JP2009038245A - 半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Nを含む活性層または受光層と、Pを含む半導体層とを備える半導体素子を、量産ベースで製造することができる半導体素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、窒素を含むIII−V族化合物半導体層を、MBE法により成長する工程と、その窒素含有半導体層上に、燐を含むIII−V族化合物半導体層を、塩化物気相成長法により成長する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体素子およびその製造方法に関し、より具体的には、III−V族化合物半導体の積層体を備える半導体素子およびその製造方法に関するものである。
近赤外域の波長域またはそれより長波長側に対応するバンドギャップエネルギを持つ化合物半導体として、Nを含むGaInNAsが注目され、開発研究が盛んに行われている。GaInNAsは、InP基板に整合する格子定数を有しており、GaInNAs層の直上の窓層にもInP系の結晶層が用いられる。上記Nを含むGaInNAs層を活性層または受光層に持つ半導体レーザまたはフォトダイオードは、従来から検討がなされているが、現状、模索状態にあるといってもよい。すなわち実験室的にはともかく、量産ベースでの製造方法の標準的なものは確立されていない。たとえばGaInNAs受光層およびInP窓層を含むフォトダイオードの製作に、ガスソースMBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いる例が開示されている(特許文献1)。しかし、MBE法は実験室的には可能であっても、実際の製造現場では、この後、説明する燐の問題があるため、用いることはできない。
また、Ga、In、N、Asを活性層成分とする半導体レーザの製造において、活性層をMBE法により、またp型半導体分布ブラッグ反射層をOMVPE(Organo-metallic Vapor Phase Epitaxy)法で成長する方法が開示されている(特許文献2)。また、活性層をOMVPE法により、また下部反射鏡を別個のOMVPE法、またはMBE法で成長する方法も開示されている。さらに、活性層と反射鏡とを、別個のOMVPE法で成長する方法も示されている。
一方、成膜原料に塩化物を用いるCVPE(Chloride Vapor Phase Epitaxy)法が知られているが、塩化物を用いることから塩素の取り込み量が多いことが予想される。筆者らはInP基板上にInP層を、CVPE法によって成長する際に、InP基板にその面方位が(100)面から2°オフしたものを用いることにより塩素の取り込み量が抑制されることを確認している(非特許文献1)。
特開平9−219563号公報 特開2004−288789号公報 T.Iwasaki,Y.Iguchi, N.Yamabayashi, and S.Yoneyama ; "Chlorine auto-doping by Chloride Vapor Phase Epitaxial Growth of InP", Seventh International Conference on "Indium Phosphide and Related Materials" May 9-13, 1995 Hokkaido University Conference Hall Sapporo, Hokkaido, JAPAN
窒素を含むIII−V族化合物半導体、たとえば上記GaInNAsの上層に、燐を含む半導体層、たとえば上記InPを配置した半導体素子をエピタキシャル成長させる場合(上記特許文献1に例示の構造)、MBE法によって燐を含む半導体層を形成することは、しかしながら、量産の場合には不可能に近い。それは、MBE法によって、たとえばInP層を形成する際、成膜チャンバ内壁等に付着した燐が燃え易いため、メンテナンスに多大の工数を要するからである。メンテナンスの間、製造は完全に停止しなければならない。
一方、Nを含む層、たとえばGaInNAsの活性層をOMVPE法で成長すると(特許文献2または3の開示方法の一つ)、水素が結晶内部に取り込まれて結晶純度が低下し、また結晶欠陥密度が上昇する。OMVPE法では、原料として有機金属、たとえばIII族原料に、トリメチルインジウム(TMI)、トリメチルガリウム(TMG)、またV族原料にアルシン(AsH)、ホスフィン(PH)、ジメチルヒドラジン(DMHy)が用いられる。OMVPEの成膜チャンバ内で、上記の原料が熱分解してGaInNAsやInPなどの結晶層が成長するのであるが、熱分解の際に、水素を含んだラジカル(メチル基など)が大量に発生して、そこから脱離した水素が結晶内に取り込まれる。とくに活性層が、GaInNAsのようにNを含む場合、窒素が水素と結合しやすいために、水素含有率が高くなる。
