JP2008137819A - C/cコンポジット材の製造方法及びc/cコンポジット材 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きく強度を低下させずに、耐酸化性能が高いC/Cコンポジット材を容易に製造可能な、C/Cコンポジット材の製造方法及びC/Cコンポジット材を提供する。
【解決手段】C/Cコンポジット材4の製造方法であって、母体となるC/Cコンポジット母体1の上に、アモルファスカーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、C/Cコンポジット母体1の焼成温度よりも低い温度で焼成する工程と、焼成したC/Cコンポジット母体1に、クロマイジング層3を形成する工程と、を含むC/Cコンポジット材の製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】C/Cコンポジット材4の製造方法であって、母体となるC/Cコンポジット母体1の上に、アモルファスカーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、C/Cコンポジット母体1の焼成温度よりも低い温度で焼成する工程と、焼成したC/Cコンポジット母体1に、クロマイジング層3を形成する工程と、を含むC/Cコンポジット材の製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、C/Cコンポジット材の製造方法及びC/Cコンポジット材に関する。
C/Cコンポジット材(カーボン/カーボン複合材、炭素繊維強化炭素複合材料)は、軽量で比強度、比剛性が高い材料であり、自動車分野、航空宇宙分野等で広く使用されている。ところが、C/Cコンポジット材が高温環境下で使用されると、C/Cコンポジット材が酸化され、減量してしまい、その強度が低下してしまう。
そこで、C/Cコンポジット材をクロマイジング処理することによって、C/Cコンポジット材の表面に、炭化クロム(Cr23C6)を主成分とするクロマイジング層(耐酸化層)を形成する技術がある(特許文献1参照)。また、C/Cコンポジット材の表面に、SiCを主成分とする炭化物層を形成する技術がある(特許文献2参照)。
特開2004−155598号公報
特開平11−60357号公報
しかしながら、特許文献1では、炭化クロム(Cr23C6)を主成分とするクロマイジング層の形成過程において、C/Cコンポジット材の内部にも、硬く脆い炭化クロムが浸入してしまい、これにより、C/Cコンポジット材の強度が大きく低下する場合がある。
また、特許文献2のように、SiCを主成分とする炭化物層を形成する場合、形成後において炭化物層の表面を研磨する必要があり、製造時間及び製造コストがかかっていた。
また、特許文献2のように、SiCを主成分とする炭化物層を形成する場合、形成後において炭化物層の表面を研磨する必要があり、製造時間及び製造コストがかかっていた。
そこで、本発明は、大きく強度を低下させずに、耐酸化性能が高いC/Cコンポジット材を容易に製造可能な、C/Cコンポジット材の製造方法及びC/Cコンポジット材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、C/Cコンポジット材の製造方法であって、母体となるC/Cコンポジット母体の上に、カーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、前記C/Cコンポジット母体の成形温度よりも低い温度で熱処理する工程と、前記熱処理したC/Cコンポジット母体に、耐酸化層を形成する工程と、を含むことを特徴とするC/Cコンポジット材の製造方法である。
このようなC/Cコンポジット材の製造方法によれば、C/Cコンポジット母体の上に、カーボン前駆体を含浸及び/又は塗布することにより、カーボン前駆体がC/Cコンポジット母体に含浸する。そして、このように含浸した状態で熱処理することにより、カーボン前駆体とC/Cコンポジット母体との主成分は共に炭素であるため、熱処理によって形成されるコーティング層とC/Cコンポジット母体とが良好に密着し、一体化する。この際、カーボン前駆体から形成されたコーティング層は、C/Cコンポジット母体よりも低温で焼成(熱処理)されるため、C/Cコンポジット母体よりも靭性に富む層となる。
なお、カーボン前駆体とは、C/Cコンポジット母体の上に、カーボン(炭素)を主成分とするコーティング層を形成するための前駆体(化合物)である。
なお、カーボン前駆体とは、C/Cコンポジット母体の上に、カーボン(炭素)を主成分とするコーティング層を形成するための前駆体(化合物)である。
