JP2008036710A - 鍛造ピストン、内燃機関、輸送機器および鍛造ピストンの製造方法 - Google Patents

鍛造ピストン、内燃機関、輸送機器および鍛造ピストンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも強度および耐疲労性に優れた鍛造ピストンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による鍛造ピストンの製造方法は、アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成されたワークピースを用意する工程と、ワークピースに対して所定の方向(鍛造方向)に応力を印加しながら鍛造を行う鍛造工程とを包含する。本発明による鍛造ピストンの製造方法は、さらに鍛造工程の前に、ワークピースのファイバーフローが鍛造方向に対して傾斜するようにワークピースを加工する加工工程を包含する。
【選択図】図9

Description

本発明は、金属材料を鍛造することによって形成される鍛造ピストンおよびその製造方法に関する。また、本発明は、そのような鍛造ピストンを備えた内燃機関や輸送機器にも関する。
近年、内燃機関用のピストンとして、鍛造により形成された鍛造ピストンが採用されつつある。鍛造ピストンは、高温における強度、耐摩耗性に優れているので、鍛造ピストンを採用すると、爆発圧力を高くして高出力化を図ったり、ピストンスカートを小さく(あるいは薄く)して軽量化を図ったりすることができる。
例えば特許文献1には、アルミニウム合金から形成された鍛造ピストンが開示されている。図14(a)および(b)に、特許文献1に開示されている鍛造ピストン510を模式的に示す。図14(a)および(b)は、それぞれ鍛造ピストン510を示す上面図および側面図である。
図14(a)に示すように、この鍛造ピストン510では、ピストンヘッド501のファイバーフローfが半径方向に平行に放射状に延びている。ファイバーフローfは、メタルフローや鍛流線とも呼ばれ、鍛造製品にみられる金属組織の流れである。また、図14(b)に示すように、ピストンスカート505のファイバーフローfは、摺動方向に平行に延びている。
特開2000−179399号公報
特許文献1に開示されている鍛造ピストン510では、図14(a)に示したようにピストンヘッド501のファイバーフローfが半径方向に平行である。そのため、内燃機関の性能の向上を目的としていっそうの軽量化を図ると、爆発圧力によってピストンピンに平行な方向あるいは直交する方向にかかる曲げに対する強度が不足する可能性が出てくる。図15(a)および(b)を参照しながら、このような方向に曲げがかかる理由を説明する。
図15(a)に示すように、燃焼による爆発圧力自体は、ピストンヘッド501に等方的に印加される。ところが、ピストン510には、図15(a)および(b)に示すように、ピストンピンの軸受けとなる肉厚な部分(ピストンボスと呼ばれる。)503が設けられている。
そのため、図16(a)および(b)に示すように、ピストン510の中心軸を含みピストンピンに平行な断面(つまり肉厚な部分と肉薄な部分の両方が存在する断面)においては、ピストンボス503に比べて肉薄な中央部が沈みこむような曲げが発生してしまう。
また、ピストンピンに平行な断面において中央部が沈みこむような曲げが発生するために、図17(a)および(b)に示すように、ピストンピンに直交する断面においても、中央部が沈みこむような曲げが発生してしまう。
本願発明者の検討によれば、ピストン510のいっそうの軽量化を図った場合、このような方向における曲げに対し、ファイバーフローfが半径方向に平行に延びるピストンヘッド501では強度が不足することがあった。
また、ピストン510の軽量化のために薄肉に形成されるピストンスカート505についても、図14(b)に示したようにファイバーフローfがピストン510の摺動方向と平行に延びていると、いっそうの薄肉化を図った場合には繰り返し加わる衝撃による疲労に対する耐性が不足する可能性が出てくる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも強度および耐疲労性に優れた鍛造ピストンおよびその製造方法を提供することにある。
