JP2008120867A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐傷付き性と応力白化性、耐衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供する。
【解決手段】プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)と、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、分子量分布が1〜4であり、極限粘度が0.5〜10dl/gであり、融解熱量が30J/g以下であり、エチレン含量が60モル%以下のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)と、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体(C)とを含有し、230℃、2.16kg荷重でのメルトインデックスが0.5〜40g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。更に詳しくは、耐傷付き性と耐応力白化性と耐衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
従来から、ポリプロピレン系樹脂は、成形体の外観に優れ、高剛性であることから、自動車用材料などに用いられている。
たとえば、特開平11−293058号公報には、剛性、耐衝撃性および成形外観に優れた熱可塑性樹脂組成物として、ポリプロピレン系樹脂と、エチレン、プロピレン、およびα−オレフィンから選ばれた2種以上のオレフィンであって、それらの炭素数の合計が6以上でオレフィンを共重合して得られたオレフィン系共重合体と、無機充填材からなる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
また、特開2001−192509号公報には、柔軟性と耐熱性を改良する手段として、引張り切断時の強さが2MPa未満である非晶性オレフィン系重合体および、結晶性オレフィン系樹脂からなるショアA硬度が85以下であるオレフィン系樹脂組成物が記載されている。
特開平11−293058号公報 特開2001−192509号公報
しかしながら、上記の公報に記載のポリプロピレン系樹脂組成物においても、耐傷付き性と耐応力白化性、耐衝撃性については、さらなる改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、耐傷付き性と応力白化性、耐衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することにある。
本発明者は、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一は、
プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜90重量%と、
下記のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)5〜20重量%と、
下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(C)5〜40重量%とを含有し、
230℃、2.16kg荷重でのメルトインデックスが0.5〜40g/10分
であるポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量%とする)に係るものである。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、分子量分布が1〜4であり、極限粘度が0.5〜10dl/gであり、融解熱量が30J/g以下であり、エチレン含量が60モル%以下のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体である。
また、本発明の一は、
プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜90重量%と、
下記のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)5〜20重量%と、
下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(C)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量%とする)と、
無機フィラー(D)とを含有する無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、無機フィラー(D)が0.1〜60重量部であり、
230℃、2.16kg荷重でのメルトインデックスが0.5〜40g/10分である
無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、分子量分布が1〜4であり、極限粘度が0.5〜10dl/gであり、融解熱量が30J/g以下であり、エチレン含量は60モル%以下のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体である。
また、本発明の一は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物または、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体に係るものである。
また、本発明の一は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物または、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体に係るものである。
本発明によれば、耐傷付き性と耐応力白化性、および耐衝撃性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物、無機フィラー含有ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる成形体を得ることができる。
本発明では、プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)が用いられる。
プロピレン−エチレン共重合体(A−2)としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A−2−1)または、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)が挙げられる。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン重合体(A)として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度の観点から、プロピレン単独重合体または、プロピレン−エチレンブロック共重合体である。
プロピレン単独重合体(A−1)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定されるプロピレン重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて決定される)。具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。この方法によって測定された英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率は、0.944であった。