Nを含む活性層をMBE法で成長すると、とくに水素源となる原料がないので、水素含有率は確かに低下する。しかし、その上の層をOMVPE法で成長すると、OMVPE法に内在する上記の理由によって水素が上層を拡散して活性層(または受光層)内になだれ込み、活性層(受光層)の結晶純度が低下し、また結晶欠陥密度が増加する。
上記の半導体素子の製造方法は、次のように要約される。(1)低水素濃度の活性層(受光層)を持ち、その上方に燐を含む半導体層を持つ半導体素子は、活性層(受光層)からその上の半導体層までMBE法により、製造するしかない。受光層(活性層)より下方の半導体層は、水素が侵入しても熱処理で脱水素できるので、OMVPE法等を用いることができる。(2)しかし、MBE法によっては、活性層の上に燐を含む半導体層を配置する場合、上述の燐特有の要メンテナンス性により生産能率を阻害され、量産は不可能である。
本発明は、窒素を含む活性層または受光層と、燐を含む層とを備える半導体素子を、燐による上記要因によって生産能率を阻害されることなく製造することができる半導体素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の半導体素子の製造方法は、基板上に、窒素を含むIII−V族化合物半導体層(以下、窒素含有半導体層と記す)を、MBE法により成長する工程と、その窒素含有半導体層上に、燐を含むIII−V族化合物半導体層(燐含有半導体層と記す)を、塩化物気相成長法により成長する工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法により、水素濃度の低い窒素含有半導体層を形成しながら、燐含有半導体層を、量産性を阻害せずに形成することができる。ここで、基板上または半導体層上とは、基板または半導体層の上方をさし、基板または半導体層に直接に接触して位置していなくてもよいし、または接触して位置してもよい。
上記の基板にIII−V族化合物半導体基板を用い、該III−V族化合物半導体基板の面方位を(100)面から2°±0.2°傾斜したものとすることができる。これによって、結晶欠陥密度の低いエピタキシャル積層体を得ることができ、さらに塩化物気相成長法による半導体層の成長を行っても、その半導体層中への塩素の取り込み量を抑制することができる。
また、上記の塩化物気相成長法による燐含有III−V族化合物半導体層の成長に際し、キャリアガスに窒素ガスを用いることができる。これによって、キャリアガスに水素を用いる通常の方法に比べて、半導体層中への水素の侵入を低くすることができる。
上記のいずれかの半導体素子の製造方法で製造された半導体素子は、水素濃度の低い窒素含有半導体層を形成しながら、燐含有半導体層を、生産能率を阻害する原因を積み上げずに形成することができる。
本発明の半導体素子は、III−V族化合物半導体基板と、III−V族化合物半導体基板上に位置し、窒素を含むIII−V族化合物半導体層と、窒素を含むIII−V族化合物半導体層上に位置し、燐を含む、III−V族化合物半導体層とを備える。そして、III−V族化合物半導体基板が(100)面から2°±0.2°傾斜しており、窒素を含むIII−V族化合物半導体層の平均水素濃度が5×1017個/cm以下であることを特徴とする。
上記の構成の半導体素子は、水素濃度の低い窒素含有半導体層を備えるために、結晶純度が高く、かつ結晶欠陥密度が低い活性層または受光層とすることができる。また燐含有半導体層を塩化物気相成長法で成長するので、量産性を害することなく、水素の活性層または受光層へのなだれ込みは抑止される。水素濃度が5×1017個/cmを超えると、活性層または受光層の結晶欠陥密度が高くなり、光学素子として品質低下をもたらす。
上記の基板をGaAs基板とし、窒素含有半導体層をGaInNAs層またはGaInNAsSb層とし、かつ燐含有半導体層をGaInP層とすることができる。これにより光ファイバ通信で使用する波長領域(1.3ミクロンおよび1.55ミクロン)をカバーすることができる。また、上記の基板をInP基板とし、上記の窒素含有半導体層をGaInNAs層またはGaInNAsSb層とし、かつ燐含有半導体層をInP層とすることができる。これによって、近赤外域の長波長側に相当するバンドギャップエネルギを持つ活性層または受光層を、水素濃度が低い状態で得ることができ、また反射層または窓層を結晶性の良い状態で得ることができる。
上記の半導体素子を半導体レーザとすることができる。これによって、光ファイバ通信で使用する波長領域(1.3ミクロンおよび1.55ミクロン)の光の発振を行うことができる。
