JP2008521020A - 蓄積性蛍光体シートからの画像読出方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
標本を励起線で走査して誘導線を得る走査方法にて、その標本に対する走査経路中にマルチパス走査部分を含める。本方法では、所要強度の励起線を用い読出ステップを2回実行する。その励起線を用いた第1回読出では第1露出画像を表す情報を含む第1画像信号が標本から得られ、第2回読出では第2露出画像を表す情報を含む第2画像信号が得られる。そして、それら第1及び第2画像信号を結合させることによって、その標本に記録されている画像を表す第3画像信号を生成する。
Description
本発明は、X線撮像とりわけ蓄積性蛍光体技術を用いたX線撮像に関し、より詳細には、画像取得装置及び方法における検知量子効率(DQE:detect quantum efficiency)の向上手法に関する。
X線撮像技術は、注目被検体を高エネルギ電磁輻射たるX線に露出させ、その内部構造を非侵襲的に映像化する技術である。この技術では、X線源から放射されるX線を注目被検体に照射すると一部のX線がその被検体を通り抜けてくること、通り抜けてくるX線がその被検体の内部構造による吸収で減衰していること、並びにその減衰率がそのX線がその被検体内で遭遇した物質の吸収特性によって異なることを、利用している。
注目被検体を通り抜けたX線を捉えその被検体の吸収特性を調べるには、その被検体をX線源と画像記録媒体の間に配置し、X線源から放射されたX線がその被検体を通り抜け画像記録媒体上に入射するようにすればよい。画像記録媒体に入射するX線の強度は注目被検体の吸収特性によって変わり、その吸収特性は被検体毎に様々であるので、画像記録媒体に入射するX線の強度は一般に被検体毎に異なる値になる。画像記録媒体にX線が入射するとその強度に比例して画像記録媒体に変化が生じるので、その画像記録媒体には、この変化を以てその被検体の内部構造についての情報が記録されることとなる。画像記録媒体上のこの情報を取り出す際には、例えばディジタル値への変換等の処理を施す。画像記録媒体としては一般にシートフィルム、蛍光体媒体等が使用される。
なかでも蓄積性蛍光体プレートは、ディジタルX線撮影(CR:computed radiography)用画像記録媒体として、医療、歯科医療等の分野で広く用いられている。蓄積性蛍光体プレート内には蛍光体分子による格子即ち蛍光体格子があり、電磁波例えばX線をそのプレートに入射するとその電磁波が蛍光体格子に作用し、その電磁波の入射強度に比例するエネルギが格子内蛍光体分子に蓄積されることとなる。蓄積されたエネルギは、そのプレートを励起線(stimulating radiation)例えばレーザビームで走査して格子内蛍光体分子を励起し、それらの分子から蛍光を誘導放射させることによって、リリースさせることができる。励起された蛍光体分子から放射されるこの誘導線(stimulated radiation)を検知、定量及び記録すれば、各画素の画素値を得ることができる。
蓄積性蛍光体プレート等の画像記録媒体に記録されている情報、即ち注目被検体の内部構造についての情報をディジタル画像に変換するには、上述の走査等の処理を実行する装置、例えばレーザスキャナやそれに付随する各種電子回路からなるCR像リーダが必要である。しかしながら、レーザスキャナからプレートに励起線たるレーザビームを入射しても、通常、そのプレートに蓄積されている全てのエネルギがリリースされるわけではない。
本発明の一実施形態は、励起線反応型標本走査方法であって、マルチパス走査部分を含む走査経路に沿って標本を走査し誘導線を得る方法である。
本発明の他の実施形態は、励起線反応型標本走査方法であって、第1パス時には所定量の励起線を所定経路に沿って標本上に入射しそれに反応して標本から放射される誘導線のうち少なくとも一部を検知する動作を実行し、第2パス時には第1パス時と同じ又は異なる所定量の励起線を同じ経路に沿って標本上に入射しそれに反応して標本から放射される誘導線のうち少なくとも一部を検知する動作を実行する方法である。
本発明の更に他の実施形態は、励起線反応型標本からの画像取得用スキャナであって、目的とする標本上に入射したい励起線を発生させる少なくとも1個の励起線源と、励起線に反応して標本から放射される誘導線のうち少なくとも一部を受波する少なくとも1個の検知器と、標本上の少なくとも一部に対し複数パスに亘り励起線を入射させる制御手段と、を備える。
本発明の更に他の実施形態は、画像情報含有信号であって、第1パス時における所定経路沿い励起線入射によってその標本から放射された誘導線の量を反映する第1成分と、第2パス時における同経路沿い励起線入射によってその標本から放射された誘導線の量を反映する第2成分と、を含む。
本発明の更に他の実施形態は、蓄積性蛍光体プレートマルチパス走査用スキャナであって、走査対象となる蓄積性蛍光体のプレートを所定形状面に沿って位置決めする支持手段と、オンしているときには第1励起線をプレートに入射させオフしているときには入射させないパルス型第1励起線源と、オンしているときには第2励起線をプレートに入射させオフしているときには入射させないパルス型第2励起線源と、を備え、パルス型第1励起線源がオンしているときにはパルス型第2励起線源がオフしパルス型第1励起線源がオフしているときにはパルス型第2励起線源がオンするよう構成されたスキャナである。
本発明の更に他の実施形態は、蓄積性蛍光体プレートマルチパス走査方法であって、蓄積性蛍光体のプレート上に少なくとも1本の断続的な走査軌跡が描かれるよう第1レーザビームをプレートに入射させる第1パス時動作と、プレート上に少なくとも1本の断続的な走査軌跡が描かれるよう第2レーザビームをプレートに入射させる第2パス時動作とを、第1レーザビーム入射期間と第2レーザビーム入射期間とに時間的な重複が生じないよう各レーザビームのパルス制御により実行する方法である。
なお、以上記載した目的、構成及び効果は一例に過ぎず、本発明には他にも様々な目的、構成及び効果がありまた様々な実施形態がある。本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)であれば、以下の説明を参照することによって、本発明の他の目的、構成及び効果を理解することができよう。また、本発明の技術的範囲は別紙特許請求の範囲の記載に基づき定められるべきものである。
以下、本発明の目的、構成及び効果をより明らかにするため、本発明の好適な実施形態に関し別紙図面を参照しながら説明する。なお、各図における構成部材寸法比は必ずしも正確でない。また、各図中で同一の又は対応する構造物には同一の参照符号を付してある。
まず、前述したように、蓄積性蛍光体プレート等の画像記録媒体の表面をレーザビーム等の励起線によって走査しても、その媒体に潜んでいるエネルギが全てリリースされるわけではなく、格子内蛍光体分子に蓄積されているエネルギの一部がリリースされずに残留し、従ってかなりの量の情報がその媒体内に残る。格子内蛍光体分子にエネルギが残留するのは、一つには励起線が一部の蛍光体分子としか作用しないためであり、また一つには格子内蛍光体分子の励起特性に立ち上がり/立ち下がりがあるためである。
レーザビーム等の励起線で1回走査するだけだと、こうして一部の蛍光体分子にエネルギが蓄積されたままとなる。画像記録媒体から放射される誘導線を検知器例えば何個かの光検知器によって検知する際、その検知器によって生成される検知信号の信号対雑音比(SNR)は、媒体内に多量の情報が残っていると低くなる。SNRが低いと出力画像例えばCR像の画質も低くなりやすい。
従って、CR像等の出力画像の画質を向上させるには、画像記録媒体をレーザビーム等の励起線で走査する回数を複数回にし、その媒体からのエネルギリリース量(誘導線量)を増やせばよい。例えばWhitingに付与され本願出願人に譲渡された米国特許に係る特許文献1には、2回の走査で画像を読み出す技術が記載されている。この技術では、強露出画像部分を表す情報を含む信号Aを低レベル励起線を用いた走査により生成し、また弱露出画像部分を表す情報を含む信号Bを高レベル励起線を用いた走査により生成する。
