JP2008200704A - 連続鋳造機における鋳片冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミストノズル20で構成された2次冷却帯を有する連続鋳造機1を用いて鋳片5の連続鋳造を行うに際し、ミストノズル20へ供給される冷却水の温度を37℃以下5℃以上とする。
【選択図】図3
Description
2次冷却帯は、鋳片の移送方向に複数配備された冷却ノズルにより構成されていて、冷却ノズルとしては、冷却水をシャワー状に噴射するスプレーノズル、又は空気と冷却水とを混合した状態(気液混合状態)で噴霧するミストノズルが採用されている。
例えば、特許文献1には、2次冷却帯において、幅方向に配備されたスプレーノズルからの冷却水量を変えて、鋳片の幅方向両端部の冷却を中央部よりも強化することにより、鋳片の幅方向に均一な凝固シェルを形成するようにした技術が開示されている。
特許文献2には、2次冷却帯において、鋳片の幅に応じてスプレーノズルと鋳片表面との間隔、及び隣り合うスプレーノズルの間隔を設定することにより、水量密度が鋳片幅方向について略均一とする技術が開示されている。
特許文献4には、C≧0.3%の高炭素鋼を連続鋳造するにあたり、2次冷却帯における冷却水の水温を38℃以上に保つという技術が開示されている。
一方、ミストノズルを用いた連続鋳造機の冷却方法では、上記したファクタに加え、噴射される冷却水Qwと空気Qaとの体積比率(Qa/Qw)である気水比を規定することにより、鋳片の冷却能力の均一化などを図ってきた。
特許文献6には、ミストノズルによる2次冷却において、鋳片表面の温度をA3変態点未満に低下させた後A3変態点以上に復熱させる場合には、A3変態点未満に温度低下させる際の冷却条件を気水比:5〜15とし、A3変態点未満に低下させない場合には、気水比:50〜200とする技術が開示されている。
しかしながら、従来からの2次冷却帯の制御方法を用いた際に、鋳片の過冷却や不均一冷却が発生し、それに起因する鋳片の割れ発生が起こることが現場の実績として挙がってきており、解決すべき課題となっている。
すなわち、本発明にかかる冷却方法は、ミストノズルで構成された2次冷却帯を備える連続鋳造機を用いて鋳片の連続鋳造を行うに際し、前記ミストノズルへ供給される冷却水の温度を37℃以下5℃以上とすることを特徴とする。
本願発明者らは、ミストノズルで構成された2次冷却帯を有する連続鋳造機において、実操業データの検証を行うと共に様々な実験を実施した結果、ミストノズルに供給される冷却水の温度が高すぎると、鋳片の冷却速度が大きすぎて過冷却となったり、鋳片の均一な冷却ができなくなることを見出した。
すなわち、ミストノズルから噴射される冷却ミストの平面分布において、そのミスト分布の中心(ノズル直下部)とミスト分布の周縁部(ノズル周辺部)での冷却速度を検証した結果、ミストノズルに供給される冷却水の温度が37℃より大きいと、ノズル直下部の冷却速度がノズル周辺部より大きくなって、両者間での差が著しくなり、不均一冷却の原因となることを知見するに至った。
なお好ましくは、前述の条件を、垂直曲げ型の連続鋳造機の曲げ部及び/又は矯正部に配備されたミストノズルに適用するとよい。
図1に示すように、本実施形態の連続鋳造機1は垂直曲げ型であって、鋳型2と、溶鋼3を一時的に蓄えて鋳型2へ注入するタンディッシュ4と、鋳型2から鋳抜かれた鋳片5を支えつつ移送する複数のサポートロール6とを有している。
取鍋7により運ばれてきた溶鋼3はタンディッシュ4に注がれ、タンディッシュ4の底にある浸漬ノズル8によって鋳型2に注入される。鋳型2では溶鋼3が冷却(1次冷却)され、その表面部のみが凝固した状態の鋳片5となって、鋳型2の下部から垂直方向に引き抜かれるようになる。
鋳型2から引き抜かれた鋳片5は、その断面の長辺側及び/又は短辺側にそれぞれ配置された複数のサポートロール6で保持されつつ徐々に水平方向に湾曲され、水平になった鋳片5は下流側に備えられたガス切断機9により所定長さのスラブ片11に分割される。
詳しくは、鋳型2の直下には鋳片5を最初に支持するフットロール12が配置されており、その下流側には、鋳片5を円弧状に曲げるようにサポートロール6が配置されている。この部分を曲げ部13と呼ぶ。曲げ部13の下流側には、曲げ部13を通過して円弧状となった鋳片5を保持しつつ移送するサポートロール6が複数配置されており、この部分を円弧部14と呼ぶ。円弧部14の下流側には、円弧状となった鋳片5が水平方向を向くように矯正するためのサポートロール6が配置されていて、この部分を矯正部15と呼ぶ。矯正部15の下流側には、鋳片5を引き抜くピンチロール16や鋳片5を下流側に移送する移送ロール17、ガス切断機9で切断されたスラブ片11を搬送する搬送ロール18が配置されている。
