JP2009041784A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】除霜時間の短縮を図ることができる空気調和機を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る空気調和機10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張機構13及び蒸発器14が冷媒循環可能に管p1,p2,p3,p4で接続された空気調和機10であって、圧縮機11の吐出側の管p1と蒸発器14の上流側の管p3とを接続するホットガスバイパス管30を備え、このホットガスバイパス管30は、蒸発器14の下流側の管p4と近接する近接部32を有することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】本発明に係る空気調和機10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張機構13及び蒸発器14が冷媒循環可能に管p1,p2,p3,p4で接続された空気調和機10であって、圧縮機11の吐出側の管p1と蒸発器14の上流側の管p3とを接続するホットガスバイパス管30を備え、このホットガスバイパス管30は、蒸発器14の下流側の管p4と近接する近接部32を有することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、圧縮機から吐出される冷媒ガスの一部を直接蒸発器に供給することで当該蒸発器の除霜が行なえる空気調和機に関する。
従来から、空気調和機における蒸発器の除霜方法としては、ホットガスバイパス方式が知られている。この方式は、冷媒が、圧縮機、凝縮器、膨張機構、蒸発器の順に循環する空気調和機において、圧縮機から吐出される高温の冷媒ガス(以下、単に「ホットガス」とも称する。)の一部を直接蒸発器に供給することで蒸発器に付着した霜を融かして除霜する方式である。
具体的には、図7に示すように、前記方式を用いる空気調和機110は、圧縮機111、凝縮器112、膨張弁113及び蒸発器114が冷媒循環可能に管で接続され、更にホットガスバイパス管130が圧縮機111の吐出管200と蒸発器114の上流側の管201とを接続し、圧縮機111からの冷媒ガスの一部が凝縮器112及び膨張弁113を迂回して蒸発器114に供給可能に構成されている(特許文献1参照)。
このように構成されることで、圧縮機111から吐出された高温のホットガスの一部がホットガスバイパス管130を通じて蒸発器114に供給され、その熱によって蒸発機114に付着した霜を除霜することができる。
特開昭59−219668号公報
ここで、前記空気調和機110において、蒸発器114の下流側の管(以下、単に「吸入管」とも称する。)202も前記蒸発器114同様に低温となる。そのため、空気調和機110を運転することで吸入管202の表面にも霜が付着する。そして、この霜は当該空気調和機110の運転を続けることで徐々に厚みを増して氷となる。
前記空気調和機110においては、この霜又は氷もホットガスバイパス管130を通じて蒸発器114に供給されるホットガスの熱を利用して融かすことができる。即ち、蒸発器114を通過した後の前記ホットガスによって吸入管202が内部から温められ、この熱によって当該吸入管202に付着した霜又は氷が融かされる。
この場合、蒸発器114を通過したホットガスは、当該蒸発器114に付着した霜を融かすために熱を奪われ、温度が低下している。そのため、前記ホットガスが吸入管202を内部から温めて表面に付着した霜又は氷を融かすのには時間がかかる。特に、吸入管202に付着した霜が厚みを増して氷になった場合に除霜時間の長時間化が顕著になる。
このように除霜時間が長くなると、空気調和機110の通常運転再開までの時間が長くなるため空調する室内の温度の変動が大きくなるといった問題が生じる。さらに、蒸発器114には、当該蒸発器114が除霜された後にも吸入管202に付着した霜又は氷が融けるまでホットガスが供給され続け、当該蒸発器114の温度が上昇する。そのため、除霜終了後に空気調和機110の通常運転を再開しても、蒸発器114が元の温度に戻るまでの時間(プルダウンの時間)が長くなってしまう。