X線撮像システムにて入射X線のうちどれだけを画素値乃至画素強度に転化できるかは、例えばそのシステムのDQEを指標として定量することができる。システムDQEは高ければ高いほどよく、高DQEシステムでは入射X線の多くが画素強度に転化され出力画像に現れる。
システムDQEは、一般に、(1)媒体内吸収特性、(2)露出済媒体内エネルギ励起リリース効率、並びに(3)リリース済エネルギ収集検知効率、という三要素によって決まる。これらの要素の何れを高めてもシステムDQEを高めることができ、ひいては出力画像の画質、品位乃至解像度を高めることができる。
そのうち媒体内吸収特性は、入射X線のエネルギのうちどれだけをその画像記録媒体の格子内蛍光体格子が吸収、蓄積できるかによって左右される。例えば、注目被検体を通り抜けて入射してきたX線のうちその格子内蛍光体分子と作用したX線の量を、その格子内蛍光体分子が吸収しなかったX線の量との比率で表した量である媒体内吸収効率によって、媒体内吸収特性を表すことができる。
この媒体内吸収効率は媒体内格子形成素材(蛍光体)の種類(例えばZ値)や層厚に左右される。
媒体内格子形成素材としては、X線吸収性及び励起時エネルギリリース性を兼備した素材例えば既知の各種蛍光体を使用できる。蛍光体層厚を増すと、入射X線の対蛍光体格子作用確率が比例的に増すため、普通はX線吸収量が増す。
反面、蛍光体層を厚くすると、空間解像度が低い画像しか得られなくなるのが普通である。即ち、厚手の蛍光体層を有する画像記録媒体をX線に露出し、その後レーザビーム等の励起線で走査すると、励起線入射方向に対し非平行な方向に蛍光体間相互作用が波及し、その結果、励起線作用点が実質的に拡大・散漫して画像がぼやけてしまう。総じて、媒体内吸収特性は製造関連の事項であり、媒体製造時にどのような素材、組成、構成等を使用できるかによって方向付けられるものである。
システムDQE決定要因としては、更に、誘導線のうちどれだけの量を収集検知できるか、即ちリリース済エネルギ収集検知効率がある。誘導線を収集するには、その画像記録媒体から放射される誘導線を所定方向に導きその誘導線に感応する何個かの検知器に集める収集系例えば集光系が必要であり、またそれに適する収集系も何種類か知られている。例えば、何個か又は何本かの光導波路乃至パイプを蛍光体層に近接配置して蛍光体層からの誘導線を採取し、レンズや反射面を様々に組み合わせて形成される光学系を介し検知器に導くようにすればよい。例えば、Korenに付与され本願出願人に譲渡された米国特許に係る特許文献2(原題:SCANNING APPARATUS)には、オンアクシス型集光系が記載されている。なお、この参照を以て特許文献2の内容を本願に繰り入れることとする。
システムDQE決定要因としては、更に、対X線露出済画像記録媒体に蓄積されているエネルギのうちどれだけをリリースさせられるか、即ち露出済媒体内エネルギ励起リリース効率がある。露出済媒体から情報を得るには、その媒体に電磁波を入射しその媒体内の蛍光体分子を励起させればよい。励起された蛍光体分子は、蓄積しているエネルギを電磁波の形態でリリースする。励起のため媒体に入射される電磁波は励起線(励起光)と呼ばれることが多く、その媒体から発せられる電磁波は誘導線(誘導放射光)と呼ばれることが多い。励起線としては例えばレーザビームが使用される。励起線と誘導線はその周波数が違うのが普通である。
図1A及び図1Bに、基板15及び蛍光体層17からなる蓄積性蛍光体プレート100を示す。このプレート100は例えば医療向けや歯科医療向けのX線撮像プロセスで画像記録媒体として使用されるプレートであり、そのプロセスでは、プレート100に照射されたX線のエネルギが蛍光体層17によって吸収・蓄積される。X線のエネルギを吸収したプレート100の蛍光体層17に、励起線源50から発せられるレーザビーム等の励起線55を入射すると、その層17内の蛍光体分子が励起され、図示の如く誘導線60a〜60cが放射される。また、励起線55は層17内に深く入り込むので、層17の表面にある蛍光体分子だけでなく奥まった場所にある蛍光体分子も励起される。図1A中の誘導線のうち60b及び60cは、奥にある蛍光体分子からの誘導線の例である。
なお、図示した誘導線60a〜60cは単なる例であり、実際には、励起された蛍光体分子から放射される誘導線はあらゆる方向に向かう(いわゆる4π放射)。例えば、蛍光体層17の表面にある蛍光体分子を励起させたときその分子から放射される誘導線は、図1Bに示すようにその分子を中心として全方向に拡がり、同心球殻60a1〜60a4を形成する。何れにせよ、図1A及び図1Bに示した誘導線は、励起線55によって誘起される誘導線バーストの例に過ぎない。
また、検知器90は誘導線を集める場所に配置する。例えば図示の如き場所に検知器90が配置されている場合、誘導線を反射する素材によって基板15を形成することで、検知器90方向に向かう誘導線の量を増やすことができる。また、誘導線を概ね透過させる素材によって基板15を形成し、プレート100から見て励起線源50とは逆側に図示しない別の検知器を配置して、励起された蛍光体分子からの誘導線のうち基板15の裏側に抜ける成分を検知するようにしてもよい。
そして、励起線源50は図面上は点状線源として示されているが、実際は、この線源50から出射される励起線55が入射する領域は、プレート100上で(小さいけれども)ある程度の広さを有する。
図2Aに、線源例えばレーザ光源から出射される励起線例えばレーザビームの断面形状例を示す。レーザビームを合焦させた場合、図示の合焦スポット20、20’及び20’’のようにほぼ楕円形のビーム断面となる。それらの形状は、中心22、長軸24及び短軸26によって記述することができる。
「合焦スポット」とは、励起線源から発せられる励起線のうち、無視できない強度を保ちつつ画像記録媒体に達した成分を包絡する図形又はその面積のことである。従って、合焦スポットの輪郭線内では、十分に強度のある励起線によって蛍光体分子が励起されるので、蛍光体分子に蓄積されていたエネルギがリリースされ、しかもその量が計測可能な量になる。このように、合焦スポットは励起線による有限寸法励起領域であり、従って一般には様々な形状になりうる。
励起線への露出により蛍光体分子内蓄積エネルギのどれだけがリリースされるかは、その励起線の強度や、その蛍光体分子上で励起線が合焦スポットを形成し続ける時間の長さ(ドウェルタイム即ち連続入射時間)によって左右される。
まず、励起線強度は励起線断面内で完全に均一なわけではなく、例えば合焦スポット20’の強度プロファイル21として図2Bに示すように、略ガウス的な強度分布を呈するのが普通である。この分布は、その中心22にある最大強度I0の点を中心に指数的に強度が下がる分布であるので、画像記録媒体に入射する励起線の強度は、その媒体の表面に沿って合焦スポット中心22から離れれば離れる程下がっていく。従って、その媒体が励起線に反応してリリースする光子の個数は、その励起線の連続入射時間が同じならば、その励起線の強度に比例して即ち合焦スポット中心22から遠い位置程、少なくなる。
更に、画像記録媒体から情報を取得する際には、概ね定められている経路に沿ってその媒体への励起線入射位置を変化させていく。このプロセスのことを本願では「走査」或いは「スキャン」と呼んでいる。レーザ技術を用いる場合、合焦スポット特性を相応の精密さ及び正確さで制御することによって、励起線入射先エリアを狙い通りのごく狭いエリアにすることができる。