そして、コーティング層の上に、例えば、クロマイジング処理等によって、炭化クロム(Cr23C6)を主成分とするクロマイジング層(耐酸化層)を形成するので、炭化クロムのC/Cコンポジット母体内の深部への拡散は防止され、クロマイジング層がC/Cコンポジット母体に浸入していないC/Cコンポジット材を得ることができる。すなわち、炭化クロムによるC/Cコンポジット母体の強度低下が防止される。
このようにして、C/Cコンポジット母体の強度を大きく強度を低下させずに、耐酸化性能が高いC/Cコンポジットを得ることができる。加えて、コーティング層及び耐酸化層を研磨する必要がないので、このようなC/Cコンポジット材を、製造時間及び製造コストをかけずに得ることができる。
このようにして、C/Cコンポジット母体の強度を大きく強度を低下させずに、耐酸化性能が高いC/Cコンポジットを得ることができる。加えて、コーティング層及び耐酸化層を研磨する必要がないので、このようなC/Cコンポジット材を、製造時間及び製造コストをかけずに得ることができる。
また、本発明は、C/Cコンポジット材であって、母体となるC/Cコンポジット母体と、前記C/Cコンポジット母体の上に形成されたコーティング層と、前記コーティング層の上に形成された耐酸化層と、を備え、前記耐酸化層が前記C/Cコンポジット母体に浸入していないことを特徴とするC/Cコンポジット材である。
このようなC/Cコンポジット材によれば、耐酸化層がC/Cコンポジット母体に浸入していないので、耐酸化層によってC/Cコンポジット母体の強度は大きく低下していない。すなわち、このようなC/Cコンポジット材は、耐酸化層による大幅な強度低下が防止されつつ、耐酸化層による高い耐酸化性能を有している。
本発明によれば、大きく強度を低下させずに、耐酸化性能が高いC/Cコンポジット材を容易に製造可能な、C/Cコンポジット材の製造方法及びC/Cコンポジット材を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照して説明する。
本実施形態に係るC/Cコンポジット材4(図4、図5参照)の製造方法は、図1に示すように、母体となるC/Cコンポジット母体1にアモルファスカーボンコート処理を施す工程(S101)と、クロマイジング処理を施す工程(S102)と、を含んでいる。
なお、処理対象であるC/Cコンポジット母体1は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)成形体を、所定の焼成(成形)温度(例えば2000〜3000℃)で焼成(熱処理)することで得られたものである。また、図4は製造後のC/Cコンポジット材4のC/Cコンポジット材の断面の光学顕微鏡写真であり、図5はこれを模式的に示すものである。
本実施形態に係るC/Cコンポジット材4(図4、図5参照)の製造方法は、図1に示すように、母体となるC/Cコンポジット母体1にアモルファスカーボンコート処理を施す工程(S101)と、クロマイジング処理を施す工程(S102)と、を含んでいる。
なお、処理対象であるC/Cコンポジット母体1は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)成形体を、所定の焼成(成形)温度(例えば2000〜3000℃)で焼成(熱処理)することで得られたものである。また、図4は製造後のC/Cコンポジット材4のC/Cコンポジット材の断面の光学顕微鏡写真であり、図5はこれを模式的に示すものである。
<アモルファスカーボンコート処理工程>
アモルファスカーボンコート処理工程は、C/Cコンポジット母体1の表面に、アモルファスカーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、C/Cコンポジット母体1の焼成温度よりも低い温度で焼成(熱処理)し、アモルファスカーボンコート層2(コーティング層)を形成する工程である。
具体的には、C/Cコンポジット母体1を、アモルファスカーボン前駆体が希釈した炭素質溶液(含浸液)に、複数回(例えば5回程度)にて含浸し、C/Cコンポジット母体1の表面を、アモルファスカーボン前駆体でコーティングする。
アモルファスカーボンコート処理工程は、C/Cコンポジット母体1の表面に、アモルファスカーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、C/Cコンポジット母体1の焼成温度よりも低い温度で焼成(熱処理)し、アモルファスカーボンコート層2(コーティング層)を形成する工程である。
具体的には、C/Cコンポジット母体1を、アモルファスカーボン前駆体が希釈した炭素質溶液(含浸液)に、複数回(例えば5回程度)にて含浸し、C/Cコンポジット母体1の表面を、アモルファスカーボン前駆体でコーティングする。
