JP2008255825A - 過給機 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動エネルギの大きい高周波のホワール振動の発生を抑制し、生じる振動および騒音の低減が図られた過給機を提供する。
【解決手段】過給機10は、コンプレッサ23とタービン22とを連結し、回転可能に支持されたタービンシャフト21と、タービンシャフト21を回転可能に支持する浮動ブッシュ19と、浮動ブッシュ18と、タービンシャフト21、浮動ブッシュ19および浮動ブッシュ18を収容可能なセンタハウジングと、浮動ブッシュ19の軸方向の変位を規定可能な規定部材56,57と、浮動ブッシュ18の軸方向の変位を規定可能な規定部材46,47とを備え、浮動ブッシュ19の側面と規定部材56,57との間に位置する油から浮動ブッシュ19が受ける抵抗と、浮動ブッシュ18の側面と規定部材46,47との間に位置する油から浮動ブッシュ18が受ける抵抗とを異ならせた。
【選択図】図2
【解決手段】過給機10は、コンプレッサ23とタービン22とを連結し、回転可能に支持されたタービンシャフト21と、タービンシャフト21を回転可能に支持する浮動ブッシュ19と、浮動ブッシュ18と、タービンシャフト21、浮動ブッシュ19および浮動ブッシュ18を収容可能なセンタハウジングと、浮動ブッシュ19の軸方向の変位を規定可能な規定部材56,57と、浮動ブッシュ18の軸方向の変位を規定可能な規定部材46,47とを備え、浮動ブッシュ19の側面と規定部材56,57との間に位置する油から浮動ブッシュ19が受ける抵抗と、浮動ブッシュ18の側面と規定部材46,47との間に位置する油から浮動ブッシュ18が受ける抵抗とを異ならせた。
【選択図】図2
Description
この発明は、一般的には、過給機に関し、より特定的には、コンプレッサおよびタービン間を連結するシャフトの軸受けとして浮動ブッシュを備える過給機に関する。
従来の過給機に関して、たとえば、特開2002−138846号公報には、過給機のシャフトの振動による騒音の低減と、白煙の発生の防止とを両立することを目的とした過給機の軸受け装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された軸受け装置は、シャフトを回転自在に支承するコンプレッサ側軸受けおよびタービン側軸受けを有する。これらの軸受けは、浮動ブッシュ軸受けから構成されている。コンプレッサ側軸受けは、外径クリアランスが大きく、内径クリアランスが小さくなるか、外径幅が小さく、内径幅が大きくなるように構成されている。タービン側軸受けは、内外径クリアランスが共に小さくなるか、内外径幅が共に大きくなるように構成されている。
また、特開2002−213450号公報に記載された過給機は、回転軸と、この回転軸に摺動接触する複数の円筒状の浮動ブッシュとを備えており、浮動ブッシュの内周面および外周面に溝が形成されている。この過給機においては、浮動ブッシュが回転すると、その遠心力によって多円弧軸受となり、浮動ブッシュの内外周の油膜が安定して、オイルホワールやオイルウィップの抑制が図られている。
さらに、特開平5−321687号公報に記載された排気ターボ過給機は、衝撃センサと、この衝撃センサによって検出された検出値が予め設定された標準値以上であるときに異常信号を出力する異常検出手段とを備えている。さらに、この排気ターボ過給機は、異常検出手段から出力された異常信号に基づいて、オイルポンプから回転軸の軸受への潤滑油の供給を抑制または停止する給油制御手段としての電磁バルブを備える。
特開平7−26971号公報に記載されたシーケンシャルツインターボシステムを備えたエンジンにおいては、低負荷・低回転領域においては、プライマリターボへの潤滑供給通路が絞られ、セカンダリターボへの潤滑油の供給量を増やす。これにより、セカンダリターボ内にて、回転軸等によって跳ね飛ばされる潤滑油を増大させて、このはねかけ油によって、メカニカルシールあるいはピストンリングが十分に潤滑され、軸受部あるいはシール部での磨耗が防止されている。
特開2006−177487号公報に記載された軸受装置においては、浮動ブッシュ型のタービン側軸受と、コンプレッサ側軸受とを備えている。そして、タービン側軸受と回転軸との隙間がコンプレッサ側軸受と回転軸との隙間よりも大きく設定されている。これにより、自励振動を含む不安定振動の低減が図られている。
特開2001−193470号公報に記載された排気駆動過給機においては、過給機の効率向上が図られている。特開平6−280925号公報には防振装置が記載されている。
特開2002−138846号公報
特開2002−213450号公報
特開平5−321687号公報
特開平7−26971号公報
特開2006−177487号公報
特開2001−193470号公報
特開平6−280925号公報
上記先行文献においては、過給機に生じるホワール振動には、タービンシャフトの低回転時に生じる低周波のホワール振動と、タービンシャフトの高回転時に生じる高周波のホワール振動とについて言及し、低周波のホワール振動から高周波のホワール振動に切り替わる起因についてまでも言及したものはない。さらに、高周波のホワール振動の抑制を図る手段について記載されたものはない。
このため、上記従来の過給機においては、高周波のホワール振動を十分に抑制できないものとなっていた。ここで、タービンシャフトが高速回転時に生じる高周波のホワール振動は、振動エネルギも大きく、ハウジングに伝達される振動も大きくなる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、振動エネルギの大きい高周波のホワール振動の発生を抑制し、生じる振動および騒音の低減が図られた過給機を提供することである。
本発明に係る過給機は、1つの局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して、回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュとを備える。さらに、この過給機は、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差は、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とされる。
本発明に係る過給機は、他の局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュと、第1浮動ブッシュと第2浮動ブッシュとに油を供給可能な給油機構とを備える。そして、この過給機は、第1浮動ブッシュと第2浮動ブッシュとの形状を異ならせることにより、第1浮動ブッシュの形状に基づき、第1浮動ブッシュが油から受ける回転抵抗と、第2浮動ブッシュの形状に基づき、第2浮動ブッシュが油から受ける回転抵抗とを異ならせて、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、第1浮動ブッシュの形状に基づく第1浮動ブッシュの回転抵抗が、第2浮動ブッシュの形状に基づく第2浮動ブッシュの回転抵抗よりも大きくされる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュの表面に溝部を形成して、第1浮動ブッシュの形状に基づく第1浮動ブッシュの回転抵抗を、第2浮動ブッシュの形状に基づく第2浮動ブッシュの回転抵抗よりも大きくする。
好ましくは、上記溝部は、第1浮動ブッシュの軸方向に配列する第1浮動ブッシュの側面に形成される。
本発明に係る過給機は、他の局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュとを備える。そして、この過給機は、回転軸、第1浮動ブッシュおよび第2浮動ブッシュを収容可能な筐体と、第1浮動ブッシュに対して回転軸の軸方向に離れた位置に設けられ、少なくとも一部が、第1浮動ブッシュの側面と対向し、第1浮動ブッシュの軸方向の変位を規定可能な第1規定部材とを備える。さらに、この過給機は、第2浮動ブッシュに対して軸方向に離れた位置に設けられ、少なくとも一部が第2浮動ブッシュの側面と対向し、第2浮動ブッシュの軸方向の変位を規定可能な第2規定部材を備える。
そして、この過給機は、第1浮動ブッシュの側面と第1規定部材との間に位置する油から第1浮動ブッシュが受ける抵抗と、第2浮動ブッシュの側面と第2規定部材との間に位置する油から第2浮動ブッシュが受ける抵抗とを異ならせて、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュの側面と第1規定部材との対向面積と、第2浮動ブッシュの側面と第2規定部材との対向面積とが異なる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に位置するように設けられ、第1浮動ブッシュの側面と第1規定部材との対向面積は、第2浮動ブッシュの側面と第2規定部材との対向面積よりも大きくされる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュの側面と第1規定部材との間の距離と、第2浮動ブッシュの側面と第1規定部材との間の距離が異なる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に位置するように設けられ、第1浮動ブッシュの側面と第1規定部材との間の距離を、第2浮動ブッシュの側面と第2規定部材との間の距離よりも小さくする。
本発明に係る過給機は、他の局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュとを備える。また、この過給機は、第1浮動ブッシュに油を供給する第1給油管と、第2浮動ブッシュに油を供給する第2給油管とを備える。そして、この過給機は、第1給油管内を流通する油を加熱し、第1給油管内を流通する油の粘性を、第2給油管内を流通する油の粘性よりも低して、第2浮動ブッシュへの給油量よりも、第1浮動ブッシュへの給油量を多くする加熱部を備える。そして、この過給機は、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、回転軸、第1浮動ブッシュおよび第2浮動ブッシュを収容可能な筐体と、タービンの周囲を覆うように設けられ、筐体に接続されたタービンハウジングとをさらに備え、第1および第2給油管は、筐体内に設けられ、第1給油管は、第1浮動ブッシュよりもタービンハウジングに向けて張り出す張出部を有する。
好ましくは、上記タービンハウジングは、筐体の接続部に接続され、張出部は、タービンハウジングの接続部の表面に沿って延びる。