画像記録媒体に対する走査は、例えば合焦スポットの位置を2本の軸沿いに変化させることによって行う。例えば軸のうち1本に沿ってある範囲に亘り合焦スポット位置を変化させること、即ち媒体走査線上を励起線の合焦スポットで走査することで、画像走査線1本分の画像情報をその媒体から得ることができる。「媒体走査線」とは、媒体表面上に想定されそれに沿って励起線入射位置を移動させるとその媒体の一部を横断することとなる走査対象経路のことであり、その形状は、直線、弧、螺旋等好みの形状にすることができる。こうした媒体走査線のうち1本に沿って励起線入射位置を変化させていくと、出力画像上で一筋に並んでいる複数個の画素、即ちその媒体走査線に対応する出力画像内線分(画像走査線)上の各画素の強度を示す画像情報が得られる。通常、媒体走査線及び画像走査線は直線であるので、得られる画像情報は出力画像内行列中のある1列乃至1行分の画像情報である。無論、例えば媒体走査線の形状を螺旋等の形状にしその媒体走査線沿いに走査することによって、走査線1本の走査で多次元的画像情報を得ることもできる。
画像記録媒体を励起線で走査する際には、例えばその媒体の表面に複数個の仮想的な領域を想定する。それらの領域はそれぞれ出力画像内画素に相当するので画素領域と呼ばれる。図2Cにその一部分を例示する蓄積性蛍光体プレート100’の表面には仮想グリッド10が想定されており、その構成要素である複数個の画素領域は方形とされ、y軸に沿ってA〜F、x軸に沿って1〜6という座標が付されている。出力画像解像度は個々の画素領域の寸法即ち画素幅w及び画素長lによって左右される。
図2Cにおいては、1本の励起線例えばレーザビームによってほぼ円形の合焦スポット20が形成されている。走査の際には、合焦スポット20が蓄積性蛍光体プレート100’の表面を横断するようそ励起線の入射位置を動かしていく。時間経過による入射位置変化を表すため、この図には複数個の合焦スポット20からなる連続スナップショットを示してあるが、実際には合焦スポット20の位置はほぼ連続的に動いている。図中の媒体走査線15a〜15cは何れもy軸と平行であり、励起線入射に際しては、まず、合焦スポット20が媒体走査線15a沿いに媒体表面を横断することとなるようよう、その入射位置を間断なく動かしていく。所望のy値範囲内を横断し終えたら、画素領域のx方向寸法即ち画素幅w分だけ入射位置をx方向にずらして、次の媒体走査線15b、更に次の媒体走査線15c、というように同様の動作を繰り返していく。こうしてその合焦スポット20で各媒体走査線沿いに媒体表面が横断走査されるよう励起線入射位置を動かしていくこと、即ち媒体表面のラスタYX走査によって、その媒体から画像を読み出すことができる。
他方、画像を表現する際には強度の空間分布を用いるのが普通である。画像の「強度」とは、大まかにはその画像内の各所で画像信号が採る振幅、頻度、数値等のことである。例えばX線画像における各画素の強度(画素値)は、各空間位置でX線に対し露出された物質のX線吸収特性を表しており、間接的にその物質のZ値乃至密度も表している。従って、画像記録媒体から画像を得るには、その媒体上に仮想グリッドを想定し、その仮想グリッドを構成する各画素領域毎に画素強度乃至画素値を求めればよい。
例えば蓄積性蛍光体プレート100’を励起線で走査すると、その画素領域上に励起線合焦スポットが形成され領域内蛍光体分子が励起されている期間に、各画素領域から誘導線が放射される。従って、画像を得るには、その期間に画像記録媒体から放射される誘導線の量を対応する画素の画素強度に変換する(例えば前者を以て後者を表す)処理を、各画素領域について実行すればよい。励起線に反応して媒体から放射される誘導線の量は、その誘導線に感応する検知器を用いることによって、計測することができる。
画像記録媒体から誘導放射されるエネルギを検知計測しその結果を表す検知信号を得るには、電磁波に反応する物質即ち各種光反応性物質を用いればよい。例えばホトマル管(photomultiplier tube)を用いれば、検知信号として、誘導線量に比例する強さの電気信号を得ることができる。検知信号は、励起線に応じ媒体から発せられる誘導線の量を表す限り、どのような形態・性質の信号でもよい。各画素領域の画像強度は、通常、検知信号に基づき計算される。
また、図2Cに示した蓄積性蛍光体プレート100’は例えばN×Mサイズの仮想グリッドを有するより大きな媒体の一部であり、これをレーザビーム等の励起線によって走査することによって図3に示すような検知信号が得られる。図中の各グラフ17a、17b及び17cは、例えば走査線15a、15b及び15c(同順)に沿って励起線入射位置を動かしていったときにプレート100’から放射される誘導線の量を示している。具体的には、各検知信号19a、19b及び19cは、走査線15a、15b及び15c(同順)に沿ってその入射位置を動かしつつ励起線を入射したときプレート100’から放射される誘導線のうち、ホトマル管等の検知器により検知される分のエネルギ量を表している。
こうした画像取得プロセスでは幾通りかの要因でシステムDQEが左右される。その一つは検知信号19a、19b及び19cのSNRである。このSNRは、蓄積性蛍光体プレート100’から「信号」として放射される誘導線の強度即ちそのプレート100’からリリースされた誘導線の振幅や量、その誘導線のうち検知器に集まるものの割合、並びにその画像取得プロセスで発生する「雑音」のレベルによって左右される。雑音の中には検知信号によって搬送される雑音、例えば環境(背景)輻射や蛍光体分子の減衰特性によって生じるスプリアス輻射等の他、検知及び画素形成プロセスに起因する雑音、例えば検知信号を離散化し画素値に変換する際に生じる量子化(離散化)雑音等がある。
従って、画像取得システムのSNRを向上させるには、信号強度の増強、雑音の低減又はその双方を達成しなければならない。信号強度、即ち検知信号のうち画像情報を含む部分の強度を増強するには、励起によって蓄積性蛍光体プレート内蛍光体分子からリリースされるエネルギをより多くすればよく、エネルギリリース量を多くするには例えばレーザビーム等の励起線による媒体横断走査速度を下げればよい。
これは、励起線による媒体横断走査速度を下げれば、蓄積性蛍光体プレート表面の個別画素領域上にその励起線による合焦スポットが形成されている時間、即ち各画素領域に対するレーザビーム等の連続入射時間が長くなり、ひいては励起によってその領域内の蛍光体分子からリリースされるエネルギの量が多くなるからである。反面、励起線の連続入射時間が長くなるとシステム例えばCR像リーダにおける走査所要時間も長くなってしまう。更に、蛍光体分子からのエネルギリリース量が連続入射時間の長期化に伴い指数的に減少していくことにも、注意すべきである。即ち、エネルギリリースの大半は初期の僅かな時間例えば減衰時定数の1〜2倍程度の時間のうちに生じるので、そのシステムにおける連続入射時間をそれよりも長くしたとしても、走査所要時間が長くなる割にエネルギリリース量は増えない。
蓄積性蛍光体プレートからのエネルギリリース量を増大させるには励起線を強めてもよい。励起線のパワー例えば光束を増せば、その励起線で励起された蛍光体分子から放射される誘導線の量が増す。反面、励起線をハイパワーにすると励起線による実効励起面積が増し(例えばレーザビームにより形成される合焦スポットの実質面積が増し)、空間解像度があまり良くない画像しか得られなくなってしまうことがある。
本願出願人がこのたび解明、認識したところによれば、システムDQEを向上させるには画像記録媒体をマルチパス走査するのが最も有効である。マルチパス走査とは、概略、ある領域を励起線にて複数回走査しその領域内の蛍光体分子を複数回励起させることである。マルチパス走査では、例えばある領域を励起線への露出開始から継続的な露出を経て露出終了に至るまで実質的に連続に走査し(第1パス)、同じ領域をもう1回励起線に露出させる(第2パス)、というように複数回走査する。こうして媒体上の同じ領域をマルチパス走査すると、その媒体内の蛍光体分子がパス毎に改めて励起され、その蛍光体分子に蓄積されているエネルギがパス毎に追加リリース及び追加検知されるため、その撮像システムのDQEが高まることになる。
図4に、部分円筒状画像記録媒体走査型画像取得装置たるCR像リーダ400を示す。この図のリーダ400は、部分円筒状画像記録媒体を走査し画像を取得するのに相応しく、並進自由度が1で回転自由度が1の光学系を用い媒体を走査する構成を採っている。使用している光学系がこのような光学系であり、平坦面走査型画像取得装置と異なり並進自由度が2の光学系を使用していないため、部分円筒状媒体への励起線入射及びそれによる横断走査を簡便且つ精密に行うことができる。なお、同種の特徴を有する装置は、Korenに付与され本願出願人に譲渡された米国特許に係る特許文献3にも記載されている。この参照を以て、特許文献3の全内容を本願に繰り入れることとする。
