JP2009048788A - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電解質・電極接合体の外周部外方に排出される排ガスによる影響を回避し、前記電解質・電極接合体とセパレータとの密着性を向上させるとともに、所望の集電性を確保することを可能にする。
【解決手段】燃料電池20は、電解質・電極接合体36とセパレータ38とを備える。このうち、前記セパレータ38におけるアノード電極34に臨む側の端面面には、該セパレータ38が排ガスに曝されることを阻止するための保護層90が形成される。Ni及びFeを含有する混合層92と、Crを主成分として含有するクロムリッチ層94とを有するこの保護層90は、セパレータ38の外周部を、酸化雰囲気、水蒸気酸化雰囲気及び還元雰囲気から遮断する役割を営む。また、この保護層90を介してセパレータ38がアノード電極34に部分的に密着することに伴い、アノード電極34に燃料ガスを供給する燃料ガス通路52を構成するための空間部53が形成される。
【選択図】図4

Description

本発明は、アノード電極の中心部から外周部に向かって燃料ガスを供給する一方、カソード電極に沿って酸化剤ガスを供給し、さらに使用後の前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混在する排ガスを電解質・電極接合体の外周部外方に排出する燃料電池及びその製造方法に関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)では、電解質として酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した電解質・電極接合体(MEA)を1組のセパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。燃料電池は、通常、セパレータと電解質・電極接合体とが所定数だけ積層されたスタックとして構成されている。
この種の燃料電池として、前記セパレータがシールレス型であり且つスタックが容器に収容されたものがある。この場合、アノード電極に供給された燃料ガス及びカソード電極に供給された酸化剤ガスは、発電反応後に前記セパレータの外周部外方に排出される。このため、該セパレータの外周部外方では、未反応の燃料ガスと空気とが混合して燃焼し、この燃焼後に排ガスとして前記容器の外部に排出される。
発電の際、空気の供給流量は、燃料ガスの供給流量よりも多く設定される。このため、前記排ガス中には酸素が残存している。しかも、アノード電極には未反応の燃料ガスが存在し、さらに発電反応によってアノード電極に水蒸気が生成される。従って、セパレータにおけるアノード電極に臨む側の端面は還元雰囲気でありながら、該端面の外周部は、カソード電極側から回り込む酸素や水蒸気に曝される。すなわち、セパレータにおけるアノード電極に臨む側の端面の周囲には、還元雰囲気、酸化雰囲気、水蒸気酸化雰囲気が同時に存在する。
ここで、セパレータは、一般的にはステンレス鋼等の鉄系合金からなる。このため、酸化ないし水蒸気酸化によって該セパレータの表面にFe酸化物やCr酸化物が生成されてしまう。これにより該セパレータの電気伝導が低下するとともに、燃料ガスの圧力損失の増大や燃料ガス流れの不均一の他、酸化物が剥離して燃料電池内に飛散したり、電解質・電極構造体との接触抵抗が増大したりする等の問題が発生する。
そこで、特許文献1では、耐熱合金で構成されたセパレータの燃料極面側に湿式メッキ処理によってニッケルメッキ層を設け、これにより耐熱合金元素が酸化されることを防止することで電気抵抗の増大を阻止することが提案されている。
また、特許文献2記載の技術においては、セパレータが水蒸気酸化を受けることを回避するべく、セパレータの材質としてアルミニウムを含有するフェライト系ステンレス鋼を採用し、このアルミニウムを源として該セパレータの表面にアルミナ皮膜を形成するようにしている。
さらに、特許文献3、4には、金属製セパレータの表面に該金属製セパレータ由来の酸化物膜を形成し、さらに、この酸化物膜上に銀メッキを設ける技術が開示されている。
以上の従来技術は、セパレータに層ないし皮膜を形成するものであるが、その他、金属製セパレータとアノード電極との間に保護板を介装することも提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開平5−36425号公報 特開2006−236600号公報 特開2002−289215号公報 特開2005−327499号公報 特開2005−259684号公報
特許文献1記載の従来技術には、ニッケルメッキ層が酸化ないし水蒸気酸化されて酸化ニッケル層となる懸念がある。酸化ニッケルはp型半導体であり、電子の移動度が小さいので、多量に存在すると燃料電池の発電性能を低下させる原因となる。
また、特許文献2記載の従来技術のように絶縁体として周知のアルミナ皮膜を形成する場合、燃料電池の内部抵抗が上昇するとともにセパレータの集電性能が低下するという不具合を招く。
さらに、特許文献3、4記載の従来技術は銀メッキを行うものであり、このためにコストが高騰してしまう。
そして、特許文献5記載の従来技術には、保護板を介装するためにスタックの積層厚みが大きくなるという不具合がある。
その上、前記各従来技術のいずれにおいても、還元雰囲気、酸化雰囲気及び水蒸気酸化雰囲気の3つが同時に存在する環境下におけるセパレータの耐食性については、全く検討されていない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであり、還元雰囲気、酸化雰囲気及び水蒸気酸化雰囲気の3つが同時に存在する場合であっても、スタックの積層厚みが大きくなったり、燃料電池の発電性能が低下したり、コストが高騰したりすることなく、セパレータの耐食性を向上させることが可能な燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟持して構成される電解質・電極接合体がセパレータ同士の間に配設されるとともに、前記アノード電極の中心部から外周部に向かって燃料ガスを供給する一方、前記カソード電極に沿って酸化剤ガスを供給し、さらに使用後の前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混在する排ガスを前記電解質・電極接合体の外周部外方に排出する燃料電池であって、
前記セパレータがCrを含有する鉄系合金からなり、
且つ該セパレータにおける前記アノード電極を臨む側の端面に形成されて該セパレータが前記排ガスに曝されることを阻止する保護層を備え、
前記保護層は、前記セパレータから前記アノード電極に向かう方向に沿って、Ni及びFeを含有する混合層、Crを主成分とするクロムリッチ層をこの順序で有し、
前記混合層は、前記セパレータから前記アノード電極に向かうに従ってNiとFeの組成比が相対的に増減する傾斜層であることを特徴とする。
セパレータにこのような保護層を設けることにより、該セパレータを還元雰囲気及び酸化雰囲気から遮断することができる。換言すれば、還元雰囲気及び酸化雰囲気が同時に存在する環境下であっても、セパレータが腐食することを回避することができる。これに伴い、セパレータとアノード電極との間の接触抵抗が増加することや、燃料ガスの圧力損失が増大すること、さらには、燃料ガス流れが不均一となること、Fe酸化物が剥離して燃料電池内に飛散すること等を一括して回避することが可能となる。
しかも、最上層がクロムリッチ層であるので、このクロムリッチ層に含まれるCrが酸化して酸化クロムが生成したとしても、酸化ニッケルが生成する場合に比して電子の移動度が大きくなる。また、このクロムリッチ層は厚みが小さいので、セパレータとアノード電極との間の接触抵抗、ひいては燃料電池の内部抵抗がほとんど増加しない。その上、セパレータの集電性能が低下することもない。
さらに、銀メッキを行う必要がないので、コスト的に有利である。加えて、保護板等を介装する必要がないので、燃料電池の厚みが大きくなることも回避することができる。
なお、前記混合層は、クロムリッチ層に臨む側でニッケル及び/又はその酸化物を主体とし、且つセパレータに臨む側で鉄及び/又はその酸化物を主体とする傾斜層であることが好ましい。この場合、保護層の表層では鉄成分が若干存在するのみである。従って、Fe酸化物(錆)が生成することが著しく困難となるので、上記の諸問題が起こることを回避することが一層容易となる。
