JP2008248070A - インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、及び、着色剤を含有する着色液と、少なくともラジカル重合性化合物、及び、ラジカル重合開始剤を含有する下塗り液とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法。
【選択図】図2
Description
現在、インクジェットプリンタにより、普通紙あるいは、プラスチックなど非吸水性の被記録媒体にインクを打滴して印字する際の高速化、高画質化及び被記録媒体への定着性が重要な課題となっている。
インクジェット記録は、インクの液滴を画像データに従って吐出し、被記録媒体上にこれら液滴にてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、特に上記非吸収性の被記録媒体に記録を行う場合には、打滴後の液滴の乾燥や被記録媒体への浸透に時間が掛かると、画像に滲みが生じやすく、また、被記録媒体上で隣接する着色液滴間で混合が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるなど、実用上問題があった。液滴間での混合の際には、打滴された隣接の液滴が合一して液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、細線を描く場合には線幅の不均一が生じ、着色面を描く場合には色ムラ等が発生する(以下、「打滴干渉」という。)。また、線幅の不均一と着色面の色ムラ発生の程度が被記録媒体表面のインク吸収性や濡れ性により異なるため、用いるインク及びその吐出条件を一定にしたとしても、種々の被記録媒体間で画像が異なってしまうという問題もあった。
また、上記問題に加えて、非吸収性の被記録媒体に記録した画像は、剥がれやく、擦過性に劣るなど、画像の定着性の点でも問題になっている。
その例として、高精細な描画性を付与するために、反応性を有する2液式のインクを用い、被記録媒体上において両者を反応させるものがあり、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献1参照)や、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
また、インクとして紫外線硬化型インクを適用し、被記録媒体上に吐出した紫外線硬化型色インクのドットにそれぞれの吐出タイミングに合わせて紫外線を照射し、増粘させて隣接するドットが互いに混合しない程度にプレ硬化させ、その後さらに紫外線を照射して本硬化させるインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、透明又は半透明な非吸収性被記録媒体上に、放射線硬化型白色インクを下塗り層として均一に塗設し、放射線照射により固化あるいは増粘させた後に、放射線硬化型色インクセットを用いたインクジェット記録を行うことにより色インクの視認性、滲み、種々の被記録媒体間での画像が異なってしまう問題を改良する技術(例えば、特許文献4及び5参照)が提案されている。また、上記放射線硬化型白色インクに変えて、実質上、透明な活性光線硬化型インクをインクジェットヘッドにより塗設する技術(例えば、特許文献6、7及び8参照)も提案されている。
<1> 少なくともカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、及び、着色剤を含有する着色液と、少なくともラジカル重合性化合物、及び、ラジカル重合開始剤を含有する下塗り液とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録用インクセット、
<2> 前記カチオン重合性化合物が、少なくとも1種のオキセタン環含有化合物、及び、少なくとも1種のオキシラン環含有化合物である上記<1>に記載のインクジェット記録用インクセット、
<3> 前記ラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種である上記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用インクセット、
<4> 前記下塗り液が、界面活性剤を含有する上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット、
<5> 前記着色液の表面張力をγAとし、前記下塗り液の表面張力をγBとしたとき、γA>γBを満たす上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセット、
<6> 上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットを用いたインクジェット記録方法において、被記録媒体上に下塗り液を付与する工程と、前記下塗り液を半硬化させる工程と、半硬化された前記下塗り液上に着色液を吐出して画像形成を行う工程と、を含むインクジェット記録方法。
(1)インクジェット記録用インクセット
本発明のインクジェット記録用インクセットは、少なくともカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、及び、着色剤を含有する着色液と、少なくともラジカル重合性化合物、及び、ラジカル重合開始剤を含有する下塗り液とを少なくとも含むことを特徴とする。
このインクジェット記録用インクセットを用いることによって、いずれの非吸収性被記録媒体を用いた場合でもインク滲みが効果的に抑制され、種々の被記録媒体間での画像均一性が高く、また打滴干渉(液滴間の混合)に起因する線幅の不均一や色ムラ等の発生を抑制でき、かつ、彩度の高い画像であっても被記録媒体への定着性に優れたインクジェット記録用インクセットを提供することが可能となる。
また、本発明においては、前記着色液及び前記下塗り液を総称して、「液体組成物」ともいう。
本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する主要用件について、以下に詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する液体組成物のうち、着色液は、少なくともカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、及び、着色剤を含有する着色液である。
