JP2008272953A - 非水系インクジェット印刷用塗装金属板及びインクジェット印刷塗装金属板 - Google Patents

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成寿 鈴木
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Abstract

【課題】高品質の画像をインクジェット印刷できるプレコート仕様の塗装金属板を提供する。
【解決手段】下地金属板1のインク受容塗膜2に所定パターンで設けたインクジェットインク層3により印刷画像が付与される。必要に応じ、クリア上塗り塗膜4やプライマ層5を形成できる。インク受容塗膜2は、数平均分子量:1,000〜35,000、水酸基価:2〜120mgKOH/gのポリエステル樹脂(a)とメラミン樹脂硬化剤(b)を、固形分質量比:(a)/(b)=9/1〜6/4で含む塗料から成膜される。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶剤系(非水系)顔料インクを用いたインクジェット印刷で鮮明性、耐久性に優れた印刷画像を付与でき、プレコート用途に必要な加工性、耐摩耗性等の特性を備えた塗装金属板及びインクジェット印刷塗装金属板に関する。
フルカラー広告看板、金属系サイディング、装飾用内装材、装飾用外装材、装飾用床材、エレベーター扉材、電化製品、および什器の表装材等の意匠金属板では、スクリーン印刷、グラビアーオフセット印刷等で所定の印刷模様が施されている。
最近では、小ロット対応、無製版化によるコスト削減が可能なインクジェット印刷の適用も検討されている。インクジェット印刷はデジタル画像処理の技術展開に伴い普及してきた印刷技術であり、インクジェット設備を組み込んだ塗装ライン(特許文献1)も知られている。
インクジェット印刷用のインクは、着色成分に応じて染料インク、顔料インクに大別される。染料インクは、顔料インクと比較して彩度が高く発色が良好なものの、耐水性が低く色調の耐候性にも劣るので、屋外で長時間使用される建材等の用途には不向きとされてきた。他方、顔料インクは発色性で染料インクに劣るものの、耐候性の良好な有機又は無機顔料の使用により、長期にわたる屋外での使用が可能な印刷物が得られる。
顔料インクの溶媒には、水系と溶剤系(非水系)がある。
水系顔料インクは成分の大半が水であるので、臭気がなく環境への影響が少ないが、親水性のインク受容塗膜を必要とするため外部から不足の水分が塗膜に浸透しやすい。水分の浸透は、被印刷物に施した印刷画像を滲ませ、インク受容塗膜の剥離原因にもなる。インク受容塗膜に透明粘着フィルムを貼り合わせるフィルムラミネートや耐水性クリア塗膜で覆うオーバーコート塗装により耐水性を改善できるが、積層したフィルムや塗膜が疵付くと疵付き部端面から水分浸透が始まるので、根本的な耐水処理が困難である。
溶剤系(非水系)顔料インクは臭気を発するものの、水系顔料インクと比較してインク層、インク受容塗膜の何れも耐水性に優れている。しかし、従来の溶剤系顔料インク用のインク受容塗膜は、顔料インクの吸収性を向上させるため炭酸カルシウムやカオリン等の無機フィラーを大量添加した樹脂層である(特許文献2、3)。
特開平8−80465号公報 特開2001−260524号公報 特開2001−260525号公報
大量の無機フィラーが分散している塗膜には無数の微細空隙が生じており、微細空隙を介した毛細現象により顔料インクが拡がることなく速やかに吸収される。その結果、滲みが少なく画質が向上した印刷画像が付与できる。しかし、無機フィラーの大量分散されている塗膜は伸び率の小さな硬質塗膜になるため、切断、曲げ加工が予定されているプレコート金属板に必要な加工性、耐摩耗性を満足していない。
そこで、本発明者らは、無機フィラー等の添加剤によらず、溶剤系(非水系)インクジェットインクの馴染みがよく、しかも滲みの抑制された印刷画像を開発すべく樹脂塗膜自体の物性改善を種々検討した。その結果、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂硬化剤をバインダー成分として含む塗料であって、ポリエステル樹脂の数平均分子量、水酸基価を特定し、これとメラミン樹脂硬化剤との配合比を規制すると、顔料インクが塗膜面で適度に広がり、滲みの抑制された印刷画像が得られることを見出した。
つまり、本発明は、数平均分子量、水酸基価が特定されたポリエステル樹脂およびメラミン樹脂硬化剤との配合比を特定することで、滲みの抑制されたインクジェット印刷画像を形成でき、しかもプレコート用に必要な加工性、耐摩耗性を備えた塗装金属板を提供することを目的とする。
