JP2008112648A - 膜電極接合体、およびその製造方法、並びに燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体、およびその製造方法、並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子電解質膜と電極との間の接着力が強固で、かつ、高分子電解質膜の優れた物性が十分の発揮された、高性能の膜電極接合体とし、例えば、直接メタノール型燃料電池としたときに、高濃度メタノール供給時において高い発電特性を示すことができる膜電極接合体を提供すること。
【解決手段】本発明の膜電極接合体は、高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含む膜電極接合体であって、前記高分子電解質膜に含まれる高分子化合物の軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下の加熱温度で、前記高分子電解質膜と前記電極とが加熱圧接された膜電極接合体であり、前記高分子電解質膜と前記電極との間に優れた接着力が生じており、また、前記高分子電解質膜の物性が劣化することが抑制されているので、高性能の膜電極接合体となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、直接メタノール型燃料電池等に用いることができる膜電極接合体、およびその製造方法、並びに、それを使用した燃料電池に関する。
スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基を含有する高分子電解質は、燃料電池、湿度センサー、ガスセンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子の原料として使用される。これらの中でも、燃料電池は、新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。
プロトン伝導性置換基を有する高分子電解質を使用する固体高分子形燃料電池は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コンジェネレーションシステム、および民間用小型携帯機器などへの適用が検討されている。
特にメタノールを直接燃料に使用する直接メタノール型燃料電池は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、また、高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの民間用小型携帯機器への応用が期待されている。
固体高分子形燃料電池に使用されるプロトン伝導性高分子電解質としてはナフィオン(登録商標)(Nafion)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質が広く検討されている。フッ素系炭化水素系高分子電解質であるパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子電解質は、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れている。しかしながら、使用原料が高く、複雑な製造工程を経るため、非常に高価であるという欠点がある。さらにメタノールなどの水素含有液体などに浸すと膨潤し、特に、そのメタノール濃度が高い場合には膜自体が溶解するので、発電特性が低下してしまうという問題がある。したがって、直接メタノール型燃料電池の高分子電解質としては課題がある。また、その高分子電解質を高分子電解質膜として用いる場合には、発電時にクロスオーバーによる燃料の消失が懸念される。
これに対して、特許文献1には、非フッ素系の炭化水素系高分子電解質であって、メタノールへの耐久性に優れ、かつ、クロスオーバーを抑制できる炭化水素系プロトン伝導性高分子電解質が開示されている。
また、特許文献2には、フッ素系炭化水素系高分子電解質膜から副生するフッ素イオンを減少させることで膜電極接合体の耐久性を向上させた固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法が開示されている。具体的には、電極層に対し、MEAのホットプレスを行う前に、フッ素系炭化水素系高分子電解質膜のガラス転移温度から熱分解温度までの温度領域にて加圧保持する熱処理を行うことに加えて、イオン交換容量が大きいフッ素系炭化水素系高分子電解質を採用することでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制している。
さらに、特許文献3には、フッ素系炭化水素系高分子電解質膜を用いて優れた電流−電圧特性を有する高分子電解質膜−ガス拡散電極を得るために、ガス拡散電極の反応部における触媒と高分子電解質樹脂との接触面積の増大を図ること、高分子電解質膜と反応部との密着性を向上して均一に接合された反応部を有する高分子電解質膜−反応部接合体を形成すること、及び、薄く均一な反応部を有する高分子電解質膜−反応部を作製することを目的として、触媒と高分子電解質と分散媒とを有する触媒分散物を基体に塗布して形成された反応部をフッ素系炭化水素系高分子電解質膜の少なくとも一方側に加熱圧接する高分子電解質膜−反応部接合体の製造方法において、フッ素系炭化水素系高分子電解質膜を含水状態とし、かつ、加熱圧接の温度を100℃以下とする方法が開示されており、このようにすることで、フッ素系高分子電解質膜の含水量の変化にともなう寸法変化に起因する反応部の密着性の低下あるいは剥離を防止でき、加熱圧着の温度を制御して気化にともなう急激な水の体積変化に起因する反応部の部分的な剥離を防止できる、としている。
国際公開WO2006/019029号パンフレット 特開2005―209402号公報 特開平11―025998号公報
上述した特許文献2、及び特許文献3のように、フッ素系炭化水素系高分子電解質膜を用いた膜電極接合体においては、溶出するフッ素イオンの影響や膨潤による寸法変化を考慮した膜電極接合体、及びその製造方法を適用する必要があり、必ずしも高分子電解質膜そのものの物性に基づく膜電極接合体の検討が困難であるという問題があった。
これに対して、高分子電解質膜としてフッ素を含まない、例えば、特許文献1の膜を用いた膜電極接合体では、膜中フッ素に影響されることなく高分子電解質膜そのものの物性、例えば、作製温度による高分子電解質膜の劣化度合いと接着力との関係等、に基づき、理想的な膜電極接合体につき検討できると考えられる。このようにして検討された膜電極接合体が、フッ素を含む高分子電解質膜に対しても、含フッ素による影響を別の方法で回避できれば、効果的であることは言うまでもない。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、高分子電解質膜そのものの物性に基いた、固体高分子形燃料電池、直接液体形燃料電池、および直接メタノール型燃料電池に好適に用い得る膜電極接合体、その製造方法、並びに、それを使用した燃料電池を提供し、高濃度メタノールを供給した場合でも優れた発電特性を発現する燃料電池を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討をおこなった結果、高分子電解質膜そのものの物性を十分に発揮しうる本発明の膜電極接合体を発明した。