上記プロピレン単独重合体(A−1)の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]P)、ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]P)、ランダム共重合体(A−2−1)の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η])は、通常、0.7〜5dl/gであり、好ましくは0.8〜4dl/gである。
また、プロピレン単独重合体(A−1)、ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分、ランダム共重合体(A−2−1)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、好ましくは3以上7以下である。
上記ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分に含有されるエチレン含有量は20〜65重量%、好ましくは25〜50重量%である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の全量を100重量%とする)。
上記ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]EP)は、通常、1.5〜12dl/gであり、好ましくは2〜8dl/gである。
上記ブロック共重合体(A−2−2)を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
上記プロピレン単独重合体(A−1)のメルトインデックス(MI)は、通常、0.1〜400g/10分であり、好ましくは1〜300g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
上記プロピレン−エチレン共重合体(A−2)のメルトインデックス(MI)は、通常、0.1〜200g/10分であり、好ましくは1〜150g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
上記プロピレン重合体(A)の製造方法としては、例えば、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。
上記プロピレン重合体(A)の製造方法で用いられる公知の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(2)有機アルミニウム化合物と(3)電子供与体成分からなる触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報や特開平10−212319号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
上記の製造方法で用いられる公知の重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでも良く、また、これらの重合方法を任意に組み合わせても良い。
上記のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)の製造方法として、好ましくは、前記の固体触媒成分(1)と、有機アルミニウム化合物(2)と電子供与体成分(3)からなる触媒系の存在下に少なくとも2槽からなる重合槽を直列に配置し、上記プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体成分を製造した後、製造された前記成分を次の重合槽に移し、その重合槽でプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を連続して製造して、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体を製造する方法である。
上記の製造方法で用いられる固体触媒成分(1)、有機アルミニウム化合物(2)および電子供与体成分(3)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、適宜、決めれば良い。
重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いても良い。
上記プロピレン重合体(A)の製造において、本重合を実施する前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(1)および有機アルミニウム化合物(2)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
本発明で用いられるプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられる。
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状のα−オレフィン、分岐状のα−オレフィンが挙げられ、直鎖状のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等が挙げられる。分岐状のα−オレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
共重合体(B)に含有されるプロピレン含量は、5〜99mol%、好ましくは、25〜99mol%、さらに好ましくは、35〜99mol%であり、
エチレン含量は、0〜60mol%、好ましくは、0〜55mol%であり、
α−オレフィン含量は、1〜35mol%、好ましくは1〜20mol%であり、さらに好ましくは1〜10mol%である。(ただし、プロピレン含量、エチレン含量、α−オレフィン含量の合計を100mol%とする。)
共重合体(B)は下記式の関係を満足することが好ましい。
0.1<[y/(x+y)]≦1.0
より好ましくは、0.5<[y/(x+y)]≦1.0であり
さらに好ましくは、0.8<[y/(x+y)]≦1.0である。
上記式において、xは(B)中のエチレンのモル含量を表し、yは(B)中の炭素数4〜20のα−オレフィンのモル含量の合計を表す。
共重合体(B)の製造方法としては、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等によって、所定のモノマーを、メタロセン系触媒を用いて重合する方法が挙げられる。
メタロセン系触媒としては、例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載されているメタロセン系触媒が挙げられる。
メタロセン系触媒を用いる共重合体(B)の製造方法として、好ましくは、欧州特許出願公開第1211287号明細書に記載されている方法が挙げられる。
共重合体(B)の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度[η]は、0.5〜10dl/gであり、より好ましくは0.9〜5dl/gであり、さらに好ましくは1.2〜3dl/gである。
