JP2008220329A - 魚の摂食量を個体ごとに測定する方法 - Google Patents

魚の摂食量を個体ごとに測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 魚の摂食量を個体ごとに測定する方法を提供すること。
【解決手段】 透明な皮膚を有する魚に細胞膜親和性蛍光物質で染色した餌を摂取させ、魚から放出される蛍光量を体外から測定することにより、魚の摂食量を個体ごとに測定する方法が開示される。また、魚に試験物質を投与し、本発明の方法により該魚の摂食量を測定し、該試験物質を投与しない場合と比較して摂食量が変化したときに、該試験物質が摂食量調節剤の候補物質であると同定することにより、摂食量調節剤の候補物質をスクリーニングする方法も開示される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、モデル動物およびこれを用いた有用物質のスクリーニング方法に関する。
医薬品や機能性食品の開発において、候補物質のスクリーニング、有効性の評価、毒性試験などに有用なホールアニマルモデル系として、ゼブラフィッシュ、メダカなどの小型の魚類が注目されている。特に、ゼブラフィッシュは、疾患に関連した遺伝子を欠損させたり過剰発現するトランスジェニック動物を作成したり、発生過程において化学物質を作用させることにより、種々のヒト疾患のモデルとして有用なモデル動物が得られることが示されている(例えば、WO2004/023867、WO2004/066723など)。
ゼブラフィッシュやメダカは魚類であるが、主要臓器・組織の発生・構造などはヒトと良く似ており、各臓器の形態や動き、受精卵から分化して各臓器が形成されていく過程などが、透明な体を通して観察できる。受精後48時間で主要臓器・組織の基本構造が出来上がっても体長は2ミリ以下と96ウエルプレートなどの小スペースで取り扱うことができるため、モデル動物全体(ホールアニマル)への影響を指標とした新薬候補化合物スクリーニング系として有望である。
このようなモデル動物を用いて、摂食を促進または抑制する医薬品や機能性食品の候補物質をスクリーニングしたり、これらの有効性を評価するためには、動物1匹あたりの摂食量をできる限り正確に把握する必要がある。
しかしながら、魚は水中に浮遊した餌を摂食し、かつ水中に排泄するため、これまで、モデル動物が摂食した食物の量を個体ごとに測定することはほとんど不可能であった。
WO2004/023867 WO2004/066723
本発明は、魚の摂食量を個体ごとに測定する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、魚の餌を蛍光染色して給餌し、魚の腹部から放出される蛍光を透明な皮膚を通して検出することにより、魚の摂食量を個体ごと測定しうることを見いだした。
本発明は、魚の摂食量を個体ごとに測定する方法であって、透明な皮膚を有する魚に細胞膜親和性蛍光物質で染色した餌を摂取させ、該魚から放出される蛍光量を体外から測定することを含む方法を提供する。
別の観点においては、本発明は、摂食量調節剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、魚に試験物質を投与し、本発明の方法により該魚の摂食量を測定し、該試験物質を投与しない場合と比較して摂食量が変化したときに、該試験物質が摂食量調節剤の候補物質であると同定する、の各工程を含む方法を提供する。
さらに別の観点においては、本発明は、細胞膜親和性蛍光物質で染色した餌からなる、魚用餌を提供する。
本発明の方法においては、摂食量を測定する動物モデルとして、透明な皮膚を有する魚を用いる。ここで、透明であるとは、本発明において用いる蛍光染料に適した励起光および発光の波長の光を透過させる性質を有することをいう。本発明の方法において用いるのに特に好ましい魚は、ゼブラフィッシュおよびメダカである。なお、本発明の方法は、線虫やショウジョウバエの幼虫で透明な皮膚を有するもの(例えばアルビノ種)などにも適用することができる。まず餌を蛍光色素により染色し、この蛍光染色餌を魚に摂食させる。餌としては、観賞用小魚の餌として使用できるものであれば、いずれのものを用いてもよい。次に、魚の腹部から放出される蛍光の量を、慣用の蛍光測定装置を用いて定量する。以下に、魚としてゼブラフィッシュを、餌としてパラメシアを例として、これらの各工程について詳細に説明する。