上記の半導体素子をフォトダイオードとすることができる。これによって、近赤外域の長波長域に相当する2.0〜3.0ミクロンの波長の光の受光を行うことができる。
本発明の半導体素子およびその製造方法によれば、窒素を含む活性層または受光層と、燐を含む半導体層とを備える半導体素子を、燐による上記要因によって生産能率を阻害されることなく製造することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体素子の半導体積層体10を示す断面図である。図1において、半導体積層体10は、(基板1/半導体バッファ層2/N含有半導体層3/P含有半導体層4)を備える。基板1は、III−V族半導体基板、とくにInP基板が好ましいが、場合によってはSi基板であってもよい。また、極端な場合、半導体基板でなくてもよい。上記の半導体積層体10において、N含有半導体層3の平均水素濃度が、5×1017/cm以下である点に、第1の特徴がある。N含有半導体層3の結晶欠陥密度を低下させ、より一層良好な品質の光学素子を得るためには、平均水素濃度は2×1017/cm以下とするのがよい。N含有半導体層3の上記の平均水素濃度を実現するために、そのN含有半導体層3をMBE法で成長する。
また、P含有半導体層4は、塩化物気相成長(CVPE :Chloride Vapor Phase Epitaxy)法により成長させる。CVPE法の詳しい説明はこの後に行うが、塩化物の分解の際に生じる塩素がP含有半導体層4中に取り込まれるため、P含有半導体層4の塩素濃度は、N含有半導体層3のそれより高くなる。このように、P含有半導体層4の塩素濃度がN含有半導体層3のそれより高くなる点が、第2の特徴である。しかし塩素濃度が高くなりすぎると、P含有半導体層4の結晶欠陥密度および結晶純度を劣化させるので、塩素濃度は低いほうが好ましい。しかし、CVPE法以外で水素濃度を低く保ち、かつP特有の成膜チャンバ内壁付着の弊害のない生産効率の良い成膜法はないので、CVPE法を用いる。
P含有半導体層4の塩素濃度に歯止めをかけるため、基板1にIII−V族半導体基板を用いる場合、その基板面方位は(100)面から2°オフのものを用いることが望ましい。III−V族半導体基板の面方位が(100)面から2°オフしたものを用いたとき、塩素の取り込みが抑制されることは、本発明者らによって見出された現象である(非特許文献1)。このIII−V族半導体基板の面方位が(100)面から2°オフしたものであることが、第3の特徴である。
図2は、上記の半導体素子の製造方法を説明するための図である。まず基板1の準備(図2のステップS1)であるが、とくに後の成膜法にCVPE法を用いるので、III−V族半導体基板の面方位が(100)から2°オフのものを用いるのがよい。しかし、エピタキシャル成長が得られるのであれば、他の基板を用いることもできる。基板1上にバッファ層2を設ける場合の成膜法は、どのような方法によってもよいが、OMVPE法による場合で、かつ窒素を含むバッファ層の場合には、上述のように水素濃度が高く、成膜中または成膜後に水素の供給源として機能するので、成膜後に脱水素の熱処理(アニール)をしておくのがよい。MBE法でバッファ層2を形成する場合には、バッファ層2が窒素を含んでいても、脱水素熱処理は不要である。
受光層または活性層となるN含有半導体層3の成膜は、MBE法によって行う(ステップS2)。MBE法によれば、水素濃度の低いN含有半導体層3を得ることができる。MBE法の詳細な説明はこの後、行う。MBE法の後で、より確実に水素濃度を低くするために、脱水素熱処理(600℃〜800℃)を行ってもよい(図2参照)。次いで、N含有半導体層3上に、CVPE法によってP含有半導体層4を成長する(ステップS3)。CVPE法によれば、Pに起因する生産能率の阻害要因を避けることができる。そして、CVPE法の代わりにOMVPE法を用いた場合における水素の大量発生、およびその水素の活性層または受光層へのなだれ込みを防止することができる。P含有半導体層4における塩素濃度の増大は、上記のIII−V族半導体基板の面方位を(100)から2°オフの基板を用いることにより、抑制することができる。
図3は、MBE法の成膜装置の一例を示す模式図である。基板を含む積層体10は、基板回転加熱機構に取り付けられ、加熱され回転状態とされる。成膜には、半導体層を構成する元素に対応して蒸発源の分子線セルが配置されており、GaInNAsSb層の場合には、In、Ga、AsおよびSbの各分子線を出射する分子線セルが、各別に配置されている。図3では、分子線セルは、ガスセル31を含んで3つ示されているが、何個か省略されている。