具体的に本発明は、高沸点溶剤及び樹脂分散物を含む非水系顔料インクを用いてインクジェット印刷する塗装金属板において、(a)数平均分子量:1,000〜35,000、水酸基価2〜120mgKOH/gのポリエステル樹脂および(b)メラミン樹脂硬化剤を、(a)ポリエステル樹脂と(b)メラミン樹脂硬化剤の固形分質量比が(a)/(b)=9/1〜6:4で含む塗料から成膜されたインク受容塗膜が金属板表面に形成されていることを特徴とする非水系インクジェット印刷用塗装金属板である。
前記メラミン樹脂硬化剤が、メチル化メラミン(メチロールメラミンメチルエーテル)、n-ブチル化メラミン(メチロールメラミンブチルエーテル)、およびメチルとn-ブチルとの混合エーテル化メラミンの中から選択される一種又は二種以上が使用される。
インクジェット印刷用の写真光沢紙は、炭酸カルシウム、カオリン等の無機フィラーを大量添加している。無機フィラー/塗膜樹脂の界面に生じる微小な空隙に顔料インクが毛管現象で浸透し、滲みのない鮮明な印刷画像を発現する。しかし、これは大量の無機フィラーが添加されているので伸び率の小さな硬質塗膜であり、プレコート用には適用できない。
プレコート用に要求される加工性を確保するため、無機フィラーの配合を省略又は軽減した塗膜に溶剤系顔料インクを塗布すると、顔料インクが塗膜面の広範囲に展開し(滲み)、印刷画像の鮮明度が低下しやすい。また、塗膜面に対する顔料インクの親和性が低いとインク層の密着性が悪く、インク層の脱落による画像印刷の劣化が視認されやすくなる。
本発明者らは、塗膜の微細空隙に毛管現象で顔料インクを浸透させることに代えて、顔料インクの溶剤で塗膜の一部表面を膨潤させると、インク受容塗膜と顔料インクとの相溶が進行し、且つインク受容塗膜に対してインク層が物理的に絡み合い、顔料インクが塗膜面に定着するとの前提で、顔料インクの溶剤で塗膜の表面が局部的に膨潤しやすい塗膜構成を調査・検討した。
塗膜の表面一部を局所的に膨潤させるために、塗布された溶剤系顔料インクが塗膜面の広範囲に展開することなく表面一部に滞留し、滞留部分の塗膜が顔料インクの溶剤で膨潤する時間を確保する必要がある。顔料インクの部分的滞留は、顔料インクに対するインク受容塗膜の濡れ性を小さくすることにより達成される。濡れ性は対インク接触角で評価でき、対インク接触角を10〜40度に調整することにより滲みのない鮮明な印刷画像を付与できるインクジェット用塗装金属板が得られる。
対インク接触角が10〜40度に調整されたインク受容塗膜は、数平均分子量:1,000〜35,000、水酸基価:2〜120mgKOH/gのポリエステル樹脂(a)に対し固形分質量比:(a)/(b)=9/1〜6/4でメラミン樹脂硬化剤を含む塗料から成膜される。
対インク接触角が調整された塗膜面に溶剤系顔料インクを塗布すると、顔料インクは塗膜面の広範囲に展開されず表面一部に盛り上がった状態で滞留する。顔料インクの盛上りは、印刷画像の輪郭を明確化し滲み防止に有効である。また、盛り上がった顔料インクが塗膜面と接触するので、顔料インクに含まれている溶剤が希釈されることなく塗膜面の膨潤を進行させる。その結果、塗膜/インク層の相溶が進行すると共に界面が複雑に絡み合い、顔料インクを所定個所に確保する拘束力、ひいては顔料インクの定着性が向上する。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の溶剤系(非水系)顔料インク用のインクジェット印刷用塗装金属板は、めっき鋼板、ステンレス鋼版、冷延鋼板、アルミニウム板等を下地金属板1とし、下地金属板1の上にインク受容塗膜2を設けた構成を基本としている(図1a)。所定のパターンでインクジェットインク層3をインク受容塗膜2に重ねることにより、印刷画像が付与される。印刷画像を保護するクリア上塗り塗膜4をインク受容塗膜2、インクジェットインク層3に積層してもよい(図1c、1d)。
下地金属板1の地肌を隠蔽する必要がある場合、有色の塗料組成物を用いて、膜厚:10〜20μmでインク受容塗膜2を形成する必要がある。10μm未満の膜厚では下地金属板1を十分に隠蔽できず、逆に20μmを超える膜厚では塗料焼付け時に塗膜中の残留溶剤が急激に気化し、ワキと称されるピンホール状の塗膜欠陥が懸念される。
最外層として設けられるクリア上塗り塗膜4は、ワキ等の表面欠陥が発生しない限り膜厚に関する制約はない。クリア上塗り塗膜4にシリカ等の骨材を添加すると艶消し調の塗膜外観が得られる。
また、防錆顔料を配合したプライマ層5を下地金属板1とインク受容塗膜2との間に介在させると、耐食性が改善された塗装金属板となる(図1b、1d)
インク受容塗膜2は、数平均分子量:1,000〜35,000、水酸基価:2〜120mgKOH/gであるポリエステル樹脂(a)に対し、メラミン樹脂硬化剤(b)を固形分質量:(a)/(b)=9/1〜6/4で配合したバインダー成分を含む塗料から成形される。ポリエステル樹脂の数平均分子量、水酸基価およびメラミン樹脂硬化剤との配合比を特定することにより、顔料インクの定着に適した対インク接触角がインク受容塗膜に付与される。
