JP2008222945A - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明のインクジェット記録用インクは保存安定性および吐出安定性に優れ、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】水と、ポリマーの構成成分として少なくとも50重量%以上のアクリル酸エステルと、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、酸価が50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が20000以上120000以下であるポリマーを用いて分散された、DBP吸油量80ml/100g以下で且つ平均一次粒子径が10nm以上40nm以下のカーボンブラック顔料、および式(1)の化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
【選択図】なし
【解決手段】水と、ポリマーの構成成分として少なくとも50重量%以上のアクリル酸エステルと、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、酸価が50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が20000以上120000以下であるポリマーを用いて分散された、DBP吸油量80ml/100g以下で且つ平均一次粒子径が10nm以上40nm以下のカーボンブラック顔料、および式(1)の化合物を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
【選択図】なし
Description
本発明は保存安定性および吐出安定性に優れ、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクに関する。
従来のインクジェット記録用インクとしては現在、色材として染料を用いたものが多く、顔料を用いたものも普及しはじめている。その顔料を用いたインクでは顔料を水に分散させる手段として界面活性剤を用いる方法(特許文献1参照)、または疎水部と親水部を有する分散ポリマーを用いて分散されていた。(特許文献2参照)また、顔料の表面を高分子で被覆する方法も検討され、その例としては転相乳化反応や酸析法による方法が検討されている(特許文献3参照)。
しかしながら、いずれも顔料を分散させる方法としてはスチレンを主な構成成分とするポリマーを用いるため定着性があまりなく、印刷物の長期の保存で黄変しやすかった。また、通常の場合、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が存在すると、吸脱着が起こりやすくなり、保存安定性が劣るという課題がある。従来の水性インクは紙に対するにじみを低減させるため、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が必要である。これらの物質を用いないインクでは紙に対する浸透性が不十分となり、均一な印字を行なうためには紙種が制限され、印字画像の低下を引き起こしやすくなるという課題があった。
さらに、従来の分散体にたとえば印字品質を向上させるための添加剤(アセチレングリコール、アセチレンアルコール、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルまたは1,2−アルキレングリコールまたはこれらの混合物)を用いると長期の保存安定性が得られず、顔料インクの場合、再溶解性が悪いためインクが乾燥してインクジェットヘッドのノズルで詰まりやすくなるという課題や、ヘッドを構成する物質に用いられる接着剤等の劣化により接着強度が低下して吐出安定性が悪くなるなどの課題を有していた。
また、このような一般的な分散剤により分散された顔料は分散剤の残存物がインク系中に残り、分散剤が十分に分散に寄与せず顔料から脱離して粘度が高いものになってしまうという課題があった。粘度が高くなると顔料等の色材の添加量が制限され特に普通紙において十分な印字品質が得られないという課題もあった。
本発明のインクジェット記録用インクは水と、少なくともポリマーの構成成分として50重量%以上のアクリル酸エステルと、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の酸価を有する、重量平均分子量20000以上120000以下のポリマーを用いて分散された、DBP吸油量80ml/100g以下で且つ平均一次粒子径が10nm以上40nm以下のカーボンブラック顔料および式(1)の化合物を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用インクは、保存安定性および吐出安定性に優れ、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクを提供するという効果を有する。
本発明のインクジェット記録用インクは、保存安定性に優れ、普通紙および光沢紙上で高発色であり、光沢紙上では十分な光沢性に加えて定着性を有し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性に優れることなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
本発明のインクジェット記録用インクは、水と、ポリマーの構成成分として少なくとも50重量%以上のアクリル酸エステルと、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合され、酸価が50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が20000以上120000以下であるポリマーを用いて分散された、DBP吸油量80ml/100g以下で且つ平均一次粒子径が10nm以上40nm以下のカーボンブラック顔料、および式(1)の化合物を含むことを特徴とする。酸価は50mgKOH/g未満では分散安定性が得られなくなり、120mgKOH/gを超えると普通紙の発色性が低下する。また、重量平均分子量が20000未満であると、インクジェットインクとしての長期保存安定性、熱安定性および定着性が悪くなり、120000を超えると、インクジェットインクとしての粘度が高くなり、分散安定性が悪くなる傾向があり、さらに吐出安定性が低下する傾向がある。そして、アルキルアルコールのポリオキシプロピレンとポリオキシエチレンの付加物は炭素数が8未満では光沢紙での光沢性が低下し、18を超えるとインクの粘度が上昇し吐出安定性が得られなくなる。
