以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
本発明のグリル付きガスこんろAは、こんろ本体1に、加熱手段としてガスバーナからなるこんろバーナを備えたガスこんろ部2と、加熱手段としてガスバーナからなるグリルバーナを備えたグリル3とを備えたもので、添付図面に示す実施形態においてはシステムキッチンに装備されるドロップインタイプのグリル付きガスこんろAが示してある。以下ドロップインタイプのグリル付きガスこんろを例として説明する。
グリル付きガスこんろAの主体を構成するこんろ本体1の内部の左右方向の中央部にグリル3が配設してあり、こんろ本体1の前面の左右方向の中央部にグリル3のグリル扉3aが配置してある。
こんろ本体1の上面にはガスこんろ部2が複数配設してあり、添付図面に示す実施形態ではこんろ本体1の上面に3つのガスこんろ部2が配設してあり、3つのガスこんろ部2は上面の手前側の左側、右側、及び上面の後側の左右方向の中央部にそれぞれ配設してあり、また、こんろ本体1の上面のガスこんろ部2が配設されていない部分はトッププレートTPにより覆われている。ここで、左右に配設したガスこんろ部2は一方がなべ底の温度を検知して燃焼制御を行うようにしたサーミスタからなる温度センサ2dを有する標準火力の温度センサ付きガスこんろ部2aとなっており、左右に配設したガスこんろ部2の他方が高火力ガスこんろ部2bとなっている。添付図面に示す実施形態では左側に温度センサ付きガスこんろ部2aを配設し、右側に高火力ガスこんろ部2bを配設した例が示してある。また、後方上面の後側の左右方向の中央部に配設したガスこんろ部2は小火力ガスこんろ部2cとなっている。各ガスこんろ部2には、鍋等の被加熱物を受け止め支持するための五徳21が配設してある。また、各ガスこんろ部2には、こんろバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、こんろバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられ、グリル3にも同様に、グリルバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、グリルバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられる。点火プラグは、後述する点火・消火手動操作部4における点火操作によってマイクロコンピュータからなる制御部10(図2参照)により点火動作が行われ、熱電対において検出された着火(点火)情報は制御部10に認識されて、制御部10により点火プラグでの点火処理を終了する。
各こんろバーナ及びグリルバーナには、図2に示すように、都市ガス等のガス燃料を供給する燃料供給路11からそれぞれ分岐する分岐供給路13が接続してある。燃料供給路11には電磁弁12が設けてあると共に、各分岐供給路13には、ガス燃料の供給量の調節を行うためステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁14と、前記弁体の開度位置を検出する位置センサが設けてある。電磁弁12及び流量制御弁14は、制御部10により制御が行われ、位置センサにおける検出情報は制御部10によって認識・処理される。また、流量制御弁14は、対応するこんろバーナ又はグリルバーナが使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように切り換えられる。
グリル3内には、魚等の被調理物を載置するグリル焼き網が設けられる。また、こんろ本体1内の後方には排気通路が設けられており、グリルバーナからの燃焼ガスがグリル3内から後方の排気通路に導かれ、こんろ本体1の上面の後方に設けた排気口31を通して外部に排出されるように構成されている。
こんろ本体1の前面の上部(添付図面に示す実施形態では左側の上部及び右側の上部)にはそれぞれ上記複数のガスこんろ部2の点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4が設けてある。図1に示す実施形態では前面の左側に温度センサ付きガスこんろ部2aの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4aを配設し、前面の右側に高火力ガスこんろ部2bの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4bと、小火力ガスこんろ部2cの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4cとを配設してあり、点火・消火手動操作部4bは点火・消火手動操作部4cよりも右側に配置してある。つまり、3つのガスこんろ部2が左側から右側にかけて温度センサ付きガスこんろ部2a、小火力ガスこんろ部2c、高火力ガスこんろ部2bの順に配置してあるので、この配置に対応して3つの点火・消火手動操作部4も左側から右側にかけて温度センサ付きガスこんろ部2aの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4a、小火力ガスこんろ部2cの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4c、高火力ガスこんろ部2bの点火、消火操作を行うための点火・消火手動操作部4bの順に配設してある。