化学組成や成膜速度の調整のために、セルシャッタや基板シャッタの開閉を調整するが、その制御のために附属する計算機が用いられる。基板温度等は、パイロメータによって測定される。RHEED(reflection high electron energy diffraction)観察のために、電子が浅い入射角度で積層体10に入射するようにRHEED電子銃が配置され、その回折像を得るための蛍光スクリーン(RHEEDスクリーン)およびその回折像を撮像するカメラが回折方向位置に設けられる。RHEEDは、積層体10の結晶性の評価、成膜素過程の把握等のために用いられる。また、質量分析装置、ビームモニタなどの観察装置が取り付けられている。分子線などのうちで積層体10に組み込まれなかったものの大半は、成膜装置の内壁に付着する。また、液体窒素シュラウドは、分子線が衝突して発生した不純物の吸着などのために用いられる。成膜装置内は、ゲートバルブを介在させて真空排気系と連通している。
GaInNAsSb層3を形成する際に、窒素(N)を導入するために、窒素ガスをガスラインに供給し、窒素プラズマセル31で窒素の励起状態を得て、この励起状態の窒素分子線を積層体10に照射する。窒素ガスおよび他の原料を、窒素プラズマセル31および他のセルで励起する際、原料ガス中の水分または装置内に浮遊する水蒸気が、各セルによって励起されて、各セルから積層体10へと運ばれ、結晶層中に混入する。水素のGaInNAsSb層3への混入は、N含有InGaAs系層の成長初期段階に限定される。すなわち膜厚2μm〜3μmのN含有InGaAs系層の下面から0.5μm以下の厚み範囲に限定される。
MBE法によりN含有半導体層を形成した後、脱水素熱処理を行なうと、下面側の水素高濃度層の水素濃度ピーク値は2×1018個/cm以下、フラット濃度部の水素濃度は1.5×1017個/cm以下となり、また、N含有半導体層3における平均水素濃度は2×1017個/cm以下となる。脱水素熱処理を行なわない場合であっても、上記の製造方法によれば、N含有半導体層3における平均水素濃度は5×1017個/cm以下とすることができる。この結果、脱水素熱処理を行うほうが好ましいが、脱水素熱処理を行わない場合であっても、欠陥密度の低いN含有半導体層3を得ることができ、暗電流等が抑制され、感度のよい半導体素子またはフォトダイオード等を、容易に得ることができる。
図4は、CVPE法の成膜装置を示す図である。Ga源およびIn源には金属Gaおよび金属Inをそれぞれ用い、またP源およびAs源には三塩化燐(PCl)および三塩化砒素(AsCl)をそれぞれ、水素や窒素でバブリングさせて気化させて用いる。抵抗加熱炉は、ガリウムメタルやインジウムメタルの金属源側を高温域とし、基板を含む積層体10の側をそれより低温にしておく。不純物の種類によるが、不純物源は中間域に配置してもよいし、キャリアガスの水素または窒素に含ませてもよい。操業に際し、ガリウムメタルまたはインジウムメタルの融液に、上記気化したPCl、AsClおよびH(またはN)を吹きつけて反応させる。そして、GaやInを、InClやGaClなどの塩化物にして輸送し、低温に維持された積層体10のN含有半導体層3(図4に図示せず)の上に、目的とする組成のP含有半導体層4(図4に図示せず)を積層する。
図4では、加熱装置は抵抗加熱炉を例示するが、高周波加熱を用いることもできる。成膜チャンバともいうべき反応管には、高純度石英管を用いるのがよい。Ga、Inなどの金属源は石英ボート中に入れておく。Ga源およびIn源の温度は900℃〜800℃にして、基板を含む積層体10が位置する範囲の温度は800℃〜700℃とする。PClおよびAsClは室温付近で液体であるので、容器を水槽中の置き、水槽の温度を制御することにより蒸気圧の制御をする。キャリアガスの水素もしくは窒素またはこれらの混合ガスが、PCl、AsCl中をバブルするような構造の容器を用いるので、PCl、AsClの温度およびキャリアガスの流量を変えることにより、キャリアガス中のPCl、AsClの濃度を制御することができる。排気ガスには有毒物質が含まれるので、排気系統には、液体窒素の低温とラップと、硝酸を入れたトラップを配置する。
上記の成膜反応では、PClの生成熱は非常に大きいため、エピタキシャル成長を行う低温域で、燐が石英反応管の内壁に多量に付着することはない。このため、半導体素子の量産を行っても石英反応管の内壁に付着した燐の要メンテナンス性は生じにくい。また、たとえ内壁に付着した燐が不具合を生じる場合でも、石英反応管を交換すればよいので、メンテナンスの工数は非常に小さく、そのメンテナンスのために半導体素子の生産がストップすることはない。したがって、CVPE法では、Pによる生産能率の阻害要因は除くことができる。