[第1の実施の形態]
図2に、本発明の第1の実施の形態に係る携帯型情報処理装置の一例である携帯電話機100の概略の外観図を示す。図2を参照して、この携帯電話機100は、扁平な直方体形状を有する筐体110と、筐体110の上面に配置された全画面液晶タッチパネル116と、筐体110の上面の、全画面液晶タッチパネル116を挟んだ両端に配置されたマイク114及びスピーカ112とを含む。
全画面液晶タッチパネル116は、後述するように、液晶表示装置(LCD)118と、LCD118上に積層された静電容量式タッチパネル122とからなる。
〈構成〉
図3に、図2に示す携帯電話機100のブロック図を示す。図3を参照して、携帯電話機100は、スピーカ112と、マイクロフォン114と、全画面液晶タッチパネル116(LCD118及び静電容量式タッチパネル122)と、アンテナ138と、振動部132と、リンガ134と、携帯電話機100の初期設定値、後述する表示−機能マッピングテーブル及び表示−機能マッピングプログラム、ならびに種々のアプリケーションプログラムを記憶するための不揮発性のメモリ136と、スピーカ112、マイクロフォン114、全画面液晶タッチパネル116、アンテナ138、振動部132、リンガ134及びメモリ136を用い、携帯電話機としての機能と、アプリケーションを起動することにより、それらの出力をLCD118の表示面上に表示したり、静電容量式タッチパネル116からのユーザ入力に対応した機能を、前記した座標−機能マッピングテーブル及びプログラムにより実現したりする機能を実現するための制御回路130とを含む。
制御回路130は、アンテナ138を介して基地局から受信した信号に基づき、別の拠点にある他の携帯電話機などの通信端末からの着信の有無を検出して着信検出信号を出力するための着信信号検出部158と、所定の制御信号に応答して、アンテナ138を介した通信回線のオン/オフを制御するための回線閉結部156と、回線閉結部156及びアンテナ138を介して基地局との間で授受する信号の強さの制御を行なうためのRF(Radio Frequency)処理部154と、基地局との間の安全な信号の授受を行なうために、RF処理部154に与える信号及びRF処理部154を介して受ける信号に所定の信号処理を施すためのベースバンド処理部152と、DA(Digital-Analog)コンバータ及びAD(Analog-Digital)コンバータを有し、マイクロフォン114及びスピーカ112を介した音声の入出力を行なうためのオーディオインタフェース(オーディオI/F)150と、オーディオI/F150、ベースバンド処理部152、RF処理部154、回線閉結部156と、全画面液晶タッチパネル116、振動部132、及びリンガ134を制御することにより、ユーザからの要求に応じて電話の呼を発信したり、着呼を処理したりして、ユーザと他の携帯電話機との間の音声通信を行なったり、文字通信を行なったり、ユーザの入力する文字列に対する処理を行なったり、ユーザにより指定されたアイコン表示に対応する機能を実行したりするための通信制御部160とを含む。
通信制御部160は、実質的にはCPU(中央演算処理装置)とソフトウェアとからなる。ソフトウェアは、本実施の形態ではメモリ136に記憶されていて、適宜通信制御部160に読出され、実行される。本実施の形態では、詳細は説明しないが、メモリ136の内容を書換えることが可能であり、それによって携帯電話機100による種々の機能のアップデート及び追加を行なうことができる。通信制御部160はまた、本実施の形態に係る携帯電話機100における、静電容量式タッチパネル122とLCD118とを用いたGUIを実現するユーザインタフェース(UI)プログラムを実行する。
図4(A)を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100では、入力インタフェースのためのコンテンツに対応して、LCD118上にたとえば6つのアイコン180、182、184、186、188及び190が表示されているものとする。ここでは、たとえばユーザが右手で筐体の右下部分を保持していることを想定する。この場合、静電容量式タッチパネル122は、座標−機能マッピングテーブルにより、図4(B)に示すように、LCD118上に表示された6つのアイコン180、182、184、186、188及び190にそれぞれ対応する6つのセンシング領域210、212、214、216、218及び220に分割される。これらは、図8(B)の2点240及び242のように、各領域の左上隅と右下隅との座標によって定義される。
本実施の形態の特徴として、LCD118上にこの静電容量式タッチパネル122を重ねたとき(図4(C)参照)、たとえばアイコン180とそれに対応する領域210とが正確に重なるわけではなく、領域210のほうがアイコン180が表示されている領域よりもかなり広い領域を占める。これは、ユーザが筐体の右下を保持しているとき、左上が最も指を伸ばしにくい位置であるため、左上に表示されているアイコン180を操作するためのタッチ領域210を、できるだけユーザが片手で操作しやすい位置に近づける(又は大きくする)、という思想に基づくものである。したがって多くの場合、ユーザが携帯電話機100を保持している手の親指を静電容量式タッチパネル122のタッチ面に自然においた位置を中心に、各領域が指を無理せず伸ばして押すことができる部分に少なくともその一部が存在するように、各領域が定義される。
図4(C)を参照して容易にわかるように、アイコン(ボタン)などの表示は、単に機能説明用の表示にすぎず、それに対応するセンシング領域はそれらアイコン等の表示とはあまり関係なく定められる。たとえば図4(C)に示すように、アイコン180に対応するセンシング領域210は、他のアイコン184の全体を含んでおり、さらに他の4つのアイコン182、186、188及び190の一部を含んでいる。また、センシング領域214はアイコン184に対応するものであるが、アイコン184が表示されている領域はセンシング領域214より完全に外に存在している。
このように本実施の形態では、アイコン等の表示は単に機能説明用の表示にすぎず、表示用にこれらアイコンの機能を実現するためのセンシング領域が、アイコンの表示されている位置とはほとんど無関係に、ただし上記したように操作しやすい位置に各領域の一部が存在するように割当てられる。ただし、アイコンの配置されている相対的な位置と、これらアイコンに対応するセンシング領域の相対的な配置とは、互いに一致している。
さらに本実施の形態では、このようなアイコンとセンシング領域との対応関係は、それらアイコンを表示しているコンテンツに応じて切替えられる。たとえば図5(A)を参照して、LCD118上に7つのアイコン250〜262が表示されている場合を考える。ここではたとえば、図5(B)に示されるように、静電容量式タッチパネル122のタッチ面をセンシング領域290〜302の7つの領域に分割する。図5(C)に示されるように、両者を重ねたとき、アイコン250に対応するセンシング領域290は、アイコン250の一部しか含んでいない。逆にアイコン252に対応するセンシング領域292は、アイコン252だけではなく隣接するアイコン250の一部をも含んでいる。またアイコン254に対応するセンシング領域294は、アイコン254だけではなく、右側に隣接するアイコン256を完全に含んでいる。さらに、アイコン256に対応するセンシング領域296は、アイコン256を全く含んでいない。
図5(A)に示す下側の三つのアイコン258、260、262と、それらに対応する三つのセンシング領域298、300及び302についても同様である。
このように、コンテンツに応じ、また、LCD118に表示されるアイコン又はボタンなどの配置に応じ、静電容量式タッチパネル122のタッチ面を複数のセンシング領域に分割し、かつこれらの分割された領域が、その配置される相対的な順序(2次元的な配置順序)はアイコン等の配置順序と一致するものの、それらの境界がアイコン等の表示される位置とは無関係に定められる点、そしてそのセンシング領域の少なくとも一部が、想定されるユーザの手の位置から最も操作しやすい領域と思われる位置に配置されるように定められる点に、この第1の実施の形態の特徴がある。