本発明の塗料に使用されるポリエステル樹脂は、二塩基酸と多価アルコールとの重縮合で得られる高分子化合物である。
二塩基酸には、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又はそれらの酸無水和物がある。たとえば、無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸等が単独で或いは二種以上を混合して使用される。良好な耐光性を得るためには、重縮合後に1,2−ベンゼン−ジカルボニル構造を形成する無水フタル酸及び/又はオルトフタル酸が含まれていることが好ましい。フェニル基を含まないアジピン酸も、好適な二塩基酸として使用できる。
多価アルコールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン等があり、単独又は二種以上を混合して使用できる良好な耐光性を得るためには、ペンチルグリコールのように脂肪族鎖の長いグリコールの使用が好ましく、中でも重合後に2,2−ジメチルトリメチレン構造を形成するネオペンチルグリコールの使用が好ましい。
本発明の塗料には、数平均分子量:1,000〜35,000のポリエステル樹脂が使用される。1,000未満の数平均分子量ではインク受容塗膜の伸びが不足して加工時に塗膜割れが生じやすく、加工性に劣る塗装金属板となる。小さすぎる分子量は、インク受容塗膜2に対するクリア上塗り塗膜4の親和性、密着性を低下させ、層間剥離の発生原因ともなる。逆に35,000を超える数平均分子量では、インク受容塗膜2/クリア上塗り塗膜4間の分子量差が大きくなりすぎ、インク受容塗膜2/クリア上塗り塗膜4の層間密着性が低下する傾向にある。
ポリエステル樹脂の硬化には、メラミン系硬化剤(メラミン樹脂硬化剤)を用いる。例えば、メチル化メラミン(メチロールメラミンメチルエーテル)、n−ブチル化メラミン(メチロールメラミンブチルエーテル)、およびメチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミン等が挙げられる。
このメラミン樹脂硬化剤は自己縮合を起こしやすい性質を有するため、硬化剤として未反応の樹脂の発生が少ない。このため、本発明のポリエステル樹脂以外と反応することがなく、製造時の取り扱いが容易である。
前記メチル化メラミンは、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応生成物(1量体又は多量体)であるメチロール化メラミン樹脂中のメチロール基をメチルアルコールでエーテル化したものを指す。メチルエーテル化は完全であっても部分的であってもよい。メチル化メラミン中の官能基としてはメチルエーテル基の他に、アミノ基、イミノ基、メチロール基を有している場合がある。
前記n−ブチル化メラミンは、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応生成物(1量体又は多量体)であるメチロール化メラミン樹脂中のメチロール基をn−ブチルアルコールでエーテル化したものである。n−ブチルエーテル化は完全であっても部分的であってもよい。n−ブチル化メラミン中の官能基としては、n−ブチルエーテル基の他に、アミノ基、イミノ基、メチロール基を有している場合がある。
前記メチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミンは、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応生成物(1量体又は多量体)であるメチロール化メラミン樹脂中のメチロール基をn−ブチルアルコールおよびメチルアルコールでエーテル化したものである。アルキルエーテル化は完全であっても部分的であってもよい。メチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミン中の官能基としてはメチルエーテル基およびn−ブチルエーテル基の他に、アミノ基、イミノ基、メチロール基を有している場合がある。
メラミン樹脂硬化剤の平均重合度は6.0以下のものを使用することが好ましい。また、加工性向上の観点から、この平均重合度が4.0以下であることがより好ましい。なお、メラミン樹脂硬化剤の平均重合度とは、メラミン樹脂中のトリアジン核のつながりの程度を示すものである。
メチル化メラミンの市販品としては、例えば、サイメル(登録商標)303、同325、同327、同350、同730、同736、同738(いずれも三井サイテック株式会社製)、メラミン522、同523(いずれも日立化成株式会社製)、ニカラック(登録商標)MS001、同MX650(いずれも三和ケミカル株式会社製)、スミマール(登録商標)M−55(住友化学株式会社製)、レジミン740、同747(いずれもモンサント株式会社製)がある。