すなわち、本発明の膜電極接合体は、高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含む膜電極接合体であって、前記高分子電解質膜に含まれる高分子化合物の軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下の加熱温度で、前記高分子電解質膜と前記電極とが加熱圧接された膜電極接合体であり、前記高分子電解質膜と前記電極との間に優れた接着力が生じており、また、前記高分子電解質膜の物性が劣化することが抑制されているので、高性能の膜電極接合体となる。
また、前記膜電極接合体は、それを備える直接メタノール型燃料電池の単セルの開回路電位が、燃料として用いるメタノール濃度の増大にともなって、0.00V/moll-1以上、0.02V/moll-1以下の範囲で低下するものとなり、メタノール遮断性に優れるので、この膜電極接合体を備える直接メタノール型燃料電池は、特に高濃度メタノール供給時において高い発電特性を示すことができる。
さらに、前記高分子電解質膜は、少なくとも、芳香族単位を有する高分子化合物と、芳香族単位がない高分子化合物と、を含む高分子フィルムにプロトン伝導性基が導入されてなる高分子電解質膜であることが好ましく、非フッ素系の炭化水素系高分子電解質であるので、メタノールの耐久に優れており、また、安価であり、さらに、高分子フィルムにプロトン伝導性基を導入することで、プロトン伝導性基を含む高分子電解質をその膜中に形成し、プロトン伝導性高分子電解質膜としているので、簡便かつ生産性が高い
特に、このようなプロトン伝導性電解質膜においては、芳香族単位を有する高分子化合物部分にスルホン酸基などのプロトン伝導性基が導入されて、その部分がプロトン伝導性基を含む高分子電解質となる一方で、芳香族単位がない高分子化合物部分にはプロトン伝導性基が導入されない。従って、このような電解質膜は、全体に亘ってスルホン酸基などの親水性のプロトン伝導性基が導入されている高分子電解質を含むにも関わらず、その骨格部分はプロトン伝導性基が導入されていない部分となるので、水やメタノール水溶液に対して膨潤しにくい構成となり、高いメタノール遮断性を有する電解質膜となる。
特に、このプロトン伝導性電解質膜は、芳香族単位がない高分子化合物中に芳香族単位を有する高分子化合物が分散されている構造となっていることが好ましく、より好ましくは数μm〜数10μmの芳香族単位を有する高分子化合物の島が、芳香族単位がない高分子化合物の海に分散されてなる海島構造であり、芳香族単位がない高分子化合物の膨潤抑制効果を有するので、プロトン伝導性が十分、かつ、メタノール遮断性が十分な高分子電解質膜の特性が膜電極接合体作製時に低減されることがなく、同特性が膜電極接合体として発揮される。
ここで、前記芳香族単位を有する高分子化合物は、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド及び、それらの誘導体からなる群から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことが好ましく、これらの高分子化合物は、化学的安定性および熱的安定性や、プロトン伝導性置換基の導入のし易さを有するので、得られるプロトン伝導性高分子電解質は、プロトン伝導性、及びメタノール遮断性に優れたものとなる。
ここで、前記芳香族単位が無い高分子化合物は、下記一般式1からなる高分子化合物から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことが好ましく、他の高分子化合物成分、特に後述する触媒層形成材料に対する相溶性や分散性に優れ、また、後述する溶融押出成形により高分子フィルムを製造する際の加工性や、そうして得られる高分子フィルムのハンドリング性に優れるので、結果得られる膜電極接合体のメタノール遮断性、化学的安定性、および熱的安定性などが優れたものとなる。
Figure 2008112648
(一般式1中、X1〜X4は、H、CH3、Cl、F、OCOCH3、CN、COOH、COOCH3、及びOC49、からなる群から選択されるいずれかであって、X1〜X4は互いに独立で同一であっても異なっていてもよい。)
また、ここで、前記芳香族単位が無い高分子化合物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことが好ましく、工業的に入手し易く、得られる高分子フィルムは機械的特性やハンドリング性に優れ、得られる電解質膜はプロトン伝導性やメタノール遮断性、化学的安定性などに優れる。
さらに、前記プロトン伝導性基はスルホン酸基を含むことが好ましく、高分子へ導入しやすく、また、導入により付与されるプロトン伝導性が大きい。
特に、上述したような本発明の膜電極接合体を備えた直接メタノール型燃料電池は、高濃度メタノール供給時において高い発電特性を示す。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討をおこなった結果、高分子電解質膜そのものの物性を十分に発揮しうる本発明の膜電極接合体の製造方法を発明した。
すなわち、本発明の膜電極接合体の製造方法は、高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含む膜電極接合体の製造方法であって、前記高分子電解質膜に含まれる高分子化合物の軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下の加熱温度で、前記高分子電解質膜前記電極とを加熱圧接することを特徴とする膜電極接合体の製造方法であり、前記高分子電解質膜と前記電極との間に優れた接着力が生じ、また、前記高分子電解質膜の物性が劣化することが抑制されるので、高性能の膜電極接合体を製造することができる。
本発明の膜電極接合体は、その製造方法として、前記高分子電解質膜を溶融成型を含む工程により製造する方法を含むことが好ましく、生産性、得られる高分子フィルムの機械的特性が優れており、また、フィルムの厚みを制御し易く、種々の樹脂への適用性を有し、環境への負荷が小さい製造方法となる。
このような、本発明にかかる膜電極接合体は燃料電池に好適に用いられ、それを備えた燃料電池は、十分なプロトン伝導度を有しながら、低メタノール透過性を備え、かつメタノールなどの水素含有液体などに対する膨潤が抑制されているので、優れた発電特性を示す。
本発明の膜電極接合体は、高分子電解質膜と電極との間に優れた接着力が生じており、また、高分子電解質膜の物性が劣化することが抑制されておいるので、高性能の膜電極接合体となり、さらに、メタノール遮断性に優れるので、例えば、この膜電極接合体を備える直接メタノール型燃料電池は、特に、高濃度メタノール供給時において高い発電特性を示すことができる。
本発明の実施形態について以下詳しく説明する。