この保護層は、例えば、セパレータに形成されたNi含有皮膜に対して550〜850℃の熱処理を施すことで得ることが可能である。
また、セパレータを還元雰囲気、酸化雰囲気及び水蒸気酸化雰囲気から確実に遮断して該セパレータが腐食することを回避するとともに、アノード電極との間の接触抵抗を可及的に増加させないためには、保護層の厚みを1〜100μmに設定することが好ましい。
そして、セパレータは、12〜30wt%のCrを含有するものであることが好ましい。この場合、クロムリッチ層を具備する前記保護層を得ることが容易となるからである。
一方、アノード電極は、Niとジルコニアを含むNi−Zr系サーメットからなるものであることが好ましい。この場合、混合層からクロムリッチ層を経由して拡散したニッケル成分と、アノード電極中のニッケル成分とが馴染み合い、その結果、アノード電極とセパレータとが保護層を介して一層強固に密着し合う。このためにアノード電極とセパレータが互いの熱膨張(又は熱収縮)を抑制し合うので、電解質・電極接合体が熱変形に起因して破損することを回避することができるようになる。
前記排ガスには、発電に伴って生じた水蒸気が混在していてもよい。この場合、セパレータの周囲には、還元雰囲気、酸化雰囲気及び水蒸気酸化雰囲気の3つが同時に存在することになる。このような過酷な環境下であっても、前記保護層が被覆されたセパレータでは、腐食が進行することが抑制される。すなわち、本発明によれば、還元雰囲気、酸化雰囲気及び水蒸気酸化雰囲気の3つが同時に存在する場合であっても、セパレータとアノード電極との間の接触抵抗が増加すること、燃料ガスの圧力損失が増大すること、燃料ガス流れが不均一となること、Fe酸化物が剥離して燃料電池内に飛散すること等を回避することができる。
また、本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟持して構成される電解質・電極接合体がセパレータ同士の間に配設されるとともに、前記アノード電極の中心部から外周部に向かって燃料ガスを供給する一方、前記カソード電極に沿って酸化剤ガスを供給し、さらに使用後の前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混在する排ガスを前記電解質・電極接合体の外周部外方に排出する燃料電池の製造方法であって、
前記セパレータとして、Crを含有する鉄系合金からなるものを選定し、
該セパレータにおける前記アノード電極を臨む側の端面にNi含有皮膜を形成し、
前記Ni含有皮膜に対して550〜850℃で熱処理を施すことによって、前記セパレータが前記排ガスに曝されることを阻止するとともに、該セパレータから前記アノード電極に向かう方向に沿って、Ni及びFeを含有する混合層、Crを主成分として含有するクロムリッチ層をこの順序で有し、且つ前記混合層が、前記セパレータから前記アノード電極に向かうに従ってNiとFeの組成比が相対的に増減する傾斜層である保護層を設けることを特徴とする。
このような過程を経ることにより、還元雰囲気及び酸化雰囲気、さらには水蒸気酸化雰囲気の3つが同時に存在する環境下であっても、これらの雰囲気からセパレータを遮断するとともにアノード電極との間の接触抵抗を増加させることがほとんどない保護層を形成することができる。
なお、熱処理は、セパレータ同士で前記電解質・電極接合体を挟持した後に行うようにすればよい。又は、セパレータに対して熱処理を施した後、該セパレータ同士で電解質・電極接合体を挟持するようにしてもよい。要するに、熱処理は、燃料電池を構成する前に行ってもよいし、構成した後に行ってもよい。後者の場合、熱処理は、燃料電池を所定の運転温度に昇温することで行うようにしてもよい。
また、本発明における「排ガス」は、アノード電極に発電反応のために供給された燃料ガスのうち、未反応のまま使用済みとなった燃料ガス、未反応のまま使用済みとなった燃料ガスと酸化剤ガスとが燃焼して生成された高温の反応ガス、発電反応によって生成された水蒸気、カソード電極からアノード電極へ回り込んだ酸化剤ガスのいずれか、又はこれらの2以上が混合された混合ガスを指称するものとする。
本発明によれば、セパレータにおけるアノード電極を臨む側の端面に保護層を設けるようにしているので、該セパレータが還元雰囲気及び酸化雰囲気、さらには水蒸気酸化雰囲気から遮断される。このため、排ガス中の酸化剤ガスがセパレータに回り込んだり、水蒸気が存在したりしても、該セパレータが酸化(腐食)することを阻止することができる。すなわち、セパレータの耐酸化性(耐食性)が向上する。同時に、酸化や水蒸気酸化によって酸化物皮膜が生成・飛散したり、さらに堆積したりすることが抑制されるので、その結果、燃料ガスの円滑な流れが確保されるとともに圧力損失が増加することが回避される。
以下、本発明に係る燃料電池及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池20が、矢印A方向に沿って複数積層された燃料電池スタック22の概略斜視説明図である。
燃料電池20は、固体電解質(固体酸化物)型燃料電池であり、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられる。燃料電池20は、図2及び図3に示すように、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質30の両面に、カソード電極32及びアノード電極34が設けられた電解質・電極接合体36を備える。電解質・電極接合体36は、円板状に形成される。
アノード電極34は、例えば、Ni−Zr系サーメット材で構成される。図4に示すように、アノード電極34は、積層方向である矢印A方向に沿う膜厚がカソード電極32に比して大きい。すなわち、この場合、電解質・電極接合体36は、アノード電極34を基板として電解質30、カソード電極32が順次積層されることによって形成される支持膜型である。
そして、この電解質・電極接合体36は、セパレータ38、38で挟持され、これにより燃料電池20が構成されている。
図2に示すように、セパレータ38は、中央部に積層方向(矢印A方向)に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔40を形成する燃料ガス供給部42を有する。この燃料ガス供給部42から外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する複数の橋架部44が設けられるとともに、各橋架部44には、円板状の挟持部46が一体的に設けられる。
各挟持部46は、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されており、燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口48が、例えば、前記挟持部46の中心又は中心に対して酸化剤ガスの流れ方向上流側に偏心した位置に設定される。挟持部46同士は、切り欠き50を介して分離されている。
図2及び図5に示すように、各挟持部46のアノード電極34に接触する面46a上には、前記アノード電極34の電極面に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス通路52を形成する複数の突起部54が設けられる。各挟持部46のカソード電極32に接触する面46b上には、前記カソード電極32の電極面に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス通路56を形成する複数の突起部58が設けられる。
セパレータ38のカソード電極32に対向する面には、通路蓋部材60が、例えば、ろう付けやレーザ溶接等により固着される。通路蓋部材60は、平板状に構成されるとともに、中央部に燃料ガス供給連通孔40を形成する燃料ガス供給部62を備える。燃料ガス供給部62から放射状に8本の橋架部64が延在するとともに、各橋架部64は、セパレータ38の橋架部44から挟持部46の面にわたり燃料ガス導入口48を覆って固着される。橋架部44、64間には、燃料ガス供給連通孔40から燃料ガス導入口48に連通する燃料ガス供給通路65が形成される。
第1実施形態において、セパレータ38は、12〜30wt%のCrを含有するFe系合金、例えば、SUS304、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS430、SUS434等の各種ステンレス鋼からなる金属プレートで構成される。
