JP2008068778A - 駆動車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量・コンパクト化と共に、分解・組立時の作業性を向上させて低コスト化を図り、結合部の周方向ガタをなくして信頼性と操縦安定性を図った駆動車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】一端部に車輪取付フランジ6を一体に有するハブ輪26に対して等速自在継手3の外側継手部材14がセレーション13、21を介してトルク伝達可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、ハブ輪26の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーション13が形成され、このセレーション13に係合するセレーション21が外側継手部材14の軸部20の外周に形成されると共に、ハブ輪26のアウター側の開口端部に耐食性を有する鋼板からプレス加工によって円筒状に形成されたパイロット環29が嵌合され、このパイロット環29に車輪を支持するパイロット部29bが形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車両の駆動車輪を回転自在に支承する駆動車輪用軸受装置に関するもので、特に、軸受部と等速自在継手とを着脱自在にユニット化すると共に、トルク伝達部の形状・寸法を厳密に規制せずに周方向のがたつきを抑え、信頼性と操縦安定性を図った駆動車輪用軸受装置に関する。
自動車等の車両のエンジン動力を車輪に伝達する動力伝達装置(アクスル部)は、エンジンから車輪へ動力を伝達すると共に、悪路走行時における車両のバウンドや車両の旋回時に生じる車輪からの径方向や軸方向変位、およびモーメント変位を許容する必要があるため、エンジン側と駆動車輪側との間に介装されるドライブシャフトの一端を摺動型の等速自在継手を介してディファレンシャルに連結し、他端を固定型の等速自在継手を含む駆動車輪用軸受装置を介して車輪に連結している。
近年、省資源あるいは公害等の面から燃費向上に対する要求は厳しいものがある。自動車部品において、中でも車輪軸受装置の軽量化はこうした要求に応える要因として注目され、強く望まれて久しい。従来から軽量化を図った車輪用軸受装置に関する提案は種々のものがあるが、それと共に自動車等の組立現場あるいは補修市場において、組立・分解作業を簡略化して低コスト化を図ることも重要な要因となっている。
図5に示す駆動車輪用軸受装置は、こうした要求を満たした代表的な一例である。この駆動車輪用軸受装置は、複列の転がり軸受51と等速自在継手52とを着脱自在にユニット化して構成されている。複列の転がり軸受51は、車体に取り付けるための車体取付フランジ53bを一体に有し、内周に複列の外側転走面53a、53aが形成された外方部材53と、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ54bを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面53a、53aに対向する内側転走面54a、54aが形成された内方部材54と、両転走面間に転動自在に収容された複列のボール55、55とを備えている。
等速自在継手52は、外側継手部材56と継手内輪57、ケージ58、およびトルク伝達ボール59とを備え、外側継手部材56は、カップ状のマウス部60と、このマウス部60の底部をなす肩部61と、この肩部61から軸方向に延びる中空状の軸部62を一体に有し、軸部62の外周には雄スプライン62aが形成されている。この雄スプライン62aは、内方部材54の内周に形成された雌スプライン54cに係合し、ドライブシャフト(図示せず)からの回転トルクが内方部材54を介して車輪取付フランジ54bに伝達される。
軸部62は最小限に短く形成され、内周に締結ボルト63が螺着する雌ねじ62bが形成されている。内方部材54の雌スプライン54cの外側端には肩部64が形成され、締結ボルト63の頭部63aがワッシャ65を介してこの肩部64に支持されている。そして、この締結ボルト63によって、外側継手部材56の肩部61が内方部材54の内側端面54dに圧接支持され、複列の転がり軸受51と等速自在継手52とが着脱自在にユニット化されている。したがって、外径が比較的大きい当接面によって内方部材54と軸部62の結合部に発生する曲げモーメントが良好に支持されているので、この曲げモーメントが両スプライン54c、62aに悪影響を与えることなく、回転トルクを伝達することができる。さらに、軸部62の軸方向の長さが肩部61の当接面の径に比べて小さいので、曲げモーメントは、両スプライン54c、62aに極僅かに作用するに過ぎない。
また、軸部62の軸方向の長さが図示しないディファレンシャル側の摺動型等速自在継手の摺動ストロークよりも短いため、締結ボルト63の支持位置に関係なく、等速自在継手52をディファレンシャルに向って軸方向に摺動させるだけで軸部62を内方部材54に脱着することができ、分解・組立作業が簡素化される。
特公平1−51369号公報
然しながら、こうした従来の駆動車輪用軸受装置は、軽量・コンパクト化を達成できると共に、分解・組立作業が簡素化できると言う特徴を備えているが、両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタを完全に防止することは難しい。これら両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタが大きいと車両の急加減速時等に異音が発生するだけでなく、両スプライン54c、62aの係合部が摩耗し、周方向ガタが増加して操縦安定性が低下する恐れがある。また、内方部材54の端面と外側継手部材56の肩部と当接させて締結ボルト63で緊締する構造であるので、外側継手部材56に大きなトルクが負荷され捩じれが生じた場合、当接面で急激なスリップによる、所謂スティックスリップ音が発生する。
