JP2009061582A - 割出しテーブルのクランプ機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンの作用力を増力させて大きなクランプ力を作用させる円テーブルのクランプ機構であっても、アンクランプ時にクランプ解除のために強い力の必要のないクランプ機構を提供することを目的とする。
【解決手段】割出しテーブルのクランプ構造において、ピストンと摩擦プレートの間に配置されピストンの力を増力させて摩擦プレートへ伝える増力手段を有し、該増力手段が前記ボディと接する支点部と前記ピストンの力を受ける入力部と該入力部で受けた力を増力させて摩擦プレートへ伝える押圧部を備えるレバー部材で構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は工作機械または治具のテーブルなどに取り付けられて、加工物の割出し作業に使用される割出しテーブルのクランプ装置に関する。
割出しテーブルのクランプ構造は、小さな作用力を増力させて大きなクランプ力を得るための構造が提案されている。
特開2002−18679号には、テーパーカム面にボールを当接させる増力機構をピストンとクランプ部材の間に介在させて、ピストンの作用力がテーパーカム面のテーパー作用によって増力されて伝達されるようになされている。
特開2002−18679号公報
しかしながら、前記のようなテーパー面とボールの構成による増力機構には、作用力が大きくなるとボールの食い込みによる問題が発生する。
割出しテーブルのクランプ力が大きくなると、シリンダが伸長してクランプする際に、増力機構においてテーパー面へボールが強い力で押し付けられる。このとき、その作用力でボールはテーパー面への食い込み作用が生じ、ボールは複数のテーパー面との間に入り込んでしまう。
ボールの食い込み作用が発生すると、シリンダが縮小してアンクランプとなってもボールが容易に元の位置に戻りにくくなり、テーブルをアンクランプさせるためにはボールを戻す強い力が必要になる。
したがって、本発明は、ピストンの作用力を増力させて大きなクランプ力を作用させる円テーブルのクランプ機構であっても、アンクランプ時にクランプ解除のために強い力の必要のないクランプ機構を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため、本発明は、ボディと、該ボディに軸承され回転するテーブル回転体からなり、該テーブル回転体の一部をなす薄肉のクランププレートがボディの軸方向へ移動するピストンによって弾性変形しボディに押圧されテーブル回転体の回転を阻止する構造になされ、前記ボディが薄肉の摩擦プレートを備え、且つ前記テーブル回転体が薄肉のクランププレートを備え、該クランププレートが摩擦プレートを軸方向において挟んで配設されている構造の割出しテーブルのクランプ構造において、前記ピストンと摩擦プレートの間に配置されピストンの力を増力させて摩擦プレートへ伝える増力手段を有し、該増力手段が前記ボディと接する支点部と前記ピストンの力を受ける入力部と該入力部で受けた力を増力させて摩擦プレートへ伝える押圧部を備えるレバー部材で構成されていることを特徴とする。
また、前記レバー部材の押圧部と摩擦プレートの間に円盤形状に設けられレバー部材の押圧力を均等に摩擦プレートへ伝達する受圧リングと、該受圧リングの外周側に配置されて受圧リングの半径方向への移動を規制するガイドリングを備え、該ガイドリングが前記レバー部材と当接してレバー部材の円周方向の移動を規制する凹部を有することを特徴とする。
また、前記受圧リングとクランププレートの間に配置し前記ボディに固着されて設けられ、前記ピストンの押圧力により弾性変形することでピストンに対する反力を発生させる反力プレートを備えることを特徴とする。
本発明の請求項1によれば、レバー部材を増力手段として用いることにより、ボールのテーパー面への食い込み作用によるピストンの復元のための大きな力を必要としない増力手段でピストンの押圧力を増力させてテーブルをクランプすることができる。
また、本発明の請求項2によれば、ガイドリングが、受圧プレートの外周側に配置され、且つガイドリングの凹部へレバー部材が係合することにより、受圧リングの半径方向への移動とレバー部材の円周方向への移動を規制することができる。これにより、ピストンの押圧力をクランププレートへ偏りなく均一に加えることができ、安定したクランプが可能となる。
