JP2008113560A - L−アリールグリシン誘導体の製造方法 - Google Patents

L−アリールグリシン誘導体の製造方法 Download PDF

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大輔 駒
Kuniki Kino
邦器 木野
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Abstract

【課題】L-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造する新たな方法、及び、L-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解する新たな方法及びこの方法を利用してラセミ体のアリールグリシン誘導体又はその塩からD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収する方法、並びに、これらの方法に有用な触媒剤、分解剤、及びキットなどを提供すること。
【解決手段】配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼは、アリールグリオキシル酸誘導体からL-アリールグリシン誘導体への反応を触媒する触媒剤、L-アリールグリシン誘導体を分解する分解剤、ラセミ体のアリールグリシン誘導体からD-アリールグリシン誘導体の回収に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、L-アリールグリシン誘導体又はその塩の製造方法、それに用いる触媒剤及びキット、L-アリールグリシン誘導体又はその塩の分解方法、D-アリールグリシン誘導体又はその塩の回収方法、それらの方法に用いる分解剤及びキットに関する。
アリールグリシン誘導体は、各種医薬品中間体等に使用されている有用な化合物である。例えばL-アリールグリシン誘導体は、セリンプロテアーゼ阻害剤(非特許文献1参照)や心臓病治療薬オクスフェニシン(oxfenicine)などに利用されており、D-アリールグリシン誘導体は、抗生物質であるアンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン等に利用されている。
従来、L-又はD-アリールグリシン誘導体の製造方法としては、キラル化合物を利用した不斉合成(非特許文献2参照)、光反応を利用した不斉合成(非特許文献3参照)等化学合成による方法、及び化学合成法により製造したラセミ体の分割沈殿法(特許文献1参照)、液体クロマトグラフィーなどの分離方法により光学分割する方法が知られている。
しかしながら、上記化学合成方法では、得られた光学異性体の光学純度が十分でない場合や、特殊な試薬を必要とする場合があった。また、ラセミ体からの分割方法の実施にあたっては、アリールグリシン誘導体の種類に制限があったり、アリールグリシン誘導体の種類により光学分割できる光学分割剤を選択したり、光学分割能を高めるための条件を決定したりする必要があるため、その手法が煩雑になり、効率よくL-又はD-アリールグリシン誘導体を製造することができなかった。
一方、アミノトランスフェラーゼを用いて、非天然型アミノ酸を合成する方法は公知である。アミノトランスフェラーゼを用いれば、その広い基質特異性から、多種類の非天然型アミノ酸の合成が可能であり、また、光学純度の高いアミノ酸を得ることが可能である。ExPASy Proteomics Server(http://kr.expasy.org/)によれば、アミノトランスフェラーゼは、そのアミノ酸配列上の特徴により、IからVの5つのサブクラスに分類できるとされている。特開2003−219896(特許文献2)公報によると、アリールグリシンに対し活性のあるアミノトランスフェラーゼのうち、サブクラスIのうち広域アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(MsAT)と呼ばれる一群の酵素には、フェニルグリシンに対する活性があると報告されている。しかし、広域アミノ酸アミノトランスフェラーゼ以外のサブクラスIに属するアミノ酸アミノトランスフェラーゼや、その他のサブクラスに属するアミノトランスフェラーゼには、アリールグリシンに対し活性のあるものは見つかっていない。
Biochemistry, Vol.41, No.17, pp.5483-5492, 2002 Indian Journal of Chemistry, Vol.24B, No.8, pp.811-814, 1985 Journal of Organic Chemistry, Vol.57, No.25, pp.6914-6920, 1992 特許第3043449号公報 特開2003−219896号公報
本発明は、L-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造する新たな方法、並びに、L-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解する新たな方法及びこの方法を利用してラセミ体のアリールグリシン誘導体又はその塩からD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収する方法、及び、これらの方法に有用な触媒剤、分解剤、キットなどを提供することを目的とする。
本発明者らは、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼ(例えば、MJ1008(配列番号1)、PP3511(配列番号2)、TTHA0124(配列番号3)、AF0933(配列番号4)、TTE0933(配列番号5)等の分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼなど)が、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体への反応を触媒する作用、及び、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体から一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体への反応を触媒する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。ここに例示したアミノトランスフェラーゼ(MJ1008(配列番号1)、PP3511(配列番号2)、TTHA0124(配列番号3)、AF0933(配列番号4)、TTE0933(配列番号5))は、サブクラスIVに属するアミノトランスフェラーゼである。
なお、前記酵素活性は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより求めた。また、「1U」は1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。
Figure 2008113560
本発明は下記のとおりである。