そして、図4及び図5に示すように、このセパレータ38には、アノード電極34に臨む側の端面に、該セパレータ38が排ガスに曝されることを阻止するための保護層90が形成されている。
図4に示すように、保護層90は2層からなる。すなわち、保護層90は、セパレータ38からアノード電極34に向かう方向に沿って、Ni及びFeを含有する混合層92、Crを主成分として含有するクロムリッチ層94をこの順序で有する。
混合層92は、NiやFe、及びこれらの各々の酸化物や複合酸化物を主体とする。図6、図7にそれぞれ示されるNi、Feの濃度分布の深さ方向プロファイルから諒解されるように、Niはアノード電極34側で多く且つセパレータ38に接近するにつれて少なくなり、一方、Feはセパレータ38側で多く且つアノード電極34に接近するにつれて少なくなる。すなわち、FeとNiは、一方の組成比が多くなると他方が少なくなる、相対的に増減する関係にある。
混合層92上のクロムリッチ層94は、Cr及びその酸化物(特にCr23)を主体とする層である。このクロムリッチ層94、換言すれば、主体であるCr及びその酸化物は、セパレータ38に構成元素として含まれるCrを源として生成したものである。
ここで、Crの濃度分布の深さ方向プロファイルを図8に示す。この図8から、クロムリッチ層94においてはCrの濃度が最大であり、該クロムリッチ層94の主成分であることが分かる。なお、セパレータ38中のCrは、該セパレータ38の材質(ステンレス鋼等)の構成元素として含まれるものである。
以上のように構成された保護層90の好ましい厚みは、1〜100μmである。1μm未満であると、セパレータ38を酸化ないし水蒸気酸化から保護する効果が乏しくなることがある。一方、100μmを超えると、保護層90が比較的剥離し易くなるとともに、該保護層90の抵抗が大きくなる。保護層90の一層好適な厚みは、1〜75μmである。
なお、クロムリッチ層94は存在していればよく、その厚みは特に限定されるものではない。すなわち、例えば、数nm程度と極めて小さな厚みであってもよい。また、厚みは、最大でも5μmとすれば十分である。換言すれば、クロムリッチ層94の好適な厚みは、0を超え5μm以下である。
この保護層90を介してセパレータ38がアノード電極34に圧接されると、アノード電極34に燃料ガスを供給する燃料ガス通路52を構成するための空間部53が形成される(図4参照)。
図5に示すように、各セパレータ38間には、燃料ガス供給連通孔40をシールするための絶縁シール66が設けられる。燃料電池20には、挟持部46の外方に位置して積層方向(矢印A方向)に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給通路68が設けられる一方、燃料ガス供給部42の周囲には、使用済みの燃料ガス及び酸化剤ガスを排出する排ガス通路70が形成される。
図1に示すように、燃料電池スタック22における燃料電池20の積層方向両端には、エンドプレート74a、74bが配置される。エンドプレート74aの形状は略円板状であり、その中央部には、燃料ガス供給連通孔40に対応して孔部76が設けられる。また、この孔部76の周囲には、排ガス通路70に対応して複数の孔部78が設けられる。エンドプレート74a、74b間は、ねじ孔80に螺合する図示しないボルトにより矢印A方向に締め付けられている。
この燃料電池20は、以下のようにして製造することができる。
先ず、Crを12〜30wt%含む鉄系合金、好適には上記したようなステンレス鋼を原材料として選定し、例えば、プレス加工によってセパレータ38を作製する。
次に、前記セパレータ38の挟持部46における少なくともアノード電極34に臨む側の端面(突起部54が設けられている端面)に、保護層90を設ける。なお、セパレータ38には、必要に応じてマスキングを施すようにしてもよい。この場合、例えば、テープやパラフィン等を用いてマスキングを行えばよい。
次に、セパレータ38に対し、キシレン等(酸やアルカリを組み合わせた数種類の薬品で行ってもよい)による脱脂処理や不動態皮膜の除去処理を施す。これにより活性化されたセパレータ38の表面には、電気メッキによってニッケルからなる薄膜状の電気メッキ層が形成される(ストライクニッケルメッキ)。この電気メッキ層は、後工程のメッキの密着性を向上させるものであり、その厚みは1μm以下が好ましい。
このようにしてニッケル電気メッキ処理が施されたセパレータ38に対し、引き続いてニッケル無電解メッキ処理が施される。このニッケル無電解メッキ処理に際しての諸条件は、形成されるニッケル皮膜の厚みが1〜100μmの間となるように設定される。ニッケル皮膜の厚みが10μm以下となる条件がより好ましく、5μm以下となる条件がさらに好ましい。
その際、メッキ用ニッケル槽に添加される主な元素は、P(リン)、W(タングステン)、B(ホウ素)又はCo(コバルト)等であるとともに、ニッケル濃度が80wt%以上に設定される。従って、ニッケル皮膜は、純粋なニッケルではなく、例えば、94wt%Ni−6wt%(W,B)等の組成比を有するものである。ここで、6wt%(W,B)は、WとBの合計が6wt%であることを表す。
なお、一般的なニッケルメッキを行う際には、90wt%Ni−10wt%P等の中間層を形成し、その上にニッケル皮膜を設けることが通例であるが、第1実施形態においては、前記中間層を形成することなく、ニッケル皮膜が直接積層される。
さらに、メッキ処理後のセパレータ38に対し、水洗の後、120〜150℃の温度で1時間の焼成(ベーキング)処理が実施される。この焼成処理により、ニッケル皮膜と電気メッキ層との密着性が向上するとともに、ニッケル皮膜がアモルファスと結晶の複合組織となる。
この時点で、セパレータ38に対して熱処理を施すようにしてもよい。なお、熱を受けることによってセパレータ38が変形すること等を回避するため、熱処理の温度を550〜850℃とすることが好ましく、650〜800℃とすることがより好ましい。
この熱処理に伴い、セパレータ38(Cr含有鉄系合金)の構成元素であるFe及びCrがニッケル皮膜側に向かって拡散し始める。Feはニッケル皮膜内に若干進入し、Niを押し出す。これにより、Niがセパレータ38から離間するに従って濃度が高く、且つFeがセパレータ38に接近するに従って濃度が高くなる混合層92が形成される。
一方、Crは、ニッケル皮膜ないし混合層92を通過し、最終的に、ニッケル皮膜ないし混合層92上にクロムリッチ層94を形成する。クロムリッチ層94の厚みは0を超え5μm以下であり、例えば、数nm〜2μm程度である。
以上により、混合層92とクロムリッチ層94を具備する保護層90が得られるに至る。混合層92中のFe、Ni、及びクロムリッチ層94中のCrは酸素と結合し、結局、酸化物となる。
次に、セパレータ38を構成する各挟持部46に電解質・電極接合体36を載置する。これにより、アノード電極34と、前記挟持部46に突起部54を覆って形成された保護層90とが部分的に密着し、これらの間に形成される空間部53により燃料ガス通路52が形成される(図4参照)。
さらに、電解質・電極接合体36のカソード電極32上に別のセパレータ38を載置すれば、燃料電池20が構成される。
又は、セパレータ38に対して熱処理を施すことなく燃料電池20を構成し、その後、燃料電池20に対して熱処理を施すようにしてもよい。この場合においても、熱処理の好適な温度は550〜850℃であり、一層好適な温度は650〜800℃である。
このように製造される燃料電池20を組み込む燃料電池スタック22の動作について、以下に説明する。
発電に先んじて、燃料電池スタック22が所定の運転温度まで昇温される。
上記のようにして形成されたクロムリッチ層94は、緻密ではない。従って、燃料電池20に対して熱処理が施された際、ないし燃料電池スタック22が運転に際して昇温された際、混合層92に含まれるNiがクロムリッチ層94を経由してアノード電極34側に拡散する。一方、アノード電極34がNi−Zr系サーメット材で構成されている場合、該アノード電極34中にもNiが含まれている。これらのNi同士が馴染み合い、その結果、アノード電極34とセパレータ38とが一層強固に密着される。
このようにして密着し合ったアノード電極34とセパレータ38は、互いの熱による膨張(又は収縮)を抑制する。すなわち、アノード電極34はセパレータ38に押圧されることによって熱膨張(又は熱収縮)することが抑制され、一方、セパレータ38はアノード電極34に押圧されることによって熱膨張(又は熱収縮)することが抑制される。このため、電解質・電極接合体36が熱変形に起因して破損することを回避することができる。
