JP2008223152A - 土木用シート - Google Patents

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Reiichi Hazama
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浩紀 室谷
Takuya Uenoyama
卓也 上野山
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Abstract

【課題】従来の石油系由来のポリマーやバイオマス由来のポリマーだけからなる編地構成の土木用シートでは無く、バイオマス由来ポリマーを少なくとも一部に含有し、環境に優しく、且つ石油由来ポリマーと比較してバイオマス由来ポリマーが劣る耐摩耗性などの欠点を補うことができる土木用シートを提供する。
【解決手段】立体編物によって形成された土木用シートであって、前記立体編物を構成する少なくとも50質量%以上の繊維が、横断面が芯鞘形状を呈していて、鞘部が石油系由来の汎用ポリマーにて形成されるとともに、芯部がバイオマス由来のポリマーにて形成されてなる複合繊維であることを特徴とする土木用シート。
【選択図】なし

Description

本発明はバイオマス由来ポリマーを芯成分とする複合繊維から構成される立体編物によって形成された土木用シートであって、緑化、排水及び侵食防止などの用途に好適であり、耐摩耗性に優れる土木用シートに関するものである。
従来の合成繊維は、その大部分が石油などの限りある化石資源を原料としているが、これら化石資源は将来的に枯渇が懸念されるだけでなく、焼却廃棄時に発生する二酸化炭素については地球温暖化の原因物質として社会的に大きな問題となっている。一方、大気中の二酸化炭素を根源とするバイオマス由来物質は、たとえ焼却させても発生する二酸化炭素は、もともと大気中にあったものであるため、マクロ的に二酸化炭素量のマスボリュームは増加しない。この考え方はカーボンニュートラルという言葉で称され、重要視される傾向となっている。しかしながら、バイオマス由来の合成繊維は、一般に耐摩耗性が従来の汎用合成繊維よりも劣っているとして、用途拡大に向けての一つの障害となっている。
そこで、上記のような両者の課題を補足し合う素材として、近年、バイオマス由来の合成樹脂と石油由来の合成樹脂とのハイブリッド素材が注目されている。その一つとして、例えば原糸面では、ポリ乳酸系樹脂を芯部分に用い、芳香族ポリエステル系樹脂を鞘に配した複合糸があり、特許文献1、2および3などに開示されている。しかしながら、先文献では、具体的な用途について詳細な記載がなされておらず、また、各資材についての要求特性についても開示されていない。
一方、土木用シートについては、例えば特許文献4及び5において、形態や縫製方法について開示されてはいるが、一般の化石資源からなる合成繊維から形成されたものであり、環境に配慮されたものではない。したがって、環境に配慮し且つ耐摩耗性にも優れた土木用シートについては、まだ見出されていない。

特開2004-353161号公報 特開2005-187950号公報 特開2005-232627号公報 特開平05-187011号公報 特開平10-196296号公報
本発明は、この様な現状に鑑みて行われたもので、従来の石油系由来のポリマーのみからなる合成繊維では無く、バイオマス由来ポリマーを少なくとも一部に含有し、焼却廃棄時の二酸化炭素発生量を低減するなど環境に優しく、且つ石油由来ポリマーと比較してバイオマス由来ポリマーが劣る耐摩耗性などの欠点を補うことができる土木用シートを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、横断面形状が芯鞘形状を呈しており、鞘部が石油系由来の汎用ポリマー、芯部がバイオマス由来のポリマーから形成される複合繊維から構成された編地を用いてなる土木用シートは耐摩耗性が優れるという事実を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(a)立体編物によって形成された土木用シートであって、前記立体編物を構成する少なくとも50質量%以上の繊維が、横断面が芯鞘形状を呈していて、鞘部が石油系由来の汎用ポリマーにて形成されるとともに、芯部がバイオマス由来のポリマーにて形成されてなる複合繊維であることを特徴とする土木用シート。
(b)鞘部がポリエチレンテレフタレートにて形成されていることを特徴とする(a)記載の土木用シート。
(c)芯部がポリ乳酸にて形成されていることを特徴とする(a)または(b)記載の土木用シート。
(d)立体編物における連結糸が220〜3330dtexのモノフィラメントであり、シートにおける厚さが10mm以上、かつ質量が500〜3000g/mであることを特徴とする(a)〜(C)いずれか記載の土木用シート。
(e)熱融着糸が、3〜20質量%使用されてなることを特徴とする(a)〜(d)いずれか記載の土木用シート。
(f)1〜100%omfで樹脂加工されてなることを特徴とする(a)〜(e)いずれか記載の土木用シート。
