JP2008297534A - リポポリマー - Google Patents

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Abstract

【課題】リポポリマーのポリマーとして、分散度(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す)が特定の範囲にあり、リポポリマーについて煩雑な工程を経ることなく製造することができ、又、リポポリマーの末端に位置する活性基を介して、このリポポリマーを構成分子として金基板上に構築する生体膜類似構造体の提供。
【解決手段】予め脂質を導入したRAFT試薬を反応させた、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体又は2-ヒドロキシ-エチルアクリレート重合体と脂質からなることを特徴とするリポポリマー。
【選択図】図3

Description

本発明は、一方の末端に脂質をもう一方の末端に結合性の官能基を有する新規なリポポリマー及びその製造方法、並びに基板表面に結合されているリポポリマーに関するものである。
リポポリマー及びこれを含有するリポソーム組成物は治療を目的として研究され、リポソーム薬物製剤などの利用が積極的に進められてきている。
具体的には、ポリアルキレンオキシド修飾リン脂質(例えば、特許文献1、特許文献2)、中性リポポリマー(特許文献3)、(i)親水性ポリマーで誘導体化された小胞形成性脂質および(ii)中性リポポリマーから選択される1種もしくはそれ以上の小胞形成性脂質を含んでなるリポソームの懸濁液を用いるもの(特許文献4)などが知られている。
又、リポポリマーに取り込まれるポリマー種としては、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリメトキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドおよび誘導体化セルロースから選択されるものを用いる薬物送達系(特許文献5、特許文献6)が知られているこれらの発明が目指すところは細胞内に取り込まれ、リポソームから遊離されるリゾ脂質が寄生虫や寄生虫による感染症に有効に対処する薬剤、抗癌剤としての薬剤に利用する薬物送達システム等である。
その際のポリエチレンオキシド修飾リン脂質の合成法については、M.C.Woodleら(非特許文献1)及びS.Zalipskyら(非特許文献2)らにより報告されている。具体的には、有機溶媒中、ポリエチレングリコールの末端を1,1’−カルボニルジイミダゾールやジスクシンイミジルカーボネートを用いて活性化した後、トリエチルアミン等の塩基存在下でリン脂質と反応させ、その後逆相シリカゲルクロマトグラフィーや透析などにより精製し、ポリエチレンオキシド修飾リン脂質を得る煩雑な方法が用いられてきた。
本発明者らは、末端部分に脂質分子を持つリポポリマー及びリポポリマーを基板に固定して得られる生体膜類似構造体について研究を進めている。この場合には、細胞膜を通過させる薬物として利用するということとは相違する膜として利用するために要求される特定の課題がある。リポポリマーは、予め別種の方法により分子量や分散度を制御したポリマーを原料として用いなければならないなどの複雑なプロセスを必要とするもの(ポリエチレングリコールなど)や、分子量や分散度は制御できるものの、その合成スキームは限られたモノマー種にのみ適用することができないもの(オキサゾリンポリマーなど)に限られ、基板への結合は、エトキシ基などで置換されているSiを用いることが提案されている(非特許文献3、非特許文献4)。
以上のことから、リポポリマーのポリマーとして、Mw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す)として計算される分散度が低いということは (これは単分散に近いということを意味している)、金属基板と膜との間の距離をある程度一定に保つことを表しており、金属基板−膜間の距離を制御することであり、好ましいことであり、また基板上への製膜性のしやすさの観点からも好ましいことである。つまり、リポポリマーを金属基板上へ固定し、膜としての利用を考える場合には、分散度を調整すること及びある程度低く抑えることが必要不可欠なことである。又、リポポリマーを得るに際して煩雑な工程を経ることなく製造することができ、又、このリポポリマーの末端に基板に対して強い結合基を有する生体膜類似構造体の開発が望まれていた。
特開2002−37883号公報 特開2002−363278号公報 特開2003−505401号公報 特開平2007−500239号公報 特表2003−522193号公報 特表2003−530339号公報 Biochimica et Biophysica Acta, 1105, 193-200 (1992) Bioconjugate Chemistry, 4, 296-299 (1994) Biophysics Journal,79, 1400-1414 (2000) Macromolecules, 34, 8858-8865 (2001)
本発明が解決しようとする課題は、リポポリマーであって、Mw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す)により計算される分散度が特定の範囲にあるものとすることが膜の構成分子として好ましいものであり、分散度を特定の範囲にすることが可能であり、そのようなリポポリマーを煩雑な工程を経ることなく得られるものであり、又、末端に基板に対する結合基を有するリポポリマー及びこのリポポリマーが金基板上に固定されている膜を提供することである。
本発明者らは、前記課題について鋭意研究を進めてきたところ、リポポリマーの形成方法について、RAFT重合(付加開裂移動型重合)を適用することにより前記課題を解決することができることを見いだして、本発明を完成させた。