ただし、このような表示とセンシング領域との対応付けを行なった場合、表示されるアイコン等と、それらに対応するセンシング領域との対応関係を予め記憶しておく必要がある。そのために準備されているのが既に述べたマッピングテーブルである。本実施の形態では、各センシング領域は長方形であるものとし、図4(A)に示されるように、携帯電話機100を縦型に置いた際に、左上部分を原点とし、横方向がx軸、縦方向がy軸となるxy座標で、各矩形領域の左上座標と右下座標とを定義するものとする。図4(B)の例では、センシング領域210は、その左上の角240の座標と、右下の角242の座標との組合せにより表される。
図6は、マッピングテーブル310の例を示す図である。マッピングテーブル310は図3に示すメモリ136に記憶されている。図6を参照して、マッピングテーブル310は、コンテンツごとに、そのコンテンツに対応してLCD118上に表示されるオブジェクト(Obj1〜ObjN)の識別子と、それらに対応するセンシング領域の左上隅の座標及び右下隅の座標の組とからなる。たとえば図6に示すオブジェクトObj1は図4に示すアイコン180に対応しており、それに対応するセンシング領域210は、(0,0)及び(150,300)という二つの座標データにより特定されている。なお図4に示される例では、表示領域及びセンシング領域の全体は左右方向に幅200、上下方向に高さ600を有するものとする。
同様にして、アイコン182(オブジェクトObj2)に対応するセンシング領域212は、(150,0)(200,300)により定義される。他のアイコンに対応するセンシング領域についても同様である。
このようにすることにより、たとえば図4(B),(C)を参照して、星印230で示される位置をユーザが押すと、センシング領域218内が押されたことが検知され、センシング領域218と関連付けられたアイコン188に対応する機能が実行されることになる。
この機能は、前記したように図3のメモリ136に格納されたマッピングプログラムを通信制御部160が実行することにより実現される。図7に、そのマッピングプログラムの制御構造をフローチャート形式で示す。図7を参照して、このプログラムは、LCD118(図3参照)に表示されるコンテンツが変わったか否かを判定し、判定結果に従って制御を二つに分岐させるステップ320と、ステップ320において、LCD118上に表示されているコンテンツが変わったと判定されたことに応答して実行され、新たに表示されることになったコンテンツのコンテンツIDを用いて、そのコンテンツIDに対応するマッピングテーブルを読出し、そのマッピングテーブルから、センシングマップと呼ばれる、ユーザにより押された座標位置と、実行すべき機能との対応マップを生成するステップ322と、ステップ322の後、又はステップ320においてコンテンツが変わらなかったと判定されたことに応答して実行され、静電容量式タッチパネル122から、ユーザが静電容量式タッチパネル122にタッチしていることを示す座標出力があったか否かを判定し、判定結果に従って制御を二つに分岐させるステップ324とを含む。ステップ324において静電容量式タッチパネル122からの出力座標データがないと判定された場合、制御はステップ320に戻る。
このマッピングプログラムはさらに、ステップ324において静電容量式タッチパネル122から出力されている座標データがあると判定されたことに応答して実行され、その座標を取得するステップ326と、ステップ326に続いて実行され、ステップ326において取得された座標に対応するオブジェクトを、ステップ322において生成されたセンシングマップを参照して決定するステップ328と、ステップ328の後に実行され、ステップ328で決定されたオブジェクトの表示を強調表示に、他のオブジェクトの表示を通常表示に、それぞれ変更するステップ330と、ステップ330の後に実行され、静電容量式タッチパネル122から、ユーザがタッチしていることを示す座標データの出力があるか否かを判定し、判定結果に従って制御を二つの分岐させるステップ332とを含む。ステップ332において静電容量式タッチパネル122からの座標出力があると判定された場合には制御はステップ326に戻る。
このマッピングプログラムはさらに、ステップ332において、静電容量式タッチパネル122からの座標出力がないと判定されたことに応答して実行され、ステップ328で決定されたオブジェクトに割当てられた機能を実行するステップ334を含む。ステップ334の処理が終了すると、制御はステップ320に戻る。
なお、ステップ322で生成するセンシングマップは、静電容量式タッチパネル122から出力される座標データから、直ちに対応するオブジェクトを決定することができるようなテーブルである。図6に示すマッピングテーブル310をそのまま用いることも可能である。
〈動作〉
この第1の実施の形態に係る携帯電話機100による、ユーザ操作に対応する機能の実行処理は次のようにして行なわれる。最初に、電源が投入されると図7に示されるマッピングプログラムが起動される。ここでは、最初に初期画面のコンテンツがLCD118に表示されるものとする。
図7を参照して、初期画面が表示されたことに応答して、ステップ320における判定結果はYESとなり、ステップ322の処理が行なわれる。ステップ322では、初期画面のコンテンツに対応するマッピングテーブルがメモリ136から読出され、それに対応するセンシングマップが生成されメモリ136内に保持される。続いてステップ324では、静電容量式タッチパネル122から座標出力があったか否かが判定される。ユーザが静電容量式タッチパネル122に触れていない場合、判定結果はNOとなり、制御はステップ320に戻る。ユーザが静電容量式タッチパネル122に触れるとステップ324における判定結果はYESとなり、制御はステップ326に進む。
ステップ326でその座標が取得され、ステップ328では取得された座標に対応するオブジェクトが、ステップ322で生成されたセンシングマップを参照して決定される。
続いてステップ330では、こうして決定されたオブジェクトの表示が強調表示に変更される。
この間の表示の変化につき、図8を参照して説明する。図8(A)を参照して、全画面液晶タッチパネル116上に、二つのオブジェクト350及び352が表示されているものとする。これらに対応するセンシング領域が、それぞれ領域342及び344で示されるように分割されているものとする。
この状態でユーザがタッチ位置354にタッチしたものとする。すると、ステップ324における判定結果がYESとなり、タッチ位置354の座標がプログラムにより取得され、ステップ328においてオブジェクト350がこのタッチ位置に対応するオブジェクトとして決定される。続いてステップ330の処理の結果、図8(B)に示されるように、オブジェクト350が強調表示されることになる。
再び図7を参照して、ステップ332で静電容量式タッチパネル122からの出力があるか否かが判定され、座標出力があるかぎりステップ326、328及び330の処理が繰返される。
この間の処理による表示の変化の例について再度図8を参照して説明する。図8(C)を参照して、図8(B)に示されるタッチ位置354から、ユーザが全画面液晶タッチパネル116にタッチしたまま右側に移動した場合を考える(いわゆる「ドラッグ」という処理に相当する。)。ステップ326において取得された座標がセンシング領域342内にある間はオブジェクト350が強調表示されるが、図8(C)に示されるように、タッチ位置354がセンシング領域344内に入ると、図7のステップ328において決定されるオブジェクトがオブジェクト350ではなくオブジェクト352となる。その結果ステップ330でオブジェクト352の表示が強調表示に変更される。このとき、これ以外のオブジェクトの表示は通常の表示となる。したがって図8(D)に示されるように、オブジェクト350の表示態様が通常の表示態様に戻り、変わってオブジェクト352の表示が強調表示に変化する。
