JP2008533009A - 硬化性抗菌性歯科用組成物および方法 - Google Patents

硬化性抗菌性歯科用組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本出願は、抗菌性脂質成分と硬化性成分とを含む歯科用組成物、それを製造する方法、歯科用組成物を使用する方法を提供する。

Description

薬剤耐性細菌性感染が憂慮すべきほどに増加しているため、口腔管理における抗生物質の使用は、活発な感染症を管理するには限界がある。通常、病原性微生物に対する戦いでは、防腐剤および消毒剤が口腔環境で使用されている。例えば、グルタルアルデヒド、クロルヘキシジン、第4級アンモニウム塩、トリクロサン等が、口腔リンス液、歯磨き粉、およびエッチング液、ワニス、接着剤等の歯科修復材において口腔衛生のために使用される場合が多い。最近では、第4級アンモニウム塩の反応性ポリマーが、固定化抗菌性歯科用接着剤として使用されている。
かかる抗菌性材料は、病原性細菌の狭域スペクトルに対する限られた有効性を有することが多い。例えば、カチオン第4級アンモニウム塩は、口腔内で金属イオンとキレート化し、その有効性を失う傾向がある。したがって、抗菌活性を有する新規な歯科用組成物が必要とされている。
本発明は、微生物によって生じる、または悪化する症状の局在的/局所的処置(治療的または予防的)に有用である、抗菌活性を有する歯科用組成物を提供する。さらに具体的には、本発明の歯科用組成物は、特に口腔環境において1種または複数種の微生物(ウイルス、細菌、酵母、カビ、真菌、マイコプラズマ、および原生動物を含む)に対して有効である、歯科材料および物品を製造するのに有用である。
一実施形態において、本発明は、スクロース以外の多価アルコールにおいて、エステルがモノエステルを含み、エーテルがモノエーテルを含み、かつスクロースにおいて、エステルがモノエステル、ジエステル、またはそれらの組み合わせを含み、エーテルがモノエーテル、ジエーテル、またはそれらの組み合わせを含むことを条件として、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エーテル、そのアルコキシル化誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、有効量の抗菌性脂質成分であって、そのアルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する、有効量の抗菌性脂質成分と、硬化性成分とを含む歯科用組成物を提供する。
特定の実施形態では、硬化性成分は、酸官能基を含む。特定の実施形態では、酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の組成物は、開始剤系も含有する。
特定の実施形態では、硬化性成分は、エチレン性不飽和化合物を含む。特定の実施形態では、エチレン性不飽和化合物は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリレート化合物である。
特定の実施形態では、硬化性成分は、ガラスイオノマーセメントを含む。特定の実施形態では、ガラスイオノマーセメントは、樹脂変性ガラスイオノマーセメントである。
特定の実施形態では、硬化性成分としては、ポリエーテル、ポリシロキサン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、硬化性成分としては、エポキシド、ビニルエーテル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、抗菌性脂質成分としては、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態では、抗菌性脂質成分は、少なくとも0.1重量%の量で存在する。
特定の実施形態では、抗菌性脂質成分としては、多価アルコールのモノエステル、多価アルコールのモノエーテル、またはそのアルコキシル化誘導体が挙げられ、抗菌性脂質成分は、抗菌性脂質成分の全重量を基準にして、15重量%以下の、ジまたはトリエステル、ジまたはトリエーテル、そのアルコキシル化誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
特定の実施形態では、本発明の歯科用組成物は、抗菌性脂質成分とは異なる、有効量のエンハンサー(enhancer)成分をさらに含み得る。特定の実施形態では、エンハンサー成分は、カルボン酸を含み得る。特定の実施形態では、エンハンサー成分は、α−ヒドロキシ酸を含み得る。特定の実施形態では、エンハンサー成分としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アリールカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、(C6〜C12)アルカリールカルボン酸、フェノール類化合物、(C1〜C10)アルキルアルコール、エーテルグリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、脂質成分の総濃度に対するエンハンサー成分の総濃度は、重量基準で10:1〜1:300の範囲内である。
特定の実施形態では、本発明の歯科用組成物はさらに、抗菌性脂質成分とは異なる、有効量の界面活性剤成分を含み得る。特定の実施形態では、界面活性剤成分としては、スルホン酸塩界面活性剤、硫酸塩界面活性剤、ホスホン酸塩界面活性剤、リン酸塩界面活性剤、ポロキサマー界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはその混合物が挙げられる。特定の実施形態では、界面活性剤成分としては、スルホン酸塩界面活性剤、硫酸塩界面活性剤、ポロキサマー界面活性剤、またはその混合物が挙げられる。特定の実施形態では、界面活性剤成分は、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムである。特定の実施形態では、界面活性剤成分は、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのコポリマーを含むポロキサマーである。特定の実施形態では、抗菌性脂質成分の総濃度に対する界面活性剤成分の総濃度は、重量基準で5:1〜1:100の範囲内である。
特定の実施形態では、本発明の歯科用組成物はさらに、充填剤を含有することができる。
特定の実施形態では、本発明の歯科用組成物は、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コンポジット、修復材、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明は、歯科物品を製造する方法も提供する。この方法は、抗菌性脂質成分と硬化性成分を合わせて、本発明の歯科用組成物を形成する工程と、その組成物を硬化させて、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレー、充填物、ミルブランク(mill blank)、印象材、矯正装置、義歯、仕上げ加工または研磨装置からなる群から選択される歯科物品を作製する工程とを含む。
定義
本明細書で使用される、「硬化性」成分とは、例えば、硬化することができる1つまたは複数の化合物を要する、光重合反応、化学重合技術(例えば、エチレン性不飽和化合物、オキシラン化合物等を重合するのに有効なラジカルを形成するイオン反応または化学反応)を含む重合および/または架橋反応が可能な成分を意味する。硬化反応としては、セメント形成組成物(例えば、亜鉛ポリカルボキシレートセメント、ガラスイオノマーセメント等)に一般的な反応など、酸塩基硬化反応も挙げられる。
本明細書で使用される、「歯科用組成物」とは、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コンポジット、修復材、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材料、およびそれらの組み合わせなどの、口腔環境で使用される硬化性組成物を意味する。一部の実施形態において、硬化性成分を含む本発明の歯科用組成物を硬化させて、歯科予防または修復処置(例えば、コップ、ブラシなどの予防剤、研磨剤)に使用される、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレー、充填物、ミルブランク、印象材、矯正装置、義歯(例えば、部分的または完全な義歯)、仕上げ加工または研磨装置からなる群から選択される歯科物品を作製することができる。本明細書で使用される、「歯科用接着剤」とは、歯の表面に硬化性歯科材料(例えば、充填材料)を付着させるのに通常使用される、非充填またはわずかに充填された歯科用組成物(例えば、充填剤40重量%未満)を意味する。硬化した後、歯科用組成物は一般に、粘着性ではなく、または粘り着かず、したがって、感圧接着剤(PSA)として公知の材料の種類に属さないだろう。
本明細書で使用される、「歯科用セメント」とは、歯の表面に予め形成された、または予め硬化された歯科物品(例えば、インレー、オンレー、クラウン等)を付着するのに通常使用される、高充填歯科用組成物(例えば、少なくとも40重量%の充填剤)を意味する。
本明細書で使用される、「歯科矯正用セメント」とは、歯科構造に歯科矯正装置(例えば、バンド)を付着させるために歯科構造(例えば、歯)に予備処理として通常使用される組成物を意味する。
本明細書で使用される、「歯科矯正用接着剤」とは、歯科構造(例えば、歯)表面に歯科矯正装置(例えば、ブラケット)を付着させるのに通常使用される、高充填組成物(例えば、少なくとも40重量%の充填剤)を意味する。一般に、歯科構造表面は、例えば、エッチング、下塗り、および/または接着剤の塗布によって予備処理され、歯科構造表面への歯科矯正用接着剤または歯科矯正用セメントの接着性が高められる。
本明細書で使用される、「印象材」とは、軟化状態または低粘度状態(未硬化状態)で使用され、口腔内の硬組織および/または軟部組織の正確な印象を採得し、次いで、硬組織および/または軟部組織の凹模型に相当する硬質または高粘度状態(硬化状態)に硬化される材料を意味する。硬化状態では、印象剤は、低粘度材料(例えば、石膏スラリー)を受け入れることができる必要があり、その低粘度材料は、硬化した(つまり、固まった)後、口腔の硬組織および/または軟部組織の凸模型となる。
本明細書で使用される、「充填材料」とは、その機能を回復させるために歯の欠損を充填するのに使用される組成物を意味する。かかる材料は、これらの成分(part)が混合されると徐々に硬化する二液系である場合が多い。かかる材料は、メタクリレートまたはエポキシマトリックスを一般に有する、ガラスイオノマー、樹脂変性ガラスイオノマーまたは自己硬化性樹脂ベースのコンポジットであることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を示す略記である。例えば、「(メタ)アクリロキシ」基は、アクリロキシ基(つまり、CH2=CHC(O)O−)および/またはメタクリロキシ基(つまり、CH2=C(CH3)C(O)O−)のいずれかを意味する略記である。
「有効量」とは、微生物が許容可能なレベルとなるように、1種または複数種の微生物を低減、予防、または排除する、抗菌(例えば、抗ウイルス、抗細菌、または抗真菌を含む)活性を提供する、抗菌性脂質成分+エンハンサー成分(組成物中に存在する場合)および/または界面活性剤成分(組成物中に存在する場合)の全体としての量を意味する。一般に、これは、臨床症状を生じさせないのに十分に低いレベルであり、望ましくは検出不可能なレベルである。本発明の組成物において、成分の濃度または量は、別々に考慮した場合には、許容可能なレベルにまで殺滅しない、または好ましくない微生物の広域スペクトルとして殺滅しない、または急速に殺滅しないが、かかる成分を共に使用した場合には、向上した(同一条件下で単独で使用される同じ成分と比較して)(好ましくは相乗効果的)抗菌活性が得られる。
「エンハンサー」とは、抗菌性脂質成分を欠いている組成物およびエンハンサー成分を欠いている組成物を単独で使用した場合には、それらが組成物全体と同じレベルの抗菌活性を提供しないような、抗菌性脂質成分の有効性を高める成分を意味する。抗菌性脂質成分の非存在下でのエンハンサー成分は、認め得るほどの抗菌活性を提供しない。増強効果は、殺滅のレベル、殺滅の速度、および/または殺滅される微生物のスペクトルに関して、すべての微生物に対して見られるわけではない。実際には、殺滅レベルの向上は、大腸菌などのグラム陰性菌において最もよく見られる。エンハンサーは、組成物の残りと合わせた場合に、組成物全体で、エンハンサー成分を欠いた組成物および抗菌性脂質成分を欠いた組成物の活性の合計を超える活性を示すような相乗剤である。
「微生物(Microorganism)」または「細菌(microbe)」または「微生物(microorganism)」とは、細菌、酵母、カビ、真菌、原生動物、マイコプラズマ属、ならびにウイルス(脂質エンベロープRNAおよびDNAウイルスなど)を意味する。
「防腐剤」とは、病原性および非病原性微生物を殺滅する化学薬剤を意味する。好ましい防腐剤は、「The Antimicrobial Activity in vitro of chlorhexidine,a mixture of isothiazolinones(Kathon CG) and cetyl trimethyl ammmonium bromide(CTAB)」、G.ニコレッティ(Nicoletti)ら、Journal of Hospital Infection、23、87−111(1993年)に記載の適切な中和剤を使用して、殺菌率のアッセイにおいて濃度0.25重量%で35℃のミューラー・ヒントン・ブロスで試験した場合に、緑膿菌と黄色ブドウ球菌の両方で初期接種材料1〜3×107cfu/mlから、60分で少なくとも4log減少を示す。防腐剤は一般に、細胞代謝および/または細胞エンベロープを妨げない。防腐剤は時に、特に硬質表面を処置するために使用される場合、消毒剤と呼ばれる。
「抗菌性脂質」とは、少なくとも1つの(C6)アルキルまたはアルキレン鎖(好ましくは少なくとも1つの(C7)鎖およびさらに好ましくは少なくとも1つの(C8)鎖)を有する防腐剤、好ましくは、脱イオン水100グラムにつき1.0グラム(1.0g/100g)以下の水溶性を有する防腐剤を意味する。好ましい抗菌性脂質は、0.5g以下/脱イオン水100g、さらに好ましくは、0.25g以下/脱イオン水100g、またさらに好ましくは、0.10g以下/脱イオン水100gの水溶性を有する。ヘンリク・ヴォルム(Henrik Vorum)ら、Biochimica et.Biophysica Acta.、1126、135−142(1992年)における「Conventional Solubility Estimations」の下で「Solubility of Long−Chain Fatty Acids in Phosphate Buffer at pH 7.4」に記載のように、放射標識化合物を使用して溶解性が決定される。好ましい抗菌性脂質は、脱イオン水100グラムにつき少なくとも100マイクログラム(μg)、さらに好ましくは少なくとも500μg/脱イオン水100g、またさらに好ましくは少なくとも1000μg/脱イオン水100gの脱イオン水に対する溶解性を有する。抗菌性脂質は好ましくは、6.2以下、さらに好ましくは5.8以下、またさらに好ましくは5.5以下の親水親油バランス(HLB)を有する。抗菌性脂質は好ましくは、少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、またさらに好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
本明細書で使用される「脂肪」とは、別段の指定がない限り、少なくとも6個(奇数または偶数)の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルキレン部位を意味する。
「含む(comprise)」という言葉およびその変形形態は、限定的な意味を有するものではなく、これらの言葉は、明細書および特許請求の範囲に現れる。
本明細書で使用される、「1つ(a)」、「1種類(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ(at least one)」、および「1つまたは複数(one or more)」は、区別なく使用されている。「および/または」という表現は、記載の要素のうちの1つまたはすべてを意味する。
本明細書において、終点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
本発明の上記の概要は、本発明の開示されるそれぞれの実施形態またはすべての実現を説明することを意図するものではない。以下の説明ではさらに詳しく、実例となる実施形態が例示される。出願全体を通して数箇所において、実施例のリストによってガイダンスが提供されており、その例は様々な組み合わせで使用することができる。各例において、記載のリストは、単に代表的なグループとしての役割を果たし、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
本発明は、抗菌性脂質成分を含有する歯科用組成物を提供する。かかる歯科用組成物を製造および使用する方法も提供する。かかる組成物は、抗菌活性を有し、微生物によって生じる、または悪化する症状の局在的/局所的処置(治療的または予防的)に有用である。さらに具体的には、かかる組成物は、特に口腔環境において1種または複数種の微生物(ウイルス、細菌、酵母、カビ、真菌、マイコプラズマ、および原生動物を含む)に対して有効である、歯科材料および物品を製造するのに有用である。
本発明は、抗菌性脂質成分硬化性成分を含有する歯科用組成物を提供する。かかる歯科用組成物は一般に、抗菌性脂質成分を硬化性成分と合わせることによって製造される。本発明の歯科用組成物の他の任意の成分としては、例えば、エンハンサー、界面活性剤、および充填剤が挙げられる。
本発明の歯科用組成物は、(硬化前および硬化後のいずれにおいても)抗菌活性を有することができ、好ましくは、グラム陽性菌またはグラム陰性菌などの広域スペクトルの細菌に対して活性である。特定の好ましい実施形態は、ミュータンス菌(S.mutans)に対して、良好ないし優れた活性を有する。ミュータンス菌は、歯などの硬質表面に付着し、バイオ皮膜またはプラークを形成する傾向がある。かかるコロニー形成は最終的に、う蝕、石灰化プラーク、歯周病を引き起こす歯肉組織の刺激等の発生を含む、望ましくない臨床上の多くの副作用を引き起こし得る。したがって、接着剤またはコンポジットなどの歯科材料中の抗菌剤を使用する臨床上の特典のいくつかは、口腔内の有害な細菌を殺滅するだけでなく、修復の際にバイオ皮膜および二次齲蝕が形成するのを抑えることである。
実施例のセクションで詳述されるように、有効量の特定の本発明の組成物(硬化前)は、本明細書に記載の殺菌率試験によって評価される、ミュータンス菌(S.mutans)の2logを超える減少、好ましくは3logを超える減少、さらに好ましくは4logを超える減少を提供する。有効量の特定の本発明の組成物(硬化後)は、本明細書に記載の希釈消毒剤試験法(Extended Disinfectant Test Method)によって評価される、ミュータンス菌の3logを超える減少、好ましくは5logを超える減少、さらに好ましくは8logを超える減少を提供する。さらに、特定の実施形態から作製された硬化ディスクによって、本明細書に記載のミュータンス菌付着試験法(S.Mutans Bacteria Adherence Test Method)によって評価される、ディスク表面へのバイオ皮膜/プラーク(ミュータンス菌に起因する)の付着しにくい傾向が示された。
抗菌性脂質成分
抗菌性脂質成分は、抗菌活性の少なくとも一部を提供する組成物の成分である。つまり、抗菌性脂質成分は、少なくとも1種類の微生物に対する少なくともいくらかの抗菌活性を有する。それは一般に、本発明の組成物の主要活性成分とみなされる。
特定の実施形態において、抗菌性脂質は好ましくは、脱イオン水100グラムにつき1.0グラム(1.0g/100g)以下の水溶性を有する。さらに好ましい抗菌性脂質は、0.5g以下/脱イオン水100g、さらに好ましくは、0.25g以下/脱イオン水100g、またさらに好ましくは、0.10g以下/脱イオン水100gの水溶性を有する。好ましい抗菌性脂質は、脱イオン水100gにつき少なくとも100マイクログラム(μg)、さらに好ましくは少なくとも500μg/脱イオン水100g、またさらに好ましくは、少なくとも1000μg/脱イオン水100gの脱イオン水に対する溶解性を有する。
抗菌性脂質は好ましくは、6.2以下、さらに好ましくは5.8以下、またさらに好ましくは5.5以下の親水親油バランス(HLB)を有する。抗菌性脂質好ましくは、少なくとも3、好ましくは少なくとも3.2、またさらに好ましくは少なくとも3.4のHLBを有する。
好ましい抗菌性脂質は、非荷電であり、少なくとも7個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルケニル炭化水素鎖を有する。
