JP2008037701A - 貝殻と廃ガラスを原料とするケイ酸カルシウム水和物の製造方法 - Google Patents

貝殻と廃ガラスを原料とするケイ酸カルシウム水和物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 産業廃棄物であるホタテ等の貝殻と廃ガラスを、同時に有効利用を図ることにより、地球環境の保護に寄与する。
【解決手段】 焼成した貝殻の粉末と廃ガラスの粉末の混合物を水熱反応させることにより、ケイ酸カルシウム水和物を生成する。簡単かつ安価な方法で製造したケイ酸カルシウム水和物は、すぐれた断熱効果を特徴とするため断熱材等への製品化が可能である。これにより、持続可能なリサイクル方法を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、貝殻と廃ガラスを原料とするケイ酸カルシウム水和物の製造方法に関する。
水産加工が基幹産業である地域の特有の産業廃棄物として、ホタテ等の貝殻があるが、処分場の確保が難しいために、多くの貝殻が活用あるいは処分されずに野積みにされ、環境面から大きな社会問題になっている。そのため、近年、未焼成の貝殻の主成分である炭酸カルシウムや、焼成した貝殻の主成分である酸化カルシウムの機能に着目した有効利用が試みられてきた。
例えば、未焼成の貝殻を路盤材として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2)。また、焼成したホタテ貝殻粉末の抗菌効果を利用した歯周病治療薬(例えば、特許文献3)や、水質浄化剤も提案されている(例えば、特許文献4)。
一方、一般家庭などから排出されるガラス瓶のうち、リターナブル瓶については再利用がなされるが、ワンウェイ瓶と呼ばれるものについては、その色によって再利用が難しく、リサイクルが進んでいるとは言い難い。そのため、貝殻と同様に、その有効利用が試みられてきた。
例えば、廃ガラスを発泡ガラスにして、断熱材として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献5)。また、廃ガラスを処理して、土木用材料等にリサイクルする方法も提案されている(例えば、特許文献6)。
さらに、貝殻と廃ガラスを同時に有効活用する方法として、両者を化学反応させてケイ酸カルシウムを得て、肥料や建築材料として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献7)。
特開2005−76401号公報 特開2005−213861号公報 特開2005−120013号公報 特開2005−104948号公報 特開2005−272182号公報 特開2004−35351号公報 特開2004−255356号公報
以上で述べた従来の技術では以下の問題がある。
第1の問題は、貝殻をカルシウムの供給材として、廃ガラスをケイ素の供給材として、それぞれ使用し、別の化学物質にするという利用をしていないことである。そのため、それらの利用方法が限られてしまい、結果的には利用されない貝殻や廃ガラスを埋設するための処分場の確保や、資源の廃棄による環境問題や資源問題が生ずる。
第2の問題は、水蒸気発生装置および温度・圧力調整装置を用いた水熱反応により、ケイ酸カルシウム水和物を製造する従来の方法では、水蒸気発生装置および温度・圧力調整装置がそれぞれ必要となることである。そのため、それらの装置を設置するために大きな費用負担が必要になる。
第3の問題は、貝殻と廃ガラスからケイ酸カルシウムを製造する従来の方法では、製造の過程で塩酸および水酸化ナトリウムを用いることで、ケイ酸カルシウムとともに、土壌汚染や建築材料の腐食の原因となる塩化ナトリウムも同時に生成されることである。そのため、ケイ酸カルシウムに混入している塩化ナトリウムを除去することが必要となり、生産性が低下する。さらに、塩化ナトリウムを除去する装置を設置するために、大きな費用負担が必要になる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来の技術上の問題点である産業廃棄物の貝殻と廃ガラスの有効利用を活性化させるとともに、貝殻と廃ガラスを原料とし、塩化ナトリウムの生成を防止しつつ、ケイ酸カルシウム水和物を製造するものである。また、大掛かりな設備ではなく簡易な装置を用いることで、設備費の低減と生産性の向上を実現しながら、広範に利用されるケイ酸カルシウム水和物を製造する方法を提供することにある。