図8(D)に示される状態でユーザが全画面液晶タッチパネル116から指を離したものとする。この場合、ステップ332における判定結果がNOとなり、ステップ334の処理が実行される。すなわち、図8(E)に示されるように、ユーザがタッチを終了したときに強調表示されていたオブジェクト352に対応する機能が実行されることになる。
以上のように本実施の形態によれば、LCD118上に表示されるアイコン、ボタンなどのオブジェクトは、単に機能説明用の表示にすぎない。静電容量式タッチパネル122は、これらの表示に完全に一致するのではなく、オブジェクト間の配置順序のみ一致するように、かつ各領域に対する操作がしやすいような配置となるように、新たに複数のセンシング領域に分割される。したがって、オブジェクトが表示される位置が触りにくい位置であっても、そこに近い領域をタッチすればそのオブジェクトに対応する機能が選択され実行される可能性が高くなる。しかも、タッチされたセンシング領域に対応するオブジェクトの表示を、強調表示に変更するため、ユーザはどのオブジェクトに対応する領域をタッチしているかを直ちに知ることができる。仮に誤った領域をタッチしている場合、そのままドラッグして正しい領域にタッチ位置を移動させることにより、正しい機能を選択することができる。このとき、選択された機能に対応するオブジェクトが強調表示されるようになるため、ユーザは、確実に、正しい領域に指をドラッグ移動できたと判断できる。
上記したセンシング領域の分割方法は、表示されるコンテンツに応じて予め自由に設定することができる。そのため、上記したように想定される保持位置を中心とし、各オブジェクトが選択しやすいような位置に、対応するセンシング領域が配置されるようにすることによって、携帯型の情報端末を指で保持しながら所望の機能を選択し実行することが容易になる。
なお、上記した実施の形態では、マッピングテーブルによるセンシング領域の定義として、センシング領域の左上隅及び右下隅の2点の座標を保持している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。たとえば、センシング領域の左上隅の座標と、左右及び上下方向の幅とによってセンシング領域を定義してもよい。また、センシング領域の中心の座標位置と、左右方向及び上下方向の幅によってセンシング領域を定義してもよい。さらに、センシング領域は長方形に限定されるわけではない。多角形、円弧状、その他自由な形状のセンシング領域を使用するようにしてもよい。ただし、マッピングテーブルを保持するうえでは、上記実施の形態のように長方形領域を使用するか、又はごく少ないパラメータで形状を定義できる円形、円弧状、などの形状を採用することが、記憶領域の節約になって有利である。この場合、LCD118上に表示されるオブジェクトの配置と概略の関係を保ちながら、操作がしやすくなるようにこれらセンシング領域を配置することが望ましい。ただし、センシング領域を矩形領域とすると、マッピングテーブルをそのまま使用して押圧位置が含まれるセンシング領域を判定でき、好ましい。
[第2の実施の形態]
上記した第1の実施の形態では、表示されるオブジェクトが変更されるたびに、そのオブジェクトに対応するマッピングテーブルを利用してオブジェクトとセンシング領域との対応関係を特定している。しかし、マッピングテーブルの特定のためには、表示されているコンテンツを識別するだけでは情報が不足する場合もあり得る。たとえば、同一のコンテンツであっても、ユーザがどのように筐体を保持しているかによってセンシング領域の分割方法を変更することが望ましい場合があり得る。この第2の実施形態に係る携帯電話機は、センサによって利用者がどのように携帯電話機の筐体を保持しているかを検知し、それによってセンシング領域の分割方法を適応的に変更するというものである。
図9を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機350は、より具体的に言えば、図9(A)に示されるように縦型で使用される場合と、図9(B)で示されるように横型で使用される場合との二つの場合を想定している。
図9(A)を参照して、携帯電話機350の全画面液晶タッチパネル116上に、二つのオブジェクト360及び362が表示されているものとする。図9(A)に示されるように、ユーザが携帯電話機350を右手で保持しながらこのコンテンツに対する操作を行なう場合、全画面液晶タッチパネル116のセンシング領域は、第1のオブジェクト360に対応するセンシング領域356と、第2のオブジェクト362に対応するセンシング領域358とに分割されることが望ましい。このような分割をすることによって、第1のオブジェクト360も、右手の親指をそれほど遠くまで伸ばす必要なく操作することができる。
一方、同じオブジェクトの配置のまま、図9(B)に示されるように、携帯電話機350を両手で横型に保持して操作する場合を考える。この場合には、両手の親指を均等に使うことができるので、全画面液晶タッチパネル116を、中央の境界線370により、二つのほぼ同じ面積のセンシング領域372及び374に分割することが望ましい。
本実施の形態に係る携帯電話機350は、このように利用者がどのように携帯電話機350の筐体を保持しているかによって、センシング領域の割当を適応的に変更する。もちろん、コンテンツが切替えられた場合にこのセンシング領域の割当方法も変更されることは言うまでもない。
上記した目的を達成するために本実施の形態に係る携帯電話機350は、図10に示されるように、スピーカ112を上方向にして縦型に配置したとき、全画面液晶タッチパネル116に対し右側の側面となる部分に配置された、利用者の手による圧力の分布を検出するための右側感圧センサ390Rと、全画面液晶タッチパネル116の左側側面に配置され、利用者の手又は指による圧力の分布を検出するための左側感圧センサ390Lとを含む。図11に示されるように、この二つの感圧センサ390R及びLは、いずれも通信制御部160に接続されている。通信制御部160は、感圧センサ390R及び390Lの出力を得ることにより、携帯電話機350の筐体110の右側面及び左側面における利用者の手及び指による圧力分布を知ることができる。
図12は、図11のメモリ136に記憶されるマッピングテーブル400の一例を示す。このマッピングテーブルは図9に示される例に対応するものである。
図12を参照して、このマッピングテーブルはコンテンツごとに設けられており、あるコンテンツに対応するマッピングテーブルは、縦用のマッピングテーブルと横用のマッピングテーブルとの二つを含む。縦用及び横用のマッピングテーブルはいずれも、この各オブジェクトごとに縦型のセンシング領域を定義する座標データと、横型のセンシング領域の配置を定義する座標データとを含む。たとえば図12に示される例では、第1のオブジェクトObj1に対応するセンシング領域は、縦型配置のときには二つの点(0,0)(150,600)という矩形領域と、点(150,0)(200,250)という矩形領域とを併せた領域(図9におけるセンシング領域356)であるが、横型配置の場合には、(0,0)(300,200)をそれぞれ左上及び右下隅とする矩形領域(図9(B)におけるセンシング領域372)という、二つの割当方法のいずれかに割当てられる。縦型配置を採用するか、横型配置を採用するかは、感圧センサ390R及び390Lの出力する圧力分布を示すデータを用いたパターンマッチングによる判定により決定する。
そのために、図11に示すメモリ136には、縦型配置か横型配置かを判定するための判定用パターンファイルと、この判定用パターンファイルを用いてユーザによる携帯電話機350の持ち方を判定する持ち方判定プログラムと、持ち方判定プログラムにより判定された結果に従って各オブジェクトのセンシング領域を決定するためのマッピングテーブルとを記憶している。パターンマッチングの詳細については後述する。
