JP2009037104A - 液晶配向剤、液晶配向膜の製造方法、ポリアミック酸およびポリイミドならびにジアミン化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
このような液晶セルにおいては、液晶分子を基板面に対し所定の方向に配向させるため、基板表面に液晶配向膜を設ける必要がある。この液晶配向膜は、通常、基板表面に形成された有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。しかし、液晶配向膜の形成をラビング処理により行うと、工程内でほこりや静電気が発生し易いため、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが困難となりつつある。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリイミド、アゾベンゼン誘導体などの感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現することができる(特許文献3〜13参照)。
ところで、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などの液晶セルにおいては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度で傾斜配向させる、プレチルト角特性を有する必要がある。光配向法により液晶配向膜を形成する場合においては、プレチルト角は、通常、照射する放射線の基板面への入射方向を基板法線から傾斜させることにより付与される。
前記光配向法は、垂直配向モードの液晶セルにおいて液晶分子の傾き方向を制御する方法としても有用であることが知られている。すなわち、光配向法により配向規制能およびプレチルト角発現性を付与した垂直配向膜を用いることにより、電圧印加時の液晶分子の傾き方向を均一に制御できることが知られている(特許文献11〜12および14〜16参照)。
このように、光配向法により製造した液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に有効に適用されうるものである。しかしながら、従来の光配向膜には、大きなプレチルト角を得るのに必要な放射線照射量が多いという問題があった。例えば、アゾベンゼン誘導体を含有する薄膜に光配向法によって液晶配向能を付与する場合、十分なプレチルト角を得るためにはその光軸が基板法線から傾斜された放射線を10,000J/m2以上照射しなければならないことが報告されている(特許文献13〜14および非特許文献1参照)。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
下記式(1)
で表されるジアミン化合物を用いて製造されたポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
基板上に上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射する液晶配向膜の形成方法によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第3に、上記式(1)で表されるジアミン化合物を用いて製造されたポリアミック酸またはポリイミドによって達成される。
さらに本発明の上記目的および利点は、第4に、上記式(1)で表されるジアミン化合物によって達成される。
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される本発明のジアミン化合物を用いて製造された本発明のポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
<ジアミン化合物>
本発明のジアミン化合物は、上記式(1)で表される。
上記式(1)におけるR1としては、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数5〜50の脂環式基であることが好ましい。このアルキル基または脂環式基の水素原子の一部はフッ素原子で置換されていてもよい。炭素数1〜20のアルキル基、コレステニル基またはコレスタニル基であることがより好ましい。このアルキル基、コレステニル基またはコレスタニル基の水素原子の一部はフッ素原子で置換されていてもよい。R1の具体例としては、例えばn−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、コレステニル基、コレスタニル基などを挙げることができる。
R2、R4およびR5としては、それぞれ独立に単結合、−O−、−COO−または−OCO−が好ましい。
R3の具体例としては、例えば1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェンジイル基、2,5−フラニレン基またはCH基が窒素原子によって置換されていてもよい1,4−ナフチレン基もしくは2,6−ナフチレン基を挙げることができる。中でも1,4−フェニレン基が好ましい。
aは0または1が好ましい。
bは1〜10の整数が好ましい。
cは0、1または2が好ましい。
基R1−R2−(R3−R4)a−の結合位置は−CH=CH−C(=O)−に対してパラ位が好ましい。
2つのアミノ基の結合位置は2,5−位または3,5−位が好ましい。
本発明のジアミン化合物の好ましい例としては、下記式(1−1)〜(1−12)
を挙げることができる。上記式(1−1)〜(1−12)におけるR1としては、炭素数1〜20のアルキル基、コレステニル基またはコレスタニル基であることが好ましい。この場合、アルキル基、コレステニル基またはコレスタニル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子により置換されていてもよい。bは2〜10であることが好ましい。cは0、1または2であることが好ましい。
上記式(1)におけるaが0の場合、例えば、先ずベンズアルデヒド誘導体とハロゲン原子を有するアセトン誘導体とをアルドール縮合し、次いでこれを脱水することにより中間体(1−i)を得る(下記反応式(A)参照)。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができ、これらのうち塩素原子が好ましい。
上記アルドール縮合を塩基の存在下で行うと、アルドール縮合に引き続いて脱水が起こり、目的の中間体が直接に得られる点で好ましい。この塩基としては、例えば水酸化バリウムなどを挙げることができる。