本発明の末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体又は2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体と脂質からなるリポポリマーは、RAFT重合を用いる工程(a)から(c)より成り立っており、次に、工程(d)生体膜類似構造体を得る工程を経て本発明の生体膜類似構造体を得ている。
具体的には、以下の通りである。
工程(a)脂質とRAFT試薬を反応させることによりRAFT試薬に脂質を導入する工程、工程(b)前記工程(a)で得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物をモノマーであるN−ビニル−2−ピロリドンと反応させることにより、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させた重合体を得る工程、工程(b)前記工程(a)で得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物をモノマーである2−ヒドロキシ−エチルアクリレートと反応させることにより、2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体を付加させた重合体を得る工程、及び工程(c)前記工程bで得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を分解して末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーの製造工程、(c)前記工程bで得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を分解して末端に活性基としてチオール基(SH基)を有する2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体と脂質からなるリポポリマーの製造工程及び工程(d)このリポポリマーを金基板に固定することにより生体膜類似構造体を得る工程。
上記工程(a)から工程(c)、(c)の工程を示すと図1の通りである。
Figure 2008297534
本発明によれば、種々なモノマー種に対応できるリポポリマーの合成方法であって、得られるリポポリマーの分散度Mw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を表す)を制御することが可能であり、リポポリマーを煩雑な工程を経ることなく製造することができ、又、リポポリマーの末端には基板に対して強い結合基を付加することができ、及びこのリポポリマーを金基板の表面に固定することにより生体膜類似構造体を得ることができる。
本発明のリポポリマーは、下記一般式(1)で示される、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するR(Rは構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体と脂質からなることを特徴とするリポポリマーである。
Figure 2008297534
得られるリポポリマーは、分散度が1.0以上1.5以下の範囲になるように設定される。分散度が此の範囲を超えて大きいもの、たとえば1.5を超えるものでは、金基板上に膜を作成する際に、基板−膜間の距離が不均一になるために膜を作成するうえで好ましくない。好ましくは、1.0以上1.4以下のもの、更に好ましくは1.0以上1.3以下のものが適していると考えられる。
分子量(Mn及びMw)及び分散度(Mw/Mn)の同定は、ポリエチレングリコールを標準物質として用いたSECカラム(Shodex KD-802.5 + KD-803)を用いて行った。展開溶媒としては、DMFに臭化リチウムを20mmol/l添加したものを用い、検出器には示差屈折率検出器を用いた。
前記一般式(1)で示される、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するR(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体と脂質からなるリポポリマーが工程(a)ROH(Rは前記一般式(5)で示されるRと同じ)で表される脂質及び下記構造式(3)で示されるRAFT試薬と反応させることによりRAFT試薬中に脂質を導入する工程、工程(b)前記工程(a)で得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物をモノマーであるN−ビニル−2−ピロリドンと反応させることにより、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させた重合体を得る工程、工程(b)前記工程(a)で得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物をモノマーである2−ヒドロキシ−エチルアクリレートと反応させることにより、2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体を付加させた重合体を得る工程、及び工程(c)前記工程bで得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を分解して末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーの製造工程、(c)前記工程bで得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を分解して末端に活性基としてチオール基(SH基)を有する2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体と脂質からなるリポポリマーである。
前記のリポポリマーは金基板などの基板表面に固定されることにより、生体膜類似構造体を構築する。前記金基板は粒子状又は板状であって差し支えない。
本発明のリポポリマーを製造するには、構造式(5)で示される脂質分子を導入したRAFT試薬を用いる。
ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)とN,N’-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)を用いた水酸基を有する二本鎖脂質(例えば1,2−ジパルミトイル−rac−グリセロール)と4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエートの縮合反応により製造した。
脂質分子を導入したRAFT試薬は以下の構造式(6)で表される(Rは前記一般式(2)と同じ)。
Figure 2008297534
脂質分子を導入したRAFT試薬は、水酸基を有する二本鎖脂質(例えば1,2−ジパルミトイル−rac−グリセロール)と4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエートの縮合反応により製造される。以下の文献に詳細に記載されている。
J.Polym.Sci.PartA:Polm.Chem.,2006.44,5809−5831,Macromol.Rapid Commun,2006、653−692。
この試薬を用いることにより高分子化合物を得る工程の特徴は、(1)様々なモノマー種に適用することができること、(2)分子量や分散度が制御することができるなどの点を挙げることができる。
本発明では、脂質分子を導入したRAFT試薬を用いることにより、分散度がほぼ一定に揃ったポリマーで、その一方の末端に脂質を、もう一方の末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーを合成することができる。
本発明のリポポリマーは以下の3工程を経て製造される。
工程(a):脂質とRAFT試薬を反応させることによりRAFT試薬に脂質を導入する工程
水酸基を有する二本鎖脂質(ROH)と4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエート(RAFT試薬)を反応させる。具体的には、例えば二本鎖脂質として1,2−ジパルミトイル−rac−グリセロール(0.2mmol)を用い、さらに4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエート(0.4mmol)、N,N’-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP、0.35mm0l)、およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC、0.8mmol)を加えて、クロロホルムを溶媒として窒素雰囲気下において室温で反応させる。
反応終了後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー更にリサイクルHPLCを用いて精製することにより、脂質分子を導入したRAFT試薬を得ることができる。
反応の具体的な詳細については以下の実施例1で述べる。
Figure 2008297534
工程(b):前記工程(a)で得られたRAFT試薬に脂質を導入した化合物をN−ビニル−2−ピロリドン(一般式(1)のRの構造式(3)を表す場合)と反応させることにより、RAFT試薬に脂質を導入した化合物にピロリドン重合体を付加させる工程
脂質分子を導入したRAFT試薬(前記工程(a)で得られる、水酸基を有する二本鎖脂質(ROH)と4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエート(RAFT試薬)を反応させて得られる生成物)とモノマーであるN−ビニル-2-ピロリドンを反応させてRAFT試薬へ脂質を導入した化合物にピロリドン重合体を付加させた生成物を得る。
具体的には、脂質分子を導入したRAFT試薬をテトラヒドロフランなどの溶媒の存在下にモノマーであるN-ビニル-2-ピロリドンを反応させて、得られた沈殿を精製することにより、RAFT試薬に脂質を導入した化合物にピロリドン重合体を付加させた重合体を得る。
反応の具体的な詳細については以下の実施例2で述べる。
Figure 2008297534
工程(b):前記工程(a)で得られたRAFT試薬に脂質を導入した化合物と2−ヒドロキシ−エチルアクリレート(一般式(1)のRの構造式(4)を表す場合)と反応させることにより、RAFT試薬に脂質を導入した化合物に2−ヒドロキシ−エチルアクリレートを付加させる工程
脂質分子を導入したRAFT試薬(前記工程(a)で得られる、水酸基を有する二本鎖脂質(ROH)と4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエート(RAFT試薬)を反応させて得られる生成物)とモノマーである2−ヒドロキシ−エチルアクリレートを反応させてRAFT試薬へ脂質を導入した化合物に2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体を付加させた生成物を得る。
具体的には、脂質分子を導入したRAFT試薬をテトラヒドロフランなどの溶媒の存在下にモノマーである2−ヒドロキシ−エチルアクリレートを反応させて、得られた沈殿を精製することにより、RAFT試薬に脂質を導入した化合物に2−ヒドロキシ−エチルアクリレート重合体を付加させた重合体を得る。
反応の具体的な詳細については以下の実施例5で述べる。
Figure 2008297534
工程(c):前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物にN−ビニル−2−ピロリドンを付加して得られるピロリドン付加重合体を分解することにより、目的とする末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーを得る工程。
前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を、テトラヒドロフランなどの溶剤中で、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、プロピルアミンの存在下に室温下に分解を行う。
