JP2008090206A - マスクブランクの管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】マスクブランクに関する情報をその製造段階から枚葉で管理するマスクブランクの管理システムを提供する。コストをより一層低減できる局所クリーン化を構築するのに好適なマスクブランクの管理システムを提供する。
【解決手段】基板上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、基板を研磨する工程、研磨された基板上に薄膜を成膜する工程、必要に応じてレジストを塗布する工程、等の工程を経て製造されるマスクブランクの管理システムであって、1個の収納ケースに1枚の基板ないしはマスクブランクを収納するとともに、前記マスクブランクに関する情報を該マスクブランクを収納する収納ケースに対応付けて管理する。また、基板ないしはマスクブランクを収納ケースに収納した状態で各工程間を移動させる。また、収納ケースは内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子デバイスの製造に使用されるフォトマスクの原版となるマスクブランクの管理システムに関する。
近年の電子デバイス、特に半導体素子や液晶モニター用のカラーフィルター或いはTFT素子等は、IT技術の急速な発達に伴い、一層の微細化が要求されている。このような微細加工技術を支える技術の一つが、転写マスクと呼ばれるフォトマスクを用いたリソグラフィー技術である。このリソグラフィー技術においては、露光用光源の電磁波乃至光波を転写マスクを通じてレジスト膜付きシリコンウエハー等に露光することにより、シリコンウエハー上に微細なパターンを形成している。このフォトマスクは通常、透光性基板上に遮光性膜を形成したマスクブランクにリソグラフィー技術を用いて原版となるパターンを形成して製造される。
ところで、一層の微細化の要求に伴い、フォトマスクを製造するための原版となるマスクブランクに対する品質の要求も厳しくなってきている。したがって、最近では、製造されたマスクブランク1枚毎の例えば光学特性(例えば光学濃度、反射率等)情報や欠陥(例えばピンホール、パーティクルの有無等)情報等の品質に関する情報を管理する必要性が出てきている。また、検出された欠陥の内容によっては、そのマスクブランクの各製造工程における履歴に関する情報を基に対処する必要があるため、製造されたマスクブランク1枚毎の各製造工程における製造条件等の履歴情報についても管理する必要性が出てきている。
また、マスクブランクの品質を向上させるためには、製造雰囲気の清浄度を上げることが必要不可欠である。さらに、マスクブランクの表面にパーティクル等の異物があると、形成されるパターンの欠陥の原因となるので、マスクブランクの表面には異物等が付着しないように清浄に保管される必要がある。
通常、フォトマスクブランクやフォトマスク、半導体装置等の製造はクリーンルーム内で行われるが、クリーンルーム全体を高い清浄度に保てるようにするためには、クリーンルームの建設費やランニングコストが膨大になると推測される。
そのような事情から、例えば米国では、SMIF(Standard Mechanical InterFace)に代表される清浄空間の局所化の開発が行われている。つまり、従来のクリーンルーム全体の清浄化という考え方から、クリーンルームにおける清浄空間の局所化(局所クリーン化)という考え方への転換が必要とされてきている。例えば特許文献1には、クリーンルーム内に設置した製造装置内を超清浄度に保つための局所クリーン化システムが開示されている。
特許第3697275号公報
前述したように、パターンの微細化の要求に伴い、フォトマスクを製造するための原版となるマスクブランクに対する品質の要求も一層厳しくなってきており、製造されたマスクブランクの品質に関する情報をマスクブランク納入先にも提供する必要性が出てきている。現状においても、製造されたマスクブランクの光学特性情報や欠陥情報等をマスクブランク納入先に提供することは行われているが、通常は、最終検査で合格したマスクブランクの基板を複数枚づつ収納ケース(出荷ケース)に収納して、収納されたマスクブランク1枚づつに付されたロット番号等の識別番号と夫々の光学特性情報や欠陥情報とを対応させることにより管理している。しかしながら、このような管理方法を採用すると、出荷ケースにマスクブランクを収納する段階で、各マスクブランクとその光学特性情報や欠陥情報とが間違いなく対応しているかどうかを確認する作業を行わなければならず、出荷作業が煩雑になる。