本発明に係る過給機は、他の局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して、回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュとを備える。そして、この過給機は、第1浮動ブッシュに油を供給する第1給油管と、第2浮動ブッシュに油を供給する第2給油管と、第1給油管から第1浮動ブッシュへの給油量と、第2給油管から第2浮動ブッシュへの給油量を異ならせて、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、第2浮動ブッシュへの給油量よりも、第1浮動ブッシュへの給油量を多くする。好ましくは、上記記第1給油管の流通面積と、第2給油管の流通面積とが異なる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に位置するように設けられ、第1給油管の流通面積を第2給油管の流通面積よりも大きくする。好ましくは、上記第1給油管の経路長と、第2給油管の経路長とが異なる。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に位置するように設けられ、第1給油管の経路長を、第2給油管の経路長よりも短くする。
本発明に係る過給機は、他の局面では、コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、回転軸を回転可能に支持し、第1浮動ブッシュに対して、回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュと、第1浮動ブッシュに供給する給油量と、第2浮動ブッシュに給油する給油量とを調整可能な給油機構とを備える。
好ましくは、第1浮動ブッシュへの給油量と第2浮動ブッシュへの給油量とを異ならせて、第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュの回転数を測定可能な第1回転数測定部と、第2浮動ブッシュの回転数を測定可能な第2回転数測定部と、給油機構の駆動を制御可能な制御部とをさらに備える。そして、上記制御部は、第1回転数測定部が測定した第1浮動ブッシュの回転数と、第2回転数測定部が測定した第2浮動ブッシュの回転数との差が、第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%より大きいと判断すると、第1浮動ブッシュへの給油量と第2浮動ブッシュへの給油量とが異なるように、給油機構を駆動する。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、制御部は、第1回転数測定部が測定した第1浮動ブッシュの回転数と、第2回転数測定部が測定した第2浮動ブッシュの回転数との差が、第1浮動ブッシュの回転数の15%より大きいと判断すると、第1浮動ブッシュへの給油量を多くする。
好ましくは、上記回転軸の径方向の変位量を測定可能な変位量測定部と、回転軸の第1振動態様時における回転軸の径方向の第1変位量と、第1振動態様時の回転軸の回転数より高速回転時にて生じる回転軸の第2振動態様時における回転軸の径方向の第2変位量との間に設定された基準変位量が格納され、給油機構の駆動を制御可能な制御部とをさらに備える。そして、上記制御部は、変位測定部が測定した変位量が基準変位量よりも大きいと判断すると、第1浮動ブッシュへの給油量と第2浮動ブッシュへの給油量とが異なるように、給油機構を駆動する。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、制御部は、変位測定部が測定した変位量が基準変位量よりも大きいと判断すると、給油機構を駆動して、第2浮動ブッシュへの給油量よりも、第1浮動ブッシュへの給油量を多くする。
好ましくは、上記回転軸、第1浮動ブッシュおよび第2浮動ブッシュを収容可能な筐体と、筐体に生じる振動の振動数を測定可能な振動測定部と、回転軸の第1振動態様時にて筐体に生じる第1振動数と、第1振動態様時の回転軸の回転数より高速回転時にて生じる回転軸の第2振動態様時に筐体に生じる第2振動数との間に設定された基準振動数が格納され、給油機構の駆動を制御可能な制御部とをさらに備える。そして、上記制御部は、振動測定部が測定した筐体の振動のうち、回転軸の振動態様によって生じる特定の振動の振動数が基準振動数よりも大きいと判断すると、第1浮動ブッシュへの給油量と第2浮動ブッシュへの給油量とが異なるように、給油機構を駆動する。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、制御部は、特定振動の振動数が基準振動数よりも大きいと判断すると、給油機構を駆動して、第2浮動ブッシュへの給油量よりも、第1浮動ブッシュへの給油量を多くする。
好ましくは、上記第1浮動ブッシュは、第2浮動ブッシュよりもタービン側に設けられ、給油機構は、第1浮動ブッシュに給油可能な第1給油管と、第2浮動ブッシュに給油可能な第2給油管と、第1給油管の給油量を調整可能な調整部部材とを含む。
本発明に係る過給機によれば、タービンシャフトの高速回転時に生じる高周波のホワール振動の発生を抑制することができ、生じる振動や騒音の低減を図ることができる。
(実施の形態1)
図1から図9を用いて、本実施の形態1に係る過給機について説明する。なお、同一の構成および相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図1から図9を用いて、本実施の形態1に係る過給機について説明する。なお、同一の構成および相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態1に係る過給機(ターボチャージャ)10の側断面図である。この図1に示されるように、過給機10は、中心軸101に沿って延びるタービンシャフト21と、タービンシャフト21の両端に接続されたコンプレッサ23およびタービン22と、タービンシャフト21の外周上を取り囲むように設けられたセンタハウジング30と、タービンシャフト21を支持する浮動ブッシュ18および19とを備えている。
センタハウジング30には、タービンシャフト21および浮動ブッシュ18,19を収容する収容室30aが規定されている。
さらに、タービンシャフト21の軸方向(中心軸101の延在方向)に配列するセンタハウジング30の側面のうち、タービン22側の側面には、タービン22を収容するタービンハウジング11が設けられている。そして、センタハウジング30の他方の側面には、コンプレッサ23を収容するコンプレッサハウジング12が固定されている。タービンハウジング11およびコンプレッサハウジング12には、それぞれ、渦室11aおよび渦室12aが形成されている。
コンプレッサ23およびタービン22は、タービンシャフト21によって互いに連結されている。コンプレッサ23およびタービン22は、中心軸101の軸方向に距離を隔てて設けられている。コンプレッサ23は、たとえば、アルミニウムから形成されている。タービン22は、排気ガスに直接、晒され、非常に高温になるため、耐熱性や耐久性を備える超耐熱合金から形成されている。
浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19は、タービンシャフト21をセンタハウジング30に対して回転自在に支持している。浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19により支持されたタービンシャフト21は、コンプレッサ23およびタービン22とともに中心軸101を中心に回転する。
浮動ブッシュ18、19は、円筒状に形成されており、浮動ブッシュ18、19の軸方向に延びる貫通孔18d、19dが形成されており、この貫通孔18d、19dには、タービンシャフト21が挿入されている。このようにして、浮動ブッシュ18、19は、タービンシャフト21を回転可能に支持している。
浮動ブッシュ18および19は、コンプレッサ23とタービン22との間に設けられている。浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19とは、中心軸101の軸方向に間隔を隔てて設けられている。浮動ブッシュ19は、タービン22側に設けられ、浮動ブッシュ18は、コンプレッサ23側に設けられている。
すなわち、タービン22と浮動ブッシュ19との間の距離は、相対的に小さく、タービン22と浮動ブッシュ18との間の距離は、相対的に大きい。また、コンプレッサ23と浮動ブッシュ19との間の距離は、相対的に大きく、コンプレッサ23と浮動ブッシュ18との間の距離は、相対的に小さい。言い換えれば、中心軸101の軸方向において、浮動ブッシュ19は、タービン22と浮動ブッシュ18との間に配置されている。浮動ブッシュ18は、コンプレッサ23と浮動ブッシュ19との間に配置されている。
過給機10は、スラストブッシュ14およびスラストベアリング13をさらに備える。スラストブッシュ14は、タービンシャフト21の外周上に固定されている。スラストブッシュ14は、浮動ブッシュ18とコンプレッサ23との間に配置されている。スラストベアリング13は、中心軸101の軸方向に微小な隙間を設けてスラストブッシュ14に係合している。その隙間に潤滑油が供給されることによって、タービンシャフト21は、中心軸101の軸方向に支持されている。
センタハウジング30内には、潤滑油が流通する給油通路(給油機構)35が設けられている。給油通路35に流れる潤滑油は、浮動ブッシュ18および19ならびにスラストベアリング13に潤滑油として供給される。
ここで、給油通路35は、潤滑油が供給される供給口36aが形成され、吐出口18aを介して、浮動ブッシュ18に潤滑油を供給する給油管(第2給油管)36と、吐出口19aを介して、潤滑油を浮動ブッシュ19に供給する給油管(第1給油管)38と、給油管38と給油管36とを接続して、給油管36に供給された潤滑油の一部を給油管38に導く給油管37とを備えている。
ここで、吐出口18aから浮動ブッシュ18に潤滑油が供給されると、浮動ブッシュ18の貫通孔18dを規定する内周面と、タービンシャフト21の外周面21aとの間に油膜が形成されると共に、浮動ブッシュ18の外周面18eと収容室30aを規定する内壁面との間にも油膜が形成される。このため、浮動ブッシュ18は、収容室30aを規定する内壁面およびタービンシャフト21の外周面21aとのいずれからも離れ、浮いた状態となる。
また、吐出口19aから浮動ブッシュ19に潤滑油が供給されると、浮動ブッシュ19の貫通孔19dを規定する内周面と、タービンシャフト21の外周面21aとの間に油膜が形成されると共に、浮動ブッシュ19の外周面19eと収容室30aを規定する内壁面との間にも油膜が形成される。このため、浮動ブッシュ19も、収容室30aを規定する内壁面およびタービンシャフト21の外周面21aとのいずれからも離れ、浮いた状態となる。
なお、給油管37の一方の端部は、給油管38に接続されており、他方の端部には、スラストベアリング13に向けて潤滑油を吐出する吐出口13aが形成されている。