ここで、軸部62の雄スプライン62aに捩れ角を設け、内方部材54の雌スプライン54cに圧入嵌合させてその両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタを殺すことも考えられるが、軸部62の雄スプライン62aに捩れ角を設けると、内方部材54への外側継手部材56の脱着作業が難しくなると言う問題が内在していた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化と共に、分解・組立時の作業性を向上させて低コスト化を図り、結合部の周方向ガタをなくして信頼性と操縦安定性を図った駆動車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介して内嵌された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記外側継手部材の軸部の外周に形成されると共に、前記ハブ輪に前記車輪を支持するパイロット部が形成されず、このパイロット部が当該ハブ輪に装着される別部材の一部に形成されている。
このように、一端部に車輪取付フランジを一体に有するハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手がねじ手段を介して着脱自在にユニット化され、ハブ輪に対して等速自在継手がセレーションを介してトルク伝達可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、ハブ輪の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成されると共に、外側継手部材の軸部の外周にハブ輪のセレーションに係合するセレーションが形成されると共に、ハブ輪に車輪を支持するパイロット部が形成されず、このパイロット部が当該ハブ輪に装着される別部材の一部に形成されているので、ガタのない強固な結合が実現でき、分解・組立時の作業性を向上させると共に、ハブ輪の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化を図った駆動車輪用軸受装置を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明のように、前記車輪取付フランジの外径面がフラットに所定の寸法に形成されると共に、この外径面に前記ブレーキロータが装着され、このブレーキロータの内径部に前記パイロット部が一体に形成されていれば、ハブ輪の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化を図ることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記別部材が、前記ハブ輪のアウター側の開口端部に嵌合された円筒状のパイロット環からなり、このパイロット環が耐食性を有する鋼板からプレス加工によって形成されていれば、結合部に外部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止することができ、結合部の密封性を向上させることができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、所定の軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記加締部の端面と前記外側継手部材の肩部との間に所定の軸方向すきまが介在するように前記ハブ輪と外側継手部材が結合されていれば、ねじ手段を強固に緊締することなく軸受予圧を長期間維持することができるセルフリテイン構造を提供することができると共に、外側継手部材に大きなトルクが負荷され捩じれが生じても、スティックスリップ音が発生することはない。
好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記加締部と肩部との間に形成される環状空間に弾性リングが介装されていれば、外部から雨水やダスト等が結合部に侵入するのを防止し、発錆による結合部の固着を防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介して内嵌された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記外側継手部材の軸部の外周に形成されると共に、前記ハブ輪に前記車輪を支持するパイロット部が形成されず、このパイロット部が当該ハブ輪に装着される別部材の一部に形成されているので、ガタのない強固な結合が実現でき、分解・組立時の作業性を向上させると共に、ハブ輪の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化を図った駆動車輪用軸受装置を提供することができる。
外周に車体に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介して内嵌された外側継手部材とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記軸部の端部に固定ナットが緊締され、この固定ナットによって前記外側継手部材とハブ輪が軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周にアウター側に向って小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記外側継手部材の軸部の外周に形成されると共に、前記ハブ輪のアウター側の開口端部に耐食性を有する鋼板からプレス加工によって円筒状に形成されたパイロット環が嵌合され、このパイロット環に前記車輪を支持するパイロット部が形成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置を含むアクスル部を示す縦断面図、図2(a)は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、(b)は、(a)の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
図1に示すアクスル部は、エンジン側と駆動車輪側との間に介装されるドライブシャフト4の端部に固定型の等速自在継手3と、この等速自在継手3に連結された駆動車輪用軸受装置とを備え、図示しないエンジンから車輪へ動力を伝達すると共に、車輪を回転自在に支承している。
この駆動車輪用軸受装置は、図2(a)に示すように、ハブ輪1と複列の転がり軸受2と等速自在継手3を着脱自在にユニット化した、所謂第3世代と称される構成を備えている。複列の転がり軸受2は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体(ボール)9、9とを備えている。外方部材7はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ7bを一体に有し、内周には複列の外側転走面7a、7aが形成されている。この複列の外側転走面7a、7aには、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