本発明の請求項3によれば、ピストンの押圧力により弾性変形する反力プレートが設けられピストンの復元力として反力プレートの弾性作用を活用できるので、ピストンの構造を簡略化でき、省スペース化が実現できる。
以下に本発明の実施例について図を用いて説明する。
図1は本発明の割出しテーブルの回転軸に沿う断面図である。
図1に示すように、回転しないボディ1に軸承され回転するテーブル回転体2は、テーブル3と、スピンドル4と、ウォームホイール5の主要部品から構成され、ウォーム6によって回転力を与えられている。ボディ1の一部をなす摩擦プレート11は、薄肉円盤状に形成されてボディ1に複数のボルトで固着されている。テーブル回転体2の一部をなすクランププレート7は前記摩擦プレート11の内周部分を挟むように複数配設されており、薄肉円盤状に形成されてスピンドル4の下方に複数のボルトで固着されている。
クランププレート7の外方部分の上方にボディ1の端面部8が位置し、下方にはスピンドル4の軸方向へ移動するピストン9が配設されている。このピストン9の軸方向上方への移動によるピストン軸力によって、後述する増力手段12を介して、クランププレート7の外方部分が押圧されて摩擦プレート11の内周部分を挟み、さらにボディ1の端面部8に押圧され、テーブル3の回動が阻止される構造になされている。これによって、任意の回転位置に停止されたテーブル3は、その回動を完全に止められ、テーブル3上にセットされた加工物の加工が行なわれる。
また、ピストン9のピストン軸力を増幅させてクランププレート7へ伝達するために増力手段12がピストン9とクランププレート7の間に備えられている。本発明の増力手段12は、レバー部材13と受圧リング14とガイドリング15と反力プレート22から構成されている。
図3に図1に示すB−B矢視端面図を示している。この図3に基づき増力手段について説明する。
レバー部材13は円周上の等配位置に複数個(図3に示すように円周方向に90°間隔で4個)で設けられている。
レバー部材13の外方端部には、レバー部材13の回転の支点となる支点部17が備えられ、図2に示すようにボディ1に当接されて軸方向への上下の移動を拘束されており、支点部17を回転中心として(より詳細には、支点部を形成する球形状の中心点を回転中心として)回転するようになされている。
また、レバー部材13の内方端部にはピストン9の移動方向側に当接してピストン9の軸方向上方への移動によるピストン軸力P1を受ける入力部18が備えられている。
レバー部材13の略中央部には押圧部19が備えられ、入力部18で受けたピストン9のピストン軸力によって受圧リング14を押圧する。この際、レバー部材13が支点部17を中心に回転されることで、受圧リング14を押圧する力Qがテコの作用により増力されるようになされている。
受圧リング14は中空円盤形状をしており、レバー部材13の押圧部19と後述する反力プレート22の間に設けられている。受圧リング14は、ひとつのレバー部材13に対しては押圧部19のみで当接しているが、反力プレート22に対しては全周に渡り当接されている。
それにより、ピストン9の押圧力を反力プレート22へ偏りなく均一に加えることが可能となる。
図5はガイドリング15の斜視図を示している。
ガイドリング15は中空円盤形状で形成され、取り付けボルトで摩擦プレート11と共にボディ1に固着されて、前記受圧リングの外方全周側に設けられている。
ガイドリング15にはレバー部材13の外方部分と係合するための切欠きを備えた凹部16がレバー部材13の配置位置にあわせて設けられている。レバー部材13がガイドリング15の凹部16に係合されるので、ガイドリング15はレバー部材13の円周方向の動きを規制し、レバー部材13が円周方向に移動できないようになされている。
また、ガイドリング15は、受圧リング14の外方側に設けられ、ボディと固着しているので、受圧リング14の半径方向の移動を規制し、受圧リング14がピストン9の押圧力により軸方向上方へ移動する際に押圧力を確実にクランププレート7へ全周に偏りなく伝達することができる。
受圧リング14とクランププレート7との間に反力プレート22が設けられている。反力プレート22は、薄肉円盤状に形成されガイドリング15と共に取り付けボルトでボディ1に固着されており、受圧リングの軸方向の移動により半径方向の中央部分が弾性変形してクランププレート7と当接する。
図2は図1に示すA部の部分拡大図である。クランププレート7は、テーブル3が回動する状態(アンクランプ時)には、隣接する摩擦プレート11との間に0.1mm程度の隙間が設けられており、スピンドル4から水平方向である外方へ伸延している。