具体的には、前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物にN−ビニル−2−ピロリドンを付加させて得られる重合体(20mg、Mn≒2000、0.01mmol相当)を、テトラヒドロフラン(1ml)と少量のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、プロピルアミン(50μl)を加えて室温で反応させて、反応後、反応物の沈殿を精製することにより目的とする末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーを得る。
反応の具体的な詳細については以下の実施例3で述べる。
Figure 2008297534
工程(c):前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に2−ヒドロキシエチルアクリレートを付加して得られる2−ヒドロキシエチルアクリレート付加重合体を分解することにより、目的とする末端に活性基としてチオール基(SH基)を有する2−ヒドロキシエチルアクリレート重合体と脂質からなるリポポリマーを得る工程。
前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる重合体を、テトラヒドロフランなどの溶剤中で、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、プロピルアミンの存在下に室温下に分解を行う。
具体的には、前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に2−ヒドロキシエチルアクリレートを付加させて得られる重合体(20mg、Mn≒2000、0.01mmol相当)を、テトラヒドロフラン(1ml)と少量のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、プロピルアミン(50μl)を加えて室温で反応させて、反応後、反応物の沈殿を精製することにより目的とする末端に活性基としてチオール基(SH基)を有する2−ヒドロキシエチルアクリレート重合体と脂質からなるリポポリマーを得る。
Figure 2008297534
工程(a)は以下の通りである。
2口ナスフラスコに水酸基を有する二本鎖脂質(例えば、1,2−ジパルミトイル−rac−グリセロール、0.2mmol)、4−シアノペンタノイック酸ジチオベンゾエート(0.4mmol)、N,N’−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP、0.35mmol)をいれ、高真空下で2時間乾燥させた後、窒素置換を行って窒素雰囲気下とし、水素化カルシウムなどで脱水したクロロホルム(10ml)とジイソプロピルカルボジイミド(DIC、0.8mmol)を加えて、室温にて窒素雰囲気下で3日間攪拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を除去し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=2:1)を用いて精製し、さらにリサイクルHPLCを用いて精製して脂質分子を導入したRAFT試薬を得た。収率はn=12(36%)、n=14(63%)、n=16(31%)NMRの確認データ(n=14)は図1に示すとおりである。
工程(b)は以下の通りである。
密封することができる耐圧反応管に脂質分子を導入したRAFT試薬(0.05mmol)とα,α'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、0.02mmol)、水素化カルシウムなどで脱水したテトラヒドロフラン(THF、40mmol)、減圧蒸留を二回行うことにより安定剤を取り除いたN-ビニル-2-ピロリドン(NVP、40mmol)を入れ、高真空ポンプ(油拡散ポンプ)と液体窒素を用いて、凝固、減圧、融解の操作を三回繰り返して酸素を取り除いた。再び液体窒素で凝固させた後、減圧下で密封した。融解後、70℃もしくは、80℃のオイルバス中で攪拌することにより重合反応を行った。任意の反応時間後、反応生成物をジエチルエーテルを用いて三回沈殿精製することにより、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られるピロリドン重合体を得た。
得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られるピロリドン重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)は、下記表1から表4に示すとおりである。
工程(c)は以下の通りである。
前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られるピロリドン重合体(20mg、Mn≒2000、0.01mmol相当)をナスフラスコに入れ、テトラヒドロフラン(THF、1ml)と少量のトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、プロピルアミン(50μl)を加えて室温で12時間攪拌した。反応後、反応生成物を、ジエチルエーテルを用いて三回沈殿精製することにより、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーを得た。
生成物の確認は、分解前のピロリドン重合体の末端部分にあるジチオベンゾアート基に由来するUV吸収の消失により確認した。UVスペクトルの変化は図2に示すとおりである。
得られた結果を纏めると以下の通りとなる。
Figure 2008297534
Figure 2008297534
Figure 2008297534
リポポリマーの金基板への固定例は次の通りである。
