聴帯域を超える過大な高域成分が、スピーカを破損させたり、電力増幅部の出力段のトランジスタ(バイポーラトランジスタ又はMOS-FET)における貫通電流(縦電流)を増加させて、出力段のトランジスタを熱破壊させることを防止することができる。
21…特性調整部、26…高域制限部、39,42…入力信号追従型電源、
51…ハイパスフィルタ、52…ローパスフィルタ、53…レベル制御部、54…加算器(混合手段)、55…整流部、56…追従信号生成部、57…ゲイン生成部
40,43…出力トランジスタ、37…正電源、38…負電源
Claims (2)
- 音響信号を入力する入力手段と、
該入力手段が入力した音響信号を入力し、カットオフ周波数が可聴帯域の上限以上の設定値に固定されて周波数特性がクロスオーバするハイパスフィルタ及びローパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタから出力される信号を入力し、該信号のレベルをゲイン制御信号に応じて制御するレベル制御手段と、
前記ハイパスフィルタから出力される信号を入力して整流する整流手段と、
該整流手段から出力される信号に追従し、該信号の立ち上がりへの追従速度に比べて該信号の立ち下がりへの追従速度が遅い追従信号を生成する追従信号生成手段と、
前記追従信号生成手段から出力される追従信号を入力し、該追従信号が、固定設定された閾値を超えたとき、前記レベル制御手段が出力する信号のレベルが所定値を超えないように前記ゲイン制御信号を生成するゲイン生成手段と、
前記レベル制御手段から出力される信号と前記ローパスフィルタから出力される信号とを混合する混合手段と、
該混合手段が出力する信号を入力して電力増幅する電力増幅手段、
を備えたことを特徴とする音響信号用電力増幅装置。 - 前記電力増幅手段は、当該電力増幅手段が入力した信号に追従して出力トランジスタに供給する電源電圧を制御する入力信号追従型電源を有するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響信号用電力増幅装置。
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