また、反力プレート22との間は、0.2mm程度の隙間が設けられ、クランププレート7は、スピンドル4と共に抵抗を受けることなく回動することができる。
前記のプレート間の隙間はこれに特定するものではなく、適宜設計変更により条件に合わせて最適な隙間にすることも当然できる。例えば、クランププレート7と反力プレート22との間は加工精度や加圧条件などにより0.05〜0.1mm程度の隙間にすることもできる。
一方、テーブル3の回動を阻止する状態(クランプ時)には、ピストン9が軸方向上方へ移動すると、ピストン9がレバー部材13の入力部18を軸方向上方へ押し上げる。
図4はレバー部材13の作用説明図である。図4にしたがってレバー部材13の増力作用を説明する。
レバー部材13の外方端部の支点部17はボディ1に当接されて軸方向への移動を拘束されているので、レバー部材13は支点部17を回転中心として回転する。このとき、レバー部材13の押圧部19にはピストン軸力P1が増力された作用力Qで受圧リング14を押圧する。
つまり、ピストン軸力P1は、レバー部材13の支点部17と入力部18との間の距離L1と、レバー部材13の支点部17と押圧部19との間の距離L2との比から増力されて作用力Qとなり、より強力な力がクランプ力として作用することになる。
この増力作用により強力な押圧力となった作用力Qは、レバー部材13の押圧部19から受圧リング14を押圧する。レバー部材13は円周上の等配位置に配置されているので、受圧リング14は円周上の等配位置に分散された複数の位置(レバー部材13の押圧部19が当接する位置)へ集中して作用力Qを受ける。
受圧リング14は反力プレート22とは全周に渡り当接しているので、レバー部材13が当接する位置のみで受ける集中的な作用力Qを、全周に渡り偏りなく均一な力として反力プレート22へ伝達する。
受圧リング14は、軸方向上方へ押圧され移動し、反力プレート22の半径方向の中央部分を上方へ向けて弾性変形させ、隣接するクランププレート7Aに接触して押圧する。
前記と同様にクランププレート7Aも上方へ向けて弾性変形して、その外方部分が摩擦プレート11の片面に接触する。さらに受圧リング14が反力プレート22を押すことによって、クランププレート7Aに押された摩擦プレート11の半径方向の中央部分が、上方へ向けて弾性変形し、隣接するクランププレート7Bに接触して押圧する。前記と同様にクランププレート7Bも上方へ向けて弾性変形して、その外方部分がボディ1の端面部8に接触し、クランププレート7Bの外方部分がボディ1の端面部8に押圧される。
このとき、固定しているボディ1側に備えられた摩擦プレート11は、クランププレート7A、7Bの間にサンドイッチ状態で押圧され、摩擦作用が生じる。
さらに、ボディ1の端面部8とクランププレート7B、反力プレート22とクランププレート7Aにも摩擦作用が発生しており、強力なクランプ力が得られる。
この後、テーブル3の回動を阻止する状態(クランプ時)からテーブル3が回動する状態(アンクランプ時)になる際には、ピストン9を下方の元の位置へ復帰させる必要があるが、反力プレート22はその弾性効果によって、ピストン9を復帰させるスプリング手段として作用させることができ、ピストン9の構造の簡略化となり省スペースの効果を奏する。
これは、前述のようにクランププレート7A、7Bと隣接する摩擦プレート11との間には0.1mm程度の隙間を設けているが、反力プレート22とクランププレート7Aとの間は、0.2mm程度の隙間にしているので、クランプ時の弾性変形量は反力プレート22の方が大きくなり、反力プレート22の復元時の弾性効果をピストンへ大きく作用させることができるものである。
また、レバー部材13は、ガイドリング15に設けられた凹部16に係合することで、レバー部材13の周方向への移動を規制させることができ、ピストン9からの押圧力を不規則な位置へ加えることなく、一定の位置に安定して加えることができる。
さらには、図3に示すように、レバー部材13の外方部位の支点部17をガイドリング15の凹部16の幅よりも大きな幅の頭部23で形成し、ガイドリング15と係合させることで、レバー部材13の半径方向への移動も規制することができる。
前期実施例において、クランププレート7A、7Bと摩擦プレート11との間には0.1mm程度の隙間を設け、反力プレート22とクランププレート7Aとの間には0.2mm程度の隙間を設けている。