上記各点火・消火手動操作部4は添付図面においては前後方向に移動自在な押釦により構成してあり、点火・消火手動操作部4を構成する押釦は前後方向に移動自在で且つ前方に突出した状態で回動自在となっている。消火状態では点火・消火手動操作部4が後方に押されて押釦よりなる点火・消火手動操作部4の前面がこんろ本体1の前面と略面一状態となるように後退状態が保持されている。ガスこんろ部2の使用に当たっては、押釦よりなる点火・消火手動操作部4を押し操作して点火操作をすることで、後退していた点火・消火手動操作部4が前方に突出して器具栓がONとなり、流出するガス燃料にスパーク放電がなされてガスこんろ部2に点火される。この押釦よりなる点火・消火手動操作部4が前方に突出した状態で点火・消火手動操作部4を指で摘んで回動操作すると、前記回動角度がロータリーエンコーダにより検出されて制御部10に認識され、前記回動角度に応じた開度位置となるようにステッピングモータにより流量制御弁14の弁体が駆動されてガス流量が制御されて、ガスこんろ部2の火力調整ができるようになっている。一方、消火にあたっては、前方に突出している点火・消火手動操作部4を後方に押し操作することで器具栓がOFFとなってガスこんろ部2が消火されると共に、点火・消火手動操作部4の前面がこんろ本体1の前面と略面一状態となるように後退状態で保持される。
こんろ本体1の前面の下部には操作パネル5が収納自在に設けてある。添付図面に示す実施形態ではこんろ本体1の前面の左右の下部にそれぞれ操作パネル5が収納自在に設けてある。
操作パネル5をこんろ本体1の前面に収納自在とするに当たっては種々の構成が考えられるが、添付図面に示す実施形態ではこんろ本体1に回動自在に取付ける可動部材50の上面に操作パネル5を設け、可動部材50を一方向に回動することで操作パネル5がこんろ本体1の前面から突出する使用状態とし、可動部材50を他方向に回動することで操作パネル5がこんろ本体1内に収納される収納状態(非使用状態)となるように構成してある。
上記のようにしてこんろ本体1の前面の左右の下部にそれぞれ収納自在に設けた操作パネル5のうち、一方の操作パネル5にはグリル3に関する操作を行うためのグリル用調理設定入力部7が設けてあってこの操作パネル5がグリル側操作パネル5bとなり、他方の操作パネル5には温度センサ付きガスこんろ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスこんろ部用調理設定入力部8が設けてあってこの操作パネル5がこんろ部側操作パネル5aとなっている。
図3にはグリル用調理設定入力部7を備えた操作パネル5の一例を示しており、図4にはガスこんろ部用調理設定入力部8を備えた操作パネル5の一例を示している。
グリル3による調理設定の入力を行うためのグリル用調理設定入力部7は図3に示すように、グリル3の点火・消火操作をするための点火・消火スイッチ6、グリル3による調理時間(焼成時間)を設定するためのタイマスイッチ51、上火、下火の火力を切換るための火力切替スイッチ52、焼成するメニューを選んで該当する焼成物に対応した焼成制御を選択するためのメニュースイッチ53、焼き加減を調整するための焼き加減スイッチ54、上記タイマスイッチ51、火力切替スイッチ52、メニュースイッチ53、焼き加減スイッチ54等を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ55等を備えている。
一方、温度センサ付きガスこんろ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスこんろ部用調理設定入力部8は図4に示すように、温度センサ付きガスこんろ部2aによる調理時間を設定するためのタイマスイッチ56、揚げ物、炊飯、湯沸し等の自動調理のメニューを設定するためのメニュースイッチ57、タイマスイッチ56やメニュースイッチ57を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ58等を備えている。図4の実施形態ではメニュースイッチ57として揚げ物スイッチ57a、炊飯スイッチ57b、湯沸しスイッチ57cが設けてある。