パラメシアの培養および精製
パラメシア(Paramesium)はゾウリムシとも称される原生生物であり、小魚の餌として一般に用いられている。パラメシアの培養は、典型的には、1lの水に対して1錠の酵母タブレットおよび小麦胚芽4粒程度を入れた水槽で行う。十分な密度になった時点で目の荒いフィルターによりごみを取り除く。このときパラメシアは通過液に含まれるため、これを暗幕をかけた20lほどのタンクに入れ数時間放置することにより、パラメシアとともにフィルターを通過した余分な酵母カスなどを沈殿させる。このタンクの上部に光が差し込むようにすることにより、パラメシアはタンク上部に移行させることが可能であり、タンク上部に設けたコックから採取することによりパラメシアとごみを効率的に分離できる。さらに細かい煩雑物と分離するために目の細かいフィルターでパラメシアの入った液体を濾し、フィルター上部を蒸留水でリンスしたものを回収して、精製パラメシアとする。実体顕微鏡下でパラメシア以外のゴミやその他の原生動物の混入の有無を確認することができる。
パラメシアの濃縮および定量
精製パラメシアの蛍光染色の効率を高めるため、濃縮を行うことが望ましい。濃縮は、例えば、50mlの遠沈管に20ml程度の精製パラメシアを入れ、2500rpm(約4500g)で10分遠心することにより行うことができる。高速で遠心するとパラメシアの細胞膜が破砕されてしまうので注意が必要である。遠心後、パラメシアは硬いペレットにならずチューブ下部にやわらかい塊として存在するため、これを回収して、濃縮パラメシア原液として以後の実験に用いる。定量のためには、少量を取り出して水で10倍希釈し、600nmで吸光度測定する。パラメシア濃度と600nm吸光度は、少なくとも0.01から0.1付近までは直線関係にあることが経験的に知られているので、パラメシアの量の定義として以下の計算式を採用すれば、精製ロットによる濃度のばらつきを補正できる。
パラメシア量(abs・ul)=原液の吸光度(10倍希釈サンプルの吸光度x 10) x V (ul)
餌の蛍光染色
餌を蛍光染色するためには、細胞膜親和性の蛍光物質を用いて、餌の中の細胞膜成分を蛍光物質で染色する。餌の中の細胞膜成分としては、例えば、パラメシアなどの原生生物、植物プランクトン、酵母、海藻、植物(穀物、野菜)、動物(フィッシュミール、オキアミ、シュリンプミール、魚粉)に由来するものが挙げられる。細胞膜親和性の蛍光物質とは、細胞膜を染色することができ、蛍光を発生することができる物質をいう。細胞膜親和性の蛍光物質は、親油性をもち、細胞膜のリン脂質と結合するか、またはリン脂質中に取り込まれることができる。細胞膜と親和性をもたない水溶性の蛍光色素では、給餌してから数時間の摂食時間のあいだに水中に流出しやすいが、細胞膜親和性蛍光染料を用いることにより流出を最小化することができ、長時間の摂食実現を行うことが可能となる。さらに、蛍光染料は、励起光と放出光の波長が十分に離れていること、一般に用いられている各種蛍光フィルターと適合する蛍光波長のピークを有することが望ましい。細胞膜を染色するために一般に用いられている蛍光染料のいずれを用いてもよく、例としては、例えば、ビオチン、フルオレセイン、ローダミン、RodoB、テキサスレッド、カスケードブルー、デキストランなどが挙げられる。また、これらの蛍光染料を組み合わせて用いてもよい。波長特性の異なる蛍光染料を複数用いることにより、給餌時間を変えたり餌の成分を変えて摂食量の変化を容易にモニターすることができる。特に好ましい細胞膜親和性蛍光染料の例としては、DiA、DiI、DiD、DPH、NBD-C6-HPC、bis-pyrene-PC、cis-parinaric acid、BODIPY 500/510 C4, C9、N-Rh-PE、C12-fluorescein(いずれもInvitrogen)などが挙げられる。中でもDi-Asp (Invitrogen)は、波長特性が広範な種類の測定装置に適合しており、シグナル強度が高く、染色した餌の量に依存して蛍光シグナルが直線的に増加するため、好ましい。染色は、細胞膜成分を含む餌と蛍光染料とを混合し、数分間から数時間放置するか穏やかに撹拌することにより、容易に行うことができる。