本発明の土木用シートは、従来の石油系由来のポリマーのみからなる土木用シートとは異なり、バイオマス由来のポリマーを好適に含有するため、焼却廃棄時の二酸化炭素の排出量を大幅に低減できる。また、本発明で使用される立体編物では、バイオマス由来ポリマーからなる繊維が石油系由来のポリマーで被覆された構造を持つ芯鞘複合繊維を50質量%以上含んでいる。これによって、バイオマス由来ポリマー特有の耐摩耗性に劣るという欠点を補うことが可能となる。これらにより、本発明の土木用シートでは、環境負荷が少なく、且つ力学強度や耐摩耗性などの用途物性のバランスに優れたものとなっている。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の土木用シートとしては、立体編物により形成されたものであることが必要である。本発明における立体編物としては、上下組織を有し、該上下組織が連結糸により連結された構成からなる。
ここで、該連結糸としては、モノフィラメントであり、その繊度は220〜3330dtexであることが好ましい。該連結糸の繊度が220dtex未満である場合、立体形状に難が生じたり、上部組織にかかる土砂や城砦物の質量に耐えうることができず、連結糸が寝てしまい立体感の無いものになってしまったり、耐摩耗性において強度不足が発生する可能性がある。一方、連結糸が3330dtexより大きな繊度を有する場合、連結糸の剛性が高いために上下組織との編構造が歪になるなど製編性に支障をきたす虞があり好ましくない。
また、該上下組織を構成する繊維としては、その形状については特に制限されるものではなく、要求される特性に応じてモノフィラメント、マルチフィラメントもしくは紡績糸でもよいが、形態保持や製編性を考慮すると繊度が110〜560dtexのモノフィラメントもしくはマルチフィラメントであることが望ましい。
本発明における立体編物としては、これを構成する繊維のうち、少なくとも50質量%以上が、横断面構造が芯鞘形状を呈した複合繊維であることが必要であり、かつ、該複合繊維は、鞘部が石油系由来の汎用ポリエステルにて形成され、芯部がバイオ由来のポリマーにて形成されている複合繊維であることが必要である。
本発明の土木用シートでは、バイオマス由来のポリマーを使用することで、化石資源に封じられていたカーボンに基づく二酸化炭素を新たに大気中に放出することを制限することができ、カーボンニュートラルの視点から環境負荷を軽減することができる。一方、バイオマス由来のポリマーは、化石資源の代表ともなる石油系由来のポリマー、例えば汎用ポリエステルに比べ耐摩耗性が劣ることが指摘されている。したがって本発明の土木用シートにおいては、高い機械的物性が要求される用途であるため、バイオマス由来のポリマーを使用するにあたっては、繊維表面に機械物性の高い石油系の汎用ポリエステルを配し、繊維内部にバイオマス由来のポリマーを配した芯鞘複合繊維であることが必要となる。
本発明では、バイオマス由来のポリマーの使用に基づく環境負荷削減効果と土木用シートに求められる機械物性とのバランスについて検討した結果、芯鞘構造を有する複合繊維は、立体編地において、50質量%以上必要であることが明らかとなった。すなわち、該複合繊維の使用量が50質量%未満の場合、土木用シートの機械物性は十分である反面、バイオマス由来のポリマーの含有量が少なくなり、二酸化炭素のカーボンニュートラルに基づく環境負荷軽減の効果が十分に機能しないこととなる。したがって、複合繊維の使用量を50質量%以上とすることで、本発明における立体編物、ひいては本発明の土木用シートの機械物性を高度に維持しながら、かつ環境負荷の軽減効果を最大限に機能させることが可能となるものである。このように、バイオマス由来のポリマーを使用するにあたって、石油系由来ポリマーとの芯鞘複合繊維とすることで、環境に優しく、かつ、バイオマス由来ポリマーが劣る耐摩耗性などの欠点を補うことができる土木用シートを提供することができる。因みに、本発明における立体編物を構成する複合繊維以外の繊維は、石油系由来のポリマーからなるものである。
本発明において用いる石油系由来のポリマーとしては、溶融紡糸が可能であるものであれば良く、特に制限されるものではない。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、石油由来のトリメチレングリコールとテレフタル酸とからなるポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン11及びナイロン12に代表されるポリアミド、ポリプロピレンやポリエチレンに代表されるポリオレフィン、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンに代表されるポリ塩化ポリマー。ポリ4フッ化エチレンならびにその共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどの代表されるフッ素系繊維などが挙げられる。この中で、好ましくは低コストであるポリエステルやポリアミド形ポリマーがよい。またより好ましくはバイオマス系ポリマーでは脂肪族ポリエステル系ポリマーが多いことから相溶性の面からポリエステル系がよい。特に好ましくはコスト面や取扱い性からポリエチレンテレフタレートがよい。また粘度、熱的特性、相溶性を鑑みてポリエステル系ポリマーにはイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸。アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を共重合していてもよい。