そして、揚げ物スイッチ57aを押すことで揚げものを自動調理で行う揚げ物モードとすることができ、揚げ物スイッチ57aを何回押すかで200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げ物の調理の中から目的とする温度の揚げ物調理が設定できるようにしてある。また、炊飯スイッチ57bを押すことで炊飯を自動調理で行う炊飯モードとすることができ、炊飯スイッチ57bを何回押すかでご飯、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理が設定できるようにしてある。また、湯沸しスイッチ57cを押すことで湯沸しを自動調理で行う湯沸しモードとすることができ、湯沸しスイッチ57cを何回押すかで自動消火、5分保温といった湯沸し後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯沸しを選択して設定できるようにしてある。これらのガスこんろ部用調理設定入力部8において温度センサ付きガスこんろ部2aにおける調理設定の入力が行われると、制御部10によりあらかじめ設定された制御内容に基づいて温度センサ付きガスこんろ部2aにおける火力調整、調理時間等が制御されるものであり、この場合、なべ底温度を温度センサ付きガスこんろ部2aに設けた温度センサ2dにより検出して、該温度センサ2dで検出したなべ底温度を制御部10に入力してフィードバック制御により火力調整を行うようになっている。
ここで、温度センサ付きガスこんろ部2aで自動調理の設定を行う場合は、上記のように押釦よりなる点火・消火手動操作部4を指で押して点火・消火手動操作部4を前方に突出させる点火操作を行った後、操作パネル5に設けたガスこんろ部用調理設定入力部8で目的とする調理設定の入力を行うことで、温度センサ付きガスこんろ部2aによって目的とする調理がなされるように制御部10により火力調整、調理時間等が制御されて自動調理が行われるものである。
このように、ガスこんろ部2の使用に当たっては、手動により加熱を行う場合には、こんろ本体1の前面に露出している点火・消火手動操作部4を直接指で操作して制御部10に指令を与えて点火、火力調整、消火を行うと共に、自動調理を行う場合には、点火・消火手動操作部4の回動操作位置によらずに制御部10によりガス流量及び火力が調整されるものである。自動調理を行う場合については更に後で説明する。
また、自動調理の終了や、タイマ機能や、安全装置により異常が検知されることで、自動消火される場合があり、この場合には点火・消火操作部4aは器具栓をONとする状態であっても安全弁(図示せず)により燃料ガスが遮断されて消火される。
なお、本実施例では各ガスこんろ部2の分岐供給路にステッピングモータにより駆動される流量制御弁14を設け、点火・消火手動操作部4aを操作することで制御部10を介して電動により火力調整を行っているが、手動により直接弁体を操作する手動式ガス流量調節弁を設けてもよい。この場合、前記手動式ガス流量調節弁と直列にガス流量を制限するための電磁弁を設けることで自動調理が可能となるが、自動調理を行う場合には使用者が手動で前記手動式ガス流量調節弁を最大ガス流量位置に調節することで、より確実な自動調理が行われるものである。本実施例では、ステッピングモータにより駆動される流量制御弁14のみが設けてあり、自動調理を行う際には前記流量制御弁14を最小から最大の範囲内で任意のガス流量に制御するため、使用者が点火・消火手動操作部4aを操作して手動で加熱を行う際の最大ガス流量に合わせるといった操作が不要である。
次に、グリル3を使用する場合につき説明する。グリル3はガスこんろ部2ほど日常的に頻繁に使用しないので、グリル用調理設定入力部7を有する操作パネル5を備えた可動部材50の前面上部を押してグリル用調理設定入力部7を有する操作パネル5をこんろ本体1の前面から前方に突出して図1に示すように上方に露出させ、上方を向いているグリル用調理設定入力部7のメニュースイッチ53や焼き加減スイッチ54やタイマスイッチ51を指で押すことで調理メニューや焼き加減や調理時間等のグリル調理の設定入力を行い、次に、点火・消火スイッチ6を指で押して点火入力操作を行ってグリル3に点火するものである。これによって目的とするグリル調理がなされるように制御部10により火力調整、調理時間等が制御されて自動調理が行われるものである。上記調理設定の入力が終わると、当該可動部材50の前面上部を押して操作パネル5が外部に露出しないように収納するものであり、これによりグリル3による調理中に操作パネル5が汚れるのを防止できる。なお、上記グリル3における自動調理中に自動調理を中止したい場合には点火・消火スイッチ6を指で押すことで消火して自動調理を中止できる。
次に、自動調理を行う場合について更に説明する。まず炊飯を自動調理で行う場合について図5のフローチャートに基づいて説明する。