特定の実施形態において、抗菌性脂質成分は好ましくは、多価アルコールの1種または複数種の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エーテル、またはそのアルコキシル化誘導体(エステルおよびエーテルのいずれかまたはその両方の)、またはそれらの組み合わせを含む。さらに具体的には、かつ好ましくは、抗菌性成分は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エステル、さらに好ましくは、多価アルコールの(C8〜C12)飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エーテル、さらに好ましくは、多価アルコールの(C8〜C12)飽和脂肪酸エーテル)、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪酸エーテル)、そのアルコキシル化誘導体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。エステルおよびエーテルは、それらがスクロースのエステルおよびエーテルでない限り、モノエステルおよびモノエーテルであることが好ましく、その場合には、モノエステル、ジエステル、モノエーテル、またはモノエーテルであることができる。モノエステル、ジエステル、モノエーテル、およびジエーテルの様々な組み合わせを本発明の組成物において使用することができる。
多価アルコールの脂肪酸エステルは好ましくは、次式:
(R1−C(O)−O)n−R2(式中、R1は、(C7〜C14)飽和脂肪酸(好ましくは、(C7〜C12)飽和脂肪酸、さらに好ましくは(C8〜C12)飽和脂肪酸)、または(C8〜C22)不飽和脂肪酸(好ましくは、多価不飽和などの(C12〜C22)不飽和脂肪酸)の残基であり、R2は、多価アルコール(ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の多種多様な他のアルコールを使用することができるが、一般に、かつ好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、およびスクロース)の残基であり、n=1または2である)のエステルである。R2基は、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基(好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、またはスクロースの残基)を含む。多価アルコールの好ましい脂肪酸エステルは、C7、C8、C9、C10、C11、およびC12飽和脂肪酸から誘導されるエステルである。多価アルコールがグリセリンまたはプロピレングリコールである実施形態では、n=1であるが、それがスクロースである場合には、n=1または2である。
例示的な脂肪酸モノエステルとしては、限定されないが、ラウリン(モノラウリン)酸、カプリル(モノカプリリン)酸、カプリン(モノカプリン)酸のグリセロールモノエステル、およびラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸のプロピレングリコールモノエステル、ならびにスクロースのラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸モノエステルが挙げられる。他の脂肪酸モノエステルとしては、オレイン(18:1)、リノール(18:2)、リノレン(18:3)、アラキドン酸(20:4)不飽和(多価不飽和などの)脂肪酸のグリセリンおよびプロピレングリコールモノエステルが挙げられる。一般に公知のように、18:1は例えば、化合物が炭素原子18個および炭素間二重結合1個を有することを意味する。好ましい不飽和鎖は、シス異性体形で少なくとも1つの不飽和基を有する。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物で使用するのに適している、脂肪酸モノエステルとしては、GMLまたは商品名LAURICIDIN(モノラウリンまたはグリセロールモノラウレートと一般に呼ばれる、ラウリン酸のグリセロールモノエステル)として公知のモノエステルなど、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸の公知のモノエステル、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
スクロースの例示的な脂肪酸ジエステルとしては、限定されないが、スクロースのラウリン、カプリル、カプリン酸ジエステルならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エーテルは好ましくは、次式:(R3−O)n−R4(式中、R3は、(C7〜C14)飽和脂肪族基(好ましくは、(C7〜C12)飽和脂肪族基、さらに好ましくは(C8〜C12)飽和脂肪族基)、または(C8〜C22)不飽和脂肪族基(好ましくは、多価不飽和などの(C12〜C22)不飽和、脂肪族基)であり、R4は、グリセリン、スクロース、プロピレングリコールの残基であり、n=1または2である)の脂肪酸エーテルである。グリセリンおよびプロピレングリコールについては、n=1であり、スクロースについては、n=1または2である。好ましい脂肪酸エーテルは、(C7〜C14)アルキル基(さらに好ましくは、(C7〜C12)アルキル基、またさらに好ましくは(C8〜C12)アルキル基)のモノエーテルである。
例示的な脂肪酸モノエーテルとしては、限定されないが、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリルイルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、およびカプリルイルプロピレングリコールエーテルが挙げられる。他の脂肪酸モノエーテルとしては、オレイル(18:1)、リノレイル(18:2)、リノレニル(18:3)、アラコニル(arachonyl)(20:4)不飽和および多価不飽和脂肪アルコールのグリセリンおよびプロピレングリコールモノエーテルが挙げられる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物で使用するのに適している、脂肪酸モノエーテルとしては、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリルイルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、カプリルイルプロピレングリコールエーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。不飽和鎖は好ましくは、シス異性体形で少なくとも1つの不飽和結合を有する。
前述の脂肪酸エステルおよび脂肪酸エーテルのアルコキシル化誘導体(例えば、残りのアルコール基上でエトキシ化かつ/またはプロポキシル化されたもの)もまた、全アルコキシレートが比較的低く維持されている限り、抗菌活性を有する。好ましいアルコキシル化レベルは、米国特許第5,208,257号明細書(カバラ(Kabara))に開示されている。エステルおよびエーテルがエトキシ化されている場合、エチレンオキシドの総モル数は好ましくは、5未満、さらに好ましくは2未満である。
多価アルコールの脂肪酸エステルまたは脂肪酸エーテルは、従来の技術によってアルコキシル化することができ、好ましくはエトキシ化および/またはプロポキシル化することができる。アルコキシル化化合物は好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびその混合物、および同様なオキシラン化合物からなる群から選択される。
本発明の組成物は、所望の結果を得るのに適切なレベルで1つまたは複数の脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、アルコキシル化脂肪酸エステル、またはアルコキシル化脂肪酸エーテルを含む。かかる組成物は好ましくは、「すぐ使用できる」または「そのまま使用される」組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも0.1重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.25重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.5重量%、またさらに好ましくは少なくとも1重量%のかかる材料の総量を含む。好ましい実施形態において、それらは、「すぐ使用できる」または「そのまま使用される」組成物に対して、20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、またさらに好ましくは10重量%以下、またさらに好ましくは5重量%以下の総量で存在する。特定の組成物は、それが使用前に希釈されることが意図される場合には、濃度が高い。
1つまたは複数の脂肪酸モノエステル、脂肪酸モノエーテル、またはそのアルコキシル化誘導体を含む、本発明の好ましい組成物は、少量のジまたはトリ脂肪酸エステル(つまり、脂肪酸ジまたはトリエステル)、ジまたはトリ脂肪酸エーテル(つまり、脂肪酸ジまたはトリエーテル)またはそのアルコキシル化誘導体も含有し得る。好ましくは、かかる成分は、抗菌性脂質成分の全重量を基準にして、50重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、またさらに好ましくは25重量%以下、またさらに好ましくは15重量%以下、またさらに好ましくは10重量%以下、またさらに好ましくは7重量%以下、またさらに好ましくは6重量%以下、またさらに好ましくは5重量%以下の量で存在する。例えば、グリセリンのモノエステル、モノエーテル、またはアルコキシル化誘導体については、好ましくは、組成物中に存在する抗菌性脂質成分の全重量を基準にして、ジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、またはそのアルコキシル化誘導体が15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、またさらに好ましくは7重量%以下、またさらに好ましくは6重量%以下、またさらに好ましくは5重量%以下で存在する。しかしながら、以下にさらに詳細に説明されるように、エステル交換反応のために、配合物が最初に遊離グリセリンを含有する場合には、より高い濃度のジおよびトリエステルが許容される。
一部の状況では、出発原料の成分としてジまたはトリエステルを避けることが望ましいが、本発明の特定の組成物の製造に比較的純粋なトリエステル(例えば、疎水性成分として)を使用し、かつ有効な抗菌活性を有することが可能である。
本発明の抗菌性脂質成分は好ましくは、他の成分と、または組成物中の成分と反応性ではなく、したがって、完全または部分的に変性されない、または組成物中で消費されない。かかる反応性は、抗菌性脂質成分の抗菌活性および組成物全体の抗菌活性に著しく影響する。
迅速な抗菌活性を達成するために、配合では、組成物に1種または複数種の抗菌性脂質を組み込み、疎水性相への溶解限度に近づける、または好ましくは疎水性相における溶解限度を超えることができる。理論に束縛されることを意図しないが、疎水性成分へと好ましくは分配される抗菌性脂質は、水相中にある、または水相に付随する、または組織中または組織上にある微生物を殺滅するのに容易に利用することができないと思われる。大部分の組成物において、抗菌性脂質は好ましくは、23℃での疎水性成分の溶解限度の、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも120%で組み込まれる。これは好都合なことに、抗菌性脂質を含有しない配合物を製造し、相を分離し(例えば、遠心分離または他の適切な分離技術によって)、沈殿が起こるまで、徐々に高くなるレベルの抗菌性脂質を添加することによって溶解限度を測定することによって決定される。当業者であれば、正確な測定のために、過飽和溶液の生成は、避けなければならないことは理解されよう。
エンハンサー成分
本発明の組成物は好ましくは、特に大腸菌およびシュードモナス属などのグラム陰性菌に対する抗菌活性を高めるためのエンハンサー(好ましくは、相乗剤)を含有する。選択されるエンハンサーは好ましくは、細菌の細胞エンベロープに影響を及ぼす。理論に束縛されないが、エンハンサーは、抗菌性脂質を細胞質により容易に侵入させ、かつ/または細胞エンベロープの破壊を促進することによって機能すると現在考えられている。エンハンサー成分としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、フェノール類化合物(特定の酸化防止剤およびパラベンなど)、モノヒドロキシアルコール、キレート剤、またはグリコールエーテル(つまり、エーテルグリコール)が挙げられる。所望の場合には、エンハンサーの種々の組み合わせを使用することができる。
α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、および他のカルボン酸エンハンサーは好ましくは、そのプロトン化形、遊離酸の形で存在する。酸性エンハンサーすべてが遊離酸の形で存在する必要があるわけではないが、以下に記載の好ましい濃度は、遊離酸の形で存在する量を意味する。配合物を酸性化するため、または抗菌活性を維持するpHでそれを緩衝化するために、更なる、非α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸または他のカルボン酸エンハンサーを添加することができる。さらに、カルボン酸基を含有するキレート剤エンハンサーが好ましくは存在し、その遊離酸の形で少なくとも1つ、さらに好ましくは少なくとも2つのカルボン酸基を有する。以下に示す濃度から、これを事実であると想定する。
所望の結果を得るのに適したレベルで、本発明の組成物中に1種または複数種のエンハンサーが使用される。好ましい実施形態において、エンハンサーは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、0.01重量%を超える総量、さらに好ましくは0.1重量%を超える量、またさらに好ましくは0.2重量%を超える量、またさらに好ましくは0.25重量%を超える量、最も好ましくは0.4重量%を超える量で存在する。好ましい実施形態において、エンハンサーは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、20重量%以下の総量で存在する。かかる濃度は一般に、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、キレート剤、フェノール類、エーテルグリコール、および(C5〜C10)モノヒドロキシアルコールに当てはまる。一般に、以下に詳細に記述されるように、(C1〜C4)モノヒドロキシアルコールに関しては、より高い濃度が必要とされる。
α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、および他のカルボン酸エンハンサー、ならびにカルボン酸基を含有するキレート剤は好ましくは、配合組成物100グラムにつき100ミリモル以下の濃度で存在する。大部分の実施形態において、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、および他のカルボン酸エンハンサー、ならびにカルボン酸基を含有するキレート剤は好ましくは、配合組成物100グラムにつき75ミリモル以下、さらに好ましくは50ミリモル以下、最も好ましくは25ミリモル以下の濃度で存在する。
抗菌性脂質成分の総濃度に対するエンハンサー成分の総濃度は好ましくは、重量基準で、10:1〜1:300、さらに好ましくは5:1〜1:10の範囲内である。
エンハンサーを使用した場合のその他の問題点は、組成物における溶解性および物理的安定性である。本明細書に記載のエンハンサーの多くは、疎水性成分に不溶性である。
代替方法としては、エンハンサーは、組成物が物理的に安定であるという条件で、溶解限度を超えて存在することができる。これは、抗菌性脂質の層形成(例えば、沈降またはクリーム分離)が認め得るほどに起こらないのに十分な粘性の組成物を使用することによって達成される。
α−ヒドロキシ酸
α−ヒドロキシ酸は一般に、次式:
5(CR6OH)nCOOH
(式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、H、(C1〜C8)アルキル基(直鎖状、分岐状、または環状基)、(C6〜C12)アリール基、(C6〜C12)アラルキル基または(C6〜C12)アルカリール基(そのアラルキルまたはアルカリールのアルキル基は、直鎖状、分岐状、または環状である)であり、R5およびR6は、1つまたは複数のカルボン酸基で任意に置換されてもよく;n=1〜3、好ましくは、n=1〜2である)によって表される化合物である。
例示的なα−ヒドロキシ酸としては、限定されないが、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシ酪酸、マンデル酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、α−ヒドロキシオクタン酸およびα−ヒドロキシカプリル酸、ならびにその誘導体(例えば、ヒドロキシル、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン、ならびにそれらの組み合わせで置換された化合物)が挙げられる。好ましいα−ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、およびマンデル酸が挙げられる。これらの酸は、D、L、またはDLの形をとり、遊離酸、ラクトンまたはその部分塩として存在し得る。このようなすべての形は、「酸」という言葉によって包含される。好ましくは、その酸は、遊離酸の形で存在する。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用なα−ヒドロキシ酸は、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、およびその混合物からなる群から選択される。他の適切なα−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号明細書(ユー(Yu))に記載されている。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のα−ヒドロキシ酸を使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.25重量%、さらに好ましくは、少なくとも0.5重量%、またさらに好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは3重量%以下の総量で存在する。それより高い濃度は、刺激性になる。
α−ヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、好ましくは10:1以下、さらに好ましくは5:1以下、またさらに好ましくは1:1以下である。α−ヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、好ましくは少なくとも1:20、さらに好ましくは少なくとも1:12、またさらに好ましくは少なくとも1:5である。好ましくは、αヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、1:12〜1:1の範囲内である。
β−ヒドロキシ酸
β−ヒドロキシ酸は一般に、次式:
7(CR8OH)n(CHR9mCOOHまたは
Figure 2008533009
(式中、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立して、H、(C1〜C8)アルキル基(飽和直鎖状、分岐状、または環状基)、(C6〜C12)アリール基、(C6〜C12)アラルキル基、または(C6〜C12)アルカリール基(そのアラルキルまたはアルカリールのアルキル基は、直鎖状、分岐状、または環状である)であり、R7およびR8は任意に、1つまたは複数のカルボン酸基で任意に置換されてもよく;m=0または1;n=1〜3(好ましくは、n=1〜2)であり;R21は、H、(C1〜C4)アルキルまたはハロゲンである)によって表される化合物である。
例示的なβ−ヒドロキシ酸としては、限定されないが、サリチル酸、β−ヒドロキシ酪酸、トロパ酸、4−アミノサリチル酸、およびトレトカン酸が挙げられる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用なβ−ヒドロキシ酸は、サリチル酸、β−ヒドロキシ酪酸、およびその混合物からなる群から選択される。他の適切なβ−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号明細書(ユー(Yu))に記載されている。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のβ−ヒドロキシ酸を使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは少なくとも0.25重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.5重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは3重量%以下の総量で存在する。それより高い濃度は、刺激性になる。