(1) 一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩の製造方法。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(2)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(4)前記環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(5)アリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に転移するアミノ基がL-アミノ酸から供与されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩に、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩の分解方法。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(7)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(6)に記載の分解方法。
(8)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(6)に記載の分解方法。
(9)環Aが、下記の一般式(III)で表される基であることを特徴とする(6)〜(8)のいずれかに記載の分解方法。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(10)一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩と、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イシロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼとを反応させることにより生成する一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩を除去することを特徴とする、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩の回収方法。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式(IV)及び(V)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(11)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(10)に記載の回収方法。
(12)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(10)に記載の回収方法。
(13)環Aが、下記の一般式(III)で表される基であることを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載の回収方法。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(14)一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩への反応を触媒する触媒剤であって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを有効成分として含有することを特徴とする触媒剤。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(15)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(14)に記載の触媒剤。
(16)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(14)に記載の触媒剤。
(17)環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする(14)〜(16)のいずれかに記載の触媒剤。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(18)アリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に転移するアミノ基がL-アミノ酸から供与されることを特徴とする(14)〜(17)のいずれかに記載の触媒剤。
(19)一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解する分解剤であって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを有効成分として含有することを特徴とする分解剤。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(20)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(19)に記載の分解剤。
(21)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(19)に記載の分解剤。
(22)環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする(19)〜(21)のいずれかに記載の分解剤。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(23)一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、L-アミノ酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(24)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(23)に記載のキット。
(25)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(23)に記載のキット。
(26)環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする(23)〜(25)のいずれかに記載のキット。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(27)一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、ケト酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(28)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(27)に記載のキット。
(29)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(27)に記載のキット。
(30)環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載のキット。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
(31)一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩から、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、ケト酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
(ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
Figure 2008113560