このプルダウン時においては、空気調和機110は、蒸発器114の温度を早く元の温度(低温)に戻そうとして通常よりも多くの電力を消費するため、消費電力が増加するといった問題が生じる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、除霜時間の短縮を図ることができる空気調和機を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明に係る空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器が冷媒循環可能に管で接続された空気調和機であって、前記圧縮機の吐出側の管と前記蒸発器の上流側の管とを接続するホットガスバイパス管を備え、このホットガスバイパス管は、前記蒸発器の下流側の管と近接する近接部を有することを特徴とする。
かかる構成によれば、ホットガスバイパス管に圧縮機からの高温の冷媒ガス、いわゆるホットガスの一部が流されることにより、着霜した蒸発器に高温の冷媒ガスが供給され、当該蒸発器に付着した霜を融かして除霜する。
さらに、前記除霜の際に、ホットガスバイパス管の近接部からの熱によって近接する蒸発器の下流側の管に付着した霜又は氷も融かされる。
即ち、圧縮機から吐出された高温の冷媒ガスが内部を流れることで、ホットガスバイパス管の近接部の温度(表面温度)が上昇する。そして、この近接部が蒸発器の下流側の管と近接するように配設されているため、当該近接部からの熱によって前記蒸発器の下流側の管に付着している霜又は氷が融かされる。
しかも、近接部を流れる前記冷媒ガスは、蒸発器を通過して当該蒸発器を除霜する前であることから、圧縮機から吐出された際の高温を維持している。そのため、特に蒸発器の下流側の管に付着した霜が氷になっている場合に、従来のホットガスバイパス方式と比べてより短時間で融かされる。
本発明に係る空気調和機においては、前記蒸発器の下方にドレンパンが配置され、前記ホットガスバイパス管は、前記ドレンパンと近接するドレンパン近接部を有する構成であってもよい。
かかる構成によれば、ドレンパンに形成された氷もホットガスバイパス管のドレンパン近接部からの熱によって融かすことができる。
即ち、ドレンパンにおいては、蒸発器から滴下するドレンが貯留され、このドレンが蒸発器によって冷却されて氷が形成される。このように形成された氷も前記ドレンパン近接部からの熱によって融かすことができる。
また、前記近接部と蒸発器の下流側の管とは接続部材で接続され、この接続部材を介して互いに熱交換する構成であってもよい。
かかる構成によれば、近接部からの熱が接続部材を通して蒸発器の下流側の管に伝熱される。そのため、近接部と蒸発器の下流側の管との熱交換がより行い易くなる。その結果、蒸発器の下流側の管に付着した霜又は氷がより素早く融かされる。
また、前記接続部材は、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを軸方向への相対変位を許容するように接続する構成であってもよい。
かかる構成によれば、互いに軸方向への相対変位が許容されるため、近接部及び蒸発器の下流側の管の熱応力による破損等が抑制される。
即ち、近接部(ホットガスバイパス管)は、高温の冷媒ガスが流れるため、膨張して軸方向に伸びるのに対し、蒸発器の下流側の管は、蒸発器を通過した後の低温の冷媒ガスが流れるため、軸方向に縮む。そのため、互いに軸方向への相対変位が許容されないように接続されると接続部位において応力(熱応力)が生じ、当該応力によって破損等のおそれがある。しかし、互いに軸方向への相対変位を許容するように接続されることで前記応力の発生が抑制され、当該応力による近接部及び蒸発器の下流側の管の破損等が抑制される。
また、前記接続部材はアルミテープで構成され、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを一緒に捲回する構成であってもよい。
かかる構成によれば、アルミテープを伝って近接部の熱が蒸発器の下流側の管に伝熱される。しかも、近接部と蒸発器の下流側の管とにおける各近接部位の周方向全体がアルミテープで囲まれるため、近接部からの熱が閉じ込められ、蒸発器の下流側の管に効率よく伝熱される。
また、アルミテープを巻き付けるだけで近接部と蒸発器の下流側の管とが接続できるため、接続作業が行い易い。さらに、汎用品のアルミテープを用いることでコスト削減が図られる。
また、前記接続部材は、金属性の挟持手段で構成され、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを一緒に挟持する構成であってもよい。