β−ヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、好ましくは10:1以下、さらに好ましくは5:1以下、またさらに好ましくは1:1以下である。β−ヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、好ましくは少なくとも1:20、さらに好ましくは少なくとも1:15、またさらに好ましくは少なくとも1:10である。好ましくは、β−ヒドロキシ酸エンハンサーと全抗菌性脂質成分との比は、1:15〜1:1の範囲内である。
低濃度の水を含有する、または水を本質的に含有しない系において、エステル交換反応は、エステル化のために起こり得る、脂肪酸モノエステルおよびこれらの活性成分のアルコキシル化誘導体の損失、およびカルボン酸含有エンハンサーの損失の原則的経路である。したがって、特定のα−ヒドロキシ酸(AHA)およびβ−ヒドロキシ酸(BHA)が、AHAまたはBHAのヒドロキシル基の反応によってエステル抗菌性脂質または他のエステルをエステル交換反応しにくいと考えられることから、特に好ましい。例えば、フェノール性ヒドロキシル基は、脂肪族ヒドロキシル基よりもかなり高い酸性であり、したがってかなり反応しにくいことから、サリチル酸が特定の配合物において特に好ましい。無水または低含水量の配合物における特に好ましい他の化合物としては、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、およびグリコール酸が挙げられる。ヒドロキシ酸ではない、ヒドロキシル基を含有しない安息香酸および置換安息香酸もまた、エステル基を形成する傾向が低いことから、好ましい。
他のカルボン酸
α−およびβ−カルボン酸以外のカルボン酸が、エンハンサー成分において使用するのに適している。これらとしては、一般に16個以下の炭素原子、しばしば12個以下の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールカルボン酸が挙げられる。これらの好ましい種類は、以下の式:
10(CR11 2nCOOH
(式中、R10およびR11はそれぞれ独立して、H、(C1〜C4)アルキル基(直鎖状、分岐状、または環状基であり得る)、(C6〜C12)アリール基、アリール基とアルキル基の両方を含有する(C6〜C16)基(直鎖状、分岐状、または環状基であり得る)であり、R10およびR11は任意に、1つまたは複数のカルボン酸基で任意に置換されてもよく;n=0〜3、好ましくは、n=0〜2である)によって表すことができる。好ましくは、そのカルボン酸は、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、または(C6〜C16)アルカリールカルボン酸である。
例示的な酸としては、限定されないが、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンジル酸、ノニル安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、レチノイン等が挙げられる。安息香酸が特に好ましい。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のカルボン酸(α−またはβ−ヒドロキシ酸以外)を使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは少なくとも0.25重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは3重量%以下の総量で存在する。
カルボン酸(α−またはβ−ヒドロキシ酸以外)の総濃度と抗菌性脂質成分の総濃度との比は好ましくは、重量基準で10:1〜1:100、さらに好ましくは2:1〜1:10の範囲内である。
キレート剤
キレート剤(つまり、キレート化剤)は一般に、溶解状態で金属イオンと複数の配位部位を形成することができる有機化合物である。一般に、これらのキレート剤は、ポリアニオン性化合物であり、多価金属イオンと最も良く配位する。例示的なキレート剤としては、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(例えば、EDTA(Na)2、EDTA(Na)4、EDTA(Ca)、EDTA(K)2)、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、ポリリン酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性化ヘキサメタリン酸ナトリウム、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレングリコール−O,O’ビス(2−アミノエチル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸三ナトリウム塩(HETA)、ポリエチレングリコールジアミン四酢酸、1−ヒドロキシエチレン、1,1−ジホスホン酸(HEDP)、およびジエチレントリアミンペンタ−(メチレンホスホン酸)が挙げられる。これらのキレート剤のいずれも、その部分塩または完全塩の形で使用することができる。特定のカルボン酸、特にα−ヒドロキシ酸およびβ−ヒドロキシ酸、例えば、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸は、キレート剤としても機能することができる。
シデロフォアおよび鉄結合性タンパク質などの第一鉄および/または第二鉄イオンを結合するのに非常に特異的な化合物がもまた、キレート剤として含まれる。鉄結合性タンパク質としては、例えば、ラクトフェリン、およびトランスフェリンが挙げられる。シデロフォアとしては、例えば、エンテロケリン、エンテロバクチン、ビブリオバクチン、アングイバクチン、ピオチェリン、ピオベルジン(pyoverdin)、およびアエロバクチンが挙げられる。
特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、コハク酸、およびその混合物からなる群から選択されるキレート剤が挙げられる。好ましくは、EDTAの遊離酸またはモノもしくはジ塩の形が使用される。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のキレート剤を使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも0.05重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.1重量%、またさらに好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは1重量%以下の総量で存在する。
キレート剤(α−またはβ−ヒドロキシ酸以外)の総濃度と抗菌性脂質成分の総濃度との比は好ましくは、重量基準で10:1〜1:100、さらに好ましくは1:1〜1:10の範囲内である。
フェノール類化合物
フェノール類化合物エンハンサー(つまり、フェノールまたはフェノール誘導体)は一般に、以下の一般構造(酸素によって環に結合する少なくとも1つの基を含む):
Figure 2008533009
(式中、mは、0〜3(特に、1〜3)であり、nは、1〜3(特に、1〜2)であり、R12はそれぞれ独立して、鎖中または鎖上でOで(例えば、カルボニル基として)または鎖上でOHで任意に置換された、炭素原子12個まで(特に炭素原子8個まで)のアルキルまたはアルケニルであり、R13がそれぞれ独立して、Hであるか、あるいは鎖中または鎖上でOで(例えば、カルボニル基として)または鎖上でOHで任意に置換された、炭素原子8個まで(特に炭素原子6個まで)のアルキルまたはアルケニルであるが、R13がHである場合には、nは好ましくは、1または2である)を有する化合物である。
フェノールエンハンサーの例としては、限定されないが、ブチル化ヒドロキシアニソール、例えば、3(2)−t−ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフェノール、2,6−ジ−t−4−ヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−4−オクチルフェノール、2,6−ジ−t−4−デシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−4−ブチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシノール、メチルパラベン(4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル)、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。フェノール類化合物の好ましい群は、上記に示される一般構造(式中、R13=Hであり、R12は、炭素原子8個までのアルキルまたはアルケニルであり、nは、1、2、または3であり、特に、少なくとも1つのR12が、ブチル、特にt−ブチルである)を有するフェノール種、特にその非毒性メンバーである。好ましいフェノール類相乗剤のいくつかは、BHA、BHT、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびブチルパラベンならびにこれらの組み合わせである。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のフェノール類化合物を使用することができる。医療グレードのフェノール類化合物の濃度は、大きく異なるが、上述のエステルが上記の範囲内で存在する場合には、組成物の全重量を基準にして0.001重量%程度のわずかな量でも有効である。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも0.10重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.25重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、8重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下、またさらに好ましくは2重量%以下の総量で存在する。
フェノール総濃度と抗菌性脂質成分の総濃度との比は、重量基準で、10:1〜1:300の範囲内、さらに好ましくは1:1〜1:10の範囲内であることが好ましい。
フェノール類の上記の濃度は、その後に希釈するため濃縮配合物が意図されない限り、通常認められる。一方、抗菌作用を得るためのフェノール類および抗菌性脂質成分の最低濃度は、特定の用途に応じて異なる。
モノヒドロキシアルコール
更なるエンハンサーの種類としては、炭素原子1〜10個を有するモノヒドロキシアルコールが挙げられる。これは、低級(つまり、C1〜C4)モノヒドロキシアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール)ならびに長鎖(つまり、C5〜C10)モノヒドロキシアルコール(例えば、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、およびデカノール)を含む。他の有用なアルコールとしては、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、およびメントールが挙げられる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用なアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、およびその混合物からなる群から選択される。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のアルコールを使用することができる。好ましい実施形態において、短鎖(つまり、C1〜C4)アルコールは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも10重量%、またさらに好ましくは少なくとも15重量%、またさらに好ましくは少なくとも20重量%、またさらに好ましくは少なくとも25重量%の総量で存在する。
好ましい実施形態において、(C1〜C4)アルコールは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、90重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、またさらに好ましくは60重量%以下、またさらに好ましくは50重量%以下の総量で存在する。
特定の用途に関しては、低級アルコールは、臭いが強く、刺痛および刺激の可能性があるため、好ましくない場合がある。これは、特に高いレベルで生じる。刺痛または灼熱痛が問題である用途では、(C1〜C4)アルコールの濃度は、好ましくは20重量%未満、さらに好ましくは15重量%未満である。
他の好ましい実施形態において、長鎖(つまり、C5〜C10)アルコールは、すぐ使用できる組成物に対して、少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは少なくとも0.25重量%、またさらに好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1.0%の総量で存在する。好ましい実施形態において、(C5〜C10)アルコールは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは2重量%以下の総量で存在する。
エーテルグリコール
その他のエンハンサーの種類としては、エーテルグリコールが挙げられる。例示的なエーテルグリコールとしては、次式:
R’−O−(CH2CHR’’O)n(CH2CHR’’O)H
(式中、R’は、H、(C1〜C8)アルキル、(C6〜C12)アリール基、(C6〜C12)アラルキル基または(C6〜C12)アルカリール基であり;R’’はそれぞれ独立して、H、メチル、またはエチルであり;n=0〜5、好ましくは1〜3である)のエーテルグリコールが挙げられる。その例としては、2−フェノキシエタノール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、商品名ダワノール(DOWANOL)DB(ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル)、ダワノール(DOWANOL)DPM(ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル)、およびダワノール(DOWANOL)TPnB(トリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル)で市販されている製品ライン、ならびにミシガン州ミッドランドのダウケミカル社(Dow Chemical,Midland,MI)から市販の他の多くの商品が挙げられる。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種のエーテルグリコールを使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.01重量%の総量で存在する。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、20重量%以下の総量で存在する。
界面活性剤
本発明の組成物は任意に、1種または複数種の界面活性剤を含有する。一部の実施形態において、界面活性剤の存在を用いて、組成物を乳化し、かつ表面の湿潤を助け、かつ/または微生物との接触を助けることができる。本明細書で使用される、「界面活性剤」という用語は、水の表面張力および/または水と不混和性液体との間の界面張力を低減することができる両親媒性物質(共有結合している極性領域および非極性領域の両方を保有する分子)を意味する。その用語は、石鹸、洗浄剤、乳化剤、表面活性剤等を包含することを意味する。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性であることができる。これは、多種多様な従来の界面活性剤を含む。所望の場合には、種々の界面活性剤の組み合わせを使用することができる。
特定のエトキシ化界面活性剤は、抗菌性脂質成分の抗菌性有効性を低減するか、または無くす。この正確なメカニズムは分かっておらず、すべてのエトキシ化界面活性剤がこの負の効果を示すわけではない。例えば、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド)界面活性剤は、抗菌性脂質成分と相溶性であることが示されているが、ICI社によって商品名トゥウィーン(TWEEN)で販売されているようなエトキシ化ソルビタン脂肪酸エステルは相溶性ではない。これらは包括的一般化であり、その活性は、配合依存的であることを留意されたい。
特定の抗菌性脂質は両親媒性物質であり、表面活性であり得ることを留意されたい。例えば、本明細書に記載の特定の抗菌性アルキルモノグリセリドは、表面活性である。本発明の特定の実施形態では、抗菌性脂質成分は、「界面活性剤」成分と異なるとみなされる。
好ましい界面活性剤は、少なくとも4、さらに好ましくは少なくとも8のHLB(つまり、親水親油バランス)を有する界面活性剤である。さらに好ましい界面活性剤は、少なくとも12のHLBを有する。最も好ましい界面活性剤は、少なくとも15のHLBを有する。しかしながら、それより低いHLBの界面活性剤も、本明細書に記載の組成物においてやはり有用である。
様々な種類の界面活性剤の例を以下に示す。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用な界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー)、カチオン界面活性剤、およびその混合物からなる群から選択される。特定のさらに好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用な界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、およびその混合物からなる群から選択される。
所望の結果を得るのに適切なレベルで、本発明の組成物において1種または複数種の界面活性剤を使用することができる。好ましい実施形態において、それらは、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、少なくとも0.1重量%、さらに好ましくは少なくとも0.5重量%、またさらに好ましくは少なくとも1.0重量%の総量で存在する。
界面活性剤は、すぐ使用できる組成物の全重量を基準にして、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、またさらに好ましくは3重量%以下、またさらに好ましくは2重量%以下の総量で存在し得る。界面活性剤の総濃度と抗菌性脂質成分の総濃度との比は好ましくは、重量基準で、5:1〜1:100、さらに好ましくは3:1〜1:10、最も好ましくは2:1〜1:3の範囲内である。
カチオン界面活性剤
例示的なカチオン界面活性剤としては、限定されないが、任意にポリオキシアルキレン化された第1級、第2級、または第3級脂肪アミンの塩;第4級アンモニウム塩、例えばテトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム、またはアルキルピリジニウムハロゲン化物(好ましくは、塩化物または臭化物)、ならびに限定されないが、メト硫酸塩およびエト硫酸塩などのアルキル硫酸塩などの他の陰イオンの対イオン;イミダゾリン誘導体;カチオン性(例えば、酸性pHにて)のアミンオキシド;およびその混合物が挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の組成物において有用なカチオン界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、アルキルピリジニウムハロゲン化物、ならびに限定されないが、メト硫酸塩およびエト硫酸塩などのC1〜C4アルキル硫酸塩などの他の陰イオンの対イオン、およびその混合物からなる群から選択される。
アミンオキシド界面活性剤
アミンオキシド界面活性剤は、pHに応じてカチオン性または非イオン性(例えば、低いpHではカチオン性、高いpHでは非イオン性)であることができる。以下の式:
(R143−NaO
(式中、R14は、(C1〜C30)アルキル基(好ましくは、(C1〜C14)アルキル基)または(C6〜C18)アラルキルまたはアルカリール基であり、これらの基のいずれも任意に、アミド、エステル、ヒドロキシル等のN−、O−、またはS含有基によって鎖中または鎖上で置換することができる)のアルキルおよびアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドを含むアミンオキシド界面活性剤。少なくとも1つのR14基が少なくとも8個の炭素を含有するという条件で、R14はそれぞれ同一または異なる。任意に、R14基を連結して、窒素を有する複素環式環を形成し、アルキルモルホリン、アルキルピペラジンのアミンオキシド等の界面活性剤を形成することができる。好ましくは、2つのR14基がメチルであり、1つのR14基が(C12〜C16)アルキルまたはアルキルアミドプロピル基である。アミンオキシド界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、およびセチルアミンオキシドである、商品名アモニクス(AMMONYX)LO、LMDO、およびCOで市販されている界面活性剤が挙げられ、そのすべてが、イリノイ州ノースフィールドのステパン社(Stepan Company of Northfield,IL)から市販されている。