本発明による鍛造ピストンの製造方法は、アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成されたワークピースを用意する工程と、前記ワークピースに対して所定の方向に応力を印加しながら鍛造を行う鍛造工程と、を包含する鍛造ピストンの製造方法であって、前記鍛造工程の前に、前記ワークピースのファイバーフローが前記所定の方向に対して傾斜するように前記ワークピースを加工する加工工程を包含し、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記加工工程は、前記ワークピースにねじりを与える工程である。
ある好適な実施形態において、前記ワークピースは、連続鋳造または押し出し成形によって形成された棒材である。
本発明による鍛造ピストンは、アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成された鍛造ピストンであって、ファイバーフローが半径方向に対して傾斜したピストンヘッドを有し、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記ピストンヘッドのファイバーフローは渦巻き状である。
ある好適な実施形態において、本発明による鍛造ピストンは、ファイバーフローが摺動方向に対して傾斜したピストンウォールを有する。
あるいは、本発明による鍛造ピストンは、アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成された鍛造ピストンであって、ファイバーフローが摺動方向に対して傾斜したピストンウォールを有し、そのことによって上記目的が達成される。
本発明による内燃機関は、上記構成を有する鍛造ピストンを備えている。
本発明による輸送機器は、上記構成を有する内燃機関を備えている。
本発明による鍛造ピストンでは、ピストンヘッドのファイバーフローが半径方向に対して傾斜している(つまり半径方向に対して非平行である)ので、半径方向に平行な方向(ピストンピンに平行な方向や直交する方向)にかかる曲げに対する強度が向上する。
あるいは、本発明による鍛造ピストンでは、ピストンウォールのファイバーフローが摺動方向に対して傾斜している(つまり摺動方向に対して非平行である)ので、摺動方向に平行な方向にかかる曲げに対するピストンスカートの強度が向上し、爆発の度に加わる衝撃による疲労に対する耐性がいっそう向上する。
本発明による鍛造ピストンの製造方法では、鍛造工程の前に、ワークピースのファイバーフローが鍛造方向(鍛造工程において応力を印加する方向)に対して傾斜するように(つまり鍛造方向に対して非平行となるように)ワークピースを加工する加工工程を行うため、得られる鍛造ピストンのファイバーフローを、半径方向や摺動方向に対して傾斜させることができる。そのため、強度および耐疲労性に優れた鍛造ピストンを製造することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下ではアルミニウム合金から形成された鍛造ピストンを例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、マグネシウム合金やチタン合金から形成される鍛造ピストンにも好適に用いられる。
図1に、本実施形態における鍛造ピストン10を模式的に示す。鍛造ピストン10は、アルミニウム合金から形成されている。シリコンを含有するアルミニウム合金は、高い強度および高い耐摩耗性を有しているため、鍛造ピストン10の材料として好適に用いられる。
鍛造ピストン10は、頂部に位置し、燃焼室に面するピストンヘッド1と、摺動面(シリンダブロックと接触する面)を構成するピストンウォール(ピストン側壁)2とを備えている。鍛造ピストン10は、さらに、ピストンピンの軸受けとなるピストンボス3を備えている。
ピストンウォール2の上部(ピストンヘッド1に近い部分)には、コンプレッションリングやオイルリングを保持するための溝4が形成されている。ピストンウォール2の裾の部分(ピストンピンよりも下の部分)5は、軽量化のために薄肉に形成されており、ピストンスカートと呼ばれる。
本実施形態における鍛造ピストン10は、ファイバーフローの方向に特徴を有している。図2、図3(a)および(b)に、鍛造ピストン10のファイバーフローFを模式的に示す。図2、図3(a)および(b)は、それぞれ鍛造ピストン10の斜視図、上面図および側面図である。なお、図示しているファイバーフローFの一本一本は、実際には無数に存在する鍛流線を模式的、代表的に示すものである。