燃料電池スタック22が所定の温度に到達する前に予め、図1に示すように、エンドプレート74aの孔部76から燃料ガス(例えば、水素含有ガス)が供給されるとともに、燃料電池20の外周側に設けられた酸化剤ガス供給通路68から酸化剤ガスである酸素含有ガス(以下、空気ともいう)が供給される。
燃料ガスは、図5に示すように、燃料ガス供給部42から橋架部44内の燃料ガス供給通路65に沿って移動し、挟持部46に形成された燃料ガス導入口48から複数の突起部54により形成された燃料ガス通路52に導入される。燃料ガス導入口48は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の略中心位置に設定されている。このため、燃料ガスは、燃料ガス導入口48からアノード電極34の略中心に供給され、燃料ガス通路52に沿って該アノード電極34の外周部に向かって移動する。
一方、酸化剤ガスは、電解質・電極接合体36の外側周端部と挟持部46の外側周端部との間から矢印B方向に流入し、酸化剤ガス通路56に送られる。酸化剤ガス通路56では、電解質・電極接合体36のカソード電極32の外側周端部(セパレータ38の外側周端部)側から内側周端部(セパレータ38の中央部)に向かって酸化剤ガスが流動する。
従って、電解質・電極接合体36では、アノード電極34の電極面の中心側から周端部側に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の電極面の一方向(矢印B方向)に向かって酸化剤ガスが供給される。
燃料電池スタック22が所定の温度に到達すると、多量の酸化物イオンが電解質30を通ってアノード電極34に活発に移動するようになり、化学反応により発電が行われる。上記したように、セパレータ38とアノード電極34とが強固に密着しているために両者間の接触抵抗が小さいので、この発電の際、集電が効率よく営まれる。
各電解質・電極接合体36の外周部に排出される排ガスは、排ガス通路70を介して積層方向に移動し、燃料電池スタック22から排出される。
その際、酸化剤ガスは、通常、各電解質・電極接合体36に対して空気過剰状態で供給されており、前記電解質・電極接合体36の外周で未反応の燃料ガスを混在して燃焼する前後、さらに燃焼しながら、酸素が残存した状態でカソード電極32からアノード電極34へ回り込んでくる。さらに、アノード電極34には、発電反応によって水蒸気が生成しており、未反応のまま使用済みとなった燃料ガスも残っている。この酸素や水蒸気、使用済みとなった燃料ガスを含有する高温の排ガスにより、セパレータ38の外周部は、酸化雰囲気、水蒸気酸化雰囲気及び還元雰囲気が同時に存在する厳しい環境となっている。これら酸化雰囲気、水蒸気酸化雰囲気及び還元雰囲気に電解質・電極接合体36、特にセパレータ38の外周部が曝されるため、該セパレータ38の外周部は、酸化及び水蒸気酸化を受け易く、同時に還元反応も起こり得る環境下にある。
しかしながら、第1実施形態では、図4及び図5に示すように、セパレータ38に保護層90が形成されている。このため、排ガス中の酸化剤ガスが、電解質・電極接合体36の外周を回り込んでアノード電極34及びセパレータ38の外周部に入り込み、水蒸気が存在していても、該セパレータ38が酸化や水蒸気酸化されることを阻止することができる。
従って、セパレータ38の耐酸化性が向上するとともに、酸化や水蒸気酸化による堆積物の生成や飛散が抑制され、燃料ガス通路52に沿って燃料ガスの円滑な流れが確保される。特に、セパレータ38の表面がCrを主体とするクロムリッチ層94で被覆されているので、該表面にFe酸化物が発生することが回避される。このため、アノード電極34とセパレータ38との間の接触抵抗が増加することを回避することができる。同時に、Fe酸化物が発生することに起因して燃料ガスの圧力損失が増加することも回避することができる。
しかも、クロムリッチ層94の厚みが極めて小さいため、該クロムリッチ層94を設けたことに伴って接触抵抗が著しく増加することもない。
図9は、本発明の第2実施形態に係る製造方法の説明図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に燃料電池スタック22を用いている。
この第2実施形態では、セパレータ38におけるアノード電極34に臨む側の端面に、保護層90aが形成される。そして、システム昇温時(稼動初期段階)において、セパレータ38の複数の突起部54は、アノード電極34内に入り込んでいる。
このように、第2実施形態では、セパレータ38の突起部54がアノード電極34に入り込んで密着するため、互いの動きを抑制することができる。従って、熱変形による電解質・電極接合体36の破損等を確実に抑制することが可能になるという効果が得られる。
なお、保護層90、90aは、1μm以下の薄膜に形成することが困難であるとともに、膜厚が薄すぎると、酸化抑制効果が得られない。これにより、膜厚は、好ましくは、1μm以上に設定される。
一方、膜厚が厚くなると、電気抵抗が増大して接触抵抗が大きくなり、導通及び集電による損失が大きくなってしまう。さらに、コーティング層の界面で熱膨張係数の差による剥離が発生し易くなるとともに、ピンホール等の形成を防止して安定した皮膜を形成することが困難であり、且つコストが高騰するおそれがある。従って、保護層90、90aは、100μm以下に設定されることが好ましい。
図10は、本発明の第3実施形態に係る燃料電池100が、矢印A方向に複数積層された燃料電池スタック102の概略斜視説明図である。なお、第1実施形態に係る燃料電池20と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第4〜第6実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
燃料電池100は、図11及び図12に示すように、単一の電解質・電極接合体36を挟持するセパレータ104を備える。セパレータ104は、第1及び第2プレート106、108と、前記第1及び第2プレート106、108間に配設される第3プレート110とを備える。第1〜第3プレート106、108及び110は、例えば、ステンレス鋼等の板金で構成され、前記第3プレート110の両面に、前記第1プレート106と前記第2プレート108とが、例えば、ろう付けにより接合される。
図11に示すように、第1プレート106は、積層方向(矢印A方向)に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔40が形成される第1燃料ガス供給部112を備え、この第1燃料ガス供給部112には、幅狭な第1橋架部114を介して比較的大径な第1挟持部116が一体的に設けられる。第1挟持部116は、電解質・電極接合体36のアノード電極34と略同一寸法に設定されている。
第1挟持部116のアノード電極34に接触する面には、燃料ガス通路52を形成するための多数の突起部54aが外周縁部近傍から中心部にわたって設けられるとともに、前記第1挟持部116の外周縁部には、略リング状突起部54bが設けられる。突起部54a及び略リング状突起部54bは、集電部を構成する。
第1挟持部116の中央には、アノード電極34の略中央部に向かって燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口48が形成される。なお、突起部54aは、略リング状突起部54bと同一平面内に複数の凹部を形成することによって構成してもよい。第1挟持部116のアノード電極34に向かう面には、突起部54a及び略リング状突起部54bを覆って保護層90が形成される。
第2プレート108は、積層方向(矢印A方向)に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔68aが形成される第1酸化剤ガス供給部118を備える。この第1酸化剤ガス供給部118には、幅狭な第2橋架部120を介して比較的大径な第2挟持部122が一体的に設けられる。
第2挟持部122は、電解質・電極接合体36のカソード電極32に接する面に、酸化剤ガス通路56を形成するための複数の突起部58が面内全面にわたって形成される(図13参照)。第2挟持部122の中央部には、酸化剤ガスをカソード電極32の略中央部に向かって供給するための酸化剤ガス導入口124が形成される。
