JP2008247556A - 粘着テープ巻回体、その製造方法及び巻芯 - Google Patents
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Abstract
【課題】小さい力で保持でき、手で保持して粘着テープを巻き戻す作業をするときに、手を保護しなくても皮膚を切らないで作業できる、粘着テープ巻回体を提供することを目的とする。
【解決手段】円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体において、巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmであり、巻芯が少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを有し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上である、粘着テープ巻回体。
【選択図】図2
【解決手段】円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体において、巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmであり、巻芯が少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを有し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上である、粘着テープ巻回体。
【選択図】図2
Description
本発明は粘着テープ巻回体、その製造方法及び巻芯に関し、より詳しくは粘着テープを巻き戻すときに有利に使用できる粘着テープ巻回体の内周面形状に関する。
粘着テープ巻回体は円筒形の巻芯に粘着テープが巻回されて形成されている。図1に従来の粘着テープ巻回体を示す。図1(イ)は断面図、図1(ロ)は斜視図である。粘着テープ巻回体10は粘着テープ20が巻芯30の外周面52に巻回されているが、図1(イ)に見られるように、巻芯30が内周面50と当接する箇所90がほぼ直角であり、鋭利な角度をなしている。そのため、手作業で行なわれる粘着テープの貼着作業において粘着テープ巻回体から粘着テープを巻き戻すときに、粘着テープ巻回体を内側で把持している指の皮膚が鋭利な角部90に触れてしまうことが多い。この状態で粘着テープ巻回体を巻き戻すと、巻芯の回転に伴ってこの角部90と指との間に摩擦が生じ、その結果皮膚が切れることがある。
粘着テープ巻回体を把持する手を保護するために軍手等の保護具で手を保護する対策もあるが、装着が面倒であり、また常に保護具を使用できるわけではない。
一方、図1(ハ)に示すように、指の皮膚が角部90に接触しないように粘着テープ巻回体を握ることもできるが、この場合には、巻芯の内周面50の接触部70を指先のみで支持することになるので、粘着テープ巻回体を巻き戻す場合に粘着テープの剥離力のために負荷が掛かり、作業者の疲労が非常に大きかった。
特許文献1には、粘着テープ巻回体の巻芯に用いられる材料の1つである、積層重合で作製された紙管の切断品について、紙管の内外周に沿った角部を円滑にしたものが記載されている。しかしながら、当該発明は紙管の長さ精度の向上、紙粉塵の発生防止、端面の美麗さ及び再使用性を目的とするものであって、端面処理を行うことにより紙管の内外周に沿った角部が円滑となっていても、実質的に紙管の側面と内周面とのなす角はほぼ90度であり、また粘着テープ巻回体を巻き戻す作業時に作業者の手を保護する形状にされているわけではない。従って、作業時に指に対して角部が与える影響は従来の粘着テープ巻回体の巻芯と同様であり、上述の問題を解決するものではない。
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑みて、小さい力で保持でき、手で保持して粘着テープを巻き戻す作業をするときに手を保護しなくても皮膚を切らないで作業できる粘着テープ巻回体、その製造方法、それに用いる巻芯を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粘着テープ巻回体の内周面の形状を所定形状にすることで、粘着テープを巻き戻す作業者の手を保護することができ、それによって粘着テープを巻き戻す作業を安全にかつ効率よく行なうことが可能になることを見出し、本発明を完成した。こうして、本発明によれば下記が提供される。
(1)円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体において、巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmであり、巻芯が少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを有し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上であることを特徴とする、粘着テープ巻回体。