本発明において用いるバイオマス由来のポリマーとしては、溶融紡糸が可能であるものであればよく、特に制限されるものではない。具体的にはポリ乳酸、バイオマス由来のトリメチレングリコールとテレフタル酸とからなるポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンサクシネートなどバイオマスモノマーを化学的に重合してなるポリマー類やポリヒドロキシ酪酸等のポリヒドロキシアルカノエートなどの微生物生産系を挙げることができる。好ましくは耐熱的に安定し、比較的量産化されてきているポリ乳酸がよい。
ポリ乳酸としては、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体などが挙げられる。そして、ポリ乳酸としては、上記のようにL−乳酸とD−乳酸が単独で用いられているもの、もしくは併用されているものであるが、中でも融点が120℃以上、融解熱が10J/g以上であることが好ましい。ポリ乳酸のホモポリマーであるL−乳酸やD−乳酸の融点は約180℃であるが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体の場合、いずれかの成分の割合を10モル%程度とすると、融点はおよそ130℃程度となる。さらに、いずれかの成分の割合を18モル%以上とすると、融点は120℃未満、融解熱は10J/g未満となって、ほぼ完全に非晶性の性質となる。このような非晶性のポリマーとなると、製造工程において特に熱延伸し難くなり、高強度の繊維が得られ難くなるという問題が生じたり、繊維が得られたとしても、耐熱性、耐摩耗性に劣ったものとなるため好ましくない。そこで、ポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが、82/18以上のものが好ましく、中でも90/10以上、さらには95/5以上とすることが好ましい。また、ポリ乳酸の中でも、上記したようなポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)は、融点が200〜230℃と高く、摩擦熱などの影響受けにくく、特に好ましい。
ポリ乳酸とヒドロキシカルボン酸の共重合体である場合は、ヒドロキシカルボン酸の具体例としてはグリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。中でもヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることがコスト面からも好ましい。ポリ乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体の場合は、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとしては、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。このようにポリ乳酸に他の成分を共重合させる場合は、ポリ乳酸を80モル%以上とすることが好ましい。80モル%未満であると、共重合ポリ乳酸の結晶性が低くなり、融点120℃未満、融解熱10J/g未満となりやすい。
また、ポリ乳酸の分子量としては、分子量の指標として用いられるASTM D−1238法に準じ、温度210℃、荷重2160gで測定したメルトフローレートが、1〜100(g/10分)であることが好ましく、より好ましくは5〜50(g/10分)である。メルトフローレートをこの範囲とすることにより、強度、湿熱分解性、耐摩耗性が向上する。
また、ポリ乳酸の耐久性を高める目的で、ポリ乳酸に脂肪族アルコール、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、エポキシ化合物などの末端封鎖剤を添加してもよい。さらに、本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、ポリ乳酸中に熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加してもよい。
また、石油系由来の汎用ポリマー、芯部がバイオマス由来のポリマーには必要に応じて各種充填剤、増粘剤、結晶核剤として効果を示す公知の添加剤を添加することができる。具体的にはカーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化ケイ素及びケイ酸塩、亜鉛華、ハイサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉、ケイ藻土、ドロマイト粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、窒化ホウ素、ベヘン酸アミド等の脂肪族アミド系化合物、脂肪族尿素系化合物、ベンジリデンソルビトール系化合物、架橋高分子ポリスチレン、ロジン系金属塩や、ガラス繊維、ウィスカー、等があげられる。該物質は、そのまま添加してもよいし、ナノコンポジットとして必要な処理の後、添加することもできる。価格や良好な物性バランスを達成するためには、無機の充填剤の配合が好ましい。また、結晶核剤の配合が好ましい。