図13は、本実施の形態においてセンシング領域を決定し、ユーザの操作に基づいて、選択された機能を実行するためのプログラムのフローチャートである。図13を参照してこのプログラムは、表示されているコンテンツの識別子が変化したか、又は筐体方向が変わったか否かを判定し、判定結果に応じて処理を分岐させるためのステップ410と、ステップ410においてコンテンツ又は筐体方向が変わったと判定されたことに応答して実行され、筐体方向が縦配置か横配置かを判別するためのステップ412と、ステップ412の後に実行され、LCD118に表示されているコンテンツID及び筐体方向情報に基づいて、センシング領域を定義するセンシングマップを生成するためのステップ414と、ステップ414の後、又はステップ410においてコンテンツも筐体方向も変化しないと判定されたことに応答して実行され、タッチパネル122から、ユーザによるタッチがあったことを示す座標位置情報の出力があったか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ324とを含む。
ステップ410においてコンテンツが変わったか否かについては、表示中のコンテンツの識別子をチェックすることにより判別することができる。筐体方向が変わったか否かについては、後述する筐体方向を判別するためのプログラムにより行なう。筐体方向を判別するプログラムの詳細については後述する。
ステップ324においてタッチパネル122からの出力座標がないと判定されると制御はステップ410に戻る。
このプログラムはさらに、ステップ324においてタッチパネル122から出力座標があると判定されたことに応答して実行され、タッチパネル122から出力された座標データを取得するステップ326と、ステップ326に続いて実行され、ステップ414で生成されたセンシングマップに基づき、ステップ326で取得された座標データに対応するオブジェクトを決定するステップ328と、ステップ328に続いて実行され、ステップ328において決定されたオブジェクトの表示を強調表示に、その他のオブジェクトの表示を通常表示に、それぞれ変更するステップ330と、ステップ330に続いて実行され、タッチパネル122からの出力座標があるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ332とを含む。ステップ332においてタッチパネル122からの出力座標があると判定された場合、制御はステップ326に戻る。
このプログラムはさらに、ステップ332においてタッチパネル122からの出力座標がないと判定されたこと、すなわちユーザがタッチパネル122から指を離したと判定されたことに応答して実行され、そのときに選択されていたオブジェクトに割当てられている機能を実行するステップ334を含む。ステップ334の後制御はステップ410に戻る。
図14は、図13のステップ412で実行される、筐体方向を判別するためのプログラムの制御構造を示すフローチャートである。図14を参照して、このプログラムは、携帯電話機350が現在入力モードにあるか否かを現在表示中のコンテンツから判定して、判定結果に応じて制御を二つに分岐させるステップ450と、ステップ450において携帯電話機350が入力モードにあると判定されたことに応答して実行され、図11に示す感圧センサ390R及びLの出力データを取得するステップ452と、ステップ452に続いて実行され、ステップ452で得られた感圧センサのデータから手の接触領域に関する特徴量を抽出するステップ454と、ステップ454に続いて実行され、ステップ454で抽出された特徴量と、予め準備された手の接触領域を表すテンプレートとの間のマッチングを行ない、ユーザがどのように携帯電話機350を保持しどのように操作しようとしているかを判定するためのマッチングステップ456とを含む。
本実施の形態では、ステップ456におけるマッチングには、DP(Dynamic Programming)マッチングを採用する。このマッチング処理については図15を参照して後述する。
このプログラムはさらに、ステップ456の後に実行され、ステップ456で判定されたユーザによる筐体の持ち方及び操作方法が、左手持ち片手操作、両手操作、右手持ち片手操作のいずれであるかに応じて、制御を三つに分岐させるためのステップ458と、ステップ458において左手持ち片手操作と判定されたことに応答して実行され、左手持ち片手操作用のマッピングテーブルを読出すステップ460と、ステップ458において両手操作と判定されたことに応答して実行され、両手操作用のマッピングテーブルを読出すステップ462と、ステップ458において右手持ち片手操作と判定されたことに応答して実行され、右手持ち片手操作用のマッピングテーブルを読出すステップ464とを含む。ステップ460、462及び464の後、この処理は終了する。
図15を参照して、図14のステップ454及び456で実行される、手の接触領域からの特徴領域の抽出と、その特徴量を用いたテンプレートとのマッチング処理について説明する。
図15(A)を参照して、携帯電話機350は、基本的には縦型で使用することが想定されている。しかし縦型でも、図15(B)に示されるように左手持ち片手操作が行なわれる場合と、図15(D)に示されるように、右手持ち片手操作が行なわれる場合との二つの場合が想定される。さらに、図15(F)に示されるように、両手持ちで保持される場合も想定される。
左手持ち片手操作の場合、図15(B)に示されるように、携帯電話機350の左側面の一部470と、右側面の一部472とに、それぞれ左手の親指付け根部分及び手のひら、ならびに左手の3本の指がそれぞれ接触することが想定される。その結果、図10及び図11に示される左側感圧センサ390Lの出力としては、図15(C)に示される二つの接触領域480及び482を示す出力が得られる。ここでは、簡単のために、各感圧センサ390R及びLの出力を1次元の情報とする。また右側感圧センサ390Rからは、図15(C)に示されるように三つの接触領域484、486及び488を示す出力が得られる。
一方、図15(D)に示されるように右手持ち片手操作が行なわれる場合、携帯電話機350の右側面の一部領域502には、ユーザの右手の親指及び手のひらの一部が接触し、左側側面の一部領域500には、ユーザの右手の3本が接触することが想定される。その結果、この場合には、右側感圧センサ390Rからは、二つの接触領域516及び518を示す信号が得られ、左側感圧センサ390Lからは、三つの接触領域510、512及び514を示す出力が得られることが想定される。
一方、図15(F)に示されるようにユーザが両手で携帯電話機350を保持する場合、次のような出力が得られる。仮に図15(A)に示される携帯電話機350の左側側面が上部に、右側側面が下部に配置された格好で携帯電話機350が両手で保持された場合を想定する。この場合、携帯電話機350の上部(左側)側面の二つの領域530及び534において、ユーザの左手及び右手の3本ずつの指が筐体350に接触する。また、携帯電話機350の下側(右側)側面の二つの領域532及び536において、ユーザの左手及び右手の手のひらの部分が接触する。したがって左側感圧センサ390Lからは、図15(G)に示されるように、6つの接触領域540、542、544、550、552及び554を示す出力が得られ、右側感圧センサ390Rからは、二つの接触領域546及び556を示す出力が得られる。
図11に示すメモリ136には、さまざまな場合における上記したような感圧センサ390R及び390Lの出力を示すテンプレートが格納されている。これらテンプレートと、実際に感圧センサ390R及びLから得られる出力とをDPプログラミングにより比較することにより、最もDP距離が小さなものが選択され、そのテンプレートによってユーザが右手、左手又は両手のいずれで携帯電話機350を保持しているかが判定できる。またこれと併せて、ユーザが携帯電話機350を縦型に保持しているか、横型に保持しているかも判定できる。
〈動作〉
上記した第2の実施の形態に係る携帯電話機350は、概略第1の実施の形態と同様に動作する。異なるのは、コンテンツの識別子のみによってマッピングテーブルを選択するのではなく、コンテンツの識別子及び筐体方向によって、マッピングテーブルを特定する部分である。
図13を参照して、ステップ410において、感圧センサのデータを取得し、それらのパターンと、メモリ136に格納されているテンプレートとのDPプログラミングにより、利用者が右手、左手又は両手のいずれで携帯電話機350を保持しているか、及び携帯電話機350が縦型で使用されているか横型で使用されているかについての判定が行なわれる。