第3プレート110は、燃料ガス供給連通孔40が形成される第2燃料ガス供給部126と、酸化剤ガス供給連通孔68aが形成される第2酸化剤ガス供給部128とを備える。第2燃料ガス供給部126及び第2酸化剤ガス供給部128は、幅狭な第3及び第4橋架部130、132を介して比較的大径な第3挟持部134と一体的に構成される。第3挟持部134は、第1及び第2挟持部116、122と同一直径に設定される。
第3プレート110の第1プレート106に向かう面において、第2燃料ガス供給部126には、燃料ガス供給連通孔40に連通する複数のスリット状通路136が放射状に形成される。燃料ガス供給連通孔40から通路136を介して第3橋架部130及び第3挟持部134の面内に燃料ガス供給通路65が形成される。第3挟持部134には、複数の突起部138が形成され、この突起部138は、燃料ガス供給通路65の一部を構成する。
第3プレート110の第2プレート108に接する面において、第2酸化剤ガス供給部128には、酸化剤ガス供給連通孔68aに連通する複数のスリット状通路140が放射状に形成される。酸化剤ガス供給連通孔68aから通路140を介して第3挟持部134には、酸化剤ガス供給通路142が形成され、この酸化剤ガス供給通路142は、前記第3挟持部134の周縁部によって閉塞される。
第1プレート106が第3プレート110の一方の面にろう付けされることにより、第1及び第3プレート106、110間には、燃料ガス供給連通孔40に連通する燃料ガス供給通路65が設けられる。この燃料ガス供給通路65は、第1及び第3挟持部116、134間に該第1挟持部116を挟んでアノード電極34の電極面を覆い、且つ燃料ガスが供給されることにより前記第1挟持部116を前記アノード電極34に圧接可能な燃料ガス圧力室146を構成する(図13参照)。電解質・電極接合体36の外周外方には、使用済みの燃料ガス及び酸化剤ガスを排出する排ガス通路70が設けられる。
第2プレート108が第3プレート110にろう付けされることにより、第2及び第3プレート108、110間には、酸化剤ガス供給連通孔68aに連通する酸化剤ガス供給通路142が形成される。この酸化剤ガス供給通路142は、第2及び第3挟持部122、134間に該第2挟持部122を挟んでカソード電極32の電極面を覆い、且つ酸化剤ガスが供給されることにより前記第2挟持部122を前記カソード電極32に圧接可能な酸化剤ガス圧力室148を構成する(図13参照)。
セパレータ104は、第1プレート106の第1挟持部116と、第2プレート108の第2挟持部122と、第3プレート110の第3挟持部134とが接合されることにより、円板状の挟持部150を構成する。挟持部150には、第1及び第3橋架部114、130が接合されて構成される橋架部152と、第2及び第4橋架部120、132が接合されて構成される橋架部154とが連結される。
橋架部152には、第1燃料ガス供給部112と第2燃料ガス供給部126とが接合されて形成される燃料ガス供給部156が連結される。橋架部154には、第1酸化剤ガス供給部118と第2酸化剤ガス供給部128が接合されて形成される酸化剤ガス供給部158が連結される。
図11に示すように、各セパレータ104間には、燃料ガス供給連通孔40をシールするための絶縁シール159aと、酸化剤ガス供給連通孔68aをシールするための絶縁シール159bとが設けられる。絶縁シール159a、159bは、例えば、マイカ材やセラミック材で形成されている。
図10に示すように、燃料電池スタック102は、複数の燃料電池100の積層方向両端にエンドプレート160a、160bを配置する。エンドプレート160aもしくはエンドプレート160bは、締付手段162と電気的に絶縁される。エンドプレート160aには、燃料電池100の燃料ガス供給連通孔40に連通する第1配管164と、酸化剤ガス供給連通孔68aに連通する第2配管166とが接続される。エンドプレート160a、160bには、電解質・電極接合体36よりも燃料ガス供給連通孔40及び酸化剤ガス供給連通孔68aに近接する位置に、矢印A方向に積層された電解質・電極接合体36とセパレータ104とに積層方向に締付荷重を付与する締付手段162が配設される。
締付手段162は、燃料ガス供給連通孔40の両側及び酸化剤ガス供給連通孔68aの両側に位置してエンドプレート160a、160bに形成されるボルト孔168を備える。各ボルト孔168に締付ボルト170が挿入されるとともに、各締付ボルト170の先端にナット172が螺合することによって、燃料電池スタック102が締め付け保持される。
このように構成される燃料電池スタック102の動作について、以下に説明する。
図10に示すように、エンドプレート160aに接続されている第1配管164から燃料ガス供給連通孔40に燃料ガスが供給されるとともに、前記エンドプレート160aに接続された第2配管166から酸化剤ガス供給連通孔68aに酸化剤ガスが供給される。
燃料ガス供給連通孔40に供給された燃料ガスは、図13に示すように、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池100を構成するセパレータ104内の燃料ガス供給通路65に供給される。燃料ガスは、燃料ガス供給通路65に沿って第1及び第3挟持部116、134間に形成された燃料ガス圧力室146に導入され、複数の突起部138間を移動して第1挟持部116の中央部に形成される燃料ガス導入口48に導入される。
燃料ガス導入口48は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の中心位置に対応して設けられている。このため、燃料ガスは、燃料ガス導入口48から燃料ガス通路52に供給され、アノード電極34内を中心部から外周部に向かって流動する。
一方、酸化剤ガス供給連通孔68aに供給される酸化剤ガスは、セパレータ104内の酸化剤ガス供給通路142を移動し、第2及び第3挟持部122、134間に形成された酸化剤ガス圧力室148に供給される。さらに、酸化剤ガスは、第2挟持部122の中心位置に設けられる酸化剤ガス導入口124に導入される。
酸化剤ガス導入口124は、各電解質・電極接合体36のカソード電極32の中心位置に対応して設けられている。このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入口124から酸化剤ガス通路56に供給され、カソード電極32の中心部から外周部に向かって流動する。
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の中心部から外周部に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の中心部から外周部に向かって酸化剤ガスが供給され、発電が行われる。そして、発電に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスは、排ガスとして挟持部150の外周部から排気される。
第3実施形態においては、図13に示すように、セパレータ38を構成する第1プレート106の第1挟持部116に保護層90が形成されている。このため、第3実施形態では、上記の第1及び第2実施形態と同様の効果が得られる。
図14は、本発明の第4実施形態に係る燃料電池200の分解斜視説明図である。
燃料電池200は、図14に示すように、一対のセパレータ204間に複数(例えば、4個)の電解質・電極接合体36を挟んで構成される。セパレータ204間には、このセパレータ204の中心部である燃料ガス供給連通孔40を中心にして等角度間隔ずつ離間し且つ前記燃料ガス供給連通孔40と同心円上に4個の電解質・電極接合体36が配置される。
セパレータ204は、例えば、ステンレス鋼等の板金で構成される第1プレート206及び第2プレート208を有する。第1プレート206及び第2プレート208は、互いに拡散接合、レーザ溶接又はろう付け等により接合される。第1プレート206及び第2プレート208は、金属プレートに代えて、例えば、カーボンプレート等(接合方法は省略する)で構成してもよい。