(式(IV)及び(V)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
(32)アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする(31)に記載のキット。
(33)アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする(31)に記載のキット。
(34)環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする(31)〜(33)のいずれかに記載のキット。
Figure 2008113560
(式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
本発明によれば、L-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造する新たな方法、並びに、L-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解する新たな方法及びこの方法を利用してラセミ体のアリールグリシン誘導体又はその塩からD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収する方法、及び、これらの方法に有用な触媒剤、分解剤、キットなどを提供することができる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量した結果、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg(1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)以上であるアミノトランスフェラーゼ(以下、「ATs」と称する。)を、アミノ基供与体の存在下において、式(1)、式(2)、又は式(3)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(1)、化合物(2)、又は化合物(3)と称する。)に作用させると、それぞれ式(4)、式(5)、は下式(6)で表される化合物(以下、それぞれを化合物(4)、化合物(5)、又は化合物(6)と称する。)を製造できる。
Figure 2008113560
すなわちATsは、化合物(1)〜(3)におけるカルボニル基に作用してオキソ基をアミノ基供与体から供与されたアミノ基に置換する反応を触媒する作用を有する。従ってATsは、化合物(1)〜(3)から化合物(4)〜(6)への反応を触媒する触媒剤として有用であり、化合物(1)〜(3)から化合物(4)〜(6)を製造するのに有用である。
また、ATsは、上述のように、カルボニル基に作用してオキソ基をアミノ基供与体から供与されたアミノ基に置換することから、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩への反応を触媒する触媒剤として有用であり、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩の製造や製造キットに有用である。
ところで、生体由来の酵素であり、L-アミノ酸を基質とする天然アミノトランスフェラーゼは、天然型−ケト酸(α−ケト酸)の存在下において、L-アミノ酸を分解する作用を有することが知られている。実際、超好熱性古細菌パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)やアエロピルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)から産生される天然アミノトランスフェラーゼは、天然型−ケト酸の存在下において、L-アリールグリシン誘導体を分解する作用を有することが報告されている(特開2003−219896号公報)。これらのことから、ケト酸又はその塩の存在下において、一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体のラセミ体と、ATsを反応させることにより、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体が特異的に分解されて一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体が生成し、この生成した一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体を反応系から除去することにより、反応せずに残った一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体のみを回収することができる。
従ってATsは、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体の分解剤として、あるいは分解キットに有用であり、また、一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体のラセミ体から一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体の回収や回収キットに有用である。
なお、一般式(I)、(II)、(IV)、又は(V)で表される化合物中の環Aは置換もしくは非置換のアリール基であり、例えば、置換もしくは非置換のフェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ピリジル基、及び一般式(III)で表される基である化合物を挙げることができる。
この場合において、一般式(III)中のR、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。
また、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体は、市販のものを用いても、一般的な化学合成法により製造してもよいが、酵素及び当該酵素の作用により前記アリールグリオキシル酸誘導体に変換する前駆物質を用いて酵素合成法により製造してもよい。
一般式(I)、(II)、(IV)、又は(V)で表される化合物の塩、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩など)、その他の金属塩(アルミニウム塩など)、無機塩(塩酸塩、アンモニウム塩、アミン類など)、有機塩(グルコサミン塩など)は、常法に従って製造することができる。
ATsとしては、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量した結果、L-イソロイシン及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg(1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)以上であるものであれば特に制限されるものではない。具体的には、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有する分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼ、これらのアミノトランスフェラーゼを産生する微生物以外の微生物に由来する、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するアミノトランスフェラーゼのホモログを用いることができる。