また、この図のCR像リーダ400には円筒状装着面410が設けられている。この面410は、対X線露出済画像記録媒体例えば蓄積性蛍光体プレート1000が装着される面である。プレート1000は、面410上に内側から沿面配置され、面410の形状に倣って変形する。プレート1000の基本構造は図1〜図3に示した媒体と同じであるが、可撓性基板上に蛍光体層を被着させることで面410に倣い変形可能となっている。装着中に加わっていた変形力は取外により消失するので、面410から取り外せばプレート1000は元通りの平坦形状に戻る。また、光学部ベンチ420には、ステッパモータ430、レーザ光源440及び反射面450が設けられている。
レーザ光源440は、励起線たるレーザビーム460を軸435とほぼ平行な方向に出射し反射面450上に入射させる。面450は、そのビーム460を反射して軸435上から外し蓄積性蛍光体プレート1000に入射させる。面450は、例えば軸435に対し45°傾けた鏡面として、或いはプレート1000に入射するようビーム460を軸435上から外し外方に向けるペンタプリズムによって、形成する。但し、これらは一例に過ぎず、励起線方向を制御し画像記録媒体上に望み通りに入射させうる面、部材乃至部材群であればどのようなものでも、好適に使用することができる。
蓄積性蛍光体プレート1000上を走査する際には、例えばまず、反射面450を回転させつつプレート1000上にレーザビーム460を入射する。すると、プレート1000におけるビーム460の入射位置が、プレート1000上で特定方向に沿って特定範囲に亘り、円弧を描いて変化していく。こうしてプレート1000への励起線入射方向を変えある1本の円弧例えば走査線25沿いに横断走査を行ったら、ステッパモータ430により軸435沿いに1画素幅分だけ、レーザ光源440及び面450を並進させる。並進させたら再び、面450を回転させつつプレート1000にビーム460を入射することにより、プレート1000を次の走査線に沿って円弧状に横断走査する。以下、この手順を繰り返していけばよい。なお、これとは逆に光学部ベンチ420側を固定しておき、面410を軸435沿いに1画素幅分(但し逆方向に)動かすようにしてもよい。
ここに、従来装置においては画像記録媒体の走査がシングルパス(1回のパスのみの走査)であった。即ち、まずx=0にて蓄積性蛍光体プレート1000を円弧状に走査し、次いでx値をインクリメントさせて同じく円弧状に走査し、という動作を、軸435に沿ってx=N即ち走査完了まで繰り返すようにしていた。しかしながら、こうしたシングルパス走査では、プレート1000に記録されている画像情報のうちかなりの部分が潜在エネルギとして取り残され、結局は損失となるので、システムDQEが低くなってしまう。
そこで、本発明の好適な実施形態においては、まず軸435に沿ってx=0からx=Nまでx値をインクリメントさせつつ各円弧状走査線に沿って第1パス走査を行い、それが終わったら今度は、軸435に沿ってx値をx=Nからx=0までx値をデクリメントさせつつ各円弧状走査線に沿って第2パス走査を行うようにしている。図示しないが、ホトマル管等の検知器は、誘導線乃至それに含まれる情報をどのパスでも好適に集めることができるよう、構成及び配置されている。従って、こうして蓄積性蛍光体プレート1000上の各領域を励起線に対し2回ずつ露出させ、各パスにて図示しないホトマル管からもたらされる検知信号に含まれる情報をパス同士で結合させることにより、出力画像を生成することができる。プレート1000内蓄積エネルギはパス数を増やせば増やす程多く取り出せるので、パス数は取り出したいエネルギの量に応じ幾つに増やしてもよい。総じて、こうしたマルチパス走査の実行により、検知信号強度が実効的に高まり、ひいてはシステムDQEが高まることとなる。
反面、このプロセスでは、パスを重ねる毎に走査所要時間が長くなる。しかしながら、システムDQE向上効果に比べれば大したことではない。それは、上述したプロセスでは蓄積性蛍光体プレート1000内蓄積エネルギがパス毎に一定割合ずつリリースされるので、特に最初の2乃至3パスでシステムDQEがかなり高まるからである。例えば、プレート1000内蓄積エネルギのうち平均して約30%が1回のパスでリリースされるなら、パスを重ねる毎にその時点での残留エネルギの約30%がリリースされるので、パス数増加に伴う走査所要時間長期化を補って余りある程、システムDQEが向上する。具体的には、仮にパス毎に残留エネルギの1/3がリリースされるなら、デュアルパスシステム(パスが2回のシステム)では原蓄積エネルギのうち5/9がリリースされ、トリプルパスシステム(パスが3回のシステム)では原蓄積エネルギのうち6/9弱がリリースされる。なお、ここで掲げた数値は一例、即ち蓄積エネルギの約1/3がパス毎にリリースされるシステムでの例に過ぎない。
更に、露出済蓄積性蛍光体プレートからどの程度の時間で画像を取得できるか(取得所要時間)についても、CR像リーダに対し強く求められる性能であるので検討する必要があろう。取得所要時間を測る指標には大別して走査所要時間とサイクル時間がある。そのうち走査所要時間は、励起線をそのプレートに照射し始めてから誘導線即ち画像情報の取得・収集を終えるまでの期間のことである。例えば従来システムにおける走査所要時間は、対プレートシングルパス走査の実行に必要な時間である。ご理解頂けるように、パス数を増やすと走査所要時間は長くなる。
他方のサイクル時間は、大まかには、そのCR像リーダにカセットをロードしてからそのカセット内に蓄積性蛍光体プレートが戻入されるまでの時間のことである。カセットとは、そのプレートが物理的に損傷したり不用意に光にさらされたりすることがないよう蓄積性蛍光体プレートを保護するカバー乃至ケース、とりわけそのプレートを出し入れ可能に構成されたもののことである。
サイクル時間には、カセット内からCR像リーダへの蓄積性蛍光体プレートのロード、そのプレートの走査、画像の再構成、プレート上の情報の消去、カセット内へのプレートの戻入、そしてそのカセットのイジェクト等の諸動作に要する時間が含まれる。大抵のシステムでは、サイクル時間に占める走査所要時間の比率は1/2未満であるので、例えばデュアルパス走査を行ったため走査所要時間が2倍になったとしても、サイクル時間はそれほど長くならない。
本願出願人の知見によれば、CRシステムにて重要なのは走査所要時間ではなくむしろサイクル時間であり、マルチパス走査の導入による走査所要時間の長期化は十分に正当化することができる。即ち、放射線部門内作業手順について検討する際に放射線科の医師や放射線技師が最重要視する時間的要素は、結局のところサイクル時間である。露出が済んだ蓄積性蛍光体プレートから可視画像を得るまで及び使用したCR像リーダの準備が整い次の画像の取得を実行できるようになるまでの時間をどの程度短縮できるかの方が、そのCR像リーダにおける対プレート励起線入射に正味どれだけの時間が費やされるかよりも、重要だと見なされるわけである。こうしたことから、本願出願人は、走査所要時間が長くなりまたサイクル時間も多少長くなるけれども、そうした不利益は、マルチパス走査によるシステムDQEの向上により補って余りあるものであると考える。
図5に、本発明の他の実施形態に係るマルチパスCR像リーダ500を示す。この図に示すリーダ500は、図4に示したCR像リーダ400と類似してはいるが、マルチパス走査時に励起線入射位置が描くパターン(走査軌跡)が異なっている。即ち、前述の手順であれば、軸535沿いに往路で第1パス円弧状走査が一括実行され、次いで軸535沿いに復路で第2パス円弧状走査が一括実行されるのであるが、本実施形態では、軸535沿いの各位置で走査を2回ずつまとめて実行し、それが済んだら軸535沿いに次の位置に移るようにしている。