アモルファスカーボン前駆体としては、例えば、カルボジイミド樹脂、セルロース、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂、フラン樹脂等)を使用できる。その他、フルフリルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン等も使用できる。
炭素質溶液の希釈液としては、例えば、テトラクロロエチレンを使用することができ、炭素質溶液におけるアモルファスカーボン前駆体の濃度は、15質量%程度に調整される。
炭素質溶液の希釈液としては、例えば、テトラクロロエチレンを使用することができ、炭素質溶液におけるアモルファスカーボン前駆体の濃度は、15質量%程度に調整される。
このように含浸させることにより、図2、図3に示すように、C/Cコンポジット母体1の空隙には、アモルファスカーボン前駆体が含浸(浸透)する。含浸後、炭素質溶液をスプレー等の散布装置にて塗布する。そして、塗布したものを、適宜な乾燥温度(例えば150℃)で一次硬化させる。
なお、本実施形態では、C/Cコンポジット母体1に、アモルファスカーボン前駆体を含浸し、塗布する場合を例示するが、含浸及び塗布の一方のみを行ってもよい。
なお、本実施形態では、C/Cコンポジット母体1に、アモルファスカーボン前駆体を含浸し、塗布する場合を例示するが、含浸及び塗布の一方のみを行ってもよい。
続いて、一次硬化したものを、適宜な炉を使用して、窒素雰囲気下において、前記したC/Cコンポジット母体1の焼成温度(例えば2000〜3000℃)よりも低い焼成温度(例えば1000〜1500℃)で焼成(熱処理)する。
そうすると、図3に示すように、C/Cコンポジット母体1の表面に、非晶質のアモルファスカーボンコート層2が、数μm程度(例えば2μm)の厚みで形成される。ここで、アモルファスカーボンコート層2は、炭素を主成分とするC/Cコンポジット母体1と同じ材質であると共に、前記したように、アモルファスカーボンコート層2を形成する炭素質がC/Cコンポジット母体1内に浸透しているので、C/Cコンポジット母体1とアモルファスカーボンコート層2との密着性は非常に高くなっている。
<クロマイジング処理>
クロマイジング処理工程は、アモルファスカーボンコート層2の上に、クロマイジング層3(耐酸化層)を形成する工程である。
具体的には、特開2004−155598号公報に記載されるように、適宜な密閉容器に金属浸透剤を充填した後、充填した金属浸透剤中に、被処理物であるアモルファスカーボンコート層2が形成されたC/Cコンポジット母体1を埋設する。金属浸透剤には、クロマイジング層3を形成する金属粉末としての金属クロム粉末と、ハロゲン化物(例えばハロゲン化アンモニウム(NH4Cl等)と、焼結防止剤(Al2O3等)とが含まれている。これらの配合量は、例えば、金属クロム粉末が19.5〜80質量%、ハロゲン化物が0.5〜2.0質量%、焼結防止剤が19.5〜80質量%の範囲で、それぞれ設定される。
クロマイジング処理工程は、アモルファスカーボンコート層2の上に、クロマイジング層3(耐酸化層)を形成する工程である。
具体的には、特開2004−155598号公報に記載されるように、適宜な密閉容器に金属浸透剤を充填した後、充填した金属浸透剤中に、被処理物であるアモルファスカーボンコート層2が形成されたC/Cコンポジット母体1を埋設する。金属浸透剤には、クロマイジング層3を形成する金属粉末としての金属クロム粉末と、ハロゲン化物(例えばハロゲン化アンモニウム(NH4Cl等)と、焼結防止剤(Al2O3等)とが含まれている。これらの配合量は、例えば、金属クロム粉末が19.5〜80質量%、ハロゲン化物が0.5〜2.0質量%、焼結防止剤が19.5〜80質量%の範囲で、それぞれ設定される。
その後、密閉容器にアルゴンガスを通流させ、密閉容器内を非酸化性雰囲気に維持しつつ、金属浸透剤を、例えば、900〜1100℃で10〜30時間程度加熱する。
このように金属浸透剤が加熱されると、金属浸透剤が338℃に達したときに、NH4Clが昇華・分解して、アンモニアガスと塩化水素ガスとが生成する。次いで、アンモニアガスと塩化水素ガスとが反応し、塩化クロムガスと水素とが生成し、この塩化クロムガスと水素とが金属浸透剤中に充満する。
このように金属浸透剤が加熱されると、金属浸透剤が338℃に達したときに、NH4Clが昇華・分解して、アンモニアガスと塩化水素ガスとが生成する。次いで、アンモニアガスと塩化水素ガスとが反応し、塩化クロムガスと水素とが生成し、この塩化クロムガスと水素とが金属浸透剤中に充満する。
そして、金属浸透剤が、900℃以上の高温域に達すると、塩化クロムガスが水素ガスで還元され、その結果、アモルファスカーボンコート層2の上に、微細な金属クロム粒子が析出し、クロマイジング層3が数十μm程度の厚みで形成される(図4、図5参照)。