次いで、中間体(1−i)を下記反応式(B)
の如くジアミノベンゼン化合物Iと反応させるか、あるいは下記反応式(C)
の如くジニトロベンゼン化合物IIと反応させた後、ニトロ基を還元することにより、上記式(1)で表される化合物(ただしa=0)を得ることができる。
反応式(B)の反応は、フッ化カリウム、炭酸カリウムなどの存在下において、室温〜150℃程度の温度で行うことが好ましい。
反応式(C)による場合、中間体(1−i)とジニトロベンゼン化合物IIとの反応は、塩基、例えばヨウ化ナトリウム、炭酸カリウムなどの存在下に室温〜150℃程度の温度で行うことが好ましい。ニトロ基の還元反応は、例えば亜鉛および塩化アンモニウムの存在下に還元する方法、エタノール中で塩化スズにより還元する方法などによることができる。
一方、上記式(1)におけるaが1以上である場合、先ず例えば3,4−ジヒドロ−2H−ピランとベンズアルデヒド誘導体とを反応させて基−R4Hが保護された中間体(1−ii)を得る(下記反応式(D)参照)。
上記の反応は、触媒としてのp−トルエンスルホネートなどの共存下に行うことが好ましい。
次いで、中間体(1−ii)とハロゲン原子を有するアセトン誘導体とをアルドール縮合し、次いでこれを脱水することにより中間体(1−iii)を得、さらにこれを脱保護することにより、中間体(1−iv)を得る(下記反応式(E)参照)。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができ、これらのうち塩素原子が好ましい。
中間体(1−ii)のアルドール縮合およびこれに引き続く脱水反応は、a=0の場合について上記したところと同様にして行うことができる。中間体(1−iii)の脱保護は、例えば塩酸などの酸により行うことができる。
次に、下記反応式(F)
の如くして中間体(1−v)を得る。上記反応は、塩基の存在下に行われることが好ましい。X’のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを挙げることができ、これらのうち塩素原子が好ましい。
そして、中間体(1−v)を下記反応式(G)
の如くジアミノベンゼン化合物Iと反応させるか、あるいは下記反応式(H)
の如くジニトロベンゼン化合物IIと反応させた後ニトロ基を還元することにより、上記式(1)で表される化合物(ただしa≧1)を得ることができる。
これらの反応は、a=0の場合について上記したところに準じて実施することができる。
本発明のポリアミック酸は、上記式(1)で表される本発明のジアミン化合物を用いて製造される。
本発明のポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(1)で表される本発明のジアミン化合物を含むジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
本発明のポリアミック酸の製造に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(2)〜(15)
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、下記式(16)〜(19)
これらのうち好ましいものとして、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物または上記式(2)、(3)もしくは(16)〜(19)で表されるテトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環式ジアミン;
ジアミノヘキサメチルジシロキサンなどのジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。
これらのうち好ましいものとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1−ヘキサデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)または上記式(20)〜(24)で表されるジアミン化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜10時間行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%となるような量である。
ポリアミック酸の製造に際して有機溶媒中に上記の如き貧溶媒を併用する場合、その使用割合は生成するポリアミック酸が析出しない範囲において適宜に設定することができるが、好ましくは全溶媒のうちの50重量%以下である。
本発明のポリイミドは、上記の如き本発明のポリアミック酸の有するアミック酸構造を脱水閉環することにより製造することができる。このとき、アミック酸構造の全部を脱水閉環して完全にイミド化してもよく、あるいはアミック酸構造のうちの一部のみを脱水閉環してアミック酸構造とイミド構造とが併存する部分イミド化物としてもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。ポリアミック酸を加熱する方法における反応時間は、好ましくは0.5〜48時間であり、より好ましくは2〜20時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、アミック酸構造単位の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃であり、反応時間は好ましくは0.5〜20時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、ポリイミドを精製することができる。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き本発明のポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を必須成分として含有し、好ましくは溶液として調製される。