炊飯を自動調理で行う炊飯モードに移行するには、標準火力の温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aで点火操作を行って、この温度センサ付きガスこんろ部2aが点火しているか否かが判定され(S1)、点火している場合に炊飯スイッチ57bを押操作する必要がある。本実施例では炊飯スイッチ57bを一回押しておかゆではない普通の炊飯を行う場合について説明する。ステップ(S1)で温度センサ付きガスこんろ部2aの点火が確認されない場合には、炊飯スイッチ57bが押操作されたか否かが判定され(S2)、炊飯スイッチ57bが押操作されると、点火されていないために炊飯モードが受け付けられずにキャンセルされた旨が「ピー」というブザー音等により報知されて(S3)、炊飯モードの終了(S4)へと移行し、炊飯スイッチ57bが押操作されない場合は、前記ステップ(S3)をスキップして炊飯モードの終了(S4)へと移行する。
ステップ(S1)で温度センサ付きガスこんろ部2aの点火が検知されると、温度センサ2dによる温度計測がなされ(S5)、前記計測した温度の点火時の温度からの上昇が35℃以下か否かが判定される(S6)。前記計測した温度の上昇が35℃以下の場合、炊飯スイッチ57bが押操作されたか否かが判定され(S7)、炊飯スイッチ57bが押操作されると、通常処理モードである通常の炊飯モードが受け付けられた旨が報知されて(S8)、通常の炊飯モードへと移行して(S9)、通常の炊飯の自動調理が行われ、炊飯スイッチ57bが押操作されない場合は、ステップ(S5)の温度計測へと戻る。ステップ(S8)での報知は、「ピッ」というブザー音であったり、炊飯モードの表示部(本実施形態ではLED表示部)の点灯であったり、「炊飯を開始します」という音声であったり、その他の方法によるものでもよい。
ここで、通常の炊飯モードによる自動調理について説明する。通常の炊飯モードでは、開始から、中火処理として、温度センサ付きガスこんろ部2aによる炊飯中火燃焼が行われる。炊飯中火燃焼は、最小火力から最大火力の間において、炊飯に適した火力として定められた火力での燃焼である。そして、ステップ(S1)における温度センサ付きガスこんろ部2aの点火の検出時の温度センサ2dの検出温度+35℃の温度から、弱火切替温度(対流が活発化する温度である90℃)まで上昇するのに必要な時間taを内蔵したタイマにより計測する。中火処理の間、対流が活発化する温度である90℃に達するまで加熱することにより、米の分量に応じた適度な加熱を行うことができる。そして、前記計測した時間taより弱火時間1を決定する。弱火時間1は、表1に示す一例に基づいて行う。
温度センサ2dの検出温度が90℃となってからは、弱火処理として、前記弱火時間1の間、温度センサ付きガスこんろ部2aにおいて弱火(最小火力)燃焼による加熱処理を行う。このような弱火処理を行うことで、米に適度に吸水させることができて、洗米後すぐに該炊飯モードを開始してもご飯がおいしく炊けるようにしている。
弱火処理の後は、仕上げ処理として、炊き上げ、蒸らしの処理を行い、その後、温度センサ付きガスこんろ部2aが自動で消火されて、通常の炊飯モードの自動調理が終了する。
また、ステップ(S6)において、前記計測した温度の上昇が35℃を越える場合、炊飯スイッチ57bが押操作されたか否かが判定され(S10)、炊飯スイッチ57bが押操作された場合、更に、前記押操作が後述する強制入力操作であるか否かが判定され(S11)、強制入力操作である場合には、強制処理モードである高温の炊飯モードが受け付けられた旨が「ピッ」というブザー音等により報知されて(S12)、高温の炊飯モードへと移行して(S13)、高温の炊飯の自動調理が行われ、強制入力操作でない場合は、高温の炊飯モードが受け付けられない旨が報知されて(S14)、ステップ(S5)の温度計測へと戻る。
強制入力操作としては、炊飯スイッチ57bの通常の押操作、すなわち0.2秒程度あるいはこれよりも短い時間の一度の押操作に対して、0.5秒か1秒以上の長押し操作であったり、あるいは、所定時間内に炊飯スイッチ57bを二度押し又は複数回の押し操作であったり、あるいは、他のスイッチと炊飯スイッチ57bとを同時押し等が挙げられるが、前記以外の方法であってもよいものである。また、揚げ物スイッチ57a、湯沸しスイッチ57c、取消しスイッチ58の強制入力操作についても同様である。
ステップ(S14)での報知は、ステップ(S8)での「ピッ」というブザー音や表示部の点灯や「炊飯を開始します」という音声に対して、「ピピピッ」というブザー音や、表示部の点滅や、「炊飯スイッチを長押ししてください」という音声や、その他の方法によるものであってもよい。