また、この析出した金属クロム粒子は、非晶質であるアモルファスカーボンコート層2内に浸透し、この浸透過程において、アモルファスカーボンコート層2を形成する炭素と反応し、炭化クロム(Cr23C6)を形成する。これにより、アモルファスカーボンコート層2とクロマイジング層3との密着性が高くなる。なお、アモルファスカーボンコート層2は非晶質であるので、金属クロム粒子との反応性は、結晶質のカーボンコート層よりも高くなり、密着性が高くなる。
また、この析出した金属クロム粒子は、非晶質であるアモルファスカーボンコート層2内に浸透し、この浸透過程において、アモルファスカーボンコート層2を形成する炭素と反応し、炭化クロム(Cr23C6)を形成する。これにより、アモルファスカーボンコート層2とクロマイジング層3との密着性が高くなる。なお、アモルファスカーボンコート層2は非晶質であるので、金属クロム粒子との反応性は、結晶質のカーボンコート層よりも高くなり、密着性が高くなる。
このように、クロマイジング層3はアモルファスカーボンコート層2の上に形成されるので、図6に示す従来のように、クロマイジング層3を形成する金属クロムのC/Cコンポジット母体1への拡散は防止され、クロマイジング層3の一部がC/Cコンポジット母体1に浸入、特に奥(深部)にしていない(差し込んでいない)。これにより、C/Cコンポジット母体1の強度は大きく低下せず、その結果として、製造後のC/Cコンポジット材4の強度(引張強度等)の大幅な低下は防止される。
このような製造方法によって得られたC/Cコンポジット材4によれば、主に以下の効果を得ることができる。
(1)C/Cコンポジット母体1内に、クロマイジング層3を形成する金属クロムの一部が浸入していないので、C/Cコンポジット材4の強度は、大きく低下していない。
(2)これと共に、C/Cコンポジット材4はクロマイジング層3を備えているので、高温下で使用されたとしても、酸化され難く、高い耐熱性を備えている。これにより、例えば、C/Cコンポジット材4を筒状に成形した場合、この筒状のC/Cコンポジット材4によって、エンジンから排出された高温の排気ガスが流通する排気管を構成することができる。
(3)また、アモルファスカーボンコート層2、クロマイジング層3を研磨等する必要がないので、C/Cコンポジット材4を手間及びコストをかけずに取得することができる。
(4)アモルファスカーボンコート層2と、C/Cコンポジット母体1及びクロマイジング層3とが、それぞれ良好に密着し、一体化しているので、クロマイジング層3とC/Cコンポジット母体1とは、良好に密着している。これにより、C/Cコンポジット材4の耐久性が高くなっている。
(1)C/Cコンポジット母体1内に、クロマイジング層3を形成する金属クロムの一部が浸入していないので、C/Cコンポジット材4の強度は、大きく低下していない。
(2)これと共に、C/Cコンポジット材4はクロマイジング層3を備えているので、高温下で使用されたとしても、酸化され難く、高い耐熱性を備えている。これにより、例えば、C/Cコンポジット材4を筒状に成形した場合、この筒状のC/Cコンポジット材4によって、エンジンから排出された高温の排気ガスが流通する排気管を構成することができる。
(3)また、アモルファスカーボンコート層2、クロマイジング層3を研磨等する必要がないので、C/Cコンポジット材4を手間及びコストをかけずに取得することができる。
(4)アモルファスカーボンコート層2と、C/Cコンポジット母体1及びクロマイジング層3とが、それぞれ良好に密着し、一体化しているので、クロマイジング層3とC/Cコンポジット母体1とは、良好に密着している。これにより、C/Cコンポジット材4の耐久性が高くなっている。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
例えば、前記した実施形態では、耐酸化層がクロマイジング層3である場合を例示したが、耐酸化層の種類はこれに限定されない。
具体的には、耐酸化層を形成する金属浸透剤に含まれる金属クロム粉末に代えて、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン及びケイ素等の炭化物を形成する金属の粉末を使用することもできる。このような金属を使用する場合、クロマイジング層3に代えて、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化モリブデン(Mo2C)、炭化タングステン(W2C、WC)及び炭化ケイ素(SiC)等を主成分とする耐酸化層が形成される。
また、金属浸透剤に含まれるハロゲン化物としてのNH4Clに代えて、NH4F、NH4Iを使用することもできる。
さらに、金属浸透剤に含まれる焼結防止剤としてのAl2O3に代えて、TiO2を使用することもできる。