本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法は、焼成した貝殻の粉末と廃ガラスの粉末を、水熱反応させることで、ケイ酸カルシウム水和物を製造することを特徴とする。
本発明は、貝殻と廃ガラスを原料として使用し、広範での利用価値があるケイ酸カルシウム水和物を製造する方法であり、この方法により、廃棄物である貝殻と廃ガラスに原材料としての付加価値を付け、両者を有効利用することが実現される。
また、水熱反応の前に貝殻を焼成させることで、水蒸気発生装置および温度・圧力調整装置を用いずに、オートクレーブと呼ばれる密閉容器を加熱する装置(マントルヒータ)のみを調整する。これにより、密閉容器内の温度と圧力を同時に制御しながら、密閉容器内に水蒸気を発生させ、焼成させた貝殻と廃ガラスを水熱反応させることが実現される。
さらに、ケイ酸カルシウム水和物を製造するために水熱反応を用いることで、貝殻と廃ガラスからケイ酸カルシウム水和物を製造する過程で、塩酸および水酸化ナトリウムの使用が不要になり、その結果、製造されたケイ酸カルシウム水和物への塩化ナトリウムの生成を防止し、ケイ酸カルシウム水和物中の塩化ナトリウムの除去とそのための設備費を不要にすることが実現される。
その結果、広範での利用価値があるケイ酸カルシウムを製造する原料に、貝殻と廃ガラスを用いることで、これまで処分されていた貝殻や廃ガラスを有効利用することが可能になる。
また、本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法で得たケイ酸カルシウム水和物は、乾燥後に表面および内部に現れる空隙により、断熱効果を有することを特徴とする。
焼成した貝殻の粉末と廃ガラスの粉末を水熱反応させて得たケイ酸カルシウム水和物は、未反応の水を吸収して重く、表面が軟らかく白色である。しかし、乾燥後は未反応の水が除かれることで、軽く硬質になり、表面および内部に無数の空隙が生ずる。
本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法は、貝殻を焼成させることで、水熱反応を行う際に二酸化炭素の発生を防止することを特徴とする。
すなわち、水熱反応の前に貝殻を焼成し密閉容器内で貝殻から二酸化炭素が発生するのを防止することで、密閉容器内の温度と圧力との関係が飽和水蒸気線と一致し、密閉容器内の温度と圧力を同時に制御することが可能になる。よって、従来必要とされた水蒸気発生装置および温度・圧力調整装置が不要になり、それらの設備費を低減させることも可能になる。
本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法は、塩酸および水酸化ナトリウムを使用しないことを特徴とする。
すなわち、ケイ酸カルシウムの製造に水熱反応を用いて、製造過程で塩酸および水酸化ナトリウムの使用を不要にすることで、製造されたケイ酸カルシウム水和物への塩化ナトリウムの混入が防止される。よって、ケイ酸カルシウム水和物中の塩化ナトリウムの除去とそのための設備が不要になり、生産性を向上しながら、設備費を低減させることも可能になる。
本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法は、焼成した貝殻と廃ガラスの質量比を、0.54〜1.20とすることで、結晶性の高いケイ酸カルシウム水和物が得られることを特徴とする。
すなわち、焼成した貝殻と廃ガラスの重量比を調整することで、トベルモライト、ゾノトライト等と同質の結晶質ケイ酸カルシウム水和物が得られ、断熱材、土壌改良剤等の広範な用途に利用することができる。
また、本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法により製造されたケイ酸カルシウム水和物は、産業廃棄物である貝殻と廃ガラスを原材料とすることから、量産化によれば従来品に比べて安価な製造コストとすることができる。さらに、本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法により製造されたケイ酸カルシウム水和物を活用することで、地球環境保護に寄与することができる。
