JP2008178896A - ダイカスト鋳造用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶湯を複数のキャビティに均等に分配し、1回の鋳造で複数の製品を品質が高くかつ均一となるように鋳造可能なダイカスト鋳造用金型を提供する。
【解決手段】型締め、型開き可能な1組の第1、第2の金型を備える。これらの金型に同一形状の複数の鋳造品が同時に鋳造されるように複数のキャビティ31を形成する。溶湯をプランジャ側の湯口15から各キャビティ31に導くランナー9を有する。ランナー9は、湯口15側から金型の型締め、型開き方向とは直交する方向に各キャビティ31と対応する位置まで延びる第1の分配部10と、この第1の分配部10にキャビティ31を接続するためのキャビティ31毎の第2の分配部51とから形成される。第2の分配部51には、第1の分配部10のキャビティ31毎の下流側端部10aからそれぞれ型締め、型開き方向と平行に延びる前後方向延在部51aが設けられている。
【選択図】 図8

Description

本発明は、1組の金型内に複数のキャビティが形成されたダイカスト鋳造用金型に関するものである。
従来の一般的なダイカスト鋳造装置は、たとえば特許文献1に開示されているように、固定金型と可動金型とからなる1組の金型について一つのキャビティが形成されている。この種のダイカスト鋳造装置において、さらに生産性を向上させるためには、図12に示すように、1組の金型に複数のキャビティを形成することが考えられる。
図12は二つのキャビティが形成された従来のダイカスト鋳造用金型の断面図である。同図において、符号101は金型を示し、102,103は第1、第2のキャビティ、104,105はキャビティ毎に形成されたランナー、106は湯口を示す。
前記第1、第2のキャビティ102,103は、当然のことながら製品(鋳造品)の形状が同一となるように、互いに同じ形状に形成されている。これらのキャビティ102,103は、湯口106を中心として金型101の一側方と他側方とに振り分けられる位置に形成されている。
これらのキャビティ102,103は、ランナー104,105の下流側端部にそれぞれ3箇所のゲート107を介して接続されている。これらのゲート107は、第1、第2のキャビティ102,103において互いに同一の位置に形成されている。
前記二つのランナー104,105は、溶湯が湯口106から前記3箇所のゲート107に分配されるように形成されている。これらのランナー104,105は、湯口106とキャビティ107とを最短距離で接続するために、湯口106から金型101の一側方と他側方とに延びるように形成されている。
特公平7−73783号公報
しかしながら、上述したように構成された従来のダイカスト鋳造用金型101では、必ずしも2個の製品を同一の品質となるように鋳造することはできず、期待していたほど生産性を向上させることはできなかった。
2個の製品の品質が同一または同一に近い品質にならない理由は、試行錯誤の結果、第1のキャビティ102と第2のキャビティ103とにおいて溶湯の充填バランスをとることができないからであると考えるに至った。すなわち、第1のキャビティ102内には同図において右側から溶湯が注入され、第2のキャビティ103内には同図において左側から溶湯が注入されるため、両キャビティ102,103内に流入する溶湯の流動条件を両キャビティ102,103において同一にすることができないからである。この流動条件とは、溶湯が流れる方向、流速、流量などである。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、溶湯を複数のキャビティに同一の流動条件で均等に分配し、1回の鋳造で複数の製品を品質が高くかつ均一となるように鋳造可能なダイカスト鋳造用金型を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係るダイカスト鋳造用金型は、型締め、型開き可能な固定金型と可動金型とからなる1組の金型に同一形状の複数の製品が同時に鋳造されるように形成された複数のキャビティと、固定金型に設けられ、かつプランジャに接続された湯口から溶湯を前記各キャビティに導くランナーとを有するダイカスト鋳造用金型であって、前記ランナーに、前記湯口側から前記金型の型締め、型開き方向とは直交する方向に前記各キャビティと対応する位置まで延びる第1の分配部と、この第1の分配部のキャビティ毎の下流側端部からそれぞれ前記型締め、型開き方向と平行に延びる前後方向延在部を有するキャビティ毎の第2の分配部とを備えさせたものである。