また、検出された欠陥の内容によっては、その原因究明のため製造工程の見直しなどの検討を要する場合が殆どであり、そのためにはそのマスクブランクの各製造工程における製造条件等の情報を基に対処する必要があるため、製造されたマスクブランク1枚毎の各製造工程における製造条件等の履歴情報についても管理する必要がある。従来はこのような履歴情報に関する管理、しかも枚葉管理は行われていなかったため、欠陥発生の原因の究明が十分に出来なかった。
また、近年の電子デバイスの高性能化に伴って、転写マスクに形成されるパターンも一段と微細化が要求されており、このような微細化パターンを形成するためにもマスクブランクの清浄度は極めて高いものでないと許容できなくなってきており、クリーンルームの清浄度に対する要求も厳しくなっている一方で、クリーンルームの建設費やランニングコストの低減を図ることも重要な課題である。上記特許文献1に開示されたようなクリーンルーム内に設置した製造装置内を超清浄度に保つための局所クリーン化システムも清浄空間の局所化(局所クリーン化)を実現する一つの方策としては有効であるものの、クリーンルームの建設費やランニングコストをより一層低減できるような局所クリーン化システムの実現も急務である。
本発明の目的は、第一に、マスクブランクに関する情報をその製造段階から枚葉で管理するマスクブランクの管理システムを提供することであり、第二に、コストをより一層低減できる局所クリーン化を構築するのに好適なマスクブランクの管理システムを提供することである。
本発明は前記課題を解決するために、以下の構成を有するものである。
(構成1)基板上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、基板を研磨する工程、研磨された基板上に薄膜を成膜する工程、必要に応じてレジストを塗布する工程、等の工程を経て製造されるマスクブランクの管理システムであって、1個の収納ケースに1枚の基板ないしはマスクブランクを収納するとともに、前記マスクブランクに関する情報を該マスクブランクを収納する収納ケースに対応付けて管理することを特徴とするマスクブランクの管理システムである。
(構成2)前記マスクブランクに関する情報を記録する情報記録手段を、前記マスクブランクを収納する収納ケースに取り付けることを特徴とする構成1記載のマスクブランクの管理システムである。
(構成3)マスクブランクに関する情報は、製造されたマスクブランクの品質情報及び/又は製造されたマスクブランクの各製造工程における履歴情報であることを特徴とする構成1又は2記載のマスクブランクの管理システムである。
(構成4)前記基板ないしはマスクブランクを前記収納ケースに収納した状態で各工程間を移動させることを特徴とする構成1乃至3の何れか一に記載のマスクブランクの管理システムである。
(構成5)前記収納ケースは、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター手段を備えることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載のマスクブランクの管理システムである。
(構成6)前記収納ケースは、必要な洗浄を施して再使用されることを特徴とする構成1乃至5の何れか一に記載のマスクブランクの管理システムである。
(構成7)前記収納ケースの洗浄回数及び/又は再使用回数を管理することを特徴とする構成6記載のマスクブランクの管理システム。
構成1にあるように、本発明は、基板上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、基板を研磨する工程、研磨された基板上に薄膜を成膜する工程、必要に応じてレジストを塗布する工程、等の工程を経て製造されるマスクブランクの管理システムであって、1個の収納ケースに1枚の基板ないしはマスクブランクを収納するとともに、前記マスクブランクに関する情報を該マスクブランクを収納する収納ケースに対応付けて管理することにより、マスクブランクに関する情報がその製造段階からそのマスクブランクと1対1で対応付けられるため、マスクブランクに関する情報をその製造段階から枚葉で管理することができる。
また、構成2にあるように、前記マスクブランクに関する情報を記録する情報記録手段を、前記マスクブランクを収納する収納ケースに取り付けて管理することにより、管理が容易にできるため好適である。この場合の情報記録手段は、たとえばICタグ、IDタグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、バーコードなどが挙げられる。
また、構成3にあるように、前記マスクブランクに関する情報は、例えば、製造されたマスクブランクの品質情報及び/又は製造されたマスクブランクの各製造工程における履歴情報である。上記品質情報とは、たとえば検査で合格した製品であるマスクブランクの光学特性情報や欠陥情報などである。また、上記履歴情報とは、たとえば各製造工程での具体的な製造条件等の情報である。