本願でいう膜電極接合体とは、少なくとも、プロトン伝導性高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含み、燃料電池の主要な部材として使用可能であるものを含む。ここで電極とは、導電性を有する部材であって、後述する燃料電池用触媒を含む触媒層を兼ねることが好ましい。この場合、プロトン伝導性高分子膜と触媒層とは直接接していることが好ましいが、特性を低下させない限りにおいて、これらの間に何らかの物質および/または層があってもよい。この触媒層は、同じく後述する少なくとも燃料電池用触媒と高分子電解質とを含む触媒層形成材料を用いて形成された層状の構成物とすることが好ましい。それぞれの電極は、たとえば厚みや組成において同一である必要はなく、また適宜変更することができるが、同一であってもよい。また、電極はその構成の一部として、前記触媒層の前記プロトン伝導性高分子電解質膜の反対側に、拡散層が配置されていてもよい。
また、プロトン伝導性基としては、含水状態でプロトンを解離するものであれば使用可能であり、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、及びフェノール性水酸基などが例示され、これらを、単独で、あるいは複数で、用いることができる。例示したプロトン伝導性基の中ではスルホン酸基が、高分子へ導入しやすく、また、導入により付与されるプロトン伝導性が大きくなるので、好ましい。
以下、上記の各構成要素につき分説する。
(プロトン伝導性高分子電解質膜)
本願で言うプロトン伝導性高分子電解質膜とは、少なくともプロトン伝導性基を含む高分子電解質をその膜中に含む膜であり、優れたプロトン伝導性および高いメタノール遮断性を両立した膜とするために、異なる材料を組み合わせて構成することがより好ましい。電子線、γ線、イオンビーム等の放射線を照射することで、高分子電解質膜中に架橋構造を導入して、さらにメタノール遮断性を向上させても良い。
(プロトン伝導性基を含む高分子電解質)
プロトン伝導性基を含む高分子電解質としては、フッ素系、及び非フッ素系の炭化水素系高分子電解質に大別されるが、この内、非フッ素系炭化水素系高分子電解質である炭化水素系高分子電解質は、メタノールの耐久に優れており、また、安価であり好ましい。このような炭化水素系電解質は、文字通り、当業者にとって従来公知の炭化水素系電解質であればよく、例えば、芳香族単位を有する高分子化合物に、プロトン伝導性基が導入されてなる炭化水素系電解質が例示できる。
(芳香族単位を有する高分子化合物)
このような芳香族単位を有する高分子化合物とは、文字通り、当業者にとって従来公知の芳香族単位を有する高分子化合物であればよく、例えば、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリスルホン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルスルホン、スチレン−(エチレン−ブチレン)スチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シアン酸エステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン−ポリスチレングラフト共重合体、ポリエチレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−グリシジルメタクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−エチルアクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、ポリプロピレン−(アクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体、ポリカーボネート−ポリスチレングラフト共重合体、ポリカーボネート−(アクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体、酢酸ビニル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、アクリル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、モディパーシリーズ(日本油脂株式会社製、登録商標)、エポフレンドシリーズ(ダイセル化学株式会社製)などが例示される。
特に、化学的安定性および熱的安定性や、プロトン伝導性置換基の導入のし易さ、得られるプロトン伝導性高分子電解質のプロトン伝導性、さらに得られプロトン伝導性高分子電解質膜のメタノール遮断性、などを考慮すると、前記芳香族単位を有する高分子化合物としては、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリフェニレンサルファイドからなるポリマーの群より選択される、少なくとも1種のポリマー、それらのポリマーを含む共重合体、及びそれらのポリマーの誘導体から選択される1種のポリマー、又はこれらポリマーの混合物であることが好ましい。
(高分子フィルムにプロトン伝導性基を導入)
さらに、高分子フィルムにプロトン伝導性基を導入することで、プロトン伝導性基を含む高分子電解質をその膜中に形成し、プロトン伝導性高分子電解質膜とすることが、簡便かつ生産性が高いので好ましい。その導入方法としては、公知の方法を使用できるが、高分子フィルムとプロトン伝導性基導入剤とを接触させる方法、特に、高分子フィルムを有機溶媒存在下でプロトン伝導性基導入剤と接触させる方法が、優れたプロトン伝導性及び高いメタノール遮断性を両立する高分子電解質膜が得られることから好ましい。
(骨格部分、電解質部分)
具体的には、芳香族単位を有する高分子化合物と、芳香族単位がない高分子化合物と、を含む高分子フィルムに、プロトン伝導性基を導入することでプロトン伝導性基を含む高分子電解質をその膜中に形成し、プロトン伝導性電解質膜を形成することが好ましい。このようなプロトン伝導性電解質膜においては、芳香族単位を有する高分子化合物部分にスルホン酸基などのプロトン伝導性基が導入されて、その部分がプロトン伝導性基を含む高分子電解質となる一方で、芳香族単位がない高分子化合物部分にはプロトン伝導性基が導入されない。従って、このような電解質膜は、全体に亘ってスルホン酸基などの親水性のプロトン伝導性基が導入されている高分子電解質を含むにも関わらず、その骨格部分はプロトン伝導性基が導入されていない部分となるので、水やメタノール水溶液に対して膨潤しにくい構成となり、高いメタノール遮断性を有する電解質膜となる。
つまり、このようなプロトン伝導性電解質膜は、芳香族単位がない高分子化合物中に芳香族単位を有する高分子化合物が分散されている構造となっていることが好ましく、より好ましくは数μm〜数10μmの芳香族単位を有する高分子化合物の島が、芳香族単位がない高分子化合物の海に分散されてなる海島構造である。この際、芳香族単位を有する高分子化合物が分散あるいは相溶しすぎると、芳香族単位がない高分子化合物の膨潤抑制効果が低下する怖れがあり、逆に芳香族単位を有する高分子化合物の分散状態が著しく悪いと、高分子電解質膜とした場合に、プロトン伝導性が不十分になったり、メタノール遮断性が不十分となったりする怖れがある。
(芳香族単位を有しない高分子化合物)
前記芳香族単位を有しない高分子化合物とは、文字通り構造中に芳香族単位を一切有しない化合物のことを意味し、高分子化合物中に芳香族単位が含まれているか否かは、NMR等の公知の方法により容易に確認することができるために、「芳香族単位がない高分子化合物」および「芳香族単位を有する高分子化合物」を当業者は容易に理解し得る。