本発明の液晶配向剤は、上記のポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種のほか、必要に応じてその他の成分を含有することができる。かかるその他の成分としては、例えば本発明のポリアミック酸またはポリイミド以外のその他の重合体(以下、「他の重合体」という。)、感熱性架橋剤、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記他の重合体は、溶液特性および電気特性の改善のために使用することができる。かかる他の重合体としては、例えば本発明のポリアミック酸以外のポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)、本発明のポリイミド以外のポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができるが、耐熱性および電気特性の点から、他のポリアミック酸が好ましい。
液晶配向剤に含有される全重合体に対する本発明のポリアミック酸およびポリイミドの比率は10重量%以上であることが好ましい。
上記官能性シラン化合物は、得られる液晶配向膜の基板との接着性を向上する目的で使用することができる。官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができ、さらに特許文献17(特開昭63ー291922号公報)に記載されている、テトラカルボン酸二無水物とアミノ基を有するシラン化合物との反応物などを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤の調製に用いられる好ましい溶媒は、上記有機溶媒の1種または2種以上を組み合わせて得られるものであって、下記の好ましい固形分濃度において液晶配向剤に含有される各成分が析出せず、且つ液晶配向剤の表面張力が25〜40mN/mの範囲となるものである。
本発明の液晶配向剤の固形分濃度、すなわち液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の重量が液晶配向剤の全重量に占める割合は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難い場合がある。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が不足する場合がある。特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に採用する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するために好適に使用することができる。液晶配向膜を形成する方法としては、例えば基板上に本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、次いでこの塗膜に放射線を照射することにより該塗膜に液晶配向能を付与する方法を挙げることができる。
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布し、例えば40〜250℃の温度で0.1〜120分間加熱して塗膜を形成する。塗膜の膜厚は、溶媒除去後の厚さとして、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックからなる透明基板を用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnO2からなるNESA膜、In2O3−SnO2からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や透明導電膜を形成する際にマスクを用いる方法などが用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネートなどを塗布しておいてもよい。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m2以上10,000J/m2未満であり、より好ましくは10〜3,000J/m2である。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m2以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m2以下、さらに1,000J/m2以下であっても良好な液晶配向性を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
なお、本発明における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表す。
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上述のようにして液晶配向膜が形成された基板を1対(2枚)準備し、これらの有する液晶配向膜を、照射した直線偏光放射線の偏光方向が所定の角度となるように対向させ、基板の間の周辺部をシール剤でシールし、液晶を注入、充填し、液晶注入口を封止して液晶セルを構成する。次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで冷却して、注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、その両面に、偏光板をその偏光方向がそれぞれ基板の液晶配向膜の配向容易軸と所定の角度をなすように貼り合わせることにより、液晶表示素子とする。液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向のなす角度およびそれぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように張り合わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
一方、垂直配向型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶を形成する負の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
以下の実施例において、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)は、以下の条件で測定した。
カラム:ODSカラム
溶媒:テトラヒドロフラン/0.1重量%トリフルオロ酢酸水溶液=70/30(容量比)
流速:0.4mL/分
<ジアミン化合物の合成>
実施例1
式(1−1−1)で表されるジアミン化合物(以下、「化合物(1−1−1)」という。)の合成を、下記Scheme 1にしたがって行った。