また、構成4にあるように、基板ないしはマスクブランクを前記収納ケースに収納した状態で各工程間を移動させることにより、基板ないしはマスクブランクを閉じられた空間内に保管しながら各工程間を移動させることができるので、欠陥発生の原因となるパーティクルなどの異物や汚染物質の付着等を有効に防止することができる。
また、構成5にあるように、前記収納ケースは、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター手段を備えることが好適である。前記収納ケースが内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できることにより、各製造工程間の移動時などにおいて基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管することができるので、欠陥発生の原因となるパーティクルなどの異物や汚染物質の付着等を有効に防止することができる。また、クリーンルーム内の限定された空間領域のみを高い清浄度に保ち、それ以外の領域では、専らこのような内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できる収納ケースを用いて移動させることにより、クリーンルームのコストをより一層低減可能な局所クリーン化の構築に好適である。
また、構成6にあるように、前記収納ケースは、必要な洗浄を施して再使用されることが望ましい。
この場合、構成7にあるように、前記収納ケースの洗浄回数及び/又は再使用回数を管理することにより、繰り返し使用する場合の収納ケースの適切な再使用、あるいはリサイクルシステムを構築することができる。
本発明に係るマスクブランクの管理システムよれば、マスクブランクの品質情報やその製造段階での履歴情報など、マスクブランクに関する情報をその製造段階から枚葉で管理することができる。
また、本発明によれば、コストをより一層低減できる局所クリーン化を構築するのに好適なマスクブランクの管理システムを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明を適用するマスクブランクの製造工程における製造装置等の配置の一例を平面で且つ模式的に示したものである。
図1にしたがってマスクブランクの製造工程を説明すると、図1の左から右に向かって順に、基板の研磨工程を実施する研磨ゾーン(領域)10、研磨された基板上に、転写パターンを形成するための薄膜の成膜工程を実施する成膜ゾーン(領域)20、前記成膜後、表面にレジストを塗布、乾燥してレジスト膜を形成するレジスト塗布工程を実施するレジスト塗布ゾーン(領域)30が配置されており、これにより基板研磨工程、成膜工程、レジスト塗布工程が順次実施されてマスクブランクが製造される。
上記研磨ゾーン10では、研磨装置11、洗浄を行う洗浄装置12等が配置され、さらに研磨後の基板検査を行う検査ブース13が配置されている。マスクブランクの基板としては、通常ガラス材料からなる透光性基板が用いられ、研磨工程を実施することにより、基板表面を所定の粗さの平滑面とする。
上記成膜ゾーン20では、研磨により表面が平滑とされた基板表面上に所定の薄膜を例えばスパッタリングにより成膜する場合の成膜装置21、成膜後の基板洗浄を行う洗浄装置22等が配置され、さらに成膜後の基板検査を行う検査ブース23が配置されている。勿論、スパッタリング以外の成膜法(例えばCVD法など)を用いる場合にはそれに応じた成膜装置が配置される。例えば、フォトマスク用のマスクブランクでは、基板上に、例えばクロム等の材質からなる遮光性膜、あるいは露光光に対する反射率を低減するためにクロム等の材質からなる薄膜上に酸化クロム等の薄膜(反射防止膜)を積層した遮光性膜が成膜される。また、位相シフトマスク用のマスクブランクでは、基板上に、所定の遮光性を有し且つ入射した露光光の位相を反転させるための例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、ハフニウムなどの金属、シリコン、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料からなる位相シフター膜が成膜される。さらに、位相シフター膜上に上記クロム等の材質からなる遮光性膜や、さらに酸化クロム等の薄膜(反射防止膜)を積層した遮光性膜を成膜してもよい。また、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光である極紫外(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いる反射型マスク用のマスクブランクでは、基板上に、露光光を反射する例えばモリブデンとシリコンの交互積層膜からなる多層反射膜、及び、露光光を吸収する例えばタンタル系材料からなる吸収体膜等が成膜される。