(2)膨らみの高さが1mm以上である、上記(1)に記載の粘着テープ巻回体。
(3)前記内角が130度以上である、上記(1)または(2)に記載の粘着テープ巻回体。
(4)巻芯の内径が20mmから100mmである、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(5)粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから100mmである、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(6)膨らみが、前記回転軸を含む断面において曲線形状である、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(7)膨らみが、前記回転軸を含む断面において、円弧状、楕円弧状、もしくは多角形、またはこれらの単位形状の組み合わせの形状である、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(8)膨らみが、前記回転軸を含む断面において多角形である、上記(7)に記載の粘着テープ巻回体。
(9)巻芯が、両側面から内周面の中心に向かって膨らんだ形状を有する、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(10)膨らみが複数ある、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
(11)巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmである、円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体の内周面及び/または側面を加工して、巻芯の少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを形成し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上であることを特徴とする、粘着テープ巻回体の製造方法。
(12)円筒状の紙の積層重合体、または円筒状に押出成形もしくは硬化して成形した合成樹脂加工品の内周面及び/または側面を加工して作製した、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体に使用する巻芯。
(13)合成樹脂を射出成形して作製した、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体に使用する巻芯。
本発明によれば、粘着テープ巻回体を手で持ちながら巻き戻し作業をするときに、軍手などの保護具を用いなくとも手を怪我せずに素手で作業でき、また大きな力を必要としないため、梱包作業や養生作業を安全に効率よく行うことができる。
本発明の粘着テープ巻回体は、円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体であって、巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmであり、巻芯が少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを有し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上であることを特徴とする。
本発明の粘着テープ巻回体の巻芯の内径は、作業形態、テープの巻き戻し力、テープ支持体の材質などを考慮して、20mm以上150mm以下であり、好ましくは20mm以上100mm以下である。巻芯の内径が20mm未満であると、指を巻芯に挿入して作業を行うことが困難になり、また150mmを超えると、粘着テープ巻回体が取り扱いにくくなるので好ましくない。
本発明の粘着テープ巻回体の粘着テープ及び巻芯の幅は、目的とする用途に応じて、10mm以上150mm以下であるが、好ましくは10mm以上100mm以下である。粘着テープ及び巻芯の幅が10mm未満であると、粘着テープ巻回体を指先だけで把持することになるので、指が巻芯の角で傷つく恐れが少なく、本発明の内周面形状を採用する意義が殆どない。また150mmを超えると、例えば片手で粘着テープ巻回体を把持した場合、巻き戻し力の重心が手からずれるため、粘着テープ巻回体が斜めになって作業しにくくなる。粘着テープ巻回体の幅は、巻芯の幅と実質的に同じであってよく、あるいはそれよりも小さくてもよい。