着色液に含有する重合性化合物をカチオン重合性化合物にすることによって、高濃度な画像や彩度高い画像を印字しようと単位画素当たりに付与する着色液量を上げたり、インクに含まれる着色剤濃度を上げたりした場合でも、十分な膜内部の硬化性が得られる。
カチオン重合性化合物は画像定着性の観点から、該着色液への添加濃度として、着色液の総重量に対して、40重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上90重量%以下であることが特に好ましい。カチオン重合性化合物の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適切であるので好ましい。
カチオン重合開始剤の添加濃度としては、着色液の総重量に対して、0.1〜20.0重量%(「0.1重量%以上20.0重量%以下」の意である。以下同様である。)であることが好ましく、0.5〜18.0重量%であることがより好ましく、1.0〜15.0重量%であることがさらに好ましい。カチオン重合開始剤の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、表面ベトツキ低減の観点から適切であるので好ましい。
同じく、インクジェットによる打滴適正の観点から、該着色液の25℃における表面張力は18mN/m以上40mN/m以下が好ましく、20mN/m以上35mN/m以下がより好ましく、22mN/m以上32mN/m以下がさらに好ましい。
ここでの「粘度」は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行った。但し、60mPa・sより高粘度なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行った。
また、ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した値である。
本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する液体組成物のうち、下塗り液は、少なくともラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤を含有することを特徴とする。
下塗り液に含有する重合性化合物をラジカル重合性化合物にすることによって、酸素重合阻害を利用した下塗り液の半硬化状態の形成が可能になり、打滴干渉の回避と彩度の高い画像の形成が可能となる。なお、半硬化状態の形成の詳細は後述する。
ラジカル重合性化合物は、画像定着性の観点から、該下塗り液への添加濃度として、着色液の総重量に対して、40重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上90重量%以下であることが特に好ましい。ラジカル重合性化合物の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適切であるので好ましい。
同じく、被記録媒体上に均一に塗設する観点から、下塗り液の25℃における表面張力は16mN/m以上38mN/m以下が好ましく、18mN/m以上33mN/m以下がより好ましく、20mN/m以上30mN/m以下がさらに好ましい。
また、画像の色再現性を高める観点から、該下塗り液は実質的に着色剤は含有しないか、もしくは、白色顔料を含有することが好ましい。なお、前記「着色剤を実質的に含有しない」とは、これは被記録媒体の黄ばみを修正するための微量の青色顔料の使用や、視認できない程度のごく微量の含有をも除外するものではない。その許容量としては、下塗り液全重量に対して、1重量%以下であることが好ましく、含有しないことが特に好ましい。また、好ましく用いることができる白色顔料は、(着色剤)の項目に記載する。
本発明における重合性化合物(カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物)、及び、重合開始剤(カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤)について詳細に説明する。
本発明におけるカチオン重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与によりカチオン重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述するカチオン重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。また、カチオン重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−4006号8、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インクジェット記録用液体の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
カチオン重合性化合物の含有量としては、カチオン重合性化合物を含有する液体の全固形分に対し、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜92重量%、さらに好ましくは70〜90重量%の範囲である。
本発明におけるラジカル重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与によりラジカル重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述するラジカル重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知のラジカル重合性のモノマーを使用することができる。また、ラジカル重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
本発明に用いられる(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明のインクセットにおいては、前記カチオン重合性化合物を含有する液体にカチオン重合開始剤が、前記ラジカル重合性化合物を含有する液体にラジカル重合性開始剤が含有される。本発明におけるカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤であることが特に好ましい。