上記レジスト塗布ゾーン30では、マスクブランクによって使用するレジストの種類が通常異なるため、使用するレジストの種類に応じてレジストを塗布するための塗布装置(例えばスピンナー)31等が配置され、さらにレジスト塗布後の検査を行う検査ブース32が配置されている。なお、前記成膜後、レジスト膜を付けない場合もある。
また、図1に示す搬送路60は、内部に基板ないしはマスクブランクを収納した収納ケース100を上記各製造工程間を移動させるための搬送路である。この場合の搬送方法は、人による搬送、リニアモーター等を利用した自動化した機械的搬送など、特に限定されないが、例えばリニアモーター搬送によれば、収納ケース100の搬送中の振動を低減することができ、収納ケース100内部での発塵を抑制できるので、特に好適である。
また、上記各装置等の近傍に位置する受け渡しゾーン(領域)50は、各製造工程において、搬送路60上を移動してきた収納ケース100の受け渡しを行う領域(空間)である。
図2は本発明に用いる上記収納ケース100の一実施の形態を示すもので、1枚の基板ないしはマスクブランクを水平方向に収納保管できる1枚入りケースである。
かかる収納ケース100は、大きく分けると2つの部材、すなわち蓋101と本体ケース102とからなり、内部に1枚の四角形状の基板ないしはマスクブランク1が水平状態に収納される。
上記蓋101は、収納される基板ないしはマスクブランクの形状に合わせて、全体が四角形状に形成され、下方が開口している。一方、上記本体ケース102は、上記蓋101とほぼ同じ大きさの四角形状に形成されている。この本体ケース102の内側の各コーナーには保持部材103a〜103dが取り付けられており、基板ないしはマスクブランクの角部を上記保持部材103a〜103dに合わせて嵌め込むことにより、収納ケース内に収納された状態で動かないように固定することができる。蓋101と本体ケース102とは、蓋101の一側壁に取り付けられた固定具104を、本体ケース102の対応する位置に形成した切り欠き部(凹部)105に嵌め込むことにより一体的に固定できるように構成されている。なお、蓋101と本体ケース102とは、上記固定具104が取り付けられた側壁とは反対側の蓋101及び本体ケース102の側壁に取り付けられたヒンジ部(図示せず)によって回転自在に構成されており、上記固定具104を外すことにより、蓋101を開くことができるようになっている。
本発明は、上述したように、基板上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、基板を研磨する工程、研磨された基板上に薄膜を成膜する工程、必要に応じてレジストを塗布する工程、等の工程を経て製造されるマスクブランクの管理システムであって、1個の収納ケースに1枚の基板ないしはマスクブランクを収納するとともに、前記マスクブランクに関する情報を該マスクブランクを収納する収納ケースに対応付けて管理することを特徴とするものである。これにより、マスクブランクに関する情報がその製造段階からそのマスクブランクと1対1で対応付けられるため、マスクブランクに関する情報をその製造段階から枚葉で管理することができる。上記収納ケース100は、本発明に好適に用いることができる。
上記マスクブランクに関する情報を記録する情報記録手段としては、特に限定されるわけではないが、たとえばICタグ、IDタグ、RFIDタグ、バーコードなどが好ましく挙げられる。これらのタグは、前記マスクブランクを収納する収納ケース100に直接取り付けることにより、大容量の情報を記録することができ、しかも情報の書き込み、読み取りが簡単にできて、管理が容易に行えるからである。これらのタグは通常平面状のものであるため、収納ケース100の適当な箇所に直接貼り付けることにより取り付けることができる。また、これらのタグの形状や大きさは、取りつける収納ケース100の形状や大きさに応じて任意である。
また、前記マスクブランクに関する情報は任意であるが、例えば、製造されたマスクブランクの品質情報及び/又は製造されたマスクブランクの各製造工程における履歴情報である。上記品質情報とは、たとえば検査で合格した製品であるマスクブランクの遮光性膜の光学特性(光学濃度、反射率等)情報や位相シフター膜の光学特性(位相シフト量、透過率等)情報や、欠陥(ピンホール、パーティクルの有無や、それらのサイズ、位置等)情報などである。また、上記履歴情報とは、たとえば各製造工程での具体的な製造条件等(例えば、成膜条件、洗浄条件など)の情報である。もちろん、本発明はこれらの情報に限定される必要はなく、必要な情報を任意に加えて管理することができる。