図2および図3(a)に示すように、ピストンヘッド1のファイバーフローFは、鍛造ピストン10の上方(つまり燃焼室側)から見たとき、半径方向(ピストンヘッド1の中心から外側に向かう方向)に対して平行ではなく、傾斜している。より具体的には、ファイバーフローFは、直線ではなく弧を描いており、鍛造ピストン10の中心軸を中心とする渦巻き状である。また、図2および図3(b)に示すように、ピストンウォール2のファイバーフローFは、摺動方向(鍛造ピストン10がシリンダ内で往復運動する方向)に対して平行ではなく、傾斜している。なお、ピストンヘッド1の複数のファイバーフローFは、半径方向に対して同じ側に傾斜している(つまり同じ方向性をもって延びている)。また、ピストンウォール2の複数のファイバーフローFは、摺動方向に対して同じ側に傾斜している(つまり同じ方向性をもって延びている)。
ファイバーフローFは、既に述べたように鍛造製品における金属組織の流れである。そのため、鍛造製品においては、ファイバーフローFを横切るように破断を行うことは難しい。これは言い換えると、ある方向に沿った断面を考えたとき、断面を横切るファイバーフローFの本数が多いほど、その方向にかかる曲げに対して高い強度を有しているということである。
本実施形態における鍛造ピストン10では、ピストンヘッド1のファイバーフローFは、半径方向に対して傾斜している(つまり半径方向に対して非平行であり、同じ向きに曲がりながら半径方向に延びている)。そのため、図14(a)に示したようにファイバーフローfが半径方向に平行である場合に比べ、半径方向に平行な断面を横切るファイバーフローFの本数が多い。例えば、ピストンピンに平行な方向に沿った断面や、ピストンピンに直交する方向に沿った断面を考えたとき、これらの断面を横切るファイバーフローFの本数が多く、そのことによって、半径方向に平行な方向(ピストンピンに平行な方向や直交する方向)にかかる曲げに対する強度が向上する。
また、本実施形態における鍛造ピストン10では、ピストンウォール2のファイバーフローFは、摺動方向に対して傾斜している(つまり摺動方向に対して非平行であり、同じ向きに曲がりながら摺動方向に延びている)。そのため、図14(b)に示したようにファイバーフローfが摺動方向に平行である場合に比べ、摺動方向に平行な断面を横切るファイバーフローFの本数が多い。そのため、摺動方向に平行な方向にかかる曲げに対するピストンスカート5の強度が向上し、爆発の度に加わる衝撃による疲労に対する耐性が向上する。
上述したように、本実施形態における鍛造ピストン10では、ファイバーフローFが半径方向や摺動方向に対して傾斜していることによって、優れた強度や耐疲労性が得られる。
なお、ピストンヘッド1のファイバーフローFが半径方向に対して傾斜する度合や、ピストンウォール2のファイバーフローFが摺動方向に対して傾斜する度合は、図2や図3(a)および(b)に示した例に限定されない。
例えば、図4に示すように、ファイバーフローFが半径方向や摺動方向に対してより著しく傾斜していてもよいし、図5に示すように、さらに著しく傾斜していてもよい。半径方向に沿った断面や摺動方向に沿った断面を横切るファイバーフローFの本数を多くして強度や耐疲労性を向上させる観点からは、ファイバーフローFの半径方向や摺動方向に対する傾斜角度が大きいことが好ましい。つまり、強度および耐疲労性の点からは、図2に示す例よりも図4に示す例がより好ましく、図5に示す例がさらに好ましい。ファイバーフローFの半径方向や摺動方向に対する傾斜角度は、具体的には、10°以上90°未満であることが好ましい。なお、ファイバーフローFの半径方向に対する傾斜角度は、例えば図6に示すように、ピストンヘッド1の中心における接線L1と、ファイバーフローFの両端(ピストンヘッド1の中心に位置する端および外周に位置する端)を結ぶ直線L2とのなす角θと定義される。
ただし、ファイバーフローFの傾斜角度を大きくしすぎると、鍛造ピストン10が製造しにくくなることがある。そのため、鍛造ピストン10を簡便に製造する観点からは、ファイバーフローFの傾斜角度は小さいことが好ましいといえる。つまり、製造のしやすさの点からは、図5に示す例よりも図4に示す例がより好ましく、図2に示す例がさらに好ましいといえる。
ファイバーフローFのさらに他の例を図7および図8に示す。図7および図8に示す例では、ピストンウォール2のファイバーフローFは、鍛造ピストン10の上側から下側に向かって斜めに延びた後、折り返すように下側から上側に向かって斜めに延びている。このようなファイバーフローFであっても、摺動方向に対して傾斜しているため、同様の効果を得ることができる。
続いて、本実施形態における鍛造ピストン10の製造方法を図9(a)〜(g)を参照しながら説明する。図9(a)〜(g)は、鍛造ピストン10の製造工程を模式的に示す工程図である。