なお、本発明に用いられるATsは、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列または前記ホモログのアミノ酸配列を有し、上述の触媒作用、分解作用などを有するタンパク質であればどのようなものでもよく、例えば、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるアミノトランスフェラーゼにHisタグなどのタグが結合したタンパク質やGSTなどとの融合タンパク質などでもよい。
以上のタンパク質は、ATsを産生する微生物から生化学的に抽出してもよいし、その配列情報に基づいて有機化学的に合成してもよい。
また、適切なエンハンサー/プロモーターをもつ発現ベクターに、ATsをコードするポリヌクレオチド(例えば配列番号6〜10のいずれかに示される塩基配列を有するポリヌクレオチド)を挿入し、この組換えベクターを大腸菌、サルモネラ菌等の菌や、イースト、動物細胞などに導入し、発現させ、生成したタンパク質を常法により精製して得ることもできる。また、この組換えベクターをin vitroで転写させて得られたmRNAを、ウサギ網状赤血球抽出液、大腸菌S30抽出液、麦芽抽出液、小麦胚抽出液などを用いたインビトロ翻訳システムにより翻訳させて、合成されたタンパク質を精製して得ることもできる。
上述のタグが結合したタンパク質や融合タンパク質は、発現ベクターを作製する際、ATsをコードするポリヌクレオチドと、タグをコードするポリヌクレオチド又は融合させるポリヌクレオチドとを含むポリヌクレオチドをベクターに挿入し、タンパク質として発現させることにより得ることができる。なお、タグ等の配列はベクターに由来するものでもよい。このように、タグ等を利用することにより目的のタンパク質を容易に精製することが可能になる。また、タグ等は、最終段階で特異的なプロテアーゼ等によって除去し、HPLC(high-performance(-speed) liquid chromatography)などでATsだけを精製することもできる。
なお、ATsを細胞外に分泌させるため、シグナルペプチドを付加してもよい。このような融合タンパク質を発現することのできる組換えベクターは、上述のように、適切なエンハンサー/プロモーターをもつ発現ベクターに、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入することで作製することができる。
また、前記組換えベクターの菌、イースト、動物細胞などへの導入は、例えば、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポフェクション法、アデノウイルス、レトロウイルス等のウイルスベクターなどを用いたウイルス感染法、又はカルシウムを用いたトランスフェクション法等によって行うことができる。
本発明に係る、L-アリールグリシン誘導体若しくはその塩の製造又分解、D-アリールグリシン誘導体又はその塩の回収においては、ATsを単離精製して用いてもよいが、ATsを合成する菌を浸透圧ショック、超音波処理、フレンチプレス処理、或いはマントン・ゴーリン・ホモジナイザー処理等の公知の方法で破砕することにより得られる菌体抽出液を用いてもよく、ATsを生産する菌体そのものを用いてもよい。
ATsは、オキソ基をアミノ基に、あるいは、アミノ基をオキソ基に置換する酵素であり、アミノ基供与体としては、例えば、L-アミノ酸又はその塩を用いることができるが、食品添加物として世界中で大量に生産されているL-グルタミン酸又はそのナトリウム塩を用いることが経済性・水溶性の点で好ましく、さらにL-グルタミン酸−1ナトリウム塩を用いることが緩衝液としての作用を有する点でより好ましい。また、本発明においてL-グルタミン酸−1ナトリウム塩を用いることにより、他の緩衝液を用いたり、アルカリや酸を用いたりしてpHを調整することなく、ATsによる反応を行わせる反応溶液のpHを6〜9付近に維持させることが可能となる。このようにpHを維持させることによりATsを安定させ、ATsによる反応を効率よく行うことができるようになる。なお、L-アミノ酸としては、L-グルタミン酸以外に、L-アラニン、L-フェニルアラニン、L-チロシン、L-トリプトファン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-アスパラギン酸、L-トレオニン、L-アスパラギン、L-グルタミン、L-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-システイン、L-メチオニン、L-バリン等の適当な天然アミノ酸を用いることができる。
また、ATsによるオキソ基からのアミノ基の転移は、例えば、ケト酸又はその塩をアミノ基の受容体として用いることで行うことができる。その際に用いるケト酸又はその塩としては、その入手しやすさや溶解性の観点からピルビン酸や2−ケトグルタル酸を用いることが好ましい。
なお、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体若しくはその塩の製造、分解などの反応温度は、特に制限されるものではないが、酵素反応に用いられる物質の安定性や溶解性、及び酵素の安定性等の観点から25〜100℃の範囲内であることが好ましい。
また、前記反応はどのようなpHで行ってもよいが、当該反応に用いられる物質の溶解性の観点からpH6以上で行うことが好ましく、ATsの十分な活性を得る目的からpH7〜9の範囲内で行うことがより好ましい。
また、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体、一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体などが難溶性である場合には、それらを、DMSO、アルコール、酢酸エチル、クロロホルムなどの溶媒に溶解することにより上記反応を行うことができる。
なお、上述のようにして製造された、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩、及び、一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩中の一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解することにより得られた、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩は、イオン交換カラムクロマトグラフィー法、アフィニティーカラムクロマトグラフィー法等の常法により分離精製して回収することができる。
本発明に係る製造キットは、ATs、及び、L-アミノ酸又はその塩を含んでいればどのようなものでもよいが、その他に、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造するための試薬(例えば、ピリドキサール-5’-リン酸(補酵素)、緩衝液など)又は器具が含まれていてもよい。
また、本発明に係る分解キットは、ATs、及び、ケト酸又はその塩を含んでいればどのようなものでもよいが、その他に、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解するための試薬(例えば、ピリドキサール-5’-リン酸(補酵素)、緩衝液など)又は器具が含まれていてもよい。