また、浮動ブッシュ18、19に供給された潤滑油は、回転するタービンシャフト21を冷却する。タービンシャフト21には、センタハウジング30内の潤滑油がタービンハウジング11内に漏出することを防ぐためのオイルスリンガが設けられている。
過給機10の働きについて簡単に説明すると、エンジンで、燃料と混合され燃焼させられた空気、すなわち排気ガスは、エンジンの各気筒に接続されたエキゾーストマニホールドからタービンハウジング11の渦室11aに導かれる。排気ガスは、そこでタービン22を回転させ、その回転力がタービンシャフト21に伝達される。その後、排気ガスは、触媒に導かれ、浄化された状態で車外へと排出される。一方、エンジンに供給するため車外より吸入された空気は、図示しないエアクリーナによってろ過された後、コンプレッサハウジング12内に導かれる。空気は、タービンシャフト21と一体となって回転するコンプレッサ23により加圧され、渦室12aに送られる。加圧された空気は、インタークーラーに導かれ、冷却された状態でエンジンのインテークマニホールドへと吸入される。
図2は、浮動ブッシュ18、19およびその近傍の構成を模式的に示す側断面図である。この図2に示されるように、センタハウジング30には、タービンシャフト21を受け入れる収容室30aが規定されている。
そして、この収容室30aの内壁面には、浮動ブッシュ18がタービンシャフト21の軸方向(中心軸101方向)に変位する変位量を規定するブッシュ規定部材46、47が設けられている。このブッシュ規定部材46、47は環状に形成されており、そして、浮動ブッシュ18の軸方向に配列する側面18b、18cに対してタービンシャフト21の軸方向に離れて設けられている。さらに、これらブッシュ規定部材46,47は、収容室30aの内壁面から、浮動ブッシュ18の側面18b、18cに達するように、タービンシャフト21の径方向に延びている。
さらに、収容室30aの内壁面には、浮動ブッシュ19がタービンシャフト21の軸方向(中心軸101方向)に変位する変位量を規定するブッシュ規定部材56、57が設けられている。このブッシュ規定部材56、57も、環状に形成されており、収容室30aの内壁面から、浮動ブッシュ19の側面19b、19cに達するように形成されている。このブッシュ規定部材56、57は、浮動ブッシュ19の軸方向に配列する側面19b、19cに対して、タービンシャフト21の軸方向に離れるように配置されている。
ここで、浮動ブッシュ18の軸方向に配列する両側面18b,18cと、ブッシュ規定部材46,47の側面との間の隙間Gcは、浮動ブッシュ19の軸方向に配列する側面19b,19cと、ブッシュ規定部材56,57との間の隙間Gtよりも大きく設定されている。
このため、浮動ブッシュ18の側面18b,18cとブッシュ規定部材46、47との間に位置する潤滑油の油膜よりも、浮動ブッシュ19の側面19b、19cとブッシュ規定部材56,57との間に位置する潤滑油の油膜の方が薄くなっている。
ここで、浮動ブッシュ18,19が回転しているときにおいても、ブッシュ規定部材46,47,56,57の表面に接触している潤滑油の移動速度は小さい。そして、ブッシュ規定部材46,47,56,57の表面から浮動ブッシュ18,19に近接するにしたがって、潤滑油の移動速度が大きくなっていく。
その一方で、浮動ブッシュ18の側面18b,18cとブッシュ規定部材46、47との間に位置する潤滑油の油膜よりも、浮動ブッシュ19の側面19b、19cとブッシュ規定部材56,57との間に位置する潤滑油の油膜のようが薄くなっているので、浮動ブッシュ18の表面に位置する潤滑油の速度よりも、浮動ブッシュ19の表面に位置する潤滑油の速度の方が遅くなっている。
このため、浮動ブッシュ19が回転する際に、ブッシュ規定部材56,57との間に位置する潤滑油から受ける抵抗は、浮動ブッシュ18が回転する際に、ブッシュ規定部材46,47との間に位置する潤滑油から受ける抵抗よりも大きくなっている。
なお、この図2に示す例においては、ブッシュ規定部材46、47の側面と浮動ブッシュ18の側面18b、18cとの対向面積と、ブッシュ規定部材56,57の側面と浮動ブッシュ19の側面19b、19cとの対向面積は、近似または一致している。
ここで、図1において、タービン22は、直接排気ガスと接触するため、コンプレッサ23よりも高温となる。このため、タービンシャフト21のうち、浮動ブッシュ19が位置する部分の温度は、浮動ブッシュ18が位置する部分よりも高温となる。このため、浮動ブッシュ18の周囲に位置する潤滑油の温度よりも、浮動ブッシュ19の周囲に位置する潤滑油の温度が高くなると共に、潤滑油の粘性抵抗が小さくなっている。
さらに、本実施の形態1に係る過給機10においては、浮動ブッシュ18に潤滑油を供給する給油経路の経路長Lcよりも、浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油経路の経路長Ltの方が長くなっている。
このため、供給口36aから供給された潤滑油が供給口36aから吐出口19aまでに達するまでにうける抵抗の方が、供給口36aから吐出口18aに達するまでに受ける抵抗よりも大きくなる。
このため、浮動ブッシュ19に供給される給油量よりも、浮動ブッシュ18に供給される給油量の方が多くなる。このため、浮動ブッシュ18が回転することにより、攪拌される潤滑油の量は、浮動ブッシュ19が回転して攪拌される潤滑油の量よりも多くなり、浮動ブッシュ18が潤滑油から受ける攪拌抵抗は、浮動ブッシュ19が潤滑油から受ける攪拌抵抗よりも大きくなる。このように、潤滑油の粘性および攪拌抵抗の観点においては、浮動ブッシュ19は、浮動ブッシュ18よりも回転しやすい環境下にある。
その一方で、上記のように浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46,47と間に位置する潤滑油により、浮動ブッシュ18が受ける抵抗よりも、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56、57との間に位置する潤滑油により浮動ブッシュ19が受ける抵抗の方が大きくなっている。
これにより、本実施の形態に係る過給機10においては、過給機10の駆動中において、浮動ブッシュ18の回転速度(回転数)と、浮動ブッシュ19の回転速度(回転数)とを近似または一致させることができる。
なお、この図1および図2に示す例においては浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との形状は、一致しており、タービンシャフト21の径は、浮動ブッシュ18が位置する部分から浮動ブッシュ19が位置する部分にわたって一定とされている。
このため、浮動ブッシュ18、19周囲に位置する潤滑油の温度が等しい場合には、タービンシャフト21と浮動ブッシュ18との間に位置する潤滑油によって浮動ブッシュ18が受ける抵抗と、タービンシャフト21と浮動ブッシュ19との間に位置する潤滑油によって浮動ブッシュ19が受ける抵抗とは、近似または一致している。
さらに、浮動ブッシュ18の外周面18eと、収容室30aの内壁面と隙間と、浮動ブッシュ19の外周面19eと収容室30aの内壁面との隙間とが等しくされている。
このため、浮動ブッシュ18、19の周囲に位置する潤滑油の温度が等しい場合には、浮動ブッシュ19の外周面19eと、収容室30aの内壁面との間に位置する潤滑油から浮動ブッシュ19が受ける抵抗と、浮動ブッシュ18の外周面18eと収容室30aの内壁面との間に位置する潤滑油から浮動ブッシュ18が受ける抵抗も近似または一致している。
このように、浮動ブッシュ18の周囲に位置する潤滑油の温度と、浮動ブッシュ19の周囲に位置する潤滑油の温度とが異なることにより浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19とが回転する際に潤滑油から受ける抵抗のばらつきや攪拌抵抗のばらつきを、ブッシュ規定部材46,47,56,57との隙間Gc,Gtを調整することで、浮動ブッシュ18、19が回転する際に、各浮動ブッシュ18、19に生じる抵抗を一致または近似させている。
本実施の形態1においては、上記のように浮動ブッシュ18、19の周囲に位置する潤滑油の温度のばらつきに起因して、浮動ブッシュ18、19に生じる抵抗のばらつきを、ブッシュ規定部材46,47,56,57によって調整して、浮動ブッシュ18、19の回転数(回転速度)を実質的に一致させている。すなわち、浮動ブッシュ18、19に生じる抵抗にばらつきが生じる原因としては、各種要因があり、本実施の形態においては、ブッシュ規定部材46,47,56,57を用いて、浮動ブッシュ18,19の回転数(回転速度)を実質的に一致させている。
図3は、比較例の過給機において、タービンシャフトの回転数と、センタハウジングに生じる振動の周波数との関係を示すグラフである。この図3において、横軸は、タービンシャフトの回転数を示し、縦軸は、センタハウジングに生じる振動の周波数を示す。
ここで、比較例の過給機は、上記図2において、ブッシュ規定部材46,47の隙間と浮動ブッシュ18との隙間Gcと、ブッシュ規定部材56、57と浮動ブッシュ19との隙間Gtとの隙間が等しくされた過給機である。
そして、図4は、比較例の過給機において、タービンシャフト21の回転数と、各浮動ブッシュ18、19の回転数の関係を示すグラフである。この図4においては、横軸は、タービンシャフト21の回転数を示し、縦軸は、各浮動ブッシュ18、19の回転数を示す。なお、破線は、浮動ブッシュ19の回転数を示し、実線は、浮動ブッシュ18の回転数を示す。
この図4に示すように、比較例に係る回転電機においては、浮動ブッシュ19の回転数の方が浮動ブッシュ18の回転数よりも大きいことが分かる。
さらに、浮動ブッシュ19の回転数と、浮動ブッシュ18の回転数の差は、浮動ブッシュ19の回転数に対して、最大約37%程度となっている。
ここで、図3と図4に示すように、比較例の過給機においては、タービンシャフト21の回転数がRP2となる際には、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の回転数の差が最大となる。そして、この際、図3に示すように、センタハウジング30に生じる振動が急に、高くなることが分かる。すなわち、タービンシャフト21の振動態様が円錐モードから円筒モードに切り替わることにより、センタハウジング30に生じる振動の周波数が急に大きくなる。
図5は、タービンシャフト21の振動態様が円錐モードのときの過給機の側断面図であり、図6は、タービンシャフト21の振動態様が円筒モードのときの過給機の側断面図である。