まず、図9(a)に示すように、アルミニウム合金から形成されたワークピース11を用意する。アルミニウム合金としては、例えば、表1に示すような組成のアルミニウム合金A〜Eを用いることができる。アルミニウム合金A〜Eは、いずれもシリコンを含んでいる。表1中の数値の単位はいずれも質量%であり、残部はアルミニウムである。どのような組成のアルミニウム合金を用いるかは、鍛造ピストン10に要求される特性に応じて適宜決定される。
Figure 2008036710
鋳造によりワークピース11が製造される過程でどのような金属組織となるかが決定され、アルミニウムに添加元素が固溶した基地(マトリックス)中に、シリコン粒子や各種金属間化合物が分散した金属組織が呈される。マトリックスは、等軸晶あるいは樹枝状晶を呈する。また、シリコン粒子は粒状または片状であり、金属間化合物は粒状や針状である。なお、単に鋳造を行った後の材料には、特定方向のファイバーフローは認められない。マトリックスが塑性加工の方向に引き伸ばされ、シリコン粒子や金属間化合物が塑性加工の方向に配列することにより、図10に拡大して示すようなファイバーフローが形成される。
ワークピース11の成形は、例えば、連続鋳造や、鋳造されたインゴットの熱間(例えば400℃程度)での押し出し成形により行われる。ワークピース11は、例えば、上述した連続鋳造や押し出し成形により形成された棒材(典型的には丸棒材)である。押し出し成形の場合、材料を押し出す方向と平行なファイバーフローを有するワークピース11が得られる。
なお、既に述べたように、本発明は、マグネシウム合金やチタン合金から形成される鍛造ピストンにも用いられる。マグネシウム合金としては、例えば、表2に示すような組成のマグネシウム合金F、G、Hを用いることができる。また、チタン合金としては、例えば、表3に示すような組成のチタン合金I,Jを用いることができる。表2および表3中の数値の単位はいずれも質量%であり、残部はそれぞれマグネシウム、チタンである。
Figure 2008036710
Figure 2008036710
次に、図9(b)に示すように、ワークピース11にねじりを与える。このねじり加工により、図11に模式的に示すように、ワークピース11のファイバーフローFにもねじりを与えることができる。表4に、ねじり加工の条件の一例を示す。表4に示しているように、ねじり加工は熱間(典型的には200℃〜500℃)で行われる。勿論、ねじり加工の条件は表4に例示したものに限定されるわけではない。ねじり加工は、例えば電気油圧サーボ式ねじり試験機を用いて行うことができる。
Figure 2008036710
続いて、図9(c)に示すように、ワークピース11を切断することによって、より小さな(鍛造ピストン10に対応したサイズの)複数のワークピース12を形成する。例えば図示しているように、丸棒材11を切断することによって円盤状のビレット12を形成する。
次に、図9(d)に示すように、ワークピース(ビレット)12に対して所定の方向(図中に白い矢印で示す方向)に応力を印加しながら鍛造を行うことによって、図9(e)に示すような鍛造ピストン10が得られる。この鍛造工程は、熱間(例えば200℃〜500℃)で行われ、ワークピース(ビレット)12を鍛造用下型21内に配置した後に鍛造用上型22を下降させることによって行われる。鍛造工程において応力が印加される方向を、以下では「鍛造方向」と称する。
続いて、図9(f)に示すように、鍛造ピストン10に熱処理を施す。具体的には、寸法を安定させ強度を向上させるためのT6あるいはT7熱処理を行う。これらの熱処理は、溶体化処理や時効処理を含み、大気中で行われる。好ましい処理条件は、例えば以下の通りである。
溶体化処理:490℃で4時間保持後水冷
時効処理:200℃で4時間保持後空冷
最後に、図9(g)に示すように、機械加工を行うことによって、コンプレッションリング、オイルリングを保持するための溝や、ピストンピンを通すための孔(ピストンピン孔)などを形成する。必要に応じて、さらに表面処理を行ってもよい。
上述した製造方法では、鍛造工程の前に、ワークピース11にねじりを与える工程を行う。このねじり加工工程を行うことにより、ワークピース11のファイバーフローを鍛造方向(図9(d)参照)に対して傾斜させる(つまり鍛造方向に対して非平行とする)ことができる。そのため、得られる鍛造ピストン10のファイバーフローFを、半径方向や摺動方向に対して傾斜させることができる。また、ねじり加工を行うことにより、ワークピース11の金属組織にせん断応力を加えることができるので、ワークピース11に含まれる鋳巣をつぶすとともに、粗大な結晶粒、針状晶を破壊して微細化することができ、それによって、機械的性質、特に、変形能や疲労強度を向上させることが可能となる。