また、本発明において式(1)の化合物はRが炭素数8から18のアルカノール基であることが好ましい。炭素数8未満では光沢紙での光沢が得られにくい。18を超えると、水への溶解性を向上させるために、エチレンオキシの付加量が多く必要になるが、そうすると泡立ちやすくなって、インクジェットのドット抜けが発生しやすくなり、さらに普通紙での発色性も低下する。nは4〜12が好ましく、4未満では光沢紙での光沢性が向上しにくく、12を超えると水への溶解性を向上させるために、エチレンオキシの付加量が多く必要になるが、そうすると泡立ちやすくなって、インクジェットのドット抜けが発生しやすくなり、また、普通紙での発色性も低下する。mは1〜12であるが1未満では水への溶解性が低下するために、添加量が制限されて光沢紙の光沢性が得られない。12を超えると、泡立ちやすくなって、インクジェットのドット抜けが発生しやすくなり、加えて普通紙での発色性も低下する。アルキル基へのプロピレンオキシとエチレンオキシの付加はランダムであってもブロックであってもよいが、アルキル基にプロピレンオキシをブロックで付加した後、エチレンオキシをブロックで付加した構造がランダム付加やアルキル基にエチレンオキシをブロックで付加した後エチレンオキシをブロックで付加するより、光沢紙での光沢性が向上し、普通紙での発色性も向上する。
また、カーボンブラック顔料のDBP吸油量が80ml/100gを超えるとインクジェットのノズル目詰まりやインクの長期保存による変質を起こしやすくなり、カーボンブラック顔料の平均一次粒子径が10nm未満では分散安定性が得られなくなり、40nmを超えると光沢紙での光沢性が低下する。
本発明において、ポリマーの構成成分として50重量%以上のアクリル酸エステルと、15重量%以下の(メタ)アクリル酸とが重合されたものが好ましい。アクリル酸エステルは50重量%未満では定着性が低下してくるので好ましい範囲が50重量%以上であるが、50重量%未満の場合を否定するものではない。従って、50重量%以上が好ましいが、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。また、15重量%以下の(メタ)アクリル酸との重合が好ましいが、15重量%を超えるとインクジェットインクの普通紙での発色性が低下する傾向になる。しかし、15重量%を超える場合を否定するものではなく、より好ましい範囲として示しているがより好ましい範囲は10重量%以下である。また、メタクリル酸とアクリル酸を比較した場合はアクリル酸を用いることが、定着性の観点からより好ましい。
本発明において用いる黒色インク用カーボンブラック顔料は、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が挙げられるがインクジェット用としては比重が比較的低く水中で沈降しにくいものが好ましい。本発明において顔料としての添加量は、0.5%〜30%が好ましいが、1.0%〜12%がさらに好ましい。これ以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、またこれ以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
前述の記顔料を用いて作成される前述のインクジェット記録用インクは、50mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の酸価を有するポリマーを用いて分散されることが、保存安定性および吐出安定性に優れ、普通紙や光沢紙での高い発色性と光沢紙での高い光沢性を併せ持つインクジェット記録用インクを提供する観点から好ましい。酸価が50mgKOH/g未満では分散が不安定になる。さらに、120mgKOH/gを超える酸価では普通紙での発色性が低下してくる。より好ましい酸価は60mgKOH/g〜100mgKOH/gである。
本発明でカーボンブラック顔料の分散に用いるポリマーは、影響がない程度に市販のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等から選ばれた1種以上を組み合わせて使用することも可能である。しかし、少なくとも80%以上がアクリル酸エステルおよびアクリル酸の共重合によるポリマーであることが好ましい。そのアクリル酸エステルとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、N−ビニルピロリドン、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピルアクリレートなど市販のアクリル酸エステルを用いることができる。また、アクリル酸の代わりにω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマーなどを用いることができる。
また、本発明で用いるポリマーを用いた分散方法は顔料をポリマーが覆うように水中への転相乳化であることが好ましい。転相乳化法を用いることによって、インクが安定になり、普通紙の発色性が向上する。
2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオール、3、6−ジメチル−4−オクチン−3、6−ジオール、2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールのアルキレンオキシド付加物および3、6−ジメチル−4−オクチン−3、6−ジオールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上は0.05重量%未満では普通紙でのにじみが多くなり好ましくない。また、1重量%を超えるとインクジェットインクとしての保存安定性が悪くなり、長期の保存が難しくなる。より好ましくは0.1重量%以上0.7重量%である。
2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオール、3、6−ジメチル−4−オクチン−3、6−ジオール、2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールのアルキレンオキシド付加物は市販され、日信化学社製のサーフィノール104、サーフィノール82、サーフィノール2502、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、川研ファインケミカル社製のアセチレノールEOO、アセチレノールE40、アセチレノールE100などとして手に入れることができる。
本発明においては1、2−アルキレングリコールを含んでなることが好ましい。1,2−アルキレングリコールの中でも1,2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1,2−ペンタンジオールが特に好ましく、本発明になる顔料を用い、さらにこれらを用いることでインクジェットインクの吐出安定性が向上し、普通紙に印刷したときのにじみが低減できる。