ここで、図5に示すように、タービンシャフト21の振動態様が円錐モードの際には、タービンシャフト21は、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置する部分を中心(支点)として、タービン22およびコンプレッサ23が円弧を描くように振動する。その一方で、タービンシャフト21の振動態様が円筒モードの際には、タービンシャフト21全体が、中心軸Oを中心として、振動し始める。この円筒モードの振動態様では、円錐モードの振動態様と異なり、支点となる部分がなく、タービンシャフト21全体が中心軸Oを中心として振動している。
ここで、タービンシャフト21の振動態様が円筒モードの際には、円錐モードの際と比較して、タービンシャフト21の回転数も高く、振動エネルギも大きい。このため、センタハウジング30に伝達される振動および周波数も大きくなる。
そして、図3に示すように、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードから円筒モードに切り替わるときのタービンシャフト21の回転数RP2は、比較的小さいことが分かる。ここで、図3において、二点鎖線は、タービンシャフト21の回転数が上昇することにより、1次的に上昇する機械的振動である。この振動は、上記のタービンシャフト21の回転態様の変動を伴うものではなく、タービンシャフト21の回転数の上昇に伴って周波数も1次元的に大きくなる。
図7は、本実施の形態に係る過給機10において、タービンシャフト21の回転数(回転速度)と、過給機10のセンタハウジング30に生じる振動の周波数との関係を示すグラフである。なお、この図7に示すグラフにおいては、横軸は、タービンシャフト21の回転数を示し、縦軸は、センタハウジング30に生じる振動の周波数を示す。
そして、図8は、タービンシャフト21の回転数と、浮動ブッシュ18、19の回転数との関係を示すグラフである。この図8において、浮動ブッシュ19の回転数は、破線で示され、浮動ブッシュ18の回転数は、実線で示されている。
この図8に示されるように、浮動ブッシュ19の回転数は、浮動ブッシュ18の回転数よりも大きく、浮動ブッシュ19の回転速度の方が、浮動ブッシュ18の回転速度よりも速いことが分かる。そして、浮動ブッシュ18の回転数と浮動ブッシュ19の回転数の回転数の差RDは、浮動ブッシュ19の回転数R19の15%以下とされている。
そして、この図7および図8に示す例においては、タービンシャフト21の回転数RP1(RP1>RP2)となると、タービンシャフト21の振動態様が、円錐モードから円筒モードに切り替わることが分かる。
ここで、上記比較例に係る過給機の特性を示す図3および図4と、本実施の形態1に係る過給機10の特性を示す図7および図8とを比較すると、振動モードが切り替わるタービンシャフト21の回転数は、本実施の形態1に係る過給機10の方が、比較例の過給機よりも大きいことが分かる。
このように、図3、図4、図7、図8から分かるように、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の回転数の差を低減することにより、タービンシャフト21の振動態様が円錐モードから円筒モードに切り替わることを抑制することができることが分かる。
特に、図7、図8に示すように、タービンシャフト21の駆動期間中わたって、浮動ブッシュ18、19の回転数の差を、浮動ブッシュ18より高速回転する浮動ブッシュ19の回転数の15%以下とすることにより、振動モードが切り替わるタービンシャフト21の回転数を大きく高速回転側にずらすことができる。
このように、振動モードが円錐モードから円筒モードに切り替わるタイミングを高速回転時にずらすことができるので、タービンシャフト21の低速回転時から高速回転時にわたって、過給機10に高周波の振動および騒音が生じることを低減することができる。
なお、図7、図8においては、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との回転数の差を浮動ブッシュ19の回転数の15%以下とした例について示したがこれに限られない。すなわち、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の回転数の差をさらに低減することにより、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードから円筒モードに切り替わるタイミングをさらに、タービンシャフト21の高速回転時に変位させることができる。
ここで、本実施の形態1においては、上記のように、タービン22の温度がコンプレッサ23の温度よりも高いことにより、浮動ブッシュ18の周囲の潤滑油の温度と、浮動ブッシュ19の周囲の潤滑油の温度に差が生じることに起因して、浮動ブッシュ18の回転速度、回転数と浮動ブッシュ19の抵抗に差が生じることを是正しているが、浮動ブッシュ18、19の抵抗にばらつきが生じる原因は、これに限られない。
たとえば、タービンシャフト21の形状、収容室30aの内壁面の形状などによっても
、浮動ブッシュ18、19の回転数、回転速度にばらつきが生じる。このため、タービンシャフト21の形状や収容室30aの内壁面の形状が、浮動ブッシュ18、19が位置する部分によって異なるような過給機においても、本実施の形態1に係る過給機10と同様に、浮動ブッシュ18、19の回転数、回転速度を近似させることで、振動および騒音の低減を図ることができる。
、浮動ブッシュ18、19の回転数、回転速度にばらつきが生じる。このため、タービンシャフト21の形状や収容室30aの内壁面の形状が、浮動ブッシュ18、19が位置する部分によって異なるような過給機においても、本実施の形態1に係る過給機10と同様に、浮動ブッシュ18、19の回転数、回転速度を近似させることで、振動および騒音の低減を図ることができる。
なお、本実施の形態1においてはブッシュ規定部材46、47と、浮動ブッシュ18との間の隙間と、ブッシュ規定部材56、57と浮動ブッシュ19との間の隙間とを異ならせることで、浮動ブッシュ18の回転数、回転速度と、浮動ブッシュ19の回転数、回転速度とを一致または近似させることとしているが、これに限られない。
図9は、本実施の形態1に係る過給機10の変形例を示す側断面図である。この図9に示すように、浮動ブッシュ18の側面18b、18cと、ブッシュ規定部材45、46との対向面積t2よりも、浮動ブッシュ19の側面19b、19cとブッシュ規定部材56、57との対向面積t1が大きくなるように設定されている。なお、この図9に示す例においては、浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46,47との間の隙間と、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56,57と間の隙間とは、一致または少なくとも実質的に一致している。
ここで、浮動ブッシュ18、19の側面18b,18c,19b,19cの側面のうち、ブッシュ規定部材46,47,56,57と対向していない部分と接触する潤滑油は、ブッシュ規定部材46,47,56,57と対向する部分の潤滑油よりも、浮動ブッシュ18、19の速度に追従している。
このため、浮動ブッシュ18,19の側面18b、18c、19b、19cが、ブッシュ規定部材46,47,56,57と対向する割合が大きくなるほど、浮動ブッシュ18,19が潤滑油から受ける抵抗が大きくなる。
そして、上記のように、浮動ブッシュ18の対向面積t2が、浮動ブッシュ19の対向面積t1よりも小さくなっているので、浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46、47との間に位置する潤滑油から浮動ブッシュ18が受ける抵抗よりも、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56、57との間に位置する潤滑油から浮動ブッシュ19が受ける抵抗の方が大きくなる。これにより、浮動ブッシュ19が周囲に位置する潤滑油から受ける抵抗よりも、浮動ブッシュ18が周囲に位置する潤滑油から受ける抵抗の方が小さくなる。
これにより、浮動ブッシュ18、19の周囲に位置する潤滑油の粘性の差に起因して、浮動ブッシュ18の回転数と浮動ブッシュ19の回転数とに差が生じるような環境において、浮動ブッシュ18の回転数と、浮動ブッシュ19の回転数とを近似または一致させることができる。
なお、本実施の形態1においては、浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46,47と対向面積と、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56,57との対向面積を異ならせたり、浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46,47との隙間と、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56,57との隙間の距離を異ならせたりしているがこれに限られない。たとえば、ブッシュ規定部材46、47の表面のうち、浮動ブッシュ19の側面19b、19cと対向する部分に環状の溝部を形成したり、または周方向に間隔を隔てて溝部を形成するようにしてもよい。
これにより、浮動ブッシュ18が、ブッシュ規定部材46,47との間に位置する潤滑油から受ける抵抗よりも、浮動ブッシュ19がブッシュ規定部材56,57との間に位置する潤滑油から受ける抵抗を大きくすることができる。これにより、浮動ブッシュ18の回転数と浮動ブッシュ19の回転数とを一致させることができる。
(実施の形態2)
図10および適宜上記図1から図9を用いて、本実施の形態2に係る過給機10Aについて説明する。図10は、実施の形態2に係る過給機10Aの側断面図である。なお、図10において、上記図1から図9に示された構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10および適宜上記図1から図9を用いて、本実施の形態2に係る過給機10Aについて説明する。図10は、実施の形態2に係る過給機10Aの側断面図である。なお、図10において、上記図1から図9に示された構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10において、タービンハウジング11内には、排気ガスが流通しており、タービンハウジング11の温度は、コンプレッサハウジング12の温度よりも高くなっている。このタービンハウジング11は、接続部11bにて、センタハウジング30に接続されている。このため、センタハウジング30のうち、接続部11bおよびその近傍に位置する部分は、タービンハウジング11の熱が伝達され、他の部分よりも温度が高くなっている。なお、この図10に示す例においては、接続部11bは、タービンシャフト21の軸方向に配列するセンタハウジング30の側面のうち、タービン22側の側面に位置している。