1Lの還流管付き3つ口フラスコに4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド82.51g、エタノール400mL、6−クロロ−2−ヘキサノン107.68gおよび水酸化バリウム1水和物20.0gを加え、10分間還流した。次に、上記反応混合物をトルエン/希塩酸混合液で洗浄し、硫酸バリウムにより乾燥した後、濃縮し、メタノールで再結晶することにより白色結晶(化合物(1−1−1a))を60.0g得た。この白色結晶につきLC−MSを測定したところ、純度は100%で分子量は323であった。
化合物(1−1−1)の合成
還流管、温度計および窒素導入管を備えた500mLの3つ口フラスコに上記で合成した化合物(1−1−1a)を48.42g、フッ化カリウム19.17g、3,5−ジアミノ安息香酸22.83g、ヨウ化カリウム4.90gおよびN,N−ジメチルホルムアミド300mLを加え、窒素気流下、90℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル/水の混合液で洗浄を行った後、シリカゲルカラムにより精製し、さらにメタノールで再結晶することにより、淡褐色の結晶(化合物(1−1−1))を20gを得た。この淡褐色結晶につきLC−MSを測定したところ、純度は99.3%で分子量は439であった。
式(1−3−1)で表されるジアミン化合物(以下、「化合物(1−3−1)」という。)の合成を、下記Scheme 2にしたがって行った。
500mLのナスフラスコに4−ヒドロキシベンズアルデヒド48.84g、ピリジニウムp−トルエンスルホネート1.0g、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン50.84gおよび塩化メチレン200mLを入れ、室温で2時間撹拌した。次に、これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した後、濃縮を行うことにより液体(化合物(1−3−1a))を80g得た。LC−MSにより求めた純度は96.5%であった。
化合物(1−3−1c)の合成
1Lの還流管付き三つ口フラスコに上記で合成した化合物(1−3−1a)を20.64g、6−クロロ−2−ヘキサノン26.84g、メタノール400mLおよび水酸化バリウム8水和物8.04gを加え、2時間還流を行った。次に、この反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムにより乾燥した後、濃縮を行うことにより、化合物(1−3−1b)を90%の純度で得た。
次いで、上記化合物(1−3−1b)に1M塩酸を加えて室温で15分反応させることにより、化合物(1−3−1c)を得た。
化合物(1−3−1d)の合成
滴下ロート、温度計を備えた1Lの三口フラスコに上記で合成した化合物(1−3−1c)23.9g、炭酸カリウム27.6g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.97g、テトラヒドロフラン200mLおよび水100mL加え溶解した。次にこの溶液を氷浴により冷却しつつ、4−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)安息香酸クロリド26.7gをテトラヒドロフラン400mLに溶かした溶液をゆっくり滴下した後、2時間撹拌を行った。次いで、反応混合物に酢酸エチルを加えて水で洗浄を行い、つづいて、エタノールで再結晶することにより化合物(1−3−1d)を25g得た。
還流管を備えた300mLのナスフラスコに上記で合成した化合物(1−3−1d)24.2g、ヨウ化ナトリウム41.5gおよびメチルエチルケトン150mLを仕込み、5時間還流させた。次に酢酸エチルを加えて水で洗浄し、有機層をエバポレーターにより濃縮、乾固した。次に、この固体に炭酸カリウム15.2g、3,5−ジニトロ安息香酸10.7gおよびN−メチル−2−ピロリドン150mLを加え、50℃で3時間反応させた。酢酸エチルを加え、硫酸ナトリウム水溶液と水で順次に洗浄を行い、続いてエタノール/テトラヒドロフランの混合溶媒で再結晶を行うことにより化合物(1−3−1e)を25g得た。LC−MSにより求めた純度は95%であった。
化合物(1−3−1)の合成
温度計、窒素導入管、還流管を備えた200mLの三口フラスコに上記で合成した化合物(1−3−1e)19.8g、塩化すず2水和物67.7gおよびエタノール90mLを加えて窒素気流下で70℃で1時間撹拌を行った。反応終了後、酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、ろ過により沈殿を取り除き、ろ液を水洗し、つづいて、エタノールで再結晶することにより、化合物(1−3−1)を14g得た。LC−MSにより測定したところ、純度は99.1%であり、マススペクトルにおいて629のピークが見られた。
実施例2において、6−クロロ−2−ヘキサノンの代わりに相当量の4−クロロ−2−ブタノンを用い、4−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)安息香酸クロリドの代わりに相当量の4−(ドデシルオキシ)安息香酸クロリド(実施例3)、4−(オクタデシルオキシ)安息香酸クロリド(実施離4)または4−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペントキシ)安息香酸クロリド(実施例5)を、それぞれ用いたほかは実施例2と同様にして実施し、下記式
実施例6(ポリアミック酸の合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.015モル(3.38g)と、上記で合成した化合物(1−1−1)0.015モル(6.620g)とをN−メチル−2−ピロリドン30gに溶解し、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥することにより、対数粘度0.29dl/gのポリアミック酸(以下、「重合体1a」という)9gを得た。
実施例7〜10(ポリアミック酸の合成)
実施例6において、化合物(1−1−1)の代わりに表1に記載の種類および量のジアミン化合物をそれぞれ用いたほかは実施例6と同様にして実施し、ポリアミック酸を得た。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196.12g(1.0モル)およびジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル200.24g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,500gに溶解し、40℃で3時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注いで反応生成物を沈澱させた。沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度0.89dl/gのポリアミック酸(これを「ポリアミック酸B−1」とする。)369.12gを得た。