水素をキャリアガスに用いる場合、P含有半導体層4の水素含有率がある程度高くなることは避けられないが、OMVPE法によるP含有半導体層4の水素含有率ほど高くならず、また窒素ガスを混合させた水素ガス+窒素ガスの混合ガスまたは窒素ガスを用いることにより、水素含有率を低下させることができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の半導体素子である半導体レーザの積層体10を示す断面図である。また図6は、図5に示すN含有半導体層3の拡大図である。図5に示す半導体積層体10は、(Siドープのn型GaAs基板1/n型GaInPクラッド層2/N含有半導体層3/p型GaInPクラッド層(P含有半導体層)4/GaAsコンタクト層5)の構成からなる。N含有半導体層3は、図6に示すように、半導体レーザの活性層を構成し、(GaAs/GaInNAs/GaAs/GaInNAs/GaAs)の構造を有する。活性層の幅Wは1.3μmであり、Ga1−xInAs1−yの化学式において、In組成xは0.3であり、N組成yは0.01である。上記のように、量子井戸構造のように断続的にNを含む部分が配置された量子井戸構造であっても、N含有半導体層3と呼ぶ。
次に図5および図6の半導体積層体10の製造方法について、説明する。n型GaAs基板(厚み400μm)1上に、n型GaInPクラッド層(厚み1.5μm)2をOMVPE法で成長する。その後、MBE法により、(GaInNAs/GaAs)の2重量子井戸活性層3を成長する。2重量子井戸活性層の具体的構成は、(ノンドープGaAs(厚み140nm)/ノンドープGaInNAs(厚み7nm)/ノンドープGaAs(厚み8nm)/ノンドープGaInNAs(厚み7nm)/ノンドープGaAs(厚み140nm))とする。この活性層を、1.3μm幅Wでメサ型にエッチングして、その上に、p型GaInPクラッド層(厚み1.5μm)4、p型GaAsコンタクト層(厚み0.3μm)5をクロライドVPE法で成長する。この後、図示していない配線回路等と電気的接続をとり、半導体レーザへと加工する。
上記のように、図5および図6に示す半導体レーザでは、活性層3はMBE法で製造され、またp型GaInPクラッド層4はCVPE法で製造される。このため、Pに起因する量産性阻害を受けることなく、水素濃度の低い、したがって優れた結晶性の活性層を得ることができる。この結果、たとえば発振閾値電流が低い半導体レーザを得ることができる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における半導体素子であるフォトダイオードの積層体10を示す図である。この積層体10は、つぎのような化合物半導体層で形成されている。
積層体10:(InP基板1/nInGaAsバッファ層2/GaInNAs受光層3/InP窓層4)
各層の厚みは、大雑把に、InGaAsバッファ層2は1μm〜2μm程度、N含有半導体層であるGaInNAs受光層3は2μm〜3μm、InP窓層4は0.5μm〜1.5μmである。フォトダイオードの場合には、InP窓層4上にマスクパターン6を設け、p型不純物をInP窓層4を通して、GaInNAs受光層3に届くように導入して、pn接合またはpin接合を形成する。上記のp型不純物の導入は、通常、Znの拡散導入によって行う。その後、InP窓層4のp型領域上にオーミック接触のp部電極12を、またInP基板1またはInGaAsバッファ層2にオーミック接続するn部電極11をそれぞれ形成する。
具体的には、たとえば面方位(100)から2°オフの半絶縁性InP基板(厚み350μm)の上に、n型InGaAsバッファ層(厚み1μm)およびノンドープGaInNAs受光層(厚み3μm)をMBE法により成長する。その上に、ノンドープInP窓層(1.5μm)をCVPE法で成長する。この後、配線回路等と電気的接続をとり、フォトダイオードに加工する。上記のフォトダイオードでは、上述の成膜法の使い分けにより、GaInNAs受光層3における水素濃度は低く、かつPに起因する生産能率の阻害要因も働かない。
(実施例1)
実施の形態2で説明した製造法にしたがって、図5および図6に示す半導体レーザを製造して試験体とした。この半導体レーザの試験体について、レーザ発振電流の閾値を求めた。結果を図8に示す。図8によれば、レーザ発振の中心波長λは1308nmであり、急峻度が高く、バックグランドの雑音は十分低かった。また、発振閾値電流Ithは15.6mAであり、十分低い値であった。また、電流当たりのレーザ発振の光学出力の上昇率は十分高かった。
(実施例2)
実施の形態3で説明した製造法にしたがって、図7に示すフォトダイオードを製造し、本発明例の試験体とした。また、比較のために、InP窓層4のみをOMVPE法で成長した比較例の試験体を製作した。上記本発明例および比較例の試験体について、InP窓層4の成長前後のGaInNAs受光層3中の水素濃度をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)分析により求めた。