ここで、高温の炊飯モードによる自動調理について説明する。高温の炊飯モードでも、開始から通常の炊飯モードと同様に、中火処理として、温度センサ付きガスこんろ部2aによる炊飯中火燃焼が行われる。この高温の炊飯モードでは、開始時に既に温度センサ2dの検出温度が、ステップ(S1)における温度センサ付きガスこんろ部2aの点火の検出時の温度センサ2dの検出温度+35℃の温度を越えているため、処理用パラメータである弱火時間1を通常の炊飯モードと同様に計測することができない。そこで、弱火時間1として所定値(本実施形態では1分)を用いる。
温度センサ2dの検出温度が90℃となってからは、弱火処理として、前記所定値の弱火時間1の間、温度センサ付きガスこんろ部2aにおいて弱火(最小火力)燃焼による加熱処理を行う。この場合、所定値の弱火時間1を用いているため、米の量等に応じた時間が反映されていないため、弱火処理を行っても米に適度に吸水させることが確実にできなくなり、ご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼす惧れがある。弱火処理の後は、仕上げ処理として、炊き上げ、蒸らしの処理を行い、その後、温度センサ付きガスこんろ部2aが自動で消火されて、高温の炊飯モードの自動調理が終了する。
すなわち、ステップ(S11)では、温度センサ2dにより計測した温度の点火時の温度からの上昇が35℃を越えているが、通常の押操作がなされた場合、使用者が温度センサ2dにより計測した温度の点火時の温度からの上昇が35℃を越えていることを知らずに通常の炊飯モードによる自動調理を行おうとしている惧れがある。このため、強制入力操作でなく通常の押操作で高温の炊飯モードに移行すると、使用者の意に反してご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼしてしまう惧れがあるが、強制入力操作がなされた場合にのみ高温の炊飯モードに移行するようにすると、強制入力操作がなされた場合には使用者はご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼす惧れがあるのを承知で高温の炊飯モードによる自動調理を行おうとしていると判断して、高温の炊飯モードに移行することができて、使用者の意に反してご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
また、ステップ(S10)で炊飯スイッチ57bが押操作されていないと判定された場合は、ステップ(S5)の温度計測へと戻る。
通常の炊飯モードまたは高温の炊飯モードへ移行した後は、温度センサ付きガスこんろ部2aが消火したか否かが判定され(S15)、消火したと判定された場合には炊飯モードの終了(S4)へと移行する。そして、ステップ(S15)で消火していないと判定された場合には、後述する炊飯解除入力があったか否かが判定される(S16)。炊飯解除入力は、炊飯スイッチ57bを再び押操作したり、あるいは、温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aを消火操作して器具栓をOFFとしたり、あるいは、安全装置により異常が検知されたり、あるいは、揚げ物スイッチ57aや湯沸しスイッチ57cにより調理モードが切り替えられたり、あるいは、取消しスイッチ58が押操作されたりすることで炊飯解除入力がなされる。
ステップ(S16)で炊飯解除入力がない場合には、再びステップ(S15)へと戻るものであり、ステップ(S16)で炊飯解除入力があった場合には、炊飯解除入力が、炊飯スイッチ57bの押操作であるか、揚げ物スイッチ57a又は湯沸しスイッチ57cの押操作による調理モードの切り替えであるか、取消しスイッチ58の押操作のいずれかであって(条件A)、且つ、前記計測した温度の点火時の温度からの上昇が35℃以上であるか(条件B)否かが判定される(S17)。前記ステップ(S17)において条件Aを満たし且つ条件Bを満たす場合には、炊飯解除入力すなわち、炊飯スイッチ57bの押操作、あるいは、揚げ物スイッチ57a又は湯沸しスイッチ57cの押操作、あるいは、取消しスイッチ58の押操作が、強制入力操作であるか否かが判定され(S18)、強制入力操作の場合には、炊飯解除入力が受け付けられた旨が報知されて(S19)、炊飯モードの終了(S4)へと移行し、強制入力操作でない場合には、炊飯解除入力が受け付けられない旨が報知されて(S20)、再びステップ(S15)へと戻る。また、ステップ(S17)において条件A且つ条件Bを満たさない(すなわち条件Aでないか又は条件Bでない)場合には、前記ステップ(S18)をスキップしてステップ(S19)の炊飯解除入力が受け付けられた旨の報知が行われて、炊飯モードの終了(S4)へと移行する。