かかる構成によれば、近接部と蒸発器の下流側の管とを挟持するだけで容易に接続できる。しかも、前記挟持手段は、金属製であることから熱伝導率が高く、近接部からの熱を蒸発器の下流側の管へ効率よく伝熱することができる。
この前記挟持手段は、クリップであることが好ましい。
かかる構成とすることで、近接部と蒸発器の下流側の管とを工具等を用いることなく容易に接続することができる。
また、断熱壁を更に備え、この断熱壁を挟んで一方側に圧縮機及び凝縮器、他方側に蒸発器が配置される構成であってもよい。
かかる構成によれば、空調を行う部屋(室)の壁又は天井に前記断熱壁に対応した形状の孔を形成し、当該孔に前記断熱壁を嵌め込むだけで、空調を行う室内に蒸発器(又は圧縮機及び凝縮器)、前記室外に圧縮機及び凝縮器(又は蒸発器)を配置、即ち、当該空気調和機を設置することができる。
この場合、前記断熱壁に貫通孔が設けられ、少なくとも前記近接部と前記蒸発器の下流側の管とが一つの前記貫通孔に挿通される構成が好ましい。
かかる構成とすることで、近接部と蒸発器の下流側の管とを個別に断熱壁を通過させるよりも当該断熱壁に形成される孔をより少なくできる。そのため、空調を行う室内と室外との断熱が図り易くなる。
また、前記圧縮機の吸入側の管にアキュームレータが設けられる構成であってもよい。
かかる構成によれば、蒸発器からの冷媒ガスに含まれる液体成分が圧縮機に入るのを抑制でき、当該圧縮機の液圧縮による破損を防止することができる。
以上より、本発明によれば、除霜時間の短縮を図ることができる空気調和機を提供することができるようになる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る空気調和機は、図1及び図2に示されるように、プレハブ冷凍冷蔵庫Rの天板Cに据え付けられ、当該冷凍冷蔵庫R内の空調を行うものである。この空気調和機10は、冷媒循環可能に管p1〜p4で接続された、圧縮機11、凝縮器12、膨張機構(膨張弁)13及び蒸発器14で構成される冷凍サイクル機構Sを備え、さらに、圧縮機11の吐出側の管(吐出管)p1と蒸発器14の上流側の管p3とを接続するホットガスバイパス管30を備える。このホットガスバイパス管30は、後述するデフロスト運転の際に高温の冷媒(いわゆるホットガス)が内部を流通する管であり、圧縮機11の吐出管p1側の端部に電磁弁31が設けられている。そして、この空気調和機10は、冷凍サイクル機構Sのうち、圧縮機11及び凝縮器12がプレハブ冷凍冷蔵庫外(以下、単に「庫外」と称する。)に位置し、膨張機構13及び蒸発器14がプレハブ冷凍冷蔵庫内(以下、単に「庫内」と称する。)に位置するような配置となる、いわゆる一体形の空気調和機10である。
具体的には、図3乃至図5にも示されるように、空気調和機10は、断熱壁15を備え、この断熱壁15で冷凍サイクル機構Sが上下に区分けされ、当該断熱壁15の上面に圧縮機11及び凝縮器12が、下面に膨張機構13及び蒸発器14が配置されている。そのため、凝縮器12と膨張機構13とを接続する管p2、蒸発器14と圧縮機11とを接続する吸入管p4及びホットガスバイパス管30は、断熱壁15を上下に貫通するように配設される。
以下、順に各構成を詳細に説明する。断熱壁15は平面視四角い板状で、中央部には当該断熱壁15の上面側と下面側とを連通する配管用貫通孔16が穿設されている。この断熱壁15の下面には、庫内の空気を吸排気する庫内送風機17と、この庫内送風機17によって吸気した庫内の空気を冷却するための蒸発器(熱交換器)14と、この蒸発器14の下側に配置され、当該蒸発器14から滴下するドレンを受けるドレンパン20とが配置されている。
断熱壁15の上面には、冷凍サイクル機構Sにおいて、冷媒を蒸発器14から吸入して圧縮し、凝縮器12へ吐出する圧縮機11と、冷凍サイクル機構Sを循環する冷媒の熱を庫外に放出する凝縮器(熱交換器)12と、この凝縮器12に庫外の空気(外気)を供給する庫外送風機18と、空気調和機10の各構成機器を制御するための電子機器が配置されたスイッチボックス19とが配置されている。
断熱壁15の配管用貫通孔16には、冷凍サイクル機構Sの一部を構成する管、即ち、蒸発器14と圧縮機11とを接続する吸入管p4及び凝縮器12と膨張機構13とを接続する管p2と、ホットガスバイパス管30とが挿通されている。このように断熱壁15の上面側と下面側とに配置されている各構成機器間を接続する管p2,p4,30は、全てこの配管用貫通孔16を挿通するように配設されている。