なお、本発明のケイ酸カルシウム水和物の製造方法は、貝殻および廃ガラスのリサイクル方法としても有効である。
上述のとおり、本発明によって、産業廃棄物である貝殻と廃ガラスを原料として、広範な利用価値を有するケイ酸カルシウム水和物を製造することで、それらの有効利用が可能になる。
貝殻を焼成させた後に水熱反応を行うため、必要な装置は密閉容器部と加熱装置部のみである。すなわち、密閉容器内部の温度と圧力を制御しながら、密閉容器内に水蒸気を発生させて水熱反応を行うことができる。これにより、水蒸気発生装置および温度・圧力調整装置を使用しないため、製造に必要な設備費用を低減させることが可能になる。
水熱反応を用いることで、ケイ酸カルシウム水和物の製造過程で、塩酸および水酸化ナトリウムの使用が不要になる。また、塩化ナトリウムの生成を防止できるため、ケイ酸カルシウム水和物から塩化ナトリウムを除去する工程と、そのための設備が不要になる。したがって、生産性の向上をはかりながら、設備費を低減させることが可能になる。
断熱材としてケイ酸カルシウム水和物を用いる際、ケイ酸カルシウム水和物を粉砕・粉末化した後、塗料や接着剤などに添加し建築物に吹付けなどにより塗ることで、ケイ酸カルシウム水和物の製造工程やその設備が不要になるとともに、成形によって生じる無駄を抑えられるため生産効率が向上する。
建築物の形状によらない断熱材として利用できるため、アスベストなどの従来の断熱材の代替断熱材として利用することも可能である。
本発明の製造方法は、貝殻を焼成させた後に水熱反応させるため、貝殻の種類を問わずにケイ酸カルシウム水和物を製造することが可能である。
本発明の製造方法は、廃ガラスの着色剤を問わずにケイ酸カルシウム水和物を製造することが可能である。
本発明で得られるケイ酸カルシウム水和物は、土壌改良剤やケイ酸肥料などに代表される従来からの用途にも使用可能である。
以下、本発明の貝殻と廃ガラスを原料とするケイ酸カルシウム水和物の製造方法の実施形態を説明する。
ここで、ケイ酸カルシウム(CaSiO)とは、Ca(カルシウム)とSi(ケイ素)の化合物であるが、その化学反応式は、
CaO+SiO→CaSiO
であり、酸化カルシウム(CaO)と二酸化ケイ素(SiO)を反応させることで生成する。
また、ケイ酸カルシウムの他に、Ca(カルシウム)とSi(ケイ素)の水和物であるケイ酸カルシウム水和物がある。その熱伝導率が小さいことが特徴で、高密度なもので0.13W/mKであり、低密度なもので0.44W/mKである。
ケイ酸カルシウム水和物では、トベルモライト(5CaO・6SiO・5HO等)、ゾノトライト(6CaO・6SiO・HO等)などの結晶質ケイ酸カルシウム水和物が、断熱材や土壌改良剤として広く利用されている。
一方、貝殻の主成分である炭酸カルシウム(CaCO)は、焼成することで、
CaCO→CaO+CO
となり、酸化カルシウム(CaO)と二酸化炭素(CO)に分解する。
廃ガラスの主成分は二酸化ケイ素(SiO)であり、焼成した貝殻から得られる酸化カルシウム(CaO)とともに、ケイ酸カルシウム(CaSiO)を構成する成分である。さらに、二酸化ケイ素(SiO)と酸化カルシウム(CaO)は、水熱反応をさせることで、ケイ酸カルシウム水和物を得ることができる。
以下に、実施実験に沿ってその手順を示す。
はじめに、煮沸により表面に付着した有機物等を取り除いた貝殻を、1000℃で3時間かけて焼成し、炭酸カルシウム(CaCO)である貝殻から酸化カルシウム(CaO)を得る。貝殻はいずれも主成分を炭酸カルシウム(CaCO)とするが、今回の試料では、ホタテ、ホッキの貝殻とした。
図1の横軸は回折角度、縦軸はピーク強度であり、(a)はホタテの貝殻の場合、(b)はホッキの貝殻の場合である。また、図1(a)および(b)中の(1)は焼成前の貝殻、(2)は1000℃で3時間かけて焼成した貝殻の場合である。また、図1中の○および△印は、結晶構造の異なるCaCOの場合の、JCPDS粉末データベースの回折角度を示している。□印はCaOの場合の、JCPDS粉末データベースの回折角度を示している。なお、それぞれの化学式の後に示している数字は、JCPDS粉末データベースの番号である。
図1(a)中の(1)より、すべての回折角度のピークとCaCOの回折角度のピークが一致している。図1(a)中の(2)より、すべての回折角度のピークとCaOの回折角度のピークが一致している。以上より、焼成前のホタテの貝殻がCaCOであり、ピーク強度が高いことから、結晶性が高いことを示している。また、焼成したホタテの貝殻については、結晶性の高いCaOであることを示している。