光重合開始剤の他の例である(g)アジニウム化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号及び特公昭46−42363号各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
また、カチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤と、それらと併用される重合性化合物との含有比(重量比)としては、それぞれ、カチオン重合開始剤:カチオン重合性化合物又はラジカル重合開始剤:ラジカル重合性化合物=0.5:100〜30:100であることが好ましく、1:100〜15:100であることがより好ましく、2:100〜10:100であることがさらに好ましい。
本発明においては、着色液は、少なくとも着色剤を含有する。一方、下塗り液には、着色剤を含有していてもよいが、実質的に着色剤を含有しないか、又は、白色顔料を含有することが好ましい。
本発明において用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色液に含まれる着色剤としては、特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W. Herbst, K. Hunger, Industrial Organic Pigments、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
着色剤の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、着色剤を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種着色剤に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、着色剤100重量部に対し、1重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。
着色液中における着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
非記録媒体上に付与した着色液の硬化を開始するまでの間、形成された画像の滲みを長時間防止する観点から、着色液の表面張力をγAとし、下塗り液の表面張力をγBとしたとき、γAとγBとの関係は、γA>γBを満たすことが好ましく、γA−γB≧1を満たすことがさらに好ましく、γA−γB≧2を満たすことが特に好ましい。
前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定される値である。
本発明における着色液及び下塗り液には、特定の活性放射線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるために増感剤を添加してもよい。増感剤は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
本発明に用いることができる増感剤としては、増感色素が好ましい。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
該下塗り液に増感剤を用いる場合、該増感剤の添加濃度としては、下塗り液の総重量に対して、0.1〜15.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10.0重量%、さらに好ましくは1.0〜8.0重量%である。添加量が上記範囲内であると、良好な膜内部の硬化性を得ることができる。
着色液及び下塗り液は、界面活性剤を含有することが好ましく、本発明に使用される界面活性剤は、下記の界面活性剤が例示できる。例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤として、有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8欄から第17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
特に本発明において使用される界面活性剤は、上記界面活性剤に限定されることはなく、添加濃度に対して効率的に表面張力を低下させる能力のある添加剤であればよい。
本発明における着色液及び下塗り液には、前記重合性化合物、重合開始剤など加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、得られる微細パターン成型物の耐候性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。また、着色液及び下塗り液の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。
さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、吐出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、インク組成物と基材との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
本発明のインクジェット記録方法においては、画像を形成するための着色液と下塗り液として用いる下塗り液で構成されるインクジェット記録用インクセットを用いる。
該記録方法は、(i)被記録媒体上に下塗り液を付与する工程と、(ii)前記下塗り液を半硬化させる工程と、(iii)半硬化された前記下塗り液上に着色液を吐出して画像形成を行う工程と、を含む少なくとも3つの工程で構成される。
また、画像の耐擦性や密着性を向上させる観点から、上記3つの工程の後に、(iv)画像を完全に硬化させる工程を含むことが好ましい。
また、本発明における着色液は、複数色の着色液を多色インクセットとして用いることが好ましい。このように多色インクセットを用いる場合は、各色の着色液を被記録媒体に付与した直後に、その着色液液滴を硬化させる工程を構成することがさらに好ましい。被記録媒体に付与した直後に着色液を硬化させることによって、滲みや打滴干渉の発生を防ぐことが可能となる。