本発明の粘着テープ巻回体は、回転軸を含む断面内において、側面から内周面の中心に向かって膨らみを有する。膨らみ部分の形状は、粘着テープ巻回体の内径、目的とする用途、巻芯の材質などに応じて、円弧状、楕円弧などの曲線状、多角形など直線状、あるいはこれら円弧状、楕円弧状、多角形などの単位形状の組み合わせであってもよい。また、この膨らんだ形状に加えて、1つ以上のさらに別の膨らんだ形状が内周面にあってもよい。これらの断面形状の具体的例については図2〜7を用いて後述する。
本発明の粘着テープ巻回体は内周面に膨らみを有し、膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角は120度以上、好ましくは130度以上であり、かつ膨らみの高さが0.5mm以上である。粘着テープ巻回体は、内周面にこのような膨らみを形成することで、粘着テープの巻き戻し作業時に手の指の裏の皮膚が粘着テープ巻回体の巻芯の角の部分に当たることがないか、たとえ巻芯の角の部分に接触しても、接触深さが小さくしかも膨らみが鋭角部分を含まないので、指の皮膚を傷つけることが実質的に防止される効果が得られるものである。
本発明の、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角は120度以上であり、好ましくは130度以上である。膨らみの内角がすべての部分で120度以上であることで、鋭角部分がなくなり、たとえ粘着テープの巻き戻し作業時に手の指が巻芯と摩擦接触しても指の皮膚を傷つけることを防止または抑制する効果が得られる。本発明では特に膨らみと巻芯の側面とで形成される角部分の内角がこの条件を満たすことが重要である。
なお、膨らみ部分が円弧状や楕円弧状のような曲線で形成されている場合は、隣り合う辺はなく接線が連続するので、内角は膨らみのすべての部分で実質的に180度である。本発明では、膨らみは0.5mm以上の高さである必要があり、このような膨らみを形成するための曲線(円弧状や楕円弧状など)であるから、曲線である限り実質的に特に問題はない筈であるが、例えば、曲率半径が極端に小さい円弧状の部分を挟んで実質的に鋭角部を形成することがあるとすれば、本発明の効果を得ることができない。したがって、本発明では、たとえ曲率半径が極端に小さい部分は微視的には曲線だけで形成されていても無視して辺または接線を取り、その辺または接線のなす内角をもって本発明で定義する内角と看做す。この意味で、曲線で形成される場合の曲線は実質的な曲率半径が0.3mm以上で形成されていることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上あるいは1.5mm以上が望まれる。
本発明の粘着テープ巻回体の内周面に形成する膨らみの高さは0.5mm以上であることが必要であり、好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上である。本明細書で「膨らみの高さ」とは、図2(イ)に図示するように、巻芯の側面から膨らみが始まる位置から膨らみの最も高い位置までの高さを意味する。膨らみの高さがあまり小さいと、角部の内角を120度以上としても、指の皮膚と深く接触するため、その角部は実質的に鋭利な角部として作用して作業時に指を切る場合があり、本発明の効果が得られない。膨らみの高さは、0.5mm以上であれば、より高い方が安全性の観点からはより好ましいが、膨らみを高くすると、巻芯から除去すべき部分の体積が増加して、加工性が低下し、また廃棄物の量が増大し、コストが増大するので、限定するものではないが、必要以上に大きくすることはコスト等の側面では好ましくない。また、膨らみを巻芯の厚み近くまで高くすると、角部の角度によるが、巻芯の周縁部が薄くなってその部分の機械的強度が低下する場合や、粘着テープ量が少なくなったときに幅の狭くなった側面が鋭利になる可能性があるので、巻芯の側面はある程度残すことが望ましい。
本発明の実施態様を図面を参照して説明する。図2〜7は本発明の粘着テープ巻回体のいくつかの実施例を示す。各図において(イ)は粘着テープ巻回体の回転軸を含む面で切断した縦断面図、(ロ)は斜視図、(ハ)は粘着テープ巻回体を手で把持した状態を示す模式図である。
図2は、粘着テープ巻回体の内周面に、中央部分が平坦な膨らみが、両側面との間を円弧状で結んで形成された例を示す。図2(イ)(ロ)に示すように、粘着テープ巻回体の巻芯30の内周面50は平坦であるが、側面51と内周面50とを結ぶ角の部分は円弧状(円周の1/4)である。この形状では、膨らみは巻芯の側面51から内周面50まで滑らかに連続していて角部が全くなく、側面と隣り合う膨らみの接線とのなす内角、及び円弧の部分において隣接する辺あるいは接線のなす角度は事実上180度である。