具体的には、耐酸化層を形成する金属浸透剤に含まれる金属クロム粉末に代えて、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン及びケイ素等の炭化物を形成する金属の粉末を使用することもできる。このような金属を使用する場合、クロマイジング層3に代えて、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化モリブデン(Mo2C)、炭化タングステン(W2C、WC)及び炭化ケイ素(SiC)等を主成分とする耐酸化層が形成される。
また、金属浸透剤に含まれるハロゲン化物としてのNH4Clに代えて、NH4F、NH4Iを使用することもできる。
さらに、金属浸透剤に含まれる焼結防止剤としてのAl2O3に代えて、TiO2を使用することもできる。
前記した実施形態では、アモルファスカーボン前駆体を含浸、塗布し、アモルファスカーボンコート層2を形成する場合を例示したが、カーボンを主成分とするカーボン前駆体を含浸、塗布し、C/Cコンポジット母体1の上に、結晶質のコーティング層を形成してもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)実施例1、比較例1、比較例2(未処理)
JIS R1644「長繊維強化セラミックス複合材料の弾性率試験方法」及びこの試験方法における「I型試験片」を参考にして、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3が形成されたC/Cコンポジット材4からなる試験片を作製した(実施例1)。
実施例1に対して、アモルファスカーボンコート層2が形成されず、クロマイジング層3のみが形成された試験片を比較例1とした。
アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3を形成する前のC/Cコンポジット母体1からなる試験片を比較例2(未処理)とした。
なお、実施例1、比較例1、比較例2の試験片の大きさは、長さ約100mm×幅約10mm×厚さ約2mmとした。
JIS R1644「長繊維強化セラミックス複合材料の弾性率試験方法」及びこの試験方法における「I型試験片」を参考にして、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3が形成されたC/Cコンポジット材4からなる試験片を作製した(実施例1)。
実施例1に対して、アモルファスカーボンコート層2が形成されず、クロマイジング層3のみが形成された試験片を比較例1とした。
アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3を形成する前のC/Cコンポジット母体1からなる試験片を比較例2(未処理)とした。
なお、実施例1、比較例1、比較例2の試験片の大きさは、長さ約100mm×幅約10mm×厚さ約2mmとした。
(2)試験
(2−1)引張強度
実施例1、比較例1、比較例2について、JIS R1644を参考にして、引張強度を測定した。測定結果を表1、図7に示す。
なお、試験(引張)速度は、1mm/minとした。また、引張強度の算出における試験片の断面積は、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3を除いた、C/Cコンポジット母体1に相当する部分の断面積とした。
(2−1)引張強度
実施例1、比較例1、比較例2について、JIS R1644を参考にして、引張強度を測定した。測定結果を表1、図7に示す。
なお、試験(引張)速度は、1mm/minとした。また、引張強度の算出における試験片の断面積は、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3を除いた、C/Cコンポジット母体1に相当する部分の断面積とした。
(2−2)密着強度
実施例1、比較例1について、JIS H8402「溶射被膜の引張密着強さ試験方法」を参考にして、C/Cコンポジット母体1とクロマイジング層3との密着強度(破壊時の荷重)を測定した。測定結果を表1、図8に示す。
実施例1、比較例1について、JIS H8402「溶射被膜の引張密着強さ試験方法」を参考にして、C/Cコンポジット母体1とクロマイジング層3との密着強度(破壊時の荷重)を測定した。測定結果を表1、図8に示す。
(2−3)酸化減量
実施例1、比較例1、比較例2について、大気雰囲気下において、900℃にて3時間加熱し、加熱前後における試験片の質量から、酸化減量(%)をそれぞれ測定した。測定結果を表1、図9に示す。
なお、酸化減量(%)とは酸化によって大気中に逸散した炭素分の質量割合であり、酸化減量が小さいほど耐熱性が高いことを示す。
実施例1、比較例1、比較例2について、大気雰囲気下において、900℃にて3時間加熱し、加熱前後における試験片の質量から、酸化減量(%)をそれぞれ測定した。測定結果を表1、図9に示す。