吸入管p4とホットガスバイパス管30とは、それぞれ配管用貫通孔16から下方側(庫内側)の所定長さの部位(吸入管近接部p4a及びバイパス管近接部32)が互いに平行に近接した状態で配設されている。また、これら両近接部p4a,32は、接続部材35で接続されている。この接続部材35は、両近接部p4a,32が当該接続部材35を介して互いに熱交換するための部材である。本実施形態において、接続部材35はアルミテープ35で構成され、両近接部p4a,32を一緒に捲回することでこれら両近接部p4a,32を熱交換可能に接続している。また、この接続部材35は、両近接部p4a,32を一緒にアルミテープ35で捲回しているだけであるため両近接部p4a,32の軸方向への互いの相対変位を許容する。
庫内送風機17は、ドレンパン20に設けられた後述する吸入口22を通じて庫内の空気を断熱壁15側に吸入して外周方向(図3における水平方向)に吹き出すものである。この庫内送風機17は、断熱壁15の中央部に設けられるファンモータ17aと、このファンモータ17aに連結されて回転駆動される羽根17bとで構成されている。
蒸発器(熱交換器)14は、庫内送風機17の外周を囲むように配置されたフィンチューブ型の熱交換パネル14である。この蒸発器(熱交換パネル)14は、横長の長方形のパネル中央部を湾曲させ、左右両端部が略平行となるように、即ち、水平断面が略馬蹄形状となるように形成されている。このように形成された蒸発器14が庫内送風機17の外周を囲むようにして断熱壁15の下面に配置されている。この蒸発器14の前記端部には当該両端間を塞ぐように左右両端部を蒸発器14側に屈曲させた側板36が取り付けられている。これにより、庫内送風機17は、その外周を四方から蒸発器14と側板36とで囲まれる。
本実施形態においては、庫内側の熱交換器14は、蒸発器として機能できるようになっている。これにより、熱交換器14は、庫内送風機17によってドレンパン20の吸入口22を通じて蒸発器14と側板36とに囲まれた空間内に吸入された空気が押出されて蒸発器14を通過する際に熱交換が行われて庫内空気を冷却することができる。
ドレンパン20は、蒸発器14において空気中の水分が凝縮されて当該蒸発器から滴下するドレンを受けるために蒸発器14の下側に配置され、平面視において、蒸発器14及び側板36の外周に沿った形状に形成されている。また、このドレンパン20は、蒸発器14の下側に形成され、ドレンを受けて所定量溜めることができる溝状のドレン受け部21と、庫内の空気を断熱壁15側に通過させる吸入口22とを有する。
ドレン受け部21には、その底部に沿ってホットガスバイパス管30の一部(ドレンパン近接部)33が配設されている(図5参照)。さらに詳細には、ドレンパン近接部33は、吸入口22の周囲に形成されたドレン受け部21の前記周方向全体に亘って、前記溝状の底面と僅かの間隔をおいて平行若しくは略平行となるように配設されている。
このように、ホットガスバイパス管30は、断熱壁15上面側の圧縮機11の吐出管p1から分岐し、断熱壁15の配管用貫通孔16を挿通し、吸入管p4と近接した後、ドレンパン20のドレン受け部21の底部に沿って配設され、蒸発器14の上流側の管p3に接続されている。
また、ドレン受け部21には、溜まったドレンを外部に排水するためのドレン排水部23が設けられている。このドレン排水部23は、ドレン受け部21の底部から下方に向かう貫通孔であり、当該貫通孔を通じて、ドレン受け部21に溜まったドレンを外部に排水することができる。
吸入口22は、平面視におけるドレンパン20の中央部に形成され、蒸発器14に送風するための庫内の空気を吸入するための開口で、庫内送風機17の羽根17bに対応した大きさ(直径)に開口している。この吸入口22には、網状のファンカバー24が当該開口を覆うように取り付けられている。
圧縮機11は、蒸発器14内の圧力を下げるために吸入管p4を通じて蒸発器14から冷媒を吸入し、この吸入した冷媒を比較的高い庫外温度でも液化できるよう、圧縮することで高温・高圧にし、吐出管p1を通じて凝縮器12へ吐出するものである。
この圧縮機11の吸入側の直上流には、アキュームレータAが設けられている。このアキュームレータAは、蒸発器14から吸入する冷媒ガスに含まれる液体成分を圧縮機11に入るのを抑制するためのものである。