一方、内方部材8は、前記した外方部材7の外側転走面7a、7aに対向する複列の内側転走面1a、5aが形成されている。これら複列の内側転走面1a、5aのうち一方(アウター側)の内側転走面1aがハブ輪1の外周に形成されると共に、他方(インナー側)の内側転走面5aが内輪5の外周にそれぞれ一体に形成されている。この場合、内方部材8はハブ輪1と内輪5を指す。そして、複列の転動体9、9がこれら両転走面間にそれぞれ収容され、保持器10、10によって転動自在に保持されている。また、外方部材7の両端部にはシール11、12が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周に内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、この小径段部1bに内輪5が圧入されている。そして、内輪5は、ハブ輪1の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、予圧が付与された状態でハブ輪1に対して軸方向に固定されている。ハブ輪1の内周にはアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーション(またはスプライン)13が形成されている。そして、このセレーション13の小径側(アウター側)の端部に肩部1dが形成されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、アウター側のシール11が摺接するシールランド部から内側転走面1aおよび小径段部1bに亙る外周面および内周のセレーション13に高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。ここで、加締部1cは、鍛造加工後の表面硬さのままとされている。また、内輪5および転動体9は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで54〜64HRCの範囲で硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ6の基部となるシールランド部の耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪1の耐久性を向上させることができる。また、小径段部1bと内輪5との間の嵌合面に発生するフレッティング摩耗を最小限に抑えることができる。
なお、ここでは、ハブ輪1の外周に内側転走面1aが直接形成された第3世代構造の複列の転がり軸受2を例示したが、これに限らず、図示はしないが、ハブ輪に一対の内輪が圧入された第1または第2世代構造であっても良い。また、転動体9にボールを使用した複列のアンギュラ玉軸受からなる構成を例示したが、転動体9に円錐ころを使用した複列の円錐ころ軸受で構成されていても良い。
等速自在継手3は、外側継手部材14と継手内輪15とケージ16およびトルク伝達ボール17からなる。外側継手部材14は、カップ状のマウス部18と、このマウス部18の底部をなす肩部19と、この肩部19から軸方向に延びる軸部20とを有し、マウス部18の内周および継手内輪15の外周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝18a、15aがそれぞれ形成されている。また、外側継手部材14はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、トラック溝18a、15aをはじめ、肩部19から軸部20に亙る外周面に高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
外側継手部材14の軸部20の外周には、ハブ輪1のセレーション13に係合し、アウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーション(またはスプライン)21が形成されている。また、軸部20の端部には雄ねじ20aが転造加工によって形成されている。そして、肩部19と加締部1cの端面との間に所定の軸方向すきまδが介在するように外側継手部材14の軸部20がセレーション13、21を介してハブ輪1に嵌合されると共に、固定ナット22が軸部20の雄ねじ20aに緊締され、固定ナット22がハブ輪1の肩部1dに当接した状態でハブ輪1と外側継手部材14とが軸方向に分離可能に結合されている。
このように、本実施形態では、母線がテーパ状をなすセレーション13、21同士の嵌合のため、周方向のガタを殺すことができると共に、省スペースで効果的に嵌合長さを長くできる。すなわち、軽量・コンパクト化を図ることができると共に、ガタのない強固な結合が実現できる。また、肩部19と加締部1cの端面との間に軸方向すきまδが形成されているので、外側継手部材14に大きなトルクが負荷され捩じれが生じても、スティックスリップ音が発生することはない。
さらに、従来のようなパワープレス等の特殊な専用治具を必要とせず、軸部20の雄ねじ20aに固定ナット22を締め込むだけで外側継手部材14をハブ輪1に容易に引き込むことができる。本実施形態では、複列の転がり軸受2と等速自在継手3の結合部にこのような構成を採用したので、軽量・コンパクト化と共に、分解・組立時の作業性を向上させて低コスト化を図り、結合部の周方向ガタをなくして信頼性と操縦安定性を図った駆動車輪用軸受装置を提供することができる。
また、図2(b)に示すように、外側継手部材14における軸部20の基部20bの外周にOリング等からなる弾性リング23が装着されている。この弾性リング23は、加締部1cに弾性接触し、加締部1cと肩部19との間に形成される環状空間を液密的に閉塞している。これにより、スティックスリップ音が発生することなく、外部から雨水やダスト等の異物が結合部に侵入するのを防止することができる。したがって、異物侵入による結合部の発錆を防止し、この発錆によって結合部が固着するのを防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。
ここで、本実施形態は、ハブ輪1には車輪を支持するパイロット部が形成されておらず、図1に示すように、車輪取付フランジ6の外径面6aにブレーキロータ24が嵌挿されると共に、このブレーキロータ24の内径部に軸方向に延びる円筒状のパイロット部24aが形成され、このパイロット部24aに車輪(図示せず)が支持されている。すなわち、車輪取付フランジ6の外径面6aがフラットに所定の寸法に形成され、この外径面6aがブレーキパイロット部をなし、所定の径方向すきまを介してブレーキロータ24を案内支持している。