また、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、滑剤、離型剤、撥水剤、抗菌剤その他の副次的添加剤を配合することができる。
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で可塑剤を併用することも可能である。可塑剤を使用することで、加熱加工時、特に押出加工時の溶融粘度を低下させ、剪断発熱等による分子量の低下を抑制することが可能であり、場合によっては結晶化速度の向上も期待でき、更にフィルムやシートを成形品として得る場合には伸び性などを付与できる。可塑剤としては、特に限定は無いが、以下のものが例示できる。脂肪族ポリエステル系生分解性ポリエステルの可塑剤としては、エーテル系可塑剤、エステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤、リン系可塑剤などが好ましく、ポリエステルとの相溶性に優れる点からエーテル系可塑剤、エステル系可塑剤がより好ましい。エーテル系可塑剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール等を挙げることができる。また、エステル系可塑剤としては脂肪族ジカルボン酸と脂肪族アルコールとのエステル類等を挙げることができる。
また、本発明における複合繊維としては、その芯部と鞘部とがほぼ同心円状に配置された同心芯鞘型複合繊維であることが好ましい。このような構成とする事で鞘部に均一に汎用ポリマーを配する効果を奏することができる。芯成分が偏心上に存在すると鞘部の汎用ポリマー層に薄い箇所ができ、該汎用ポリマー層が薄い箇所において、経年的なあるいは過酷な使用により、耐摩耗性が不良となる虞があり好ましくない。
本発明の土木用シートの厚さとしては10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。該厚みが10mm未満の場合、排水シートとして活用する場合は排水量の確保が十分ではなく、また侵食防止などに活用される場合には土砂などを充填する深さが十分に得られない虞があり好ましくない。
また本発明の土木用シートの質量としては、500〜3000g/m2であることが好ましい。該質量が500g/m未満の場合、シート自体の機械的物性が低くなる傾向となり好ましくない。一方、該質量が、3000g/mより重たい場合、侵食防止に活用する際に土砂などの充填が困難になり、また他用途においても運搬が不便になるだけでなく作業性にも支障をきたす傾向となり好ましくない。
さらに、本発明の土木用シートとしては、寸法安定性の付与、求められる風合いの調整やシート切断時に生じるモノフィラメントの飛散防止などを目的として、熱融着糸や樹脂加工により編組織を固めることができる。この場合、熱融着糸の使用量としては、3〜20質量%であることが好ましい。該使用量が、3質量%未満であると十分な接着性が確保できない傾向となる。また、自重等により伸びが発生するなどして、施工時に不具合が発生するなど施工性の面で不都合が生じる虞もあり好ましくない。これについては、熱融着糸が3質量%以上使用されると、熱融着されることで編組織の一部となり他の複合繊維等をしっかりと固定することができるため、20質量%より多く混入させる必要が無く、また多くなりすぎると本発明の趣旨から外れてしまうため好ましくない。ここで、使用できる熱融着繊維については特に制限するものではなく、本発明のシートを構成する繊維より低い融点を有する化合物が表面にある繊維であればよい。接着性などを考慮するとシート構成繊維と同樹脂系列の繊維が最も好ましく、単一成分によるものや複数成分により構成されるものがある。
また、本発明の土木用シートとしては、樹脂加工を施すことができる。この場合、該樹脂付与量としては、1〜100%omf(on the mass of Fabrics 繊維重量に対する割合を示す。) であることが好ましい。該樹脂付与量が1%omf未満ではその効果を十分に発揮せず、逆に付与量が100%omfより多くなるとシートの重量が重たくなり施工性に難が生じるだけでなく、立体編物の空間部に塊として残り、要求性能の達成を妨げる可能性が出てくるため好ましくない。
ここで、樹脂加工のために用いる樹脂としては、特に制限するものではなく、その目的に応じて任意に選択することができる。具体的にはエステル系樹脂、アミド系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、各種ゴム系樹脂、塩素化物系樹脂などを挙げることができる。好ましくは本発明を構成する繊維の樹脂系と同じ樹脂系であることが、界面の接着性や廃棄時の分別等の面からは好ましい。
本発明における複合繊維並びに立体編物の製造方法としては、特に制限されるものではなく、常法により行うことができる。
次に本発明について詳細に説明する。なお、実施例中の各物性値の測定法及び評価法は次のとおりである。
(1)ポリ乳酸の融点(℃)、融解熱(J/g):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度20℃/分の条件で、常法により測定した。