例えばx=0では、まず図示の如くレーザビーム560aの入射位置を第1パス方向565に動かして円弧状の走査線25を辿り画像情報を取得する。この方向での横断走査が終わりその円弧の端に達したら、反射面550の回転方向を反転させることでレーザビーム560bの入射位置を第2パス方向575に動かし、先に辿った円弧と同じ円弧を逆向きに辿っていく。こうして走査線25に対する第1及び第2パス走査を終え走査線25についての画像情報を往復合計で二種類取得したら、ステッパモータ530を駆動して軸535沿いに反射面550の位置をインクリメントさせる。その後は、引き続く別の走査線についても、時計回りの往路円弧状走査と反時計回りの復路円弧状走査を行い、往復合計で各位置二種類ずつ画像情報を取得する。マルチパス走査における走査軌跡は、このような往復走査を含む走査軌跡にすることもできる。但し、軸535沿いの各位置における同一円弧走査回数即ちパス数は何個にも増やすことができる。
図6A〜図6Cに、本発明の更に他の実施形態に係るマルチパスCR像リーダ600を示す。この図のリーダ600は、図4及び図5に示したCR像リーダ400及び500と類似している。また、多々あるその構成要素は、何れもその配置乃至構成が工夫されているので、画像記録媒体たる蓄積性蛍光体プレート1000の表面上に予め大略設定されている経路沿いに、励起線入射位置を移動させることができる。
また、蓄積性蛍光体プレート1000表面の円弧状走査を、軸635に沿って励起線入射位置を動かしつつ行い、それにより複数本の円弧を順繰りに辿ることができる限り、本実施形態ではどのような電気乃至機械部品でも使用することができる。例えばその光学系が軸635沿いに並進する構成を採ってもよいし、円筒状装着面610が軸635沿いに並進する構成を採ってもよい。この点を考慮し、図6A〜図6Cでは装置構成上の細部を省略しているが、実際には、プレート1000を走査することができる種々の仕組み乃至機構が設けられているものとする。
図6A〜図6Cに示すマルチパスCR像リーダ600においては、図4に示した反射面450や図5に示した反射面550に代わりビームスプリッタ650が設けられている。スプリッタ650は、励起線源たるレーザ光源640から入射してくるレーザビームをレーザビーム660aとレーザビーム660b、即ち互いにほぼ180°異なる方向に向いた2本のビームに分割して出射する。例えば図6Aにおけるビーム660aの出射方向は蓄積性蛍光体プレート1000側、ビーム660bの出射方向はそれとは逆側であるので、ビーム660aはプレート1000に入射して蛍光体分子を励起させるが、ビーム660bでは励起は生じない。図6Bから理解できるように、スプリッタ650を回転させてもビーム660aとビーム660bの間の補角(角度間隔)は変わらないので、蛍光体分子の励起には常にビーム660a及び660bのうち一方だけが使用される。スプリッタ650が更に回転すると、図6Cに示すようにビーム660aが蛍光体分子に入射しなくなり、それに代わるようにしてビーム660bの入射が始まる。この後ビーム660bの入射位置が辿る経路は、先の横断走査の際にビーム660aの入射位置が辿った経路と同じ円弧である。従って、ビーム660aによる第1パスを経た後も蛍光体分子に残っていたエネルギの一部が、ビーム660bによる第2パスにてリリースされることとなる。第2パスを終えたら、スプリッタ650の軸635沿い位置をインクリメントさせるか、或いはプレート1000乃至円筒状装着面610を並進させることによって、その次の走査線についての画像情報取得動作に進む。
従って、本実施形態においてはレーザビーム650をその向きを変えずに連続出射すればよいので、図5に示した実施形態と異なり、各種方向制御装置の回転を停止、逆転、再開等させる動作が必要ない。また、ビームスプリッタ650の代わりに2個の反射面を用いることもできる。例えば、励起線が互いにその補角を保ちながら複数通りの方向に向かうよう、鏡面やペンタプリズムを配置、構成すればよい。励起線源たるレーザ光源は例えば反射面毎に設け、反射面毎に別々の光源からレーザビームを入射させる。それら2個の反射面を互いに同期して回転させれば、上述の実施形態と同様、蓄積性蛍光体プレート1000に常にビームを1本ずつ入射させることができる。なお、光学系の構成は他にも色々とあり、従ってビームの複数本同時発生によるマルチパス走査を行える構成は他にも色々あり得る。
図7A及び図7Bに、それぞれ、本発明の更に他の実施形態に係るマルチパスCR像リーダ(マルチパススキャナ)を示す。まず、図7Aに示すマルチパスCR像リーダ700は、例えば歯科医療におけるX線口腔内撮影画像の取得に使用できるよう、何枚かの蓄積性蛍光体プレート例えば710a〜710gを一括走査可能に構成されている。また、このリーダ700の中心には光学部品740が配置されており、プレート710a〜710gは部品740を取り巻くように配置されている。部品740は、それらのプレート710a〜710g上の円弧状の走査線に沿い励起線入射方向を変化させることで、それらを横断走査する。集光型検知器たるホトマル管790は、プレート710a〜710gのうち励起されているものから放射される誘導線を検知する。コントローラ730は励起線による所定経路沿い走査を制御する。
なお、蓄積性蛍光体プレート710a〜710gは何らかの支持手段で固定しておく。例えば、それらプレート710a〜710gを1枚ずつ差し込めるよう何個かのスロットを形成しておく。更に、それらのスロットは、そのスロットにプレートを差し込むとそのプレートの位置及び姿勢が走査向けの位置及び姿勢となり、また差し込んだプレートが撓んでほぼ部分円筒面状になるように設ける。こうしてスロットに差し込まれたプレート710a〜710gにより形成される走査対象面、即ち光学部品740を囲む面を走査する部材は、様々な構成を採りうる。例えば、走査対象面上に入射する励起線により円弧状の部分軌跡が次々と描かれることとなるよう、軸735を中心に回転可能且つ軸735沿いに移動可能に部品740を構成乃至配置してもよいし、或いは、軸735を中心にレーザ光源(励起線源)を回転させ軸735沿いにスロットひいてはプレート710a〜710gを移動させる構成としてもよい。
コントローラ730は、励起線たるレーザビームが描く走査軌跡が狙った通りになるよう光学部品740を制御する。例えば、ビームを外向きに転向させるため部品740に何個かの反射面を組み込みそれらを軸735を中心に回転させる構成を採る場合、コントローラ730は、それらの面の回転速度及び方向を制御することによって、部品740から出射されるビームの方向を制御し所望の走査経路を辿らせる。この制御は、例えばコントローラ730をマイクロプロセッサによって構成し、そのマイクロプロセッサにて何種類かのモータ制御プログラムを実行することにより行う。反射面に関わる何個かのモータを駆動、制御することによって、そのモータに連結されている反射面の向き(ビーム方向)を変化させることができる。また、差し込まれている蓄積性蛍光体プレート710a〜710gに向けビームを出射できる構成及び配置である限り、励起線源例えばレーザ光源を初めとする部品を、何個でもまたどのような種類のものでも部品740に組み込むことができる。従って、部品740の構成やそれを制御するコントローラ730の動作を適宜設定することで、ビームの本数や走査経路を様々に設定することができる。具体的には、マルチパスCR像リーダ700に差し込まれるであろうプレートに適したやり方で、実際に差し込まれたプレートが走査されるよう、コントローラ730を動作させてマルチパス走査を行えばよい。