ねじり加工工程におけるねじり量は、所望するファイバーフローFの傾斜角度に応じて設定すればよい。ねじり回数を多くするほど、ファイバーフローFの傾斜角度を大きくすることができる。
このように、本実施形態における鍛造ピストン10の製造方法では、鍛造工程の前に、ワークピース11のファイバーフローFが鍛造方向に対して傾斜するようにワークピース11を加工する加工工程を行うので、強度および耐疲労性に優れた鍛造ピストン10を製造することができる。
仮に、鍛造工程の前にこのような加工工程を行わない場合には、図14(a)および(b)に示したようにファイバーフローfが半径方向や摺動方向に対して平行になるので、得られた鍛造ピストンの強度や耐疲労性が十分に高くはない(実用上は十分であるが)ことがある。
なお、本実施形態では、棒材11に対してねじり加工を施したが、ねじり加工は鍛造工程の前のいずれかの段階で行えばよく、必ずしもワークピースが棒材11である段階で行う必要はない。ワークピースがビレット12である段階、つまり、棒材11を切断してビレット12を形成した後に、ビレット12に対してねじり加工を施してもよい。
本実施形態における鍛造ピストン10は、上述したように高い強度と高い耐疲労性を有しているので、自動車両をはじめとする各種輸送機器の内燃機関(エンジン)に広く用いられる。図12に、本実施形態における鍛造ピストン10を備えたエンジン100の一例を示す。
エンジン100は、クランクケース110、シリンダブロック120およびシリンダヘッド130を有している。
クランクケース110内にはクランクシャフト111が収容されている。クランクシャフト111は、クランクピン112およびクランクウェブ113を有している。
クランクケース110の上に、シリンダブロック120が設けられている。シリンダブロック120には、円筒状のシリンダスリーブ121がはめ込まれており、鍛造ピストン10は、シリンダスリーブ121内を往復し得るように設けられている。
シリンダブロック120の上に、シリンダヘッド130が設けられている。シリンダヘッド130は、シリンダブロック120の鍛造ピストン10やシリンダスリーブ121とともに燃焼室131を形成する。シリンダヘッド130は、吸気ポート132および排気ポート133を有している。吸気ポート132内には燃焼室131内に混合気を供給するための吸気弁134が設けられており、排気ポート133内には燃焼室131内の排気を行うための排気弁135が設けられている。
鍛造ピストン10とクランクシャフト111とは、コンロッド30によって連結されている。具体的には、コンロッド30の小端部の貫通孔にピストンピン123が挿入されているとともに、大端部の貫通孔にクランクピン112が挿入されており、そのことによってピストン122とクランクシャフト111とが連結されている。大端部の貫通孔の内周面とクランクピン112との間には、軸受けメタル114が設けられている。
図12に示すエンジン100は、本実施形態における鍛造ピストン10を有しているので、軽量化および高出力化を実現でき、さらに、耐久性も高い。
図13に、図12に示したエンジン100を備えた自動二輪車を示す。
図13に示す自動二輪車では、本体フレーム301の前端にヘッドパイプ302が設けられている。ヘッドパイプ302には、フロントフォーク303が車両の左右方向に揺動し得るように取り付けられている。フロントフォーク303の下端には、前輪304が回転可能なように支持されている。
本体フレーム301の後端上部から後方に延びるようにシートレール306が取り付けられている。本体フレーム301上に燃料タンク307が設けられており、シートレール306上にメインシート308aおよびタンデムシート308bが設けられている。
また、本体フレーム301の後端に、後方へ延びるリアアーム309が取り付けられている。リアアーム309の後端に後輪310が回転可能なように支持されている。
本体フレーム301の中央部には、図11に示したエンジン100が保持されている。エンジン100には、本実施形態における鍛造ピストン10が用いられている。エンジン100の前方には、ラジエータ311が設けられている。エンジン100の排気ポートには排気管312が接続されており、排気管312の後端にマフラー313が取り付けられている。