また、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ(トリ)エチレングリコールモノペンチルエーテルおよびジ(トリ)エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれた1種以上を含んでなることが好ましい。本発明になる顔料を用い、さらにこれらグリコールエーテル類を用いることで、インクジェット方式で普通紙に印刷したときのにじみがさらに低減し、印字品質が向上する。
また、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールを含んでなることも好ましく、本発明になる顔料を用い、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールをさらに用いることで光沢紙上での光沢性が向上し、普通紙上での発色性が向上する。
また、本発明におけるポリマーはカルボキシル基を有しているが、その対イオンとしてはトリエタノールアミンおよび/またはトリプロパノールアミンを含んでなることが好ましい。トリエタノールアミンおよび/またはトリプロパノールアミンを用いることで、乾燥状態であってもインクジェットインクの目詰まりが起こりにくくなる。
さらに、同様にインクジェットの目詰まりを起こりにくくするために、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、四糖、五糖および六糖から選ばれた1種以上を含んでなることが好ましい。
本発明のポリマーの重合方法としては、溶媒として、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、グリコールエーテル系を用いることができる。しかし、水系の顔料分散であるため、後で前述の溶媒を除去可能なものであることが必要である。従って、そのような溶媒としては以下のようなものを用いることができる。前述のアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。前述のケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、前述のエーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。さらに、前述のグリコールエーテル系としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
また、ポリマーを重合させるためのラジカル重合開始剤としては、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート等の有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスブチレート、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物等、過硫酸カリ、過硫酸ソーダなどを用いることができるがそれらに限定されず、ラジカル重合可能なものであれば上述以外の開始剤を用いることもできる。ラジカル重合開始剤の使用量は、重合の際に使用されるモノマーに対し、0.01モル%以上5モル%以下が好ましい。前述の重合の温度は、特に、制約されるものではないが、通常、30℃〜100℃の範囲であり、好ましくは、40℃〜90℃の範囲である。重合の温度が余りに低いときは、モノマーの重合に長時間が必要となり、場合によっては重合率が低下して多量のモノマーが残存するおそれがある。
本発明では、さらに必要に応じて分散剤、表面張力調整剤又は浸透剤(界面活性剤)、湿潤乾燥防止剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、防錆剤、保湿剤、その他の添加剤を用いてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、本発明のインクジェットインクの製造方法としては、例えば、本発明のインクジェットインク用ポリマー組成物、水性媒体、水酸化ナトリウム等のアルカリ等を高速攪拌により乳化し、さらに、顔料等を投入し、ディスパー等で強力に分散する方法等が挙げられる。さらに、必要に応じて、三本ロールミル等で分散し、得られた顔料スラリーを高圧分散機等で顔料を所定粒子径まで分散し、次いで得られた顔料分散液から有機溶剤等を除去する方法等を行ってもよい。
前述の高圧分散機としては、特に限定されず、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディックス社)、アルティマイザー(スギノマシン社)、湿式ジェットミル(ジーナス社)、ナノマイザー(エス・ジーエンジニアリング社)等が挙げられる。
前述の高圧分散機で分散する際の圧力は、所望とする顔料粒子径に到達できれば幾らでもよいが、100MPa〜300MPaが好ましい。100MPa未満では分散粒径が大きくなりやすく、分散に長時間を要したり、パス数を極端に多くしなければ安定した分散体になりにくく経済的でない。また、300MPaを超えると過分散になりやすく、分散体の安定性が得られにくい。なお、所望の顔料粒子径に到達できない場合は、前述の圧力の範囲で分散回数を増やしたり、圧力を上げたりして分散してもよい。
また、本発明のインクジェットインクの製造方法には、重合が完了した前述のインクジェットインク用ポリマー組成物にアルカリ溶液が加えられて加熱され、その後、溶媒が除去され、イオン交換水等で置換されたインクジェットインク用ポリマー組成物溶液を使用してもよい。
さらに、重合が完了した前述のインクジェットインク用ポリマーを減圧蒸留によって溶媒を除去し、得られたインクジェットインク用ポリマーの固形物を粉砕し、イオン交換水、アルカリ溶液等を加えて加熱溶解して、得られたインクジェットインク用ポリマー溶液を使用してもよい。この場合、その後、得られた顔料分散液から有機溶剤等を除去することは不要となる。
前述のアルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等の第3級のアルカノールアミンやアルキルアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基等が挙げられる。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。