潤滑油が流通する給油通路35は給油管36に接続され、浮動ブッシュ19に潤滑油を吐出口19aを介して供給する給油管137を備えている。ここで、給油管36は、浮動ブッシュ18の上方に位置しており、浮動ブッシュ19および給油管137よりも、タービンハウジング11から離れた位置に設けられている。
そして、給油管137は、一方の端部が給油管36に接続され、他端部側は、タービンハウジング11に向けて延び、接続部11bまたはその近傍に位置する部分にまで達する接続管37aを備えている。また、給油管137は、この接続管37aに接続され、接続部11bが位置するセンタハウジング30の表面に沿って延びる接続管37bとを備えている。さらに、給油管137は、接続管37bに接続され、接続部11bから離れて、浮動ブッシュ19の上方にまで延びる接続管37cと、この接続管37cに接続されて、吐出口19aに達する接続管37dとを備えている。
ここで、接続管37bは、高温となる接続部11bが位置するセンタハウジング30の表面に沿って延びているため、給油管137内を流通する潤滑油は、高温となっている接続部11bからの熱によって加熱される。
このように、潤滑油が加熱されると、潤滑油の粘性は低下し、潤滑油は、接続部37bおよびこの接続部37bの下流側に位置する接続管37c、37d内を良好に流通し、吐出口19aから吐出する。すなわち、接続部11bは、給油管137内を流通する潤滑油を加熱して、潤滑油の粘性を低減させる加熱部としての機能を有しており、このような加熱部を給油管137に設けることで、給油管137内における潤滑油の流通抵抗が低減されている。
このため、給油管137は、浮動ブッシュ19および吐出口19aよりもタービンハウジング11側に向けて張り出しており、給油管137内を流通する潤滑油をタービンハウジング11からの熱で加熱することができ、給油管137内を流れる潤滑油の流通抵抗を低減することができる。
ここで、給油管36内を通り、吐出口18aから吐出される潤滑油は、給油管137を通る潤滑油よりも温度が低く粘性が高くなっている。このため、給油管36を通り、吐出口18aから吐出される潤滑油が受ける流通抵抗よりも、給油管137内を通り、吐出口19aから吐出される潤滑油が受ける流通抵抗は、小さくなる。このため、浮動ブッシュ19に供給される潤滑油の供給量が、浮動ブッシュ18に供給される潤滑油の供給量よりも多くなる。
このように浮動ブッシュ19に供給される潤滑油が浮動ブッシュ18に供給される潤滑油よりも多くなると、浮動ブッシュ19が回転する際に、浮動ブッシュ19が攪拌する潤滑油の量が多くなり、浮動ブッシュ19が回転するときの抵抗が大きくなる。
その一方で、上記実施の形態1に係る過給機10と同様に、浮動ブッシュ19の周囲に位置する潤滑油の温度は、浮動ブッシュ18の周囲に位置する潤滑油の温度よりも高く粘性が小さい。
このため、タービンシャフト21が回転して、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19が回転しているときに、浮動ブッシュ18の回転数、回転速度と浮動ブッシュ19の回回転数、転速度を略一致させることができる。
これにより、本実施の形態2に係る過給機10Aにおいても、浮動ブッシュ18、19の回転数の差を、浮動ブッシュ18より高速回転する浮動ブッシュ19の回転数の15%以下とすることができる。
すなわち、この過給機10Aの浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19も、図8に示すような特性を有する。
これにより、振動モードが切り替わるタービンシャフト21の回転数を大きく高速回転側にずらすことができる。これにより、過給機10Aを駆動させることにより、過給機10Aに生じる騒音を低減することができる。すなわち、この過給機10Aにおいても、タービンシャフト21の回転数がRP1(>RP2)まで、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードから円筒モードに切り替わるのを抑制することができる。
なお、本実施の形態2に係る過給機10Aにおいても、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の形状は実質的に一致している。そして、浮動ブッシュ18の貫通孔18dの内周面とタービンシャフト21の外周面21aとの隙間と、浮動ブッシュ19と貫通孔19dの内周面とタービンシャフト21の外周面21aとの隙間とも実質的に一致している。さらに、浮動ブッシュ18の外周面18eと収容室30aの内壁面との隙間と、浮動ブッシュ19の外周面19eと収容室30aの内壁面との隙間も実質的に一致している。そして、さらに、図2において、浮動ブッシュ18とブッシュ規定部材46、47との隙間Gcと、浮動ブッシュ19とブッシュ規定部材56、57との隙間Gtおよび各対向面積も実質的に一致している。
すなわち、本実施の形態2に係る過給機10Aにおいても、上記実施の形態1に係る過給機10と同様に、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19とが回転する際に、各浮動ブッシュ18、19にかかる全抵抗を近似または一致させることで、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の回転数、回転速度を近似または一致させている。
(実施の形態3)
図11から図14および上記図1から図10を適宜を用いて、本実施の形態3に係る過給機10Bについて説明する。なお、図11から図14において、上記図1から図10と同一または相当する構成については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図11から図14および上記図1から図10を適宜を用いて、本実施の形態3に係る過給機10Bについて説明する。なお、図11から図14において、上記図1から図10と同一または相当する構成については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図11は、本実施の形態3に係る過給機10Bの側断面図である。この図11に示されるように、本実施の形態に係る過給機10Bも、浮動ブッシュ118と、浮動ブッシュ119とを備えている。浮動ブッシュ119は、浮動ブッシュ118よりもタービン22側に位置しており、浮動ブッシュ118は、浮動ブッシュ119よりもコンプレッサ23側に位置している。
図12は、浮動ブッシュ118の詳細を示す斜視図であり、図13は、浮動ブッシュ119の詳細を示す斜視図である。
図12に示すように、浮動ブッシュ118は、円筒状に形成されている。そして、浮動ブッシュ118には、軸方向に延びる貫通孔118dが形成されている。そして、浮動ブッシュ118の外周面118eには、周方向に間隔を隔てて形成され、貫通孔118dに達するように径方向に延びる複数の給油孔128aが形成されている。なお、この浮動ブッシュ118の軸方向に配列する側面118b、118c平坦面状とされており、外周面118eも、滑らかな湾曲面とされている。
図13に示すように、浮動ブッシュ119も円筒状に形成されている。そして、浮動ブッシュ119には、軸方向に延びる貫通孔119dが形成されている。浮動ブッシュ119の外周面119eにも、浮動ブッシュ118と同様に給油孔129aが形成されている。浮動ブッシュ119の軸方向の軸方向に配列する側面119b、119cには、周方向に間隔を隔てて複数形成され、径方向に延びる溝部129bが形成されている。
このように、浮動ブッシュ118と浮動ブッシュ119とは、溝部129bを除き、同一の形状とされている。
浮動ブッシュ119は、側面119b、119cに溝部129bが形成されており、浮動ブッシュ119が回転する際に、浮動ブッシュ119が潤滑油から受ける抵抗が、浮動ブッシュ118が回転する際に生じる抵抗よりも大きくなっている。
ここで、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいても、浮動ブッシュ119は、浮動ブッシュ118よりも、タービン22に近接しているため、タービン22からの熱によって、浮動ブッシュ119の周囲に位置する潤滑油の温度は、浮動ブッシュ118の周囲に位置する潤滑油の温度よりも高くなっている。これに伴い、浮動ブッシュ119の周囲に位置する潤滑油の粘性は、浮動ブッシュ118の周囲に位置する潤滑油の粘性よりも低くなっている。
そこで、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいては、浮動ブッシュ118および浮動ブッシュ119の形状を異ならせることで、浮動ブッシュ118、119自体の回転抵抗を異ならせて、結果として、過給機10Bの駆動中における浮動ブッシュ118、119の回転数、回転速度を近似させている。
これにより、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいても、上記図8に示すように、過給機10と同様に、浮動ブッシュ118の回転数と浮動ブッシュ119の回転数の差を、浮動ブッシュ118および浮動ブッシュ119のうち、回転数の大きい方の回転数の15%以下に抑えることができる。これにより、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいても、上記図7に示されるように、過給機10Bの振動および騒音を低減することができる。
この図13に示す例においては、浮動ブッシュ119の表面のうち、軸方向に配列する側面119b,119cの側面に溝部129を形成することで、浮動ブッシュ119の攪拌抵抗を大きくしている。このため、浮動ブッシュ119がタービンシャフト21および収容室30aの内壁面と対向する面積は、浮動ブッシュ118と一致しており、浮動ブッシュ118と同様にタービンシャフト21を支持することができ、浮動ブッシュ119の軸受けとしての機能を確保することができる。
図14は、浮動ブッシュ119の変形例を示す斜視図である。この図14に示すように、浮動ブッシュ119の側面119b、119cに、周方向に間隔をあけて、穴部129cや貫通孔を形成してもよい。また、側面119b、119cに軸方向に突出する突出部を形成することで、浮動ブッシュ119の攪拌抵抗を上記のように浮動ブッシュ118の攪拌抵抗よりも大きくしてもよい。
このように、本実施の形態3においては、タービン22に近似する浮動ブッシュ119の形状を浮動ブッシュ118と異ならせて、浮動ブッシュ119の形状に起因する浮動ブッシュ119自体の抵抗を浮動ブッシュ118自体の抵抗よりも高めることで、浮動ブッシュ118および浮動ブッシュ119が位置する外部環境の差によって生じる浮動ブッシュ118、119に生じる抵抗の差を低減している。これにより、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいても、上記図8に示すように、上記実施の形態1、2にか係る過給機10、10Aと同様に、浮動ブッシュ118と浮動ブッシュ119の回転数の差を、浮動ブッシュ118、119の回転数のうち、回転数の大きい方の回転数の15%以下に低減することができる。