ブチル化メラミンの市販品としては、例えば、ユーバン(登録商標)20SE60、同28−60(いずれも三井化学株式会社製)、スーパーベッカミン(登録商標)J−820−60、同L−177−60、同L−109−65、同G−821−60、同47−508−60、同L−118−60(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)等がある。
メチルとn−ブチルエーテルとの混合エーテル化メラミンの市販品としては、例えば、サイメル(登録商標)232、同266、同XV−514(いずれも三井サイテック株式会社製)、ニカラック(登録商標)MX45、同MX410(いずれも三和ケミカル株式会社製)、レジミン753、同755(いずれもモンサント株式会社製)がある。
メラミン樹脂硬化剤(b)は、固形分質量比:(a)/(b)=9/1〜6/4の割合でポリエステル樹脂(a)に配合される。
(a)/(b)が6/4未満、即ちメラミン樹脂硬化剤の配合量が過剰になると、塗膜が硬質化しすぎて、伸びや耐摩耗性が低下する。また、メラミン樹脂硬化剤の過剰配合に伴い架橋密度が高くなり、塗膜への顔料インクの浸透を妨げ、且つ塗膜の対インク接触角を小さくし、インク層/インクジェット受容塗膜の層間密着性を低下させる原因にもなる。
逆に、(a)/(b)が9/1を超えるメラミン樹脂硬化剤の過少配合は、ポリエステル樹脂の架橋不足をもたらし、顔料インクの溶媒と接したインクジェット受容塗膜が極端に膨潤する。インク受容塗膜に顔料インクも浸透しやすくなるので、この場合も対インク接触角が小さくなり、インク層/塗膜の境界の滲みが発生しがちになる。架橋不足は乾燥性を低下させる原因でもあり、これによってもインク受容塗膜/上塗り塗膜の層間密着性低下が懸念される。
ポリエステル樹脂(a)とメラミン樹脂硬化剤(b)との硬化反応を促進するために、必要に応じて、酸触媒を併用することができる。この酸触媒としては、強酸、強酸の中和物などが使用できる。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などのスルホン酸化合物およびこれらのスルホン酸化合物のアミン中和物が挙げられ、スルホン酸化合物のアミン中和物が好ましい。またこれらのスルホン酸化合物の中で、ドデシルベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸が塗料の安定性、反応促進効果の点で特に好ましい。
前記スルホン酸化合物の中和用のアミンとしては、高揮発性のアミンを使用することが好ましい。高揮発性アミンは、スルホン酸化合物を中和でき、かつ加熱硬化時に揮散するアミンであれば制限なく使用できる。またこのアミンは、1級、2級及び3級アミンのいずれであってもよいが、1級アミンを使用すると塗膜が着色しやすくなるため、2級及び/又は3級アミンが好ましい。前記アミン化合物は、酸触媒1当量に対し、1.5〜10当量のアミンを配合することが好ましい。
アミン化合物としては、例えばジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジアリルアミン、ジアミルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N−メチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−,2,6−,3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノールなどの2級アミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N−メチルピペリジン、ピペリジン、4−エチルピリジン、2−ジメチルアミノエタノールなどの第3級アミンおよびN−メチルピペラジンなどを挙げることができる。
この酸触媒は、ポリエステル樹脂(a)およびメラミン樹脂硬化剤からなるバインダー成分の固形分100質量部に対して、2.5質量部以下で配合することが好ましく、0.5質量部以下で配合することがさらに好ましい。酸触媒を2.5質量部より多く配合すると架橋密度が高くなってしまう場合がある。このため、インクによる塗膜の膨潤がおこりにくく、インクが塗膜表面に溢れ、滲みやすくなる傾向を示すと同時にインク層と塗膜の密着性も低下する場合がある。
数平均分子量、水酸基価、配合比により対インク接触角が適正管理されたポリエステル塗膜は、10〜40度(好ましくは15〜30度)の範囲に接触角があり、顔料インクの濡れ拡がりを押さえ、印刷画像の耐滲み性を向上させる。10〜40度の接触角は、塗膜の表面の一部に滞留している顔料インクの溶剤により滞留部分の塗膜が膨潤することを促し、塗膜に対する顔料インクの密着性向上にも有効である。10度未満の接触角では、塗膜面の広範囲に顔料インクが展開され、滲みによる画質の大幅な低下が懸念される。逆に40度を超える接触角では、顔料インクがポリエステル塗膜面で過剰に弾かれ、インク層の塗膜密着性を充分に確保できない。