すなわち、ステップ(S17)において条件Aを満たし且つ条件Bを満たす場合(点火時の温度からの温度上昇が35℃以上であるか、あるいは炊飯開始後2分以上経過した場合)、炊飯解除入力を受け付けて炊飯を一旦停止してしまうと、炊飯を再開しても、ご飯の炊き上がりに悪影響を与えるような食材の変化が生じている惧れがある。このため、条件Aの炊飯スイッチ57bの押操作、あるいは、揚げ物スイッチ57a又は湯沸しスイッチ57cの押操作、あるいは、取消しスイッチ58の押操作がステップ(S18)において強制入力操作でないと判定された場合には、使用者は勘違いによるスイッチ操作等の誤った操作により炊飯の停止を行おうとしている惧れがある。このため、強制入力操作でなく通常の押操作で炊飯解除入力を受け付けると、使用者の意に反して、炊飯を再開してもご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼしてしまう惧れがあるが、強制入力操作がなされた場合にのみ炊飯解除入力を受け付けるようにすると、強制入力操作がなされた場合には使用者は炊飯を再開してもご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼす惧れがあるのを承知で炊飯解除入力を行おうとしていると判断して、炊飯の解除の処理を行うことができて、使用者の意に反してご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
また、ステップ(S16)において炊飯解除入力があった場合でも、ステップ(S17)において条件Aを満たしていない場合又は条件Bを満たしていない場合には、ステップ(S18)をスキップして炊飯解除入力が通常の押操作であるか強制入力操作であるかにかかわらず、炊飯解除入力を受け付けて、ステップ(S19)の炊飯解除入力が受け付けられた旨の報知が行われて、炊飯モードの終了(S4)へと移行する。すなわち、ステップ(S17)において条件Aを満たしていない場合には、ステップ(S16)における炊飯解除入力が、温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aを消火操作して器具栓をOFFとするか、安全装置により異常が検知された場合であるため、使用者の誤操作ではないとして炊飯解除入力を受け付けるものであり、ステップ(S17)において条件Bを満たしていない場合には、炊飯を再開した場合にご飯の炊き上がりに悪影響を及ぼしてしまう可能性が低いため、条件Aを満たす炊飯解除入力が通常の押操作でも、使用者の操作性を考慮して炊飯解除入力を受け付けるものである。
次に、自動調理で湯沸しを行う場合について図6のフローチャートに基づいて説明する。
湯沸しモードに移行するには、標準火力の温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aで点火操作を行って、この温度センサ付きガスこんろ部2aが点火しているか否かが判定され(S31)、点火している場合に湯沸しスイッチ57cを押操作する必要がある。ステップ(S31)で温度センサ付きガスこんろ部2aの点火が確認されない場合には、湯沸しスイッチ57cが押操作されたか否かが判定され(S32)、湯沸しスイッチ57cが押操作されると、点火されていないために湯沸しモードが受け付けられない旨が「ピー」というブザー音等により報知されて(S33)、湯沸しモードの終了(S34)へと移行し、湯沸しスイッチ57cが押操作されない場合は、前記ステップ(S33)をスキップして湯沸しモードの終了(S34)へと移行する。
ステップ(S31)で温度センサ付きガスこんろ部2aの点火が検知されると、温度センサ2dによる温度計測がなされ(S35)、前記計測した温度が80℃以下か否かが判定される(S36)。前記計測した温度が80℃以下の場合、湯沸しスイッチ57cが押操作されたか否かが判定され(S37)、湯沸しスイッチ57cが押操作されると、通常処理モードである通常の湯沸しモードが受け付けられた旨が報知されて(S38)、通常の湯沸し湯沸しモードへと移行して(S39)、通常の湯沸しが行われ、湯沸しスイッチ57cが押操作されない場合は、ステップ(S35)の温度計測へと戻る。ステップ(S38)での報知は、「ピッ」というブザー音であったり、湯沸しモードの表示部の点灯であったり、「湯沸しを開始します」という音声であったり、その他の方法によるものでもよい。
ここで、通常の湯沸しモードについて説明する。通常の湯沸しモードでは、温度センサ付きガスこんろ部2aにおいて最大火力による燃焼が行われると共に、温度センサ2dによる温度計測が行われる。そして、温度センサ2dによる計測温度が80℃から97℃に上昇するのに要する沸騰検出時間tを内蔵したタイマにより計測する。そして、計測した前記沸騰検出時間tから、t’=t×α(但しαは定数で、例えば0.25)により1℃上昇監視時間t’を算出してメモリに記憶する。
