JP2008266998A - 杭基礎構造物の液状化被害軽減構造 - Google Patents

杭基礎構造物の液状化被害軽減構造 Download PDF

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Abstract

【課題】地震時に液状化が生じたときに、地盤変位による杭基礎構造物の被害を軽減させることができるとともに、液状化層が深部まで在る場合でも工費が高くなることがなく、また、既存構造物に対する施工も容易であり、さらに、液状化が生じない地震における構造物の揺れを十分に抑制することができる杭基礎構造物の液状化被害軽減構造を提供することを目的としている。
【解決手段】液状化層G1の上に非液状化層G2が積層された地盤Gに建ち非液状化層G2内に埋設された根入れ部11を有する杭基礎構造物1の液状化被害を軽減する杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造であって、根入れ部11の周囲の地盤G内には、砂20に置換された置換部2が形成され、置換部2が、少なくとも液状化層G1に達する深度まで延設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、地盤中の液状化層の液状化に伴う被害を軽減するための杭基礎構造物の液状化被害軽減構造に関する。
現在、埋立地等の地盤に建てられた杭基礎構造物が数多く存在する。上記した地盤は、地下水位が高く、液状化層の上に、粘土等の細粒分をある程度含有した非液状化層が積層された地層となっている場合がある。このような地盤では、地震時に液状化層が液状化されると、液状化層より上の非液状化層に大きな地盤変位(地盤側方流動)が生じるおそれがある。非液状化層に大きな地盤変位が生じると、液状化層と非液状化層との境界位置で杭基礎に過大な荷重がかかり、杭基礎が損傷する可能性がある。そこで、従来は、地震時における液状化層の液状化を防ぐために液状化層を地盤改良したり、地盤変位に伴う過大な荷重に耐えられるように杭基礎を補強したりして対処されている。
また、液状化に伴う被害を軽減する技術として、従来、杭基礎構造物の根入れ部の周囲の地盤を非液状化層より軟質な緩衝材に置換する技術が提案されている。緩衝材としては、例えばベントナイトモルタル等が使用される。この技術によれば、地盤変位が生じても、緩衝材が圧縮変形されるので、構造物に作用する受働土圧を軽減させることができ、構造物が受ける被害を軽減させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−178997号公報
しかしながら、上記した地盤改良による従来技術では、液状化層が深部まで在る場合、改良ボリュームが増大して工費が嵩むという問題がある。
また、上記した杭基礎を補強する従来技術では、既存構造物に対して対策を施すのが非常に困難であるという問題がある。
さらに、上記した軟質な緩衝材に置換する従来技術では、根入れ部周辺の地盤抵抗が低くなるため、周辺地盤による根入れ部の拘束が弱くなり、根入れ部による構造物の揺れ抑制効果が小さくなる。このため、液状化が生じない中小地震時においては、構造物の揺れが大きくなり、杭基礎に作用する応力が増大するという問題が生じる。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、地震時に液状化が生じたときに、地盤変位による杭基礎構造物の被害を軽減させることができるとともに、液状化層が深部まで在る場合でも工費が高くなることがなく、また、既存構造物に対する施工も容易であり、さらに、液状化が生じない地震における構造物の揺れを十分に抑制することができる杭基礎構造物の液状化被害軽減構造を提供することを目的としている。
本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、液状化層の上に非液状化層が積層された地盤に建ち前記非液状化層内に埋設された根入れ部を有する杭基礎構造物の液状化被害を軽減する杭基礎構造物の液状化被害軽減構造であって、前記根入れ部の周囲の地盤内には、砂に置換された置換部が形成され、該置換部が、少なくとも前記液状化層に達する深度まで延設されていることを特徴としている。
このような特徴により、液状化が生じる地震時には、液状化層が液状化するとともに置換部も液状化し、根入れ部の周囲の置換部が軟質になる。このとき、非液状化層に大きな地盤変位が生じると、軟質化された置換部が圧縮変形される。また、軟質化された置換部によって、地盤から杭基礎構造物へ伝達される地震力が低減する。一方、液状化が生じていないときには、置換部は軟質化されずに十分な剛性を有しているため、原地盤並みの地盤抵抗が確保される。
また、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、前記置換部が、前記根入れ部に接する位置に形成されていることが好ましい。
これにより、液状化層の液状化が生じると、根入れ部に隣接した位置に軟質な置換部が形成される。
また、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、前記置換部が、前記根入れ部から離間した位置に形成されていてもよい。
これにより、置換部を形成する際に、杭基礎構造物の根入れ部や上部構造が施工の障害になり難くなる。
さらに、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、前記置換部が、壁状に連続的に形成されることが好ましいが、前記置換部が、柱形状に形成され、前記根入れ部に沿って複数形成されてもよい。
これにより、連続する壁状の置換部を形成する場合に比べて置換部のボリュームが低減される。また、液状化地盤の液状化により複数の柱状の置換部が液状化されると、隣り合う置換部間の原地盤は、側方からの拘束が小さくなり、その剛性が低下する。
本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造によれば、地震時に液状化が生じ、非液状化層に大きな地盤変位が生じても、置換部が液状化されて軟質になり、置換部が圧縮変形されるため、根入れ部に作用する受働土圧を低減させることができ、杭基礎構造物が受ける被害を軽減させることができる。また、軟質化された置換部は地震力を吸収するため、杭基礎構造物に入力される地震力を低減させることができ、地震時における杭基礎構造物の揺れを低減させることができる。また、砂に置換する置換部は液状化層に達していれば良いため、液状化層が深部まで在る場合でも工費が高くなることがなく、コストアップを抑えることができる。また、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、根入れ部の周囲に、液状化層に達する深さの置換部を形成することで構築されるので、既存構造物に対する施工も容易である。さらに、液状化が生じない地震時には、置換部が原地盤並みの地盤抵抗を発揮するため、根入れ部が周辺地盤により拘束され、構造物の揺れを十分に抑制することができる。
以下、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造の第1〜第3の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態における杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造を表した断面図であり、図2は第1の実施の形態における杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造を表した平面図である。
図1、図2に示すように、本実施の形態における杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造は、埋立地等の軟弱な地盤Gに構築された杭基礎構造物1に適用されるものであり、地盤G内の液状化層G1が液状化した際の杭基礎構造物1の被害を軽減するための構造である。
地盤Gは、液状化層G1の上に非液状化層G2が積層された地層となっている。非液状化層G2は、細粒分をある程度含有した地層であり、例えば粘性土或いは粘性土を含む砂質土等からなり、粘性により液状化しない層である。また、地盤Gは、地下水位Wが高い軟弱地盤であり、地下水位Wが非液状化層G2内に在る。
杭基礎構造物1は、複数の杭基礎10…により支持された構造物である。杭基礎10…は、液状化層G1より下方に在る図示せぬ支持層まで達している。杭基礎構造物1には、非液状化層G2内に埋設された根入れ部11が備えられており、複数の杭基礎10…の上端は根入れ部11に接合されている。