図1(b)中の(1)より、ホッキの貝殻もすべての回折角度のピークとCaCOのピークが一致している。さらに、図1(b)の(1)より、すべての回折角度のピークとCaOのピークが一致している。以上より、焼成前のホッキの貝殻はCaCOであり、焼成したホッキの貝殻はCaOであることを示している。
廃ガラスについては、今回の試料では無色ガラス、青色ガラス、緑色ガラス、茶色ガラスを用い、洗浄により付着した有機物等を取り除いた。
一般に廃ガラスの成分は、二酸化ケイ素(SiO)が約70%であり、残りの30%は着色剤、溶解促進剤等である。さらに着色剤、溶解促進剤等にはカドミウムや鉛、六価クロム等の人体や環境に有害なものは含まれていない。すなわち、廃ガラスを用いた生成物は人体に無害であり、土壌改良剤等に使用する場合にも土壌汚染等のおそれは認められない。また、SiOの融点は1600℃であり、溶解促進剤を含む廃ガラスは、融点を下げるのに有効である。これにより、反応に要するエネルギーの省力化および生産コストの低減化を図ることができる。
焼成したホタテ、ホッキの貝殻および廃ガラスは、それぞれを金槌で破砕した後、ボールミル(大和化学株式会社製)で粉砕して、粒計75μm以下のものを選別して用いた。
次に、焼成した貝殻の粉末と廃ガラスの粉末の質量比を調整し、十分に混合させる。
続いて水熱反応を行う。高温高圧に耐える密閉容器のケース部に、十分に混合させた上記の混合した粉末を、混合した粉末よりも十分に多いイオン交換水とともに入れ、密閉容器の蓋部により容器を密閉する。
加熱装置部により密閉容器を外部から加熱し、密閉容器内の圧力が高温高圧になるように、加熱装置部を調整しながら運転する。
密閉容器内が高温高圧を維持するように、ある設定した時間の間、加熱装置部を運転する。
水熱反応に使用した装置として、オートクレーブと呼ばれる圧力容器に混合した粉末試料とイオン交換水を入れ、ブルドン管圧力計(山本計器製造株式会社製・4E00117)付きの蓋で密閉した。その後、オートクレーブをマントルヒータ(大科電器株式会社製・GBRT5 RTTJUZ)で加熱し、オートクレーブ内の圧力を測定した。なお、使用するオートクレーブ内の温度と圧力が飽和蒸気線と一致することから、温度と圧力が一定になった時点からの時間を反応時間とした。その際、圧力が約1.5MPa(飽和温度で約470Kに相当)になるようにマントルヒータを運転した。なお、反応時間は48時間とした。
また、オートクレーブは大型のものを製作して、やぐらを製作してスプリングバランサー(遠藤工業株式会社製・RSB‐30)により、オートクレーブを上から吊り下げて使用した。
加熱時間が設定した時間に達した時点で、加熱装置部の運転を停止し、密閉容器内の圧力が大気圧になるまで自然冷却する。
密閉容器内の圧力が大気圧になった後、密閉容器を開封し、密閉容器内の生成物(円柱状)であるケイ酸カルシウム水和物を取り出す。取り出したケイ酸カルシウム水和物を乾燥炉において100℃で乾燥させることで、ケイ酸カルシウム水和物の製造が完了する。乾燥後のケイ酸カルシウム水和物は、厚さ約10mmの円盤状に切り出し、切り出した面を紙やすりで平面に削る。
乾燥前のケイ酸カルシウム水和物は、未反応の水を吸収して重く、表面がやわらかく白色であるが、乾燥後は水が除かれたことで軽く硬質となり、表面および内部に無数の空隙ができる。これは、焼成したホタテの貝殻の場合も、焼成したホッキの貝殻の場合も同様である。
次に、得られたケイ酸カルシウム水和物のX線回折(XRD)分析を行った。X線回折分析装置には、ガイガーフレックス(理学電機株式会社製・CN4056A3)を使用した。分析は、物質にX線を照射し、その回折線について回折角度、回折強度について調べ、標準物質のデータと対照し同定を行うというものである。また、化合物の中には構成元素およびその組成比が同じでも結晶構造が異なるものがあり、このような結晶構造の違いもXRD分析により見分けることとした。その際、標準物質のデータベースとしてJCPDSカードを用いた。