エンジン100には変速機315が連結されている。変速機315の出力軸316に駆動スプロケット317が取り付けられている。駆動スプロケット317は、チェーン318を介して後輪310の後輪スプロケット319に連結されている。変速機315およびチェーン318は、エンジン100により発生した動力を駆動輪に伝える伝達機構として機能する。
図13に示した自動二輪車は、本実施形態における鍛造ピストン10が用いられたエンジン100を備えているので、優れた性能が得られる。
本発明によると、従来よりも強度および耐疲労性に優れた鍛造ピストンおよびその製造方法が提供される。
本発明による鍛造ピストンは、高い強度および耐疲労性を有しているので、乗用車、バス、トラック、オートバイ、トラクター、飛行機、モーターボート、土木車両などの種々の輸送機器用の内燃機関に好適に用いられる。
本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 (a)および(b)は、本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す上面図および側面図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 ファイバーフローの半径方向に対する傾斜角度を説明するための図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを模式的に示す斜視図である。 (a)〜(g)は、本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンの製造方法を模式的に示す工程図である。 ファイバーフローを有する金属組織を拡大して示す図である。 ねじり加工によってファイバーフローがねじれる様子を示す図である。 本発明の好適な実施形態における鍛造ピストンを備えたエンジンの一例を模式的に示す断面図である。 図12に示すエンジンを備えた自動二輪車を模式的に示す断面図である。 (a)および(b)は、従来の鍛造ピストンを模式的に示す上面図および側面図である。 (a)および(b)は、従来の鍛造ピストンを模式的に示す斜視図および上面図である。 (a)および(b)は、ピストンピンに平行な方向に曲げがかかることを説明するための図であり、(b)は(a)中のB−B’線に沿った断面図である。 (a)および(b)は、ピストンピンに直交する方向に曲げがかかることを説明するための図であり、(b)は(a)中のB−B’線に沿った断面図である。
符号の説明
1 ピストンヘッド
2 ピストンウォール(ピストン側壁)
3 ピストンボス
4 溝
5 ピストンスカート
10 鍛造ピストン
11 ワークピース(棒材)
12 ワークピース(ビレット)
100 エンジン

Claims (9)

  1. アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成されたワークピースを用意する工程と、
    前記ワークピースに対して所定の方向に応力を印加しながら鍛造を行う鍛造工程と、を包含する鍛造ピストンの製造方法であって、
    前記鍛造工程の前に、前記ワークピースのファイバーフローが前記所定の方向に対して傾斜するように前記ワークピースを加工する加工工程を包含する、鍛造ピストンの製造方法。
  2. 前記加工工程は、前記ワークピースにねじりを与える工程である請求項1に記載の鍛造ピストンの製造方法。
  3. 前記ワークピースは、連続鋳造または押し出し成形によって形成された棒材である請求項1または2に記載の鍛造ピストンの製造方法。
  4. アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成された鍛造ピストンであって、
    ファイバーフローが半径方向に対して傾斜したピストンヘッドを有する鍛造ピストン。
  5. 前記ピストンヘッドのファイバーフローは渦巻き状である請求項4に記載の鍛造ピストン。
  6. ファイバーフローが摺動方向に対して傾斜したピストンウォールを有する請求項4または5に記載の鍛造ピストン。
  7. アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金から形成された鍛造ピストンであって、
    ファイバーフローが摺動方向に対して傾斜したピストンウォールを有する鍛造ピストン。
  8. 請求項4から7のいずれかに記載の鍛造ピストンを備えた内燃機関。
  9. 請求項8に記載の内燃機関を備えた輸送機器。
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