根入れ部11の周囲の地盤G(非液状化層G2)には、砂に置換された置換部2が形成されている。この置換部2は、地盤Gに形成された掘削孔21内に粘性土等の細粒分を含まない砂20が充填された構成からなる。この砂20は締め固めずに比較的緩い状態にしておく。また、砂20の粒径等は適宜変更可能であり、種々の砂を使用することが可能である。
置換部2は、鉛直方向に延設されており、地表面から液状化層G1の上面にかけて形成されている。また、置換部2は、連続する壁状に形成されており、根入れ部11を囲うように根入れ部11の外周に沿って形成されている。また、置換部2は、根入れ部11との間に非置換部を造らずに、根入れ部11に接する位置に形成されている。
次に、上記した構成からなる杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造の作用について説明する。
液状化層G1に液状化が生じるような大地震時には、液状化層G1の液状化に伴い置換部2も液状化する。液状化した置換部2は軟質になる。このとき、置換部2が根入れ部11に接する位置に形成されているため、軟質な置換部2が根入れ部11に隣接した位置に形成される。そして、上記大地震により非液状化層G2に地盤変位が生じた場合、水平方向に変位する非液状化層G2に押圧され、軟質化された置換部2が圧縮変形する。また、軟質化された置換部2により、地盤Gから杭基礎構造物1へ伝達される地震力が低減する。
一方、液状化層G1に液状化が生じない程度の中小地震時、或いは、地震が発生していない時には、置換部2は軟質化されずに十分な剛性を有しているため、原地盤並みの地盤抵抗が確保される。
上記した構成からなる杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造によれば、大地震により液状化層G1に液状化が生じ、非液状化層G2に大きな地盤変位が生じても、置換部2が液状化されて軟質になり、非液状化層G2の水平変位に対して置換部2が圧縮変形されるため、根入れ部11に作用する受働土圧を低減させることができる。これにより、液状化層G1と非液状化層G2との境界位置における杭基礎10…の損傷を防止することができ、杭基礎構造物1が受ける被害を軽減させることができる。
また、軟質化された置換部2により、杭基礎構造物1へ伝達される地震力が低減するため、杭基礎構造物1に入力される地震力を低減させることができ、地震時における杭基礎構造物1の揺れを低減させることができる。
特に、上記した構成からなる杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造では、置換部2が根入れ部11に接する位置に形成されており、液状化層G1の液状化が生じたとき、根入れ部11に隣接した位置に軟質な置換部2が形成されるため、基礎構造物1の揺れを低減させる効果は大きい。
また、砂に置換する置換部2は液状化層に達していれば良いため、液状化層G1が深部まで在る場合でも工費が高くなることがなく、コストアップを抑えることができる。
また、上記した杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造は、根入れ部11の周囲に液状化層G1に達する深さの掘削孔21を掘り、その掘削孔21内に砂20を充填することで構築されるので、既存の杭基礎構造物1に対して容易に施工することができる。
さらに、液状化が生じない程度の中小地震時には、置換部2が原地盤並みの地盤抵抗を発揮するため、根入れ部11が周辺地盤(置換部2)により拘束され、杭基礎構造物1の揺れを十分に抑制することができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
図3は第2の実施の形態における杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造を表した平面図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した第1の実施の形態では、根入れ部11に接する位置に置換部2が形成されているが、図3に示すように、根入れ部11から離間した位置に置換部102を形成することも可能である。この置換部102は、上述した第1の実施の形態における置換部2と同様に、連続する壁状に形成されており、液状化層G1まで延設されている。置換部102は、根入れ部11の外周面との間に所定の間隔を置いて根入れ部11の外周に沿って形成されている。すなわち、置換部102と根入れ部11との間に、非置換部G’が介在されている。
上記した構成からなる杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造によれば、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果を奏する。
また、置換部102が根入れ部11から離間した位置に形成されているため、既存の杭基礎構造物1に対して施工する際、根入れ部11や杭基礎構造物1の上部構造が施工の障害になり難く、置換部102の形成が比較的容易である。これにより、置換部102を形成する作業の施工性を向上させることができる。
また、根入れ部11から離間した位置に置換部102を形成すると、置換部102を施工する際に杭基礎構造物1に与える振動等の影響が低減されるので、杭基礎構造物1の使用者等に対する影響を低減させることができる。
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
図4は第3の実施の形態における杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造を表した平面図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
上述した第1、第2の実施の形態では、連続する壁状の置換部2,102が形成されているが、図4に示すように、円柱形状の置換部202…を形成することも可能である。複数の置換部202…は、互いに間隔を置いて根入れ部11の外周に沿って配設されている。この置換部202は、鉛直方向に延設されており、上述した第1、第2の実施の形態における置換部2,202と同様に、液状化層G1まで延設されている。また、置換部202は、第2の実施の形態における置換部202と同様に、根入れ部11から離間した位置に配設されている。
上記した構成からなる杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造によれば、液状化地盤G1の液状化により複数の柱状の置換部202…がそれぞれ液状化されると、隣り合う置換部202,202間の原地盤Gは、側方からの拘束が小さくなり、その剛性が低下する。これにより、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
また、柱形状の置換部202が根入れ部11に沿って複数形成されているため、第1、第2の実施の形態のように、連続する壁状の置換部2,102を形成する場合に比べて置換部202…のボリュームが低減される。これにより、工期を短縮するとともに工費を低減させることができる。
なお、上記した柱状の置換部202の断面形状は、適宜変更可能であり、例えば、角柱形状の置換部を形成することも可能である。
また、上記した柱状の置換部202を、根入れ部11から離間した位置に配設しなくてもよく、上述した第1の実施の形態における置換部2のように、根入れ部11と接する位置に配設することも可能である。
以上、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1〜第3の実施の形態では、置換部2,102,202が液状化層G1の上面まで延設されているが、本発明は、置換部が液状化層に達していればよく、置換部が液状化層の中まで延設されていてもよい。
また、本発明の置換部の幅又は径は、適宜変更可能である。例えば、置換部の幅又は径は、想定される地盤変位よりも大きいことが好ましいが、地盤変位よりも小さくても杭基礎構造物1への影響を軽減することは可能である。
上記した第1〜第3の実施の形態では、杭基礎構造物1の液状化被害軽減構造が、既存の杭基礎構造物1に対して施工されているが、本発明に係る杭基礎構造物の液状化被害軽減構造は、既存の杭基礎構造物に対して施工する場合に限定されず、杭基礎構造物を建設する際に当該液状化被害軽減構造を構築することも可能である。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施の形態を説明するための断面図である。 本発明の第1の実施の形態を説明するための平面図である。 本発明の第2の実施の形態を説明するための平面図である。 本発明の第3の実施の形態を説明するための平面図である。
符号の説明
1 杭基礎構造物
2,102,202 置換部
10 杭基礎
11 根入れ部
G 地盤
G1 液状化層
G2 非液状化層