図14及び図15に示すように、第1プレート206は、中央部に積層方向(矢印A方向)に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔40が形成される第1燃料ガス供給部210aを有する。この第1燃料ガス供給部210aから外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する4つの第1橋架部212aを介し、比較的大径な第1挟持部214aが一体に設けられる。第1挟持部214aは、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されるとともに、各第1挟持部214aには、短尺な第2橋架部216aを介して環状の第1筐体部218aが一体に設けられる。
第1挟持部214aのアノード電極34に接触する面には、前記アノード電極34の電極面に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス通路52を形成する複数の突起部220が設けられる。突起部220は、集電部を構成する。第1挟持部214aの略中央には、燃料ガス供給連通孔40側に偏心しアノード電極34の略中央部に向かって燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口48が形成される。第1挟持部214aのアノード電極34に接触する面には、突起部220を覆って保護層90が形成される。
第1筐体部218aは、酸化剤ガスを酸化剤ガス供給通路142に供給するための酸化剤ガス供給連通孔68aが積層方向に形成される酸化剤ガス供給部222を有する。第1筐体部218aには、複数のボルト挿入用孔部224が所定角度間隔ずつ離間して設けられる。燃料ガス供給連通孔40、第1橋架部212a、第1挟持部214a、第2橋架部216a及び酸化剤ガス供給連通孔68aは、セパレータ面方向に沿って直線上に配置される。
図14及び図16に示すように、第2プレート208は、中央部に燃料ガス供給連通孔40が形成される第2燃料ガス供給部210bを有する。この第2燃料ガス供給部210bから外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する4つの第1橋架部212bを介して比較的大径な第2挟持部214bが一体に設けられる。第2挟持部214bは、第1挟持部214aと同様に、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されるとともに、各第2挟持部214bには、短尺な第2橋架部216bを介して環状の第2筐体部218bが一体に設けられる。
第2燃料ガス供給部210bの第1燃料ガス供給部210aと接合される面には、燃料ガス供給連通孔40に連通する複数の溝部236が、前記燃料ガス供給連通孔40を中心にして放射状に形成される。各溝部236は、周溝238に一体に連通するとともに、前記周溝238には、4本の燃料ガス供給通路65が連通する。各燃料ガス供給通路65は、各第1橋架部212bから各第2挟持部214bの中央部近傍に延在し、第1プレート206の燃料ガス導入口48に対応して終端する。
第2筐体部218bには、酸化剤ガス供給連通孔68aが積層方向に形成される酸化剤ガス供給部222と、ボルト挿入用孔部224とが設けられる。この第2筐体部218bの第1筐体部218aに接合される面には、酸化剤ガス供給連通孔68aから供給される酸化剤ガスを充填するための充填室260が形成される。
充填室260は、各第2橋架部216bから各第2挟持部214bの中央部近傍まで延在する酸化剤ガス供給通路142に連通する。酸化剤ガス供給通路142の先端には、第2挟持部214bを貫通する酸化剤ガス導入口124が連通する。
第1プレート206には、複数の突起部220が、例えば、エッチングにより形成されるとともに、第2プレート208には、溝部236、周溝238、燃料ガス供給通路65、充填室260及び酸化剤ガス供給通路142が、例えば、エッチングにより形成される。
セパレータ204は、図15に示すように、第1プレート206の第1挟持部214aと、第2プレート208の第2挟持部214bとが接合されることにより、円板状の挟持部214を構成する。挟持部214には、第1橋架部212a、212bが接合されて構成される第1橋架部212と、第2橋架部216a、216bが接合されて構成される第2橋架部216とが連結される。
第1橋架部212には、第1燃料ガス供給部210aと第2燃料ガス供給部210bとが接合されて形成される燃料ガス供給部210が連結される。第2橋架部216には、第1筐体部218aと第2筐体部218bとが接合されて形成される酸化剤ガス供給部222が連結される。
図14に示すように、第2プレート208のカソード電極32に向かう面には、変形可能な弾性通路部、例えば、導電性フェルト部材(金属フェルト等の導電性不織布)262が配設される。このフェルト部材262により、第2挟持部214bとカソード電極32との間には、酸化剤ガス通路56が形成される。なお、フェルト部材262に代えて、メッシュ部材(金属メッシュ等の導電性織布)、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル又はプレスエンボスメタル等を採用してもよい。電解質・電極接合体36の外周部には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスを排ガスとして排出するための排ガス通路70が設けられる。
図17に示すように、各セパレータ204間には、燃料ガス供給連通孔40をシールするための第1絶縁シール263aと、酸化剤ガス供給連通孔68aをシールするための第2絶縁シール263bとが設けられる。第1絶縁シール263a及び第2絶縁シール263bは、シール性が高く、硬質で潰れ難い、例えば、地殻成分系素材、硝子系素材、粘土とプラスチックの複合素材等が使用される。また、第2絶縁シール263bは、熱エネルギの拡散を阻止する断熱部材であることが好ましい。
このように構成される燃料電池200の動作について、以下に説明する。
燃料ガス供給連通孔40に供給された燃料ガスは、図15及び図17に示すように、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池200を構成するセパレータ204の第2プレート208に形成された溝部236から周溝238を介して各燃料ガス供給通路65に供給される(図14参照)。燃料ガスは、燃料ガス供給通路65に沿って移動した後、第1プレート206に形成された燃料ガス導入口48から燃料ガス通路52に導入される。
燃料ガス導入口48は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の略中心位置に対応して設けられている。従って、燃料ガスは、燃料ガス導入口48からアノード電極34に供給され、このアノード電極34の略中心部から外周部に向かって燃料ガス通路52を流動する。
一方、酸化剤ガス供給連通孔68aに供給される空気は、第1プレート206の第1筐体部218aと第2プレート208の第2筐体部218bとの間に設けられる充填室260に一旦充填される。この充填室260には、酸化剤ガス供給通路142が連通しており、酸化剤ガスは、各酸化剤ガス供給通路142に沿って挟持部214の中心側に移動する。
第2挟持部214bの中心近傍には、酸化剤ガス導入口124が連通するとともに、前記酸化剤ガス導入口124は、電解質・電極接合体36のカソード電極32の略中心位置に対応して設けられている。これにより、空気は、図17に示すように、酸化剤ガス導入口124からカソード電極32に供給され、このカソード電極32の略中心部から外周部に向かってフェルト部材262に形成された酸化剤ガス通路56を流動する。
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の略中心部から外周部に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の略中心部から外周部に向かって空気が供給され、発電が行われる。そして、発電に使用された燃料ガス及び空気は、排ガスとして各電解質・電極接合体36の外周部から排ガス通路70に排気される。
図18は、本発明の第5実施形態に係る燃料電池280の分解斜視説明図である。
燃料電池280は、2個の電解質・電極接合体36を挟持するセパレータ282を備える。セパレータ282は、セパレータ104と同様に3枚のプレート(図示せず)により構成される。セパレータ282は、図18に示すように、それぞれ電解質・電極接合体36を挟持する円板状の第1挟持部150aと第2挟持部150bとを備える。