(2)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比):超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiralOA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(3)繊維繊度(dtex):JIS L−10153正量繊度に準じて測定した。
(4)強度(繊維)(cN/dtex):JIS L−1013 引張強さ及び伸び率の標準時試験に準じて測定した。
(5)耐摩耗性:JIS−L1021に基づき、動的荷重疲労試験機にて、1kgの荷重で10,000回踏みしめた後のへたり測定試験を行い、その外観変化を観察した。
(6)寸法安定性:巾1.0m、長さ2.0mのシートを長さ方向に2.0m以上に持ち上げ、シート自重による伸びを確認した。伸び率(%)が、15%以下の場合を合格とした。
(実施例1)
ポリ乳酸として、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.5/1.5のものを用い、芳香族ポリエステルとして、融点217℃のイソフタル酸15モル%共重合したPETを用い、それぞれのチップを減圧乾燥した後、同心MF芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PETが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、複合比(質量比)を50/50とし、紡糸温度240℃で溶融紡糸を行った。得られた複合繊維は、繊度330dtex1フィラメントと1100dtex1フィラメントの丸断面形状のものであり、引張強力は4.0cN/dtex、切断伸度31.9%であった。
剛性のあるモノフィラメントを編立可能なニッティングエレメントを改良した6ゲージの2列針床を有する経編機を用い、表1のチェーンリンクによりL1、L2、L5およびL6筬には上下組織を構成する330dtex1フィラメントを供給、L3とL4には連結糸となる1100dtex1フィラメントを供給して上下面が1辺4コースからなる6角形状の一体化された立体的材料を編成し、次に形態を整えるために上下面の6角形組織がほぼ正6角形になるよう巾出しを120℃×2分で乾熱セットし、厚さ30mm、質量1670g/mの実施例1の土木用シートを得た。
(実施例2)
実施例1で得られた土木シートにアクリルエマルジョン(ボンコートAC−231:大日本インキ化学工業社)でディッピング加工を施し、乾燥120℃×2分で行い、樹脂付着量15%omfであり、厚さ30mm、質量1920g/mの実施例2の土木用シートを得た。
(実施例3)
実施例1で得られた複合繊維を用いて、表2のチェーンリンクによるL1,L2,およびL5筬には330dtex1フィラメントを、L6にはメルセット〈4080〉280dtex24フィラメント(ユニチカファイバー社製、芯鞘熱融着バインダー繊維、融点110℃)と330dtex1フィラメントを供給し、上下組織を構成させ、L3とL4には連結糸となる1100dtex1フィラメントを供給して上下面が1辺4コースからなる6角形状の一体化された立体的材料を編成し、次に形態を整えるために上下面の6角形組織がほぼ正6角形になるよう巾出しを120℃×2分で乾熱セットし、厚さ30mm、質量1680g/mの実施例3の土木用シートを得た。
(比較例1)
ポリ乳酸として、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.5/1.5のものを用い減圧乾燥した後、溶融紡糸装置に供給して紡糸温度240℃で溶融紡糸を行った。得られた上下組織用のポリ乳酸繊維は、繊度220dtex48フィラメントの丸断面形状のものであり、引張強力は4.5cN/dtex、切断伸度30.4%であった。また、同心MF芯鞘複合紡糸装置用いて上記ポリ乳酸について同上条件で溶融紡糸を行い、連結糸用の1100dtex1フィラメントのモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントは丸断面形状のものであり、引張強力は3.7cN/dtex、切断伸度は30.1%であった。次に得られた各繊維を用いて実施例1と同様に立体構造体を作製し、厚さ30mm、質量1580g/mの比較例1の土木用シートを得た。
(比較例2)
芳香族ポリエステルとして、融点217℃のイソフタル酸15モル%共重合したPETを減圧乾燥した後、溶融紡糸装置に供給して紡糸温度240℃で溶融紡糸を行った。得られた上下組織用のポリエステル繊維は、繊度220dtex48フィラメントの丸断面形状のものであり、引張強力は4.7cN/dtex、切断伸度30.2%であった。また、同心MF芯鞘複合紡糸装置を用いて、上記のPET共重合体について同上条件で溶融紡糸を行い、220dtex1フィラメントのモノフィラメントを得た。得られた連結糸用のモノフィラメントは丸断面形状のものであり、引張強力は3.9cN/dtex、切断伸度は24.1%であった。次に得られた繊維を用いて実施例1と同様に立体構造体を作製し、厚さ25mm、質量1250g/mの比較例2のシートを得た。
(比較例3)
