JP2009064620A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極活物質層22の長手方向長さが、負極活物質層32の長手方向長さよりも長く形成されているので、内部短絡が発生した場合に大きなジュール発熱を発生する正極集電体21の露出部と負極活物質層32が対向する箇所がなくなるので、混入異物によるデンドライトショートや、充放電に伴う電極の膨張収縮に伴う内部圧力変化による通常使用条件下で発生するような内部短絡時の安全性を飛躍的に高めることができることになる。
【選択図】図1
Description
5(mm)≦X(mm)≦L×(1−A/100)/n・・・(式1)
ここで、
Lは正極活物質層の長手方向長さ(mm)
Aは負極の理論上の容量に対して設計上用いられる容量の比率(%)
nは正極に積層される絶縁体の数
図1は本発明の実施形態にかかる非水電解質二次電池の構成を示す分解斜視図、図2(A)は正極と負極とを重ねた平面図、図2(B)は正極および負極の側面図、図2(C)は絶縁体によって保護されていない正極活物質層と対向する負極面積を示す平面図、図2(D)は絶縁体による保護部を含めた正極活物質層面積を示す平面図、図3は正極上の絶縁体設置位置を示す拡大平面図である。
5(mm)≦X(mm)≦L×(1−A/100)/n・・・(式1)
ここで、
Lは正極活物質層の長手方向長さ(mm)
Aは負極の理論上の容量に対して設計上用いられる容量の比率(%)
nは正極に積層される絶縁体の数である。
正極活物質層22を形成する正極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な遷移金属酸化物など公知の正極材料を制限なく使用可能であり、目的とする電池の種類に応じて、金属酸化物、金属硫化物又は特定のポリマーを正極活物質として用いて構成することができる。正極活物質としては、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物や、LixMO2(式中、Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10である)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。
正極活物質層22中には必要に応じて導電材料、各種機能を発現する添加剤等を含有してもよい。導電材料としては、上記活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、グラファイト、カーボンブラック等の炭素粉末が挙げられる。正極活物質層22を形成する手法としては、例えば、粉体上の活物質をバインダーとともに溶剤と混合し、必要に応じてボールミル、サンドミル、二軸混練機等により分散塗料化した後、集電体上に塗布して乾燥する方法が好適に行われる。
尚、上述した実施の形態では、リチウムイオン二次電池10を例に挙げて説明したが、本発明に係る非水電解質電池はこれに限定されるものではなく、電解質として固体電解質やケ゛ル上の電解質を用いることも可能であり、また、巻回構造の電池素子を備えていれば、円筒型、角型、薄型や、外装材にラミネートフィルム等を用いた電池等、様々な大きさ、形状の非水電解質電池に適用可能である。
図4および図5に実施例1が示されている。この実施例1においては、正極活物質としてLiCoO2(96wt%)と、導電剤としてケッチェンブラック(1wt%)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(3wt%)を混合して正極活物質を調整した後に、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させて正極活物質スラリーとし、厚さ15μmのアルミニウム集電体21上に塗布して乾燥させ、ローラープレスにより一定圧力で圧縮成型した後、スリットすることで帯状正極20を作製した。尚、この際正極活物質層22形成部のプレス後の電極総厚が160μm、体積密度が3.5g/cm3となるように塗布量を調整した。この正極電極20において、負極活物質層32と対向しない正極活物質層22に厚さ25μmのポリプロピレン(PP)粘着テープ15を、正極スリット幅に対して片側クリアランス(突出量α)が+0.1mm、正極塗布部を(X=)5mm、正極集電体21を正極塗布際から(β=)2mm覆う様に貼り付けた(図3参照)。
充電電圧4.20V、充電電流1000mA、充電時間3時間の条件で充電を行い、電池10を解体して負極表面への金属リチウム析出状態を確認した(金属リチウム析出試験)。
また、以上のようにして作製した非水電解質二次電池10について、充電電圧4.35V、充電電流1000mA、充電時間3時間の条件で充電を行った。この電池10を用い、電圧を測定しながら内部短絡が発生するまで、Φ10mmの丸棒で電池10を押し潰す圧壊試験を実施し、電池缶13表面に設置した熱電対により、内部短絡が発生した後の電池10の発熱速度を測定した(圧壊時発熱試験)。また、電池缶13中央部に、100mm/secの速度で直径2.5mmの釘を貫通させた場合の電池缶表面温度を熱電対により測定した(釘刺し時発熱試験)。
前述した実施例1の正極活物質塗布部上の絶縁テープ設置位置を、電池素子12内周面側の正極塗布長L=544mmから式(1)を用いて試算したX=13.6mmとし、電池素子12外周面側の正極塗布長L=566mmから式(1)により試算したX=13.9mmとした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池10を作製し、各試験を実施した(図4および図5参照)。
実施例1の正極集電体21上への絶縁テープ15設置位置を正極塗布際から5mm覆う様にした(図4および図5参照)以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