さらにステップ410では、コンテンツ又は筐体方向が変わったか否かが判定される。いずれについても変更がなければ制御はステップ324に進む。以下の動作は第1の実施の形態と同様である。
コンテンツ識別子又は筐体方向が変わったと判定された場合、ステップ412において、筺体方向が取得される。ここでは、ステップ410での判定結果が利用される。次いでステップ414で、現在LCD118に表示されているコンテンツの識別子と、ステップ412で取得された筐体方向とに基づき、適切なマッピングテーブルが読出される。たとえばコンテンツ識別子が1で筐体方向が縦の場合には、図12に示すマッピングテーブル400の1行目が使用される。コンテンツ識別子が1で筐体方向が横の場合、マッピングテーブル400の2行目が使用される。このマッピングテーブルを使用して、ステップ414においてさらにセンシングマップを生成する。センシングマップの生成が完了するとステップ324に進む。ステップ324以下の動作は第1の実施の形態と同様である。
以上のようにこの第2の実施の形態では、携帯電話機350の両側側面に配置された感圧センサからの、圧力分布を示す出力を用いたDPマッチングにより、ユーザが筐体350を縦型に保持しているか横型に保持しているかについての判定が行なわれる。そしてその判定結果と、表示されているコンテンツのコンテンツ識別子とによって、適切なマッピングテーブルが選択され、そのマッピングテーブルに従ってオブジェクトとセンシング領域との対応付けが行なわれる。その結果、ユーザが携帯電話機350を縦型に保持している場合と、横型に保持している場合とで、それぞれ適切なセンシング領域の割当を行なうことができ、いずれの場合にも操作性を向上させることができる。
なお、上記した実施の形態では、筐体の両側面に配置されたシート状の感圧センサの出力を用い、筐体の保持方向を判定している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。筐体が縦型に保持されているか、横型に保持されているかを知ることができるものであれば、どのような方法であってもよい。たとえばソフトウェア的又はハードウェア的なボタンを設け、そのボタンを操作することにより、携帯電話機350の表示態様を縦型と横型との間でトグルさせることができる。
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態では、感圧センサの出力と、予め準備されたテンプレートとの間のマッチングを行なうことにより、携帯電話機350が、縦型で保持されているか横型で保持されているかについての判定を行なっている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。この第3の実施の形態に係る携帯電話機は、所定の基準座標に対する3次元的な傾きを測定することができるモーションセンサを内蔵し、このモーションセンサの出力を用いて自分の姿勢が縦型であるか横型であるかについての判定を行なう。
〈構成〉
図16に、本発明の第3の実施の形態に係る携帯電話機570のブロック図を示す。この携帯電話機570が図11に示す第2の実施の形態に係る携帯電話機350と異なるのは、図11に示す感圧センサ390R及びLに代えて、上記したモーションセンサ580を含み、モーションセンサ580の出力を用いて携帯電話機570の姿勢を判定するプログラムが通信制御部160により実行される点である。
図17(A)を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機570に採用されたモーションセンサ580は、携帯電話機570の筐体の中央で互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)回りの回転角θX、θY及びθZを測定することができる3軸モーションセンサである。本実施の形態では、X軸が電話機570の筐体の短辺方向と平行であり、Y軸が長辺方向と平行であるものとする。Z軸はこれら二つの軸と直角な方向、すなわち全画面液晶タッチパネル116の表面に対し法線方向である。本実施の形態では、このZ軸回りの角度θZを用いて、携帯電話機570の姿勢を判定する。
なお、X軸は図17(A)における右側方向が正、Y軸は図17における上向き方向が正、Z軸は図17における左下方向に向く方向が正であるものとする。このとき、角度θZをY軸の正方向から時計回りに測った角度が正となるように定める。
本実施の形態では、予め角度θZに対するしきい値αを定めておく。この状態を図17(B)に示す。そしてθZ≧αのときには携帯電話機570が横型に保持されているものと判定し、それ以外の場合には縦型に保持されているものと判定する。なお、ここでは説明を簡単にするために、角度θZが0度以上90度以下の場合についてのみ述べるが、これ以外の場合についても同様に縦横の判定ができることは当業者には明らかであろう。
すなわち、図17(B)に示されるしきい値αを境とし、角度θZがα以下であれば図17(A)に示されるように縦型保持がされているものと判定し、角度θZがαより大きければ図17(C)に示されるように携帯電話機570が横型に保持されているものと判定する。
図18は、図16に示すモーションセンサ580の出力に基づき、携帯電話機570が縦型に保持されているか、横型に保持されているかを判定するために通信制御部160が実行するプログラムのフローチャートである。
図18を参照して、このプログラムは、モーションセンサ580の平面方向(Z軸回り)の回転量θZの値を、モーションセンサ580の出力を読むことにより取得するステップ590と、ステップ590において取得された回転量θZがしきい値αより大きいか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ592と、ステップ592において回転量θZがしきい値αより大きいと判定されたことに応答して実行され、縦状態フラグをオフにするステップ594と、ステップ592において回転量θZがしきい値αより大きくはないと判定されたことに応答して実行され、縦状態フラグをオンにするステップ596とを含む。ステップ594及び596の後、制御はステップ590に戻る。
ステップ594及び596に表れた「縦状態フラグ」は、携帯電話機570が縦型で保持されているか否かを表すためのフラグであって、図16に示すメモリ136内にその領域が確保されている。縦状態フラグがONであれば携帯電話機570は縦型に保持されており、OFFであれば携帯電話機570は横型に保持されている。
この第3の実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に携帯電話機が縦型に保持されているか、横型に保持されているかについて判定し、その判定結果とコンテンツ識別子とによって、適切なマッピングテーブルを特定する。携帯電話機が縦型に保持されているか、横型に保持されているかについて、モーションセンサの出力を用いるか、感圧センサの出力を用いるか、が異なるのみであって、その他の点では第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
第2及び第3の実施の形態では、ユーザが携帯電話機を縦型に保持しているか、横型に保持しているかのみを問題としている。しかし人間による携帯電話機の保持の仕方は、さらに細かく分類することができる。たとえば図19を参照して、携帯電話機610を縦型に保持している場合であっても、図19(A)に示されるように筐体の下側を保持している場合と、図19(B)に示されるように上側を保持している場合の二つの場合が考えられ、さらにこの間の中間の状態も種々考えることができる。このような場合にも既に述べたように操作性を向上させるためには、次のような方策が考えられる。
図19(A)(B)を参照して、携帯電話機610の全画面液晶タッチパネル116に、二つのオブジェクト612及び614が表示されている場合を想定する。オブジェクト612は図における左上に、オブジェクト614は図における右下に表示されているものとする。