凝縮器(熱交換器)12は、フィンチューブ型の熱交換パネル12である。この凝縮器12には、パネル面に沿って庫外送風機18が取り付けられている。この庫外送風機18も、庫内送風機17同様にファンモータ及び羽根(図示せず)によって構成されている。このような庫外送風機18が駆動することで、外気が熱交換パネル(凝縮器)12を通過し、この外気が熱交換パネル12を通過する際に、外気と熱交換パネル12とで熱交換を行うことで冷媒中の熱が外部に放出される。
スイッチボックス19は、空気調和機10の各構成機器を制御するための電子機器が内部に配置された箱状体である。内部の電子機器は、各構成機器及び外部電源と接続ケーブルや電源ケーブル等のケーブルを介して接続されている。
本実施形態に係る空気調和機10は、以上の構成からなり、次に、この空気調和機10の動作について説明する。
空気調和機10の冷凍サイクル機構Sにおいて、圧縮機11では、吸入管p4を通じて蒸発器14内の気体状の冷媒が吸入され、この吸入された冷媒が圧縮され、高温・高圧となった気体状の冷媒が吐出管p1を通じて凝縮器12に吐出される。凝縮器12では、圧縮機11から吐出された気体状の冷媒が庫外の空気との熱交換によって冷やされ凝縮する。膨張機構13では、凝縮器12で凝縮した液体状の冷媒が膨張機構13によって膨張させられ、低圧の液体状の冷媒となる。蒸発器14では、この液体状の冷媒が蒸発し、庫内の空気の熱を奪いつつ気体状の冷媒となる。このように、冷凍サイクル機構Sにおいては、冷媒の圧縮、凝縮、膨張、蒸発の冷凍サイクルが行われる。
この冷凍サイクルが行われる際に、庫内においては、庫内送風機17のファンモータ17aが駆動されて、庫内送風機17の羽根17bが回転する。そして、前記羽根17bの回転に伴って、庫内の空気がドレンパン20の吸入口22を通じて庫内送風機17の下側から吸入される。この吸入された空気は、外周側に吹き出されて(押出されて)蒸発器14に到達し、当該蒸発器14において冷却された後、庫内に向かって三方(側板36方向を除く三方)から吹き出されて庫内の空調が行われる。一方、庫外においては、庫外送風機18の駆動によって凝縮器12に庫外の空気が供給される。そして、この空気が凝縮器12を通過する際に、冷媒が熱を庫外に放出する。
このような空気調和機10の運転を続けることで、冷凍サイクルにおいて低温になった冷媒が通過している冷凍サイクル機構Sの一部に霜が生じる。詳細には、膨張機構13を通過した液状の低温の冷媒は、蒸発器14で当該蒸発器14周辺の空気から熱を奪いつつ蒸発して気体状となり、圧縮機11に吸入される。その際、蒸発器14、吸入管p4は、内部から前記液状又は気体状の低温の冷媒によって冷却され、表面の温度も低温となる。そのため、この低温となった蒸発器14及び吸入管p4の表面に接した空気中の水分が冷却され、霜となってその表面に付着する。このとき、吸入管p4の表面においては、空気調和機10の運転を続けることで前記霜が厚みを増し、やがて氷となる。一方、ドレンパン20においては、蒸発器14で凝縮した空気がドレンとなり、このドレンが滴下し、ドレン受け部21に溜まる。このドレンが近接する低温の蒸発器14によって冷却され氷が形成される。
このように形成される氷や霜によって、空気調和機10の運転に支障が生じる前に、定期的に、又は使用者等の判断によって必要に応じてデフロスト運転を行い、前記氷や霜を取り除く。
次に、本実施形態に係る空気調和機10のデフロスト運転について説明する。
ホットガスバイパス管30の上流側端部に設けられた電磁弁31が開かれる。この電磁弁31が開かれることで、圧縮機11から吐出される高温の冷媒(ホットガス)がホットガスバイパス管30の内部を流通する。このように、内部に高温の冷媒が流通することで、当該ホットガスバイパス管30は、内部から加熱されて表面も高温となる。この高温の冷媒が流れるホットガスバイパス管30は、バイパス管近接部32において、吸入管p4の吸入管近接部p4aと近接する。この両近接部32,p4aは、アルミテープ35によって一緒に捲回されているため、当該アルミテープ35を介して効率よく熱交換が行われる。即ち、高温の冷媒によって加熱されたバイパス管近接部32の熱が吸入管近接部p4aに伝熱され、この吸入管近接部p4aが加熱されると共にバイパス管近接部32が冷却される。さらに、両近接部32,p4aの周面方向全体がアルミテープ35で囲まれるため、バイパス管近接部32の表面からの放射熱も閉じ込められ、外部にほとんど発散されることなく空気を介して吸入管近接部p4aに伝熱される。このように、アルミテープ35及び周囲の空気を介して効率よく伝熱されることで吸入管p4(詳細には、吸入管近接部p4a)が加熱され、表面に形成された氷(又は霜)が除去される。