末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマー(n=12、1,2−ジミリストイル−rac−グリセロール)からなるリポポリマーをシリンジフィルター(20μm)中を通して、ごみを取り除いた後、高真空ラインで2時間乾燥させることにより、乾燥重量15.47mgの前記リポポリマーを得た。次に、得られた乾燥させたリポポリマーを、CaH2により脱水し、蒸留により純粋にしたメタノール(1.547ml)を加えて攪拌することにより、リポポリマーのメタノール溶液を得た。このリポポリマーのメタノール溶液中に、真空蒸着装置内でマイカ上に金を蒸着することにより得た金基板を浸し、一晩放置することにより、金基板の表面上に末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーの固定化を行った。末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーを固定した金基板の走査プローブ顕微鏡写真を図3、図4に示す。マイカ表面からの高さがおおよそ4nm以下程度の厚さで、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するピロリドン重合体と脂質からなるリポポリマーが固定化されたことが確認された。
工程(b)は以下の通りである。
密封することができる耐圧反応管に脂質分子を導入したRAFT試薬(0.05mmol)とα,α'-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN、0.01mmol)、水素化カルシウムなどで脱水したテトラヒドロフラン(THF、80mmol)、減圧蒸留を二回行うことにより安定剤を取り除いた2-ヒドロキシ-エチルアクリレート(HEA、40mmol)を入れ、高真空ポンプ(油拡散ポンプ)と液体窒素を用いて、凝固、減圧、融解の操作を三回繰り返して酸素を取り除いた。再び液体窒素で凝固させた後、減圧下で密封した。融解後、70℃もしくは、80℃のオイルバス中で攪拌することにより重合反応を行った。任意の反応時間後、反応物をジエチルエーテルを用いて三回沈殿精製することにより、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる付加重合体を得た。
得られたRAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる付加重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)は、下記表1に示すとおりである。
Figure 2008297534
脂質とRAFT試薬を反応させることによりRAFT試薬に脂質を導入した化合物のNMRを示す図である。 前記工程(b)で得られた、RAFT試薬へ脂質を導入した化合物に重合体を付加させて得られる付加重合体をアミノ分解する前後におけるUVスペクトルの変化を示す図である。 リポポリマーを固定した金基板表面の走査プローブ顕微鏡写真図(鳥瞰図)である。 リポポリマーを固定した金基板表面の走査プローブ顕微鏡写真図(基板面に対して垂直方向から見た図(上)とその断面図(下))である。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で示される、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するR(Rは構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体と脂質からなることを特徴とするリポポリマー。
    Figure 2008297534
  2. 前記一般式(1)で示される、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するR(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体と脂質からなるリポポリマーが、工程(a)ROH(Rは前記一般式(2)で示されるRと同じ)で表される脂質及び下記構造式(5)で示されるRAFT試薬と反応させることによりRAFT試薬中に脂質を導入する工程、工程(b)前記工程(a)で得られた脂質を導入したRAFT試薬に、RH(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)を反応させて脂質を導入したRAFT試薬にR(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)を付加させる工程、工程(c)前記工程(b)で得られた、脂質を導入したRAFT試薬に、RH(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)を反応させて得られるR重合体を分解する工程を経て得られることを特徴とする請求項1記載のリポポリマー。
    Figure 2008297534
  3. 請求項1又2記載のリポポリマーが金基板表面に固定されることにより構築されることを特徴とする生体膜類似構造体。
  4. 工程(a)ROH(Rは前記一般式(2)のRと同じ)で表される脂質及び構造式(5)で示されるRAFT試薬と反応させることによりRAFT試薬に脂質を導入する工程、工程(b)前記工程(a)で得られたRAFT試薬に脂質を導入した化合物を、RH(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)と反応させてRAFT試薬に脂質を導入した化合物にR(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体を付加させる工程、工程(c)前記工程(b)で得られたRAFT試薬に脂質を導入した化合物にR(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)重合体を付加させて得られるRH(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)を反応させて得られるR重合体を分解する工程を経て得られることを特徴とする前記一般式(1)で示される、末端に活性基としてチオール基(SH基)を有するRH(Rは前記構造式(3)又は(4)で示される基を表す。)リポポリマーの製造方法。
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