また、本発明では、基板ないしはマスクブランクを前記収納ケース100に収納した状態で各工程間を移動させることが好ましい。これにより、基板ないしはマスクブランクを収納ケース100内部の閉じられた空間内に保管しながら各工程間を移動させることができるので、欠陥発生の原因となるパーティクルなどの異物や汚染物質の付着等を有効に防止することができる。
なお、製造過程(製造途中)あるいは製造後のマスクブランクを適当な保管庫で保管管理してもよいが、本発明によれば、基板ないしはマスクブランクを前記収納ケース100に収納した状態で保管管理することも可能である。また、製造工程で用いた収納ケースに該ケースで管理されたマスクブランク製品を収納した状態でそのまま出荷ケースとして用いることも可能である。
また、本発明では、前記収納ケース100は、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター手段を備えることが好適である。このように前記収納ケース100が内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できることにより、各製造工程間の移動時などにおいて基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管することができるので、欠陥発生の原因となるパーティクルなどの異物や汚染物質の付着等をより一層有効に防止することができるからである。
ここで、前述の図2に示す収納ケース100についてさらに説明すると、上記蓋101の内方の一コーナーには、外気と内気との通気孔106が穿設されており、この通気孔106を蓋101の内側から塞ぐようにフィルター部材107が取り付けられている。フィルター部材107は、内部にフィルターを保持し、また分割できて内部のフィルターの装着、取外しが可能なように構成されている。
従って、本実施の形態の収納ケース100においては、基板ないしはマスクブランク等の収納保管中に通気孔106から外気の侵入があっても、外気に含まれている化学物質等の異物はフィルター部材107によって収納ケース100内への進入が阻止されるため、基板ないしはマスクブランクを収納した時の清浄な雰囲気をそのまま長期間でも維持しながら保管することが出来る。
上記フィルター部材107に使用するフィルターとしては、例えば通常、クリーンルームで用いられるエアーフィルターを用いることができる。このようなフィルターとしては、HEPAフィルター(high efficiency particulate air filter)やULPAフィルター(ultra low penetration particulate air filter)を好ましく挙げることができる。HEPAフィルターは、高効率のエアーフィルターで、主にクリーンルームの空気浄化に用いられ、材質は主にガラス繊維製である。また、ULPAフィルターは、超LSI製造の微細化に伴って開発された超々高性能フィルターで、材質はガラス繊維製、フッ素系樹脂製が主である。フィルターの能力は、0.05μm以上のパーティクルを捕捉できるフィルターであることが好ましい。HEPAフィルターやULPAフィルター等のエアーフィルターの選択は費用対効果などを勘案して適宜選択することができる。実用上はHEPAフィルターを用いることができる。
また、特に化学物質による汚染を排除する必要がある化学増幅型レジスト膜を有するマスクブランクを収納保管する場合は、化学物質を吸着させる吸着シートを単独で或いは上記エアーフィルターと組み合わせて用いることが好ましい。このような吸着シートとしては、例えば、酸性化学物質や塩基性化学物質、有機物質などを吸着する活性炭シートを好ましく用いることができる。活性炭シート等の吸着シートの選択は費用対効果などを勘案して適宜選択することができる。実用上は活性炭シートを好ましく用いることができる。
このような化学増幅型レジストを汚染する、つまり化学増幅型レジストの所望の化学増幅効果を阻害(化学増幅効果が所望に比べて増進してしまい、或いは抑制されてしまい、所定のレジストパターンが形成されなくなること)する化学物質としては、酸性化学物質や塩基性化学物質が挙げられる。酸性化学物質としては、塩素イオンを含む物質、硫酸イオンを含む物質、リン酸イオンを含む物質、硝酸イオンを含む物質等が挙げられる。また、塩基性化学物質としては、化学増幅反応の触媒となる酸の機能を抑制乃至阻害(例えば失活)させるアンモニア、アミン類、アニリン類、ニトリル類などの窒素を含む化合物等が挙げられる。