アニオン界面活性剤
例示的なアニオン界面活性剤としては、限定されないが、サルコシン酸塩、グルタミン酸、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸ナトリウムまたはアルキルエーテル硫酸カリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、ラウレス−n−硫酸アンモニウム、ラウレス−n−硫酸塩、イセチオン酸塩、グリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、およびアラルキルホスホン酸塩が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、金属または有機アンモニウム対イオンを有し得る。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用なアニオン界面活性剤は、以下からなる群から選択される。
1.スルホン酸塩および硫酸塩
適切なアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンエーテル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、第2級アルカンスルホン酸塩、第2級アルキル硫酸塩等のスルホン酸塩および硫酸塩が挙げられる。これらの多くは、次式:
14−(OCH2CH2n(OCH(CH3)CH2p−(Ph)a−(OCH2CH2)m−(O)b−SO3 -+
および
14−CH[SO3 -+]−R15
(式中、aおよびb=0または1であり;n、pおよびm=0〜100(好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10)であり;R14は、少なくとも1つのR14またはR15が少なくともC8であることを条件として、上記のように定義され;R15は、N、O、またはS原子またはヒドロキシル、カルボキシル、アミド、またはアミン基によって任意に置換される(C1〜C12)アルキル基(飽和直鎖状、分岐状、または環状基)であり;Ph=フェニルであり;Mは、H、Na、K、Li、アンモニウムなどの陽イオンの対イオン、またはトリエタノールアミンなどのプロトン化第3級アミンまたは第4級アンモニウム基である)によって表すことができる。
上記の式において、エチレンオキシド基(つまり、「n」および「m」基)およびプロピレンオキシド基(つまり、「p」基)は、逆の順序、ならびにランダム、逐次、またはブロック配置で生じ得る。好ましくは、この種類については、R14は、R16−C(O)N(CH3)CH2CH2−(R16は、(C8〜C22)アルキル基(分岐状、直鎖、または環状基)である)などのアルキルアミド基ならびに−OC(O)−CH2−などのエステル基を含む。その例としては、限定されないが、アルキルエーテルスルホン酸塩、例えばイリノイ州ノースフィールドのステパン社(Stepan Company,Northfield,IL)から市販されているポリステップ(POLYSTEP)B12(n=3〜4、M=ナトリウム)およびB22(n=12、M=アンモニウム)などのラウリルエーテル硫酸塩、およびメチルタウリン酸ナトリウム(日本、東京の日光ケミカルズ株式会社(Nikko Chemicals Co.,Tokyo,Japan)から商品名ニッコール(NIKKOL)CMT30で市販されている);ノースカロライナ州シャーロットのクラリアント社(Clariant Corp.,Charlotte,NC)から市販の(C14〜C17)第2級アルカンスルホン酸(α−オレフィンスルホン酸)ナトリウムである、ホスタピュア(Hostapur)SASなどの第2級アルカンスルホン酸塩;ナトリウムメチル−2−スルホ(C12〜16)エステルなどのメチル−2−スルホアルキルエステル、および商品名アルファステップ(ALPHASTEP)PC−48でステパン社(Stepan Company)から市販の二ナトリウム2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸;どちらもステパン社(Stepan Company)から、ナトリウムラウリルスルホ酢酸(商品名ランタノール(LANTHANOL)LAL)およびラウレススルホコハク酸二ナトリウム(ステパンマイルド(STEPANMILD)SL3)として市販されているアルキルルスルホ酢酸塩およびアルキルスルホコハク酸塩;ステパン社(Stepan Company)から商品名ステパノール(STEPANOL)AMで市販されているラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩;サイテックインダストリーズ社(Cytec Industries)からエアロゾル(Aerosol)OTとして市販されているジオクチルナトリウムスルホコハク酸塩などのジアルキルスルホコハク酸塩が挙げられる。ダウ・ケミカル社(Dow chemical)から市販のダウファクス(DOWFAX)ヒドロトロープなどのヒドロトロープまたは他のジフェニルオキシド界面活性剤も使用することができる。
2.リン酸塩およびホスホン酸塩
適切なアニオン界面活性剤としては、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、およびアラルキルエーテルリン酸塩などのリン酸塩も挙げられる。多くは、次式:
[R14−(Ph)a−O(CH2CH2O)n(CH2CH(CH3)O)pq−P(O)[O-+r
(式中、Ph、R14、a、n、p、およびMは、上記で定義されており;q=1である場合に、r=2であり、q=2である場合に、r=1であり、q=3である場合には、r=0であるという条件で、rは、0〜2であり;q=1〜3である)によって表される。上記のように、エチレンオキシド基(つまり、「n」基)およびプロピレンオキシド基(つまり、「p」基)は、逆の順序、ならびにランダム、逐次、またはブロック配置で生じ得る。その例としては、ノースカロライナ州シャーロットのクラリアント社(Clariant Corp.,Charlotte,NC)から商品名ホスタファット(HOSTAPHAT)340KLで市販されているトリラウレス−4−リン酸塩と呼ばれる、モノ、ジおよびトリ(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、ならびにニュージャージー州パーシッパニーのクロダ社(Croda Inc.,Parsipanny,NJ)から商品名クロダフォス(CRODAPHOS)SGで市販されているPPG−5セテス10リン酸が挙げられる。
両性界面活性剤
両性タイプの界面活性剤としては、プロトン化されることができる、第3級アミン基を有する界面活性剤、ならびに第4級アミン含有双性イオン性界面活性剤が挙げられる。かかる界面活性剤としては、以下の界面活性剤が挙げられる。
1.アンモニウムカルボキシレート両性界面活性剤
この種類の界面活性剤は、以下の式:
17−(C(O)−NH)a−R18−N+(R192−R20−COO-
(式中、a=0または1であり;R17は、(C7〜C21)アルキル基(飽和直鎖状、分岐状、または環状基)、(C6〜C22)アリール基、または(C6〜C22)アラルキルもしくはアルカリール基(飽和直鎖状、分岐状、または環状アルキル基)であり、R17は任意に、1つまたは複数のN、O、もしくはS原子、または1つまたは複数のヒドロキシル、カルボキシル、アミド、もしくはアミン基で置換されてもよく;R19は、Hまたは(C1〜C8)アルキル基(飽和直鎖状、分岐状、もしくは環状基)であり、R19は任意に、1つまたは複数のN、O、もしくはS原子、または1つまたは複数のヒドロキシル、カルボキシル、アミン基、または(C6〜C9)アリール基、(C6〜C9)アラルキルもしくはアルカリール基で置換されてもよく;R18およびR20はそれぞれ独立して、同一また異なり、かつ1つまたは複数のN、O、もしくはS原子、または1つまたは複数のヒドロキシルもしくはアミン基で任意に置換されてもよい、(C1〜C10)アルキレン基である)によって表すことができる。
他の実施形態において、上記の式中、R17は、(C1〜C18)アルキル基であり、R19は、好ましくはメチルもしくはベンジル基で、最も好ましくはメチル基で置換される(C1〜C2)アルキル基である。R19がHである場合には、より高いpH値での界面活性剤は、Na、K、Liなどの陽イオンの対イオンを有する第3級アミン、または第4級アミン基として存在することができることを理解されたい。
かかる両性界面活性剤の例としては、限定されないが:ココベタインおよびコカミドプロピルベタイン(イリノイ州ユニバーシティーパークのマッキンタイア・グループ社(McIntyre Group Ltd.,UniversityPark,IL)から商品名マッカム(MACKAM)CB−35およびマッカム(MACKAM)Lで市販されている)などの特定のベタイン;ラウロアンホ酢酸ナトリウムなどのモノアセテート;ラウロアンホ酢酸2ナトリウムなどのジアセテート;ラウルアミノプロピオン酸などのアミノおよびアルキルアミノプロピオネート(マッキンタイア・グループ社(McIntyre Group Ltd.)から商品名マッカム(MACKAM)1L、マッカム(MACKAM)2L、およびマッカム(MACKAM)151Lとしてそれぞれ市販されている)が挙げられる。
2.アンモニウムスルホネート両性界面活性剤
この種類の両性界面活性剤は、「スルタイン」または「スルホベタイン」と呼ばれることが多く、以下の式:
17−(C(O)−NH)a−R18−N+(R192−R20−SO3 -
(式中、R17〜R20および「a」は、上記で定義されている)によって表される。その例としては、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン(マッキンタイア・グループ社(McIntyre Group Ltd.)からマッカム(MACKAM)50−SBとして市販されている)が挙げられる。スルホネート基は、かなり低いpH値でもイオン化状態であることから、カルボキシレート両性界面活性剤よりも、スルホ両性界面活性剤(sulfoamphoteric)が好ましい。
非イオン界面活性剤
例示的な非イオン界面活性剤としては、限定されないが、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、スクロースエステル、脂肪酸と多価アルコールのエステル、脂肪酸アルカノールアミド、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族酸、エトキシ化脂肪アルコール(例えば、商品名トリトン(TRITON)X−100で市販されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノールおよび商品名ノニデット(NONIDET)P−40で市販されているノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、どちらもミズーリ州セントルイスのシグマ社(Sigma,St.Louis、MO)から市販されている)、エトキシ化および/またはプロポキシル化脂肪族アルコール(例えば、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)のICI社から商品名ブリッジ(BRIJ)で市販されている)、エトキシ化グリセリド、エトキシ化/プロポキシル化ブロックコポリマー、例えばBASF社から市販されているプルロニック(PLURONIC)およびテトロニック(TETRONIC)界面活性剤、エトキシ化環状エーテル付加物、エトキシ化アミドおよびイミダゾリン付加物、エトキシ化アミン付加物、エトキシ化メルカプタン付加物、アルキルフェノールとのエトキシ化縮合物、エトキシ化された窒素ベースの疎水性物質、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ポリマーシリコーン、フッ素化界面活性剤(例えば、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN)から商品名フルオラド(FLUORAD)−FS 300で市販されており、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社(Dupont de Nemours Co.,Wilmington,DE)からゾニル(ZONYL)で市販されている界面活性剤)、重合性(反応性)界面活性剤(例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズ社(PPG Industries,Inc.,Pittsburgh,PA)から商品名マゾン(MAZON)で市販されているSAM 211(アルキレンポリアルコキシスルフェート)界面活性剤)が挙げられる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物において有用な非イオン界面活性剤は、BASF社からのプルロニック(PLURONIC)などのポロキサマー、ソルビタン脂肪酸エステル、およびその混合物からなる群から選択される。特に好ましい非イオン界面活性剤は、ニュージャージー州パーシッパニーのBASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp.,Parsippany,NJ)から市販のP65ポロキサマー(EO/POモル比1および分子量約3400を有する、ポリエチレンオキシドでキャップ化されたポリプロピレンオキシド)である。
硬化性成分
本発明の硬化性歯科用組成物は、通常、硬化性(例えば、重合性)成分を含有し、それによって硬化性(例えば、重合性)組成物が形成される。硬化性成分は、エチレン性不飽和化合物(酸官能基を有するか、または有さない)、エポキシ(オキシラン)樹脂、ビニルエーテル、光重合系、酸化還元硬化系、ガラスイオノマーセメント、ポリエーテル、ポリシロキサン等の多種多様な化学成分を含み得る。一部の実施形態において、組成物は、歯科材料を塗布する前に硬化される(従来の光重合および/または化学重合技術によって重合される)。他の実施形態において、組成物は、歯科材料を塗布した後に硬化される(従来の光重合および/または化学重合技術によって重合される)。
特定の実施形態において、組成物は光重合性であり、つまり、組成物は、化学線を照射すると、組成物の重合(または硬化)を開始する光開始剤(つまり、光開始剤系)を含有する。かかる光重合性組成物は、ラジカル重合性またはカチオン重合性であることができる。他の実施形態において、組成物は化学的に硬化性であり、つまり、組成物は、化学線の照射に依存することなく、組成物を重合、硬化、または硬くすることができる化学開始剤(つまり、開始剤系)を含有する。かかる化学硬化性組成物は時に、「自己硬化」組成物と呼ばれ、ガラスイオノマーセメント(例えば、従来の、かつ樹脂変性ガラスイオノマーセメント)、酸化還元硬化系、およびそれらの組み合わせを含み得る。
本発明の歯科用組成物に使用することができる、適切な光重合性成分としては、例えば、エポキシ樹脂(カチオン活性エポキシ基を含有する)、ビニルエーテル樹脂(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)、エチレン性不飽和化合物(ラジカル活性不飽和基、例えば、アクリレートおよびメタクリレートを含有する)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。単一の化合物中にカチオン活性官能基とラジカル活性官能基の両方を含有する重合性材料も適している。その例としては、エポキシ官能性アクリレート、エポキシ官能性メタクリレート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
エチレン性不飽和化合物
本発明の組成物は、酸官能基を含有するか、または含有しないエチレン性不飽和化合物の形で1種または複数種の硬化性成分を含み、そのため、硬化性組成物が形成される。
適切な硬化性組成物は、エチレン性不飽和化合物(ラジカル活性不飽和基を含有する)を含む硬化性成分(例えば、光重合性化合物)を含み得る。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
組成物(例えば、光重合性組成物)は、1つまたは複数のエチレン性不飽和基を有する、モノマー、オリゴマー、およびポリマーを含み得る、ラジカル活性官能基を有する化合物を含み得る。適切な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、かつ付加重合を受けることができる。かかるラジカル重合性化合物としては、モノ−、ジ−またはポリ−(メタ)アクリレート(つまり、アクリレートおよびメタクリレート)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、およびトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;(メタ)アクリルアミド(つまり、アクリルアミドおよびメタクリルアミド)、例えば(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、およびジアセトン(メタ)アクリルアミド;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールのビス−(メタ)アクリレート(好ましくは、分子量200〜500)、米国特許第4,652,274号明細書(ベッチェル(Boettcher)ら)に記載されるようなアクリル化モノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号明細書(ザドル(Zador)ら)のオリゴマーなどのアクリル化オリゴマー、および米国特許第4,648,843号明細書(ミトラ(Mitra))に開示されるようなポリ(エチレン性不飽和)カルバモイルイソシアヌレート;スチレン、フタル酸ジアリル、コハク酸ジビニル、アジピン酸ジビニルおよびフタル酸ジビニルなどのビニル化合物が挙げられる。他の適切なラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号パンフレット(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、国際公開第01/92271号パンフレット(ウェインマン(Weinmann)ら)、国際公開第01/07444号パンフレット(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)、国際公開第00/42092号パンフレット(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に開示されるシロキサン官能性(メタ)アクリレート、例えば米国特許第5,076,844号明細書(フォック(Fock)ら)、米国特許第4,356,296号明細書(グリフィス(Griffith)ら)、欧州特許第0373384号明細書(ワーゲンクネヒト(Wagenknecht)ら)、欧州特許第0201 031号明細書(レイナーズ(Reiners)ら)、および欧州特許第0201 778号明細書(レイナーズ(Reiners)ら)に開示されるフルオロポリマー官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。所望の場合には、2種類以上のラジカル重合性化合物の混合物を使用することができる。
硬化性成分は、単一分子中にヒドロキシル基およびエチレン性不飽和基も含有し得る。かかる材料の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノまたはジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノまたはジ(メタ)アクリレート;ペンタエリトリトールモノ−、ジ−、およびトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、またはペンタ−(メタ)アクリレート;2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−エタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。適切なエチレン性不飽和化合物は、セントルイスのシグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich,St.Louis)などの多種多様な供給元からも入手可能である。所望の場合には、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することができる。