プレコート用の塗膜は、25%に達しない不十分な伸び率では加工時に塗膜割れが生じやすく、加工性に劣る塗装金属板となる。低い伸び率は、インク受容塗膜/クリア上塗り塗膜間の層間密着性を低下させる原因にもなる。逆に120%を超える伸び率では、インク受容塗膜が伸びすぎ、却ってインク受容塗膜/クリア上塗り塗膜間の層間密着性を低下させる。前述したポリエステル樹脂の数平均分子量、水酸基価およびメラミン樹脂硬化剤の配合比を維持するとき、25〜120%の伸び率を有する。
プレコート用に要求される塗膜物性に悪影響を及ぼさない限り、種々の顔料をインク受容塗膜用の塗料に配合することができる。配合可能な顔料には、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カルシウム、シリカ、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等の鉱物顔料やポリスチレン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の微粒子又は微小中空粒子等の有機合成粒子がある。
顔料は、単独で或いは一種又は二種以上を複合して配合できる。顔料の配合量は、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂硬化剤からなるバインダー成分:100質量部に対し120質量部以下にすることが好ましい。120質量部を超える過剰量の顔料を配合すると、塗膜の加工性や塗装作業性への悪影響が懸念される。
インクジェット受容塗装金属板に対する画像付与に使用される溶剤系(非水系)顔料インクは、色材顔料、高沸点溶剤を含み、分散剤、浸透剤、低沸点溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が必要に応じて添加されている。色材顔料は、充分な濃度の印刷画像を得るため溶剤系顔料インクに3〜20質量%の割合で配合することが好ましい。
色材顔料には、カーボンブラック、アセチレンブラック、ファーネストブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、C.I.ピグメントブラック、オルトアニリンブラック、トルイジンオレンジ、パーマネントカーミンFB、ファーネストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントイエロー、ジオキサンバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、アルカリブルーRトナー、ファーストイエロー10G、オルトニトロアニリンオレンジ、トルイジンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシックブルー6Bレーキ、ファーストスカイブルー、レフレックスブルーG、ブリリアントグリーンレーキ、フタロシアニングリーンG、紺青、群青、酸化鉄粉、水酸化鉄粉、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、昼光蛍光顔料、パール顔料、酸化チタン等がある。
インクジェット用色材顔料の粒径は、レーザー光散乱法による積算粒度50%の値である平均分散粒子径が30〜300nmの範囲にあり、最大粒子径:500nm以下が好ましい。色材顔料の平均分散粒子径が30nm未満では、小さすぎる粒径のため耐光性が低下する。しかし、300nmを超える平均分散粒子径や500nmを超える最大粒子径(99%値)の顔料を配合すると、インク中で顔料が凝集・沈殿しやすくなり、画像部分の発色性低下も散見される。
溶剤系顔料インクには、沸点:100〜400℃(好ましくは120〜350℃)の溶剤が使用される。溶剤は、顔料が安定した分散媒体となり、インクジェットヘッドのノズル先端にインクが固着することを防止する作用も呈する。顔料インクに付与する溶剤の種類に応じ、インク受容塗膜の対インク接触角が若干変動するが、通常の溶剤を使用する限り10〜40度の接触角を維持できる。
溶剤には、室温におけるインクの乾燥抑制、インクジェットヘッドからの高速吐出が可能な流動特性も要求されるので、溶剤系顔料インクに高沸点溶剤を50〜95質量%配合することが好ましい。高沸点溶剤には、脂肪族炭化水素系、カルビトール系、セロソルブ系、高級脂肪酸エステル系、高級アルコール系、高級脂肪族系、芳香族炭化水素系溶剤等がある。なかでも、流動パラフィン、脂肪族炭化水素系溶剤は、臭気が少ない好適な溶剤である。
脂肪族炭化水素系溶剤には、IPソルベント(出光石油化学製)、シェルゾールD40、シェルゾールD70、シェルゾール70、シェルゾール71(以上、シェルケミカルズジャパン製)、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、エクソールD140、エクソールDSP100/140(エクソン化学製)等が挙げられる。