温度センサ2dの検出温度が97℃となってからは、1℃上昇する毎の時間Δtを計測して、前記時間Δt≧1℃上昇監視時間t’であると、沸騰検出と判定して、自動的に温度センサ付きガスこんろ部2aが自動で消火されて、通常の湯沸しモードが終了する。これにより、やかん等の加熱容器の種類と内容物の水量に応じた温度上昇率の設定が行われる。
また、ステップ(S36)において、前記計測した温度が80℃を越える場合、湯沸しスイッチ57cが押操作されたか否かが判定され(S40)、湯沸しスイッチ57cが押操作された場合、更に、前記押操作が強制入力操作であるか否かが判定され(S41)、強制入力操作である場合には、強制処理モードである高温の湯沸しモードが受け付けられた旨が「ピッ」というブザー音等により報知されて(S42)、高温の湯沸しモードへと移行して(S43)、高温の湯沸しの自動調理が行われ、強制入力操作でない場合は、高温の湯沸しモードが受け付けられない旨が報知されて(S44)、ステップ(S35)の温度計測へと戻る。
ステップ(S44)での報知は、ステップ(S38)での「ピッ」というブザー音や表示部の点灯や「湯沸しを開始します」という音声に対して、「ピピピッ」というブザー音や、表示部の点滅や、「湯沸しスイッチを長押ししてください」という音声や、その他の方法によるものであってもよい。
ここで、高温の湯沸しモードについて説明する。高温の湯沸しモードでは、開始時に既に温度センサ2dの検出温度が80℃を越えているため、通常の湯沸しモードと同様に沸騰検出時間t及び1℃上昇監視時間t’といった処理用パラメータを計測、算出することができない。そこで、1℃上昇監視時間t’として所定値(本実施形態では62秒)を用いる。
温度センサ2dの検出温度が97℃となってからは、1℃上昇する毎の時間Δtを計測して、前記時間Δt≧1℃上昇監視時間t’(=62秒)であると、沸騰検出と判定して、自動的に温度センサ付きガスこんろ部2aが自動で消火されるが、この場合、やかん等の加熱容器の種類と内容物の水量に応じた温度上昇率の設定が行われず、沸騰していないのに自動停止する早切れや、沸騰しているのに加熱を続ける過加熱といった悪影響が出る惧れがある。そして、自動で消火された後、高温の湯沸しモードが終了する。
すなわち、ステップ(S41)では、温度センサ2dにより計測した温度の点火時の温度が80℃を越えているが、通常の押操作がなされた場合、使用者が温度センサ2dにより計測した温度が80℃を越えていることを知らずに通常の湯沸しモードによる自動調理を行おうとしている惧れがある。このため、強制入力操作でなく通常の押操作で高温の湯沸しモードに移行すると、使用者の意に反して早切れや過加熱といった悪影響を及ぼしてしまう惧れがあるが、強制入力操作がなされた場合にのみ高温の湯沸しモードに移行するようにすると、強制入力操作がなされた場合には使用者は早切れや過加熱といった悪影響を及ぼす惧れがあるのを承知で高温の湯沸しモードによる自動調理を行おうとしていると判断して、高温の湯沸しモードへ移行することができて、使用者の意に反して早切れや過加熱といった悪影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
また、ステップ(S40)で湯沸しスイッチ57cが押操作されていないと判定された場合は、ステップ(S35)の温度計測へと戻る。
通常の湯沸しモードまたは高温の湯沸しモードへ移行した後は、温度センサ付きガスこんろ部2aが消火したか否かが判定され(S45)、消火したと判定された場合には湯沸しモードの終了(S34)へと移行する。そして、ステップ(S45)で消火していないと判定された場合には、後述する湯沸し解除入力があったか否かが判定される(S46)。湯沸し解除入力は、湯沸しスイッチ57cを再び押操作したり、あるいは、温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aを消火操作して器具栓をOFFとしたり、あるいは、安全装置により異常が検知されたり、あるいは、揚げ物スイッチ57aや炊飯スイッチ57bにより調理モードが切り替えられたり、あるいは、取消しスイッチ58が押操作されたりすることで湯沸し解除入力がなされる。