特定の実施形態において、硬化性成分としては、PEGDMA(分子量約400を有するポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許第6,030,606号明細書(ホームズ(Holmes))に記載のビスEMA6、およびNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。所望の場合には、硬化性成分の様々な組み合わせを使用することができる。
好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、エチレン性不飽和化合物を少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%含有する。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、エチレン性不飽和化合物を95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、最も好ましくは80重量%以下含有する。
好ましくは、本発明の組成物は、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を含有する。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%含有する。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物を95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、最も好ましくは80重量%以下含有する。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物
本発明の組成物は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の形で1種または複数種の硬化性成分を含むことができ、それによって、硬化性組成物が形成される。
本明細書で使用される、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和および酸および/または酸前駆物質官能基を有する、モノマー、オリゴマー、およびポリマーを包含することを意味する。酸前駆物質官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、およびピロリン酸塩が挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、α,β−不飽和酸性化合物、例えばグリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)リン酸塩、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ホスフェート、((メタ)アクリロキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリロキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリロキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジまたはトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリル化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリル化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリル化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリル化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリル化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリル化ポリホウ酸等が挙げられ、硬化性成分系における成分として使用される。(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリル化酸(例えば、メタクリル化トリメリト酸)、およびその無水物などの不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、およびポリマーもまた使用することができる。本発明の特定の好ましい組成物は、少なくとも1つのP−OH部位を有する酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。
これらの特定の化合物は、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能基とエチレン性不飽和成分の両方を有する、この種類の他の化合物は、米国特許第4,872,936号明細書(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))および米国特許第5,130,347号明細書(ミトラ(Mitra))に記載されている。エチレン性不飽和および酸部位の両方を含有する、多種多様なかかる化合物を使用することができる。所望の場合には、かかる化合物の混合物を使用することができる。
酸官能基を有する、その他のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、米国特許出願公開第2004/0206932号明細書(アブリアマン(Abuelyaman)ら)に開示されている重合性ビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(例えば、米国特許第5,130,347号明細書(ミトラ(Mitra))の実施例11に記載のように、コポリマーの酸基の一部をペンダントメタクリレート基に変換するのに十分な2−イソシアナトエチルメタクリレートとAA:ITAコポリマーを反応させることによって製造される、ペンダントメタクリレートを有するアクリル酸:イタコン酸のコポリマー);米国特許第4,259,075号明細書(ヤマウチ(Yamauchi)ら)、米国特許第4,499,251号明細書(オムラ(Omura)ら)、米国特許第4,537,940号明細書(オムラ(Omura)ら)、米国特許第4,539,382号明細書(オムラ(Omura)ら)、米国特許第5,530,038号明細書(ヤマモト(Yamamoto)ら)、米国特許第6,458,868号明細書(オカダ(Okada)ら)、および欧州特許出願公開第712,622号明細書(トクヤマ株式会社(Tokuyama Corp.))および欧州特許第1,051,961号明細書(クラレ株式会社(Kuraray Co.,Ltd.))に記載の化合物が挙げられる。
本発明の組成物は、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の組み合わせを含む組成物も含み得る。好ましくは、組成物は、自己接着性であり、非水性である。例えば、かかる組成物は:少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基および少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基(式中、x=1または2である)を含有する第1化合物であって、その少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基と少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基が、C1〜C4炭化水素基によって共に結合する第1化合物;少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基および少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基(式中、x=1または2である)を含有する第2化合物であって、その少なくとも1つの−O−P(O)(OH)x基および少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基が、C5〜C12炭化水素基によって共に結合する第2化合物;酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物;開始剤系;充填剤;を含み得る。かかる組成物は、例えば、2004年8月11日出願の米国仮特許出願第60/600,658号明細書(ルーホターハント(Luchterhandt)ら)に記載されている。
好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を少なくとも1重量%、さらに好ましくは少なくとも3重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%含有する。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準にして、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、最も好ましくは60重量%以下含有する。
エポキシ(オキシラン)またはビニルエーテル化合物
本発明の硬化性組成物は、エポキシ(オキシラン)化合物(カチオン活性エポキシ基を含有する)またはビニルエーテル化合物(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)の形で1種または複数種の硬化性成分を含有することができ、それによって硬化性組成物が形成される。
エポキシまたはビニルエーテルモノマーは、歯科用組成物における硬化成分として単独で、または他のモノマーの種類、例えば本明細書に記載のエチレン性不飽和化合物と組み合わせて使用することができ、その化学構造の一部として、芳香族基、脂肪族基、脂環式基、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
エポキシ(オキシラン)化合物の例としては、開環によって重合可能な、オキシラン環を有する有機化合物が挙げられる。これらの材料としては、モノマーエポキシ化合物およびポリマー型のエポキシドが挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であることができる。これらの化合物は一般に、平均で、重合性エポキシ基少なくとも1個/分子、一部の実施形態では、少なくとも1.5個/分子、他の実施形態では、重合性エポキシ基少なくとも2個/分子を有する。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する直鎖状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であるか、あるいは1分子当たりエポキシ基1個、2個以上を含有する化合物の混合物であることができる。1分子当たりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有材料におけるエポキシの総数を存在するエポキシ含有分子の総数で割ることによって決定される。
これらのエポキシ含有材料は、低分子量モノマー材料から高分子量ポリマーと様々であり、その主鎖および置換基の性質は大幅に異なる。許容される置換基の実例としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、カルボシラン基、ニトロ基、リン酸基等が挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、58から100,000以上と様々である。
本発明における樹脂系反応性成分として有用な、適切なエポキシ含有材料は、米国特許第6,187,836号明細書(オックスマン(Oxman)ら)および米国特許第6,084,004号明細書(ウェインマン(Weinmann)ら)に列挙されている。
樹脂系反応性成分として有用な他の適切なエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−メチル)アジペートに代表される、エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。この性質の有用なエポキシドのさらに詳細なリストについては、米国特許第6,245,828号明細書(ウェインマン(Weinmann)ら)、米国特許第5,037,861号明細書(クリベロ(Crivello)ら);米国特許出願公開第2003/035899号明細書(クレットク(Klettke)ら)を参照されたい。
本発明の組成物において有用である他のエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテルモノマーが挙げられる。その例は、多価フェノールをエピクロロヒドリンなどの過剰なクロロヒドリンと反応させることによって得られる、多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)である。この種類のエポキシドの更なる例は、米国特許第3,018,262号明細書(シュレーダー(Schroeder))ならびにリー(Lee)およびネビル(Neville)、「Handbook of Epoxy Resins」、マグローヒル・ブック社(McGraw−Hill Book Co.)、ニューヨーク(New York)(1967年)に記載されている。
樹脂系反応性成分として有用な、他の適切なエポキシドは、ケイ素を含有するエポキシドであり、その有用な例は、国際公開第01/51540号パンフレット(クレットク(Klettke)ら)に記載されている。
樹脂系反応性成分として有用な、他の適切なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、および米国特許出願第10/719,598号明細書(オックスマン(Oxman)ら;2003年11月21日出願)に示されている他の市販のエポキシドが挙げられる。
種々のエポキシ含有材料のブレンドもまた企図される。かかるブレンドの例は、低分子量(200未満)、中分子量(200〜10,000)、高分子量(10,000を超える)などの、エポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布を含む。その代わりとして、またはさらに、エポキシ樹脂は、脂肪族および芳香族などの異なる化学的性質、または極性および非極性などの官能基を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有し得る。
カチオン活性官能基を有する有用な硬化性成分の他の種類としては、ビニルエーテル、オキセタン、スピロ−オルトカーボネート、スピロ−オルトエステル等が挙げられる。
所望の場合には、カチオン活性官能基とラジカル活性官能基の両方が、単一分子に含有される。かかる分子は、例えば、ジまたはポリエポキシドを1当量以上のエチレン性不飽和カルボン酸と反応させることによって得られる。かかる材料の一例は、UVR−6105(ユニオンカーバイド社(Union Carbide)から入手可能)と1当量のメタクリル酸との反応生成物である。エポキシおよびラジカル活性官能基を有する市販の材料としては、日本のダイセル化学工業株式会社(Daicel Chemical,Japan)から市販されているシクロマー(CYCLOMER)M−100、M−101、またはA−200などのシクロマー(CYCLOMER)シリーズ、およびジョージア州アトランタ(Atlanta,GA)のラッドキュアー・スペシャルティズ社(Radcure Specialties)、UCBケミカルズ社(UCB Chemicals)から市販のエベクリル(EBECRYL)−3605が挙げられる。
カチオン硬化性成分はさらに、ヒドロキシル含有有機材料を含み得る。適切なヒドロキシル含有材料は、少なくとも1、好ましくは少なくとも2のヒドロキシル官能基を有するいずれかの有機材料であることができる。好ましくは、ヒドロキシル含有材料は、2つ以上の第1級または第2級脂肪族ヒドロキシル基(つまり、そのヒドロキシル基は、非芳香族炭素原子に直接結合している)を含有する。ヒドロキシル基は、末端に位置するか、またはポリマーもしくはコポリマーから懸垂している。ヒドロキシル含有有機材料の分子量は、非常に低い(例えば、32)から非常に高い(例えば、100万以上)と様々である。適切なヒドロキシル含有材料は、低分子量(つまり、32〜200)、中分子量(つまり、200〜10,000)または高分子量(つまり、10,000を超える)を有する。本明細書で使用される、分子量はすべて、重量平均分子量である。
ヒドロキシル含有材料は、本質的に非芳香族であり、あるいは芳香族官能基を含有し得る。ヒドロキシル含有材料は任意に、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を分子の主鎖に含有する。ヒドロキシル含有材料は例えば、天然の、または合成製造されたセルロース系材料から選択される。ヒドロキシル−含有材料は、熱または光分解に不安定な基を実質的に含有しない;つまり、その材料は、100℃未満の温度にて、または重合性組成物の所望の光重合条件の間に遭遇し得る化学線の存在下にて、揮発性成分を分解または遊離しない。
本発明において有用な、適切なヒドロキシル含有材料は、米国特許第6,187,836号明細書(オックスマン(Oxman)ら)に列挙されている。
硬化性成分は、単一分子にヒドロキシル基およびカチオン活性官能基も含有し得る。その一例は、ヒドロキシル基とエポキシ基の両方を含有する単一分子である。
ガラスイオノマー
本発明の硬化性組成物は、その主要成分としてエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、ポリアクリル酸、コポリ(アクリル酸、イタコン酸)等)のホモポリマーまたはコポリマーを通常用いた従来のガラスイオノマーセメントなどのガラスイオノマーセメント、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水、および酒石酸などのキレート剤を含有し得る。従来のガラスイオノマー(つまり、ガラスイオノマーセメント)は一般に、使用直前に混合される粉末/液体配合物で供給される。混合物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位とガラスから溶出したカチオンとのイオン反応のために、暗所で自己硬化する。
ガラスイオノマーセメントとしては、樹脂変性ガラスイオノマー(「RMGI」)セメントも挙げられる。従来のガラスイオノマーのように、RMGIセメントには、FASガラスが用いられている。しかしながら、RMGIの有機成分は異なる。ある種類のRMGIでは、例えば米国特許第5,130,347号明細書(ミトラ(Mitra))に記載のように、ポリカルボン酸を変性して、酸性反復単位の一部をペンダント硬化性基で置換または末端キャップし、光開始剤を添加して、第2の硬化メカニズムを提供する。アクリレートまたはメタクリレート基が通常、ペンダント硬化性基として用いられる。他の種類のRMGIでは、セメントは、例えば、マティス(Mathis)ら,「Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative」、Abstract番号51、J.Dent Res.、66:113(1987)および米国特許第5,063,257号明細書(アカハネ(Akahane)ら)、米国特許第5,520,725号明細書(カトウ(Kato)ら)、米国特許第5,859,089号明細書(チエン(Qian))、米国特許第5,925,715号明細書(ミトラ(Mitra))および米国特許第5,962,550号明細書(アカハネ(Akahane)ら)に記載のように、ポリカルボン酸、アクリレートまたはメタクリレート官能性モノマー、光開始剤を含有する。他の種類のRMGIでは、セメントは、米国特許第5,154,762号明細書(ミトラ(Mitra)ら)、米国特許第5,520,725号明細書(カトウ(Kato)ら)、米国特許第5,871,360号明細書(カトウ(Kato))に記載のように、ポリカルボン酸、アクリレートまたはメタクリレート官能性モノマー、酸化還元系または他の化学硬化系を含有する。他の種類のRMGIでは、セメントは、米国特許第4,872,936号明細書(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))、米国特許第5,227,413号明細書(ミトラ(Mitra))、米国特許第5,367,002号明細書(ホアン(Huang)ら)、米国特許第5,965,632号明細書(オーロウスキー(Orlowski))に記載のように、種々のモノマー含有または樹脂含有成分を含む。RMGIセメントは好ましくは、粉末/液体またはペースト/ペースト系として配合され、混合および塗布される際に水を含有する。この組成物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位とガラスから溶出したカチオンとのイオン反応のために暗所で硬化することができ、市販のRMGI製品は一般に、歯科用硬化ランプの光をセメントに照射すると硬化する。酸化還元硬化系を含有し、かつ化学線を使用することなく暗所で硬化することができる、RMGIセメントは、米国特許第6,765,038号明細書(ミトラ(Mitra))に記載されている。
ポリエーテルまたはポリシロキサン(つまり、シリコーン)