第1挟持部150a及び第2挟持部150bには、橋架部152a、152bを介して燃料ガス供給部156が連結されるとともに、橋架部154a、154bを介して酸化剤ガス供給部158に連結される。橋架部152a、152b内には、燃料ガス供給通路65a、65bが形成されるとともに、橋架部154a、154b内には、酸化剤ガス供給通路142a、142bが形成される。
第1挟持部150aと電解質・電極接合体36との間には、燃料ガス通路52a及び酸化剤ガス通路56aが形成される一方、第2挟持部150bと前記電解質・電極接合体36との間には、燃料ガス通路52b及び酸化剤ガス通路56bが形成される。
第1挟持部150a及び第2挟持部150bのアノード電極34に向かう面には、保護層90が形成される。保護層90は、各アノード電極34に部分的に密着し、燃料ガス通路52a、52bが形成される。
このように構成される第5実施形態では、上記の第1〜第4実施形態と同様の効果を有する。さらに、セパレータ282は、2つの電解質・電極接合体36を挟持し、且つ、各電解質・電極接合体36に燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路65a、65b及び酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給通路142a、142bが、全て同一の長さに設定されている。このため、各電解質・電極接合体36に対して燃料ガス及び酸化剤ガスを均等に配分することができるとともに、発電出力を高めることが可能になる。
図19は、本発明の第6実施形態に係る燃料電池300の分解斜視説明図である。
燃料電池300は、複数、例えば、16個の電解質・電極接合体36をセパレータ302により挟んで構成される。セパレータ302の面内には、このセパレータ302の中心部である燃料ガス供給連通孔40と同心円上に8個の電解質・電極接合体36が配列される内周側配列層P1と、この内周側配列層P1の外周に8個の電解質・電極接合体36が配列される外周側配列層P2とが設けられる。
セパレータ302は、図19及び図20に示すように、互いに積層される複数枚、例えば、2枚のプレート304、306を備える。プレート304、306は、例えば、ステンレス鋼等の板金で構成されており、それぞれ波形外周部304a、306aを設ける。
プレート304、306の中央側には、燃料ガス供給連通孔40を形成する第1及び第2燃料ガス供給部308a、308bが設けられる。第1及び第2燃料ガス供給部308a、308bには、4つの排ガス通路70を設けるためにそれぞれ4つの第1及び第2橋架部310a、310bが連結される。
図19及び図21に示すように、プレート304、306には、燃料ガス供給連通孔40に対して放射状に突起部312a、312bが設けられるとともに、前記突起部312a、312b間には、前記燃料ガス供給連通孔40に連通する燃料ガス供給通路65が形成される。
図21に示すように、突起部312a、312bは、先端を結ぶ仮想円が内周側配列層P1の中心線と、外周側配列層P2の中心線とを形成する。内周側配列層P1に沿って8個の電解質・電極接合体36が配列される一方、外周側配列層P2の中心線に沿って8個の電解質・電極接合体36が配列される。
突起部312aの先端側周囲には、それぞれ3個の酸化剤ガス導入口124がプレート304を貫通して形成される。プレート304には、内周側配列層P1及び外周側配列層P2に沿って配列される各電解質・電極接合体36に向かって突出し、各電解質・電極接合体36に接する第1突起部314が膨出成形される。
プレート306には、内周側配列層P1及び外周側配列層P2に沿って配列される各電解質・電極接合体36に向かって突出し、各電解質・電極接合体36に接する第2突起部316が膨出成形される。第2突起部316は、第1突起部314よりも径方向及び高さ方向の各寸法が小さく設定されている(図22参照)。プレート306には、燃料ガス供給通路65に連通する燃料ガス導入口48が貫通形成される。この燃料ガス供給通路65は、燃料ガス導入口48から燃料ガス通路52に連通する。
プレート304とプレート306との間には、突起部312a、312bとの間に対応して燃料ガス供給通路65が形成されるとともに、前記突起部312a、312bの外方に対応して酸化剤ガス供給通路142が形成される。この酸化剤ガス供給通路142は、プレート304に形成された酸化剤ガス導入口124から酸化剤ガス通路56に連通する。
セパレータ302は、第1及び第2燃料ガス供給部308a、308bが接合されることにより燃料ガス供給部を一体に形成するとともに、第1及び第2橋架部310a、310bが接合されることにより橋架部を一体に構成する。
セパレータ302の面内には、内周側配列層P1に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36を挟持する8つの挟持部320aと、外周側配列層P2に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36を挟持する8つの挟持部320bとが構成される。セパレータ302では、少なくともアノード電極34に接する挟持部320a、320bの面に、保護層90が形成される。
一方のセパレータ302を構成するプレート304と他方のセパレータ302を構成するプレート306とにより、電解質・電極接合体36が挟持される。具体的には、図22に示すように、電解質・電極接合体36を挟んで互いに対向するプレート304、306には、第1突起部314及び第2突起部316が膨出成形されており、前記第1突起部314と前記第2突起部316とによって前記電解質・電極接合体36が挟持される。
電解質・電極接合体36と一方のセパレータ302を構成するプレート306との間には、燃料ガス供給通路65から燃料ガス導入口48を介して連通する燃料ガス通路52が形成される。電解質・電極接合体36と他方のセパレータ302を構成するプレート304との間には、酸化剤ガス供給通路142から酸化剤ガス導入口124を介して連通する酸化剤ガス通路56が形成される。
このように構成される燃料電池300の動作について、以下に説明する。
図20及び図22に示すように、燃料ガスは、突起部312a、312b間に形成された燃料ガス供給通路65に沿って移動し、各燃料ガス導入口48を介して燃料ガス通路52に導入される。燃料ガス導入口48は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の中心位置に対応して設けられており、燃料ガス通路52に導入された燃料ガスは、前記アノード電極34の中心部から外周に向かって流動する。
一方、酸化剤ガス供給通路142に供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入口124から酸化剤ガス通路56に導入され、電解質・電極接合体36のカソード電極32の中心部から外周に沿って流動する(図20及び図22参照)。
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の中心部から外周に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の中心部から外周に向かって酸化剤ガスが供給される。その際、酸素イオンが電解質30を通ってアノード電極34に移動し、化学反応により発電が行われる。
各電解質・電極接合体36の外周に移動した反応後の燃料ガス及び酸化剤ガス(排ガス)は、セパレータ302の中心部側に移動する。セパレータ302の中心部近傍には、排ガスマニホールドを構成する4つの排ガス通路70が形成されており、排ガスがこの排ガス通路70から外部に排出される。
この場合、第6実施形態では、上記の第1〜第5実施形態と同様の効果が得られる。しかも、セパレータ302の中央に設けられている第1及び第2燃料ガス供給部308a、308bから内周側配列層P1に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36に供給される燃料ガスの経路長さを等しくするとともに、外周側配列層P2に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36に供給される燃料ガスの経路長さを等しくすることができる。これにより、各電解質・電極接合体36の発電状態を均一に維持することができ、良好な発電出力が効率的に得られるという効果がある。