そして、車輪取付フランジ6の周方向等配にボルト孔6bが穿設されると共に、このボルト孔6bに雌ねじが形成され、ブレーキロータ24および車輪がハブボルト(図示せず)によって車輪取付フランジ6に締結される。なお、ブレーキロータ24のパイロット部24aにはエンドキャップ25が装着され、このエンドキャップ25によって結合部に外部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止している。
このように、本実施形態では、ハブ輪1に従来のようなパイロット部が形成されておらず、車輪取付フランジ6の外径面6aにブレーキロータ24が嵌挿されると共に、別体のブレーキロータ24に車輪を支持するパイロット部24aが形成されているので、軽量化と共に、ハブ輪1の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化を図ることができる。
図3は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は前述した第1の実施形態と基本的にはハブ輪の構成が一部異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
この駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪26と複列の転がり軸受27と等速自在継手3を着脱自在にユニット化した第3世代と称される構成をなしている。複列の転がり軸受27は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体9、9とを備え、内方部材28は、ハブ輪26と、このハブ輪26の小径段部1bに圧入された内輪5とからなる。
ハブ輪26は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6の周方向等配に車輪を固定するハブボルト6cが植設されている。また、内輪5は、ハブ輪26の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、予圧が付与された状態でハブ輪26に対して軸方向に固定されている。
本実施形態では、ハブ輪26のアウター側の開口端部にパイロット環29が装着されている。このパイロット環29は、耐食性を有する鋼板、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にてカップ状に形成されている。そして、パイロット環29は、底部29aと、この底部29aから軸方向に延び、ハブ輪26のアウター側の開口端部に嵌合される円筒状のパイロット部29bとを有している。
このように、本実施形態では、ハブ輪26に、図示しないブレーキロータおよび車輪を支持するパイロット部が形成されておらず、ハブ輪26のアウター側の端部に別体のパイロット環29が装着され、このパイロット環29のパイロット部29bによってブレーキロータおよび車輪を支持するように構成されている。これにより、軽量化が図れ、ハブ輪26の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化が図れると共に、このパイロット環29によって結合部に外部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止することができ、結合部の密封性を向上させることができる。
図4は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。なお、この実施形態は前述した第2の実施形態と基本的にはパイロット環の構成が異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同様の機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態では、前述した実施形態と同様、パイロット環30がハブ輪26のアウター側の開口端部に装着されている。このパイロット環30は、耐食性を有する鋼板、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。パイロット環30は、前述した固定ナット22の座面に当接してワッシャ機能をなす底部30aと、ハブ輪26の端部に嵌合され、底部30aから軸方向に延びる円筒部30bと、この円筒部30bから拡径して形成された円筒状のパイロット部30cとを有している。
このように、本実施形態では、ハブ輪26に、図示しないブレーキロータおよび車輪を支持するパイロット部が形成されておらず、ハブ輪26のアウター側の端部に別体のパイロット環30が装着され、このパイロット環30のパイロット部30cによってブレーキロータおよび車輪を支持するように構成されている。これにより、ハブ輪36の鍛造および切削加工が簡素化でき、加工工数を削減して低コスト化が図れる。また、このパイロット環30によって固定ナット22の緩みを防止すると共に、結合部に外部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止することができ、結合部の密封性を一層向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る駆動車輪用軸受装置は、ハブ輪を有する軸受部と等速自在継手とをセレーションを介してトルク伝達可能に連結し、ねじ手段により両者を着脱自在にユニット化した駆動車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る駆動車輪用軸受装置を含むアクスル部を示す縦断面図である。 (a)は、本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。(b)は、(a)の要部拡大図である。 本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 本発明に係る駆動車輪用軸受装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。 従来の駆動車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
符号の説明
1、26・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、5a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・・・・・加締部