図2の粘着テープ巻回体10を巻き戻し作業時に手で保持する場合、図2(ハ)に示すように、第一指は巻回体10の外周面40のうち接触部60で、及び第二指から第五指は巻芯30の内周面のうち2つの接触部71及び72で巻回体10を支持して、粘着テープ巻回体を十分にグリップ力をかけて強固に把持することができ、しかも安全に作業することが可能である。この状態で巻き戻し作業を行うと、巻回体10は手の中で滑りながら回転し、第二指から第五指が円弧状の角部で巻芯と接触するが、膨らみの高さが0.5mm以上(好ましくは1.5mm)で円弧状角部は鋭利な角部ではないので、巻き戻し作業をしても指を切ることが防止される。
図3は、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみが両側面から多角形の形状で形成された例を示す。この多角形では角部は合計4箇所である。多角形部分は、巻芯の側面から内周面の中心に向かって角部81を含み、巻芯の回転軸を含む断面においてこの角部の内角は120度以上である。図3では、角部80の内角も角部81も内角が約135度である。これらの角度は120度以上であればよく、例えば約150度以上でもよく、その場合には120度未満の角部を形成しないようにするために必要に応じて角部の数を多くする(図6)。このように、粘着テープ巻回体の内周面の角部は円弧状でなく、多角形状であっても、角部の内角が120度以上でありかつ膨らみの高さが0.5mm以上であれば、手で粘着テープ巻回体を図3(ハ)に示すように強固に把持した場合にも、手の指の裏側は粘着テープ巻回体の角部に接触しないか、たとえ接触しても深く接触しないので接触摩擦力が小さく、しかも角部が鋭角ではないので、テープの巻き戻し作業時に手の指を保護することができる。この形状は、特に、粘着テープ巻回体の内周面を加工する作業が簡単であり、低コストの要求が厳しい粘着テープでは経済性の観点から商業上好ましい態様である。
また、図3の粘着テープ巻回体について特に言及すると、角部80の内角を約135度にしたことによって角部80及び81の間の表面が巻き戻し作業時の指に適合しやすい角度となっている。また角部80及び81が巻芯30の側面51の近傍に集中しているため、巻芯30の厚みが例えば約2〜4mmと薄いために膨らみの高さAをあまり高くできない場合であっても、角部80及び81の間の表面を比較的広くすることができる。このようにすると、指に掛かる負荷はこの広くなった表面に分散されるため、従来の粘着テープ巻回体と比べて角部80及び81と指との間の摩擦力が非常に小さくなり有利である。
図4の粘着テープ巻回体10は、1つの円弧状である膨らみを有するものである。この膨らみの、円弧が巻芯の側面と接する部分の内角は120度以上である。図4のように断面形状が1つの円弧の場合、膨らみの高さが比較的高くなって巻回体の内径が小さくなることがある。この場合、巻き戻し作業に支障をきたすことを防ぐために、円弧の半径を粘着テープの幅の1/2より大きく、すなわち円弧角を180度より小さくしてもよい。
図5の粘着テープ巻回体10は、膨らみの形状が楕円弧状である。この図では、膨らんだ形状は巻芯の側面から滑らかに連続していて角部がなく、側面と隣り合う膨らみの接線とのなす内角は事実上180度である。膨らみの形状が楕円弧であると、図4の円弧状の場合のように巻芯の厚さが大きくない場合にも、側面と120度未満の内角で接触しないように、滑らかな曲線で膨らみを形成することができる。また巻芯の内周面の中央部分を平坦に近くできるので粘着テープ巻回体をより強固に把持できる可能性がある。図5では、楕円弧状の長軸が回転軸とほぼ平行であるように図示したが、テープの内径や把持する指の角度に応じて、短軸が回転軸と平行であってよく、また長軸と短軸の比率は様々であってよく、長軸と短軸が等しい、すなわち円弧であってもよい。あるいは長軸及び短軸が回転軸に対して平行でなくてもよい。さらには完全な楕円弧状ではなく、その変形形状でも構わない。
図6の粘着テープ巻回体は、膨らみの形状が多角形部分である。この多角形では角部は合計7箇所である。この多角形部分は、巻芯の側面から内周面の中心に向かって複数の角部81、82、83を含むが、これら角部の内角はいずれも120度以上である。
図7の粘着テープ巻回体10は、内周面50に2つの膨らみがある。図7(イ)では2つの膨らんだ形状が滑らかな凹面でつながれており、これら複数の膨らんだ形状は巻芯の側面から内周面の中心に向かって120度未満の内角部分を含んでいない。巻回体10の幅が広い場合、内周面50に含まれる膨らんだ形状を複数として、1つまたは複数の膨らんだ形状を作業時の指の形状に合わせることにより(70)、握りやすく作業性の良好な巻回体10を得ることができる(図7(ハ))。また、それぞれの膨らんだ形状が互いに1つまたは複数の平面(断面形状においては直線または多角形部分に相当)でつながっていてもよく、その他任意の面形状でつながっていてもよい。
本発明の粘着テープ巻回体は、粘着テープを円筒状の巻芯に巻回して作られる。