図19(A)に示されるように、ユーザが携帯電話機610の筐体の下半分部分を保持している場合には、全画面液晶タッチパネル122の表示面(タッチ面)のうち、右下の5〜6分の1程度の領域634をオブジェクト614のためのセンシング領域に割当て、他の領域をオブジェクト612のためのセンシング領域632とすれば、オブジェクト614に対する操作も、オブジェクト612に対する操作も快適に行なうことができる。したがってこの場合には図19(A)に示されるようなセンシング領域の分割方法が好ましい。
ところが、図9(B)に示されるように、ユーザが携帯電話機610の上半分を保持している場合、図19(A)に示されるようなセンシング領域の分割方法を採用すると、親指で右下のオブジェクト614に対応するセンシング領域(図19(A)におけるセンシング領域634)を採用したのでは、このオブジェクトに対する操作を行ないづらくなるという問題がある。そこで本実施の形態では、こうした場合、ユーザが筐体のどの部分を保持しているかを検知し、その検知結果に応じてセンシング領域の分割方法を適応的に変更する。すなわち、図19(B)に示されるような状態のときには、図19(A)の場合と異なり、第2のオブジェクト614に対するセンシング領域644を、全画面液晶タッチパネル116の右半分のかなり上部まで延ばす。そしてその他の領域をオブジェクト612のためのセンシング領域642とする。
このようなセンシング領域の分割方法を採用することにより、ユーザは、オブジェクト612を容易に操作することはもちろん、オブジェクト614についても容易に操作することができる。オブジェクト614に対応するセンシング領域644が、ユーザの右手620の親付近の領域まで延びているためである。
本実施の形態では上記したように、ユーザが筐体のどの部分を保持しているかを第2の実施の形態で採用したものと同様の感圧センサを用いて検知し、その結果に応じて最適と思われるセンシング領域の分割方法を用いる点に特徴がある。
本実施の形態で用いるハードウェア構成は、第2の実施の形態で用いたものと同様である。したがってここではそれらについての詳しい説明は繰返さない。
図20に、この第4の実施の形態において採用される、コンテンツID=1のコンテンツに対するマッピングテーブル650の概略構成を示す。このマッピングテーブル650は、メモリ136に格納されているものである。
図20を参照して、このマッピングテーブル650は、大きく分けて横用のマッピングテーブル652と、縦型配置のためのマッピングテーブル群654とを含む。縦型配置のためのマッピングテーブル群654は、図19(A)に示す下側の保持位置(これを「保持位置A」と呼ぶ)のためのマッピングテーブル656と、図19(B)に示される上側の保持位置(これを「保持位置B」と呼ぶ)のためのマッピングテーブル658とを含む。
横型配置のためのマッピングテーブル652は、第2の実施の形態で用いたものと同様である。一方、縦型配置のためのマッピングテーブルのうち、保持位置Aのためのマッピングテーブル656では、第2のオブジェクト614のためのセンシング領域634が、左上の座標(150,250)及び右下の座標(200,600)により定義されている。これに対し図19(B)に示される保持位置Bのためのマッピングテーブル658においては、オブジェクト614のためのセンシング領域644は、左上の点(150,100)及び右下の点(200,600)により定義されている。この二つの定義から、センシング領域634は全画面液晶タッチパネル116の縦方向の半分よりやや上のところまでの領域にとどまっているのに対し、図19(B)に示すセンシング領域644が、全画面液晶タッチパネル116の表示面の上端付近まで延びていることがわかる。このような配置とすることにより、図19(A)のときにはオブジェクト614だけではなくオブジェクト612に対する操作を容易に行なうことができ、図19(B)の場合にはオブジェクト612だけではなく、オブジェクト614に対する操作も容易に行なうことができるという効果がある。
図21は、この第3の実施の形態に係る携帯電話機610において、ユーザの操作に応じて適切な処理を実行するためのプログラムのフローチャートである。
図21を参照してこのプログラムは、全画面液晶タッチパネル116に表示されているコンテンツのコンテンツ識別子、携帯電話機610の筐体方向、又はユーザによる携帯電話機610の保持位置に変更があったか否かを判定するステップ660と、ステップ660においてコンテンツ識別子、筐体方向又は保持位置に変更があったと判定されたことに応答して実行され、第2の実施の形態と同様、感圧センサ390R及びLの出力に基づき、筐体方向を判別するステップ412と、ステップ412の後に実行され、同じく感圧センサ390R及びLの出力に基づき、DPマッチングによって、ユーザによる携帯電話機610の保持位置に関する情報を取得するステップ662と、ステップ662の後に実行され、全画面液晶タッチパネル116に表示されているコンテンツのコンテンツ識別子、ステップ412において判別された筐体方向情報、及びステップ662において取得された保持位置情報に応じて、メモリ136に記憶されたマッピングテーブルのうちの適切なものを読出し、タッチパネル122の各座標と対応するオブジェクトとの間の対応関係を示すセンシングマップを生成するステップ664とを含む。
このプログラムはさらに、ステップ664の後、及びステップ660においてコンテンツ、筐体方向及び保持位置のいずれにも変更がなかったと判定されたことに応答して実行され、タッチパネル122から、ユーザがタッチパネル122をタッチしたことを示す座標データの出力があったか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ324とを含む。ステップ324においてタッチパネル122の出力する座標データがないと判定された場合、制御はステップ660に戻り、それ以外の場合には制御はステップ326に進む。ステップ326以降の処理は、第1の実施の形態におけるものと同様である。
本実施の形態に係る携帯電話機610によれば、ユーザが携帯電話機を縦型に保持しているか、横型に保持しているかに関する情報とコンテンツ識別子とによるだけではなく、たとえば縦型保持の場合に、ユーザの保持位置が筐体の上方であるか下方であるかについての判定まで行ない、適切なマッピングテーブルを用いてセンシングマップを生成することができる。その結果、図19(A)及び(B)に示されるように、ユーザの保持位置に応じてセンシング領域を適切に分割することができ、どのような位置を持ってもユーザにとってどのオブジェクトに対する操作も容易に行なうことができるという効果がある。
[第5の実施の形態]
上記した第4の実施の形態では、ユーザによる携帯電話機の保持位置が上側にあるか下側にあるかによって、上下2通りのセンシング領域の使い分けを行なっている。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。実際の利用者の保持位置は、その中間のいずれかに存在することが多い。したがって本実施の形態では、第4の実施の形態での保持位置A及びBの切替に加えて、この中間での保持位置におけるセンシング領域を、保持位置A及びBにおけるセンシング領域の間の内挿によって定めるという方式を用いる。さらに、感圧センサを用いた第2の実施の形態における左右の手持ち情報を用い、ユーザが携帯電話機を右手で保持しているか、左手で保持しているかに応じてセンシング領域の分割方法を切替える。
図22を参照して、この第5の実施の形態に係る携帯電話機700では、全画面液晶タッチパネル116の周囲に、右下の点Aから始まって反時計回りに保持位置A、B、D及びCを予め定める。そして、たとえば保持位置A及びBに対しては、第4の実施の形態において示したものと同様のマッピングテーブルを各コンテンツに対し用意する。そして、それらマッピングテーブルと左右対称の形状となるようなセンシング領域を規定するマッピングテーブルを保持位置C及びDに対しそれぞれ用意する。