結果を図9に示す。比較例では、InP窓層をOMVPE法で成長した後の水素濃度は、1×1018/cmに近い高濃度となっていて、受光層の純度が低下していた。これに対して、本発明例では、2×1017/cm以下の水素濃度が得られる。その結果、本発明例のフォトダイオードでは、1μA以下の暗電流が得られた。一方、InP窓層をOMVPE法で成長した後の水素濃度は、上記のように、1×1018/cmに近い高濃度であり受光層の純度が低下したため、暗電流は10mAであった。すなわち、本発明例のフォトダイオードでは、比較例のフォトダイオードに比べて、4桁低い暗電流とすることができた。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の半導体素子およびその製造方法によって、Pが成膜装置の内壁に付着することに起因する生産性阻害要因を回避しながら、活性層または受光層を構成するN含有半導体層の水素濃度を低くできる。この結果、暗電流が低く、また発振閾値電流が低い、高品質のフォトダイオードまたは半導体レーザを良好な経済性で量産することができる。
本発明の実施の形態1における半導体素子の積層体を示す断面図である。 図1の半導体素子の積層体の製造プロセスを説明する図である。 MBE法の成膜装置の一例を説明するための断面図である。 CVPE法の成膜装置の一例を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態2における半導体素子である半導体レーザの積層体を示す断面図である。 図5の半導体レーザのN含有半導体層の拡大図である。 本発明の実施の形態3における半導体素子であるフォトダイオードの積層体を示す断面図である。 本発明の実施例1における本発明例のレーザ発振の光学出力と電流との関係を示す図である。 本発明の実施例2における本発明例と比較例の水素濃度の厚み方向分布を示す図である。
符号の説明
1 基板(InP基板、GaAs基板)、2 バッファ層またはクラッド層、3 N含有半導体層(GaInNAs層)、4 P含有半導体層(窓層またはクラッド層)、5 GaAsコンタクト層、6 SiN保護膜(マスクパターン)、10 半導体素子の積層体、11 n部電極、12 p部電極、30 MBE法成膜装置、31 窒素プラズマセル。

Claims (9)

  1. 基板上に、窒素を含むIII−V族化合物半導体層を、MBE法により成長する工程と、
    前記窒素を含むIII−V族化合物半導体層上に、燐を含むIII−V族化合物半導体層を、塩化物気相成長法により成長する工程とを備えることを特徴とする、半導体素子の製造方法。
  2. 前記基板にIII−V族化合物半導体基板を用い、該III−V族化合物半導体基板の面方位を(100)面から2°±0.2°傾斜したものとすることを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記塩化物気相成長法による燐を含むIII−V族化合物半導体層の成長に際し、キャリアガスに窒素ガスを用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の半導体素子の製造方法で製造された半導体素子。
  5. III−V族化合物半導体基板と、
    前記III−V族化合物半導体基板上に位置し、窒素を含むIII−V族化合物半導体層と、
    前記窒素を含むIII−V族化合物半導体層上に位置し、燐を含むIII−V族化合物半導体層とを備え、
    前記III−V族化合物半導体基板が(100)面から2°±0.2°傾斜しており、
    前記窒素を含むIII−V族化合物半導体層の平均水素濃度が5×1017個/cm以下であることを特徴とする、半導体素子。
  6. 前記基板がGaAs基板であり、前記窒素を含むIII−V族化合物半導体層がGaInNAs層またはGaInNAsSb層であり、かつ前記燐を含むIII−V族化合物半導体層がGaInP層であることを特徴とする、請求項4または5に記載の半導体素子。
  7. 前記基板がInP基板であり、前記窒素を含むIII−V族化合物半導体層がGaInNAs層またはGaInNAsSb層であり、かつ前記燐を含むIII−V族化合物半導体層がInP層であることを特徴とする、請求項4または5に記載の半導体素子。
  8. 前記半導体素子が半導体レーザであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の半導体素子。
  9. 前記半導体素子がフォトダイオードであることを特徴とする、請求項4、5、7のいずれかに記載の半導体素子。
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