粘着テープは支持体(基材)表面に粘着剤層を形成したものであり、本発明では特に限定されず、少なくとも公知の粘着テープを用いることができる。粘着テープを巻芯に巻回する技術も公知である。
本発明の粘着テープ巻回体に使用される粘着剤として、ゴム系、アクリル系、ホットメルト系粘着剤などが使用できる。粘着剤のベースポリマーには、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、アクリルゴム、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム(SIS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SBS)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、再生ゴム及びこれらの混合物等などが挙げられる。また、粘着付与剤、フィラー、軟化剤、酸化防止剤なども、必要に応じて粘着剤に含まれてもよい。
本発明の粘着テープ巻回体に使用される支持体(基材)として、クラフト紙、クレープ紙などの紙、セロハン(登録商標)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリエステルなどのプラスチックフィルム、レーヨン糸、レーヨン/ポリエステル混紡糸、ポリエステルスパン糸、ポリエステルフィラメント糸、ポリエチレンフラットヤーンなどの織布、不織布及び編布が挙げられる。
本発明の粘着テープ巻回体に任意に使用される剥離剤として、付加型、縮合型及び放射線(UV/EB)硬化型のシリコーン系剥離剤、長鎖アルキル基含有剥離剤、パーフルオロ基含有フッ素系剥離剤などが挙げられる。
典型的な粘着テープ巻回体の巻き戻し力は限定されない。例えば、幅50mmの包装用または養生用粘着テープの場合、巻き戻し作業の通常速度である速度30m/分で5〜40Nである。このような巻き戻し力に抗して巻き戻し作業を好適に行なうためには、粘着テープ巻回体を強固に把持して粘着テープ巻回体を手前に引くことが望ましい。このような状況においては、従来の粘着テープ巻回体と比べて、本発明の粘着テープ巻回体を使用することが特に有利である。
粘着テープの巻芯は、上記に説明した形状に加工することを要するが、その形状以外については、基本的は従来公知の巻芯と同じものを使用できる。
巻芯の材質は、例えば、紙の積層重合体のほか、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂類、エポキシなどの熱硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を繊維で強化したFRPなどとしてもよい。
本発明の粘着テープ巻回体は、例えば、次のように製造される。
粘着剤及び必要であれば剥離剤を、グラビアコーター、ロールコーター、リップコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどを使用して支持体に塗工し、粘着剤及び/または剥離剤に含まれる溶剤、水などを乾燥し、必要であれば熱硬化または放射線硬化処理を行い、円筒状の巻芯にロール状にして巻き取る。次に、その粘着テープが周囲に巻回された長尺の巻回体を、切断刃などを備えた切断機を用いて用途に応じた所望の幅へと切断する。切断後の粘着テープ巻回体については、上述したように、内周面と側面とで形成される角部が90度である。所定幅に切断した後、多少のバリ、毛羽立ちなどが存在しても、従来は低コストへの強い要求があったため、そのまま粘着テープは出荷されている。バリ取りなどの作業は実用上必要性もなかったが、仮に行なうとすると工程数が増加するのみならず、発生する除去物を廃棄処分する必要があり、さらにコスト増の原因になるので、切断後に粘着テープ巻回体の内周面を格別に処理することは考えられなかった。なお、先に述べたが、仮にバリ取りをしたとても、それによって得られる形状は本発明の膨らみが持つ形状および寸法とは異なるものである。
本発明では、粘着テープ巻回体を切断機で切断した後、その巻回体の巻芯の内周面及び/または側面を、切削もしくは研削、圧縮またはこれらの組み合わせにより加工して、内周面に所定の形状および寸法の膨らみを形成する。切削または研削は、刃物、砥石、研磨紙または研摩布などによって行うことができる。巻芯の回転軸を含む面における断面形状が多角形部分である膨らんだ形状を形成する場合は、カッター刃などの直線状の汎用工具も使用できる。特に紙製の巻芯の角部をカッター刃などで直線状に切削した場合、切削平面は平滑にすることができる。圧縮は巻芯の内周面及び側面に所望形状の加工具を押圧して行うことができ、変形しやすい材料、特に紙の場合はこの方法も有効である。このようにして、巻芯の側面及び内周面が加工された本発明の粘着テープ巻回体を得ることができ、加工方法によっては上述のバリなどの突起、毛羽だった破断面などもこの加工で同時に平滑にすることもできる。