請求項2に記載した発明に係るダイカスト鋳造用金型は、請求項1に記載したダイカスト鋳造用金型において、前記第2の分配部は、前後方向延在部の下流端によって構成されたキャビティ側湯口から各キャビティに延びるキャビティ側ランナーをさらにキャビティ毎に備え、これらのキャビティ側ランナーは、前記キャビティ側湯口から前記型締め、型開き方向とは直交する方向にそれぞれ延設され、これらのキャビティ側ランナーどうしは、キャビティ内に流入する溶湯の流動条件が一致する形状に形成されているものである。
請求項3に記載した発明に係るダイカスト鋳造用金型は、請求項1に記載したダイカスト鋳造用金型において、前記固定金型は、プランジャに接続された湯口を有するベース金型と、このベース金型と前記可動金型との間に位置しかつベース金型に対して前記型締め、型開き方向に移動してベース金型に接離する中間金型とから構成され、前記キャビティは、前記中間金型と前記可動金型との間に形成され、前記第1の分配部は、前記ベース金型と前記中間金型との間に形成され、前記第2の分配部の前後方向延在部は、前記中間金型にこの中間金型を貫通するように形成されているものである。
請求項4に記載した発明に係るダイカスト鋳造用金型は、請求項2に記載したダイカスト鋳造用金型において、前記固定金型は、プランジャに接続された湯口を有するベース金型と、このベース金型と前記可動金型との間に位置しかつベース金型に対して前記型締め、型開き方向に移動してベース金型に接離する中間金型とから構成され、前記キャビティは、前記中間金型と前記可動金型との間に形成され、前記第1の分配部は、前記ベース金型と前記中間金型との間に形成され、前記第2の分配部の前後方向延在部は、前記中間金型にこの中間金型を貫通するように形成され、前記キャビティ側ランナーは、前記中間金型と可動金型との間に形成されているものである。
請求項5に記載した発明に係るダイカスト鋳造用金型は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載したダイカスト鋳造用金型において、ランナーの第1の分配部を、前記プランジャ側に位置する湯口に接続された一つの上流部と、この上流部からキャビティ毎に分かれた複数の分岐部とから構成し、これらの分岐部を、前記上流部の中心線を対称軸として線対称に形成したものである。
本発明によれば、プランジャから湯口を通ってランナーに流入した溶湯は、ランナーの第1の分配部によってキャビティ毎に分配される。このキャビティ毎に分けられた溶湯の流れる方向は、これらの溶湯がそれぞれ第1の分配部から第2の分配部の前後方向延在部内に流入することによって、金型の型締め、型開き方向に揃えられる。このため、溶湯が第2の分配部内からキャビティ内に流入するときの溶湯の流動条件は、全てのキャビティにおいて等しくできる。
したがって、本発明によれば、溶湯がランナーの第2の分配部から各キャビティに均等に分配されて流入するから、複数のキャビティにおいて充填バランスをとることができる。この結果、本発明によれば、1回の鋳造で複数の製品を品質が高くかつ均一となるように鋳造可能なダイカスト鋳造用金型を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、溶湯が第2の分配部の前後方向延在部からキャビティ側ランナーに流入することによって、溶湯の流れる方向が型締め、型開き方向とは直交する方向に変えられ、同一の流動条件で各キャビティ内へ流入する。したがって、溶湯を複数のキャビティ内へ製品の品質が高くなるような最適な方向に向けてキャビティ内に注入することができるから、製品の品質がより一層高くなるダイカスト鋳造用金型を提供することができる。
請求項3および請求項4記載の発明によれば、鋳造後に中間金型を可動金型とともに移動させてベース金型から離間させることによって、湯口内で溶湯が凝固してなる湯口内鋳造物と、ランナーの第1の分配部内で溶湯が凝固してなる第1の分配部内鋳造物とが露出する。これらの鋳造物は、前記中間金型の端面から突出するように形成されるから、容易に除去することができる。これらの湯口内鋳造物と第1の分配部内鋳造物とを除去することにより、ランナーの第2の分配部内で溶湯が凝固してなる第2の分配部内鋳造物を前記中間金型からキャビティ側に引き出すことが可能になるから、中間金型と可動金型とを開き、製品部分を有する鋳造物の全体を離型させることができる。
したがって、この発明によれば、上述したように湯口とランナーの第1の分配部で溶湯が凝固してなる湯口内鋳造物および第1の分配部内鋳造物を容易に除去することができるから、ランナーが三次元的に延びてその形状が複雑であっても、不要部分の除去工程を含めて鋳造が容易なダイカスト鋳造用金型を提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、キャビティ毎に形成された分岐部に溶湯を流動条件(溶湯が流れる方向、流速、流量)が一致するように、より一層正確に分配することができるから、1回の鋳造で製造される複数の製品の品質の差をより一層小さくすることができる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るダイカスト鋳造用金型の一実施の形態を図1ないし図9によって詳細に説明する。