歯科印象材は一般に、ポリエーテルまたはポリシロキサン(つまり、シリコーン)成分をベースとする。ポリエーテル材料は一般に、ベース成分(例えば、末端基としてエチレンイミン環を有するポリエーテル)と触媒(または促進剤)成分(例えば、架橋剤としてアリールスルホネート)を含有する二液系からなる。ポリシロキサン材料も一般に、ベース成分(例えば、低分子量からやや低分子量のジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサン)と、触媒(または促進剤)成分(例えば、ビニル末端基を有する、低分子量からやや低分子量のポリマー)と、付加シリコーンの場合にはクロロ白金酸触媒と、を含有する二液系からなり;またはオクタン酸第一スズ懸濁液と、縮合シリコーンの場合にはアルキルシリケートと、からなる液体;からなる。どちらの系も一般に、充填剤、可塑剤、増粘剤、着色剤、またはその混合物を含有する。例示的なポリエーテル印象材としては、例えば、米国特許第6,127,449号明細書(ビッシンガー(Bissinger)ら);米国特許第6,395,801号明細書(ビッシンガー(Bissinger)ら);米国特許第5,569,691号明細書(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に記載の印象材が挙げられる。例示的なポリシロキサン印象材および関連するポリシロキサン成分は、例えば、米国特許第6,121,362号明細書(ワネック(Wanek)ら)、米国特許第6,566,413号明細書(ウェインマン(Weinmann)ら)、欧州特許出願第1 475 069 A号明細書(ビッシンガー(Bissinger)ら)に記載されている。
市販のポリエーテルおよびポリシロキサン印象材の例としては、限定されないが、インプレガム(IMPREGUM)ポリエーテル材料、パーマダイン(PERMADYNE)ポリエーテル材料、エクスプレス(EXPRESS)ビニルポリシロキサン材料、ディメンジョン(DIMENSION)ビニルポリシロキサン材料、およびインプリント(IMPRINT)ビニルポリシロキサン材料が挙げられ;すべて、3Mエスペ社(3M ESPE)(ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN))から市販されている。他の例示的なポリエーテル、ポリシロキサン(シリコーン)、およびポリスルフィド印象材は、以下の参考文献:「Restorative Dental Materials」、第10版、ロバートG.クレイグ(Robert G.Craig)およびマーカスL.ワード(Marcus L.Ward)編、ミズーリ州セントルイスのモスビー−イヤー・ブック社(Mosby−Year Book,Inc.,St.Louis,MO)、第11章(Impression Materials)に記述されている。
光開始剤系
特定の実施形態において、本発明の組成物は光重合性であり、つまり組成物は、光重合性成分と、化学線を照射すると組成物の重合(または硬化)を開始する光開始剤(つまり、光開始剤系)と、を含有する。かかる光重合性組成物は、ラジカル重合性またはカチオン重合性である。
ラジカル光重合性組成物を重合するのに適切な光開始剤(つまり、1種または複数種の化合物を含有する光開始剤系)は、二成分および三成分系を含む。代表的な三成分光開始剤は、米国特許第5,545,676号明細書(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載のように、ヨードニウム塩、光増感剤、電子供与体化合物を含有する。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、およびトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。好ましい光増感剤は、範囲400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)内の一部の光を吸収する、モノケトンおよびジケトンである。さらに好ましい化合物は、範囲400nm〜520nm(さらに好ましくは、450〜500nm)内の一部の光吸収を有するαジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオンおよび他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、および環状αジケトンである。カンファーキノンが最も好ましい。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン重合性樹脂の光重合に有用な、他の適切な三成分光開始剤系は、例えば、米国特許第6,765,036号明細書(デデ(Dede)ら)に記載されている。
ラジカル光重合性組成物の重合に適している他の光開始剤としては、機能(functional)波長380nm〜1200nmを一般に有する種類のホスフィンオキシドが挙げられる。機能波長範囲380nm〜450nmを有する好ましいホスフィンオキシドラジカル開始剤は、米国特許第4,298,738号明細書(レヒトケン(Lechtken))ら)、米国特許第4,324,744号明細書(レヒトケン(Lechtken)ら)、米国特許第4,385,109号明細書(レヒトケン(Lechtken)ら)、米国特許第4,710,523号明細書(レヒトケン(Lechtken)ら)、米国特許第4,737,593号明細書(エルリッチ(Ellrich)ら)、米国特許第6,251,963号明細書(ケーラー(Kohler)ら);および欧州特許出願公開第0 173 567 A2号明細書(イン(Ying))に記載されるようなアシルおよびビスアシルホスフィンオキシドである。
380nm〜450nmを超える波長範囲で照射した場合に、ラジカル開始することができる、市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI403,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの25:75(重量)混合物(イルガキュア(IRGACURE)1700,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの1:1(重量)混合物(ダロキュア(DAROCUR)4265,チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))、およびエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(ルシリン(LUCIRIN)LR8893X,ノースカロライナ州シャーロットのBASF社(BASF Corp.,Charlotte,NC))が挙げられる。
一般に、ホスフィンオキシド開始剤は、組成物の全重量を基準にして、0.1重量%〜5.0重量%などの触媒有効量で光重合性組成物中に存在する。
第3級アミン還元剤は、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用することができる。本発明で有用な、実例となる第3級アミンとしては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートおよびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、組成物の全重量を基準にして、0.1重量%〜5.0重量%の量で光重合性組成物中に存在する。他の開始剤の有用な量は、当業者にはよく知られている。
カチオン光重合性組成物を重合するのに適切な光開始剤としては、二成分系および三成分系が挙げられる。代表的な三成分光開始剤は、欧州特許 0 897 710号明細書(ウェインマン(Weinmann)ら);米国特許第5,856,373号明細書(カイサキ(Kaisaki)ら)、米国特許第6,084,004号明細書(ウェインマン(Weinmann)ら)、米国特許第6,187,833号明細書(オックスマン(Oxman)ら)、米国特許第6,187,836号明細書(オックスマン(Oxman)ら);米国特許第6,765,036号明細書(デデ(Dede)ら)に記載のように、ヨードニウム塩、光増感剤、電子供与体化合物を含有する。本発明の組成物は、電子供与体として1種または複数種のアントラセンベースの化合物を含み得る。一部の実施形態では、組成物は、多置換アントラセン化合物または非置換アントラセンを有する置換アントラセン化合物の組み合わせを含む。光開始剤系の一部としてのこれらの混合アントラセン電子供与体の組み合わせは、同じマトリックス中の相当する単一供与体光開始剤系と比較するとかなり向上した硬化深さおよび硬化速度および温度不感受性を提供する。アントラセンベースの電子供与体を有するかかる組成物は、米国特許出願第10/719,598号明細書(オックスマン(Oxman)ら;2003年11月21日出願)に記載されている。
適切なヨードニウム塩としては、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート、およびジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、およびジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートが挙げられる。適切な光増感剤は、範囲450nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)内で一部の光を吸収するモノケトンおよびジケトンである。さらに適している化合物は、範囲450nm〜520nm(さらに好ましくは、450nm〜500nm)内で一部の光吸収を有するαジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノンおよび他の環状αジケトンである。カンファーキノンが最も好ましい。適切な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えばエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよび2−ブトキシエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;および重縮合芳香族化合物(例えば、アントラセン)が挙げられる。
開始剤系は、所望の硬化(重合および/または架橋)率を得るのに十分な量で存在する。光開始剤については、この量は、光源、放射エネルギーにさらされる層の厚さ、光開始剤の吸光係数に一部依存する。好ましくは、開始剤系は、組成物の重量に対して、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは、少なくとも0.03重量%、最も好ましくは、少なくとも0.05重量%の総量で存在する。好ましくは、開始剤系は、組成物の重量に対して、10重量%以下、さらに好ましくは、5重量%以下、最も好ましくは、2.5重量%以下の総量で存在する。
酸化還元開始剤系
特定の実施形態において、本発明の組成物は、化学硬化性であり、つまり組成物は、化学硬化性成分と、化学線の照射に依存することなく、組成物を重合、硬化する、または固めることができる化学開始剤(つまり、開始剤系)と、を含有する。かかる化学硬化性組成物は時に、「自己硬化」組成物と呼ばれ、ガラスイオノマーセメント、樹脂変性ガラスイオノマーセメント、酸化還元硬化系、およびそれらの組み合わせを含む。
化学硬化性組成物は、硬化性成分(例えば、エチレン性不飽和重合性成分)を含有する酸化還元硬化系と、酸化剤および還元剤を含有する酸化還元剤と、を含み得る。適切な硬化性成分、酸化還元剤、任意の酸官能性成分、および本発明において有用な任意の充填剤は、米国特許出願公開第2003/0166740号明細書(ミトラ(Mitra)ら)および米国特許出願公開第2003/0195273号明細書(ミトラ(Mitra)ら)に記載されている。
還元剤および酸化剤は、互いに反応するか、または互いに協働し、樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始することができるラジカルを生成する。この種の硬化は暗反応であり、つまり、光の存在には依存せず、光の非存在下で進行する。還元剤および酸化剤は、通常の歯科条件下でそれを保存し、使用することができるように十分に貯蔵安定性であり、かつ望ましくない変色がないことが好ましい。それらは、硬化性組成物の他の成分に容易に溶解する(かつ、他の成分からの分離を防止する)ことができるように、樹脂系と十分に混和性であるほうがよい。
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、および米国特許第5,501,727号明細書(ワン(Wang)ら)に記載の金属錯化アスコルビン酸化合物;アミン、特に4−t−ブチルジメチルアニリンなどの第3級アミン;p−トルエンスルフィン酸塩およびベンゼンスルフィン酸塩などの芳香族スルフィン酸塩;1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素などのチオ尿素;およびその混合物が挙げられる。他の第2の還元剤としては、塩化コバルト(II)、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に応じて)、亜二チオン酸または亜硫酸アニオンの塩、およびその混合物が挙げられる。好ましくは、還元剤はアミンである。
適切な酸化剤もまた、当業者には公知であり、限定されないが、過硫酸およびその塩、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、およびアルキルアンモニウム塩が挙げられる。その他の酸化剤としては、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、アミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、ならびに塩化コバルト(III)および塩化鉄(III)、硫酸セリウム(IV)などの遷移金属の塩、過ホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、過リン酸およびその塩、およびその混合物が挙げられる。
複数の酸化剤または複数の還元剤を使用することとが望ましい場合がある。酸化還元硬化の速度を速めるために、少量の遷移金属化合物もまた添加される。一部の実施形態において、米国特許出願公開第2003/0195273号明細書(ミトラ(Mitra)ら)に記載のように重合性組成物の安定性を高めるために、第2のイオン塩を含有させることが好ましい。
還元剤および酸化剤は、ラジカル反応速度を適切にするのに十分な量で存在する。これは、任意の充填剤を除いて硬化性組成物の成分すべてを合わせ、硬化素材(hardened mass)が得られたかどうかを観察することによって評価することができる。
好ましくは、還元剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を含む)に対して、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも0.1重量%の量で存在する。好ましくは、還元剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を含む)に対して、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の量で存在する。
好ましくは、酸化剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を含む)に対して、少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも0.10重量%の量で存在する。好ましくは、酸化剤は、硬化性組成物の成分の全重量(水を含む)に対して、10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の量で存在する。
還元剤および酸化剤は、米国特許第5,154,762号明細書(ミトラ(Mitra)ら)に記載のようにマイクロカプセル化することができる。これによって一般に、硬化性組成物の貯蔵性が高められ、必要であれば、還元剤と酸化剤を共に包装することが可能となる。例えば、封入剤を適切に選択することによって、酸化剤および還元剤を酸官能性成分および任意の充填剤と合わせ、貯蔵安定状態に維持することができる。同様に、水不溶性の封入剤を適切に選択することによって、酸化剤および還元剤をFASガラスおよび水と合わせ、貯蔵安定状態に維持することができる。
酸化還元硬化系は、他の硬化系、例えば米国特許第5,154,762号明細書(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているような硬化性組成物と合わせることができる。
充填剤
本発明の組成物は、充填剤を含有することもできる。充填剤は、歯科修復組成物において現在使用されている充填剤など、歯科用途に使用される組成物中に組み込むのに適した多種多様な材料のうち1種または複数種から選択される。
充填剤は好ましくは、微粉末である。充填剤は、単峰性または多峰性(例えば、二峰性)粒径分布を有する。好ましくは、充填剤の最大粒径(粒子の最大寸法、一般に直径)は、20マイクロメートル未満、さらに好ましくは10マイクロメートル未満、最も好ましくは5マイクロメートル未満である。好ましくは、充填剤の平均粒径は、0.1マイクロメートル未満、さらに好ましくは0.075マイクロメートル未満である。
充填剤は無機材料であることができる。充填剤は、樹脂系(つまり、硬化性成分)に不溶性であり、任意に無機充填剤で充填された架橋有機材料であることもできる。充填剤はいずれにしても、非毒性であり、口腔内での使用に適している。充填剤は、放射線不透過性または放射線透過性であることができる。充填剤は一般に、水に実質的に不溶性である。
適切な無機充填剤の例は、天然または合成材料であり、限定されないが:石英(つまり、シリカ、SiO2);窒化物(例えば、窒化ケイ素);ガラスおよび例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、Alから誘導される充填剤;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;ジルコニア;チタニア;米国特許第4,695,251号明細書(ランドクレブ(Randklev))に記載の充填剤などの低モース硬度充填剤;サブミクロンのシリカ粒子(例えば、オハイオ州アクロンのデグッサ社(Degussa Corp.,Akron,OH)から「OX50」、「130」、「150」および「200」シリカを含む商品名AEROSILで市販されているシリカおよびイリノイ州タスコラのキャボット社(Cabot Corp.,Tuscola,IL)から市販のCAB−O−SILM5シリカなどの熱分解法シリカ)が挙げられる。適切な有機充填剤粒子の例としては、充填または非充填微粉砕ポリカーボネート、ポリエポキシド等が挙げられる。
好ましい非酸反応性充填剤粒子は、石英(つまり、シリカ)、サブミクロンシリカ、ジルコニア、サブミクロンジルコニア、および米国特許第4,503,169号明細書(ランドクレブ(Randklev))に記載の種類の非ガラス質微粒子である。これらの非酸反応性充填剤の混合物、ならびに有機材料および無機材料から製造された充填剤の組み合わせもまた企図される。
充填剤は、酸反応性充填剤であることもできる。適切な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、および金属塩が挙げられる。代表的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛が挙げられる。代表的なガラスとしては、ホウ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、およびフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスは一般に、ガラスが硬化性組成物の成分と混合されたときに、硬化歯科用組成物が形成するように十分な、溶出可能なカチオンを含有する。ガラスは一般に、硬化組成物が抗う蝕性を有するように十分な、溶出可能なフッ化物イオンも含有する。ガラスは、FASガラス製造分野の当業者には公知の技術を用いて、フッ化物、アルミナ、および他のガラス形成成分を含有する溶融物から製造される。FASガラスは一般に、他のセメント成分と便利に混合することができ、得られた混合物を口腔内で使用する場合には十分に機能するように、十分に微細な粒子の形状をとる。
例えば、沈降分析器を使用して測定される、FASガラスの平均粒径(一般に、直径)は一般に、12マイクロメートル以下、一般に10マイクロメートル以下、さらに一般的には5マイクロメートル以下である。適切なFASガラスは、当業者には公知であり、多種多様な供給元から入手可能であり、多くは、商品名ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド(VITREBOND)、レリー・X装着セメント(RELY X LUTING CEMENT)、レリー・X装着プラス・セメント(RELY X LUTING PLUS CEMENT)、フォタック−フィル・クイック(PHOTAC−FIL QUICK)、ケタック−モラー(KETAC−MOLAR)、およびケタック−フィル・プラス(KETAC−FIL PLUS)(ミネソタ州セントポールの3Mエスペデンタルプロダクツ社(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN))、フジ(FUJI)II LCおよびフジ(FUJI)IX(日本、東京のG−Cデンタルインダストリアル社(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan))およびケミフィル・スペリア(CHEMFIL Superior)(ペンシルバニア州ヨークのデンツプライ・インターナショナル社(Dentsply International,York,PA))などの現在市販されているガラスイオノマーセメントにおいて見つけられる。所望の場合には、充填剤の混合物を使用することができる。