例えば、異なる色相を有する着色液Aと着色液Bを用いて2次色を形成する場合は、着色液Aを被記録媒体上に付与した直後に着色液Aの硬化させる工程を構成させ、その後で、着色液Bを被記録媒体上に付与する工程を構成させることが好ましい。このように着色液Aを被記録媒体上に付与する工程と着色液Bを被記録媒体上に付与する工程の間に、着色液Aを硬化させる工程をピニング硬化と呼ぶ。
図1に本発明に好適に使用できるインクジェット記録方法の概念図を示す。図1を参照しながら以下に詳説する。
被記録媒体6は、被記録媒体搬送手段7A及び7Bにより搬送され、図1では、左から右方向に搬送されている。
被記録媒体及び被記録媒体搬送手段は特に限定されるものではないが、図1に示す本実施形態では被記録媒体としてプラスチックフィルムを使用しており、また、被記録媒体搬送手段としてフィルム巻き出し機(7A)、フィルム巻き取り機(7B)を使用している。
第一工程にて、下塗り液を付与する手段1により、被記録媒体6上に下塗り液を付与する。下塗り液を付与する手段としては、ロールコーターが例示できる。
続いて、第二工程にて、下塗り液を半硬化させる手段2により、被記録媒体6上に付与された下塗り液の半硬化させる。下塗り液を半硬化させる手段としては、紫外線光源が例示できる。
第三工程において、被記録媒体6上で半硬化させた下塗り液の膜上に着色液を付与する手段3Yで着色画像を形成する。図1では、イエロー着色液を付与し、イエロー画像を形成している。イエロー着色液を付与する手段3Yとしては、イエロー用インクジェット記録ヘッドが例示できる。第四工程では、第三工程で付与されたイエロー液を硬化させる手段4Yにより、イエロー着色液を硬化させる。図1では、イエロー着色液を硬化させる手段として紫外線光源が使用されており、下塗り液上に付与されたイエロー着色液を硬化させている。
第五工程において、被記録媒体上で半硬化させた下塗り液上にシアン着色液を付与する手段3Cにより、シアン着色液を付与し、シアン画像を形成する。シアン着色液を付与する手段3Cとしては、シアン用インクジェット記録ヘッドが例示できる。第六工程では、第五工程で付与されたシアン着色液を硬化させる。図1では、シアン着色液を硬化させる手段4Cとして、紫外線光源が使用されており、下塗り液の半硬化膜上に付与されたシアン着色液を硬化させている。
同様にして、第七工程においては、マゼンタ着色液を付与する手段3Mにて下塗り液の半硬化膜上にマゼンタ画像を形成後、第八工程において、マゼンタ着色液を硬化させる手段4Mにより、付与したマゼンタ着色液を硬化させる。
さらに、第九工程においては、下塗り液の半硬化膜上にブラック着色液を付与する手段3Kにてブラック画像を形成する。第十工程において、ブラック着色液を硬化させる手段4Kにより、ブラック着色液の硬化させる。
続いて、第十一工程において、形成されたフルカラーの画像を完全に硬化させる手段5により、形成されたフルカラーの画像を完全に硬化させる。
次に各工程について説明する。
なお、ここで、第十工程を省略することも可能であり、その場合は最後の着色液が付与された被記録媒体は、硬化させる工程を経ることなく、完全に硬化される。
また、着色液にて画像を形成した後、下塗り液をさらにオーバーコート層として吐出又は塗布する等、当業者に公知の方法を適宜行ってもよい。
本発明において、「半硬化」とは、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、下塗り液が部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。被記録媒体(基材)上に適用された下塗り液が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよい。例えば、下塗り液は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。
特に、前記下塗り液の表面においてはその内部と比べて空気中の酸素の影響で重合反応が阻害され易い。したがって活性エネルギー線又は熱の付与条件を制御することにより、下塗り液を半硬化させることができる。
硬化反応に必要なエネルギー量は、組成、特に重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、1〜500mJ/cm2程度であることが好ましい。また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
活性エネルギー線を照射する好適な装置としては、メタルハライドランプ、水銀灯、LED光源等が挙げられる。
活性光や加熱などの活性エネルギー線又は熱の付与により、重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性又は架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
また、増粘(粘度上昇)も、活性光の照射、又は加熱によって好適に行うことができる。
図2は、半硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図2の印刷物の製造時において、下塗り液は半硬化され、基材16側の方が表面層よりも硬化が進行している。図2では、半硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層14が示されている。
この場合には、得られる画像10の断面には、以下の3つの特徴が観察される。
(1)着色液硬化物12の一部は表面に出ている、
(2)着色液硬化物12の一部は下塗り層14に潜り込んでいる、かつ、
(3)着色液硬化物12の下側と基材16の間には下塗り層14が存在する。
すなわち、半硬化状態の下塗り液層上に着色液を付与することによって得られた印刷物は、図2で模式的に示されるような断面を有している。上記の(1)、(2)及び(3)の状態を満たす場合には、半硬化した下塗り液に着色液が付与されたといえる。この場合には、高密度に打滴された着色液の液滴は相互に繋がって着色膜を形成しており、均一で高い色濃度を与える。なお、下塗り層とは、下塗り液層を硬化して得られた層の意である。