以下、説明のために、全画面液晶タッチパネル116の左上にはオブジェクト710が、右下にはオブジェクト712が、それぞれ表示されるものとし、また右側の中央付近の保持位置720においてユーザが携帯電話機700を保持していることが検知されたものとして本実施の形態について説明する。保持位置720におけるY座標を以下yで表す。
図23に、本実施の形態において用いられる、コンテンツ識別子=1に対するマッピングテーブル730の例を示す。
図23を参照して、このマッピングテーブル730は、縦型配置のためのマッピングテーブル群732と、横型配置のためのマッピングテーブル731とを含む。縦型配置のためのマッピングテーブル群732は、保持位置A、B、C及びDのためのマッピングテーブル733、734、735及び736を含む。
図24(A)〜(D)にそれぞれ、図23のマッピングテーブル733、734、735及び736により定義されるセンシング領域の分割状況を示す。
図24(A)を参照して、保持位置Aに対するマッピングテーブルは、タッチパネル122のタッチ面の右下の高さ350ピクセル、幅50ピクセルのセンシング領域751と、オブジェクト710のための、それ以外のセンシング領域750とに分割する。図24(B)を参照して、保持位置Bに対するマッピングテーブル734は、タッチパネル122のタッチ面を、右下の高さ500ピクセル、幅50ピクセルのセンシング領域753と、それ以外のセンシング領域752とに分割する。センシング領域752はオブジェクト710に対応するものである。
図24(C)を参照して、保持位置Cに対応するセンシング領域735は、タッチパネル122のタッチ面を、左上の幅50ピクセル、高さ500ピクセルの矩形からなるセンシング領域754と、それ以外の、オブジェクト712のためのセンシング領域755とに分割する。同様に、図24(D)を参照して、保持位置Dに対応するマッピングテーブル736は、タッチパネル122のタッチ面を、左上の幅50ピクセル、高さ100ピクセルのセンシング領域756と、それ以外のセンシング領域757とに分割する。
本実施の形態ではさらに、実際に検出された保持位置の座標yの値と、ユーザが右手で携帯電話機を保持しているか、左手で携帯電話機を保持しているか、に関する情報とに基づき、これら4つのセンシングマップから、保持位置A及びB、又は保持位置C及びDに対応するものを選び、それらについて保持位置の座標yの値に応じ、動的にセンシング領域の補正を行なう。
この様子を図25に示す。概略的に言えば、ユーザが携帯電話機の右側を片手で保持している場合には、保持位置Aに対応するセンシング領域の分割線750と、保持位置Bに対応するセンシング領域の分割線752との間で、以下に述べるような形で動的にセンシング位置の補正を行なう。
保持位置A、BのY座標をそれぞれAY、BYで表し、ユーザが実際に保持している位置のY座標をyとする。補正後の各センシング領域のY方向の分割線750、752、754及び756の境界を示す値を、それぞれ代表としてYborderとし、そのそれぞれを次の式によって変更する。
Yborder=(y−BY)/(AY−BY)*Yborder+BY
このようにして算出された新しい境界値を用い、保持位置に応じたセンシング領域を決定する。このようにして算出した境界値YborderがBYよりも小さい値の場合には境界値としてBYを使用し、YborderがAYより大きい値のときにはAYを使用する。
ユーザが左側を保持している場合には、次の式に従って動的にセンシング位置の補正を行なう。
Yborder=(y−CY)/(CY−DY)*Yborder+DY
計算された境界値YborderがDYより小さい場合にはDYを適用し、CYより大きい値のときにはCYを使用する。
この第5の実施の形態に係る携帯電話装置を実現するためのハードウェアは、第2の実施の形態に係るものと同様である。ただし、センシング領域の分割をし、ユーザの操作に応じて所望の機能を実行するためのプログラムの制御構造は次のようになる。
図26を参照して、この実施の形態において、ユーザが選択した機能を実行するためのプログラムは、コンテンツ識別子、筐体方向又はユーザによる保持位置が変わったか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ660と、ステップ660においてコンテンツ識別子、筐体方向又は保持位置が変わったと判定されたことに応答して実行され、筐体方向が縦か横かのいずれであるかを判定するステップ412と、ステップ412の後に実行され、感圧センサ390R及び390Lの出力に基づき、ユーザによる保持位置のy座標及び右側保持か左側保持かに関する情報を取得するステップ662と、ステップ662の後に実行され、LCD118に表示されているコンテンツの識別子、ステップ412で判定された筐体方向情報、ならびにステップ662で取得された保持位置のy座標及び保持されている側面に関する情報を用い、メモリ136に保持されているマッピングテーブルから適切なマッピングテーブルを読出し、上に述べた式に従って補正をすることによりセンシングマップを生成するステップ780と、ステップ780の後、及びステップ660においてコンテンツ、筐体方向及び保持位置のいずれにも変更がなかったと判定されたことに応答して実行され、タッチパネル122から、ユーザによるタッチがあったことを示す座標データの出力があるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ324とを含む。ステップ324において、タッチパネル122から座標データの出力がないと判定された場合、制御はステップ660に戻る。ステップ324においてタッチパネル122からの座標データの出力があると判定された場合には、制御はステップ326に進む。ステップ326以降の処理は、第1の実施の形態〜第4の実施の形態におけるものと同様である。
図27は、ステップ662において実行される保持位置情報を取得する処理を実現するプログラムのフローチャートである。図27を参照して、この処理を実現するためのプログラムは、ユーザがこの携帯電話を右側で保持しているか否かについて判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ800と、ステップ800においてユーザが携帯電話を右側で保持していると判定されたことに応答して実行され、Y方向にタッチパネル122のセンシング領域を分割するすべての境界値Yborderについて、
Yborder=(y−BY)/(AY−BY)*Yborder+BY
を用いて新たな境界値Yborderを算出するステップと、ステップ800において、ユーザが携帯電話機を右側で保持しているわけではない(すなわち左側で保持している)と判定されたことに応答して実行され、Y方向にタッチパネル122のセンシング領域を分割するすべての境界値Yborderについて、次の式
Yborder=(y−CY)/(CY−DY)*Yborder+DY
を算出するステップ802と、ステップ802及び804の後に実行され、ステップ802又は804において算出された新たな境界値Yborderを用いて、センシング領域の生成を行なうステップ806とを含む。ステップ806の処理が終了すると制御は図26のステップ780に進む。
本実施の形態では、上記したように、代表的な保持位置A〜Dに対するセンシング領域のためのマッピングテーブルを予め準備しておき、実際の保持位置に基づいて、これらセンシング領域のY軸方向の境界値を補正してセンシング領域の分割を行なう。したがって、予め複数の保持位置に対してマッピングテーブルを準備しておく実施の形態と同様の効果を、少ないマッピングテーブルを用いて実現することができる。
なお、本実施の形態では、タッチパネル122のセンシング領域の境界のうち、このセンシング領域をY軸方向に分割する境界の境界値のみを補正している。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されず、たとえばX軸方向に境界を補正することも可能である。
[第6の実施の形態]