カルビトール系溶剤にはブチルカルビトール、セロソルブ系溶剤にはエチルセロソルブがある。高級脂肪酸エステル系溶剤にはジオクチルフタレート、ジブチルコハク酸イソブチルエステル、アジピン酸イソブチルエステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル等が挙げられ、高級アルコール系溶剤には、メチルヘキサノール、オレイルアルコール、トリメチルヘキサノール、トリメチルブタノール、テトラメチルノナノール、2−ペンチルノナノール、2−ノニールノナノール、2−ヘキシルデカノール等が挙げられ、芳香族炭化水素系溶剤にはジイソプロピルナフタレンが挙げられる。
これらの溶剤は単独でも使用可能であるが、脂肪族炭化水素系溶剤と極性溶剤とを併用すると、非水系顔料インクの粘度が適度に調整され、プリンタヘッドとインクとの接液部分の濡れ性も調整される。インク受容塗膜の対インク接触角、膨潤性を高める上では、脂肪族炭化水素系溶剤よりもエステル、エーテル、ケトン等の官能基を含んだ極性溶剤の配合比率を多くすることが好ましい。なかでも、極性溶剤の配合比率を60%以上とすることが好適である。
極性溶剤としては、例えば長鎖アルコール、グリコール、ポリグリコール、グリコール及びポリグリコールのエステル、エーテル、特にグリコール及びポリグリコールのモノ及びジアルキルエーテル、ケトン等が使用される。また、ジカルボン酸のエステル、例えばセバシン酸ジオクチルエステルも使用することができる。
非水系顔料インクに色材顔料を分散させる上で、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテル-エステル型アニオン活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を分散剤として使用できる。
更に、亜麻仁油変性アルキッド樹脂、ポリスチレン、ロジン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール変性キシレン樹脂などの極性樹脂を添加すると、非水系顔料インクの安定性が向上する。保存安定性向上のためには、金属封鎖剤、表面張力調整剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、耐水化剤、レオロジーモディファイヤー、酸化防止剤等の添加剤を適宜組み合わせて添加してもよい。
インクジェット受容塗装金属板の製造
本発明のポリエステル樹脂は、表1の多塩基酸、多価アルコールを反応容器に入れ、全仕込み量の0.06質量%に当る割合でジブチルスズオキサイド(重合触媒)を加え、150〜200℃で4〜6時間かけてエステル化することにより用意した。表中、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(カラムにGCPカラム:東洋ソーダ(株)製のSHODEX KF-803、溶媒にテトラヒドロフランを使用)で測定した値を、水酸基価はJIS K1557(6.4)で測定した値を示す。
Figure 2008272953
数平均分子量:500〜45,000のポリエステル樹脂(a)を主成分とし、ポリエステル樹脂に固形分質量比:(a)/(b)=9/1〜6/4でメラミン樹脂硬化剤(b)を配合し、不揮発分:約40質量%のポリエステル樹脂塗料を調合した。
メラミン樹脂硬化剤は、メチル化メラミン(メチロールメラミンメチルエーテル:表2ではMe)、ブチル化メラミン(メチロールメラミンブチルエーテル:表2ではBu)、およびメチルとブチルとの混合エーテル化メラミン(表2ではMe・Bu)を使用した。
今回は、メチロール基型の平均重合度が2.6であるメチル化メラミン(サイメル370)、およびイミノ基型の平均重合度が2.3であるメチル化メラミン(サイメル325)を使用した(いずれも三井サイテック(株)製)。また平均重合度3.2のブチル化メラミン(スーパーベッカミンJ−820−60)を使用した(大日本インキ化学工業(株)製)。さらに、平均重合度1.5であるメチルとブチルとの混合エーテル化メラミン(MX−45)、および平均重合度1.8で一部にイミノ基とメチロール基の残るMX−410を使用した(いずれも(株)三和ケミカル製)。
メラミン樹脂硬化剤の酸触媒として、ドデシルベンゼンスルホン酸及び/又はp−トルエンスルホン酸を用いた。酸触媒中和用の高揮発性アミンとしては2−ジメチルアミノエタノールを使用し、酸触媒のスルホン酸1当量に対してアミン5当量を添加した。また、顔料として酸化チタンを使用し、(a)および(b)の合計固形分量:100質量部に対し0〜90質量部の割合で配合した(CR−91、石原産業(株)製)。表2に、本発明品および表3に比較例の塗料の組成を示す。