合成例2(他のポリアミック酸の合成)
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物109.06g(0.5モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98.06g(0.5モル)ならびにジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルメタン198.27g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン4,500gに溶解し、40℃で3時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノール中に注いで反応生成物を沈澱させた。沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度0.93dl/gのポリアミック酸(これを「ポリアミック酸B−2」とする。)411.21gを得た。
上記実施例6で合成した重合体1aの5gをとり、これにN−メチル−2−ピロリドン20g、ピリジン1.20gおよび無水酢酸1.54gを加え、120℃で4時間のイミド化反応を行った。次いで、この反応混合液を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。この沈殿物をメタノールで洗浄し、減圧下で15時間乾燥することにより、ポリイミド(以下、「重合体1b」という。)3gを得た。重合体1bのイミド化率は、80%であった。
実施例12〜15(イミド化反応)
実施例11において、重合体1aの代わりに表2に記載の重合体(ポリアミック酸)を使用したほかは実施例11と同様に各重合体のイミド化反応をそれぞれ実施して、ポリイミド(重合体2b、3b、4bおよび5b)を得た。
結果を表2に示した。
実施例16
上記実施例6で得られた重合体1aの3gをN−メチル−2−ピロリドン97gに溶解して固形分濃度3.0重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより。液晶配向剤1を調製した。
実施例17〜28
実施例16において、液晶配向剤の組成を表3に記載のとおりとしたほかは実施例16と同様にして実施し、液晶配向剤2〜14をそれぞれ調製した。
なお、表3において、NMPはN−メチル−2−ピロリドンを表し、TGDAPMはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンを表す。また、実施例26〜28においてはそれぞれ2種類の重合体を使用した。
実施例29
(1)液晶表示素子の製造
上記実施例13で調製した液晶配向剤1を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、180℃にて1時間加熱することにより、膜厚0.1μmの塗膜を形成した。この塗膜の表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線1,000J/m2を、基板法線から40°傾いた方向から照射することにより、液晶配向能を付与して液晶配向膜を形成した。
上記と同じ操作を繰り返し、液晶配向膜を透明導電膜面上に有するガラス基板を1対(2枚)作製した。
この1対の基板のそれぞれ液晶配向膜を形成した面の周囲部に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、偏光紫外線照射方向が逆平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、基板の間隙に液晶注入口よりネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を注入して充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の偏光方向と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、液晶表示素子を製造した。
この液晶表示素子の評価を以下のようにして行った。結果は表4に示した。
上記で製造した液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を偏光顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合を「良好」とした。
(3)プレチルト角の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、非特許文献2(T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980))に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によりプレチルト角を測定した。
(4)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。電圧保持率が90%以上の場合を「良」とした。
実施例29において、液晶配向剤1の代わりに表4に記載の液晶配向剤を用いたほかは実施例29と同様にして液晶表示素子をそれぞれ製造し、評価した。結果を表4に示した。
Claims (4)
- 下記式(1)
で表されるジアミン化合物を用いて製造されたポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、液晶配向剤。 - 基板上に請求項1に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射することを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
- 上記式(1)で表されるジアミン化合物を用いて製造されたことを特徴とする、ポリアミック酸またはポリイミド。
- 上記式(1)で表されるジアミン化合物。
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