細胞膜親和性蛍光染料を用いて餌の中の細胞膜成分を染色すると、一度細胞膜に取り込まれた染料が容易には離れないため、餌からの染料の流出を最小化することができる。さらに、染料は細胞膜と結合して初めて蛍光を発する性質をもつため、水溶液中に遊離した状態では蛍光強度はほとんどないという利点を有する。例えば、Di-Aspでパラメシアを染色した後に、0.2uMの直径のフィルター(パラメシアは通過できないが溶解成分は自由移動可能)で仕切ったチューブの上部に蛍光パラメシアを入れ、下部にゼブラフィッシュ稚魚を入れて一晩放置しても、稚魚からは蛍光が検出されなかった。
魚への蛍光染色餌の給餌
魚としては、摂食が可能となる日齢以降の稚魚を用いる。ゼブラフィッシュ稚魚では、4日齢(dpf)以降に摂食が可能である。実際には発生の早さに個体差があるため、化合物などによる摂食量変化を定量的に測定するためには、好ましくは6dpf以降の稚魚を用いる。一方、3週齢以降で自家蛍光が顕著になること、サイズが大きすぎると取り扱いが不便であることから、20dpfまでの稚魚を用いることが好ましい。また、通常のゼブラフィッシュ系統では色素沈着が4dpf以降で顕著になることから、nacreなどの色素欠損系統を用いるとデータの安定性と高いS/N比が期待できる(図1を参照)。
摂食時間は1時間以上に設定することが望ましい。また、摂食時間を正確にコントロールすることが望ましい場合には、摂食を強制的に停止させてもよい。摂食の停止は麻酔(例えば、0.016% トリカイン)により行うことができる。麻酔による摂食の停止は、以後の蛍光測定における稚魚の取り扱いが容易になるという利点もあり、好ましい。
具体的には、魚への蛍光染色餌の給餌は、例えば、以下の手順で行うことができる。
・魚(6-20dpf)を6 ウエルプレートに入れる。
・蛍光染色餌を3時間程度与える。
・摂食停止 (0.4% トリカイン溶液を飼育水の4%分の体積量入れる)。
摂食量の数値化
摂食した餌の量は、魚から放出される蛍光量を体外から測定することにより定量することができる。好ましくは、魚の腹部から放出される蛍光量を測定する。魚は透明な皮膚を有するため、腹部から放出される蛍光は、慣用の蛍光検出装置を用いて体外から容易に測定することができる。好ましい態様においては、多点測定が可能な蛍光プレートリーダーを用いて測定することにより、蛍光量を数値化する。また、蛍光プレートリーダーの代わりに慣用の倒立型蛍光顕微鏡を用いる場合には、CCDを装着した倒立型蛍光顕微鏡で各サンプルの蛍光画像を撮影し、画像解析により各個体の腹部領域の蛍光量を数値化することができる。96ウエルプレート対応倒立型顕微鏡を用いる場合には、96ウエルプレートに各サンプルを入れ、自動で必要ウエルの画像を取得させた後、付属の輝度解析ソフトでバックグラウンド以上の蛍光シグナルを積算・数値化することができる。また、蛍光スキャナーを用いる場合には、96ウエルプレートに各サンプルを入れ、プレート全面のスキャンを行った後に、マイクロアレイ用スポット認識定量化ソフト等を利用して数値化を行うことができる。
本発明にしたがえば、96ウエルプレートなどの慣用のプレートに蛍光染色餌摂食個体を入れることにより、多検体を個体ごとに分けて摂食量を評価できる。蛍光測定は一般的に時間がかかり、測定中の個体の移動によりデータの精度が低下する可能性があるため、麻酔をかけたままサンプルの測定・撮影を行うことが好ましい。また好ましくは、多点測定を行い、積算値または最大値を採用することによりデータの精度を高めることができる。また、バックグラウンドを低下させるために、適宜蛍光測定前に個体を洗浄してもよい。
具体的には、摂食量の測定は、例えば、以下の手順で行うことができる。
・麻酔により摂食停止させた個体を0.016%トリカイン麻酔液に入れ、さらに新しい同液の入ったウエルに移し替える。
・20ulの麻酔液とともに個体を96ウエルプレートに移し替える。
・蛍光プレートリーダー(PerkinElmer, ARVO SXなど)で蛍光を測定する。サンプルの位置が不確定であるため、50−100点程度の多点測定を行い、最大値を採用する。