コントローラ730動作の設計、設定次第で実現できる走査形態としては、第1にプレート全長を第1パスでラスタスキャンした後そのプレート全長を第2パスでラスタスキャンする形態があり、第2に走査線毎に第1及び第2パスを連続実行する形態がある。第1の形態を採る場合、まず励起線例えばレーザビームにより蓄積性蛍光体プレート710a〜710gを1回ずつ円弧状走査する動作を、軸735沿いに励起線入射位置を変えつつ軸735沿いの各位置で実行し、第1のラスタスキャン画像を得る(第1パス)。次に、軸735沿いの動きを第1パス時に対し反転させて同様の動作を実行し、第2のラスタスキャン画像を得る(第2パス)。第2の形態を採る場合は、軸735沿いの各位置でビームによる時計回り第1パス走査及び反時計回り第2パス走査を行い、その上で軸735沿いに励起線入射位置をインクリメントさせて次の走査線に係る画像を取得する。これらの走査形態は、コントローラ730による光学部品740の位置決め及び動作制御次第で随意に実行できる。
コントローラ730は、更に、設けられているスロットのうち何個かに蓄積性蛍光体プレートが差し込まれていなかったらその分走査軌跡が短くなるよう構成することや、ある1枚のプレートについてのマルチパス走査が終わらないと次のプレートの走査が始まらないよう構成することもできる。例えば、まずプレート710aのマルチパス走査、次はプレート710bのマルチパス走査、というように全てのプレートを1枚ずつ順繰りにマルチパス走査するようにする。各プレートのマルチパス走査は、軸735沿いに円弧状走査位置を変えつつ、そのプレート内で個別走査線沿いの走査を繰り返すことにより行う。各プレート内での個別走査線沿い走査は、光学部品740からそのプレートに入射する励起線例えばレーザビームで、円弧状走査線に沿ってそのプレートを横断させることで行う。こうした動作は部品740の位置及び姿勢の制御で行える。複数枚のプレートをマルチパス走査する際プレート未装着のスロットをとばすことができ、また各プレート内の個別走査線の長さがそのプレートの寸法によって上限制限されるため、全体として走査軌跡が短くなる。また例えば、軸735に沿った励起線入射位置を相対的に固定した状態で、そのCR像リーダ700のスロットに差し込まれている個々のプレートを円弧状走査する動作を、励起線入射位置を軸735沿いにインクリメントさせつつ繰り返すプロセスにおいても、プレート未装着スロットをとばして走査することで走査軌跡を短縮できる。なお、いわゆる当業者であれば、これら以外の走査経路に従い走査を行う構成を様々に想到できるであろう。マルチパス走査部分を含む走査経路である限り、どのような走査経路を用いるやり方も本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明のまた別の実施形態として図7Bに示すCR像リーダ700’は、図7Aに示したCR像リーダ700と類似した構成のマルチパススキャナでありながら、図6A〜図6Cを参照して先に説明したものと類似したやり方でマルチパス走査を行うよう構成されている。即ち、その光学部品740は、軸735から見て半径方向外向きに且つその補角を保ちながら2本のレーザビーム760a及び760bを出射するよう、構成されている。部品740はビームスプリッタによって実現してもよいし、ビーム760a及び760bを1本ずつ別々の線源によって発生させる構成によって実現してもよい。それらの構成では、ビーム760aとビーム760bの補角を概ね一定に保持することができ、ひいては同じ蓄積性蛍光体プレートに同時に入射するビームの本数を常に1本以下にすることができる。また、この構成では、ビーム760a及び760bのうち一方が何れかのプレートに入射しているとき、他方のビームが遮光部品795に入射する場合がある。遮光部品795は、プレートに入射していない方のビームが、入射している方のビームによる励起及びホトマル管790による検知のプロセスを妨げないよう、入射していない方のビームを吸収、閉じ込め等する構造物であり、様々な手段で実現することができる。
また、励起線源及び検知器を二組設け一方の励起線源及び検知器と他方の励起線源及び検知器を互いに遮光する構成を採れば、蓄積性蛍光体プレート装着用スロットを光学部品740中心に全周配置することが可能になる。即ち、例えば一方のレーザ光源からのレーザビームが片側の半円筒面に入射しているときに、他方のレーザ光源からのレーザビームが向かい側の半円筒面に入射する構成を採ることができる。この構成では、まず2本のレーザビーム760a及び760bのうち一方が片側180°分の空間を受け持ち、他方がその向かい側の180°分の空間を受け持つ形で、角度分担してプレート群を走査し(第1パス)、それら2本のビーム760a及び760bが180°回転し終えたら、引き続きそれらのビーム760a及び760bで次の180°範囲即ちこれまでとは別の半面を走査する(第2パス)、という形態で、マルチパス走査を実行することができる。なお、いわゆる当業者であればこれら以外にも様々な走査経路及び装置構成を想到できるであろう。使用する走査経路にマルチパス走査部分が含まれる限り、そうした走査経路及び装置構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。
また、以上説明した例では、どの励起線の入射位置も概ね途切れなく連なっておりそれにより走査軌跡が形成されているが、レーザビーム等の励起線を間断なく入射し蓄積性蛍光体プレート上を横断走査すると、一部の期間にて、そのプレート上で隣同士の関係にある2個の画素領域に1本のレーザビームが同時入射してしまう。その期間には、一方の画素領域内からのエネルギリリースと他方の画素領域内からのエネルギリリースとが必然的に同時発生する。各画素の画素強度として検知される情報が隣接画素の影響を受けるこのクロストークという現象は、大抵の場合、出力画像の解像度及び画質を劣化させる原因になる。
先に掲げた図2Cから読み取れるように、合焦スポット形成部位は単一画素領域内に収まるとは限らず、その一部が他の画素領域にはみ出すことがある。合焦スポットがそのような部位に形成されている場合、検知器によってもたらされる検知信号には複数個の成分、即ちそれぞれその出自画素領域が異なる情報を搬送する複数通りの成分が含まれることになる。この現象については、Korenによる発明に係りその特許を受ける権利が本願出願人に譲渡されている米国暫定特許出願第60/531026号や、それを基礎とする2004年12月20日付米国特許出願第11/018385号に記載がある。なお、この参照を以てそれらの出願の全内容を本願に繰り入れることとする。当該出願には、更に、走査線沿いにレーザビームをパルス制御する方法も記載されている。この方法を利用し、レーザビームを適宜オンオフさせれば、蓄積性蛍光体プレート上に想定されている仮想的な区分けである仮想グリッド上で、合焦スポットが単一画素領域からはみ出さないようにすることができる。
図8に、走査線沿いに横断中の励起用レーザビーム、特に本発明の一実施形態に従いパルス状にオンオフされているものを示す。レーザビームによって形成される合焦スポット40はこの例ではほぼ楕円形であり、所望解像度に応じて決まる画素領域走査方向寸法即ち画素長に比べると、その短軸がかなり短く設定されている。また、その長軸が、所望解像度に応じて決まる各画素領域の画素幅よりも僅かに短く設定されているので、走査線に沿って動かす限り合焦スポットが複数列に跨ることはなく、従って走査線と交差する方向におけるクロストークは発生しない。
合焦スポットが形成されるのはレーザパルスがオンしているときだけである。図中、実際に形成される合焦スポットは、内側が塗り潰された実線の楕円によって表してある。例えば位置40dにある楕円が合焦スポットである。レーザパルスがオフしているときには合焦スポットは形成されないが、仮にその期間にレーザパルスがオンされレーザビームが画像記録媒体に入射したとしたら形成されるであろう仮想的な合焦スポットの位置を、図中、破線の楕円で示してある。位置45aにあるのがその仮想合焦スポットの例である。