上記収納ケース100のうちの少なくとも蓋101及び本体ケース102の材質は、例えばポリプロピレン、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチルサルファイト等の樹脂から適宜選択される。これらの中でも、ポリカーボネート或いはポリエステルが好ましい。このポリエステルとしては、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等は、アウトガス成分が少ないため好ましい。また、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合樹脂(ABS樹脂)なども好ましく用いることができる。なお、マスクブランクの保管中にチャージが溜まると、マスク製造過程において放電破壊を起こし、パターン欠陥となる場合があるので、たとえば収納ケースの構成樹脂にカーボン等を混ぜ込んで導電性を付与するようにしてもよい。
このように、前記収納ケース100は、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター部材107を備え、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管(例えばクラス1程度を確保)できることにより、各製造工程間の移動時などにおいて基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管することができるので、クリーンルーム内の限定された空間領域のみを高い清浄度に保ち、それ以外の領域では、専らこのような内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できる収納ケース100を用いて移動させることができる。これによって、クリーンルーム全体は例えばクラス100乃至10000程度の清浄度とするが、製造装置近傍の領域や前述の受け渡しゾーン50などの限られた空間領域のみを例えばクラス1程度の高い清浄度とすることが可能になり、クリーンルームのコストをより一層低減可能な局所クリーン化の構築に好適である。
なお、図2に示す収納ケース100はあくまでも一例の形態であって、本発明に用いる収納ケースはこれに限定される必要のないことは勿論である。また、蓋101と本体ケース102との接合部、つまり蓋101を本体ケース102に被せたときの蓋101の下方縁と本体ケース102の開口縁とが重なり合った接合部からの外気の進入も通常は考えられるが、図2の形態のように、蓋101に通気孔106を設けたことにより、外気の進入があってもこの通気孔106から優先的に進入するため、収納ケース内の汚染は十分に防止することができる。なお、蓋101を本体ケース102に被せたときの蓋101と本体ケース102との接合部に必要に応じて例えばゴム製のパッキン等を付設してもよい。
また、図2に示す収納ケース100では、通気孔106及びフィルター部材107を蓋101のコーナーの一箇所に設けているが、これに限定される必要は全くなく、収納するマスクブランク等に接触しないような箇所であればコーナーでなくてもよく、また、一箇所でなく複数箇所に設けてもよい。また、本形態のような蓋101の天板ではなく、本体ケース102側に設けてもよい。
また、本発明に用いる前記収納ケース100は、必要な洗浄を施して再使用されることが望ましい。この場合、収納ケース100の洗浄回数及び/又は再使用回数を管理することにより、繰り返し使用する場合の収納ケースの適切な再使用、あるいは収納ケースのリサイクルシステムを構築することができる。特に、前記収納ケース100を用いて、前述のクリーンルームの局所クリーン化を図るためには、収納ケース100の洗浄は必須である。
また、本発明は、レジスト膜を有するマスクブランクの管理に特に好適である。また、本発明は、正方形状のマスクブランク等に限らず、その他の形状、例えば円盤状の基板ないしはマスクブランクの管理にも適用できることは言うまでもない。
以下、参考までに、前記収納ケース100の特性試験結果を示す。
(1)振動試験
合成石英基板(大きさ152mm×152mm(6インチ角))上に、クロムターゲットを用いてスパッタ法でクロム(Cr)からなる遮光膜と、酸化窒化クロム(CrON)からなる反射防止膜の遮光性膜を1000Åの厚さに形成した。次いで、その遮光性膜上にスピンコート法でレジスト膜を4000Åの厚さに形成してレジスト膜付きマスクブランクを製造した。上記レジストとしてはポジ型の化学増幅型レジスト(FEP171:富士フィルム エレクトロニクスマテリアルズ社製)を用いた。
このようにして製造したマスクブランクを前述の図2に示す形態の収納ケース100に収納した。なお、収納ケース100の蓋101と本体ケース102の材質はポリメチルメタクリレートを用いた。また、フィルター部材107に装着するフィルターとしては、主に化学物質除去用の吸着シートとHEPAフィルターを組み合わせて使用した。収納ケース100内へのマスクブランクの収納作業は、活性炭フィルター及びULPAフィルターで清浄化されたクリーンルーム内で行った。