このとき、バイパス管近接部32は、高温になるため管32が膨張して軸方向に延びる。一方、吸入管近接部p4aは、通常運転時において、低温の冷媒が流通するため管p4aが収縮して軸方向に縮む。従って、運転状態に応じて、バイパス管近接部32と吸入管近接部p4aとは、軸方向に相対変位する。そのため、互いに相対変位可能に接続されていない場合、この相対変位によって熱応力が生じ、管32又はp4aの損傷が懸念されるが、本実施形態のアルミテープ35のように、互いの軸方向への相対変位を許容するように接続することで、前記熱応力の発生を抑制できる。尚、さらに詳細には、両近接部32、p4aは、それぞれ径方向にも膨張又は収縮する。しかし、これら膨張及び収縮は、軸方向に比べ非常に小さい。そのため、発生する熱応力を考慮する必要は少ない。
次に、このバイパス管近接部32で僅かに温度が下がった冷媒は、ドレンパン近接部33内を流通する。このとき、バイパス管近接部32の長さ(軸方向の長さ)が短いため、吸入管近接部p4aを加温した際の冷媒の温度低下は僅かである。ドレンパン近接部33は、ドレン受け部21の底部に沿って配設されている。そのため、前記同様に、高温の冷媒が内部を流通することでドレンパン近接部33の表面が高温になり、この熱によってドレン受け部21内に形成された氷が融かされる。この溶かされた氷は、ドレン排水部23から外部に排水される。
このようにして、ホットガスバイパス管30を流通する冷媒は、吸入管近接部p4a及びドレン受け部33の氷(又は霜)を溶かした後、蒸発器14の上流側の管p3に流入し、蒸発器14内を流通しつつ、当該蒸発器14を内部から加熱する。このとき、内部を流れる冷媒は、吸入管近接部p4a及びドレン受け部33で氷を溶かすことで温度が大きく低下しているが、蒸発器14の表面に付着しているのは霜であるため、短時間で十分に除霜することができる。その後、冷媒は吸入管p4を通じて圧縮機11に吸入され、再度圧縮され吐出される。
このようにしてデフロスト運転が行われ、各構成機器に付着した氷及び霜が除去される。
また、本実施形態においては、吸入管p4の上流側に温度センサー(図示せず)が設けられており、この温度センサーで検出した吸入管の温度に基づき、デフロストが終了したか否かが判断される。従来の空気調和機においては、デフロスト運転時に、蒸発器やドレンパンの氷を溶かした後の温度の低い冷媒によって吸入管が内部から加熱され、付着していた氷が溶かされていた。そのため、吸入管に付着した霜が溶けるのに時間がかかり、前記温度センサーで検出する温度が運転再開温度まで昇温するのに時間がかかっていた。特に、吸入管に付着した霜が厚みを増して氷になっていた場合に、前記時間の長時間化が顕著であった。
しかし、本実施形態に係る空気調和機10では、高温の冷媒の熱によって、まず、溶けにくい吸入管p4に付着した氷、次にドレン受け部21に形成された氷を溶かした後、比較的溶けやすい蒸発器14に付着した霜を溶かすことで、短時間のデフロスト運転で氷及び霜の除去が行われる。そのため、運転停止時間を短時間にすることができ、この運転停止に伴う庫内温度の上昇を少なくすることができる。その結果、プルダウン時間を短くすることができ、消費電力の削減を図ることができる。
次に、本実施形態に係る空気調和機10の作用及び効果を説明する。
本発明に係る空気調和機10は、圧縮機11の吐出管p1と蒸発器14の上流側の管p3とを接続するホットガスバイパス管30を備える。そのため、デフロスト運転時にホットガスバイパス管30の電磁弁31が開放され、当該ホットガスバイパス管30に圧縮機11からの高温の冷媒ガス、いわゆるホットガスの一部が流されることにより、着霜した蒸発器14に高温の冷媒ガスが供給され、当該蒸発器14に付着した霜を融かして除霜することができる。
また、このホットガスバイパス管30は、吸入管p4、詳細には、吸入管p4の一部である吸入管近接部p4aと近接するバイパス管近接部32を有する。そのため、前記除霜の際に、ホットガスバイパス管30のバイパス管近接部32からの熱によって近接する吸入管近接部p4a、さらにはその近傍の部位に付着した霜又は氷も融かされる。即ち、圧縮機11から吐出された高温の冷媒ガスが内部を流れることで、ホットガスバイパス管30が内部から加温され、このホットガスバイパス管30の一部であるバイパス管近接部32の表面温度が上昇する。そして、このバイパス管近接部32が吸入管p4の吸入管近接部p4aと近接するように配設されているため、当該バイパス管近接部32からの熱によって吸入管近接部p4a及びその近傍に付着している霜又は氷が融かされる。