また、長尺の巻芯に粘着テープを巻回する以前に、長尺の巻芯を最終製品の幅に切断してから得られる、個々の粘着テープ用巻芯の側面及び内周面に上述と同様の加工を施して、本発明の粘着テープ巻回体用の巻芯をあらかじめ作製してもよい。この場合、最終製品幅の巻芯にそれぞれ粘着テープを巻回するが、いわゆるスリッターを用いて、幅広の粘着テープの長尺ロールを巻戻しながら、任意の縦方向幅に連続してスリットし、そのスリットされた粘着テープを本発明の粘着テープ巻回体用の巻芯に巻回することによって、本発明の粘着テープ巻回体を製造することもできる。
巻芯の材料が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である場合は、これらの材料を所望の巻芯形状に射出成形して、上述の加工を施した巻芯と同等形状の巻芯を製造することができる。熱可塑性樹脂の射出成形は、樹脂の溶融点またはガラス転移温度より高温に加熱して流動性を発現させ、それより低温の金型にインジェクタから流し込んで冷却しながら成形すればよい。熱硬化性樹脂の射出成形は、樹脂が流動する温度に加熱して、硬化に必要な温度に加熱した金型にインジェクタから流し込み、金型内部で樹脂を硬化させて成形すればよい。
本発明の粘着テープ巻回体は、梱包等の作業を行なう際に、例えば、左手で粘着テープの先端部を被着体に押さえつけ、右手で粘着テープ巻回体を握り、粘着テープ巻回体を手前に引くことで粘着テープ巻回体を回転させながら粘着テープを巻き戻し、次いで、その巻き戻した粘着テープ部分を被着体に加圧して貼着した後、粘着テープを適当な長さで破断させることで、1個の被着体の1箇所への貼着作業を終了することができる。その後、必要に応じて、他の箇所へも同様な貼着作業を行なうことができる。
このような貼着作業において、本発明の粘着テープ巻回体を用いれば、粘着テープ巻回体を素手で強固に握り締めて保持しても、粘着テープ巻回体を手前に引いて粘着テープ巻回体から粘着テープを巻き戻すときに粘着テープ巻回体が回転した際に、粘着テープ巻回体の内周面の角部の鋭角部に手の指が触れて皮膚が切れることを防止できる。
従来の粘着テープ巻回体の使用態様、及び本発明の粘着テープ巻回体の使用態様をそれぞれ、図8及び図9に写真で示す。
図8は、従来の粘着テープ巻回体の使用態様を説明するものであるが、この態様で使用した粘着テープ巻回体は、紙の積層体である長尺の巻芯に、布の支持体(基材)にゴム系粘着剤を塗布した粘着テープを巻回した後、切断機で個々の粘着テープ巻回体に切断して製造したものである。
このようにして得られた粘着テープ巻回体の内径は76mm、外径は135mm、巻芯の厚さは3mm、巻芯及び粘着テープの幅は50mmであり、紙製巻芯は切断機で切断されたままの形状であって、巻芯の内周面と側面とのなす角部はほぼ直角である。また、この粘着テープ巻回体の巻き戻し力は、30m/分で5〜40Nである。
図8(イ)、(ロ)及び(ハ)は、保護具を着用せずに、上記の粘着テープ巻回体を素手で使用した場合の、手と粘着テープの位置関係を様々な角度から観察した様子を示す。図8を参照すると、粘着テープ巻回体の巻き戻し作業中に指を切らないために、作業者の指、写真では第二指の近位指節間関節の辺りが粘着テープ巻回体の巻芯の角部に接触しないように、粘着テープ巻回体を保持している様子が見て取れる。このように保持するため、巻き戻し作業中、巻回体の重みに加えて巻き戻し力を指先のみで受けなければならず、作業者の疲労が非常に大きく、作業効率が低下し、さらに作業の正確さも低下した。
図9に、本発明の実施例の粘着テープ巻回体を用いて作業する様子を示す。この実施例の粘着テープ巻回体は、上記の従来例の粘着テープ巻回体と同じ粘着テープ巻回体の巻芯の側面と内周面との角部をカッターで45度(内角135度)に、切削幅が粘着テープ巻回体の直径方向(膨らみの高さ)で1.5mmになるように切削したものであり、図3に示す形状を有していた。
図9(イ)、(ロ)及び(ハ)は、保護具を着用せずに、本発明の粘着テープ巻回体を素手で使用した場合の、手と粘着テープの位置関係を様々な角度から観察したものである。図9の写真から分かるように、本発明の粘着テープ巻回体を使用すれば、指全体を粘着テープ巻回体の側面から内周面まで接触させて確実に保持することができる。作業者の手の第一指が巻回体外周面をしっかりと押え、第二指から第五指は巻芯の内周面のうち2つの接触部で巻回体をしっかりと支持する形で、特に、必要に応じて第一指の根元の部分および第二指の根元の部分を粘着テープ巻回体にしっかりと当てる形で、十分なグリップ力をかけて強固に把持して、作業が行なわれている様子が観察される。本発明の粘着テープ巻回体の場合には、このように粘着テープ巻回体を十分なグリップ力をかけて強固に把持しながら、粘着テープの巻き戻し及び貼着作業を連続して行なっても、手の指に切り傷ができないため、非常に作業性がよく、安全であり、作業者の疲労負担も少ないことが確認された。本発明の粘着テープ巻回体を使用することで、巻回体の重みを受けつつも、この比較的大きい巻き戻し力に抗して指を切ることなく指全体で粘着テープ巻回体の位置を保持することができたため、従来の粘着テープ巻回体で見られた作業者の疲労が大幅に軽減され、同時に作業の正確さも向上した。