共重合体(B)の分子量分布は、1〜4である。なお、該分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)であり、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンを分子量標準物質として測定される。
共重合体(B)の融解熱量は、30J/g以下であり、このましくは、20J/g以下であり、さらに好ましくは、10J/g以下である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、これらの混合物が挙げられる。
共重合体(C)の密度は、0.850〜0.890g/cm3、好ましくは0.850〜0.880g/cm3であり、より好ましくは0.855〜0.875g/cm3である。
共重合体(C)に含有されるエチレン含量は、20〜95重量%であり、好ましくは、30〜90重量%であり、α−オレフィン含量は、80〜5重量%であり、好ましくは70〜10重量%である。
共重合体(C)のMI(測定温度は190℃、荷重は2.16kg)は、0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分である。
共重合体(C)に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。α−オレフィンとして、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンである。
共重合体(C)の製造方法としては、共重合体(B)の製造に用いられる方法と同様の製造方法が挙げられる。共重合体(C)の製造に用いられる触媒としては、共重合体(B)の製造に用いられる触媒と同様のメタロセン触媒が挙げられる。
無機充填剤(D)としては、例えば、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、ベントナイト、スメクタイト、マイカ、セピオライト、ワラストナイト、アロフェン、イモゴライト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート硫酸バリウム、ガラスフレーク等が挙げられるが、好ましくはタルクである。
無機充填剤(D)の平均粒子径としては、通常、0.01〜50μmであり、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは0.1〜5μmである。ここで無機充填剤(D)の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
無機充填剤(D)は、無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂組成物との界面接着強度を向上させるために、またはポリプロピレン系樹脂組成物中での無機充填剤の分散性を向上させるために、公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で無機充填剤の表面を処理して使用しても良い。
プロピレン重合体(A)の含有量としては、40〜90重量%、好ましくは、45〜80重量%、さらに好ましくは50〜75重量%である。 プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の含有量としては、5〜20重量%、好ましくは、6〜15重量%、さらに好ましくは8〜12重量%である。エチレン−α−オレフィンランダム共重合(C)の含有量としては、5〜40重量%、好ましくは、5〜30重量%である。
但し、(A)と(B)と(C)の合計量を100重量%とする。
無機充填剤(D)の含有量としては、(A)と(B)と(C)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜60重量部であり、好ましくは、剛性を向上させるという観点から、1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、および無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物のMI(測定温度は230℃、荷重は2.16kg)は、0.5〜40g/10分であり、好ましくは1〜40g/10分、より好ましくは5〜40g/10分である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、および無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、各成分を混練する方法が挙げられ、混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混練は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、および無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤を含有させても良く、例えば、中和剤、酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、分散剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、造核剤、難燃剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、着色剤、顔料等が挙げられる。
本発明の成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物または、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体であり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、または、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物を成形する方法としては、射出成形法、押出成形法、回転成形法、真空成形法、発泡成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形体の用途としては、例えば、自動車内装部品または外装部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品等が挙げられる。
自動車内装部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、トリム、ドアーパネル、サイドプロテクター、コンソールボックス、コラムカバー等が挙げられ、自動車外装部品としては、例えば、バンパー、フェンダー、ホイールカバー等が挙げられ、二輪車部品としては、例えば、カウリング、マフラーカバー等が挙げられる。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
実施例または比較例では、以下に示した樹脂および添加剤を用いた。
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)
特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MI(230℃、2.16kg荷重):30g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度[η]T:1.52dl/g
プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]P:1.05dl/g
エチレン単位含有量:7.2重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の共重合体全体に対する重量比率:16重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP:4.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン単位含量:45重量%
(2)プロピレン単独重合体(A−2)
特開平7−216017記載の固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MI:300g/10分
(3)プロピレン−エチレン共重合体(A−3)
特開2005−146160号の実施例に記載のプロピレン重合体(HMS−3)の製造方法に従って、製造した。第2槽目までに生成した重合体がプロピレン―エチレンランダム共重合体成分に相当し、その極限粘度[η]は7.8dl/g、エチレン含量は2.8重量%であり、第1槽目+第2槽目の重合量と第3槽目の重合量の比は72:28で有り、第3槽目で重合されたプロピレン重合体の極限粘度が0.9dl/gである重合体(A−3)を得た。
(4)プロピレン単独重合体(A−4)
住友化学(株)製 商品名:FS2011DG3
(5)プロピレン−エチレン共重合体(A−5)
住友化学(株)製 商品名:S131
(6)プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(B)
(6−1)遷移金属錯体(ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド)(重合触媒成分)の製造
(1)1−ブロモ−3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノールの製造
撹拌機を備えた500ml4つ口フラスコ中で、窒素雰囲気下、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール20.1g(123mmol)をトルエン150mlに溶かし、続いてtert−ブチルアミン25.9ml(18.0g、246mmol)を加えた。この溶液を−70℃に冷却し、そこへ臭素10.5ml(32.6g、204mmol)を加えた。この溶液を−70℃に保ち、2時間撹拌した。その後、室温まで昇温し、1回につき、10%希塩酸100mlを加えて、3回洗浄した。洗浄後得られる有機層を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、エバポレーターを使用して溶媒を除去した後、シリカゲルカラムを用いて精製し、無色のオイルである1−ブロモ−3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノール 18.4g(75.7mmol)を得た。収率は、62%であった。
(6−2)1−ブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルベンゼンの製造
撹拌機を備えた100ml4つ口フラスコ中で、窒素雰囲気下、上記(6−1)で合成した1−ブロモ−3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノール13.9g(57.2mmol)をアセトニトリル40mlに溶かし、続いて水酸化カリウム3.8g(67.9mmol)を加えた。更に、ヨウ化メチル17.8ml(40.6g、286mmol)を加え、12時間撹拌を続けた。その後、エバポレーターで溶媒を除去し、残さにヘキサン40mlを加え、ヘキサン可溶分を抽出した。抽出は3回繰り返した。抽出分から溶媒を除去し、淡黄色のオイルである1−ブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルベンゼン 13.8g(53.7mmol)を得た。収率は、94%であった。
(6−3)(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)クロロジメチルシランの製造
テトラヒドロフラン(31.5ml)、ヘキサン(139ml)及び上記(2−2)で合成した1−ブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルベンゼン(45g)からなる溶液に、−40℃で、n−ブチルリチウムの1.6モル/リットルのヘキサン溶液(115ml)を20分かけて滴下した。得られた混合物を−40℃にて1時間保温した後、該混合物にテトラヒドロフラン(31.5ml)を滴下し、混合物を得た。
ジクロロジメチルシラン(131g)及びヘキサン(306ml)からなる溶液中に、−40℃で、上で得た混合物を滴下した。得られた混合物を室温まで2時間かけて昇温し、更に室温にて12時間撹拌した。
反応混合物から減圧下にて溶媒及び余剰のジクロロジメチルシランを留去し、残さからヘキサンを用いてヘキサン可溶分を抽出し、得られたヘキサン溶液から溶媒を留去して、淡黄色オイル状の(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)クロロジメチルシラン 41.9gを得た。収率は、84%であった。
(6−4)(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランの製造
上記(6−3)で合成した(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)クロロジメチルシラン(5.24g)及びテトラヒドロフラン(50ml)からなる溶液中に、−35℃にて、テトラメチルシクロペンタジエニル リチウム(2.73g)を添加し、2時間かけて室温まで昇温し、更に室温にて10時間撹拌した。
得られた反応混合物から減圧下に溶媒を留去し、残さから、ヘキサンを用いてヘキサン可溶分を抽出し、得られたヘキサン溶液から減圧下に溶媒を留去して、黄色オイル状の(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン 6.69gを得た。収率は、97%であった。
(6−5)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドの製造
上記(6−4)で合成した(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン(10.04g)とトルエン(100ml)とトリエチルアミン(6.30g)とからなる溶液に、−70℃で、n−ブチルリチウムの1.63モル/リットルのヘキサン溶液(19.0ml)を滴下し、その後、2時間かけて室温まで昇温し、更に室温で12時間保温し、混合物を得た。
窒素雰囲気下に0℃で、四塩化チタニウム(4.82g)のトルエン溶液(50ml)に、上で得られた混合物を滴下し、その後、1時間かけて室温まで昇温した後、10時間加熱還流した。
反応混合物を濾過し、濾液から溶媒を留去し、残さをトルエン−ヘキサン混合溶媒から再結晶して、橙色柱状結晶のジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(下式)3.46gを得た。収率は、27%であった。
Figure 2008120867