図1〜図5は本発明に係るダイカスト鋳造用金型の断面図で、図1は型締め前の状態を示し、図2は鋳造時の状態を示し、図3は鋳造後に可動金型と共に中間金型をベース金型から離間させた状態(中間停止状態)を示し、図4は湯口内鋳造物と第1の分配部内鋳造物とを切断した状態を示し、図5は中間金型を図4の中間停止位置に残したまま可動金型を中間金型から離間させた状態を示す。
図6は可動金型のキャビティが形成された入れ子と主型の一例を示す正面図、図7は本発明に係るダイカスト鋳造用金型における溶湯が流れる部分の構成を示す正面図、図8は同じく斜視図である。図9は湯口内、ランナー内およびキャビティ内とで溶湯が凝固してなる鋳造物の形状を示す側面図で、同図においては、製品部分を破断した状態で描いてある。この実施の形態では、アルミニウム合金を材料として自動二輪車用エンジンのクランクケースを鋳造するダイカスト鋳造用金型について説明する。
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるダイカスト鋳造用金型である。このダイカスト鋳造用金型1は、いわゆる高速高圧ダイカストを行うためのもので、図1に示すように、ダイカストマシン(図示せず)のマシンベース2の上に搭載されている。このダイカスト鋳造用金型1は、図1において最も左側に位置するベース金型3およびこれに隣接する中間金型4からなる固定金型5と、同図において最も右側に位置する可動金型6とから構成されている。
前記固定金型5のベース金型3は、前記マシンベース2に固定されており、後述する中間金型4の移動する方向を規制するとともに移動距離を制限するための4本のタイバー7を備えている。また、ベース金型3には、プランジャスリーブ8と、後述するランナー9(図7、図8参照)の第1の分配部10を形成するためのランナー用入れ子11とが取付けられている。前記プランジャスリーブ8内には、プランジャチップ12が移動自在に嵌挿されている。このプランジャチップ12とプランジャロッド13とによって、本発明でいうプランジャ14が構成されている。
前記ランナー用入れ子11には、プランジャスリーブ8に接続された湯口15と、ランナー形成用の凹溝16とが形成されている。
前記中間金型4は、図1に示すように、第1の主型21と、この第1の主型21に嵌合、固定された第1の入れ子22とから構成されており、前記タイバー7によって移動する方向が規制された状態でマシンベース2に移動自在に支持されている。タイバー7は、中間金型4の四隅と対応する部位にそれぞれ位置付けられており、中間金型4の移動する方向を図1〜図5において左右方向に規制する。このダイカスト鋳造用金型1においては、中間金型4の移動する方向が型締め、型開き方向になっている。また、タイバー7は、中間金型4がベース金型3から予め定めた距離より離間することがないように、中間金型4のベース金型3からの移動距離を制限する構造が採られている。
この中間金型4は、固定金型の一部をなすもので、図示していない複数の圧縮コイルばねによってベース金型3から離間する方向に常に付勢されており、外力が何ら加えられていない状態では、ベース金型3から所定距離だけ離間した位置にタイバー7によって止められる。前記圧縮コイルばねは、ベース金型3におけるタイバー7の近傍に中間金型4を指向するように立設された複数の支柱にそれぞれ保持されており、ベース金型3と中間金型4との間に弾装されている。また、中間金型4には、スプールブッシュ23、位置決め用ピン24、スタンプカッター25などが設けられている。
第1の入れ子22は、後述する可動金型6の第2の入れ子26およびスライドコア27と協働して二つのキャビティ31,31(図6参照)を形成するためのもので、図1に示すように、中間金型4におけるベース金型3とは反対側に位置する内端部4aに嵌合、固定されている。なお、図6においては、第2の入れ子26に突設された雄型26aの表面をキャビティ31として示している。
二つのキャビティ31,31は、この実施の形態においては、1組の第1、第2の入れ子22,26に水平方向に並ぶ状態で設けられている。図6は、第2の入れ子26を第1の入れ子22側から見た状態で描いてある。図6に示す二つのキャビティ31,31は、これらのキャビティ31,31によって成型された製品の形状が同一となるように、互いに同一の向きに同一形状に形成されている。