かかる芳香族単位がない高分子化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテンなどのα−オレフィンの単独重合体またはこれらの共重合体などを含むポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂などの環状ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン共重合体などを含む塩化ビニル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などを含むポリアミド樹脂、および、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エキサフルオロプロピレン共重合体;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライドなどのフッ素系樹脂などが例示される。
前記芳香族単位がない高分子化合物は、他の高分子化合物成分に対する相溶性や分散性、高分子フィルムを製造する際の加工性や得られる高分子フィルムのハンドリング性、さらにはそれから得られる電解質膜のメタノール遮断性、化学的安定性、および熱的安定性などを考慮すると、下記一般式(1)の繰り返し単位を有する高分子化合物から選択される1種のポリマー、またはこれらの混合物であることが特に好ましい。
Figure 2008112648
(一般式1中、X14は、H、CH3、Cl、F、OCOCH3、CN、COOH、COOCH3、及びOC49、からなる群から選択されるいずれかであって、X14は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
さらに、工業的入手の容易さや、得られる高分子フィルムの機械的特性やハンドリング性、得られる電解質膜のプロトン伝導性やメタノール遮断性、化学的安定性などを考慮すると、前記芳香族単位がない高分子化合物は、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンおよび/またはポリメチルペンテンを含むことが好ましい。また高分子フィルムの製造に通常用いられる、各種添加剤、例えば相溶性向上のための相溶化剤、樹脂劣化防止のための酸化防止剤、フィルムとしての成型加工における取り扱いを向上するための帯電防止剤や滑剤などは、電解質膜への加工性や性能に影響を及さない限りにおいて、適宜用いられ得る。特に異なる材料を組み合わせて高分子樹脂フィルムを製造する場合には、互いの相溶性を上げるために相溶化剤を用いることが好ましい。
(燃料電池用触媒)
前記触媒層に含まれる触媒としては、燃料電池の電極反応に活性なものが好ましく、その場合に必要な機能としては、カソード側では酸化剤(酸素や空気など)の還元能、アノード側では、燃料(メタノールや水素など)の酸化能であり、具体的には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、活性炭、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブなどの高表面積の導電性材料に、白金などの貴金属触媒が担持されたもの、あるいは白金ブラックなどの貴金属触媒そのものが使用される。また、カソード側触媒は、還元能の向上、触媒金属の安定化、あるいは長寿命化のために白金と鉄、錫、希土類元素等の金属などからなる複合あるいは合金触媒とすることもできる。さらに、アノード側触媒は、燃料酸化時の副生成物である一酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類などによる触媒被毒を抑制するため、白金の代わりに、白金とルテニウムなどからなる複合あるいは合金触媒、あるいは、安定化や長寿命化のために、鉄、錫、希土類元素等を含めた多元系触媒とすることもできる。
(高分子フィルムの製法)
上述した高分子フィルムの製造方法としては、公知の方法が適宜使用され得るが、例えば、インフレーション法、Tダイ法などの溶融押出成形、カレンダー法、キャスト法、切削法、エマルション法、ホットプレス法、などが例示される。これらの方法の中でも、生産性や、得られる高分子フィルムの機械的特性、フィルムの厚み制御のし易さ、種々の樹脂への適用性、環境への負荷などを考慮すると、溶融押出成形が好ましい。
また、高分子フィルムに対して、延伸などの処理を施すことで分子配向を制御したり、熱処理を施すことで結晶化度を制御したりしてもよい。また、高分子フィルムに各種フィラーを添加したり、高分子フィルムとガラス不織布などの補強剤とをプレスにより複合化させたりすることで、機械的強度を向上させてもよい。
具体的には、高分子フィルムの材料を、Tダイがセットされた押出機に投入し、溶融混練しながらフィルム化を行なう方法が適用され得る。さらに、芳香族単位を有しない高分子化合物のペレットやパウダーを所定の配合比で予め混合し、同様に溶融混練しながらフィルム化を行う方法が適用できる。このとき、使用する押出機が二軸押出機であれば、これらの成分を溶融して均一に分散させた高分子フィルムを得ることができる。また、予め所定の配合比になるように二軸押出機で溶融混練したペレットを使用してフィルム化を実施しても構わないし、マスターバッチ化したペレットを使用して、所定の配合比になるように溶融混練しながらフィルム化しても構わない。また、組み合わせる成分の分散性に問題がない場合には、Tダイをセットした単軸押出機でフィルム化を実施しても構わない。
(高分子フィルムの厚み)
製造される高分子フィルムの厚さは、用途に応じて任意の厚さを選択することができる。例えば、高分子フィルムから得られる高分子電解質膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、高分子フィルムの厚みは薄い程よい。一方、得られた高分子電解質膜のメタノール遮断性やハンドリング性を考慮すると、高分子フィルムの厚みは薄すぎると好ましくない場合がある。これらを考慮すると、高分子フィルムの厚みは、1.2μm以上350μm以下であることが好ましい。前記高分子フィルムの厚さが前記数値の範囲内であれば、フィルム化が容易であり、かつプロトン伝導性基を導入する際の加工時や乾燥時にもシワが発生しにくい。また、破損が生じ難いなどハンドリング性が向上する。また、得られた高分子電解質膜のプロトン伝導性も所望の範囲で発現させることができる。
(プロトン伝導性)
プロトン伝導性高分子電解質膜に含まれる高分子電解質の前記プロトン伝導性基の含有に由来するイオン交換容量は、好ましくは0.3ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.5ミリ当量/g以上である。前記イオン交換容量が0.3ミリ当量/g以上であれば、この高分子電解質を含む高分子電解質膜は好ましいプロトン伝導性を発現し易くなる。
(プロトン伝導性基導入剤)
プロトン伝導性基の導入に用いられるプロトン伝導性基導入剤としては、スルホン化剤が好ましく利用され得る。有機溶媒存在下で高分子フィルムとプロトン伝導性基導入剤とを接触させることで、プロトン伝導性基導入剤が高分子フィルムと直接接触し過度の反応が生じてフィルムが劣化するのを抑制しつつ、所望量のスルホン酸基を導入することが可能となる。