図中、位置40aではレーザパルスはオンしている。そのパルスは、合焦スポットが位置40aからスタートし走査軌跡15’沿いに移動してその先端が画素領域A1の端に到達するまで(合焦スポットが位置40dに移動するまで)オンさせておく。即ち、合焦スポットが他の画素領域にはみ出さない位置にあるうちは、レーザビームを途切れなく画像記録媒体に入射させる。合焦スポットが他の画素領域にはみ出す位置に達したらパルスをオフさせる。その後、仮にビームを入射したとしたら合焦スポットが複数個の画素領域に跨ってしまうこととなるであろう期間は、図中45a、45b等の位置に仮想合焦スポットとして示した通り、オフ状態を継続させる。具体的には、合焦スポット後端が通り抜け画素領域B1内に入るまで、パルスをオフ状態に保つ。合焦スポットが複数個の画素領域に跨ることがないような位置に達したら、位置40eに合焦スポットとして示す通りパルスをオンさせ、その後位置40hに達しその画素領域B1を横断し終えるまではオン状態を保持する。そして、このようにパルス状にレーザをオンオフさせる処理を走査線全長に亘り繰り返し実行し、その走査線に係る画像情報を取得し終えたら、その画像記録媒体上の別の走査線についても、パルス型励起線源たるパルスレーザ光源を用いて同様の手法による画像取得を実行する。
このように、レーザパルスのオンオフタイミングを適切に設定することにより、合焦スポットが完全に又は実質的に1個の画素領域に収まるときだけレーザビームをオンさせて走査を実行し、合焦スポットが複数個の画素領域に跨るときには必ずオフさせることができるため、クロストークを低減又は解消できる。即ち、パルス制御されたレーザビームで走査線沿いに横断走査して得られる検知信号は、どの時期に得られた信号であっても単一画素領域からの情報だけを含む信号となり、他の画素領域からの情報がその信号に混ざることはない。従って、得られた検知信号を時間で区切るだけで、その信号を画素領域単位に分割できるため、出力画像の解像度及び画質を高めることができる。
また、パルス制御されたレーザビームによる走査を利用することで、走査所要時間の実質的増加を伴わずにマルチパス走査を実行することができる。例えば、双方共そのデューティ比が約50%で(即ちレーザパルスのオン時間とオフ時間がほぼ同じ長さで)互いに同一パルス周波数且つ逆相である二種類のパルス制御レーザビーム、即ち一方がオンしているときに他方がオフする(一方に対し他方がそれ相応の時間遅延している)第1及び第2パルス制御レーザビームを生成し、蓄積性蛍光体プレートに向け出射するようにする。第1パルス制御レーザビームによってそのプレートに対する第1パス走査をまた第2パルス制御レーザビームによって第2パス走査をそれぞれ実行することができ、しかもそれら第1及び第2パス走査を継起的にではなく間挿的に実行できるので、結局のところ、シングルパス走査時の走査所要時間に比べ若干長いだけの走査所要時間で、デュアルパス走査を行うことができる。
図9に、本発明の一実施形態に係るCR像リーダ900を示す。この図のリーダ900は図4及び図5に示したCR像リーダとほぼ同じ構成であるが、パルス制御レーザビームを利用してマルチパス走査を実行することができる構成であることや、その光学部品940の機能の点で違いがある。なお、このリーダ900を実現するのに使用できる部品は周知であるので、その構成をより解りやすく示すため、この図では光学部ベンチの一部について明示的な図示や説明を省いている。更に、その光学部品940は、蓄積性蛍光体プレート1000上の狙い通りの位置に励起線を入射できるものである限り、どのような部品(群)によってどのような構成で実現してもよい。
本実施形態では、図9に示す光学部品940から出射される2本のレーザビーム960a及び960bをある周期でオンオフさせることによって、デュアルパス走査を行うようにしている。まず、最初の時点でビーム960aがオンしており、蓄積性蛍光体プレート1000に入射して合焦スポット90aを形成しているとする。ビーム960aがオンしている期間には、プレート1000上でそのビーム960aが入射しているある1個の画素領域が、その画素領域の寸法とほぼ同じ長さの短円弧に沿って走査される。図中合焦スポット90bとして示すように、合焦スポットの先端が入射先画素領域の端部に到達する時点を狙いビーム960aをオフさせ、代わりにビーム960bをオンさせると、ビーム960bがプレート1000上に入射して合焦スポット95aを形成する。ビーム960bがオンしている期間には、プレート1000上におけるビーム960bの入射先画素領域が短円弧に沿って走査される。
レーザビーム960bがオンしている期間も、円弧延長線に沿い蓄積性蛍光体プレート1000上を横断するようレーザビーム960aの出射方向を仮想的に動かし続けるが、この期間にはビーム960aはオフしているので、プレート1000にビーム960aが実際に入射しプレート1000がビーム960aによって実際に走査されるわけではない。図中の仮想合焦スポットは、仮にビーム960aのパルスがオンしビーム960aが入射したとしたら形成されるであろう合焦スポットの位置を示すものである。ビーム960bによる合焦スポットの先端がその入射先画素領域の端部に達する時点が来たら、ビーム960bをオフさせ代わりにビーム960aのパルスをオンさせる。このように、一方のレーザビームのパルスがオンしていてそのビームがある単一の画素領域内に入射しているときに、他方のレーザビームのパルスをオフさせることにより、クロストークの原因となる誘導放射の発生を避けることができる。即ち、例えば第1パス実行用のレーザビームのパルスがオフしているときには、第2パス実行用の別のレーザビームで第2パスを実行することができる。
レーザビーム960a及び960bの生成、出射手段は様々な形態で実現できる。例えば、各ビームを別々のレーザ光源で生成し、それらのレーザ光源からのビームを別々の反射手段(例えば1個又は複数個のペンタプリズム)で蓄積性蛍光体プレート上に向ける構成にする。各レーザ光源を適切なタイミングでオン、オフさせれば、上掲の如きビーム960a及び960bが得られる。また、同一のレーザ光源にて生成したビームを1個又は複数個の反射面に入射し、その反射面の向きを適宜制御することにより2本のビーム960a及び960bを時分割で生成して、担当するパスの走査線上の適切な位置に入射させる構成を採ってもよい。後者の構成においては、励起線源の動作期間を第1パス用のオン期間と第2パス用のオン期間に分け、第1パス用オン期間には第1パス走査線上の狙った位置にビームが入射し(第2パス走査線上には入射せず)第2パス用オン期間には第2パス走査線上の狙った位置にビームが入射する(第1パス走査線上には入射しない)ようビーム方向を切り替えるので、ビームがオフになることがない。
また、図9に示した例においては、レーザビーム960bが走査線まるまる1本+約45°の間隔をおいてレーザビーム960aを追いかけている。ビーム960aとビーム960bの間にあるこの関係は一例に過ぎず、実際には任意に設定することができる。例えば、直前のオン期間にビーム960aが走査したのと同じ画素領域をビーム960bが走査するようにしてもよい。即ち、ビーム960bが1画素分だけビーム960aの後方にある構成にしてもよい。ビーム960bはビーム960aに対し走査線何本分或いは(同一走査線上で)何度後方にあってもよいが、両者の間隔が短ければ短い程、デュアルパス走査にかかる時間がシングルパス走査所要時間に近くなる。
ホトマル管990によってもたらされる検知信号の処理は、例えば、2本のレーザビーム間の関係についての情報にアクセスできるプロセッサにより行う。プロセッサによる検知信号処理をその種の情報に基づき行うことにより、第1パスで得られた検知信号及び第2パスで得られた検知信号の中から、同一の画素領域に係る情報を含む部分を選び出して互いに結合させ、出力画像中の対応する画素の画素強度値を得ることができる。