これにより、本実施の形態3に係る過給機10Bにおいても、図7に示すように、過給機10Bに生じる振動および騒音を低減することができる。
上記のように、本実施の形態3においては、浮動ブッシュ118、119の周囲に位置する潤滑油の温度によって、浮動ブッシュ118、119の回転数に差が生じることを、浮動ブッシュ118と浮動ブッシュ119の形状を異ならせることで、浮動ブッシュ118、119自体の回転抵抗を異ならせ、結果として、浮動ブッシュ118、119の回転数の差を低減しているが、これに限られない。
たとえば、タービンシャフト21の径が、浮動ブッシュ118が位置する部分と浮動ブッシュ119が位置する部分とで異なるような場合や、さらに、収容室30aの内壁面の位置が浮動ブッシュ118が位置する部分と浮動ブッシュ119が位置する部分とで異なるような場合にも適用することができる。
なお、浮動ブッシュ118、119自体の回転抵抗とは、浮動ブッシュ118、119の形状に起因して、周囲に位置する潤滑油との間に生じる抵抗であって、潤滑油の粘性や周囲に位置する潤滑油量に起因する攪拌抵抗とは、異なる。
(実施の形態4)
図15から図17および適宜上記図1から図14を用いて、本実施の形態4に係る過給機10Cについて説明する。なお、図15から図17において、上記図1から図14と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図15から図17および適宜上記図1から図14を用いて、本実施の形態4に係る過給機10Cについて説明する。なお、図15から図17において、上記図1から図14と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図15は、本実施の形態4に係る過給機10Cの側断面図である。この図15に示すように、過給機10Cは、センタハウジング30と、給油通路35と、浮動ブッシュ18の回転数をセンシング可能なセンサ67と、浮動ブッシュ19の回転数をセンシング可能なセンサ68とを備えている。
給油通路35は、吐出口48aを介して浮動ブッシュ18に潤滑油を供給する給油管48と、吐出口49aを介して浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油管49と、給油管48に接続され、スラストベアリング13に潤滑油を供給する給油管43とを備えている。
そして、給油管49には、浮動ブッシュ19に供給される給油量を調整可能な電磁バルブ51が設けられている。さらに、この過給機10Cは、センサ67およびセンサ68からの信号を受信して、電磁バルブ51の駆動を制御可能な制御部100を備えている。
なお、この図15に示す例においては、給油管49の流路径Dtと、給油管48の流路径Dcとは、略一致している。さらに、給油通路35の給油口35aから吐出口18aまでの距離と、給油口35aから吐出口19aとの距離が略一致している。
そして、電磁バルブ51が開操作されていない状態においては、給油管49から浮動ブッシュ19に供給される給油量と、給油管48から浮動ブッシュ18に供給される給油量は、略等しくなっている。
このような過給機10Cの動作について、図16および図17を用いて説明する。図16は、センサ67、68によってセンシングされた浮動ブッシュ18、19の回転数と、タービンシャフト21の回転数との関係の一例を示すグラフである。そして、図17は、制御部100による電磁バルブ51の制御フローを示す図である。
図15において、過給機10Cが駆動を開始して、タービンシャフト21が回転し始めると、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19も、タービンシャフト21の動きに追従して、回転し始める。
ここで、上記のように、タービン22の温度がコンプレッサ23の温度よりも高いので、この図15に示す例においては、タービン22に近接する浮動ブッシュ19の方が、浮動ブッシュ18よりも回転数が大きくなる。
そして、図17に示すように、タービンシャフト21が回転し始めると、センサ67、68は、浮動ブッシュ18、19の回転数をセンシングし始める。そして、制御部100は、センサ67、68から送信された浮動ブッシュ19の回転数Ntと、浮動ブッシュ18の回転数Ncとのうち、大きい方の回転数NLと、小さい方の回転数NSとの回転数差Ndを算出する(STEP1)。
この図15に示す例においては、浮動ブッシュ19の回転数Ntの方が、浮動ブッシュ18の回転数Ncよりも大きくなる。
そして、算出された回転数差Ndが、大きい方の回転数NLに対して所定の割合値E以上であるか否かを判断する(STEP2)。なお、本実施の形態においは、E=0.15(15%)とし、Ndは、Nt−Ncとなる。
そして、Nd/NLが、所定値E以上であると判断すると、制御部100は電磁バルブ51を開操作して、図15に示す浮動ブッシュ19への給油量を増やす(STEP3)。なお、制御部100が、電磁バルブ51を開操作する際には、既に供給されている給油量に対して所定の割合量(たとえば、10%)多くなるように、電磁バルブ51を駆動するようにしてもよい。
このように電磁バルブ51が開操作されることで、回転数の大きい浮動ブッシュ19へ供給される給油量が多くなる。そして、浮動ブッシュ19が回転する際に、浮動ブッシュ19が攪拌する潤滑油量が多くなり、浮動ブッシュ19が潤滑油から受ける(攪拌)抵抗が大きくなる。このため、浮動ブッシュ19の回転数が低減され、浮動ブッシュ19の回転数と浮動ブッシュ18の回転数を近似させることができ、算出された回転数差Ndが、大きい方の回転数NLに対して所定の割合値Eより小さく維持することができる。
これにより、本実施の形態4に係る過給機10Cにおいても、上記図8に示すように、浮動ブッシュ19の回転数と、浮動ブッシュ18の回転数の差を浮動ブッシュ19の回転数の15%以下に低減することができる。
これに伴い、本実施の形態4に係る過給機10Cにおいても、タービンシャフト21の振動モードが、円錐モードから円筒モードに切り替わるタービンシャフト21の高回転数側にシフトさせることができ、過給機10Cに生じる振動および騒音を低減することができる。
なお、本実施の形態においても、タービンの温度によって、浮動ブッシュ19の周囲の温度が、浮動ブッシュ18の周囲の潤滑油の温度よりも高くなり、浮動ブッシュ19が浮動ブッシュ18より高速で回転しやすい環境であるので、浮動ブッシュ19の攪拌抵抗を上げることで、浮動ブッシュ19と浮動ブッシュ18の回転数を近似させているが、浮動ブッシュ19と浮動ブッシュ18の回転数に差が生じる原因は、これに限られない。
すなわち、上述のように、タービンシャフト21の形状および収容室30aの内壁面の形状などによって、浮動ブッシュ18、19に生じる抵抗は変動し、各種過給機によって、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19に生じる抵抗は、変動する。
そこで、タービンシャフト21および収容室30aの内壁面の形状に合わせて、各浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19に供給する給油量を調整可能としてもよい。
たとえば、給油管48にも電磁バルブを設けて、浮動ブッシュ18に供給する給油量についても、調整可能にしてもよい。
これにより、浮動ブッシュ18の回転数が、浮動ブッシュ19の回転数より大きくなる場合においても、浮動ブッシュ18への給油量を多くすることで、浮動ブッシュ18の回転数を低減して、浮動ブッシュ19の回転数に近似させることができる。
(実施の形態5)
図18から図20および適宜上記図1から図17を用いて、本実施の形態5に係る過給機10Dについて説明する。なお、図18から図20において、上記図1から図17に示された構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図18から図20および適宜上記図1から図17を用いて、本実施の形態5に係る過給機10Dについて説明する。なお、図18から図20において、上記図1から図17に示された構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図18は、本実施の形態5に係る過給機10Dの側断面図である。この図18に示されるように、本実施の形態5に係る過給機10Dは、センタハウジング30に設けられ、センタハウジング30に生じる振動を計測可能な加速度計69と、給油通路35に設けられた電磁バルブ51と、加速度計69が計測した振動数に基づいて、電磁バルブ51の駆動を制御可能な制御部100とを備えている。加速度計69は、センタハウジング30に生じる振動を測定する。
給油通路35は、浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油管49と浮動ブッシュ18に潤滑油を供給する給油管48とを備えており、給油管49には、浮動ブッシュ19に供給する給油量を制御可能な電磁バルブ51が設けられている。なお、この図18に示す例においては、給油管49の流路径Dtと、給油管48の流路径Dcとは、略一致している。さらに、給油通路35の給油口35aから吐出口18aまでの距離と、給油口35aから吐出口19aとの距離が略一致している。
そして、電磁バルブ51が開操作されていない状態においては、給油管49から浮動ブッシュ19に供給される給油量と、給油管48から浮動ブッシュ18に供給される給油量は、略等しくなっている。
ここで、本実施の形態5に係る過給機10Dにおいても、他の実施の形態に係る過給機と同様に、浮動ブッシュ19の周囲に位置する潤滑油の温度が高くなるため、浮動ブッシュ19の回転数が浮動ブッシュ18の回転数よりも大きくなる傾向にあり、タービンシャフト21の回転数が上昇するとさらに、回転数の差が大きくなる傾向にある。
図19は、本実施の形態5に係る過給機10Dについて、浮動ブッシュ19よおび浮動ブッシュ18に供給する給油量の調整を行なわないで、駆動させたときにセンタハウジング30に生じる振動の周波数を分析したグラフである。
この図19において、横軸は、タービンシャフト21の回転数を示し、縦軸は、センタハウジング30に生じる振動の周波数を示す。この図19において、直線L1は、タービンシャフト21の回転数が上昇することにより、1次的に上昇する1次振動を示す。この1次振動は、タービンシャフト21の回転数に比例して上昇する。
図19のうち、領域R2によって示される部分は、上記図5に示すように、タービンシャフト21の振動態様が円錐モードとなっていることにより、センタハウジング30に生じる振動を示すものである。そして、領域R1によって示される部分は、上記図6に示すように、タービンシャフト21の振動態様が、円筒モードとなっていることにより、センタハウジング30に生じる振動を示す。