未硬化状態の下塗り液層に着色液を打滴した場合は、着色液の全部が下塗り液層に潜り込むか、及び/又は、着色液の下部には下塗り液が存在しない状態となる。具体的には、図3においては、得られる画像10の断面切片において、着色液硬化物12が、下塗り層18に完全に潜り込んでおり、着色液硬化物12の一部が表面にでていない。また、図4に示すように、得られる画像10の断面切片において、着色液硬化物12の下部には、下塗り層18が存在しない。
この場合は、高密度に着色液を付与しても、液滴同士が独立するため、色濃度が低下する原因となる。
完全に硬化した下塗り液層に着色液を打滴した場合は、着色液は下塗り液層に潜り込まない状態となる。具体的には図5に示されるように、着色液硬化物12は、下塗り層20に潜り込んでいない。
このような状態は、打滴干渉の発生の原因となり、均一な着色液膜層が形成できず、色再現性の低下を招く。
〔m(着色液)/30〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)〕
また、〔m(着色液)/20〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)/3〕であることがより好ましく、〔m(着色液)/10〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)/5〕であることがさらに好ましい。ここで、単位面積当たりに付与する着色液の最大重量は1色当たりの最大重量である。
〔m(着色液)/30〕≦〔M(下塗り液)〕であると、打滴干渉の発生を抑制することができ、さらにドットサイズの再現性に優れるので好ましい。また、M(下塗り液)≦m(着色液)であると、均一な着色液の液層の形成ができ、濃度の高い画像を得ることができるので好ましい。
例えば、着色液の最大吐出量が、600×600dpiの打滴密度で、1画素(ドット)当たり12ピコリットルであったとすると、単位面積当たりに付与する着色液の最大重量m(着色液)は、0.74mg/cm2となる(ここでは、着色液の密度を約1.1g/cm3と仮定した。)。従って、下塗り液層の転写量は、単位面積当たり0.025mg/cm2以上0.74mg/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.037mg/cm2以上0.25mg/cm2以下であり、さらに好ましくは0.074mg/cm2以上0.148mg/cm2以下である。
前記、被記録媒体上に下塗り液を付与する工程にて、下塗り液は、被記録媒体上に着色液の液滴の吐出によって形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与することが好ましい。
また、下塗り液の付与量(単位面積あたりの重量比)としては、着色液の最大付与量(1色あたり)を1とした場合に、0.05以上5以下の範囲内であることが好ましく、0.07以上4以下の範囲内がより好ましく、0.1以上3以下の範囲内が特に好ましい。
前記塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
中でも、装置コストの点で、下塗り液の被記録媒体上への付与は、比較的安価なバーコーター又はスピンコーターを用いた塗布、あるいはインクジェット法による付与が好ましい。
本発明において、被記録媒体上における半硬化した下塗り液及び/又は着色液の膜上に吐出を行う着色液は、0.1pL以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されることが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高鮮鋭度の画像を高い濃度で描写できる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
また、被記録媒体上に付与する着色液の最大液量は、着色液に含有する着色剤の濃度によって任意に選択することができるが、色再現性、硬化性、画像表面の平滑性の観点から、0.01g/cm2以上0.200g/cm2以下が好ましく、0.02g/cm2以上0.150g/cm2以下が好ましく、0.03g/cm2以上0.100g/cm2以下が特に好ましい。
なお、「被記録媒体上」とは、被記録媒体の上部であればよく、必ずしも被記録媒体に接している必要はない。
下塗り液の付与後、着色液滴が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上10秒以下の範囲内であることが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。着色液滴の打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上5秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上5秒以下である。
前述の通り、画像の滲みや打滴干渉の発生を防ぐ観点から、異なる色相を有する着色液Aと着色液Bを用いて2次色を形成する場合は、着色液Aを被記録媒体上に付与した直後に着色液Aの硬化させる工程を構成させ、その後で、着色液Bを被記録媒体上に付与する工程を構成させること、すなわちピニング硬化させることが好ましい。
被記録媒体上に付与した直後にピニング硬化させた着色液は、完全硬化状態(未重合率≒0)である必要はなく、滲みや打滴干渉が防止できる程度でよく、半硬化状態であることが好ましい。被記録媒体上に付与した直後にピニング硬化させた着色液の好ましい未重合率〔A(重合後)/A(重合前)〕が、0.1以上0.98以下であることが好ましく、0.15以上0.97以下であることがより好ましく、0.2以上0.96以下であることが特に好ましい。
ピニング硬化させる方法としては、被記録媒体に付与された下塗り液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法が好ましく、このうち、活性エネルギー線を用いる方法がさらに好ましい。
前記活性エネルギー線としては、紫外線のほか例えば可視光線など並びにα線、γ線、X線、電子線などが使用可能である。これらのうち、活性エネルギー線としては、コスト及び安全性の点で、紫外線、可視光線が好ましい。さらに、内部の硬化性を上げる観点から、340〜400nmの範囲の紫外線が特に好ましい。
ピニング硬化反応に必要なエネルギー量は、組成、特に重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、1〜500mJ/cm2であることが好ましい。