このミストノズル20による鋳片冷却では、鋳片5が冷却ミストの直下を通過する時と、冷却ミストの周辺部を通過する時に冷却速度などが変化することは明らかである。鋳片5の割れや表面疵発生を抑えるためには、かかる冷却速度の差を可能な限り小さくし均一冷却を行って、鋳片表面での温度差を抑えることが必要である。
そこで、本発明では、ミストノズル20へ供給される冷却水の温度を37℃〜5℃の範囲としている。なお好ましくは、冷却水の温度を35℃〜10℃にするとよい。
このような冷却条件を満たすことで、鋳型2から引き抜かれた鋳片5を均一に冷却でき、且つ当該鋳片5に過冷却が生じることを防ぐことができるようになる。よって鋳片5に割れや表面疵などが発生することを極力防ぐことができる。
図3は鋳片5の温度測定部位を示す。この図に示す如く、ミストノズル20の噴射直下をノズル直下部Bとし、ノズル直下部Bから鋳造方向に40mm離れた鋳片5の表面をノズル周辺部Cとし、両部B,Cの温度を測定した。
この際の気水比は20であって、水量密度は550L/m2・minである。ミストノズル20から鋳片5までの距離を150mmとしている。なお、冷却水の水温に関しては、33〜79℃まで変化させている。
図5は、冷却水の温度と、その冷却水で冷却される鋳片5における熱伝達率との関係を模式的に示したものである。
この図に示すように、スプレーノズルでは、低水温の方がサブクール度(冷却水と鋳片5との温度差)が大きいため過冷却になりやすいが、ミストノズル20では、従来のスプレーノズルとは逆の関係があり、水温が高い方がノズル直下部Bの熱伝達率が大きくなり、ノズル周辺部Cとの熱伝達率の差が開き、鋳片5は過冷却されやすく且つ不均一冷却されることになる。ところが、本発明のように、冷却水の水温が低温、特に37℃以下であれば、熱伝達率の値が比較的小さく、且つノズル直下部Bとノズル周辺部Cの間の熱伝達率の差が所定値内となって、鋳片5は過冷却されず且つ均一冷却され、その結果、鋳片5に割れや表面疵等が発生することを防止できることがわかった。
この図に示すように、水温33℃の場合は、鋳片5の表面温度が変化しても、熱伝達率の差は500kcal/m2h℃前後であまり大きくは変動しない。一方、水温79℃の場合は、鋳片5の表面温度が高温の場合は、約1000kcal/m2h℃であるが、鋳片5の表面温度が500℃近くなると、約2500kcal/m2h℃と、2倍以上となる。このことから、ミスト冷却で冷却水の水温が高い場合、均一冷却ができない。
ミストノズル20から鋳片5までの距離は150mm、水量密度は550L/m2・min、常温常圧における気水比は21.5とした。冷却水の水温は、実施例1では33℃、実施例2では37℃と一定に保って鋳片5を冷却した。
2次冷却帯を構成するミストノズル20の中から、所定のミストノズル20を選び出し、そのノズル直下部Bとノズル周辺部Cの表面温度、裏面温度を測定し、それを基に熱伝達率を算出した。具体的には、鋳片表面下の深さ5mm(表面)および深さ25mm(裏面)での鋳片温度を測定し、鋳片5の鋳片温度が900℃〜500℃まで変化する間の熱伝達率を計算した。
比較例1〜3のいずれにおいても、鋳片温度が600℃以下の低温の場合、ノズル直下部Bとノズル周辺部Cとの熱伝達率の差は、1000kcal/m2h℃以上となり、大きい値の場合、2000kcal/m2h℃を越えることもあった。特に、比較例3の如く水温が79℃であると、鋳片温度が900℃〜500℃において、熱伝達率の差は830〜2590kcal/m2h℃と大きな値となる。このような大きな熱伝達率の差がある状況下で鋳片5の冷却を行うと、当該鋳片5の均一な冷却ができず、鋳片5に表面割れ・表面疵が発生することを回避できない。
なお、本明細書に記載した実施形態は本願発明の例示であって、これに限定するものではない。
また、ミストノズル20は、ノズル先端に複数個(例えば2条)のミスト噴射口21を有していてもよい。当然、1個(1条)であってもよい。
また、本発明の鋳片冷却方法を適用可能な連続鋳造機は、垂直曲げ型の連続鋳造機1に限定されるものではない。湾曲型や垂直型の連続鋳造機にも採用可能である。
2 鋳型
3 溶鋼
4 タンディッシュ
5 鋳片
6 サポートロール
13 曲げ部
15 矯正部
20 ミストノズル
21 ミスト噴射口
A 冷却ミストの噴霧範囲
B ノズル直下部
C ノズル周辺部
Claims (2)
- ミストノズルで構成された2次冷却帯を備える連続鋳造機を用いて鋳片の連続鋳造を行うに際し、前記ミストノズルへ供給される冷却水の温度を37℃以下5℃以上とすることを特徴とする連続鋳造機における鋳片冷却方法。
- 請求項1に記載された条件を、垂直曲げ型の連続鋳造機の曲げ部及び/又は矯正部に配備されたミストノズルに適用することを特徴とする連続鋳造機における鋳片冷却方法。
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