上記した第5の実施の形態では、側面の圧力情報から、利用者が右手で携帯電話機を持っているか、左手で携帯電話機を持っているかを判定し、さらに側面の上部分を持っているか下部分を持っているかについても判定をした。しかし本発明はそのような実施の形態には限定されない。たとえば、第5の実施の形態と同様に、感圧センサから得られた側面の圧力分布に関する情報を用いて、ユーザの操作が容易になるようにセンシング領域を調整することもできる。以下に述べる第6の実施の形態は、そのような携帯電話機に関する。
図28に、本発明の第6の実施の形態に係る携帯電話機820の見かけの動作を模式的に示す。図28を参照して、ここでは右手でこの第6の実施の形態に係る携帯電話機820を保持し、全画面液晶タッチパネル116上に表示されている二つのオブジェクト830及び832のいずれかを操作する場合を考える。
図28(A)では、ユーザが携帯電話機820の右側面を押す圧力が小さく、図28(B)に示す図では圧力がより大きくなっているものとする。本実施の形態では、図28(A)及び(B)に示される例によりわかるように、ユーザが側面を押す圧力が小さいときには、その側面に近い部分に存在するセンシング領域840を横方向(X軸方向)に広げ、圧力が大きい場合にはX軸方向に縮める。こうすることによって、ユーザの手による圧力が大きい場合には、ユーザの手から遠くの部分に存在するセンシング領域842がユーザの親指の方向に近づいてくるため、ユーザはこのオブジェクトをより操作しやすくなるという効果がある。
なお本実施の形態では、予め設定しておいた最小圧力Fminと、同じく予め設定された最大圧力Fmaxを利用し、ユーザの手による圧力値が最小圧力Fmin以上の場合に上記したようにX軸方向の境界線を移動させる。その移動の式は、以下のとおりである。なお、以下の式において、ユーザの手の圧力が最小値Fmin以下の場合のセンシング領域840の左端のX座標をXleft、圧力値が最大値Fmax以上のときのセンシング領域840の左端の境界値をXrightとし、Fmin〜Fmaxの間の各圧力におけるセンシング領域840の左端の境界線のX座標xは、次の式で算出できる。
x=Xleft+(Xright−Xleft)*(F−Fmin)/(Fmax−Fmin)
図29に、一例としてコンテンツID=1に対する、本実施の形態におけるマッピングテーブルの一例であるマッピングテーブル850を示す。図29を参照して、このマッピングテーブル850は、縦型配置のためのマッピングテーブルと、横型配置のためのマッピングテーブルとを含む。本実施の形態では、このうち縦型のマッピングテーブルのみに対して上記したX軸方向の境界線の移動を適用する。
本実施の形態では、X軸方向にタッチパネル122のセンシング領域を分割する境界のX座標は100であり、これはユーザによる手の圧力がFmaxである場合に対応する。本実施の形態では、最小圧力Fminの場合の境界のX座標を200としているため、上記した式で圧力F=0のときにはx=Xleftとなり、圧力F=Fmaxのときに、x=Xright(=200)となる。
図30は、本実施の形態に係る携帯電話機820における、上記したX軸方向の境界線の移動を圧力に応じて行ないながら、ユーザにより選択されたオブジェクトに対応する機能を実行するプログラムのフローチャートである。図30を参照して、このプログラムは、LCD118に表示されているコンテンツ、又は携帯電話機820の筐体の方向、又は携帯電話機820に対するユーザの保持位置が変わったか否かを判定し、判定結果に応じて制御を分岐させるステップ660と、ステップ660においてコンテンツ、筐体方向又は保持位置が変わったと判定されたことに応じて実行され、ユーザによる携帯電話機820の筐体の保持方向を判別するステップ412と、ステップ412の後に実行され、感圧センサ390R及び390Lの出力に基づいて、ユーザによる携帯電話機820の保持位置情報を取得するステップ662と、ステップ412において判別された筐体方向と、ステップ662において取得された保持位置情報とに基づき、感圧センサ390R及び390Lの出力から、ユーザの保持位置における携帯電話機820の側面を押す圧力を検出するステップ860とを含む。
このプログラムはさらに、LCD118に表示されているコンテンツの識別子、ステップ412で判別された筐体方向情報、ステップ662で取得されたユーザによる携帯電話機820の筐体の保持位置情報、及びステップ860で検出された、ユーザによる携帯電話機820の側面に対する圧力の情報に応じて、メモリ136に記憶されたマッピングテーブル850から適切なテーブルを読出し、上記した式に従ってX軸方向の境界線のX座標xを補正し、タッチパネル122のセンシング領域を複数のセンシング領域に分割するセンシングマップを生成するステップ862と、ステップ862の後、及びステップ660においてコンテンツ、筐体方向及び保持位置のいずれにも変更がなかったと判定されたことに応答して実行され、タッチパネル122から、ユーザがタッチパネル122にタッチしていることを示す座標データの出力があるか否かを判定し、判定結果に応じて制御を二つに分岐させるステップ324とを含む。ステップ324においてタッチパネル122からの出力座標データがないと判定された場合には、制御はステップ660に戻る。タッチパネル122から出力座標データがあると判定された場合には、制御はステップ326に進む。ステップ326以降の処理は、第1〜第5の実施の形態と同様である。
以上のように本実施の形態では、ユーザが携帯電話機820の側面をどの程度の力で押しているかに基づき、センシング領域をX軸方向に分割する境界線のX座標を補正する。特に、圧力が大きい場合にはこの境界線がユーザの手が接している側面に近づき、圧力が小さくなると遠ざかる。このようにすることによって、ユーザが保持している部分から遠くに表示されているオブジェクトを操作しようとする場合、そのオブジェクトを操作するためのセンシング領域がユーザの操作しやすい部分まで近づいてくる。したがってユーザは遠くのオブジェクトであっても容易に操作をすることができる。近くのオブジェクトを操作する場合には、ユーザによる手の圧力は小さくなる。その場合そのオブジェクトのためのセンシング領域はユーザの手元で広がることになり、ユーザは手に近い部分のオブジェクトも容易に操作をすることが可能になる。
以上、本発明を複数の実施の形態に基づいて説明した。上記実施の形態では、いずれも携帯電話機を例としているが、この発明は携帯電話機に適用可能なだけではない。たとえば、PDA、小型の画像表示装置、小型のTV受像機など、片手で保持して指で操作するような装置であればどのようなものに対しても適用することができる。また上記実施の形態では、筐体の正面全体にわたり液晶タッチパネルが配置されている。しかし本発明はこのような実施の形態には限定されない。筐体の一面の一部のみに表示装置一体型のタッチパネルが配置されているものでもよい。表示装置としては液晶に限定されず、有機EL、PDPなど、薄型の情報処理装置を実現することができるような表示装置ならどのようなものを採用したものでもよい。
また、上記実施の形態では、ユーザが押圧した箇所が属するセンシング領域と関連付けられたオブジェクトは特定の表示態様で、他のオブジェクトは通常の表示態様で、それぞれ表示することによって、選択されたオブジェクトと押圧位置との対応関係をユーザに分かりやすいようにしている。しかし本発明において、センシング領域とオブジェクトとの対応関係は、このような表示態様で表すものには限定されない。
例えば、ユーザが押した箇所を始点、その箇所が属するセンシング領域と関連付けられたオブジェクトを終点とする線分を表示するようにしてもよい。又は、各コンテンツにおいて表示されるオブジェクトを、それぞれ別個の系統の色で表示し、静電容量式タッチパネルのタッチ面の各センシング領域に対応して、LCDの領域を分割し、各領域の背景を対応するオブジェクトと同系統の薄い色で着色表示してもよい。又は、単にセンシング領域の境界を示す線を明示的にLCDに表示してもよい。この場合、各領域の配置順序とオブジェクトの配置順序とが一致していれば、ユーザは容易に両者の対応関係を理解できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。