活性エネルギー線を照射する好適な装置としては、メタルハライドランプ、水銀灯、LED光源等が挙げられる。
本発明における「完全硬化」とは、下塗り液及び着色液の内部及び表面が完全に硬化した状態をいう。具体的には、完全硬化の工程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後や加熱後)、普通紙などの浸透媒体を押し当てて、浸透媒体に下塗り液又は着色液表面が転写したかどうかによって判断することができる。すなわち、全く転写しない場合を完全に硬化した状態という。
画像を完全硬化させる硬化手段には活性エネルギー線を照射する光源、電気ヒータやオーブン等の加熱器などを目的等に応じて選択することができる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線のほか例えば可視光線、α線、γ線、X線、電子線などが使用可能である。これらのうち、活性エネルギー線としては、コスト及び安全性の点で、電子線、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
完全硬化反応に必要なエネルギー量は、組成、特に重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、100mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下であることが好ましい。
活性エネルギー線を照射する好適な装置としては、メタルハライドランプ、水銀灯、LED光源等が挙げられる。
加熱による場合、温度上昇により、重合性化合物の重合もしくは架橋による硬化反応が促進され、液滴の衝突により形成された形状は、より強固となる。これにより、強固な画像が得られるので好ましい。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行うことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱装置や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱装置等が好適である。
加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
着色液は少なくとも1種を使用すればよいが、フルカラー画像を得るためには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの着色液又はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトの5つの着色液を使用することが好ましい。さらに、本発明はこれに限定されず、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、ブラック、ホワイト、イエローの8つの着色液を使用することもできる。
本発明において、被記録媒体に用いる材料としては、特に限定されずいずれの材料を使用してもよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。
本発明において、被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用される。前記インクジェット記録方法では、下塗り液を付与した後に着色液を付与することにより、これまで打滴干渉によって精細な画像の形成が困難であった様々な非吸収性被記録媒体に対して高精細な画像が形成可能である。
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、シアン顔料)
PV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、マゼンタ顔料)
PY120(NOVOPERM YELLOW H2G;クラリアント社製、イエロー顔料)
カーボンブラック(SPECIAL BLACK 250;デグサ社製、ブラック顔料)
BYK−168(ビックケミー社製、分散剤)
ソルスパース5000(ノベオン社製、分散剤)
Rapicure DVE3(トリエチレングリコールジビニルエーテル;GAF社製、希釈剤)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート;ダイセル・サイテック(株)製、多官能モノマー)
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO) 30重量部
Rapicure DVE3 50重量部
BYK−168 20重量部
以上の成分を混合し、1時間スターラー撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、シアン顔料分散物Aを得た。ビーズミル分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は3時間で行った。
PV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D) 30重量部
Rapicure DVE3 28重量部
BYK−168 42重量部
以上の成分を混合し、1時間スターラー撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、マゼンタ顔料分散物Aを得た。ビーズミル分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は6時間で行った。
PY120(NOVOPERM YELLOW H2G) 30重量部
Rapicure DVE3 28重量部
BYK−168 42重量部
以上の成分を混合し、1時間スターラー撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、イエロー顔料分散物Aを得た。ビーズミル分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は6時間で行った。
カーボンブラック(SPECIAL BLACK 250) 40重量部
Rapicure DVE3 29重量部
BYK−168 30重量部
ソルスパース5000 1重量部