次に、このレジスト膜付きマスクブランクを収納した収納ケースの振動試験を行った。振動試験は、米軍規格MIL(Military Specifications and Military Standards)のMIL−STD−810Fに準拠した。なお、この振動試験は、クリーンルーム内での移動環境よりも過酷な一般車両環境を想定して行った。
振動試験後、上記収納ケースを上記と同様のクリーンルーム内で開封し、取り出したマスクブランクについて、マスクブランクス欠陥検査装置M3320(レーザーテック社製)を用いて主面上の付着異物による欠陥個数を測定した。評価は振動試験前の欠陥個数を予め測定しておき、これに対する振動試験後の欠陥個数の増加個数で行ったが、増加は認められなかった。
(2)保管テスト
(1)の場合と全く同様にして製造したレジスト膜付きマスクブランクを収納した収納ケース100を梱包袋に梱包した状態のものを複数準備し、これを室内(クリーンルームではない)で1日保管、1週間保管、1箇月保管した後、クリーンルーム内で開封し、取り出したマスクブランクにレジスト専用の現像液を使用して現像(現像温度20℃、60秒間スプレー現像)を行い、現像前のレジスト膜厚に対する現像後のレジスト膜厚の減膜量を測定した。その結果、1日保管、1週間保管、1箇月保管したもの、減膜量はほとんど変化せず7nm以下となり、後のマスク製造工程で特に問題となる減膜作用は生じていないことがわかった。また、マスクブランク表面の減膜量の分布も均一であり、実用上の問題は生じないことを確認した。つまり、レジスト膜付きマスクブランクの収納保管中に、前記ポジ型の化学増幅型レジスト膜を汚染するような物質が雰囲気中に殆ど存在しないことがわかる。
以上説明したように、図2に示す収納ケース100は、本発明のマスクブランクの管理システムに好ましく用いられ、特にクリーンルームの局所クリーン化を実現する観点から好適に用いることができる。
なお、上記実施の形態では、通気孔106内にフィルターを設ける収納ケース100を挙げて説明したが、これに限らず、たとえば通気孔106を設けずに吸着シートを収納ケース100内の適当な位置に保持できるようにしてもかまわない。
本発明を適用するマスクブランクの製造工程における製造装置等の配置の一例を平面で且つ模式的に示した図である。 本発明に用いる収納ケースの一実施の形態を示す外観斜視図である。
符号の説明
1 基板ないしはマスクブランク
10 研磨ゾーン
20 成膜ゾーン
30 レジスト塗布ゾーン
100 収納ケース
101 蓋
102 本体ケース
106 通気孔
107 フィルター部材

Claims (7)

  1. 基板上に転写パターンを形成するための薄膜を有するマスクブランクであって、基板を研磨する工程、研磨された基板上に薄膜を成膜する工程、必要に応じてレジストを塗布する工程、等の工程を経て製造されるマスクブランクの管理システムであって、
    1個の収納ケースに1枚の基板ないしはマスクブランクを収納するとともに、前記マスクブランクに関する情報を該マスクブランクを収納する収納ケースに対応付けて管理することを特徴とするマスクブランクの管理システム。
  2. 前記マスクブランクに関する情報を記録する情報記録手段を、前記マスクブランクを収納する収納ケースに取り付けることを特徴とする請求項1記載のマスクブランクの管理システム。
  3. マスクブランクに関する情報は、製造されたマスクブランクの品質情報及び/又は製造されたマスクブランクの各製造工程における履歴情報であることを特徴とする請求項1又は2記載のマスクブランクの管理システム。
  4. 前記基板ないしはマスクブランクを前記収納ケースに収納した状態で各工程間を移動させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のマスクブランクの管理システム。
  5. 前記収納ケースは、内部の基板ないしはマスクブランクを高清浄な雰囲気で保管できるように汚染物質を除去するためのフィルター手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のマスクブランクの管理システム。
  6. 前記収納ケースは、必要な洗浄を施して再使用されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のマスクブランクの管理システム。
  7. 前記収納ケースの洗浄回数及び/又は再使用回数を管理することを特徴とする請求項6記載のマスクブランクの管理システム。
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