このようなスルホン化剤としては、例えば、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェート等の公知のスルホン化剤を用いることができるが、工業的入手の容易さやスルホン酸基の導入の容易さや得られる高分子電解質膜の特性を考慮すると、クロロスルホン酸単体またはクロロスルホン酸を含む混合物を用いることが好ましい。つまり、スルホン化剤がクロロスルホン酸であると、プロトン伝導性基であるスルホン酸基が導入しやすく、高いプロトン伝導性を有する高分子電解質膜を得やすくなる。
(有機溶媒)
前述した高分子フィルムをプロトン伝導性基導入剤と接触する際に用いる有機溶媒としては、例えば、プロトン伝導性基導入剤であるスルホン化剤を分解することなく、芳香族単位へのスルホン酸基導入を阻害せずに、高分子フィルム中の熱可塑性高分子や酸化防止剤の分解などの劣化を引き起こさないようなものであれば使用可能である。有機溶媒を使用することによって、高分子フィルムが膨潤しやすくなり、フィルム内部までプロトン伝導性基導入剤を拡散させることができる。
プロトン伝導性基導入剤としてスルホン化剤を用いる場合には、スルホン酸基の導入のしやすさや良好な特性の高分子電解質膜が得られることから、前記有機溶媒としてハロゲン化炭化水素を用いることが好ましく、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロフォルム、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1,4−ジクロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、クロロシクロヘキサンなどを挙げることができる。特に、工業的な入手の容易さやスルホン酸基の導入のしやすさ、得られる電解質膜の特性を考慮すると、これらのハロゲン化炭化水素の中でも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン及び1−クロロブタンからなる群から選択される少なくとも1種を含む有機溶媒であることが好ましい。その中でも、ジクロロメタンまたは1−クロロブタンが、得られる高分子電解質膜のプロトン伝導性及びメタノール遮断性が両立できるので特に好ましい。
(スルホン化剤量)
このようなスルホン化剤の使用量としては、高分子フィルムに対して、0.1倍量以上100倍量以下(重量比)、さらには0.5重量以上50倍量以下(重量比)であることが好まし、良好な特性の高分子電解質膜が作成できる。すなわち、スルホン酸基を好適な範囲で導入できるので、充分なプロトン伝導性、親水性を高分子電解質膜に付与しつつ、高分子フィルムそのものが化学的に劣化することを防止できので、メタノール遮断性を維持しつつ、機械的強度の低下が防止されハンドリングが容易な、実用的な特性を有する高分子電解質膜を作成できる。
また、有機溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や温度や時間等の反応条件を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、スルホン化剤と高分子フィルム中の芳香族単位とが接触しやすく、所望のスルホン酸基量を導入できることから0.05重量%以上20重量%以下であることが好ましく、また、導入に要する時間を短時間にし、スルホン酸基を高分子フィルム全体に亘って均一に導入でき、かつ、得られる高分子電解質膜の機械的を確保することができるので、より好ましい範囲は、0.2重量%以上10重量%以下である。
(スルホン化温度・時間)
高分子フィルムとスルホン化剤とを接触させる際の反応温度は、0℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上30℃以下がさらに好ましい。反応温度が、0℃以上であれば、設備上冷却等の措置が必要でなく、反応に必要以上の時間がかかることを防止できる。また100℃以下であれば、反応を適切に調節することができ、副反応の発生を防止でき、膜の特性を低下させる問題を回避できる。さらに、高分子フィルムとスルホン化剤とを接触させる際の反応温度は、使用する有機溶媒の沸点以下であることが、耐圧容器を用いる必要がないために好ましい。
また、高分子フィルムとスルホン化剤とを接触させる際の反応時間としては、その下限として0.5時間以上が好ましく、2時間以上がさらに好ましく、上限として100時間以下が好ましい。反応時間を0.5時間以上とすると、スルホン化剤と高分子フィルム中の芳香族単位とが充分に接触するので、所望量のスルホン酸基を導入することができ、また、反応時間を100時間以下とすることで、生産性を損なうことなく、良好な特性の高分子電解質膜を作製することができる。なお実際には、使用するスルホン化剤や有機溶媒などの反応雰囲気、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有する高分子電解質膜を効率的に製造することができ反応条件を適宜設定すればよい。
(触媒層形成材料)
前述した触媒層形成材料は、少なくとも前記高分子電解質と前記燃料電池用触媒とを含む混合物であり、また、これら相互の分散状態を向上させるために分散剤が、さらに、最終的に燃料電池の性能を向上させるために、撥水剤が、含まれていてもよい。その形態は、特に限定されず、固体の混合物、あるいは混合分散液であってもよいし混合溶液であってもよい。とくに、混合分散液あるいは混合溶液の場合は、取り扱いが容易であることから好ましい。このような触媒層形成材料である混合分散液あるいは混合溶液中の高分子電解質の濃度としては、触媒層形成材料としての取り扱いが容易であることから、1wt%以上、90wt%以下であることが好ましく、より好ましくは1wt%以上、75wt%以下、特に好ましくは1wt%以上、50wt%以下である。1wt%未満では、触媒層形成材料の粘度が小さくなるので、触媒層自体の形成が困難であり、90wt%より大きい場合では、触媒層形成材料の粘度が大きくなるので、触媒層を均一にの形成することが困難になるである傾向がある。
混合分散液あるいは混合溶液とするために用いる溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、シクロヘキサン、ヘキサン、あるいはエーテルが好ましい。
触媒層形成材料に混合させる高分子電解質の前述したプロトン伝導性置換基の含有に由来するイオン交換容量は好ましくは0.1ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.3ミリ当量/g以上である。イオン交換容量が0.1ミリ当量/gよりも低い場合には、所望のプロトン伝導度を形成した触媒層が発現しない傾向がある。
このような触媒層形成材料に混合させる高分子電解質の混合前の形態としては、前述した触媒層形成材料を混合分散液あるいは混合溶液とするために用いられる溶媒に溶解あるいは分散させ高分子電解質溶液あるいは高分子電解質分散液としておくことが取り扱いが容易であるので好ましい。
前記分散剤としては、、C1−6アルコール、グリセリン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチルカーボネート、エチレンカルバメート、プロピレンカルバメート、ブチレンカルバメート、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジフルオロベンゼン、スルホラン、あるいは界面活性剤を用いることができる。