そして、この図19において、円錐モード周波数fw2は、領域R1において、振動態様が円錐モードとなっているタービンシャフト21によってセンタハウジング30に生じる振動の平均値を示し、さらに、円筒モード周波数fw1は、領域R3において、振動態様が円筒モードとなっているタービンシャフト21によってセンタハウジング30に生じる振動の平均値を示す。
さらに、境界周波数fcは、円筒モード周波数fw1以下とされ、さらに、円錐モード周波数fw2以上に設定されている。
なお、さらに好ましくは、図19の領域R1において、タービンシャフト21の振動モードが円筒モードとなっているときに、センタハウジング30に生じる振動の最小周波数を境界周波数fcとする。そして、制御部100には、上記境界周波数fcが予め記憶されている。
図20は、制御部100が電磁バルブ51を駆動制御する制御フローを示す。この図20および図18において、タービンシャフト21が回転駆動し始めると、加速度計69も、センタハウジング30に生じる振動をセンシングし始める(STEP1)。
そして、加速度計69によってセンシングされた振動データは、制御部100に送信される。制御部100は、加速度計69からの振動データを解析して、タービンシャフト21の振動態様によってセンタハウジングに生じる振動(ホワール振動)の振動数fwを算出する(STEP2)。
そして、算出された振動数fwが予め入力されている境界周波数fcより小さいか否かを判断する(STEP3)。ここで、算出された振動数fwが、境界周波数fcよりも小さいと判断すると、制御部100は、電磁バルブ51の状態を維持し、加速度計69は、センシングを継続する。
その一方で、検出された振動数fwが、境界周波数fcよりも大きいと判断すると、制御部100は、電磁バルブ51を開操作する。ここで、電磁バルブ51を開操作する際に、たとえば、給油量が10%など所定の割合で増加するように制御してもよい。
そして、浮動ブッシュ19に供給される給油量が多くなると、上述のように、浮動ブッシュ19の回転数が低減され、浮動ブッシュ18の回転数との差が低減される。これにより、浮動ブッシュ19の回転数と浮動ブッシュ18の回転数差を浮動ブッシュ19の回転数のたとえば、15%以下に低減することができ、タービンシャフト21の振動モードを円筒モードから円錐モードに戻すことができる。
これにより、センタハウジング30に生じる振動の周波数を低減することができ、生じる振動音も低減することができる。
このように、本実施の形態5に係る過給機10Dにおいては、上記のように実際に、センタハウジング30に生じている振動から、タービンシャフト21の振動モードを判断している。このため、タービンシャフト21の振動態様が円筒モードとなっている状態を回避することができ、センタハウジング30に生じる振動の周波数を低減することができると共に、生じる騒音を低減することができる。
さらに、経時的に浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19との形状が僅かに変形し、浮動ブッシュ19の回転数の方が浮動ブッシュ18の回転数よりも大きくなり、各回転数の差が大きく開くようになったとしても、実際にセンタハウジング30に生じる振動に基づいて制御しているため、良好にセンタハウジング30に生じる振動を低減することができる。
なお、本実施の形態5に係る過給機10Dにおいては、タービンシャフト21の回転数が上昇するにしたがって、浮動ブッシュ19の回転数が浮動ブッシュ18の回転数よりも漸次大きくなる場合に、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19の回転数の差を低減するようにしているが、これに限られない。
すなわち、タービンシャフト21の形状、収容室30aの内壁面、浮動ブッシュ18、19の形状等の理由により、浮動ブッシュ18の回転数の方が浮動ブッシュ19の回転数よりも大きくなりやすい過給機においては、電磁バルブを給油管48に設けるようにする。
さらには、電磁バルブを給油管48、49のいずれにも設けるようにしてもよい。これにより、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19のいずれの回転数が速くなる場合においても、各浮動ブッシュ18、19の回転数の差を低減することができる。
これにより、たとえば、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19の製作過程において、寸法誤差が生じ、浮動ブッシュ18の回転数と浮動ブッシュ19の回転数とに差が相汁ような場合においても、センタハウジング30に生じる振動の周波数を低減したり、騒音を低減することができる。
図21は、本実施の形態5に係る過給機10Dの第1変形例を示す側断面図である。この図21に示す例においては、センタハウジング30には、タービンシャフト21の変位を測定する変位計78を備えている。
この変位計78は、タービンシャフト21のうち、浮動ブッシュ18と、浮動ブッシュ19との間に位置する部分の変位を測定する。
ここで、図5および図6に示すように、タービンシャフト21の振動態様が、円錐モードのときには、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置する部分は、振動の中心(支点)となるため、その変位は、小さくなっている。
その一方で、タービンシャフト21の振動モードが円筒モードとなると、タービンシャフト21のうち、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置する部分も中心軸Oを中心に回転するため、円錐モードのときよりも大きく変位する。
このため、タービンシャフト21のうち、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置する部分の変位を測定することにより、タービンシャフト21の振動態様を判断することができる。
そして、この図21に示す例においても、給油通路35のうち、浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油管49には、電磁バルブ51が設けられている。
ここで、電磁バルブ51を操作せずに、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19に供給する給油量を同じとして、タービンシャフト21の回転数を上昇させて、タービンシャフト21が円筒モードとなったときに、浮動ブッシュ19と浮動ブッシュ18との間に位置する部分の変位量を変位量W1とする。さらに、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードのときのタービンシャフト21の変位量を変位量W2とする。
そして、制御部100には、変位量W1よりも小さく、変位量W2よりも大きい境界変位量W3が入力されている。
なお、境界変位量W3としては、たとえば、タービンシャフト21が円筒モードとなったときにおいて、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置する部分の変位量が最も小さかったときの値としてもよい。
そして、タービンシャフト21が駆動し始めると、変位計78は、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との間に位置するタービンシャフト21の変位量を測定し、測定変位量Wcを制御部100に送信する。
制御部100は、測定変位量Wcが境界変位量W3よりも小さいか否かを判断する。そして、測定変位量Wcが境界変位量W3よりも小さいと判断すると、電磁バルブ51を操作せずに、浮動ブッシュ19に供給する給油量を維持する。
その一方で測定変位量Wcが境界変位量W3以上と判断すると、電磁バルブ51を開操作して、浮動ブッシュ19に供給する給油量を増加させる。これにより、浮動ブッシュ19が潤滑油を攪拌する攪拌量が多くなり、浮動ブッシュ19の回転数が低減される。このように、この図21に示す例においても、上記図18に示す過給機と同様に、タービンシャフト21の振動モードが円筒モードとなることを抑制することができる。これにより、センタハウジング30に生じる振動の周波数を低減することができると共に、騒音を低減することができる。
なお、この図21に示す例においても、上記のように実際にタービンシャフト21の変位量を測定しているので、確実にタービンシャフト21の振動態様が円筒モードとなることを抑制することができる。
(実施の形態6)
図22から図24を用いて、本実施の形態6に係る過給機10Eについて説明する。なお、図22から図24において、上記図1から図21に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図22から図24を用いて、本実施の形態6に係る過給機10Eについて説明する。なお、図22から図24において、上記図1から図21に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図22は、本実施の形態6に係る過給機10Eの側断面図である。この図22に示す過給機10Eにおいても、上記実施の形態1〜5と同様に、浮動ブッシュ19の周囲の潤滑油の温度は、浮動ブッシュ18の周囲の潤滑油の温度よりも高くなり、浮動ブッシュ19の周囲の潤滑油の粘性が低下している。このため、タービンシャフト21が回転すると、浮動ブッシュ19の回転数、回転速度は、浮動ブッシュ18の回転数よりも大きく、浮動ブッシュ18の回転速度よりも速くなる環境にある。
そして、本実施の形態6に係る過給機10Eは、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油通路95を備えている。
給油通路95は、潤滑油が供給される供給口95aが形成され、浮動ブッシュ19の上方に位置し、タービンシャフト21の径方向に延びる給油管96を備えている。
さらに、給油通路95は、一方の端部が給油管96に接続され、浮動ブッシュ18側に向けて延びる給油管97と、この給油管97の他方の端部に接続され、浮動ブッシュ18に向けて延びる給油管98とを備えている。また、給油通路95は、一方の端部が給油管98に接続され、スラストベアリング13に潤滑油を供給する給油管99を備えている。
そして、給油管96の端部に設けられた吐出口19aから浮動ブッシュ19に向けて潤滑油が供給され、さらに、給油管98の端部に設けられた吐出口18aから浮動ブッシュ18に向けて潤滑油が供給される。
このような給油通路95においては、浮動ブッシュ18に供給される潤滑油が通る経路長Lcは、浮動ブッシュ19に供給される潤滑油が通る経路長Ltよりも長くなっている。さらに、給油管96の径Dtは、給油管98の径Dcよりも大きくなっている。