充填剤粒子の表面は、充填剤と樹脂の結合を高めるために、カップリング剤で処理することもできる。適切なカップリング剤の使用は、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を含む。シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO2−SiO2)充填剤、シラン処理シリカ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤、およびそれらの組み合わせが、特定の実施形態において特に好ましい。
他の適切な充填剤は、米国特許第6,387,981号明細書(チャン(Zhang)ら)および米国特許第6,572,693号明細書(ウー(Wu)ら)、ならびに国際公開第01/30305号パンフレット(チャン(Zhang)ら)、国際公開第01/30306号パンフレット(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、国際公開第01/30307号パンフレット(チャン(Zhang)ら)、国際公開第03/063804号パンフレット(ウー(Wu)ら)に開示されている。これらの参考文献に記載されている充填剤成分としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤もまた、米国特許出願第10/847,781号明細書(カンガス(Kangas)ら);同10/847,782号明細書(コルブ(Kolb)ら);同10/847,803号明細書(クレイグ(Craig)ら);同10/847,805号明細書(バッド(Budd)ら)に記載されており、その4つの文献すべてが、2004年5月17日に出願されている。これらの出願には要するに、以下のナノ充填剤含有組成物が記述されている。
米国特許出願第10/847,781号明細書(カンガス(Kangas)ら)には、以前のイオノマー組成物と比較して向上した特性を有する組成物を提供する、ナノ充填剤を含有する、安定なイオノマー組成物(例えば、ガラスイオノマー)が記述されている。一実施形態において、組成物は、ポリ酸(例えば、複数の酸性反復基を有するポリマー);酸反応性充填剤;少なくとも10重量%のナノ充填剤またはナノ充填剤の組み合わせ(それぞれが平均粒径200ナノメートル以下を有する);水;任意の重合性成分(例えば、酸官能基を任意に有するエチレン性不飽和化合物);を含む硬化性歯科用組成物である。
米国特許出願第10/847,782号明細書(コルブ(Kolb)ら)には、光学的に半透明であり、放射線不透過性であるイオノマー系など、向上した特性を有する組成物を提供する、ナノジルコニア充填剤を含有する、安定なイオノマー(例えば、ガラスイオノマー)組成物が記述されている。イオノマー組成物へのナノジルコニアの組み込みを助けるために、ナノジルコニアはシランで表面改質され、イオノマー組成物は、そうでなければ、ナノジルコニアと相互作用し、凝固または凝集が起こり、その結果望ましくない視覚不透明度が生じ得る、ポリ酸を一般に含有する。一態様において、組成物は、ポリ酸;酸反応性充填剤;ジルコニア粒子の外面上に結合した複数のシラン含有分子を有するナノジルコニア充填剤;水;任意の重合性成分(例えば、酸官能基を任意に有するエチレン性不飽和化合物);を含む硬化性歯科用組成物であることができる。
米国特許出願第10/847,803号明細書(クレイグ(Craig)ら)には、向上した光学的半透明性を有する組成物を提供する、ナノ充填剤を含有する安定なイオノマー組成物(例えば、ガラスイオノマー)が記述されている。一実施形態において、組成物は、ポリ酸(例えば、複数の酸性反復基を有するポリマー);酸反応性充填剤;ナノ充填剤;任意の重合性成分(例えば、酸官能基を任意に有するエチレン性不飽和化合物);および水;を含む硬化性歯科用組成物である。ポリ酸、ナノ充填剤、水および任意の重合性成分を合わせた混合物の屈折率(硬化状態または未硬化状態で測定された)は一般に、酸反応性充填剤の屈折率の4%以内、一般にその3%以内、さらに一般的にはその1%以内、またさらに一般的にはその0.5%以内である。
米国特許出願第10/847,805号明細書(バッド(Budd)ら)には、酸反応性ナノ充填剤(つまり、ナノ構造充填剤)および硬化性樹脂(例えば、重合性エチレン性不飽和化合物)を含有する歯科用組成物が記述されている。酸反応性ナノ充填剤としては、酸反応性であり、非溶融であり、かつ三価金属(例えば、アルミナ)、酸素、フッ素、アルカリ土類金属、任意にケイ素および/または重金属を含有する、オキシフッ化物材料が挙げられる。
充填剤を含む本発明の一部の実施形態(例えば、歯科用接着剤組成物)では、組成物は、組成物の全重量を基準にして、充填剤を好ましくは少なくとも1重量%、さらに好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%含有する。かかる実施形態について、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、充填剤を好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下含有する。
他の実施形態では(例えば、組成物が、歯科修復材または歯科矯正用接着剤である場合)、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、充填剤を好ましくは少なくとも40重量%、さらに好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%含有する。かかる実施形態について、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下、またさらに好ましくは70重量%以下、最も好ましくは50重量%以下の充填剤を含有する。
任意の添加剤
本発明の組成物は任意に、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))、および水を含有する。
所望の場合には、本発明の組成物は、指示薬、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤、および当業者には明らかな同様な他の成分など、特定の添加剤を含有することができる。粘度調整剤としては、熱応答性粘度調整剤(ニュージャージー州パーシッパニーのBASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corp.,Parsippany,NJ)から市販のプルロニック(PLURONIC)F−127およびF−108など)が挙げられ、改質剤上の重合性部位または改質剤と異なる重合性成分を任意に含有する。かかる熱応答性粘度調整剤は、米国特許第6,669,927号明細書(トロム(Trom)ら)および米国特許出願公開第2004/0151691号明細書(オックスマン(Oxman)ら)に記載されている。
さらに、薬物または他の治療物質を任意に、歯科用組成物に添加することができる。その例としては、限定されないが、フッ化物源、ホワイトニング剤、抗う蝕剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、再石灰化剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、口臭消し、麻酔薬、凝固剤、酸中和剤、化学療法薬、免疫応答改質剤、チキソトロープ剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質成分に加えて)、抗真菌剤、歯科用組成物で使用されることが多い種類の、口腔乾燥症、知覚過敏鈍麻剤等を治療する薬剤が挙げられる。上記の添加剤のいずれの組み合わせも使用することができる。いずれか1つのかかる添加剤の選択および量は、当業者によって選択され、過度に実験することなく所望の結果を達成することができる。
組成物の製造および使用
本発明の硬化性歯科用組成物は、従来の混合技術を用いて、有効量の抗菌性脂質成分を硬化性成分と合わせることによって製造することができる。得られる組成物は任意に、エンハンサー、界面活性剤、充填剤、水、共溶媒、および本明細書に記載の他の添加剤を含有する。使用において、組成物は光開始剤を含有することができ、光開始によって硬化されるか、または化学重合によって硬化され、酸化還元硬化系を含有することができ、組成物は、酸化剤および還元剤を含有する。代替方法としては、硬化性組成物は、組成物が光重合性および化学重合性の両方の組成物であることができるように、異なる開始剤系を含有することができる。
本発明の硬化性組成物は、一液系および多液系を含む様々な形で、例えば、二液型の粉末/液体、ペースト/液体、およびペースト/ペースト系で供給することができる。それぞれが、粉末、液体、ゲル、またはペースト状である、多液の組み合わせを用いた他の形態(つまり、2成分以上の組み合わせ)もまた可能である。酸化還元多液系において、一方の成分(part)は一般に、酸化剤を含有し、もう一方の成分は一般に、還元剤を含有する。抗菌性脂質成分を含有する多液系では、一方の成分(part)は一般に、抗菌性脂質成分を含有し、もう一方の成分は、硬化性成分または最終組成物の他の成分を含有する。硬化性組成物の成分は、キットに含まれ、組成物の内容物は、それらが必要となるまで成分の保管ができるように包装される。
歯科用組成物として使用される場合、硬化性組成物の成分は、従来の技術を用いて混合し、臨床的に適用することができる。硬化のための光は一般に、光重合性組成物の開始に必要とされる。組成物は、象牙質および/またはエナメルに非常によく付着するコンポジットまたは修復材の形をとることができる。任意に、硬化性組成物がその上に使用される歯の組織上に、プライマー層を使用することができる。例えば、FASガラスまたは他のフッ化物放出材料を含有させることによって、非常に優れた長期間のフッ化物放出も得ることができる。本発明の一部の実施形態は、光または他の外部硬化エネルギーを使用することなくバルク状で硬化することができ、予備処理が必要なく、向上した物理的性質を有する、ガラスイオノマーセメントまたは接着剤を提供する。
本発明の組成物は、充填または未充填の多種多様な歯科材料の形で使用するために特によく適応されている。それらは、軽く充填された(組成物の全重量を基準にして40重量%までの充填剤)複合材料である、シーラント、コーティング、または歯科用接着剤、または歯に隣接して分配された後に硬化される未充填組成物において使用される(つまり、歯と一時的または永久的に接着または接触して歯科材料が配置される)。それらは、一般に充填された組成物である(好ましくは、40重量%を超える充填剤、90重量%までの充填剤を含有する)、歯科用および歯科矯正用セメント、歯科矯正用接着剤、コンポジット、充填材料、印象材、および修復材において使用することができる。
組成物は、歯に隣接して配分される前に、最終的に使用するために、成形かつ重合された義歯(例えば、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレー等)において使用することもできる。予め形成されたかかる物品は、歯科医または他の使用者によって、ぴったり合う形に研磨または形成される。硬化歯科材料は、硬化性成分から製造される多種多様な材料のいずれかであることができ、好ましくは、硬化歯科材料は、表面予備処理材料(例えば、エッチング液またはプライマー)ではない。むしろ、硬化歯科材料は、修復材(例えば、充填材または義歯)、ミルブランク、または歯科矯正用装置であることが好ましい。
この組成物は、従来の光硬化性セメントの硬化を達成するのが難しい臨床用途において有用性を有する。かかる用途としては、限定されないが、深部修復、大きなクラウンの作製、歯内治療学的修復、歯科矯正用ブラケット(例えば、ペースト成分がブラケットに予め塗布され、液体成分が後に歯にブラシで塗られる、プレコートブラケットを含む)、バンド、バッカルチューブ、および他の装置の取り付け、歯への金属クラウンまたは他の光不透過性補綴装置の装着、および口腔の到達し難い領域における他の修復用途が挙げられる。
好ましい組成物は、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コンポジット、修復材、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材料、またはそれらの組み合わせとして使用される。
本発明の目的および利点は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらの実施例に記載の特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に限定するものと解釈すべきではない。別段の指定がない限り、すべての部およびパーセンテージは、重量を基準とし、すべての水は脱イオン水であり、すべての分子量が重量平均分子量である。
試験方法
せん断接着強さ試験法
所定の試験試料について、エナメルまたは象牙質に対する接着剤のせん断接着強さを以下の手順によって評価した。
歯の作製
軟部組織を含まないウシの切歯をアクリル円形ディスクに包埋した。包埋された歯は、使用前に冷蔵庫内で水中で保存した。試験用の接着剤の製造において、宝石細工ホイール(lapidary wheel)に取り付けられた120グリットのサンドペーパーを使用して、包埋された歯を研磨し、平らなエナメルまたは象牙質表面を露出させた。宝石細工ホイール上の320グリットのサンドペーパーを使用して、歯の表面の更なる研削および研磨を行った。研磨プロセスの間、歯を水で連続的に洗浄した。研磨された歯を脱イオン水中で保存し、研磨から2時間後以内に試験に使用した。使用前に、歯を36℃のオーブン内で室温(23℃)〜36℃に温めた。
歯の処理
作製された乾燥した歯の表面にブラシの先で10秒間水を塗布した。次いで、歯科矯正用接着剤の試験試料を濡れた歯の表面に、激しく擦り込んで歯科アプリケーターブラシで20秒間塗布し、空気流で10秒間強制的に乾燥させた。次いで、接着剤試験試料の第2コーティングを10秒間塗布し、接着剤コーティングをXL3000歯科用硬化ライト(ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company,St.Paul,MN))で10秒間光硬化させた。金型の穴が、接着して作製された歯の一部を露出するように、直径約4.7mmの穴を有する厚さ2.5mmのテフロン(登録商標)(Teflon)金型を包埋された歯に固定した。穴は完全に充填されるが、充填しすぎないように、複合材料、フィルテック(FILTEK)Z250ユニバーサル修復材(Universal Restorative)(3M社)のA2色調を穴に充填し、20秒間光硬化し、接着剤で歯に取り付けられた「ボタン」を形成した。硬化試験試料の接着結合強度を約24時間後に評価した。
接着結合強度試験
研磨された歯の表面を引く方向に平行に向けて、インストロン(INSTRON)試験機(インストロン(Instron)4505、マサチューセッツ州カントンのインストロン社)のつかみ具に固定されたホルダーに集成体(上述の)を取り付けることによって、硬化試験試料の接着強度を評価した。研磨した歯の表面に隣接するZ250ボタンの周りに歯科矯正用ワイヤー(直径0.44mm)を巻き付けた。歯科矯正ワイヤーの端をインストロン(INSTRON)装置の引きつかみ具に固定し、クロスヘッド速度2mm/分で引っ張り、それによって、接着結合をせん断応力にかけた。結合が働かなくなるキログラム(kg)の力を記録し、この数値をボタンの既知の表面積を用いて単位面積当たりの力(単位kg/cm2またはMPa)に変換した。エナメルへの接着性または象牙質に対する接着性の報告される各値は、4〜5回の反復試験の平均である。
殺菌率試験法
試験試料によって殺菌率および程度を以下の手順に従って決定した。
BHIブロス(106CFU/ml)中のミュータンス菌(S.mutans)(ATCC#25175)の一晩培養液を特定の濃度にて所定の時間(それぞれ、2、5および10分)、対照溶液中の試験試料と混合した。対照溶液は、P−65界面活性剤(0.45部)、イソプロピルアルコール(IPA;4.55部)、および(82部)からなる。所定の時間混合した直後、脂肪酸エステルおよび安息香酸の中和のためにレセーンブロス9.0mlを含有する第1チューブ中に混合物1.0mlをピペットで移した。これは、10-1希釈液であり、ボルテックスミキサーで完全に混合した。10-1希釈液の1.0mlアリコートをレセーンブロス9.0mlを含有する第2チューブにピペットで移し、ボルテックスした。これは、10-2希釈液である。ペトリ皿のヒツジ血液寒天培地上に、10-1および10-2希釈液それぞれの0.1mlアリコートを2つ組でプレーティングし、「ホッケー棒状」アプリケーターで広げた。この結果、それぞれのプレート上の試験試料濃度は10-2および10-3となった。試験試料を37℃で好気的に96時間インキュベートし、コロニー形成単位(CFU)数をカウントした。指定濃度の試験試料でのミュータンス菌の殺菌率を決定するために、このデータを初期の接種材料と比較した。
ミュータンス菌付着試験法
ミュータンス菌は、歯などの硬い面のみに付着し、バイオ皮膜またはプラークを形成する傾向がある。かかるコロニー形成は最終的に、う蝕、石灰化プラーク、歯周病を引き起こす歯肉組織の炎症等の発生を含む、望ましくない多くの臨床上の副作用を生じ得る。したがって、接着剤または複合材料などの歯科材料において抗菌剤を使用する臨床的な特典のいくつかは、口腔内の有害な細菌を殺滅するだけでなく、修復物下でのバイオ皮膜および二次齲蝕の形成を抑えることである。この状況において、硬化組成物上のプラーク形成に対するスクロース(代謝された糖)の効果は、貴重である。抗菌剤を含む、および含まない硬化ディスク上にバイオ皮膜またはプラークを形成するミュータンス菌の傾向は、参考文献S.イマザト(Imazato)ら、J.Dent.Res.;73(8);1437−1443;1994年8月に記載のように決定した。試験試料ディスク(例えば、実施例1Aおよび1B、比較例CE−1)を作製した。無菌条件下にて試験試料(水と混合することなく)を直接、ディスク(直径15mm×厚さ1mm)にキャストし、空気中で80秒間硬化させ(XL3000歯科用硬化ライト)、続いて、真空下にて3分間硬化させた(VISIOベータ・ライト・ユニット(VISIO Beta Light Unit)、3M社(3M Company))。市販の製品クリアフィルSEボンド(CLEARFIL SE BOND)およびクリアフィル・プロテクト・ボンド(CLEARFIL PROTECT BOND)(どちらも日本、倉敷のクラレ株式会社(Kurary Company,Kurashiki,Japan)から市販されている)からも硬化ディスクを作製した。クラレ(Kurary)製品は、等量で混合され、上述のようにディスクに形成され、硬化された二液型ボンディング剤(bonding agent)である。
スクロース1%を含有する、または含有しないBHIブロス中で調製されたミュータンス菌培養液(106CFU/ml)12mlに硬化ディスクをそれぞれ浸した。任意に、ブロスは、スクロース1%、キシリトール1%、またはスクロース1%およびラクトフェリン1%を含有した。37℃でインキュベートして20時間後、ミュータンス菌プラークが蓄積したディスク試料を培地懸濁液から慎重に分離した。バイオ皮膜を有するディスクそれぞれを水で穏やかにすすぎ、ゆるく保持されたプラークを取り除き、その後、1N NaOH5mlを含有する試験管に各ディスクを入れ、10分間超音波処理し、付着したプラークを収集した。550nmでの吸光度の従来の分光学的測定によって、得られた懸濁液の吸光度を決定した。同様に、培地試料(そこから、接着剤ディスクを取り出した)もまた、10分間超音波処理し、続いて吸光度を測定して、全体の細菌数を決定した。各試験試料について、5回反復試験し、その結果を、バイオ皮膜/プラークまたは培地溶液におけるミュータンス菌の濃度を反映すると想定される平均光学濃度(OD)として報告した。
試験試料を全く含有しない懸濁液(つまり、スクロース1%を含有する、およびスクロース1%を含有しない培地)の細菌増殖に、同一初期濃度で細菌を接種し、それはポジティブコントロールとしての役割を果たした。対照試料は、抗菌性組成物を添加していない試験試料も含んだ。
阻止帯試験法
BHIブロス中のミュータンス菌培養液(1ml;106CFU/ml)を滅菌「ホッケー棒」でヒツジ血液寒天培地上に均一に広げた。試験試料ディスク(直径15mm×厚さ1mm;上述のように作製された)を寒天平板の中央に置き、37℃で好気的に96時間インキュベートした。試験試料の周縁と、細菌増殖が抑制された阻止円の内側エッジとの平均距離(mm)は、異なる6箇所から決定し、阻止幅として示した。各試験試料について、5回反復試験し、その結果を平均阻止幅として記録した。