該化合物のスペクトルデータは次のとおりであった。
1H−NMR(CDCl3) δ 0.57(s,6H)、1.41(s,9H)、2.15(s,6H)、2.34(s,6H)、2.38(s,3H)、7.15(s,1H)、7.18(s,1H)
13C−NMR(CDCl3) δ 1.25、14.48、16.28、22.47、31.25、36.29、120.23、130.62、131.47、133.86、135.50、137.37、140.82、142.28、167.74
マススペクトル(CI、m/e)458
(6−6)プロピレン−1−ブテン共重合体(B−1)の製造
冷却水を循環させるためのジャケットを外部に取り付けた、攪拌機付の100L−SUS製重合器の下部から、重合溶媒としてヘキサンを100L/時間の速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の速度で、重合触媒成分として上記1項で合成されたジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の速度で、分子量調節剤としての水素を、それぞれ連続的に供給し、45℃で連続的に共重合させた。
重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に、少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマー及び水洗浄し、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体(B−1)を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は7.10Kg/時間であった。得られた共重合体(B−1)の構造を表1に示した。
(6−7)プロピレン−エチレン−1−ブテン重合体(B−2)および(B−3)の製造
(B−1)の製造に用いた触媒と同じ触媒を用い、重合時のエチレン供給量、プロピレン供給量、1−ブテン供給量、水素量等を調節し、下記表1の構造の重合体(B−2)、重合体(B−3)を得た。
Figure 2008120867
(7)マスターバッチ(B’)
(7−1)プロピレン−1−ブテン重合体マスターバッチ(B’−1)
上記で得られたプロピレン−1−ブテン重合体(B−1)70重量%とプロピレン単独重合体(A−4)30重量%とからなるプロピレン−1−ブテン重合体マスターバッチ。
(7−2)プロピレン−エチレン−1−ブテン重合体マスターバッチ(B’−2)
上記で得られたプロピレン−エチレン−1−ブテン重合体(B−2)85重量%とプロピレン−エチレン共重合体(A−5)15重量%とからなるプロピレン−エチレン−1−ブテン重合体マスターバッチ。
(7−3)プロピレン−エチレン−1−ブテン重合体マスターバッチ(B’−3)
上記で得られたプロピレン−エチレン−1−ブテン重合体(B−3)55重量%とプロピレン単独重合体(A−4)45重量%とからなるプロピレン−エチレン−1−ブテン重合体マスターバッチ。
(8)エラストマー(C)
(C−1) エチレン−オクテン共重合体ゴム
商品名: エンゲージ 8200(ダウ ケミカル社製)
密 度: 0.87(g/cm3
MI(190℃、2.16kg荷重): 5(g/10分)
(C−2) エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名: タフマー A0250S(三井化学(株)製)
密 度: 0.86(g/cm3
MI(190℃、2.16kg荷重): 0.2(g/10分)
(C−3) エチレン−オクテン共重合体ゴム
商品名: エンゲージ 8842(ダウ ケミカル社製)
密 度: 0.857(g/cm3
MI(190℃、2.16kg荷重): 1(g/10分)
(C−4) エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名: GA801(住友化学社製)
密 度: 0.920(g/cm3
MI(190℃、2.16kg荷重): 20(g/10分)
(9)無機充填剤(D)
タルク(林化成(株)製)
商品名:MWHST(平均粒径:2.7μm)
[実施例1〜4、比較例1〜2]
無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物は次の方法に従って製造した。
表2に示した含有成分になるように、各成分の所定量を計量し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量30kg/hr、スクリュー回転数300rpm、ベント吸引下で混練押出して、ペレットを製造した。
実施例および比較例で用いた樹脂成分及び組成物の物性の測定法を以下に示した。
(1)メルトインデックス(MI、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。
特に記載のないかぎり、230℃、2.16kg荷重にて測定した。
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体の構造分析
(2−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体の固有粘度
(2−1−a)プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の固有粘度:[η]P
プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピレン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
(2−1−b)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の固有粘度:[η]EP
プロピレン−エチレンブロック共重合体の第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の固有粘度(dl/g))
[η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度(dl/g)
(2−1−c)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:X
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xはプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)とプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EP
プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2')EPは、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2')Tを測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)
X:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
(4)共重合体(B)の融解熱量
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC RDC220)を用い以下の条件で測定した。