このため、潤滑油が供給口95aから吐出口18aまで流通するまでにうける流通抵抗は、供給口95aから吐出口19aまで流通するまでに受ける抵抗よりも大きくなっている。これにより、浮動ブッシュ18に供給される給油量よりも、浮動ブッシュ19に供給される給油量の方が多くなる。
このように、浮動ブッシュ19への給油量の方が多いので、浮動ブッシュ19が回転して、攪拌する潤滑油の量が多いので、浮動ブッシュ19が回転する際に潤滑油から受ける抵抗は、浮動ブッシュ18が受ける抵抗よりも大きくなる。
このように、浮動ブッシュ19の周囲の潤滑油の温度が高くなることで、粘性が落ちる一方で、浮動ブッシュ19が攪拌する潤滑油が大きくなることで、浮動ブッシュ18の回転数、回転速度と、浮動ブッシュ19の回転数、回転速度とが略一致する。
すなわち、本実施の形態6に係る過給機10Eにおいても、上記図8に示すように、浮動ブッシュ19の回転数と、浮動ブッシュ18の回転数の差を浮動ブッシュ19の回転数の15%以下に抑えることができる。
これにより、この過給機10Eにおいても、上記図7に示すように、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードから円筒モードに切り替わる回転数を高回転側に推移させることができ、過給機10Eに高周波の振動が生じることを抑制することができると共に、過給機10Eに生じる振動を抑制することができる。
図23は、本実施の形態6に係る過給機10Eの第1変形例を示す側断面図である。この図23に示す例においては、過給機10Eは、浮動ブッシュ18および浮動ブッシュ19に潤滑油を供給する給油通路105を備えている。
この給油通路105は、潤滑油が供給される給油口104aが形成され、浮動ブッシュ18と浮動ブッシュ19との中間位置に対してタービンシャフト21の径方向外方に位置し、タービンシャフト21に向けて延びる給油管104と、この給油管104から分岐する給油管106,108を備えている。
さらに、給油通路105は、給油管108に接続され、スラストベアリング13に潤滑油を供給する給油管109を備えている。
給油管106は、浮動ブッシュ19に潤滑油を供給し、給油管108は、浮動ブッシュ18に潤滑油を供給可能となっている。ここで、給油管106と給油管108の管路長は、略等しくなっている。このため、浮動ブッシュ19に供給される潤滑油が給油通路105を流れる経路長Ltと、浮動ブッシュ18に供給される潤滑油が給油通路105を流れる経路長Lcとは、略等しくなっている。
さらに、給油管106の径Dtは、給油管108の径Dcよりも大きくされている。このため、給油口104aから供給された潤滑油が浮動ブッシュ18に達するまでに給油通路105内にて受ける流通抵抗は、給油口104aから供給された潤滑油が浮動ブッシュ19に達するまでに給油通路105から受け流通抵抗よりも大きくなる。
これにより、浮動ブッシュ19に供給される給油量は、浮動ブッシュ18に供給される給油量よりも多くなる。
このため、この図23に示す例においても、浮動ブッシュ19の周囲の潤滑油の温度は、浮動ブッシュ18の周囲の潤滑油の温度よりも高く、粘性が低い一方で、浮動ブッシュ19に供給される潤滑油量が多いため、浮動ブッシュ19の攪拌抵抗が大きくなり、結果として、浮動ブッシュ18の回転抵抗と、浮動ブッシュ19の回転抵抗とが略近似または一致する。
これにより、この図23に示す過給機10Eにおいても、上記図8に示すように、浮動ブッシュ19の回転数と浮動ブッシュ18の回転数の差を浮動ブッシュ19の回転数の15%以下に低減することができる。そして、この過給機10Eにおいても、タービンシャフト21の振動モードが円錐モードから円筒モードに推移するときのタービンシャフト21の回転数を高回転数側に推移させることができる。
図24は、本実施の形態6に係る過給機10Eの第2変形例を示す側断面図である。この図24に示す例においては、浮動ブッシュ18、19に潤滑油を供給する給油通路215は、浮動ブッシュ18に対してタービンシャフト21の径方向外方に位置し、潤滑油が供給される給油口218aを有し、浮動ブッシュ18に潤滑油を供給する給油管218を備えている。
さらに、給油通路215は、一方の端部が給油管218に接続され、浮動ブッシュ19に向けてタービンシャフト21の軸方向に延びる給油管217と、この給油管217の他方の端部に接続され、浮動ブッシュ19に向けてタービンシャフト21の径方向に延びる給油管216とを備えている。
さらに、給油通路215は、一方の端部が給油管218に接続され、スラストベアリング13に潤滑油を供給する給油管219を備えている。
ここで、給油管217の径Dmは、給油管216の径Dtより小さく、給油管218の径Dcよりも大きく設定されている。
給油口218aから供給された潤滑油が、給油管218を通って、浮動ブッシュ18に達するまでに給油通路215から受ける流通抵抗は、給油管218、給油管217および給油管216を通って、浮動ブッシュ19に供給されるまでに潤滑油が給油通路215から受ける流通抵抗よりも小さくなっている。
このため、この図24に示す過給機10Eにおいても、上記図22に示す例と同様に、浮動ブッシュ19に供給される給油量を、浮動ブッシュ18に供給される給油量よりも多くすることができ、浮動ブッシュ19の回転数と浮動ブッシュ18の回転数とを一致または近似させることができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。そして、各実施の形態は適宜組み合わせることは、当初から予定されている。
本発明は、過給機に好適である。
10,10A〜10E 過給機、11 タービンハウジング、11b 接続部、11a 渦室、12 コンプレッサハウジング、12a 渦室、13 スラストベアリング、14 スラストブッシュ、18,19 浮動ブッシュ、19b,19c 側面、19e 外周面、21 タービンシャフト、22 タービン、23 コンプレッサ、30 センタハウジング、30a 収容室、46,47 ブッシュ規定部材、67,68 センサ、69 加速度計、78 変位計、fc 境界周波数、fw ホワール振動数、fw1 円筒モード周波数、fw2 円錐モード周波数、Gc,Gt 隙間。
Claims (8)
- コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、
前記回転軸を回転可能に支持し、前記第1浮動ブッシュに対して前記回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュと、
前記回転軸、前記第1浮動ブッシュおよび前記第2浮動ブッシュを収容可能な筐体と、
前記第1浮動ブッシュに対して前記回転軸の軸方向に離れた位置に設けられ、少なくとも一部が、前記第1浮動ブッシュの側面と対向し、前記第1浮動ブッシュの前記軸方向の変位を規定可能な第1規定部材と、
前記第2浮動ブッシュに対して前記軸方向に離れた位置に設けられ、少なくとも一部が前記第2浮動ブッシュの側面と対向し、前記第2浮動ブッシュの前記軸方向の変位を規定可能な第2規定部材とを備え、
前記第1浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との間に位置する油から前記第1浮動ブッシュが受ける抵抗と、前記第2浮動ブッシュの側面と前記第2規定部材との間に位置する油から前記第2浮動ブッシュが受ける抵抗とを異ならせて、前記第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、前記第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、前記第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とした、過給機。 - 前記第1浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との対向面積と、前記第2浮動ブッシュの側面と前記第2規定部材との対向面積とが異なる、請求項1に記載の過給機。
- 前記第1浮動ブッシュは、前記第2浮動ブッシュよりも前記タービン側に位置するように設けられ、
前記第1浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との対向面積は、前記第2浮動ブッシュの側面と前記第2規定部材との対向面積よりも大きくされた、請求項2に記載の過給機。 - 前記第1浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との間の距離と、前記第2浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との間の距離が異なる、請求項1に記載の過給機。
- 前記第1浮動ブッシュは、前記第2浮動ブッシュよりも前記タービン側に位置するように設けられ、
前記第1浮動ブッシュの側面と前記第1規定部材との間の距離を、前記第2浮動ブッシュの側面と前記第2規定部材との間の距離よりも小さくする、請求項4に記載の過給機。 - コンプレッサとタービンとを連結し、回転可能に支持された回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持する第1浮動ブッシュと、
前記回転軸を回転可能に支持し、前記第1浮動ブッシュに対して前記回転軸の軸方向に離れて設けられた第2浮動ブッシュと、
前記第1浮動ブッシュに油を供給する第1給油管と、
前記第2浮動ブッシュに油を供給する第2給油管と、
前記第1給油管内を流通する油を加熱し、前記第1給油管内を流通する油の粘性を、前記第2給油管内を流通する油の粘性よりも低して、前記第2浮動ブッシュへの給油量よりも、前記第1浮動ブッシュへの給油量を多くする加熱部とを備え、
前記第1浮動ブッシュの単位時間内での回転数と、前記第2浮動ブッシュの単位時間内での回転数の差を、前記第1浮動ブッシュの回転数と第2浮動ブッシュの回転数のうち大きい方の回転数の15%以下とした、過給機。 - 前記第1浮動ブッシュは、前記第2浮動ブッシュよりも前記タービン側に設けられ、
前記回転軸、前記第1浮動ブッシュおよび前記第2浮動ブッシュを収容可能な筐体と、
前記タービンの周囲を覆うように設けられ、前記筐体に接続されたタービンハウジングとをさらに備え、
前記第1および前記第2給油管は、前記筐体内に設けられ、前記第1給油管は、前記第1浮動ブッシュよりも前記タービンハウジングに向けて張り出す張出部を有する、請求項6に記載の過給機。 - 前記タービンハウジングは、前記筐体の接続部に接続され、前記張出部は、前記タービンハウジングの接続部の表面に沿って延びる、請求項7に記載の過給機。
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2007
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