ポリ乳酸として、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.5/1.5のものを用い、芳香族ポリエステルとして、融点217℃のイソフタル酸15モル%共重合したPETを用い、それぞれのチップを減圧乾燥した後、同心MF芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PETが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、複合比(質量比)を50/50とし、紡糸温度240℃で溶融紡糸を行った。得られた連結糸用の複合繊維は、繊度110dtex1フィラメントの丸断面形状のものであり、引張強力は4.1cN/dtex、切断伸度30.7%であった。
次いで実施例3と同様に、表2のチェーンリンクによるL1,L2,およびL5筬には330dtex1フィラメントを、L6にはメルセット〈4080〉280dtex24フィラメントと330dtex1フィラメントを供給し、上下組織を構成させ、L3とL4には連結糸となる110dtex1フィラメントを供給して上下面が1辺4コースからなる6角形状の一体化された立体的材料を編成し、次に形態を整えるために上下面の6角形組織がほぼ正6角形になるよう巾出しを120℃×2分で乾熱セットしたが、パイル糸がしっかりと垂直に立たず、厚さ20mmとなり、パイル糸が湾曲したものとなったが、質量890g/mの比較例3の土木用シートを得た。
(比較例4)
ポリ乳酸として、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.5/1.5のものを用い、芳香族ポリエステルとして、融点217℃のイソフタル酸15モル%共重合したPETを用い、それぞれのチップを減圧乾燥した後、同心MF芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PETが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、複合比(質量比)を50/50とし、紡糸温度240℃で溶融紡糸を行った。得られた複合繊維は、繊度330dtex1フィラメントおよび3550デシテックス1フィラメントの丸断面形状のものであり、引張強力は4.0cN/dtex、切断伸度30.7%であった。
次いで実施例3と同様に、表2のチェーンリンクによるL1,L2,およびL5筬には330dtex1フィラメントを、L6にはメルセット〈4080〉280dtex24フィラメントと330dtex1フィラメントを供給し、上下組織を構成させ、L3とL4には連結糸となる3550dtex1フィラメントを供給して上下面が1辺4コースからなる6角形状の一体化された立体的材料を編成したが、製編途中で針破損が多発し、製編不可能であった。
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた各シートについての結果を表2に示す。実施例1,2,3は、芯鞘複合繊維の使用量が適正であり、外観、及び耐摩耗性などで満足するものであった。また、寸法安定性についてはいずれも合格値であるが、実施例2および3では、樹脂加工あるいは熱融着糸の使用がなされているため、伸び率が2%と低い値であり、より優れた寸法安定性が確保されているものであった。一方、比較例1では、複合繊維を含まずポリ乳酸繊維のみから形成されたシートであるため、耐摩耗性が悪く、毛羽が多数発生するものであった。比較例2では、バイオマス由来のポリマーを含まず、芳香族ポリエステルのみからなるシートであるため、耐摩耗性は良好であるが、カーボンニュートラルに基づいた環境負荷軽減の面で問題となるものであった。また、比較例3では、連結糸の繊度が110dtexと低いものであったため、立体編物の立体形状に難があると共に、耐摩耗性において試験途中で一部に破損する箇所が見受けられるものであった。一方、比較例4では、連結糸の繊度が大きすぎたため製編途中で針破損が多発し、製編不可能であった。





Claims (6)

  1. 立体編物によって形成された土木用シートであって、前記立体編物を構成する少なくとも50質量%以上の繊維が、横断面が芯鞘形状を呈していて、鞘部が石油系由来の汎用ポリマーにて形成されるとともに、芯部がバイオマス由来のポリマーにて形成されてなる複合繊維であることを特徴とする土木用シート。
  2. 鞘部がポリエチレンテレフタレートにて形成されていることを特徴とする請求項1記載の土木用シート。
  3. 芯部がポリ乳酸にて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の土木用シート。
  4. 立体編物における連結糸が220〜3330dtexのモノフィラメントであり、シートにおける厚さが10mm以上、かつ質量が500〜3000g/mであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の土木用シート。
  5. 熱融着糸が、3〜20質量%使用されてなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の土木用シート。
  6. 1〜100%omfで樹脂加工されてなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の土木用シート。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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