以上の成分を混合し、1時間スターラー撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、ブラック顔料分散物Aを得た。ビーズミル分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は3時間で行った。
表1〜表4に示す成分(単位は重量部)を撹拌混合溶解し液体組成物を得た。なお、これらの液体組成物の表面張力を、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定したところ、いずれの着色液の表面張力も、25〜27mN/mの範囲内であった。一方、下塗り液の表面張力は、21〜22mN/mの範囲内であった。
重合性化合物A:OXT−221(ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル;東亞合成社製、オキセタン環を有する化合物)
重合性化合物B:OXT−101(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン;東亞合成社製、オキセタン環を有する化合物)
重合性化合物C:OXT−211(3−フェニル−3−フェノキシメチルオキセタン;東亞合成社製、オキセタン環を有する化合物)
重合性化合物D:Cel3000(1,2:8,9−ジエポキシリモネン;ダイセル化学工業社製、オキシラン環を有する化合物)
重合性化合物E:DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート;ダイセル・サイテック(株)製、多官能モノマー)
重合性化合物F:A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;新中村化学工業社製、多官能モノマー)
界面活性剤A:BYK−307(ビックケミー社製、界面活性剤)
禁止剤A:FIRSTCURE ST−1(Albemarle社製、重合禁止剤)
開始剤A:IRGACURE 250((4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム ヘキサフルオロフォスフェート及びプロピレンカーボネートの混合物;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光重合開始剤)
開始剤B:DAROCUR TPO(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光重合開始剤)
増感剤A:9,10−ジブトキシアントラセン
増感剤B:Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン;Lambson社製、増感剤)
したがって、表1に示す成分よりカチオン重合性化合物を含有する着色液(M1、C1、Y1、Bk1)が得られ、表2に示す成分よりラジカル重合性化合物を含有する着色液(M2、C2、Y2、Bk2)が得られ、表3に示す成分よりラジカル重合性化合物を含有する下塗り液(L1)が得られ、表4に示す成分よりカチオン重合性化合物を含有する下塗り液(L2)が得られる。
調製した4色分の着色液(M1又はM2、C1又はC2、Y1又はY2、Bk1又はBk2)は、インクジェットプリンタ(東芝テック社製ヘッド搭載=打滴周波数:6.2KHz、ノズル数:636、ノズル密度:300npi(ノズル/インチ、以下同様)、ドロップサイズ:6pl〜42plを7段階に可変のヘッドを2つ配列して600npiにしたものをフルライン配列したヘッドセットを4組搭載)に装填した。
ヘッドは記録媒体搬送方向上流からイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックという順で機体に固定して、さらにホワイトインク用ヘッドの上流に下塗り液のロールコーター及び半硬化用光源(超高圧水銀灯:光強度100mW/cm2)を設置した。なお、ここで下塗り液としては、下塗り液(L1又はL2)を使用した。
ヘッドの直下を被記録媒体が移動可能な構造に構成すると共に、着色液(M1又はM2、C1又はC2、Y1又はY2、Bk1又はBk2)が装填されたイエロー、シアン、マゼンタ各ヘッドに対して被記録媒体の進行方向にそれぞれピニング硬化用光源(超高圧水銀灯:光強度100mW/cm2)を配置し、ブラックインクヘッド下流にはメタルハライドランプ(光強度3,000mW/cm2)を5基設置した。なお、メタルハライドランプによる照射エネルギーは、点灯するメタルハライドランプの数によって、300〜1500mJ/cm2まで調整することができる。具体的には、300mJ/cm2(1基点灯)、600mJ/cm2(2基点灯)、900mJ/cm2(3基点灯)、1,200mJ/cm2(4基点灯)、1,500mJ/cm2(5基点灯)となる。
被記録媒体の搬送はロール搬送とし、記録媒体上には600dpi×600dpiの画像を形成した。なお、ここで被記録媒体はプラスチックフィルムA(厚み50μm;透明ポリエチレン)、プラスチックフィルムB(厚み100μm;透明PET)を使用した。
まず、上記の実験機を用い、図6に示すプリント物A(600×600dpiの2次色(シアンとマゼンタ、イエローとシアン、イエローとマゼンタ)の背景、もしくは、600×600dpiの1次色(シアン、マゼンタ、イエロー)の背景にブラック文字「Fuji」(Times New Roman、30pt))、図6に示すプリント物B(600×600dpiの2次色(シアンとマゼンタ、イエローとシアン、イエローとマゼンタ)の背景、もしくは、600×600dpiの1次色(シアン、マゼンタ、イエロー)の背景に抜け文字「Fuji」(Times New Roman、30pt))を作製した。なお、ここで画像Bの抜け文字部は下塗り液硬化膜が表面に出ている。
(1)ロールコーターにより下塗り液(L2)を5μmの厚みに均一に付与した(塗布速度400mm/s)。
(2)下塗り液(L2)を付与後に半硬化用光源で露光を行い(光強度100mW/cm2)、付与された下塗り液を半硬化状態にした。
(3)イエローヘッドによって、被記録媒体上にイエロー液(Y1)を付与してシイエロー画像を形成した。
(4)ピニング用光源にて露光を行い(光強度100mW/cm2)、イエロー着色液をピニング硬化状態にした。
(5)シアンヘッドによって、被記録媒体上にシアン着色液(C1)を付与してシアン画像を形成した。