これらのキャビティ31,31には、各キャビティ31の下端部に開口した3箇所のゲート32から溶湯が注入される。このゲート32も一方のキャビティ31と他方のキャビティ31とにおいて同じ位置に形成されている。これらのゲート32は、図6に示すように、後述するランナー9のキャビティ側ランナー33に接続されている。
また、キャビティ31には、図6に示すように、オーバーフロー34とガス抜き用通路35とがそれぞれ接続されている。これらのオーバーフロー34とガス抜き用通路35とは、それぞれ第2の入れ子26に凹溝として形成されている。この凹溝の開口部分は、第1の入れ子22の平坦面(図示せず)によって閉塞される。
一方のキャビティ31に接続されたオーバーフロー34およびガス抜き用通路35と、他方のキャビティ31に接続されたオーバーフロー34およびガス抜き用通路35も互いに同一形状に形成されている。ガス抜き用通路35の先端部には、従来からよく知られているように、チルベント36が設けられている。このチルベント36は、第1の主型21と、可動金型6の後述する第2の主型41とにそれぞれ設けられており、中間金型4と可動金型6とが型締めされた状態で二つのチルベント36,36どうしの間にラビリンス構造の空気通路を形成するものである。この空気通路は、前記両主型21,41どうしの間に形成された微小な隙間を介して大気中に連通されている。
中間金型4に設けられた前記スプールブッシュ23は、その内部にテーパー孔23aが形成されており、第1の主型21と第1の入れ子22とを中間金型4の移動方向と平行に貫通する状態で設けられている。前記テーパー孔23aは、図1に示すように、可動金型6に向かうにしたがって内径が漸次大きくなるように形成されている。
位置決め用ピン24は、中間金型4と後述する可動金型6との位置決めを行うためのもので、可動金型6に凹設された位置決め穴37(図1参照)に嵌合する形状に形成されている。この位置決め用ピン24と位置決め穴37とは、図1〜図5においては中間金型4および可動金型6の下端部にしか描かれていないが、実際には中間金型4および可動金型6の上端部にも設けられている。この実施の形態においては、これらの位置決め用ピン24と位置決め穴37とは、4つずつ設けられており、第1、第2の入れ子22,26の四隅の近傍に位置付けられている。
スタンプカッター25は、中間金型4におけるベース金型3と対向する外端面4b(図1参照)に沿わせた刃25aをシリンダー25bによって上下方向に平行移動させる構成が採られている。このスタンプカッター25は、図3に示すように、中間金型4から突出した鋳造物を切断する。この鋳造物とは、湯口15内で溶湯が凝固することによって成型された湯口内鋳造物38と、前記ランナー9の第1の分配部10(凹溝16)内で溶湯が凝固することによって成型された第1の分配部内鋳造物39である。このスタンプカッター25は、型締時にはベース金型3のカッター収納用凹部3a内に挿入される。
前記可動金型6は、図1に示すように、第2の主型41と、この第2の主型41に嵌合、固定された第2の入れ子26と、スライド金型42とから構成されており、マシンベース2に前記中間金型4の移動方向と平行に移動自在に支持されている。また、この可動金型6は、型締装置(図示せず)に連結されており、この型締装置によって型締め、型開き方向に移動させられる。この可動金型6が中間金型4に接近する方向が本発明でいう型締め方向であり、可動金型6が中間金型4から離間する方向が本発明でいう型開き方向である。
型締装置は、型締め時に可動金型6を図1〜図5において左方に移動させて中間金型4に当接させるとともに、中間金型4を付勢する圧縮コイルばねの弾発力に抗して両金型4,6を一体にベース金型3側に移動させることができるように構成されている。
また、型締装置は、鋳造後に可動金型6を図1〜図5において右方に移動させ、中間金型4がベース金型3から所定距離だけ離間した状態(図3参照)で停止させる構成が採られている。この所定距離とは、中間金型4の外端面4bに露出している前記湯口内鋳造物38、第1の分配内鋳造物39の下方にこの鋳造物が落ちることが可能な広さの空間が形成される距離であって、中間金型4がタイバー7による移動の制限を受けることがない距離である。
このように中間金型4がベース金型3から所定距離だけ離間して停止したときの中間金型4の位置を以下においては単に中間停止位置という。さらに、型締装置は、前記中間停止位置から可動金型6をさらに右側に移動させ、中間金型4から離間させるように構成されている。
第2の入れ子26の外形は、図6に示すように、中間金型4側から見て長方形状に形成されている。この第2の入れ子26は、水平方向に長くなる状態で第2の主型41に取付けられている。上述した第1の入れ子22は、その外形が第2の入れ子26と同じ形状に形成されており、水平方向に長くなる状態で第1の主型21に取付けられている。