Figure 2008272953
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*:Meはメチル化メラミン、Me・Buはメチルとブチルの混合エーテル化メラミン、Buはブチル化メラミンを表す。
塗料No.18〜22、32〜37のメチル化メラミンはサイメル325を使用し、その他はサイメル370を使用した。
塗料No.24、28、34および35のメチルとブチルの混合エーテル化メラミンは、MX−45を使用し、その他はMX−410を使用した。
ブチル化メラミンは、スーパーベッカミンJ−820−60を使用した。
**:塗料No.12、13、16、17および42〜45はドデシルベンゼンスルホン酸、塗料No.19〜22はp−トルエンスルホン酸、塗料No.14および15はドデシルベンゼンスルホン酸:p−トルエンスルホン酸=1:1の酸触媒をそれぞれ使用した。
板厚:0.5mmの亜鉛めっき鋼板を脱脂、表面調整して塗布型クロメート処理した後、本発明及び比較例の塗料を塗布し、板温220℃で1分間焼き付けることにより、乾燥膜厚:15μmの白色インク受容塗膜を有する塗装金属板を製造した。
金属板表面に形成されたポリエステル樹脂塗膜の伸び率、耐摩耗性、対インク接触角、塗布したインクの乾燥性を次の試験で調査した。
塗膜伸び率の測定には、フッ素加工した亜鉛めっき鋼板に本発明および比較例の塗料を塗布し、220℃×1分の焼付けで作製された乾燥膜厚:18μmの遊離塗膜を用いた。サイズ:5mm×30mmの遊離塗膜を精密万能試験機(オートグラフAGC−100B:島津製作所製)にかけ、JIS Z8703で規定された恒温恒湿槽内で応力−歪曲線(引張速度:20mm/分)を測定し、応力−歪曲線に現れた塗膜の破断点から伸び率を求めた。
摩耗試験では、塗装金属板を打抜き加工し、直径:120mmの円板状試験片を切り出した。試験片の中央に直径:6mmの穴を開け、重量測定後にテーバー試験機(荷重:1000g(500g×2)、摩耗輪:CS−10)に取り付け、200回転させた後で試験片を計量した。磨耗試験前後の重量変化から摩耗減量を求め、「テーバー指数 = 摩耗減量((mg)×1000/回転数(200)」に従ってテーバー指数を算出した。テーバー指数が大きい値を示すほど、摩耗し易い材料であることを示す。
接触角(対インク接触角)は、シアンインク(SS2インク:ミキシマエンジニアリング製)を塗装金属板の表面に滴下し、接触角測定装置(CONTACT ANGLE METER CA-Z:協和界面科学製)で測定した。接触角の測定を七回繰り返し、上限、下限の二回を除いた五回の平均値として対インク接触角を算出した。
インク乾燥性は、塗膜面5cm×5cm領域にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックをインクジェット印刷し、印刷10分後に印刷面を綿棒で擦り、綿棒のインク付着状況を調査した。四色全てでインクが検出されなかった塗膜を○、一色でもインク付着が生じた塗膜を×とした。
結果を表4および表5に示す。
表4に示すように、ポリエステル樹脂の数平均分子量、水酸基価及びポリエステル樹脂とメラミン樹脂硬化剤の固形分質量比が本発明で規定した条件を満足する塗料から成膜された塗膜は、伸び率、耐摩耗性、インク乾燥性の何れも優れており、顔料インクを塗膜の一部表面に滞留させるために必要な10〜40度の範囲に対インク接触角が保たれていた。
これに対し、架橋密度が低すぎる比較例の塗料No.40では顔料インクによりインク受容塗膜が過度に膨潤し、架橋密度が高すぎる塗料No.41〜44ではインク受容塗膜がほとんど膨潤しなかった。何れの塗膜も、対インク接触角が小さく滲みが大きくなるため、鮮明な印刷画像が得られなかった。
水酸基価が高すぎる比較例の塗料No.53、数平均分子量が小さすぎる塗料No.54は、ポリエステル樹脂が過度に架橋されており、耐摩耗性が低く対インク接触角も10度以下の小さな値であった。数平均分子量45,000、水酸基価:1mgKOH/gの塗料No.55〜58は、架橋点が少ないため顔料インクによるインク受容塗膜の膨潤が過度に進行し、対インク接触角:10度以下でインクの滲み易い塗膜であった。何れの塗膜に付与された印刷画像も、滲みによりインク層の境界が不鮮明化したため品質の劣る印刷塗装金属板となった。
Figure 2008272953
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次いで、インクジェットプリンタで溶剤系顔料インクを塗装金属板に付着させ、乾燥膜厚:0.5〜3.0μmのインク層で所定画像を付与した。溶剤系顔料インクにはイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのSS2インク(ミマキエンジニアリング製)、インクジェットプリンタにはJV-3(ミマキエンジニアリング製)を用い、100μm×5cmの細線および5cm×5cmの四色の画像を印刷した。