しかし本発明の他の実施例として、各々の隙間をさらに小さくし、クランプ時の変形量を抑えることで、テーブル自体のねじれを抑制することができる。
具体的には、クランププレート7Bとボディ端部8との間は0.05mm程の隙間が設けられ、クランププレート7Bと摩擦プレート11との間は0.05mm程の隙間が設けられている。また、クランププレート7Aと摩擦プレート11との間は0.08mm程の隙間が設けられ、クランププレート7Aと反力プレート22との間は0.1mm程の隙間が設けられている。
このようにクランプ時の各プレートの変形代であるプレート間の隙間を小さく設定することで、各プレートの変形を小さくすることができる。そのため、クランププレート7A、7Bの板厚を大きくすることができ、クランププレート7A、7Bの剛性を大きくし、クランプ時のテーブルに加わるねじれを抑制することが可能となる。また、クランププレート7A、7Bはレバー部材13により近い側のクランププレート7Aの板厚をクランププレート7Bより小さく設定することで、レバー部材13からの押圧力に対し容易に変形し易くなるようにできる。
また、本発明の他の実施例としては、ピストン9の復元力を与えるための手段として受圧リング14とクランププレート7との間に設けられる反力プレート22を配置せず、前記反力プレート22の代替として、ガイドリング15とピストン9との間に付勢手段23を設け、反力プレート22と同様にピストン9へ復元力を作用させるものである。
具体的には、図6に示すように、付勢手段としてガイドリング15とピストン9の間に設けられ、両端をガイドリング15とピストン9に接するように配置されたバネ23を備え、反力プレート22を設置しない。このように構成することで、反力プレート22を用いることなく、アンクランプ時にピストンの下方への復帰動作を行なわせることが可能となる。これにより、テーブル内部の構造が簡素化され、組み立てやメンテナンス作業時の各プレートの配設の煩雑が解消される。
本発明の割出しテーブルの回転軸芯に沿う断面図。 図1に示すA部の部分拡大図。 図1に示すB−B矢視端面図。 レバー部材の増力作用説明図。 ガイドリングの斜視図。 他の実施例の割出しテーブルの回転軸芯に沿う断面図。
符号の説明
1 ボディ
3 テーブル
4 スピンドル
5 ウォームホイール
7 クランププレート
9 ピストン
11 摩擦プレート
13 レバー部材
14 受圧リング
15 ガイドリング
16 凹部
17 支点部
18 入力部
19 押圧部
22 反力プレート
23 付勢手段(バネ)

Claims (4)

  1. ボディと、該ボディに軸承され回転するテーブル回転体からなり、該テーブル回転体の一部をなす薄肉のクランププレートがボディの軸方向へ移動するピストンによって弾性変形しボディに押圧されテーブル回転体の回転を阻止する構造になされ、前記ボディが薄肉の摩擦プレートを備え、且つ前記テーブル回転体が薄肉のクランププレートを備え、該クランププレートが摩擦プレートを軸方向において挟んで配設されている構造の割出しテーブルのクランプ構造において、前記ピストンと摩擦プレートの間に配置されピストンの力を増力させて摩擦プレートへ伝える増力手段を有し、該増力手段が前記ボディと接する支点部と前記ピストンの力を受ける入力部と該入力部で受けた力を増力させて摩擦プレートへ伝える押圧部を備えるレバー部材で構成されていることを特徴とする割出しテーブルのクランプ構造。
  2. 前記レバー部材の押圧部と摩擦プレートの間に円盤形状に設けられレバー部材の押圧力を均等に摩擦プレートへ伝達する受圧リングと、該受圧リングの外周側に配置されて受圧リングの半径方向への移動を規制するガイドリングを備え、該ガイドリングが前記レバー部材と当接してレバー部材の円周方向の移動を規制する凹部を有することを特徴とする請求項1記載の割出しテーブルのクランプ構造。
  3. 前記受圧リングとクランププレートの間に配置し前記ボディに固着されて設けられ、前記ピストンの押圧力により弾性変形することでピストンに対する反力を発生させる反力プレートを備えることを特徴とする請求項1および2記載の割出しテーブルのクランプ構造。
  4. 前記ガイドリングとピストンの間に配設され、前記ピストンの押圧力によりピストンに対する反力を発生させる付勢手段を備えることを特徴とする請求項1および2記載の割出しテーブルのクランプ構造。
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