さらに本発明に係る回収キットは、ATs、及び、ケト酸又はその塩を含んでいればどのようなものでもよいが、その他に、一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩から、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収するための試薬(例えば、ピリドキサール-5’-リン酸(補酵素)、緩衝液など)又は器具(例えば、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体若しくはその塩を分離・除去できる液体クロマトグラフィー用分離カラム又はその充填剤(シリカゲルなど))が含まれていてもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)はJNM-GSX400(日本電子株式会社(JEOL)製)を用いて測定した。
[実施例1]アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)溶液の調製
好熱菌メタノカルドコッカス・ジャナスキイ(Methanocaldococcus jannaschii)のゲノムを鋳型として、KOD plus polymerase(東洋紡績株式会社製)を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、His-tagをコードする塩基配列が付加された以下のプライマーを用い、アミノトランスフェラーゼ遺伝子(MJ1008;配列番号8)を増幅し、カラム精製後0.1μg/μlのDNA溶液を得た。PCR装置としては、Robocycler (Stratagene社製)を用いた。なお、プライマーは、5’-CCCAAACCATATGAAAATCTACTTAAACGGAAAGTTTGTTG-3’(配列番号15)及び5’-CCAACCTCGAGTTCATCATAAACCTTTATTCCCCATTTGG-3’(配列番号16)を用い、反応は、94℃×35秒間(変性)、52℃×50秒間(アニーリング)、及び68℃×2分間(伸長)で15サイクル行った。
次に、制限酵素Xho I 1μl、Nde I 1μl、10×H Buffer 5μl(以上、タカラバイオ株式会社製)及び上述のDNA溶液 43μlを混合し、37℃で一晩消化した。また、pET21a(+)(0.5μg/μl;Novagen製)2μl、Xho I 1μl、Nde I 1μl及び10×H Buffer 5μl(以上、タカラバイオ株式会社製)を混合し、37℃で一晩消化した。消化したDNAをアガロースゲルで電気泳動し、GFX PCR and Gel Band Purification Kit(Amersham製)を用いて精製した。精製後、イソプロパノールで沈殿させ、70% エタノールでリンスし、乾燥させたDNA断片を5 μlの滅菌水に溶解した。このDNA溶液に対し、DNA Ligation Kit ver.2 sol I(タカラバイオ株式会社製)を用いてライゲーションし、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールなどを用いて精製した。
精製したプラスミドを大腸菌JM109株にエレクトロポレーション法により形質転換し、50μg/ml アンピシリンを含むLB平板寒天培地(1L中にトリプトン 10g、酵母エキス 5g、NaCl 10gを含む)に播種して37℃で一晩培養した。寒天培地上に形成されたシングルコロニーの中から、コロニーを無作為にいくつか選択し、選択した各コロニーを直接反応溶液に懸濁し、コロニーダイレクトPCRを行うことで目的の断片をもつクローンのスクリーニングを行った。なお、コロニーダイレクトPCRは以下の手順に従い行った。
Ex Taqポリメラーゼ(タカラバイオ株式会社製) 0.5 μl
緩衝液(10×Ex Taq Buffer、タカラバイオ株式会社製) 5 μl
dNTP(各2.5mM、タカラバイオ株式会社製) 4 μl
各プライマー(各100 pmol/μl) 各0.5 μl
各コロニー中の大腸菌 微量
を混合し、水を加えて全量50 μlに調整した。なお、プライマーとしては、5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’(配列番号29)及び5’-GCTAGTTATTGCTCAGCGG-3’(配列番号30)を用いた。
次に、94℃で3分間恒温し、<94℃×60秒間→56℃×60秒間→72℃×140秒間>のサイクルを25回繰り返してPCRを行い、1%アガロース電気泳動により目的の断片が増幅されていることを確認して陽性コロニーを選択し、インサートの塩基配列を決定して、目的の形質転換体を得た。
上述のようにして得られた組換えプラスミドを用いて、Rosetta(DE3)株の形質転換を行い、形質転換した大腸菌を、50μg/mlのアンピシリンと34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB平板寒天培地に植菌して37℃で培養し、さらに、50μg/ml アンピシリンと34μg/ml クロラムフェニコールを含むLB培地に植菌して37℃で培養した。培養後、遠心分離により集菌した菌体を超音波で破砕し、80℃で30分間熱処理して大腸菌由来のアミノトランスフェラーゼを失活させた。続いて、遠心分離により不溶物を沈殿させ、上清を粗酵素液として回収し、Protino Ni2000(Macherey-Nagel)を用いて精製することによりHis-tagとアミノトランスフェラーゼ(MJ1008)との融合タンパク質の酵素溶液を得た。
[実施例2]アリールグリシン誘導体の製造
実施例1で得られたアミノトランスフェラーゼ(MJ1008)溶液を用いて、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体を製造できることを確認した。なお、出発原料としては、文献(J.Org.Chem, Vol.52, No.22, 1987, 5026-5030)に記載の方法に準じて合成した、2-(2,4-ジメチルフェニル)-2-オキソ酢酸(化合物(1))、2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-2-オキソ酢酸(化合物(2))、及び2-(1-ナフチル)-2-オキソ酢酸(化合物(3))を用いた。
(a)L-2-アミノ-2-(2,4-ジメチルフェニル)酢酸(化合物(4))の合成
100mM リン酸緩衝液(pH8.0)、20mM 2-(2,4-ジメチルフェニル)-2-オキソ酢酸、80mM L-アラニン、0.2 mM ピリドキサール-5’-リン酸、及び8μg/mlのα-アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)を含む反応液 5 mlを調製し、80℃で30分間反応させた。なお、反応液は1M 水酸化ナトリウム水溶液で、pH8.0に調整した。
反応終了後、反応液を放冷して1M 塩酸でpH4.5に調整し、メンブレンフィルター(ADVANTEC DISMIC-25AS、孔径0.2μm)でろ過した後、フラッシュカラム(Biotage社 SP-1)により精製し、2-アミノ-2-(2,4-ジメチルフェニル)酢酸を得た(収量4.5mg)。
1H NMR(D2O)δ 7.03-7.07(m、3H、ArH)、5.12(s、1H、α-H)2.26(s、3H、CH3)、2.16(s、3H、CH3);[α]D 35=+130(c=0.11、1M HCl)。