インクジェット印刷された金属塗装板について、印刷部境界の滲み性、インク層密着性、塗膜密着性を次の試験で評価した。
データ値として細線の太さが100μmのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの細線を印刷し、印刷された細線の太さを測定した。四色全ての細線が太さ120μm以下を○、120〜150μmであったものを△、150μm以上を×として印刷部分境界の滲み性を評価した。
インク層密着性試験は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを5cm×5cmで印刷した塗装金属板から切り出された試験片を用い、平坦部密着性、加工性を調査した。
各試験片に碁盤目エリクセン(JIS G3320に規定されている碁盤目を入れ、6mm押し出す試験)に供し、粘着テープの剥離に伴うインク層の剥離の有無を調査し、四色の何れも剥離が発生していない試験片を○、一色でも剥離した試験片を×として平坦部密着性を評価した。
加工部密着性試験は、同じくイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを5cm×5cmで印刷した塗装金属板から切り出された試験片を用い、20℃の室内で180度折り曲げ加工した。曲げ部外側に粘着テープを押し当てた後、瞬時に引き剥がし、粘着テープの剥離に伴ったインク層の剥離状況を観察した。四色の何れも剥離が発生していない試験片を○、一部でも剥離した試験片を×として加工部密着性を評価した。
更に、インクジェット印刷後の塗装金属板にクリアー樹脂塗料を塗布し、焼付け・乾燥により乾燥膜厚:10μm、ガラス転移温度Tg:20℃のクリア上塗り塗膜を設けた。クリア樹脂塗料には、数平均分子量:10,000のポリエステル樹脂を主成分とし、樹脂固形分100質量部に対し、38質量部のメラミンを配合したポリエステル系樹脂塗料を使用した。
得られたクリア上塗り塗膜についても、インク層密性着試験と同じ方法で平坦部密着性、加工部密着性を調査した。
表6の結果からわかるように、本発明の塗装金属板では、溶剤系顔料インクによりインク受容塗膜が適度に膨潤し、印刷画像に悪影響を及ぼすようなインクの滲みも生じていなかった。インク層、クリア上塗り塗膜共に平坦部密着性、加工部密着性に優れており、顔料無添加の系でも顔料配合系と同様な優れた印刷適正を示した。
これに対し、表7の、架橋密度が低すぎるインク受容塗膜や架橋密度が高すぎるインク受容塗膜を設けた比較例では、いずれの場合も対インク接触角が小さく、塗膜面の広範囲に顔料インクが展開したため適正な膨潤が得られず、滲みが大きく顔料の定着が不十分な印刷画像となった。また、分子量が高すぎるポリエステル樹脂(塗料No.55〜58)及び低すぎるポリエステル樹脂(塗料No.54)を含むインク受容塗膜では、インク層の加工部密着性、クリア上塗り塗膜の平坦部密着性、加工部密着性に劣っていた。
Figure 2008272953
Figure 2008272953
インクジェット印刷した塗装金属板の断面を示す模式図。

Claims (5)

  1. 高沸点溶剤及び樹脂分散物を含む非水系顔料インクを用いてインクジェット印刷する塗装金属板であり、(a)数平均分子量:1,000〜35,000、水酸基価2〜120mgKOH/gのポリエステル樹脂と(b)メラミン樹脂硬化剤を、(a)ポリエステル樹脂と(b)メラミン樹脂硬化剤の固形分質量比が(a)/(b)=9/1〜6:4で含む塗料から成膜されたインク受容塗膜が金属板表面に形成されていることを特徴とする非水系インクジェット印刷用塗装金属板。
  2. 前記メラミン樹脂硬化剤が、メチル化メラミン(メチロールメラミンメチルエーテル)、n-ブチル化メラミン(メチロールメラミンブチルエーテル)、およびメチルとn-ブチルとの混合エーテル化メラミンの中から選択される一種又は二種以上である、請求項1に記載の非水系インクジェット印刷用塗装金属板。
  3. 前記塗料が、前記ポリエステル樹脂と前記メラミン樹脂硬化剤の固形分合計100質量部に対して、酸触媒を2.5質量部以下で含む、請求項1または2に記載の非水系インクジェット印刷用塗装金属板。
  4. 前記酸触媒がドデシルベンゼンスルホン酸及び/又はp-トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系インクジェット印刷用塗装金属板。
  5. 非水系インクを用いたインクジェット印刷によるインク層が、請求項1に記載のインクジェット受容塗膜に設けられているインクジェット印刷塗装金属板。
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