JP2008050660A - 形状記憶合金 - Google Patents

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Takahiro Sawaguchi
孝宏 澤口
Kazuyuki Ogawa
一行 小川
Takehiko Kikuchi
武丕児 菊池
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Abstract

【課題】熱間加工を要することなく、温間加工による塑性加工性が可能なまでに延性が向上した、鉄−マンガン系形状記憶合金を提供する。
【解決手段】鉄にマンガン(Mn)単独、もしくはさらに、クロム(Cr)および/または、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)を含有する組成の鉄−マンガン系であって、Ms点が室温以下の形状記憶合金にアルミニウム(Al)を1質量%含有させることにより、形状記憶特性を損なうことなく、高い延性を有し、塑性加工性が向上した合金を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、 鉄(Fe)−A(A:マンガン(Mn)単独若しくは、これとクロム(Cr)又は/及びニッケル(Ni)元素)−シリコン(Si)合金で、Ms点が室温以下の形状記憶合金に関し、より詳しくは、その延性の向上に関する。
上記形状記憶合金は、非特許文献1から非特許文献9に示すように従来知られた実用性が期待される形状記憶合金ではあるが、熱間加工により、圧延、伸線などを行わなければ、成形加工が困難であった。
熱間加工を加えた場合、予測不可能な特性の変化が生じる恐れがあり、その結果、溶解処理にてその変化した特性を無くす処理などが要求されることとなる。
このような溶解処理は、加工精度を低下させることとなり、結果的には、安定した特性の高精度加工品として得ることは極めて困難であった。
熱間加工の最適温度範囲が800℃〜1000℃と狭く、これより温度が高くなると加工性が急激に低下して割れを生じるなど制御が難しいことも生産性を悪化する要因であった。
Acta Metallurgica, 30, 1177−1183, 1982, A. Sato, E. Chishima, K. Soma, T. Mori. 塑性と加工, 45, 697−701, 2004, 直井久, 丸山忠克. Materials Science and Technology, 14, 1213−1217, 1998, O. Grassel, G. Frommeyer. ISIJ International, 30, 674−679, 1990, H. Otsuka, H. Yamada, T. Maruyama, H. Tanahashi, S. Matsuda, M. Murakami. 金属, 66, 63−72, 1996, 丸山忠克, 大塚広明. Materials Science and Engineering A, 315, 174−179, 2001, D. F. Wang, D. Z. Liu, Z. Z. Dong, W. X. Liu, J. M. Chen. Scripta Materialia, 44, 2809−2814, 2001, S. Kajiwara, D. Liu, T. Kikuchi, N. Shinya. Materials Transactions, 43, 585−588, 2002, A. Baruj, T. Kikuchi, S. Kajiwara, N. Shinya. 日本金属学会誌, 69, 659−662, 2005, 澤口孝宏, 菊池武丕児, 小川一行, 梶原節夫, 池尾陽作, 小島正朗, 小川孝寿.
本発明は、上記問題が、当該合金の延性が極めて悪い点によるものであることに起因するとの認識に基づき、その延性が熱間加工を要することなく加工しえる程度にまで向上させることを目的とした。
本発明の形状記憶合金は、アルミニューム(Al)が1質量%含有していることを特徴とする構成を採用した。
上記構成により、その形状記憶特性は、従来に比し勝るとも劣らないが、その延性は50%を超えるものであり、温間加工により、十分加工しえるものとなった。
なお、上記元素からなる合金であって、アルミニュームが2質量%以上のものが良好な延性を有することは知られているが、これらは、トレーニング処理によっても実用的な形状記憶特性を得ることができないものであった。
これに比し、わずか1%の相違ではあるが、アルミニュームを含まないものと同等以上の形状記憶特性を有しながら、高い延性を有すという従来では予測不可能な特性を有するに至ったのが本発明の形状記憶合金である。
高周波真空誘導炉を用い、表1に示す4種類の合金を溶製した。実施例1は、Alを1質量%含む合金である。参照用に、Al無添加の形状記憶合金(比較例1)、Alを2および3質量%含む合金(比較例2、3)も作製した。
その後、図1の製造工程フローに従って各種測定用試験片を作製し、形状回復率、延性の測定に供した。
熱間鍛造・圧延は、加工温度が800℃以下とならないよう、1000℃での加熱と加工を交互に繰り返し行った。均一化・溶体化熱処理は、試料をステンレス箔中に真空封入し、アルゴン雰囲気中で熱処理を行うことにより、表面の酸化と表面からのマンガン欠損を防いだ。
このようにして、加工条件を同じにし、かつ、出来るだけ加工環境による影響を受けないようにして試験片を加工した。
形状回復率の測定は、直径13mmの円柱状治具側面に沿って、試験片を変形させた後、600℃で10分間加熱すると、いくつかのサンプルは、形状記憶効果によって、曲げられた状態から元の直線形状に開こうとする(図2)。
4合金の加熱前後の形状回復率および延性を表2に示す。