いる。
前記位置決め穴37は、第2の主型41における第2の入れ子26の四隅の近傍にそれぞれ穿設されている。
スライド金型42は、キャビティ31毎に設けられており、キャビティ31内に上方から臨む前記スライドコア27と、このスライドコア27を昇降させるシリンダ43とから構成されている。
前記キャビティ31に溶湯を導くためのランナー9は、図6〜図8に示すように形成されている。図7と図8とにおいては、湯口15からキャビティ31に至る範囲の全域で溶湯が凝固してなる一つの鋳造物を途中で切断することなく金型から取出した状態で描いてある。金型1に形成されたランナー9、キャビティ31の形状は、この鋳造物の形状に相当するから、図7と図8においては、この鋳造物に後述するランナー9の各部位の符号を付けるとともに、キャビティの符号31を付けてある。なお、図6は可動金型6の概略構成を示すものであるため、図7と図8に示すキャビティ31、キャビティ側ランナー33、オーバーフロー34およびガス抜き用通路35の形状は、図6に示すものとは異なっている。
ランナー9は、前記湯口15から中間金型4および可動金型6の型締め、型開き方向とは直交する方向(図6、図7においては紙面と平行な方向)に各キャビティ31と対応する位置まで延びる第1の分配部10,10と、この第1の分配部10,10のキャビティ31毎の下流側端部10aとキャビティ31のゲート32とを接続するためのキャビティ31毎の第2の分配部51とから形成されている。この第2の分配部51は、第1の分配部10の下流側端部10aから型締め、型開き方向と平行に延びる前後方向延在部51aと、この前後方向延在部51aの下流端によって構成されたキャビティ側湯口51b(図8参照)からキャビティ31(ゲート32)に延びるキャビティ側ランナー33とから構成されている。
第1の分配部10は、ベース金型3に設けられたランナー用入れ子11(図1参照)に前記凹溝16として形成されている。この実施の形態による第1の分配部10は、図6〜図8に示すように、前記湯口15から上方に延びる一つの(二つのキャビティ31において共有する)上流部52と、この上流部52からキャビティ31毎に分かれた二つの分岐部53,53とから形成されている。これらの分岐部53,53は、図6および図7に示すように、前記上流部52の中心線Cを対称軸として線対称に形成されている。この実施の形態による二つの分岐部53,53は、図6、図7に示すように、型締め、型開き方向から見てw形を呈する形状に形成されている。
第2の分配部51の前後方向延在部51aは、前記スプールブッシュ23のテーパー孔23aによって形成されており、図9に示すように、前記二つの第1の分配部10の下流側端部10a(先端部分)からそれぞれ前記型締め、型開き方向(図9においては左右方向)と平行に延びるように形成されている。また、二つの前後方向延在部51a,51aは、互いに同じ形状に形成されている。前記スタンプカッター25は、前後方向延在部51aにおける第1の分配部10との接続部分を切断するように構成されている。
第2の分配部51のキャビティ側ランナー33は、図1および図6に示すように、第2の入れ子26に凹溝として形成されている。このキャビティ側ランナー33は、図6および図7に示すように、前記型締め、型開き方向とは直交する方向に延びるように形成されており、第2の分配部51の下流端と各キャビティ31の3箇所のゲート32とを接続している。二つのキャビティ側ランナー33,33どうしも互いに同じ形状、すなわちキャビティ31内に流入する溶湯の流動条件が一致する形状に形成されている。
次に、上述したように構成されたダイカスト鋳造用金型1によって鋳造を行う手順を図1〜図5によって説明する。
先ず、図1に示す型開き状態において可動金型6を型締装置によって駆動し、可動金型6を同図において左側に移動させる。このように可動金型6が移動を開始すると、可動金型6は中間金型4に接触する。このとき、型締装置は、このように金型どうしが接触する状態からさらに可動金型6を図1において左側に押し、中間金型4を付勢する圧縮コイルばねの弾発力に抗して可動金型6を中間金型4とともに図1において左側に移動させる。型締装置は、中間金型4がベース金型3に当接した後であって、中間金型4がベース金型3に所定の型締力をもって型締めされ、かつ可動金型6が中間金型4に所定の型締力によって型締めされた状態で可動金型6の駆動を停止する。