1d、19・・・・・・・・・・・・肩部
2、27・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
4・・・・・・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・外径面
6b・・・・・・・・・・・・・・・ボルト孔
6c・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
7・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
7b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
8、28・・・・・・・・・・・・・内方部材
9・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
10・・・・・・・・・・・・・・・保持器
11、12・・・・・・・・・・・・シール
13、21・・・・・・・・・・・・セレーション
14・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
15・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
15a、18a・・・・・・・・・・トラック溝
16・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
17・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
18・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
20・・・・・・・・・・・・・・・軸部
20a・・・・・・・・・・・・・・雄ねじ
20b・・・・・・・・・・・・・・基部
22・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
23・・・・・・・・・・・・・・・弾性リング
24・・・・・・・・・・・・・・・ブレーキロータ
24a、29b、30c・・・・・・パイロット部
25・・・・・・・・・・・・・・・エンドキャップ
29、30・・・・・・・・・・・・パイロット環
51・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
52・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
53・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
53b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
54a・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
54b・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54c、62a・・・・・・・・・・セレーション
54d・・・・・・・・・・・・・・内側端面
55・・・・・・・・・・・・・・・ボール
56・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
57・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
58・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
59・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
60・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
61、64・・・・・・・・・・・・肩部
62・・・・・・・・・・・・・・・軸部
62b・・・・・・・・・・・・・・雌ねじ
63・・・・・・・・・・・・・・・締結ボルト
63a・・・・・・・・・・・・・・頭部
65・・・・・・・・・・・・・・・ワッシャ
δ・・・・・・・・・・・・・・・・軸方向すきま

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    等速自在継手を構成し、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介して内嵌された外側継手部材とを備え、
    この外側継手部材が前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された駆動車輪用軸受装置において、
    前記ハブ輪の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記外側継手部材の軸部の外周に形成されると共に、前記ハブ輪に前記車輪を支持するパイロット部が形成されず、このパイロット部が当該ハブ輪に装着される別部材の一部に形成されていることを特徴とする駆動車輪用軸受装置。
  2. 前記車輪取付フランジの外径面がフラットに所定の寸法に形成されると共に、この外径面に前記ブレーキロータが装着され、このブレーキロータの内径部に前記パイロット部が一体に形成されている請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置。
  3. 前記別部材が、前記ハブ輪のアウター側の開口端部に嵌合された円筒状のパイロット環からなり、このパイロット環が耐食性を有する鋼板からプレス加工によって形成されている請求項1に記載の駆動車輪用軸受装置。
  4. 前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、所定の軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されると共に、前記加締部の端面と前記外側継手部材の肩部との間に所定の軸方向すきまが介在するように前記ハブ輪と外側継手部材が結合されている請求項1乃至3いずれかに記載の駆動車輪用軸受装置。
  5. 前記加締部と肩部との間に形成される環状空間に弾性リングが介装されている請求項4に記載の駆動車輪用軸受装置。
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