しかも、バイパス管近接部32を流れる前記冷媒ガスは、蒸発器14を通過して当該蒸発器14を除霜する前であることから、圧縮機11から吐出された際の高温を維持している。そのため、特に吸入管p4表面に付着した霜が氷になっていた場合に、従来のホットガスバイパス方式と比べてより短時間で融かされる。
また、蒸発器14の下方にドレンパン20が配置され、ホットガスバイパス管30は、ドレンパン20と近接するドレンパン近接部33を有する。そのため、ドレンパン20、詳細には、ドレン受け部21に形成された氷もホットガスバイパス管30のドレンパン近接部33からの熱によって融かすことができる。即ち、ドレンパン20においては、蒸発器14から滴下するドレンが貯留され、このドレンが蒸発器14によって冷却されて氷が形成される。このように形成された氷も、デフロスト運転時に、ホットガスバイパス管30に高温の冷媒が流されることでドレンパン近接部33の温度が高くなり、このドレンパン近接部33からの熱によって融かすことができる。しかも、前記同様、ドレンパン近接部33を流れる前記冷媒ガスも、蒸発器14を通過して当該蒸発器14を除霜する前であることから高温である。そのため、ドレン受け部21に形成された氷も効率よく短時間で融かされる。
また、バイパス管近接部と蒸発器の下流側の吸入管近接部とはアルミテープ(接続部材)で一緒に捲回され、このアルミテープを介して互いに熱交換する。そのため、バイパス管近接部からの熱がアルミテープを通して蒸発器の下流側の吸入管に伝熱され、バイパス管近接部と蒸発器の下流側の吸入管、詳細には、吸入管の吸入管近接部との熱交換がより行い易くなる。その結果、蒸発器の下流側の吸入管及びその近傍の部位に付着した霜又は氷がより素早く融かされる。
また、アルミテープは、バイパス管近接部と蒸発器の下流側の吸入管近接部とを軸方向への相対変位を許容するように接続(両近接部を一緒に捲回)する。そのため、互いに軸方向への相対変位が許容され、バイパス管近接部及び蒸発器の下流側の吸入管近接部の熱応力による破損等が抑制される。即ち、バイパス管近接部(ホットガスバイパス管)は、高温の冷媒ガスが流れるため、膨張して軸方向に伸びるのに対し、蒸発器の下流側の吸入管近接部(吸入管)は、蒸発器を通過した後の低温の冷媒ガスが流れるため、軸方向に縮む。そのため、互いに軸方向への相対変位が許容されないように接続されると接続部位において応力(熱応力)が生じ、当該応力によって破損等のおそれがある。しかし、互いに軸方向への相対変位を許容するように一緒に捲回(接続)されることで前記応力の発生が抑制され、当該応力によるバイパス管近接部及び蒸発器の下流側の吸入管近接部の破損等が抑制される。
また、両近接部を接続する接続部材がアルミテープで構成され、バイパス管近接部と蒸発器の下流側の吸入管近接部とを一緒に捲回する。そのため、アルミテープを伝ってバイパス管近接部の熱が蒸発器の下流側の吸入管近接部に伝熱される。しかも、バイパス管近接部と蒸発器の下流側の吸入管近接部とにおける各近接部位の周方向全体がアルミテープで囲まれるため、バイパス管近接部からの熱が閉じ込められ、蒸発器の下流側の吸入管に効率よく伝熱される。また、アルミテープを巻き付けるだけでバイパス管近接部と吸入管近接部とが接続できるため、接続作業が行い易い。さらに、汎用品のアルミテープを用いることでコスト削減が図られる。
また、断熱壁を備え、この断熱壁を挟んで上面側に圧縮機及び凝縮器、下面側に蒸発器が配置されている。そのため、冷凍冷蔵庫の天板に断熱壁に対応した形状の孔を形成し、当該孔に断熱壁を嵌め込むだけで、庫内に蒸発器、庫外に圧縮機及び凝縮器を配置、即ち、当該空気調和機を設置することができる。
また、断熱壁に配管用貫通孔が設けられ、バイパス管近接部、吸入管及び凝縮器と膨張機構とを接続する管が一つの配管用貫通孔に挿通されている。そのため、各管を個別に断熱壁を通過させるよりも当該断熱壁に形成される孔をより少なくできる。そのため、冷凍冷蔵庫の庫内と庫外との断熱が図り易くなる。
また、圧縮きすなわちの吸入側の管、即ち、吸入管にアキュームレータが設けられている。そのため、蒸発器からの冷媒ガスに含まれる液体成分が圧縮機に入るのを抑制でき、当該圧縮機の液圧縮による破損を防止することができる。