なお、酸化減量(%)とは酸化によって大気中に逸散した炭素分の質量割合であり、酸化減量が小さいほど耐熱性が高いことを示す。
(3)考察
表1、図7に示されるように、アモルファスカーボンコート層2を形成した後にクロマイジング層3を形成した実施例1の引張強度は、アモルファスカーボンコート層2を形成せずにクロマイジング層3を形成した比較例1の引張強度よりも、高いことが確認された。
また、比較例2(未処理、C/Cコンポジット母体1)の引張強度に対して、実施例1及び比較例1の引張強度が低くなっているものの、その低下の程度は、実施例1は比較例1よりも小さいことが確認された。これは、アモルファスカーボンコート層2を形成した後、クロマイジング層3を形成したことにより、アモルファスカーボンコート層2により、クロマイジング処理において、C/Cコンポジット母体1内へ金属クロムの浸入(差し込み)が防止され、C/Cコンポジット材4の大幅な強度低下が防止されたためである。
表1、図7に示されるように、アモルファスカーボンコート層2を形成した後にクロマイジング層3を形成した実施例1の引張強度は、アモルファスカーボンコート層2を形成せずにクロマイジング層3を形成した比較例1の引張強度よりも、高いことが確認された。
また、比較例2(未処理、C/Cコンポジット母体1)の引張強度に対して、実施例1及び比較例1の引張強度が低くなっているものの、その低下の程度は、実施例1は比較例1よりも小さいことが確認された。これは、アモルファスカーボンコート層2を形成した後、クロマイジング層3を形成したことにより、アモルファスカーボンコート層2により、クロマイジング処理において、C/Cコンポジット母体1内へ金属クロムの浸入(差し込み)が防止され、C/Cコンポジット材4の大幅な強度低下が防止されたためである。
また、表1、図8に示されるように、実施例1の密着強度は、比較例1の密着強度よりも高いことが確認された。これは、アモルファスカーボンコート層2とC/Cコンポジット母体1、アモルファスカーボンコート層2とクロマイジング層3、がそれぞれ良好に密着したため、クロマイジング層3とC/Cコンポジット母体1との密着強度が高くなったと思われる。
そして、実施例1の破壊面を観察したところ、アモルファスカーボンコート層2及びC/Cコンポジット母体1の界面と、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3の界面との両界面において略均等に破壊していた。これにより、両界面において良好に密着していたと考えられる。
そして、実施例1の破壊面を観察したところ、アモルファスカーボンコート層2及びC/Cコンポジット母体1の界面と、アモルファスカーボンコート層2及びクロマイジング層3の界面との両界面において略均等に破壊していた。これにより、両界面において良好に密着していたと考えられる。
さらに、表1、図9に示されるように、クロマイジング層3を備えない比較例2(未処理)は、加熱後に完全消失(酸化減量(%)=100)したことに対し、クロマイジング層3が形成された実施例1、比較例1は、酸化減量が著しく小さくなることが確認された。これにより、実施例1、比較例1は、高い耐酸化性を備えることが確認された。
1 C/Cコンポジット母体
2 アモルファスカーボンコート層(コーティング層)
3 クロマイジング層(耐酸化層)
4 C/Cコンポジット材
2 アモルファスカーボンコート層(コーティング層)
3 クロマイジング層(耐酸化層)
4 C/Cコンポジット材
Claims (2)
- C/Cコンポジット材の製造方法であって、
母体となるC/Cコンポジット母体の上に、カーボン前駆体を含浸及び/又は塗布した後、前記C/Cコンポジット母体の成形温度よりも低い温度で熱処理する工程と、
前記熱処理したC/Cコンポジット母体に、耐酸化層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするC/Cコンポジット材の製造方法。 - C/Cコンポジット材であって、
母体となるC/Cコンポジット母体と、
前記C/Cコンポジット母体の上に形成されたコーティング層と、
前記コーティング層の上に形成された耐酸化層と、
を備え、
前記耐酸化層が前記C/Cコンポジット母体に浸入していないことを特徴とするC/Cコンポジット材。
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JP2006322937A JP2008137819A (ja) | 2006-11-30 | 2006-11-30 | C/cコンポジット材の製造方法及びc/cコンポジット材 |
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