このように型締が終了した後、図2に示すように溶湯Mを注入する。溶湯Mが凝固した後、図3に示すように、型締装置によって可動金型6を同図において右側へ移動させる。このように可動金型6を駆動すると、可動金型6と中間金型4とは凝固した溶湯Mによって結合されているために、これら両金型4,6が一体に移動し、中間金型4が圧縮コイルばねの弾発力と型締装置の駆動力とによってベース金型3から離される。この行程において、型締装置は、中間金型4を上述した中間停止位置に停止させる。このように両金型4,6が移動した結果、湯口15内で溶湯Mが凝固してなる湯口内鋳造物38と、ランナー9の第1の分配部10内で溶湯Mが凝固してなる第1の分配部内鋳造物39とがベース金型3から離型することになる。
そして、図4に示すように、スタンプカッター25によって、前記第1の分配部内鋳造物39を切断する。このときに切断する位置は、第2の分配部51(前後方向延在部51a)内で溶湯が凝固することによって成型された第2の分配部内鋳造物40と、第1の分配部内鋳造物39との境界部分である。この境界部分が切断されることによって、第1の分配部内鋳造物39が湯口内鋳造物38と共に中間金型4から切り離される。
しかる後、図5に示すように、型締装置によって可動金型6を同図において右側にさらに移動させる。このとき、中間金型4は、タイバー7により移動が制限された後は、可動金型6と同じ方向へは移動することができなくなる。このため、停止している中間金型4に対して可動金型6が図5において右側に移動させられることになり、中間金型4と可動金型6とが開く。その後、スライドコア27を後退させ、第2の分配部内鋳造物40と、キャビティ31内で溶湯が凝固することによって成型された製品部分と、オーバーフロー34内およびガス抜き用通路35内でそれぞれ溶湯が凝固することによって成型された製品周辺部分などからなる鋳造物54を第2の入れ子26から離型させる。そして、この鋳造物54から製品部分を残してランナー9内、オーバーフロー34内およびガス抜き用通路35内で溶湯Mが凝固してなる不要部分を除去することによって、クランクケースを得ることができる。
上述したように構成されたダイカスト鋳造用金型1によれば、ランナー9の第1の分配部10によってキャビティ31毎に分けられた溶湯の流れる方向を、これらの溶湯がそれぞれ第1の分配部10から第2の分配部51内に流入することによって、一方向(中間金型4および可動金型6の型締め、型開き方向)に揃えることができる。このため、溶湯が第2の分配部51の前後方向延在部51a内からキャビティ側ランナー33内を通ってキャビティ31内に流入するときの溶湯の流動条件を、二つのキャビティ31,31において等しくできる。
したがって、このダイカスト鋳造用金型1によれば、溶湯がランナー9から各キャビティ31内に均等に分配されて流入するから、各キャビティ31に供給される溶湯の充填バランスをとることができる。この結果、この実施の形態によれば、1回の鋳造で二つのクランクケースを品質が高くかつ均一となるように鋳造することができた。
この実施の形態によるランナー9の第2の分配部51は、前後方向延在部51aとキャビティ31との間に型開き方向とは直交する方向に延びるキャビティ側ランナー33を備えている。このため、溶湯が前後方向延在部51aからキャビティ側ランナー33に流入することによって、溶湯の流れる方向が型締め、型開き方向とは直交する方向に変えられ、同一の流動条件で各キャビティ内へ流入する。したがって、この実施の形態によれば、溶湯を複数のキャビティ内へ製品の品質が高くなるような最適な方向に向けてキャビティ31内に注入することができるから、製品の品質をより一層高くすることができる。
また、この実施の形態によれば、鋳造後に中間金型4をベース金型3から離間させることによって、湯口15内で溶湯が凝固してなる湯口内鋳造物38と、ランナー9の第1の分配部10内で溶湯が凝固してなる第1の分配部内鋳造物39とが露出する。これらの鋳造物38は、中間金型4の外端面4bから突出するように形成されるから、容易に除去することができる。
したがって、この実施の形態によれば、前記湯口内鋳造物38と第1の分配部内鋳造物39とを容易に除去することができるから、ランナー9が三次元的に延びてその形状が複雑であるにもかかわらず、不要部分の除去工程を含めて鋳造が容易なダイカスト鋳造用金型を製造することができる。
さらに、この実施の形態によれば、ランナー9におけるキャビティ31毎の分岐部53を、上流部52の中心線Cを対称軸として線対称に形成したから、キャビティ31毎に形成された分岐部53に溶湯を流動条件(溶湯が流れる方向、流速、流量)が一致するように、より一層正確に分配することができる。このため、この実施の形態によれば、1回の鋳造で製造される二つのクランクケースの品質の差をより一層小さくすることができる。