尚、本発明の空気調和機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、本実施形態においては、両近接部を接続する接続部材は、アルミテープであるが、これに限定される必要はなく、金属性の挟持手段で構成され、バイパス管近接部と吸入管近接部とを一緒に挟持するものでもよい。このような接続部材であれば、バイパス管近接部と吸入管近接部とを挟持するだけで容易に接続できる。しかも、挟持手段は、金属製であることから熱伝導率が高く、バイパス管近接部からの熱を吸入管近接部へ効率よく伝熱することができる。
この場合、前記接続部材は、図6に示すようなクリップ35aであることが好ましい。このような、金属の弾性力等を利用して両近接部(平行に配設された2本の管)32,p4aを挟持することができる接続部材を用いることで、バイパス管近接部32と吸入管近接部p4aとを工具等を用いることなく容易に接続することができる。
また、本実施形態に係る空気調和機10は、冷凍冷蔵用の空気調和機であるがこれに限定される必要もない。即ち、冷媒を循環させる方向を逆にもできる構成とすることで、庫内の熱交換器14を蒸発器から凝縮器へ、庫外の熱交換器12を凝縮器から蒸発器への切り換え、及びその逆の切り換えを可能とした冷暖房可能な空気調和機としても良い。
10 空気調和機
11 圧縮機
12 凝縮器(熱交換器)
13 膨張機構(膨張弁)
14 蒸発器(熱交換器)
30 ホットガスバイパス管
32 バイパス管近接部
11 圧縮機
12 凝縮器(熱交換器)
13 膨張機構(膨張弁)
14 蒸発器(熱交換器)
30 ホットガスバイパス管
32 バイパス管近接部
Claims (10)
- 圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器が冷媒循環可能に管で接続された空気調和機であって、
前記圧縮機の吐出側の管と前記蒸発器の上流側の管とを接続するホットガスバイパス管を備え、
このホットガスバイパス管は、前記蒸発器の下流側の管と近接する近接部を有することを特徴とする空気調和機。 - 前記蒸発器の下方にドレンパンが配置され、
前記ホットガスバイパス管は、前記ドレンパンと近接するドレンパン近接部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。 - 前記近接部と蒸発器の下流側の管とは接続部材で接続され、この接続部材を介して互いに熱交換することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機。
- 前記接続部材は、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを軸方向への相対変位を許容するように接続することを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
- 前記接続部材はアルミテープで構成され、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを一緒に捲回することを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の空気調和機。
- 前記接続部材は、金属性の挟持手段で構成され、前記近接部と蒸発器の下流側の管とを一緒に挟持することを特徴とする請求項3又は4に記載の空気調和機。
- 前記挟持手段は、クリップであることを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
- 断熱壁を更に備え、この断熱壁を挟んで一方側に圧縮機及び凝縮器、他方側に蒸発器が配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の空気調和機。
- 前記断熱壁に貫通孔が設けられ、少なくとも前記近接部と前記蒸発器の下流側の管とが一つの前記貫通孔に挿通されることを特徴とする請求項8に記載の空気調和機。
- 前記圧縮機の吸入側の管にアキュームレータが設けられることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の空気調和機。
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