攪拌装置、還流管、温度計、滴下ロートを備えた2000mlのセパラブルフラスコ内を窒素置換した後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0重量部をセパラブルフラスコに入れて攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、滴下ロートにジエチレングリコールモノメチルエーテル200.0重量部、ベンジルアクリレート483.0重量部、アクリル酸50.4重量部及びt−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)4.8重量部を入れ、80℃で4時間かけてセパラブルフラスコ中に滴下して反応させた。滴下終了後、80℃で1時間保持した後、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)0.8重量部を加え、さらに80℃で1時間反応を行なった。その後、減圧蒸留によりジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した。そして、メチルエチルケトン600.0重量部を加え、樹脂固形分50%のポリマー組成物溶液を得た。このようにして得られたポリマー組成物溶液の一部を取り、105℃の強熱乾燥機で1時間乾燥した後、得られたポリマー組成物の固形物の酸価は65mgKOH/gであり、重量平均分子量は34000であった。
次に、このようにして作製されたポリマー組成物溶液120.0重量部に対して30%水酸化ナトリウム水溶液3.0重量部を加えて、高速ディスパーで5分間攪拌し、さらにカーボンブラック(#44:三菱化学社製、平均一次粒子径24nm、DBP吸油量78ml/100g、粉状)480.0重量部を加えて、高速ディスパーで1時間攪拌し、顔料分散スラリーを得た。そして、その顔料分散スラリーを超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、みずほ工業社製)により200MPaの圧力で10回連続して分散を繰り返し、顔料分散液を得た。
さらに、そのようにして得られた顔料分散液からエバポレーターを用いた減圧蒸留によりメチルエチルケトンおよび水の一部を留去し、遠心分離機(05P−21、日立製作所社製)により30分5000rpmで遠心分離させた後、顔料濃度15重量%になるようにイオン交換水を添加してカーボンブラック分散体を調整した。そして、2.5μmのメンブレンフィルター(アドバンテック社製)を用いて加圧ろ過した。その後、表2に示すインク組成1のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物はRがノナノール基、nが6、mが5でPO−EOの順のブロック付加を用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#45:三菱化学社製、平均一次粒子径24nm、DBP吸油量53ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例2のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#95:三菱化学社製、平均一次粒子径40nm、DBP吸油量66ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例3のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#900:三菱化学社製、平均一次粒子径16nm、DBP吸油量56ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例4のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(比較例1)
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#5:三菱化学社製、平均一次粒子径76nm、DBP吸油量71ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例5のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#5:三菱化学社製、平均一次粒子径76nm、DBP吸油量71ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例5のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(比較例2)
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#20:三菱化学社製、平均一次粒子径50nm、DBP吸油量121ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例6のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#20:三菱化学社製、平均一次粒子径50nm、DBP吸油量121ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例6のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(比較例3)
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#25:三菱化学社製、平均一次粒子径47nm、DBP吸油量69ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例7のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#25:三菱化学社製、平均一次粒子径47nm、DBP吸油量69ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例7のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(比較例4)
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#30:三菱化学社製、平均一次粒子径30nm、DBP吸油量113ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例8のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#30:三菱化学社製、平均一次粒子径30nm、DBP吸油量113ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例8のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(比較例5)
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#990:三菱化学社製、平均一次粒子径16nm、DBP吸油量112ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例9のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