実施例1の正極電極上へ設置する絶縁テープを正極スリット幅に対して片側クリアランスを+1.5mmとした(図4および図5参照)以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
実施例1の絶縁テープ設置位置に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子を溶解、塗布、乾燥して形成した絶縁膜を絶縁体15として設置した(図4および図5参照)以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池10を作製し、各試験を実施した(図12参照)。尚、この場合、正極スリット面も覆う様にPVDF層を設置している。
図6および図7に示すように、正極活物質塗布長が、負極活物質塗布長よりも短くなるように設計し、巻き始めと巻き終わりに存在する正極集電体21露出部と負極活物質塗布部対向面の正極集電体露出部に、ポリプロピレン粘着テープ15を貼りつけた以外は、実施例と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
また、内部短絡試験用には、正極集電体21と負極活物質塗布部対向面に設置したポリプロピレン粘着テープ15上に、一辺が200μmのNi金属片を設置して電池10を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
図8および図9に示すように、正極集電体露出部全面を絶縁保護し、正極電極を正極活物質部で裁断した以外は、実施例と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
図10および図11に示すように、負極活物質塗布部と対向していない正極活物質塗布部の負極対向面にポリプロピレン粘着テープを貼り付けた以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
実施例1の正極電極上へ設置する絶縁テープ15を正極スリット幅に対して片側クリアランスを±0mmとした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した(図12参照)。
実施例1の正極活物質塗布部上の絶縁テープ設置長を20mmとした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製し、各試験を実施した。また、この仕様での金属リチウム析出状態観察は、充電:4.20V,1000mA,3時間後、休止12時間、放電:1000mA,終止電圧3.0Vの充放電を50回繰り返した後の充電状態で解体し、観察を行った。
実施例1の正極活物質塗布部上の絶縁テープ設置長を4mmとした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。この結果、n=50の試作で、正極活物質塗布部上の絶縁テープ設置位置と対向する範囲に、負極活物質塗布端が入らなかったものが5個発生する不具合が確認された。
実施例1の正極集電体上への絶縁テープ設置位置を正極塗布際から1mm覆う様にした以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。この結果、n=50の試作で、正極集電体21から絶縁テープが剥がれているものが、23個発生する不具合が確認された。
図12から分かるように、比較例1では、絶縁体で保護されているものの、正極集電体露出部と負極活物質塗布部対向面が存在しており、この位置で絶縁体を突き破るような内部短絡が発生した場合は、大きなジュール発熱が発生してしまう。
11 セパレータ
12 電池素子
15 絶縁体
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
Claims (4)
- 正極集電体に正極活物質層が設けられた正極と、
負極集電体に負極活物質層が設けられた負極とがセパレータを介して積層されて巻回された電池素子を有する非水電解質二次電池であって、
前記正極活物質層の長手方向長さが、
前記負極活物質層の長手方向長さよりも長いことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記正極活物質層の長手方向両端部における前記負極活物質層に対向する対向部から前記負極活物質層に対向しない非対向部にわたってイオン導電性および電子導電性を有しない絶縁体が配置され、
前記絶縁体における前記正極活物質層の長手方向に沿った長さXが下記式1を満たすことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
5(mm)≦X(mm)≦L×(1−A/100)/n・・・(式1)
ここで、
Lは正極活物質層の長手方向長さ(mm)
Aは負極の理論上の容量に対して設計上用いられる容量の比率(%)
nは正極に積層される絶縁体の数 - 前記正極活物質層の長手方向両端部における前記負極活物質層に対向する対向部にイオン導電性および電子導電性を有しない絶縁体が配置され、
前記絶縁体における巻回軸線に沿った幅方向両端部が前記正極活物質層における前記巻回軸線に沿った幅方向寸法に対してそれぞれ0.1mm以上突出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。 - 前記絶縁体が塗布により形成され、且つ前記正極集電体の端面にも塗布されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
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