以上、本発明の幾つかの実施形態に関し説明した。いわゆる当業者であれば、以上の説明を参照した上で、また本発明の技術的範囲及び思想の範囲内で、種々の変形、置換、改良等を想到することができよう。また、以上説明した実施形態では様々な機能部材や構造要素を使用しており、またそれらを適宜組み合わせて目的とする機能乃至構造を得ているが、ご理解頂けるように、本発明を実施する際に使用できる機能部材や構造要素は多々ありまたその組合せ方も種々ある。どのような部材乃至要素を使用しどのような組合せ方をするかは、狙いとする機能乃至構造によって異なりうる。特に、ある実施形態である目的で実行・採用している動作、要素乃至構成が、他の実施形態にて同じ目的で実行・採用されることもあるし別の目的に実行・採用されることもある。このように、以上の説明はいわば例示を目的とした説明に過ぎないので、それを以て本発明を限定解釈するべきではない。本発明の技術的範囲は専ら別紙特許請求の範囲によって示されており、特許請求の範囲に記載の特徴を文言上具備する構成のみならず、特許請求の範囲に記載の構成に対して均等な構成も含め、種々の変形した構成が本発明の技術的範囲に含まれるものとする。
Claims (16)
- 放射線への露出により画像が記録された蓄積性蛍光体のシートを励起線に露出させ、そのシートから当該記録済画像と同じパターンの誘導線を放射させることにより、その記録済画像を読み出す読出方法であって、
所要強度の励起線を用い上記シートからの第1回読出を実行することにより第1露出画像を表す情報を含む第1画像信号を生成するステップと、
上記励起線を用い上記シートからの第2回読出を実行することにより第2露出画像を表す情報を含む第2画像信号を生成するステップと、
上記第1及び第2画像信号を互いに結合させることにより上記記録済画像を表す第3画像信号を生成するステップと、
を有する読出方法。 - 請求項1記載の読出方法であって、第1回及び第2回読出を、
上記シートを静的に位置決めするステップと、
上記励起線の上記シートへの入射方向を当該シートの幅方向に沿って変化させる動作を、当該励起線の入射位置を当該シートの長さ方向に沿って変化させつつ当該シートの第1の端から第2の端まで実行することにより、上記第1画像信号を生成するステップと、
上記入射方向を上記幅方向に沿って変化させる動作を、上記入射位置を上記長さ方向に沿って変化させつつ上記第2の端から上記第1の端まで実行することにより、上記第2画像信号を生成するステップと、
を実行することにより実行する読出方法。 - 請求項1記載の読出方法であって、第1回及び第2回読出を、
(a)上記シートを静的に位置決めするステップと、
(b)上記励起線の上記蓄積性蛍光体シートへの入射方向を当該シートの幅方向沿いに変化させることにより上記第1画像信号を生成するステップと、
(c)上記入射方向を上記幅方向沿いに、但し第1画像信号生成時とは逆向きに変化させることにより、上記第2画像信号を生成するステップと、
(d)上記シートの長さ方向沿いに間隔をおいて定められている各位置にて、ステップ(b)及び(c)を実行させるステップと、
を実行することにより実行する読出方法。 - 請求項3記載の読出方法であって、上記入射位置が上記シートの第1の端から上記長さ方向沿いに動いて第2の端に達するまで、ステップ(d)を繰り返し実行する読出方法。
- 請求項1記載の読出方法であって、第1回及び第2回読出を、
上記励起線を上記シートの長さ方向と平行な軸沿いにビームスプリッタに入射させ、そのビームスプリッタの回転により互いにほぼ逆を向く2本の励起線ビームを生成するステップと、
上記励起線ビームのうち1本を上記シートに入射させることにより上記第1回読出を実行するステップと、
上記励起線ビームのうち他の1本を上記シートに入射させることにより上記第2回読出を実行するステップと、
を実行することにより実行する読出方法。 - 請求項5記載の読出方法であって、上記励起線ビームのうち1本が上記シートに入射しているときに他の1本を遮光部品に入射させる読出方法。
- 請求項5記載の読出方法であって、更に、上記ビームスプリッタから上記シートへの入射位置を、上記長さ方向沿いに当該シートの第1の端から第2の端まで動かすステップを、有する読出方法。
- 放射線への露出により画像が記録された蓄積性蛍光体のシートを励起線に露出させ、そのシートから当該記録済画像と同じパターンの誘導線を放射させることにより、その記録済画像を読み出す読出方法であって、
上記シートを静的に位置決めするステップと、
上記励起線として互いにほぼ逆を向く2本の励起線ビームを生成するステップと、
上記励起線ビームのうち1本を上記シートに入射させることにより当該シートからの第1回読出を実行し第1露出画像を表す情報を含む第1画像信号を生成するステップと、
上記励起線ビームのうち他の1本を上記シートに入射させることにより当該シートからの第2回読出を実行し第2露出画像を表す情報を含む第2画像信号を生成するステップと、
上記第1及び第2画像信号を互いに結合させることにより上記記録済画像を表す第3画像信号を生成するステップと、
を有する読出方法。 - 請求項8記載の読出方法であって、励起線を上記シートの長さ方向と平行な軸沿いにビームスプリッタに入射させ、そのビームスプリッタを回転させることにより、上記第1及び第2励起線ビームを生成する読出方法。
- 請求項8記載の読出方法であって、更に、上記ビームスプリッタから上記シートへの入射位置を、当該ビームスプリッタに上記励起線を入射させつつ、上記軸沿いに当該シートの端から端まで動かすステップを、有する読出方法。
- 請求項8記載の読出方法であって、上記励起線ビームのうち1本が上記シートに入射しているときに他の1本を遮光部品に入射させる読出方法。
- 放射線への露出により画像が記録された蓄積性蛍光体のシートを励起線に露出させ、そのシートから当該記録済画像と同じパターンの誘導線を放射させることにより、その記録済画像を読み出す読出装置であって、
上記シートを静的に位置決めする位置決め手段と、
上記シートの長さ方向と平行な軸沿いに励起線を出射する励起線源と、
上記軸沿いに配置され上記励起線から互いにほぼ逆を向く2本の励起線ビームを生成するビームスプリッタと、
上記励起線ビームが片方ずつ上記シートに入射するよう上記ビームスプリッタを回転させる手段であって、(1)当該励起線ビームのうち1本が当該シートに入射しているときにその励起線ビームにより当該シートからの第1回読出を実行し第1露出画像を表す情報を含む第1画像信号を生成する動作並びに(2)当該励起線ビームのうち他の1本が当該シートに入射しているときにその励起線ビームにより当該シートからの第2回読出を実行し第2露出画像を表す情報を含む第2画像信号を生成する動作を、実行する手段と、
上記第1及び第2画像信号を互いに結合させることにより上記記録済画像を表す第3画像信号を生成する手段と、
を備える読出装置。 - 請求項12記載の読出装置であって、更に、上記励起線ビームのうち1本が上記シートに入射しているときに他の1本が入射する遮光部品を備える読出装置。
- 放射線への露出により画像が記録された蓄積性蛍光体のシートを励起線に露出させ、そのシートから当該記録済画像と同じパターンの誘導線を放射させることにより、その記録済画像を読み出す読出方法であって、
上記シートを静的に位置決めするステップと、
第1及び第2励起線ビームを生成するステップと、
上記第1励起線ビームをオンさせて上記シートに入射しそのシートからの第1回読出を実行することにより第1露出画像を表す情報を含む第1画像信号を生成するステップと、
上記第1励起線ビームがオンしている間上記第2励起線ビームをオフさせるステップと、
上記第2励起線ビームをオンさせて上記シートに入射しそのシートからの第2回読出を実行することにより第2露出画像を表す情報を含む第2画像信号を生成するステップと、
上記第2励起線ビームがオンしている間上記第1励起線ビームをオフさせるステップと、
上記第1及び第2画像信号を互いに結合させることにより上記記録済画像を表す第3画像信号を生成するステップと、
を有する読出方法。 - 請求項14記載の読出方法であって、励起線を上記シートの長さ方向と平行な軸沿いにビームスプリッタに入射させそのビームスプリッタを回転させることにより、上記第1及び第2励起線ビームを生成する読出方法。
- 請求項15記載の読出方法であって、更に、上記長さ方向沿いに上記シートの第1の端から第2の端まで上記ビームスプリッタを動かすステップを有する読出方法。
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