・測定終了後は、個体を通常の飼育水でリンス後に飼育水槽・プレートなどに移しかえることにより、アッセイ後の飼育・経過観察が可能である。
下記の実施例4および図3に示されるように、給餌量依存的に腹部蛍光シグナルの増加が見られたことから、摂食量に応じて蛍光シグナルが増加していることが明らかである。すなわち、本発明にしたがって、摂食量を蛍光シグナルに置き換えて評価することが可能であることが示された。
摂食量調節剤のスクリーニング
本発明の摂食量測定方法を用いて、摂食促進または抑制作用を有する候補物質をスクリーニングすることができる。ヒトとゼブラフィッシュとは、進化的にある程度の距離があるが、一般的には進化距離が十分に大きく離れていても機能的に重要な分子は保存性が高いこと(遺伝子の保守性)が知られている。特に摂食中枢は生物としての根幹的な機能であり、これが突然変異により欠損したり変更が加えられると、その個体の適応度は著しく低下することから、摂食調節の機構は保存性が高いと考えられる。またヒト同様にゼブラフィッシュにおいても視床下部が存在し、たとえば重要な摂食ホルモンであるOrexin遺伝子が組織特異的な発現をしていることが報告されている(J Neurosci. 2004 Mar 17;24(11):2678-89)。
下記の実施例に示されるように、本発明においては、ヒトにおいて摂食量を低下させる作用を有することが知られている薬剤(FluoxetineおよびMazindol)をゼブラフィッシュに投与することにより、ゼブラフィッシュの摂食量が変化することが確認された。このことからヒト治療薬がゼブラフィッシュ稚魚においても十分に作用しうることが明らかとなった。すなわち、本発明の方法は、ヒトに作用する摂食調節物質をスクリーニングするのに有用である。
試験物質が摂食促進または抑制作用を有するかどうかを調べるためには、魚に候補物質を投与し、摂食量の変化を確認する。試験物質を投与する方法としては、候補物質が水溶性である場合には飼育水中に溶解すればよく、水不溶性である場合には適当な界面活性剤との複合体またはエマルジョンの形で飼育水中に懸濁すればよい。あるいは、魚の餌に混ぜて経口投与してもよく、注射などにより非経口投与してもよい。候補物質は、受精直後に投与してもよく、発生過程の適当な段階で投与してもよい。また、候補物質は、給餌の前日、数時間前または直前に投与してもよく、給餌の間に投与してもよい。
試験物質を投与したときに、投与しないときと比較して摂食量が増加すれば、その試験物質は摂食促進剤の候補物質であると考えられ、摂食量が減少すれば、その試験物質は摂食抑制剤の候補物質であると考えられる。すなわち、本発明にしたがって、簡便な方法により摂食促進剤または抑制剤の候補物質のハイスループット・スクリーニングを行うことができる。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
パラメシアの精製
パラメシアの培養は1lの水に対して1錠の酵母タブレット(エビオス錠、アサヒフードアンドヘルスケア)および小麦胚芽4粒程度を入れた水槽で行った。フィルター(PP-112n、共進理工)濾過により夾雑物を取り除き、より目の細かいフィルター(PP-20n、共進理工)を用いてパラメシアを回収した。
50mlの遠沈管に20ml程度の精製パラメシアを入れ2500rpm(約4500g)で10分遠心し、沈殿したパラメシアをチューブに移した。50ulを取り出して水で10倍希釈したものを600nmで吸光度測定し、下記の式:
パラメシア量(abs・ul)=
原液における吸光度(10倍希釈サンプルの吸光度x 10) x V (ul)
にしたがって定量した。
パラメシアの染色
500から1500abs・ulのパラメシアを1ml程度の水に懸濁させたものを1.5mlチューブに入れた。ここに50ug/ml のDi-Asp溶液またはDIO溶液を100ul加えて完全に混和させ、常温で30分間染色させた。次に、卓上遠心機で3000rpmでパラメシアを沈殿させ、上清を取り出し、1mlの水を加え軽く再懸濁させた。同様に3000rpmで5分遠心し、上清を除去し、1mlの水に再懸濁させた。このステップを繰り返して、蛍光染色パラメシアサンプルとし、調製後数時間以内に使用した。
蛍光染色パラメシアサンプルの蛍光シグナル強度を測定したところ、パラメシアの量に依存して直線的に増加することが確認された(図1)。