Claims (4)

  1. 液状化層の上に非液状化層が積層された地盤に建ち前記非液状化層内に埋設された根入れ部を有する杭基礎構造物の液状化被害を軽減する杭基礎構造物の液状化被害軽減構造であって、
    前記根入れ部の周囲の地盤内には、砂に置換された置換部が形成され、
    該置換部が、少なくとも前記液状化層に達する深度まで延設されていることを特徴とする杭基礎構造物の液状化被害軽減構造。
  2. 請求項1記載の杭基礎構造物の液状化被害軽減構造において、
    前記置換部は、前記根入れ部に接する位置に形成されていることを特徴とする杭基礎構造物の液状化被害軽減構造。
  3. 請求項1記載の杭基礎構造物の液状化被害軽減構造において、
    前記置換部は、前記根入れ部から離間した位置に形成されていることを特徴とする杭基礎構造物の液状化被害軽減構造。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の杭基礎構造物の液状化被害軽減構造において、
    前記置換部は、柱形状に形成され、前記根入れ部に沿って複数形成されていることを特徴とする杭基礎構造物の液状化被害軽減構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5077857B1 (ja) * 2012-02-28 2012-11-21 独立行政法人土木研究所 複合地盤杭基礎技術による既設構造物基礎の耐震補強構造

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