前記撥水剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、あるいはポリフルオロエチレンとポリフルオロプロピレンとの共重合体などを用いることができる。
前記触媒層形成材料の製造方法は、特に限定されないが、上述した各材料を、スターラー等を用いて混合する方法、ボールミル等で混合する方法、回転子を用いて混合する方法、超高圧で噴射することによって混合する方法、あるいはホモジナイザーを用いて混合する方法などいずれかを1つ以上の方法を用いることができる。
(触媒層形成方法)
触媒層の製造方法としては、前記触媒層形成材料をドクターブレードやロールコーター、スクリーン印刷、スプレーなどでポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム等の剥離フィルムあるいは前記拡散層上に堆積させ、乾燥して溶媒と水を除去する方法が用いられる。形成した触媒層のひび割れを防ぐため、塗布、溶媒の除去作業は数回に繰り返して行うことが有効である場合がある。
(拡散層)
このような拡散層としては、導電性を有するカーボン繊維の不織布であるカーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス等を用いることができ、燃料あるいは酸化剤の拡散性を制御するために、その表面に撥水剤を備えていることが好ましく、カーボンと撥水剤とを含む粒子層を備えていることがさらに好ましい。
(膜電極接合体製造方法)
膜電極接合体の製造方法としては、たとえば、触媒層が形成された剥離フィルムを高分子電解質膜の両面に配置し、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して加熱圧接したのちに剥離フィルムを取り除き、前記触媒層上に拡散層を配置させる方法、あるいは、触媒層が形成された拡散層をプロトン伝導性高分子膜の両面に配置し、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して加熱圧接する方法が好ましい。
前記加熱圧接時の温度は、使用する高分子電解質膜や触媒層に含まれる高分子電解質の種類に応じて設定される。すなわち、前記加熱圧接温度としては、前記高分子電解質膜に実質的に含まれる高分子化合物の各軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、例えば、芳香族単位を有する、および芳香族単位がない高分子化合物からなる高分子電解質膜の場合には夫々の軟化点の内の最低軟化点に対して、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下とすることが好ましい。加熱温度が最低軟化点−30℃未満の場合では、前記膜と前記電極、例えば触媒層との間に十分な接着力がえられず、界面抵抗が増加する恐れがある。また、加熱温度が最低軟化点+10℃より高い場合では、前記膜が劣化するので好ましくない。
前記加熱圧接の圧力としては、その最高圧力が0.1MPa以上20MPa以下とすることが、高分子電解質膜と触媒層とが十分に接着するとともに、材料の特に大きな変形による特性低下が起こらないため、好ましい。最高圧力が、この範囲より大きい場合、触媒層が崩壊し、有効に機能しない恐れがあり、この範囲より小さい場合、十分な接着力がえられず、界面抵抗が増加する恐れがある。
(軟化点測定法)
なお、上述した前記高分子電解質膜を構成する各高分子化合物の軟化点は、一般的な熱分析から測定することができ、たとえば、動的粘弾性の貯蔵弾性率、および損失弾性率の変曲点、あるいは動的粘弾性の損失正接の極大値から求めることができる。
(燃料電池)
このようにして作製した前記膜電極接合体を、燃料を送り込むための流路が形成されたセパレーターなどの部材と、酸化剤を送り込むための流路が形成されたセパレーターなどの部材と、の2個一対の部材の間に挿入することにより燃料電池を形成することができる。前記セパレーターとしては、特に限定されず、例えばカーボングラファイトやステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。なお、ステンレス鋼などの金属製材料をセパレーターとして使用する場合には、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。そして、燃料を供給した側の電極がアノード側電極として機能し、その燃料としては、例えば、液体のメタノールなどを用いることができ、酸化剤を供給した側の電極がカソード側電極として機能し、その酸化剤としては、酸素あるいは空気などを用いることができる。前記カソード側に供給される酸化剤としては、水で加湿されていても良いが、カソードのフラッディング現象を抑制できることから無加湿の酸化剤を用いることが好ましい。
メタノールなどの液体燃料を供給する量は、特に限定されないが、定常運転時における電極反応に必要な量であることが好ましい。たとえば、0.5A/cm2の電流密度を流す場合では、単位電極面積あたり、2.5×10-4mol/minのメタノール量を供給することが好ましい。さらに、たとえば、定常運転時に電流密度を1.0A/cm2に増大させる場合は、単位電極面積あたり、5.0×10-4mol/minのメタノール量を供給することが好ましく、電流密度の増大に伴って、メタノール供給量を増加させることが好ましい。燃料の供給は、常に電極に供給しても、燃料が不足したときに、所定の定常運転の時間に応じた量だけ供給してもよい。
酸素などの気体の酸化剤を供給する量は、特に限定されないが、定常運転時における電極反応に必要な量であることが好ましい。たとえば、0.5A/cm2の電流密度を流す場合では、単位電極面積あたり、3.8×10-4mol/minの酸素量を供給することが好ましい。たとえば、定常運転時に電流密度を1.0A/cm2に増大させる場合は、単位電極面積あたり、7.6×10-4mol/minの酸素量を供給することが好ましく、電流密度の増大に伴って、酸素供給量を増加させることが好ましい。
空気を供給する量は、特に限定されないが、定常運転時における電極反応に必要な量が好ましい。たとえば、0.5A/cm2の電流密度がながれた場合では、単位電極面積あたり、空気に含まれる酸素量3.8×10-4mol/minを供給することが好ましい。さらに、たとえば、定常運転時に電流密度が1.0A/cm2の電流密度に増大させる場合は、単位電極面積あたり、空気に含まれる酸素量を7.6×10-4mol/minにすることが好ましく、電流密度の増大に伴って、空気供給量を増加させることが好ましい。
酸化剤の供給は、常に電極に供給しても、酸化剤が不足したときに、所定の定常運転の時間に応じた量だけ供給してもよい。
供給する燃料および酸化剤の温度は、特に限定されないが、0℃以上、前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質の分解温度未満であることが好ましい。0℃未満の場合は燃料および酸化剤に含まれる水が凍結すること、および/または前記膜電極接合体が凍結することによって、前記膜電極接合体が劣化するので好ましくない。前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質の分解温度以上の場合では前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質分解するので好ましくない。