Alを1質量%添加した実施例1は、Al無添加の比較例1とほぼ同程度の形状記憶効果を示すことと、比較例1よりも遙かに高い延性を示すことが判明した。
Alをさらに添加すると、延性はさらに増加するが、Alの添加量が2質量%以上では形状記憶効果をほとんど示さなくなる(比較例2、3)。
表2より、延性はAlの添加量にほぼ比例して増加することがわかる。Alが1%増えるごとに延性は20%も上昇することから、Alの添加量は微量でも効果的であることが容易に類推される。本発明では、延性改善の観点から、Alの添加量の下限を10%の延性向上が期待される0.5質量%とする。
一方、形状記憶効果は、Alを1%程度添加しても無添加のものと同等がそれ以上であるが、2%になると急激に低下して極めて小さい形状回復しか示さなくなることから、Al添加量1%と2%の間、概ね1.5%付近に有意な形状記憶効果を示すかどうかの上限が存在すると推測される。
文献1、1183ページのConclusion、および文献2、697ページ、2.1節など、様々な文献で紹介されているように、この合金系(比較例1)における形状記憶効果は、fcc構造のオーステナイト晶が変形によりhcp構造のマルテンサイト晶に応力誘起変態し、その後の逆変態温度以上への加熱により元のオーステナイト晶に逆変態することに起因する。
一方、文献3、1213ページのIntroductionに示されているように、TWIP鋼(比較例2、3)では、変形前の構造は形状記憶合金と同様のfccオーステナイト晶であるが、変形すると応力誘起変態する代わりに、双晶変形する。
実施例1では、変形時、上記の応力誘起変態と双晶変形の両方が同時に発生し、前者が形状記憶特性、後者が延性を担っていると考えられる。このことは、表2より、実施例1が比較例1と比較例2、3の中間の特徴を示すことからも裏付けることができる。
文献2、697ページ、2.2節によれば、形状記憶効果を得るための条件は、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)が室温以下、γオーステナイトの反強磁性磁気変温度(T点)がMs点以下となることである。
文献2,表2などによれば、そのような条件を満たし、形状記憶効果を発現するための成分範囲は、Mn:29質量%〜33質量%、Si:6質量%である。また、文献4,675ページ、Table1によれば、Mnの一部を、5〜12質量%のCrや4〜7%のNiで置換してもよく、この場合、耐食性が向上する効果がある。最適成分組成としては、例えば、Fe−28Mn−6Si−5CrやFe−14Mn−6Si−9Cr−5Niなどが提案されている。
前述のモデルに基づけば、実施例の結果は、形状記憶合金の代表的な成分であるFe−30Mn−6Siに2%を超えないAlを添加することで、変形様式として、形状記憶効果を担う応力誘起変態と、延性を担う双晶変形とを同時に発生できる、と解釈できるが、同様のAl添加効果は、上記全ての形状記憶合金に適用できることは容易に類推できる。
Fe−Mn−Si系形状記憶合金の形状記憶特性改善のために提案されている各種の製造プロセスやAlを除く微量成分添加についても、同様な作用効果を発揮させうる。
文献5、64ページなどによれば、数%の変形と逆変態温度以上への加熱を繰り返すことにより、形状記憶特性は改善される。トレーニング効果として知られるこの加工熱処理は、母相オーステナイトを加工強化させてすべり変形(形状記憶効果を阻害する)を抑制するとともに、積層欠陥(εマルテンサイトの核生成サイトとして形状記憶効果を促進する)の導入により変態誘起応力を低下させることによって達成される。このような内部組織変化は、Al添加の新合金においても同様に有効であることが容易に類推できる。
そのほか、集合組織制御(文献5、64ページ)やオースフォーミング(文献6、Fig.1およびFig.2)など、形状記憶効果改善のための各種加工熱処理方法も本発明の実施例1に適用できると考えられる。
文献7、8によれば、NbおよびCの微量添加と時効熱処理または加工熱処理によるナノレベルの微細NbC炭化物生成は、上記トレーニング処理よりも簡便なプロセスによって形状記憶効果を改善できると提案している。これは、NbCによって母相の強化とεマルテンサイトの核生成サイトを同時に達成するものであり、Al添加合金にも同様の作用効果が類推できる。
こうした微細析出物の効果は、NbCのみならず、様々な炭化物、窒化物、金属間化合物など、鉄鋼材料中に析出するすべての化合物に対して適用できると考えられる。
すなわち、本発明は、これまでに提案されてきた、Fe−Mn−Si系合金のあらゆる成分組成、製造プロセスの効果を活かしながら、かつ、Alの添加による延性改善効果を追加できるものである。
Fe−Mn−Si系形状記憶合金の用途としては、これまで、パイプの締結部材など各種締結用途(文献2,5)、コンクリートのプレストレス強化(文献9)などが提案されてきた。本発明の合金は、これら全ての用途に適用可能である。

Fe−Mn−Si系形状記憶合金の用途としては、これまで、パイプの締結部材など各種締結用途(文献2,5)、コンクリートのプレストレス強化(文献9)などが提案されてきた。本発明の合金は、これら全ての用途に適用可能である。
試験片の製造工程フロー Fe−Mn−Si合金とFe−Mn−Si−Al合金の加熱による形状変化を示す写真 形状回復率の算出方法を示す模式

Claims (1)

  1. 鉄(Fe)−A(A:マンガン(Mn)単独若しくは、これとクロム(Cr)又は/及びニッケル(Ni)元素)−シリコン(Si)合金で、Ms点が室温以下の形状記憶合金であって、アルミニューム(Al)が1質量%含有していることを特徴とする形状記憶合金































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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62170457A (ja) * 1986-01-23 1987-07-27 Nippon Steel Corp 鉄基形状記憶合金

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JPS62170457A (ja) * 1986-01-23 1987-07-27 Nippon Steel Corp 鉄基形状記憶合金

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