実施例1のカーボンブラック480.0重量部に代えて、カーボンブラック(#990:三菱化学社製、平均一次粒子径16nm、DBP吸油量112ml/100g、粉状)480.0重量部にした以外は、実施例1と同様に行ない、表2に示す組成例9のインクジェット用インクを作製した。式(1)の化合物は実施例1と同じものを用いた。
(評価試験1:普通紙発色性の評価方法)
実施例1〜4および比較例1〜5に係るインクジェットインクを、インクジェットプリンター(EM−930C、セイコーエプソン社製)を用い、XeroxP紙に(富士ゼロックス社製)にベタ印字し、試験体を得た。印字モードは用紙:普通紙、印字品質:スーパーファイン、色補正:なし、印字方向:双方向で行なった。そして、GRETAGMACBETH SPECTROSCANSP50(Gretag社(米国)製)を用いて各色のOD値を測定した。結果はOD値の値として表1に示す。
実施例1〜4および比較例1〜5に係るインクジェットインクを、インクジェットプリンター(EM−930C、セイコーエプソン社製)を用い、XeroxP紙に(富士ゼロックス社製)にベタ印字し、試験体を得た。印字モードは用紙:普通紙、印字品質:スーパーファイン、色補正:なし、印字方向:双方向で行なった。そして、GRETAGMACBETH SPECTROSCANSP50(Gretag社(米国)製)を用いて各色のOD値を測定した。結果はOD値の値として表1に示す。
(評価試験2:光沢度の評価方法)
実施例1〜4および比較例1〜5に係るインクジェットインクを、インクジェットプリンター(EM−930C、セイコーエプソン社製)でPM写真用紙(セイコーエプソン社製)にベタ印字し、試験体を得た。印字モードは用紙:フォトプリント紙、印字品質:フォト、色補正:なし、印字方向:双方向で行なった。この試験体の20度光沢を光沢計(HG−268、スガ試験機社製)で測定した。その結果を表1に示す。
実施例1〜4および比較例1〜5に係るインクジェットインクを、インクジェットプリンター(EM−930C、セイコーエプソン社製)でPM写真用紙(セイコーエプソン社製)にベタ印字し、試験体を得た。印字モードは用紙:フォトプリント紙、印字品質:フォト、色補正:なし、印字方向:双方向で行なった。この試験体の20度光沢を光沢計(HG−268、スガ試験機社製)で測定した。その結果を表1に示す。
(評価試験3:保存安定性の評価方法)
実施例1〜4および比較例1〜5に用いたインクジェットインク用顔料分散体の初期粘度及び70℃で1週間静置した後の粘度を、ローリングボール式粘度計(AMVn、アントンパール(ドイツ国)社製)で測定した。その結果を、保存安定性:70℃で1週間静置した後の粘度(mPa・s)/初期粘度(mPa・s)の値として表1に示す。尚、表1には、インクジェットインクを製造した際に用いたモノマー組成、重合開始剤および顔料を示す。
実施例1〜4および比較例1〜5に用いたインクジェットインク用顔料分散体の初期粘度及び70℃で1週間静置した後の粘度を、ローリングボール式粘度計(AMVn、アントンパール(ドイツ国)社製)で測定した。その結果を、保存安定性:70℃で1週間静置した後の粘度(mPa・s)/初期粘度(mPa・s)の値として表1に示す。尚、表1には、インクジェットインクを製造した際に用いたモノマー組成、重合開始剤および顔料を示す。
尚、表1および表2において示す略号は以下のとおりである。
BZA:ベンジルアクリレート
AA:アクリル酸
BPEH:t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
BEPD:2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール
1、2−HD:1、2−ヘキサンジオール
TMP:トリメチロールプロパン
BZA:ベンジルアクリレート
AA:アクリル酸
BPEH:t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
BEPD:2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール
1、2−HD:1、2−ヘキサンジオール
TMP:トリメチロールプロパン
表1ではBZA、AA、BPEH、カーボンブラックは重量部で示す。
また、表2においては各成分の重量%で示す。表2のRはアルキル基の炭素数、nはプロピレンオキシPOの付加モル数、mはエチレンオキシEOの付加モル数をそれぞれ示す。式(1)付加順はアルキル基RにプロピレンオキシPOが先に付加されるものをR−POEOとし、アルキル基RにエチレンオキシEOが先に付加されるものをR−EOPOとし、式(1)付加形態はアルキル基RにプロピレンオキシPOおよびエチレンオキシEOがブロック付加されるかとランダム付加されるかの別を示す。
表1の結果からわかるように、実施例1〜4に係るインクジェットインクを用いた場合は評価試験1〜3の何れでも良好な結果であるが、比較例1〜5に係るインクジェットインクを用いた場合は、評価試験1〜3の何れかまたは複数の項目で良好な結果にならない。
Claims (5)
- 0.05重量%以上1重量%以下の2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールおよび2、4、7、9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 1、2−アルキレングリコールを含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク。
- ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルから選ばれた1種以上を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
- 2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオールを含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007066350A JP2008222945A (ja) | 2007-03-15 | 2007-03-15 | インクジェット記録用インク |
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- 2007-03-15 JP JP2007066350A patent/JP2008222945A/ja not_active Withdrawn
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