なお、上記の第1〜第6実施形態では、電解質・電極接合体36として、アノード電極34を基板として電解質30とカソード電極32を積層する支持膜型のものを例示して説明したが、電解質30を基板として該電解質30の両端面にアノード電極34及びカソード電極32をそれぞれ積層する自立膜型であってもよい。
また、電解質30とカソード電極32及び/又はアノード電極34との間に中間層を介装するようにしてもよい。
さらにまた、保護層90をセパレータ38に形成する手法は、上記した無電解メッキに特に限定されるものではなく、化学的気相成長(CVD)法、物理的気相成長(PVD)法、スクリーン印刷、蒸着等、公知の成膜法を採用することができる。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。 前記燃料電池の分解斜視図である。 前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図ある。 前記燃料電池を構成する電解質・電極構造体及びセパレータの説明図である。 前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。 保護層及びセパレータにおけるNiの濃度分布を示す深さ方向プロファイルである。 保護層及びセパレータにおけるFeの濃度分布を示す深さ方向プロファイルである。 保護層及びセパレータにおけるCrの濃度分布を示す深さ方向プロファイルである。 本発明の第2実施形態に係る製造方法の説明図である。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。 前記燃料電池の分解斜視図である。 前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図ある。 前記燃料電池を構成する電解質・電極構造体及びセパレータの説明図である。 本発明の第4実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。 前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図である。 セパレータを構成する第2プレートの説明図である。 前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。 本発明の第5実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。 本発明の第6実施形態に係る燃料電池の分解斜視説明図である。 前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図である。 前記セパレータの分解斜視説明図である。 前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
符号の説明
20、100、200、280、300…燃料電池
22、102…燃料電池スタック 30…電解質
32…カソード電極 34…アノード電極
36…電解質・電極接合体
38、104、204、282、302…セパレータ
40…燃料ガス供給連通孔
42、62、112、126、156、210、210a、210b、308a、308b…燃料ガス供給部
44、64、114、120、130、132、152、152a、152b、154、154a、154b、212、212a、212b、216、216a、216b、310a、310b…橋架部
46、116、122、134、150、150a、150b、214、214a、214b、320a、320b…挟持部
48…燃料ガス導入口 52、52a、52b…燃料ガス通路
54、58、54a、220、312a、312b、316…突起部
56、56a、56b…酸化剤ガス通路
65…燃料ガス供給通路
68、142、142a、142b…酸化剤ガス供給通路
68a…酸化剤ガス供給連通孔 70…排ガス通路
90…保護層 92…混合層
94…クロムリッチ層
106、108、110、206、208、304、306…プレート
118、128、158、222…酸化剤ガス供給部
124…酸化剤ガス導入口 218a、218b…筐体部

Claims (10)

  1. 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟持して構成される電解質・電極接合体がセパレータ同士の間に配設されるとともに、前記アノード電極の中心部から外周部に向かって燃料ガスを供給する一方、前記カソード電極に沿って酸化剤ガスを供給し、さらに使用後の前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混在する排ガスを前記電解質・電極接合体の外周部外方に排出する燃料電池であって、
    前記セパレータがCrを含有する鉄系合金からなり、
    且つ該セパレータにおける前記アノード電極を臨む側の端面に形成されて該セパレータが前記排ガスに曝されることを阻止する保護層を備え、
    前記保護層は、前記セパレータから前記アノード電極に向かう方向に沿って、Ni及びFeを含有する混合層、Crを主成分として含有するクロムリッチ層をこの順序で有し、
    前記混合層は、前記セパレータから前記アノード電極に向かうに従ってNiとFeの組成比が相対的に増減する傾斜層であることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記混合層は、前記クロムリッチ層に臨む側でニッケル及び/又はその酸化物を主体とし、前記セパレータに臨む側で鉄及び/又はその酸化物を主体とする傾斜層であることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池において、前記保護層は、前記セパレータに形成されたNi含有皮膜に対して550〜850℃で熱処理が施されることによって得られたものであることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記保護層の厚みが1〜100μmであることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記セパレータは、12〜30wt%のCrを含有するものであることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記アノード電極は、Niとジルコニアを含むNi−Zr系サーメットからなることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池において、前記排ガスに、発電に伴って生じた水蒸気が混在することを特徴とする燃料電池。
  8. 電解質をアノード電極とカソード電極とで挟持して構成される電解質・電極接合体がセパレータ同士の間に配設されるとともに、前記アノード電極の中心部から外周部に向かって燃料ガスを供給する一方、前記カソード電極に沿って酸化剤ガスを供給し、さらに使用後の前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混在する排ガスを前記電解質・電極接合体の外周部外方に排出する燃料電池の製造方法であって、
    前記セパレータとして、Crを含有する鉄系合金からなるものを選定し、
    該セパレータにおける前記アノード電極を臨む側の端面にNi含有皮膜を形成し、
    前記Ni含有皮膜に対して550〜850℃で熱処理を施すことによって、前記セパレータが前記排ガスに曝されることを阻止するとともに、該セパレータから前記アノード電極に向かう方向に沿って、Ni及びFeを含有する混合層、Crを主成分として含有するクロムリッチ層をこの順序で有し、且つ前記混合層が、前記セパレータから前記アノード電極に向かうに従ってNiとFeの組成比が相対的に増減する傾斜層である保護層を設けることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  9. 請求項8記載の製造方法において、前記セパレータ同士で前記電解質・電極接合体を挟持した後に前記熱処理を行うことを特徴とする燃料電池の製造方法。
  10. 請求項8記載の製造方法において、前記セパレータに対して前記熱処理を施した後、該セパレータ同士で前記電解質・電極接合体を挟持することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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