10 粘着テープ巻回体
20 粘着テープ
30 巻芯
40 巻回体の外周面
50 巻芯の内周面
51 巻芯の側面
52 巻芯の外周面
60 第一指と巻回体の外周面との接触部
70、71、72 第二指から第五指と巻芯の内周面との接触部
80、81、82、83 角部
90 角部
A 膨らみの高さ
20 粘着テープ
30 巻芯
40 巻回体の外周面
50 巻芯の内周面
51 巻芯の側面
52 巻芯の外周面
60 第一指と巻回体の外周面との接触部
70、71、72 第二指から第五指と巻芯の内周面との接触部
80、81、82、83 角部
90 角部
A 膨らみの高さ
Claims (13)
- 円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体において、巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmであり、巻芯が少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを有し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上であることを特徴とする、粘着テープ巻回体。
- 膨らみの高さが1mm以上である、請求項1に記載の粘着テープ巻回体。
- 前記内角が130度以上である、請求項1または2に記載の粘着テープ巻回体。
- 巻芯の内径が20mmから100mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから100mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 膨らみが、前記回転軸を含む断面において曲線形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 膨らみが、前記回転軸を含む断面において、円弧状、楕円弧状、もしくは多角形状、またはこれらの単位形状の組み合わせの形状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 膨らみが、前記回転軸を含む断面において多角形である、請求項7に記載の粘着テープ巻回体。
- 巻芯が、両側面から内周面の中心に向かって膨らんだ形状を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 膨らみが複数ある、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体。
- 巻芯の内径が20mmから150mmであり、粘着テープ及び巻芯の幅が10mmから150mmである、円筒形の巻芯に粘着テープが巻回された粘着テープ巻回体の内周面及び/または側面を加工して、巻芯の少なくとも一方の側面から内周面の中心に向かって膨らみを形成し、粘着テープ巻回体の回転軸を含む断面において膨らみの隣り合う辺または接線が形成する内角が120度以上であり、膨らみの高さが0.5mm以上であることを特徴とする、粘着テープ巻回体の製造方法。
- 円筒状の紙の積層重合体、または円筒状に押出成形もしくは硬化して成形した合成樹脂加工品の内周面及び/または側面を加工して作製した、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体に使用する巻芯。
- 合成樹脂を射出成形して作製した、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘着テープ巻回体に使用する巻芯。
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KR20200028077A (ko) * | 2018-09-06 | 2020-03-16 | 성석재 | 실 권취용 지관 제조방법 및 이에 의해 제조된 실 권취용 지관 |
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- 2007-03-30 JP JP2007091414A patent/JP2008247556A/ja active Pending
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