取得した2-アミノ-2-(2,4-ジメチルフェニル)酢酸をMarfey’s試薬により誘導体化し、XTerra MS C18 IS 3.5 μm (4.6 mmφ x 20 mm, Waters)カラムを用いたHPLCで分析したところ、アミノ酸誘導体のピークは1本のみ(検出波長は340nm)であり、生成した2-アミノ-2-(2,4-ジメチルフェニル)酢酸の光学純度はほぼ100%であることがわかった。反応に用いたα-アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)はアミノドナーとしてL-アミノ酸を認識すること、及び、文献(Tetrahedron: Asymmetry, Vol. 8, No. 1, pp. 85-92, 1997)においてD-(3-メチルフェニル)グリシンの比旋光度が[α]D 20=-144(c=0.25、 1M HCl)であること、また、文献(J. Org. Chem., Vol. 67, pp. 6542-6545, 2002)においてL-(4-メチルフェニル)グリシンの比旋光度が[α]D 25=+175(c=0.9、1M HCl)であることから、本実施例で合成した2-アミノ-2-(2,4-ジメチルフェニル)酢酸はL体であると考えられる。
(b)L-2-アミノ-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)酢酸(化合物(5))の合成
2-(2,4-ジメチルフェニル)-2-オキソ酢酸(化合物(1))の代わりに2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)-2-オキソ酢酸(化合物(2))を用いる他は(a)の方法に準じて反応を行い、フラッシュカラムにより精製し、2-アミノ-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)酢酸を得た(収量7.4mg)。
1H NMR(D2O)δ 7.12(dd、J=8、8Hz、2H、ArH)、4.97(s、1H、α-H)。
取得した2-アミノ-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)酢酸をMarfey’s試薬により誘導体化し、XTerra MS C18 IS 3.5 μm (4.6 mmφ x 20 mm, Waters)カラムを用いたHPLCで分析したところ、アミノ酸誘導体のピークは1本のみ(検出波長は340nm)であり、生成した2-アミノ-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)酢酸の光学純度はほぼ100%であることがわかった。反応に用いたα-アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)はアミノドナーとしてL-アミノ酸を認識することから、本実施例で合成した2-アミノ-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)酢酸はL体であると考えられる。
(c)L-2-アミノ-2-(1-ナフチル)酢酸(化合物(6))の合成
2-(2,4-ジメチルフェニル)-2-オキソ酢酸(化合物(1))の代わりに2-(1-ナフチル)-2-オキソ酢酸(化合物(3))を用いる他は(a)の方法に準じて反応を行い、フラッシュカラムにより精製し、2-アミノ-2-(1-ナフチル)酢酸を得た(収量2.8mg)。
1H NMR(D2O)δ 8.01-7.43(m、7H、ArH)、5.61(s、1H、α-H)。
取得した2-アミノ-2-(1-ナフチル)酢酸をMarfey’s試薬により誘導体化し、XTerra MS C18 IS 3.5 μm (4.6 mmφ x 20 mm, Waters)カラムを用いたHPLCで分析したところ、アミノ酸誘導体のピークは1本のみ(検出波長は340nm)であり、生成した2-アミノ-2-(1-ナフチル)酢酸の光学純度はほぼ100%であることがわかった。反応に用いたα-アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)はアミノドナーとしてL-アミノ酸を認識することから、本実施例で合成した2-アミノ-2-(1-ナフチル)酢酸はL体であると考えられる。
[実施例3]各種アミノトランスフェラーゼ溶液の調製
表1に示す、外来遺伝子としての各種α−アミノトランスフェラーゼ遺伝子、プライマー、並びに、PCR産物及びベクターの消化用制限酵素を用い、実施例1に記載の方法に準じてHis-tagと各種アミノトランスフェラーゼとの融合タンパク質を含むアミノトランスフェラーゼ溶液を得た。
Figure 2008113560
[実施例4]
次に、実施例3で得られた各種アミノトランスフェラーゼ溶液を用いることにより、実施例1で得られたアミノトランスフェラーゼ(MJ1008)溶液と同様に、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体を製造できるかどうかを調べた。
10mMのアリールグリオキシル酸誘導体(化合物(1)〜(3))、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-グルタミン酸を含む反応液190μlに、各種アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて、MJ0008、AF0933、及びMTH1430は80℃、TTHA0124、TTHA0411、及びTTE0933は70℃、PP3511は35℃でそれぞれ2−5分間酵素反応を行った。
反応終了後、30%トリクロロ酢酸水溶液50μlを加えて反応を停止し、反応系中に生成した目的のL-アリールグリシン誘導体(化合物(4)〜(6))を、Marfey’s試薬を用いて誘導体化した。その後、XTerra MS C18 IS 3.5 μm (4.6 mmφ x 20 mm, Waters)カラムを用いたHPLCで測定し、目的のL-アリールグリシン誘導体(化合物(4)〜(6))が生成されたかどうかを調べた。その結果を表2に示す。なお、表2中の「○」は、目的のL-アリールグリシン誘導体の生成が確認されたことを意味する。
Figure 2008113560
表2に示すように、MJ1008、PP3511、TTHA0124、AF0933、TTE0933等の分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼは、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体への反応を触媒する作用を有していることが明らかになった。これに対して、MTH1430、及びTTHA0411などのアミノトランスフェラーゼを用いても一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から、上述の一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体を得ることができないことが明らかになった。
[実施例5]
次に、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から、上述の一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体への反応を触媒する作用を有するアミノトランスフェラーゼと、前記作用を有しないアミノトランスフェラーゼとの違いを調べるため、各アミノトランスフェラーゼのアミノ酸配列情報を用いて相同性検索を行った。なお、相同性検索は、NCBIのAlign two sequences (bl2seq;http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/wblast2.cgi)を用いて行った。表3にMJ1008及びPP3511に対する相同性検索結果を示す。