ステップ(S46)で湯沸し解除入力がない場合には、再びステップ(S45)へと戻るものであり、ステップ(S46)で湯沸し解除入力があった場合には、湯沸し解除入力が、湯沸しスイッチ57cの押操作であるか、揚げ物スイッチ57a又は炊飯スイッチ57bの押操作による調理モードの切り替えであるか、取消しスイッチ58の押操作のいずれかであり、且つ温度センサ2dの検出温度が80℃を越えているか(条件C)否かが判定される(S47)。前記ステップ(S47)において条件Cを満たす場合には、湯沸し解除入力すなわち、湯沸しスイッチ57cの押操作、あるいは、揚げ物スイッチ57a又は炊飯スイッチ57bの押操作、あるいは、取消しスイッチ58の押操作が、強制入力操作であるか否かが判定され(S48)、強制入力操作の場合には、湯沸し解除入力が受け付けられた旨が報知されて(S49)、湯沸しモードの終了(S34)へと移行し、強制入力操作でない場合には、湯沸し解除入力が受け付けられない旨が報知されて(S50)、再びステップ(S45)へと戻る。ステップ(S50)での報知は、ステップ(S38)での「ピッ」というブザー音や表示部の点灯や「湯沸しを開始します」という音声に対して、「ピーーー」というブザー音や、表示部の高速点滅や、「スイッチを長押ししてください」という音声や、その他の方法によるものであってもよい。また、ステップ(S47)において条件Cを満たさない場合には、前記ステップ(S48)をスキップしてステップ(S49)の湯沸し解除入力が受け付けられた旨の報知が行われて、湯沸しモードの終了(S34)へと移行する。
すなわち、ステップ(S47)においては、条件Cを満たす場合(湯沸し解除入力が湯沸しスイッチ57c、揚げ物スイッチ57a、炊飯スイッチ57b、取消しスイッチ58のいずれかの入力操作によるものであり、且つ温度センサ2dの検出温度が80℃を越えている場合)、湯沸し解除入力を受け付けて湯沸しを一旦停止してしまうと、湯沸しを再開しても、早切れや過加熱といった悪影響を与える惧れがある。このため、条件Cの湯沸しスイッチ57cの押操作、あるいは、揚げ物スイッチ57a又は炊飯スイッチ57bの押操作、あるいは、取消しスイッチ58の押操作がステップ(S48)において強制入力操作でないと判定された場合には、使用者は勘違いによるスイッチ操作等の誤った操作により湯沸しの停止を行おうとしている惧れがある。このため、強制入力操作でなく通常の押操作で湯沸し解除入力を受け付けると、強制入力操作により湯沸しが再開されても使用者の意に反して、早切れや過加熱といった悪影響を及ぼしてしまう惧れがあるが、強制入力操作がなされた場合にのみ湯沸し解除入力を受け付けると、強制入力操作がなされた場合には使用者は湯沸しを再開しても早切れや過加熱といった悪影響を及ぼす惧れがあるのを承知で湯沸し解除入力を行おうとしていると判断して、湯沸しの解除の処理を行うことができて、使用者の意に反して早切れや過加熱といった悪影響を及ぼしてしまうのを防止することができる。
また、ステップ(S46)において湯沸し解除入力があった場合でも、ステップ(S47)において条件Cを満たしていない場合には、ステップ(S48)をスキップして湯沸し解除入力が通常の押操作であるか強制入力操作であるかにかかわらず、湯沸し解除入力を受け付けて、ステップ(S49)の湯沸し解除入力が受け付けられた旨の報知が行われて、湯沸しモードの終了(S34)へと移行する。すなわち、ステップ(S47)において条件Cを満たしていない場合には、ステップ(S46)における湯沸し解除入力が、温度センサ付きガスこんろ部2aの点火・消火手動操作部4aを消火操作して器具栓をOFFとするか、安全装置により異常が検知された場合であるため、使用者の誤操作ではないとして湯沸し解除入力を受け付けるものである。
上述したように、制御部10は、操作部で前記自動調理の入力がなされた際、温度計測手段による計測温度を基に通常入力操作による入力を受け付けるか否かを判定し、通常入力操作による入力を受け付けると判定した場合には通常入力操作による入力を受け付けると共に、通常入力操作による入力を受け付けないと判定した場合には強制入力操作による入力を受け付けるようにしたことで、誤操作である蓋然性が高く通常入力操作による入力を受け付けないと判定された時、使用者が誤操作であることを認識せずに通常入力操作を行っても入力操作が受け付けられないため誤操作が防止されると共に、使用者が誤操作ではなく意思をもって操作しようとする場合には通常入力操作とは異なる強制入力操作を行うことで入力操作が受け付けられて、誤操作を防止し且つ使用者の意思に沿った操作を行うことができて使い勝手が向上するものである。
また、制御部10は、少なくとも一種類の自動調理について、通常処理モードと、前記通常モードとは異なる強制処理モードとを実行可能とし、通常入力操作による入力を受け付けると判定した場合には通常入力操作による入力を受け付けて通常処理モードを実行すると共に、通常操作による入力を受け付けないと判定した場合には強制入力操作による入力を受け付けて強制処理モードを実行することで、通常入力操作による入力を受け付けないと判定された時、通常入力操作を行っても入力操作が受け付けられず誤操作が防止されるのに加えて、使用者が意思をもって操作しようとする場合には強制入力操作を行うことで通常処理モードとは異なる強制処理モードでの処理を行うことが可能となる。
なお、加熱調理器としてはガスこんろに限らず電磁調理器等であってもよい。