ここでは、水熱反応により、焼成した貝殻と廃ガラスの質量比R(焼成した貝殻/廃ガラス)を変化させたときの生成物を得た。質量比Rを決定する際、トベルモライトのモル比を基準にして、両者のモル比を換算した。質量比R=0.54では、廃ガラスに含まれるSiOが一般に知られる70%であると仮定して、トベルモライトのモル比に合わせた場合に相当する。よって、質量比R<0.54では、廃ガラスがリッチの場合になる。質量比R>0.54では、焼成した貝殻がリッチの場合になる。
結果を図2に示す。横軸は回折角度、縦軸はピーク強度であり、図2(a)は焼成したホタテの貝殻を用いた場合、図2(b)は焼成したホッキの貝殻を用いた場合である。図2の(1)〜(4)は、それぞれ、case1(R=0.23)、case2(R=0.54)、case3(R=0.78)、case4(R=1.20)の場合であり、図2中の●印および■印は、それぞれ結晶構造の異なる2種類のゾノトライトの回折角度、◆印はトベルモライト、▲印はジャイロライトと呼ばれるケイ酸カルシウム水和物、×印は無名称のケイ酸カルシウム水和物、◇印は水酸化カルシウム(Ca(OH))の回折角度を示している。各化学式の後の数字はJCPDS粉末データベースの番号である。
図2(a)(1)のcase1(R=0.23)の場合には、得られた生成物の回折角度が、結晶構造の異なる多くのケイ酸カルシウム水和物の回折角度と一致しているが、そのピーク強度が小さい。一方、(2)のcase2(R=0.54)、(3)のcase3(R=0.78)、(4)のcase4(R=1.20)の場合は、定性的にはR=0.23のときと同じであるが、回折角度のピーク強度が大きい。このことから、結晶構造が不均一で、結晶性の高いケイ酸カルシウム水和物であることを示している。なお、(4)のcase4(R=1.20)の場合に、Ca(OH)のピークが見られるが、これは未反応のCaOが、イオン交換水によりCa(OH)となり、生成物中に残留していたものと認められる。
また、図2(b)に示した焼成したホッキの貝殻を用いた場合にも、同様の結果が得られた。
以上より、貝殻の種類による影響もみられず、質量比Rを調整することで、トベルモライトやゾノトライト等の、結晶質ケイ酸カルシウム水和物が得られることを示すものである。
続いて、迅速熱伝導率計(京都電子工業株式会社・Kemtherm QTM-D3)を使用して熱伝導率の測定を行った。この装置は非定常熱線法を原理としており、表面にヒーター線が取り付けてあるプローブを、熱伝導率既知の基盤となる物質の上に置かれている測定物に接触させ、ヒーター線に一定の電力を与えつづけ、時間に対する温度変化から熱伝導率を測定するものである。また、これは、測定時間が1分程度であり、熱拡散率とは無関係に、直接、熱伝導率を測定することができるため、熱伝導率温度依存性が大きい試料に対して有効である。今回の実験では、測定物が熱流速の方向に対して小さいため、測定回数を多くすることで測定精度を高めている。そのために測定物の温度が上昇して熱伝導率温度依存性が大きくなってしまう可能性があるので、非定常熱線法の装置を採用した。
また、基盤となる物質として、熱伝導率がそれぞれ0.036W/mKである発泡ポリスチレン、0.238W/mKであるシリコンゴムおよび1.403W/mKである石英ガラスを用いた。以下に、測定値から生成物の熱伝導率を求める手順を示す。
(1)それぞれの基盤の上に生成物をおき、熱伝導率を測定する。
(2)測定値とその時に用いた基盤の熱伝導率の誤差を次式により求める。
Err=(λt−λr)/λr
Err:誤差 λt:測定値 λr:基盤の熱伝導率
(3)(1)、(2)を10回繰り返し、その平均を求める。
(4)横軸をλ、縦軸をErr=(λt−λr)/λrとする横軸が、対数の片対数グラフに、それぞれの基盤の平均値をプロットする。
(5)プロットした点を通る曲線をグラフに描く。
(6)曲線が(λt−λr)/λr=0を通るときの、λの値が生成物の熱伝導率となる。
また、グラフを作成する際、(λt−λr)/λr=0の切片の角度が最大と最小となる2本の曲線を描き、その平均値から熱伝導率を算出した。
さらに、生成物表面を紙やすりで滑らかにした後に測定を行った。このときの紙やすりの粗さは♯100、♯280、♯400、♯600、♯1000の5種類とした。
その結果を図3に示す。横軸は質量比R、縦軸は熱伝導率λであり、●印は焼成したホタテの貝殻を用いた場合、○印は焼成したホッキの貝殻を用いた場合である。