本発明に用いる燃料および酸化剤の供給する方向は、特に限定されず、対向流でも良いし、平交流でも良く、電極反応に必要な量を電極に供給できればよい。
なお、このような固体高分子形燃料電池は単独でも、あるいは複数積層してスタックを形成しても使用でき、それらを組み込んだ燃料電池システムとすることもできる。
(開回路電位測定)
このようにして作製した燃料電池の開回路電位を測定することで、用いた膜電極接合体の特性が評価ができる。具体的には、作製した燃料電池の単セルでの燃料を供給した電極の電位に対する酸化剤を供給した電極の電位の電位差を、100℃以下で、無負荷で、アノードに燃料としてメタノール、カソードに酸化剤として酸素あるいは空気を供給した後に、それぞれが充分にいき渡るように1分以上放置した後、測定することで開回路電位を測定することができる。
開回路電位の測定は、たとえば、前記燃料電池を電子負荷器に接続し、前記電子負荷器を無負荷状態に設定し、前記電子負荷器によって検出された電位を読みとることによって測定することができる。電子負荷器は、直流電源が搭載されていても、一般的な燃料電池評価装置に搭載されているものでも良い。
(開回路電位のメタノール濃度依存性)
前記開回路電位の測定において、アノードに供給するメタノールの濃度を、例えば、1mol/L、5mol/L、および10mol/Lとして順次測定し、つぎにx軸にメタノール濃度、y軸に開回路電位をプロットし、最後に、例えば、最小自二乗法で傾きを算出することによって開回路電位のメタノール濃度依存性を求めることができる。
本発明の膜電極接合体は、燃料に用いるメタノール濃度の増大にともなう前記接合体を備える直接メタノール型燃料電池の単セルの開回路電位の低下が、0.00V/(mol/L)以上、0.02V/(mol/L)以下であることが好ましい。メタノール濃度が高くなるに従って、高分子電解質膜のメタノール透過量が多くなるので、前記低下が0.00V/(mol/L)より低くなることはない。また、前記開回路電位の低下が0.02V/(mol/L)より大きい場合は、メタノール濃度が高くなるに従って、メタノール透過量が多いということである。すなわち、高濃度メタノールを供給した場合の前記燃料電池の発電特性が低下するので好ましくない。
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であり、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
<電解質膜の作製>
まず、前記芳香族単位を有する高分子化合物としてポリフェニレンサルファイド(大日本インキ化学工業株式会社製、LD10p11)を、前記芳香族単位がない高分子化合物として高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、HI−ZEX 3300F)を使用し、高分子フィルムを作製した。
具体的には、ポリフェニレンサルファイドのペレット50重量部と、高密度ポリエチレンのペレット50重量部とをドライブレンドしたペレット混合物を、スクリュー温度290℃、Tダイ温度290℃の条件で、Tダイをセットした二軸押出機により、溶融押出成形し、その高分子フィルム中に高密度ポリエチレンを50重量%含有する膜厚84μmの高分子フィルムを作製した。このようにして作成した高分子フィルムは、実際には、主に芳香族単位を有する高分子化合物であるポリフェニレンサルファイド部分と、主に芳香族単位がない高分子化合物である高密度ポリエチレン部分とに相分離して高密度ポリエチレン部分からなる海と、ポリフェニレンサルファイド部分からなる島とからなる海島構造を為していた。
次に、このようにして作成した高分子フィルムにプロトン伝導性基としてスルホン酸基を導入することで高分子電解質膜を作成した。具体的には、まず、ガラス容器に、ジクロロメタン905g、クロロスルホン酸18.0gを秤量し、2重量%のクロロスルホン酸溶液を調製し、このクロロスルホン酸溶液に、前記高分子フィルム2.1gを浸漬し、25℃で20時間放置することで、スルホン酸基を高分子フィルムの上述してポリフェニレンサルファイド部分の芳香族環に導入した。その後、このようにしてスルホン酸基を導入した高分子フィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄し、その後、の高分子フィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、順に相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置することで乾燥し、高分子電解質膜を得た。
<軟化点の測定>
高分子電解質膜の軟化点を、以下の手順にて動的粘弾性の貯蔵弾性率を測定することによって求めた。まず、前記膜を動的粘弾性測定装置(RSA3、ティー・エイ・インスツルメント株式会社製)に設置し、つぎに、測定条件(25℃から3℃/min.の加熱、周波数:1Hz、ひずみ量:0.15%)で、動的粘弾性の貯蔵弾性率を測定し、最後に、最初に現れた貯蔵弾性率の変曲点から軟化点を求めた。実施例1で作製した高分子電解質膜の軟化点は、120℃であった。
<アノード触媒層の作製>
まず、純水4.630gに白金−ルテニウム触媒担持カーボン粉末(TEC61E54、田中貴金属工業株式会社、モル比(白金:ルテニウム=1:1.5)、触媒担持量54重量%)0.463g、および電解質溶液としてナフィオンのアルコール溶液(DE521、5wt%、デュポン社製)4.123gを加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌することによってアノード触媒インクを作製した。つぎに、このアノード触媒インクをエアブラシで、カーボンペーパー製拡散層(SGL24BA、SGLカーボンジャパン株式会社製、50mm×50mm)に白金担持量1.0mg/cm2になるまで吹き付けた。最後に、それを150℃、1時間真空乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金担持量1.0mg/cm2のアノード触媒層形成拡散層を得た。
<カソード触媒層の作製>
まず、純水2.500gに白金触媒担持カーボン粉末(TEC10E50E、田中貴金属工業株式会社、触媒担持量50重量%)0.250g、および電解質溶液としてナフィオンのアルコール溶液(DE521、5wt%、デュポン社製)1.840gを加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌することによってカソード触媒インクを作製した。つぎに、このカソード触媒インクをエアブラシで、カーボンペーパー製拡散層(SGL24BA、SGLカーボンジャパン株式会社製、50mm×50mm)に白金担持量1.0mg/cm2になるまで吹き付けた。最後に、それを50℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金担持量1.0mg/cm2のカソード触媒層形成拡散層を得た。
<燃料電池用膜電極接合体の作製>