この実施の形態によるランナー9の第2の分配部51は、3方向に分岐するキャビティ側ランナー33に一つの前後方向延在部51aから溶湯を導く構成が採られているが、一つのキャビティ31に対する前後方向延在部51aの数、キャビティ側ランナー33の分岐数は適宜変更することができる。たとえば、一つのキャビティ31に対して二つの前後方向延在部51aを使用し、これらの前後方向延在部51a,51aを別々のキャビティ側ランナー33,33によって一つのキャビティ31に接続する構成を採ることができる。この場合、二つのキャビティ側ランナー33,33は、両方とも下流側が複数に分岐する形状に形成する他に、一方のキャビティ側ランナー33を下流側が複数に分岐する形状に形成し、他方のキャビティ側ランナー33を分岐しない形状に形成することができるし、また、両方とも分岐しない形状に形成することもできる。
(第2の実施の形態)
ランナーは図10および図11に示すように形成することができる。
図10はランナーの他の実施の形態を示す正面図、図11は図10に示すランナーを有する金型の構成を示す断面図である。これらの図において、図1〜図9によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。この実施の形態では、空冷式エンジンのシリンダボディを鋳造する場合を示す。
図10においては、湯口15からキャビティ31に至る範囲の全域で溶湯が凝固してなる一つの鋳造物を途中で切断することなく金型から取出した状態で描いてある。金型1に形成されたランナー9、キャビティ31の形状は、この鋳造物の形状に相当するから、図10においては、この鋳造物に後述するランナー9の各部位の符号を付けるとともに、キャビティの符号31を付けてある。
図10に示す二つのキャビティ31は、エンジンのシリンダボディを鋳造するためのものである。これらのキャビティ31は、図11に示すように、中間金型4と可動金型6との間を4個のスライドコア27によって囲むことによって形成されている。中間金型4は、シリンダボディにおけるシリンダヘッド側の端部を成型し、可動金型6は、シリンダボディのシリンダ孔を成型するためのボアピン61を有し、シリンダボディにおけるクランクケース側の端部を成型する。
4個のスライドコア27は、シリンダボディの周壁部分を成型する。前記ボアピン61は、先端部が紡錘状を呈する円柱状に形成されており、型締状態において前記先端部が中間金型4の前後方向延在部51a内に臨むように可動金型6に取付けられている。このボアピン61と前記前後方向延在部51aとの間にゲート32が形成されている。このゲート32は、シリンダの軸線方向から見て環状に形成されている。
すなわち、図11に示す金型1においては、シリンダボディにおけるシリンダヘッド側の端部に開口したゲート32から溶湯を注入するように形成されている。
図10に示す二つのキャビティ31,31は、ランナー9の上流部52の中心線Cを対称軸として線対称に形成されている。
図10に示すランナー9は、上流部52およびキャビティ31毎に設けた分岐部53からなる第1の分配部10と、この第1の分配部10のキャビティ31毎に設けた下流側端部10aをキャビティ31に接続するための第2の分配部51とから形成されている。この実施の形態による第2の分配部51は、前記下流側端部10aから中間金型4および可動金型6の型締め、型開き方向と平行に延びるキャビティ31毎の前後方向延在部51aのみによって構成されている。これらの前後方向延在部51aの下流端は、図11に示すように、ゲート32を介してキャビティ31に接続されている。すなわち、第1の実施の形態においては、第2の分配部51の前後方向延在部51aからキャビティ側ランナー33を介してゲート32に溶湯を導く構成が採られていたが、この実施の形態においては、前記キャビティ側ランナー33は設けられておらず、前後方向延在部51aの下流端から直接ゲート32に溶湯が流入するように構成されている。
ランナー9をこの実施の形態で示すように形成しても第1の実施の形態を採る場合と同等の効果を奏する。
この実施の形態に示したように二つのキャビティ31,31を前記中心線Cを対称軸として線対称に形成しているのは、キャビティ31の周囲に設けられている4個のスライドコアのうち、最も移動ストロークが短いスライドコア27を他方のキャビティ31と近接する位置に設けるためである。すなわち、二つのキャビティ31,31を並べて設けるに当たって、移動ストロークが短いスライドコア27が隣り合うように構成することによって、キャビティ31,31どうしの間隔が短くなり、金型1の小型化を図ることができるからである。