(i)試料約5mgを室温から30℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、昇温完了後、5分間保持する。
(ii)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で−100℃まで降温する。
(iii)上記の降温完了後、5分間、保持した後、−100℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する。
(iv)において観察されるピークが融解ピークであり、ピーク面積から融解熱量を算出した。
(5)共重合体(B)の分子量分布
ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法を用い、下記の条件により測定を行った。
得られた結果から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を算出し、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置:Waters社製 150C ALC/GPC
カラム:昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M 2本
温度:140℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン
溶出溶媒流速:1.0ml/min
試料濃度:1mg/ml
測定注入量:400μl
分子量標準物質:標準ポリスチレン
検出器:示差屈折
(6)アイゾット衝撃強度(Izod、単位:kJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従って測定した。表2に示した組成で2軸混練して得られたペレットを、射出成形により成形された厚みが6.4mmのノッチ付き試験片を用いて、測定温度は23℃で測定した。
(7)傷付試験
表2に示した組成で2軸混練して得られたペレットを用い、住友重機製SE180D型射出成形機を用いて、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で射出成形を行い、400mm×100mm×3mmの平板試験片を得た。その平板試験片から100×100mmの正方形平板切り出し、傷付き試験用試験片とした。上島製作所社製 特殊大型U−F引っかき試験機を用いて、以下の条件で傷付き試験を行った。先端が直径1mmの半球(材質SUS403)である傷付き試験用の針に0.5kgまたは1kgの荷重をのせ、600mm/分の速度で、試験片表面に1mm間隔もしくは2mm間隔の碁盤目の傷を付けた。
耐傷付性は上記鏡面平板の傷付試験前後の色差(ΔE)にて評価した。測定は、スガ試験機製SMカラーコンピュータ(SM−5−CH型式)を用いて、45°拡散方式光学系により、集光レンズ:φ30、試料台:φ30の条件で行った。ΔE値が小さいほど、耐傷付性に優れる事を意味する。
(8)応力白化試験
傷付試験と同様の方法で成形し、切り出した平板試験片を用いた。試験片に、ステンレス製で、先端が直径12mmの半球状である重錘をのせ、その重錘に、1kgの荷重を60cmの高さから落下させて、試験片の白化面積を測定した。白化面積が小さいほど、耐応力白化性が高い事を意味する。
本発明の要件を満足する実施例1〜4は、耐衝撃性と耐傷付性と耐応力白化性に優れるものであることが分かる。これに対して、本発明の要件である重合体(B)を用いなかった比較例1は耐応力白化性が不十分であり、本発明の要件である重合体(C)の密度を満足しない共重合体(C−4)を用いた比較例2は、耐衝撃性が不充分であることが分かる。
Figure 2008120867

Claims (4)

  1. プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜90重量%と、
    下記のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)5〜20重量%と、
    下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(C)5〜40重量%とを含有し、
    230℃、2.16kg荷重でのメルトインデックスが0.5〜40g/10分
    であるポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量%とする)。
    プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、分子量分布が1〜4であり、極限粘度が0.5〜10dl/gであり、融解熱量が30J/g以下であり、エチレン含量が60モル%以下のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体である。
    エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体である。
  2. プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜90重量%と、
    下記のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)5〜20重量%と、
    下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(C)5〜40重量%とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、(A)と(B)と(C)の合計を100重量%とする)と、
    無機フィラー(D)とを含有する無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、無機フィラー(D)が0.1〜60重量部であり、
    230℃、2.16kg荷重でのメルトインデックスが0.5〜40g/10分である
    無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物。
    プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、分子量分布が1〜4であり、極限粘度が0.5〜10dl/gであり、融解熱量が30J/g以下であり、エチレン含量は60モル%以下のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体である。
    エチレン−α−オレフィン共重合体(C)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体である。
  3. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物または、請求項2に記載の無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
  4. 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物または、請求項2に記載の無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体。

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