(6)ピニング用光源にて露光を行い(光強度100mW/cm2)、シアン着色液をピニング硬化状態にした。
(7)マゼンタヘッドによって、被記録媒体上にマゼンタ着色液(M1)を付与してマゼンタ画像を形成した。
(8)ピニング用光源にて露光を行い(光強度100mW/cm2)、マゼンタ着色液をピニング硬化状態にした。
(9)ブラックヘッドによって、被記録媒体上にブラック着色液体組成物(Bk1)を付与してブラック画像を形成した。
(10)メタルハライドランプにて露光を行い(光強度3,000mW/cm2)、画像を完全に硬化させた。また、点灯させるメタルハライドランプの数によって、300〜1500mJ/cm2まで露光エネルギーを調整した。
表5に記載するように、着色液と下塗り液を入れ替えた以外は、実施例1と同様にして、画像物を作製した。
実施例1及び比較例2のいずれにおいても、工程(3)、(5)、(7)、(9)で付与する単位面積当たりの着色液の最大付与量は、各色着色液とも1.48mg/cm2から1.74mg/cm2の範囲内あった。
工程(3)、(5)、(7)、(9)における各色着色液を打滴付与前でサンプルを抜き取り転写試験により未硬化の下塗り液の重量を測定したところ、いずれの工程後においても、0.20mg/cm2から0.24mg/cm2の範囲内であった。
従って、下塗り液層の未硬化部の単位面積当たりの重量M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出する着色液の最大重量m(着色液)の関係は、 m(着色液)/10<M(下塗り液)<m(着色液)/5 である。
工程(3)、(5)、(7)、(9)における各色着色液を打滴付与前でサンプルを抜き取り転写試験により未硬化の下塗り液の重量を測定したところ、いずれの工程後においても、未硬化の下塗り液の転写が確認できなかった。
なお、転写試験は非浸透媒体として普通紙(富士ゼロックス社製コピー用紙C2、商品コードV436)を用いて実施した。抜き取った被記録媒体上の半硬化状態の下塗り液に、均一な力(500〜1,000mN/cm2)で普通紙を押し付け、約1分間静置した。その後、静かに普通紙を剥がし、普通紙の重量を測定することによって、未硬化液量を求めた。
また、得られたプリント物A(3種類の1次色及び2次色で作製したそれぞれのプリント物A)をミクロトームにより切断し、光学顕微鏡(Nikon社製光学顕微鏡 measuring microscope MM−40)により観察した。なお、切片を得るためにミクロトーム(ライカ社製ミクロトームRM2255)を使用した。
下記評価基準に従って、前記2次色(シアンとマゼンタ、イエローとシアン、イエローとマゼンタ)及び一次色(シアン、マゼンタ、イエロー)を使用して作成した全てのプリント物A及びBについて官能評価を実施した。その結果を表5に示す。
目視及び光学顕微鏡によって印刷物の画質の官能評価を下記基準に従って行った。
○ 打滴干渉はなく、精細な文字が形成できた。また、均一で高彩度の背景画像が形成できた。
× 打滴干渉が発生し、精細な文字が描けなかった。また、均一なベタ画像が形成できず彩度の低下が見られた。
なお、表5における結果の記載は、全てのプリント物A及びBについて評価が○である場合は○と、全てのプリント物A及びBのうち1つでも評価が×である場合は×とした。
下記評価基準に従って、イエローとシアンとを用いた2次色のプリント物A及びBを用いて、画像の定着性評価を実施した。その結果を表5に示す。
印刷後のギターピック擦りによる膜の剥がれや破れが無くなる露光エネルギーによって、画像の定着性を定義した。印刷後に印刷物をギターピックによって5回擦り、膜の剥がれや破れが起きない場合は、爪擦りによる膜の剥がれや破れが無しと判断した(ここで膜の破れは、主に硬化の不良に起因するものであった。)。
なお、露光エネルギーは、300mJ/cm2、600mJ/cm2、900mJ/cm2、1,200mJ/cm2、1,500mJ/cm2と変化させた。
ここでは、露光エネルギーは低い方が好ましく、特に、1,000mJ/cm2であることが好ましい。
2 下塗り液を半硬化させる手段
3Y、3C、3M、4K 着色液を付与する手段
4Y、4C、4M、4K 着色液を硬化させる手段
5 画像を完全に硬化させる手段
6 被記録媒体
7A、7B 被記録媒体搬送手段
10 画像
12 着色液硬化物
14 半硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
16 基材
18 未硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
20 完全硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
400 背景部
401 黒インク部
402 白抜け部
Claims (6)
- 少なくともカチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤、及び、着色剤を含有する着色液と、
少なくともラジカル重合性化合物、及び、ラジカル重合開始剤を含有する下塗り液とを少なくとも含むことを特徴とする
インクジェット記録用インクセット。 - 前記カチオン重合性化合物が、少なくとも1種のオキセタン環含有化合物、及び、少なくとも1種のオキシラン環含有化合物である請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートよりなる群から選択された少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記下塗り液が、界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記着色液の表面張力をγAとし、前記下塗り液の表面張力をγBとしたとき、γA>γBを満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インクセットを用いたインクジェット記録方法において、
被記録媒体上に下塗り液を付与する工程と、
前記下塗り液を半硬化させる工程と、
半硬化された前記下塗り液上に着色液を吐出して画像形成を行う工程と、を含む
インクジェット記録方法。
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