本発明に係るダイカスト鋳造用金型の型締め前の状態を示す断面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型の鋳造時の状態を示す断面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型の鋳造後に可動金型と共に中間金型をベース金型から離間させた状態を示す断面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型の湯口内鋳造物と第1の分配部内鋳造物とを切断した状態を示す断面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型の中間金型を図4の中間停止位置に残したまま可動金型を中間金型から離間させた状態を示す断面図である。 可動金型のキャビティが形成された入れ子と主型の一例を示す正面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型における溶湯が流れる部分の構成を示す正面図である。 本発明に係るダイカスト鋳造用金型における溶湯が流れる部分の構成を示す斜視図である。 ランナー内とキャビティ内とで溶湯が凝固してなる鋳造物の形状を示す側面図である。 ランナーの他の実施の形態を示す正面図である。 図10に示すランナーを有する金型の構成を示す断面図である。 二つのキャビティが形成された従来のダイカスト鋳造用金型の断面図である。
符号の説明
1…ダイカスト鋳造用金型、3…ベース金型、4…中間金型、4b…外端面、5…固定金型、6…可動金型、9…ランナー、10…第1の分配部、15…湯口、22…第1の入れ子、23…スプールブッシュ、26…第2の入れ子、31…キャビティ、32…ゲート、33…キャビティ側ランナー、51…第2の分配部、51a…キャビティ側ランナー、51b…キャビティ側湯口、52…上流部、53…分岐部。

Claims (5)

  1. 型締め、型開き可能な固定金型と可動金型とからなる1組の金型に同一形状の複数の製品が同時に鋳造されるように形成された複数のキャビティと、
    前記固定金型に設けられ、かつプランジャに接続された湯口から溶湯を前記各キャビティに導くランナーとを有するダイカスト鋳造用金型であって、
    前記ランナーに、前記湯口側から前記金型の型締め、型開き方向とは直交する方向に前記各キャビティと対応する位置まで延びる第1の分配部と、この第1の分配部のキャビティ毎の下流側端部からそれぞれ前記型締め、型開き方向と平行に延びる前後方向延在部を有するキャビティ毎の第2の分配部とを備えさせたことを特徴とするダイカスト鋳造用金型。
  2. 請求項1記載のダイカスト鋳造用金型において、
    前記第2の分配部は、前後方向延在部の下流端によって構成されたキャビティ側湯口から各キャビティに延びるキャビティ側ランナーをさらにキャビティ毎に備え、
    これらのキャビティ側ランナーは、前記キャビティ側湯口から前記型締め、型開き方向とは直交する方向にそれぞれ延設され、
    これらのキャビティ側ランナーどうしは、キャビティ内に流入する溶湯の流動条件が一致する形状に形成されていることを特徴とするダイカスト鋳造用金型。
  3. 請求項1記載のダイカスト鋳造用金型において、
    前記固定金型は、プランジャに接続された湯口を有するベース金型と、このベース金型と前記可動金型との間に位置しかつベース金型に対して前記型締め、型開き方向に移動してベース金型に接離する中間金型とから構成され、
    前記キャビティは、前記中間金型と前記可動金型との間に形成され、
    前記第1の分配部は、前記ベース金型における前記中間金型の端面と対向する部位に形成され、
    前記第2の分配部の前後方向延在部は、前記中間金型にこの中間金型を貫通するように形成されていることを特徴とするダイカスト鋳造用金型。
  4. 請求項2記載のダイカスト鋳造用金型において、
    前記固定金型は、プランジャに接続された湯口を有するベース金型と、このベース金型と前記可動金型との間に位置しかつベース金型に対して前記型締め、型開き方向に移動してベース金型に接離する中間金型とから構成され、
    前記キャビティは、前記中間金型と前記可動金型との間に形成され、
    前記第1の分配部は、前記ベース金型と前記中間金型との間に形成され、
    前記第2の分配部の前後方向延在部は、前記中間金型にこの中間金型を貫通するように形成され、
    前記キャビティ側ランナーは、前記中間金型と可動金型との間に形成されていることを特徴とするダイカスト鋳造用金型。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載のダイカスト鋳造用金型において、ランナーの第1の分配部を、前記プランジャ側に位置する湯口に接続された一つの上流部と、この上流部からキャビティ毎に分かれた複数の分岐部とから構成し、
    これらの分岐部を、前記上流部の中心線を対称軸として線対称に形成したことを特徴とするダイカスト鋳造用金型。
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