Figure 2008113560
また、各種アミノトランスフェラーゼの天然型アミノ酸に対する酵素活性の違いを調べるために、以下の実験を行った。40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMの各種天然型アミノ酸を含む各反応液190μlに、各種アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えてMJ0008、AF0933、及びMTH1430は80℃、TTHA0124、TTHA0411、及びTTE0933は70℃、PP3511は35℃でそれぞれ2から5分間酵素反応を行った。
反応終了後、30%トリクロロ酢酸水溶液50μlを加えて反応を停止し、反応系中に生成したL-グルタミン酸をMarfey’s試薬を用いて誘導体化した。その後、XTerra MS C18 IS 3.5 μm (4.6 mmφ x 20 mm, Waters)カラムを用いたHPLCで定量した。
その結果を図1〜7に示す。
表3及び図1〜5に示すように、MJ0008、PP3511、TTHA0124、AF0933、及びTTE0933は、MJ0008またはPP3511との相同性が40%以上であり、L-イソロイシン及びL-ロイシンに対する活性が30U/mg以上であることが明らかになった。
これに対して、表3及び図7に示すように、TTHA0411はL-ロイシンに対する活性は30U/mg以上であるが、L-イソロイシンに対する活性は30U/mg以下であり、MJ0008またはPP3511との相同性が共に40%未満であることがわかった。また、表3及び図6に示すように、MTH1430はMJ1008との相同性が40%以上であるが、L-イソロイシン及びL-ロイシンに対する活性が共に30U/mg以下であることが明らかになった。
以上のことから、配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシン及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼ(例えば、MJ0008、PP3511、TTHA0124、AF0933、及びTTE0933等の分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼ)(ここで、酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、上記タンパク質(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)は、一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体から一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体への反応を触媒する作用、及び、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体から一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体への反応を触媒する作用を有することがわかった。
本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(MJ1008)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(PP3511)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(TTHA0124)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(AF0933)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(TTE0933)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(MTH1430)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。 本発明の一実施例において、アミノトランスフェラーゼ(TTHA0411)の天然型アミノ酸に対する酵素活性を調べた結果を示す図である。

Claims (34)

  1. 一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩の製造方法。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  2. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  5. アリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に転移するアミノ基がL-アミノ酸から供与されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩に、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを作用させることを特徴とする一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩の分解方法。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  7. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項6に記載の分解方法。
  8. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項6に記載の分解方法。
  9. 環Aが、下記の一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の分解方法。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  10. 一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩と、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イシロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼとを反応させることにより生成する一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩を除去することを特徴とする、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩の回収方法。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式(IV)及び(V)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  11. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項10に記載の回収方法。