蛍光パラメシアの給餌および摂食量の測定
2系統(ABおよびnacre)のゼブラフィッシュの稚魚(4-15dpf)をそれぞれ6 ウエルプレートに入れ、蛍光パラメシアを加えた。3時間後、0.4% トリカイン溶液を飼育水の4%分の体積量入れることにより、ゼブラフィッシュを麻酔し、摂食を停止させた。
麻酔により摂食停止させた個体を0.016%トリカイン麻酔液に移し替え、さらに新しい同液の入ったウエルに移し替えた。個体を20ulの麻酔液とともに96ウエル黒色丸底プレートに移し替えて、蛍光プレートリーダーで、励起波長485nm、検出波長535nmで蛍光を測定した。1ウエルあたり100点で蛍光を測定し、その最大値を求めた。
結果を図2に示す。試験したいずれの種、日齢についても、ゼブラフィッシュから蛍光シグナルが検出された。特に、色素欠損系統であるnacreでは、データの安定性と高いS/N比が得られた。
摂食定量実験
次に、蛍光パラメシア給餌量を段階的に調節することにより、摂食量と蛍光シグナル量との相関性について検討した。8dpfの稚魚個体を6 ウエルプレートに6匹ずつ入れたものに、蛍光パラメシアを0, 12.5, 25, 50, 200abs・ul分与え、3時間後に摂食停止させた。次に、実施例3と同様にして、摂食量を蛍光シグナルにより定量化した。
各条件における摂食パラメシアの蛍光シグナルを図3に示す。給餌量依存的にシグナルの増加が見られることから、摂食量に応じて蛍光シグナルが増加していることは明らかである。すなわち、摂食量を蛍光シグナルに置き換えて評価することが可能であることが確認された。
ヒト摂食調節化合物の投与によるゼブラフィッシュ摂食量の変化
既にヒトにおいて臨床で用いられている摂食調節化合物FluoxetineおよびMazindolを用いて、本発明の方法をヒト摂食評価系として適用しうるかどうかを調べた。
8dpfのAB系統稚魚個体を6 ウエルプレートに6匹ずつ入れたものに、Fluoxetineを最終濃度で0, 0.3, 1, 3, 10, 30uM、あるいはMazindol を3, 10uMになるように投与した。12時間後、これらの個体に蛍光パラメシアを0あるいは50abs・ul分与え、実施例3と同様にして、3時間後の摂食量を蛍光シグナルにより定量化した。
その結果、3uM 以上のFluoxetine投与グループにおいて摂食量の有意な低下が見られた(図4)。またMazindol投与グループにおいても10uM処理群において摂食量の抑制が見られた(図5)。このことからヒト治療薬がゼブラフィッシュ稚魚においても十分に作用しうることが明らかとなった。すなわち、本発明の方法は、ヒトに作用する摂食調節物質をスクリーニングするのに有用である。
本発明は、モデル動物を用いた摂食調節物質の評価およびスクリーニングに有用である。
図1は、パラメシアの量と蛍光染色パラメシアサンプルの蛍光シグナル強度との相関を示すグラフである。 図2は、蛍光パラメシアを摂食させたゼブラフィッシュからの蛍光シグナルを示す。 図3は、蛍光パラメシア給餌量を変化させたときのゼブラフィッシュからの蛍光シグナルを示す。 図4は、Fluoxetineを投与したときの摂食量の変化を示す。 図5は、Mazindolを投与したときの摂食量の変化を示す。

Claims (4)

  1. 魚の摂食量を個体ごとに測定する方法であって、透明な皮膚を有する魚に細胞膜親和性蛍光物質で染色した餌を摂取させ、前記魚から放出される蛍光量を体外から測定することを含む方法。
  2. 摂食量調節剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、魚に試験物質を投与し、請求項1に記載の方法により前記魚の摂食量を測定し、前記試験物質を投与しない場合と比較して摂食量が変化したときに、前記試験物質が摂食量調節剤の候補物質であると同定する、の各工程を含む方法。
  3. 魚がゼブラフィッシュである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 細胞膜親和性蛍光物質で染色した餌からなる、魚用餌。
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