焼成したホタテの貝殻を用いた場合、測定を行った質量比R=0.23〜1.2の範囲では、熱伝導率λ=0.12〜0.18W/mKであり、一般に使用されている高密度のケイ酸カルシウム系断熱材の値である熱伝導率λ=0.13W/mKに近い値を示している。また、case1(R=0.23)およびcase4(R=1.20)の場合、すなわち、焼成したホタテの貝殻または廃ガラスの一方を大きくリッチにした場合に、熱伝導率λが大きくなる。
また、焼成したホッキの貝殻を用いた場合には、質量比R=0.54では熱伝導率λ=0.143W/mKであり、質量比R=0.78では熱伝導率λ=0.136W/mKであり、焼成したホタテの貝殻を用いた場合と同様であり、貝殻の種類による生成物の熱伝導率の違いは認められない。
なお、図4に結果を示すとおり、廃ガラスについては、茶色ガラス、無色ガラス、青色ガラス、緑色ガラスを用いた生成物についてXRD分析を行った。横軸は回折角度、縦軸はピーク強度である。焼成したホタテの貝殻と各色の廃ガラスを用い、他の反応条件は同様としている。
図4の(a)は茶色ガラス、(b)は無色ガラス、(c)は青色ガラス、(d)は緑色ガラスである。また、●印および■印は、それぞれ結晶構造の異なる2種類のゾノトライトの回折角度、◆印はトベルモライト、▲印はジャイロライトと呼ばれるケイ酸カルシウム水和物、×印は無名称のケイ酸カルシウム水和物の回折角度を示している。各化学式の後の数字はJCPDS粉末データベースの番号である。
図4の(a)に示す茶色ガラスのグラフより、得られた生成物の回折角度が、結晶構造の異なる、多くのケイ酸カルシウム水和物の回折角度と一致している。図4(b)〜(d)に示す無色ガラス、青色ガラス、緑色ガラスにおいても同様である。このことから、焼成したホタテの貝殻と廃ガラスの水和物が、結晶構造が不均一なケイ酸カルシウム水和物であり、廃ガラスの着色料は反応には影響していないことを示している。
焼成前後における、ホタテおよびホッキの貝殻の、XRD分析結果を示した図である。 質量比Rを変更した場合における、生成物のXRD分析を示した図である。 質量比Rを変更した場合における、生成物の熱伝導率を示した図である。 生成物に対する廃ガラスの影響についてのXRD分析の結果を示した図である。

Claims (8)

  1. 焼成した貝殻の粉末と廃ガラスの粉末を、水熱反応させることで、ケイ酸カルシウム水和物を製造する、ケイ酸カルシウム水和物の製造方法。
  2. 請求項1記載のケイ酸カルシウム水和物の製造方法で得たケイ酸カルシウム水和物は、乾燥後に表面および内部に現れる空隙により、断熱効果を有することを特徴とする請求項1記載のケイ酸カルシウム水和物の製造方法。
  3. 前記ケイ酸カルシウム水和物の製造において、貝殻を焼成させることで、水熱反応を行う際に二酸化炭素の発生を防止することを特徴とする請求項1または2記載のケイ酸カルシウム水和物の製造方法。
  4. 前記ケイ酸カルシウム水和物の製造において、塩酸および水酸化ナトリウムを使用しないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のケイ酸カルシウム水和物の製造方法。
  5. 前記ケイ酸カルシウム水和物の製造において、焼成した貝殻と廃ガラスの質量比を、0.54〜1.20とすることで、結晶性の高いケイ酸カルシウム水和物が得られることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のケイ酸カルシウム水和物の製造方法。
  6. 前記請求項1ないし5記載のいずれかのケイ酸カルシウム水和物の製造方法により、
    製造されたケイ酸カルシウム水和物。
  7. 前記請求項1ないし5記載のいずれかのケイ酸カルシウム水和物の製造方法を用いることを特徴とする貝殻のリサイクル方法。
  8. 前記請求項1ないし5記載のいずれかのケイ酸カルシウム水和物の製造方法を用いることを特徴とする廃ガラスのリサイクル方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021146271A (ja) * 2020-03-18 2021-09-27 国立大学法人弘前大学 肥効性物質製造方法、廃棄物処理方法、肥効性物質製造装置、および廃棄物処理廃棄物処理装置
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