  12. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項10に記載の回収方法。
  13. 環Aが、下記の一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の回収方法。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  14. 一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩への反応を触媒する触媒剤であって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを有効成分として含有することを特徴とする触媒剤。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  15. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項14に記載の触媒剤。
  16. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項14に記載の触媒剤。
  17. 環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の触媒剤。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  18. アリールグリオキシル酸誘導体又はその塩に転移するアミノ基がL-アミノ酸から供与されることを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の触媒剤。
  19. 一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解する分解剤であって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼを有効成分として含有することを特徴とする分解剤。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  20. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項19に記載の分解剤。
  21. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項19に記載の分解剤。
  22. 環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の分解剤。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  23. 一般式(I)で表されるアリールグリオキシル酸誘導体又はその塩から、一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を製造するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、L-アミノ酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式(I)及び(II)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  24. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項23に記載のキット。
  25. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項23に記載のキット。
  26. 環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載のキット。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  27. 一般式(II)で表されるL-アリールグリシン誘導体又はその塩を分解するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、ケト酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  28. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項27に記載のキット。
  29. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項27に記載のキット。
  30. 環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載のキット。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
  31. 一般式(IV)で表されるアリールグリシン誘導体又はその塩から、一般式(V)で表されるD-アリールグリシン誘導体又はその塩を回収するためのキットであって、配列番号1または2に示されるアミノ酸配列との相同性が40%以上であり、かつ、L-イソロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性及びL-ロイシンからL-グルタミン酸を生成する酵素活性がともに30U/mg以上であるアミノトランスフェラーゼと、ケト酸又はその塩とを含むことを特徴とするキット。
    (ここで、それぞれの酵素活性の測定は、40mMの2-オキソグルタル酸、0.5mMのピリドキサールリン酸、100mMのリン酸緩衝液(pH7.5)、および40mMのL-イソロイシンまたはL-ロイシンを含む反応液190μlに、アミノトランスフェラーゼ溶液(0.05μg/μl)を10μl加えて酵素反応を行った後、生成したL-グルタミン酸を定量することにより行うものとする。また、1Uは1分間に1μmolのL-グルタミン酸を生成する酵素量を示す。)
    Figure 2008113560
    (式(IV)及び(V)中、環Aは置換もしくは非置換のアリール基である。)
  32. アミノトランスフェラーゼが、分枝鎖アミノ酸アミノトランスフェラーゼであることを特徴とする請求項31に記載のキット。
  33. アミノトランスフェラーゼが、配列番号1〜5のいずれかに示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項31に記載のキット。
  34. 環Aが、一般式(III)で表される基であることを特徴とする請求項31〜33のいずれかに記載のキット。
    Figure 2008113560
    (式中、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、アリール基、ニトロ基、アミノ基、アミノアルキル基、シアノ基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、メルカプト基、メルカプトアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、ヒドロキシル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。ここで、R〜Rにおいて隣接する基がそれぞれ結合して3−7個の炭素、酸素、窒素、または硫黄を含む炭素環または複素環を形成してもよい。)
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