膜電極接合体を、加熱圧接機(テスター産業株式会社製)を用いて次の手順で作製した。SUS板、ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)、前記アノード触媒層形成拡散層(22mm×22mm)、前記高分子電解質膜、前記カソード触媒層形成拡散層(22mm×22mm)、ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)およびSUS板の順に積層した積層物を110℃に加熱した加圧板に設置し、9.8MPa、5分間保持の条件で加熱圧接することによって、膜電極接合体を得た。
<燃料電池セルの作製>
市販のPEFC用単セル(エレクトロケム社製)に、前記膜電極接合体を設置して燃料電池セルを組み立てた。まず、アノード側エンドプレート(集電体)、ガスフロープレート(カーボンセパレーター)、ポリテトラフルオロエチレンガスケット(0.15mm)、膜電極接合体、ポリテトラフルオロエチレンガスケット(0.15mm)、ガスフロープレート(カーボンセパレーター)、カソード側エンドプレート(集電体)の順に積層した。次いで、M3のボルトを用いて2Nmで締め付けることによって、燃料電池セルを作製した。
<直接メタノール型燃料電池の開回路電位および発電特性の測定>
このようにして作製した燃料電池の開回路電位、及び発電特性を、セル温度60℃にて、アノード側にメタノール水溶液、カソード側に無加湿の空気を供給しながら測定した。
発電特性は、アノード側に10moll―1メタノール水溶液を供給しながら測定した。結果を図1に示す。
また、開回路電位は、アノード側のメタノール水溶液濃度を、1moll―1、5moll―1、および10moll―1と変化させて、夫々の状態で安定化後測定した。開回路電位は、前記燃料電池を電子負荷器(PLZ164WA、菊水電子工業社製)に接続し、前記電子負荷器を無負荷状態に設定し、前記電子負荷器によって検出された電位を読みとることによって測定した。さらに、発電特性は、前記電子負荷器を用い、任意の電流を設定することにより、前記燃料電池を放電することによって測定した。
開回路電位の測定結果のメタノール濃度依存性として、x軸にメタノール濃度、y軸に開回路電位をプロットし、最小自二乗法で直線近似した場合の傾きを算出した。結果を表1に示す。メタノール濃度の増加に伴って、開回路電位は低下した。
Figure 2008112648
(比較例1)
高分子電解質膜として膜厚150μmのナフィオン115を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の膜電極接合体を作成し、また、実施例1と同様にしてその膜電極接合体を用いた直接メタノール型燃料電池を作成し、メタノール濃度増加に伴う開回路電位低下率、及び発電特性を測定した。結果を表1、及び図1に示す。
(比較例2)
加熱圧接の温度を150℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の膜電極接合体を作成し、また、直接メタノール型燃料電池のメタノール濃度増加に伴う開回路電位低下率、及び発電特性を測定した。しかし、この比較例2の膜電極接合体を用いた直接メタノール型燃料電池では、開回路電位自体の値が小さく、その低下率として意味のある値は得られず、また、発電特性も非常に悪い結果であった。
表1の実施例1、および比較例1の比較から、本発明の膜電極接合体を備えた実施例1の燃料電池の開回路電位の低下率は、比較例1の低下率と比べて小さく、実施例1の膜電極接合体が高メタノール濃度での適用にも適していることが判った。この結果は、各例の膜電極接合体に用いた高分子電解質膜のメタノール遮断性とも関係していると考えられる。
また、図1の実施例1と比較例1との比較から、本発明の膜電極接合体を備えた燃料電池は、比較例1の場合と比べて優れた発電特性を示すことが明らかとなった。
本発明にかかる膜電極接合体は、直接メタノール型燃料電池に代表される燃料電池をはじめとして、様々な産業上の利用可能性がある。
本発明の膜電極接合体を用いた直接メタノール型燃料電池の電流密度―出力密度曲線。

Claims (10)

  1. 高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含む膜電極接合体であって、該高分子電解質膜に含まれる高分子化合物の軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下の加熱温度で、該高分子電解質膜と該電極とが加熱圧接されたものであることを特徴とする膜電極接合体。
  2. 請求項1に記載の膜電極接合体であって、それを備える直接メタノール型燃料電池の単セルの開回路電位が、燃料として用いるメタノール濃度の増大にともなって、0.00V/(mol/L)以上、0.02V/(mol/L)以下の範囲で低下するものであることを特徴とする膜電極接合体。
  3. 前記高分子電解質膜が、少なくとも、芳香族単位を有する高分子化合物と芳香族単位がない高分子化合物とを含む高分子フィルムに、プロトン伝導性基が導入されてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の膜電極接合体。
  4. 前記芳香族単位を有する高分子化合物が、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド及び、それらの誘導体からなる群から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 前記芳香族単位が無い高分子化合物が下記一般式1からなる高分子化合物から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
    Figure 2008112648
    (一般式1中、X1〜X4は、H、CH3、Cl、F、OCOCH3、CN、COOH、COOCH3、及びOC49、からなる群から選択されるいずれかであって、X1〜X4は互いに独立で同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 前記芳香族単位が無い高分子化合物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される1種類以上の高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  7. 前記プロトン伝導性基がスルホン酸基を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の膜電極接合体。
  8. 高分子電解質膜、およびその両側に配置された電極を含む膜電極接合体の製造方法であって、該高分子電解質膜に含まれる高分子化合物の軟化点のうち最も低い温度を最低軟化点としたときに、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下の加熱温度で、該高分子電解質膜と該電極とを加熱圧接することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の膜電極接合体の製造方法であって、前記高分子電解質膜を溶融成型を含む工程により製造する方法を含むことを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜電極接合体を含むことを特徴とする燃料電池。
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