希釈消毒剤試験法
硬化試験試料ディスク(直径15mm×厚さ1mm;上述のように作製された)をミュータンス菌約106〜108CFU/mlを含有するBHIブロス9ml中で37℃にて72時間インキュベートした。インキュベートした後、滅菌ピペットを使用して、無菌BHIブロス9.0mlを含有するチューブに培養液1.0mlを移した。これは、10-1希釈液であり、ボルテックスミキサーで完全に混合した。10-1希釈液の1.0mlアリコートをBHIブロス9.0mlを含有する第2チューブにピペットで移し、ボルテックスした。これは、10-2希釈液である。これらの工程は、10-8希釈まで繰り返された。ヒツジ血液寒天培地上に、10-1〜10-8希釈液それぞれの1.0mlアリコートをプレーティングし、「ホッケー棒状」アプリケーターで広げた。試料を37℃で好気的に96時間インキュベートした。コロニー形成単位(CFU/ml)数をカウントし、記録した。その結果を菌数log減少として記録した。
Figure 2008533009
出発原料の製造
6−メタクリロイルオキシヘキシルホスフェート(MHP)
6−ヒドロキシヘキシルメタクリレートの合成:機械攪拌機およびフラスコ中に乾燥空気を吹き入れる細いチューブを備えた1L三口フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(1000.00g、8.46mol、シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich))を入れた。固形ジオールを90℃に加熱し、その温度で固体すべてが融解した。連続的に攪拌しながら、p−トルエンスルホン酸結晶(18.95g,0.11mol)、続いてBHT(2.42g,0.011mol)およびメタクリル酸(728.49.02g、8.46mol)を添加した。攪拌しながら90℃での加熱を5時間続け、その間、30分間の各反応時間後に、水流吸引器を使用して5〜10分間真空をかけた。加熱を止め、反応混合物を室温に冷却した。得られた粘性の液体を10%炭酸ナトリウム水溶液で2回洗浄し(2×240ml)、続いて水で洗浄し(2×240ml)、最後に飽和NaCl水溶液100mlで洗浄した。無水Na2SO4を使用して、得られたオイルを乾燥させ、次いで真空濾過によって単離し、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート1067g(67.70%)を黄色のオイルとして得た。この目的の生成物は、1,6−ビス(メタクリロイルオキシヘキサン)15〜18%と共に形成された。NMR分析によって化学的キャラクタリゼーションを行った。
6−メタクリロイルオキシヘキシルホスフェート(MHP)の合成:N2雰囲気下にて機械攪拌機を備えた1Lフラスコ中でP410(178.66g、0.63mol)と塩化メチレン(500ml)を混合することによって、スラリーを形成した。フラスコを氷浴(0〜5℃)中で15分間冷却した。連続的に攪拌しながら、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート(962.82g、上述のそのジメタクリレート副生成物と共にモノメタクリレート3.78molを含有する)を2時間にわたってフラスコにゆっくりと添加した。完全に添加した後、氷浴中で1時間、次いで室温で2時間、混合物を攪拌した。BHT(500mg)を添加し、次いで、温度を上げて45分間還流した(40〜41℃)。加熱を止め、混合物を室温に冷却した。溶媒を真空下にて除去し、黄色のオイルとして6−メタクリロイルオキシヘキシルホスフェート(MHP)1085g(95.5%)を得た。NMR分析によって化学的キャラクタリゼーションを行った。
表面処理ジルコニア(ZrO2)充填剤
ジルコニアゾル(217.323g;固形分23.5%;イリノイ州ネーパービルのナルコ社(Nalco,Naperville,IL))を計量してプラスチック製フラスコに入れ、次いで、プラスチック製フラスコに入れられた、1−メトキシ−2−プロパノール(200.001g;シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich))中のモノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート(28.796g;シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich))の溶液に、激しく攪拌しながら、それをゆっくりと添加した。次いで、得られた混合物を対流オーブン内で90℃にて乾燥させて粉末状(乾燥状態)にし、続いて、後の再分散を容易にするために、乳鉢および乳棒で粉砕し、微粉末状にした。ジルコニア充填剤の平均一次粒径は、約5nmであり、ゆるい凝集塊50〜75nmを有した。
接着剤A
表1に示す相対量で成分を合わせることによって、接着剤Aを製造した。
Figure 2008533009
抗菌性成分A〜BおよびAA〜UU
表2Aに示すその相対量で成分を合わせることによって、抗菌性成分A〜Bを製造した。次いで、成分AまたはBを接着剤Aに添加し、本発明の抗菌性組成物を形成した。
抗菌性成分AA〜UUの成分を個々に、接着剤Aに添加し(表2A〜2Dに示すその相対量で)、本発明の抗菌性組成物を形成した。
Figure 2008533009
Figure 2008533009
Figure 2008533009
Figure 2008533009
実施例1A〜1Bおよび比較例(CE)1〜4
抗菌性接着剤組成物
抗菌性成分A(5.5重量%)を接着剤Aに添加し、実施例1Aに示す接着剤液を形成した。
抗菌性成分B(4.0重量%)を接着剤Aに添加し、実施例1Bに示す接着剤液を形成した。
未硬化接着剤組成物の評価:
本明細書に記載の殺菌率試験法に従って、実施例1A接着剤組成物を評価した。その結果を表3に示し、CE−1(抗菌性成分が添加されていない接着剤A)、CE−2(対照溶液)および市販の抗菌性製品クリアフィル・プロテクト・ボンド(CLEARFIL PROTECT BOND)(クラレ株式会社(Kurary Company))の結果と比較した。後者は、評価直前に等量で混合された2液型ボンディング剤である。試験溶液のpH値も表3に示す。
表3のデータから、実施例1A(GML−12/PGMC−8 3%、安息香酸1.5%、DOSS1%を有する接着剤A)は、抗菌性クリアフィル・プロテクト・ボンド(CLEARFIL PROTECT BOND)製品以上の殺菌率およびCE−1(抗菌剤が追加で添加されてない接着剤A比較例であるが、固有の抗菌活性を有することが分かっている材料)に匹敵する殺菌率を有することが示されている。
Figure 2008533009

硬化接着剤組成物の評価
本明細書に記載のミュータンス菌付着試験法に従って、実施例1A接着剤組成物を抗菌活性について評価した。バイオ皮膜/プラークおよび培地におけるミュータンス菌の存在の尺度として、試験試料の光学濃度によって、結果を示す(表4)。試験法に使用される培地は、スクロースを0%または1%含有した。この結果を、CE−1(抗菌性成分が添加されていない接着剤A)、CE−3(組成物が添加されていない培地)および市販の製品クリアフィルSEボンド(CLEARFIL SE BOND)およびクリアフィル・プロテクト・ボンド(CLEARFIL PROTECT BOND)(どちらもクラレ株式会社(Kurary Company)から市販されている)の結果と比較した。クラレ製品は、評価直前に等量で混合された二液型ボンディング剤である。
Figure 2008533009
表4の結果から、プラークは、スクロースの非存在下で硬質表面上に形成しにくく、かつスクロースを含有しない培地において高い細菌レベルが見られることが分かる。これら2つの別の観察から、スクロースの存在は、細菌のかなりの部分をバイオ皮膜/プラークに限局することが示唆されている。口腔内では、唾液中にスクロースが存在することによって、プラークにおける細菌の蓄積が多くなり、その結果、齲蝕が増加し、さらに無視すると重篤な軟部組織の疾患および/または歯周病が発症する。
表4のデータからも、実施例1A(GML−12/PGMC−8 3%、安息香酸1.5%、DOSS1%を有する接着剤A)は、クラレ社のクリアフィル(CLEARFIL)製品と比較すると、バイオ皮膜/プラークを蓄積する傾向が著しく低いことが示されている。
本明細書に記載のミュータンス菌付着試験法に従って、実施例1Aおよび1B接着剤組成物を抗菌活性について評価した。バイオ皮膜/プラークにおけるミュータンス菌の存在の尺度として、試験試料の光学濃度によって結果を示す(表5)。試験法に使用される培地は、スクロース1%、スクロース1%とキシリトール1%、スクロース1%とラクトフェリン1%のいずれかを含有した。この結果を、CE−1(抗菌性成分が添加されていない接着剤A)の結果と比較した。
Figure 2008533009
表5のデータから、実施例1A(GML−12/PGMC−8 3%、安息香酸1.5%、およびDOSS1%を有する接着剤A)は、CE−1(抗菌性成分が添加されていない接着剤A)と比較すると、バイオ皮膜/プラークを蓄積する傾向が著しく低く、最大の抗菌活性を有することが示されている。
実施例2〜22
抗菌性接着剤組成物
抗菌性成分AA〜UUの成分を表2B〜2Dに示す相対濃度(接着剤Aに対する添加抗菌性成分の総重量%が、表6に示されている)で接着剤Aに個々に添加し、表6に列挙される実施例2〜22と示される接着剤液を形成した。上述のように、添加剤が添加されていない接着剤Aを比較例1(CE−1)と示した。
抗菌性成分(実施例2〜22)を含有する接着剤Aを、本明細書に記載の阻止帯試験法に従って抗菌活性について評価し、本明細書に記載のせん断接着強さ試験法に従って象牙質およびエナメルに対するせん断接着強さ(SBS)について評価した。その結果を表6に示し、CE−1の結果と比較する。
表6から、実施例2〜22はすべて、CE−1よりも高い抗菌活性(阻止幅値が高いことによって証明された)を有し、かつ接着剤Aにおける抗菌性成分AA〜UUの存在は、エナメルおよび象牙質上の接着剤Aのせん断接着強さに著しく影響を及ぼさないことが結論付けられる。
Figure 2008533009
実施例23
抗菌性成分を含有するコンポジット
暫間クラウンおよびブリッジ(3Mエスペ社(3M ESPE))用のプロテンプ(PROTEMP)IIコンポジットのベース面に0%、1.75%および5.0重量%(コンポジットの全重量を基準にして)のレベルで抗菌性成分Aを添加し、対照実施例23A、実施例23Bおよび23Cをそれぞれ形成した。対照実施例23Aおよび実施例23A〜23Bを本明細書に記載の希釈消毒剤試験法に従って抗菌活性について評価し、その結果を表7に示す。
実施例24
抗菌性成分を含有する装着セメント
レリー(RELY)X装着セメント(3Mエスペ社(3M ESPE))の液体面に0%、1.0%、2.5%および5.0重量%(セメントの全重量を基準にして)のレベルで抗菌性成分Aを添加し、対照実施例24Aおよび実施例24B、24C、および24Dをそれぞれ形成した。対照実施例24Aおよび実施例24B〜24Dを本明細書に記載の希釈消毒剤試験法に従って抗菌活性について評価し、その結果を表7に示す。
実施例25
抗菌性成分を含有するユニバーサル(Universal)修復材
フィルテック・スプリーム(FILTEK SUPREME)ユニバーサル修復材(3Mエスペ社(3M ESPE))の樹脂面に、0%、1.0%、2.5%および5.0重量%(修復材の全重量を基準にして)のレベルで抗菌性成分Aを添加し、対照実施例25Aおよび実施例25B、25C、および25Dをそれぞれ形成した。対照実施例25Aおよび実施例25B〜25Dを本明細書に記載の希釈消毒剤試験法に従って抗菌活性について評価し、その結果を表7に示す。
対照実施例25Aおよび実施例25B〜25Dを、本明細書に記載のミュータンス菌付着試験法に従って抗菌活性について評価し、接着剤Aにおける異なる濃度の抗菌性成分Aに関するバイオ皮膜/プラークにおけるミュータンス菌の存在の尺度として試験試料光学濃度によって、その結果を以下とおり報告する。
Figure 2008533009
実施例26
抗菌性成分を含有するGIライナー/ベース
ビトレボンド・ライト・キュア(VITREBOND Light Cure)ガラスイオノマー(GI)ライナー/ベース(3Mエスペ社(3M ESPE))の液体面に、0%、1.25%、2.5%および5.0重量%(ライナー/ベースの全重量を基準にして)のレベルで抗菌性成分Aを添加し、対照実施例26Aおよび実施例26B、26C、および26Dをそれぞれ形成した。対照実施例26Aおよび実施例26B〜26Dを本明細書に記載の希釈消毒剤試験法に従って抗菌活性について評価し、その結果を表7に示す。
実施例27
抗菌性成分を含有する印象材
インプリント(IMPRINT)II印象材(3Mエスペ社(3M ESPE))に0%、1.3%、2.7%および4.9重量%(印象材の全重量を基準にして)のレベルで抗菌性成分Aを添加し、対照実施例27Aおよび実施例27B、27C、および27Dをそれぞれ形成した。対照実施例27Aおよび実施例27B〜27Dを本明細書に記載の希釈消毒剤試験法に従って抗菌活性について評価し、その結果を表7に示す。
Figure 2008533009
表7の結果から、種々の歯科材料に抗菌性成分Aを添加することによって、一般に、材料の抗菌活性が用量依存的に増加することが示されている。フィルテック・スプリーム(FILTEK SUPREME)修復材およびビトレボンド(VITREBOND)GIライナー/ベースの場合には、これら2種類の歯科材料は、抗菌性成分Aが添加されていなくても本質的に抗菌性であることが判明した。
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明に様々な変更および改変を加えることができることは、当業者には明らかであるだろう。本発明は、本明細書に記載の実例となる実施形態および実施例によって過度に限定されるものではなく、かつかかる実施例および実施形態は、一例として示されており、本発明の範囲は、冒頭に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されることを理解されたい。

Claims (28)

  1. スクロース以外の多価アルコールにおいて、エステルがモノエステルを含み、エーテルがモノエーテルを含み、かつスクロースにおいて、エステルがモノエステル、ジエステル、またはそれらの組み合わせを含み、エーテルがモノエーテル、ジエーテル、またはそれらの組み合わせを含むことを条件として、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C12)飽和脂肪酸エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エーテル、そのアルコキシル化誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、有効量の抗菌性脂質成分であって、前記アルコキシル化誘導体が、多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する、有効量の抗菌性脂質成分と、
    硬化性成分と
    を含む、歯科用組成物。
  2. 抗菌性脂質成分と異なる、有効量のエンハンサー成分をさらに含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 前記エンハンサー成分が、カルボン酸を含む、請求項2に記載の歯科用組成物。
  4. 前記エンハンサー成分が、α−ヒドロキシ酸を含む、請求項2に記載の歯科用組成物。
  5. 前記エンハンサー成分が、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アリールカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、(C6〜C12)アルカリールカルボン酸、フェノール類化合物、(C1〜C10)アルキルアルコール、エーテルグリコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の歯科用組成物。
  6. 脂質成分の総濃度に対する前記エンハンサー成分の総濃度が、重量基準で10:1〜1:300の範囲内である、請求項2に記載の歯科用組成物。
  7. 抗菌性脂質成分と異なる、有効量の界面活性剤成分をさらに含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  8. 前記界面活性剤成分が、スルホン酸塩界面活性剤、硫酸塩界面活性剤、ホスホン酸塩界面活性剤、リン酸塩界面活性剤、ポロキサマー界面活性剤、カチオン界面活性剤、またはその混合物を含む、請求項7に記載の歯科用組成物。
  9. 前記界面活性剤成分が、スルホン酸塩界面活性剤、硫酸塩界面活性剤、ポロキサマー界面活性剤、またはその混合物を含む、請求項8に記載の歯科用組成物。
  10. 前記界面活性剤成分が、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムである、請求項9に記載の歯科用組成物。
  11. 前記界面活性剤成分が、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのコポリマーを含むポロキサマーである、請求項9に記載の歯科用組成物。
  12. 抗菌性脂質成分の総濃度に対する前記界面活性剤成分の総濃度が、重量基準で5:1〜1:100の範囲内である、請求項7に記載の歯科用組成物。
  13. 前記硬化性成分が、酸官能基を含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  14. 前記酸官能基が、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の歯科用組成物。
  15. 開始剤系をさらに含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  16. 前記硬化性成分が、エチレン性不飽和化合物を含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  17. 前記エチレン性不飽和化合物が、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物、酸官能基を有さないエチレン性不飽和化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の歯科用組成物。
  18. 前記エチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレート化合物である、請求項16に記載の歯科用組成物。
  19. 前記硬化性成分が、ガラスイオノマーセメントを含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  20. 前記ガラスイオノマーセメントが、樹脂変性ガラスイオノマーセメントである、請求項19に記載の歯科用組成物。
  21. 前記硬化性成分が、ポリエーテル、ポリシロキサン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  22. 前記硬化性成分が、エポキシド、ビニルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  23. 前記抗菌性脂質成分が、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  24. 前記抗菌性脂質成分が、少なくとも0.1重量%の量で存在する、請求項1に記載の歯科用組成物。
  25. 前記抗菌性脂質成分が、多価アルコールのモノエステル、多価アルコールのモノエーテル、またはそのアルコキシル化誘導体を含み、かつ前記抗菌性脂質成分が、抗菌性脂質成分の全重量を基準にして、15重量%以下の、ジまたはトリエステル、ジまたはトリエーテル、そのアルコキシル化誘導体、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項24に記載の歯科用組成物。
  26. 充填剤をさらに含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  27. 前記組成物が、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、コンポジット、修復材、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、シーラント、コーティング、印象材、充填材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の歯科用組成物。
  28. 抗菌性脂質成分と硬化性成分を合わせ、請求項1に記載の歯科用組成物を形成する工程と、
    前記組成物を硬化させ、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、オンレー、充填物、ミルブランク、印象材、矯正装置、義歯、仕上げ加工または研磨装置からなる群から選択される歯科物品を作製する工程と
    を含む、歯科物品を製造する方法。
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