JP2007527864A - 自然に起こる化学的連結による、多官能化ペプチドおよび/またはタンパク質の調製方法 - Google Patents

自然に起こる化学的連結による、多官能化ペプチドおよび/またはタンパク質の調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、自然に起こる化学的連結を介して、隣接していない指定された部位が多官能化されたペプチドおよび/またはタンパク質を調製するための方法を提供する。特定の実施形態において、本発明の方法は、4つ以上のアミノ酸から構成されたペプチド骨格を含む多官能化ペプチドを調製するための方法であり、ここで、2つ以上の非隣接アミノ酸は、独立して、構造(I)を有する部分で置換されており、構造(I)において、AおよびLは、本明細書中で規定される通りである。特定の実施形態において、本発明の方法は、一般構造(II)を有する多官能化ペプチドの調製を可能にし、構造(II)において、A、RPO、RP1、PX1、RX2、L、to、s、tおよびqは、本明細書中に規定される通りである。

Description

(優先権の主張)
本出願は、2003年9月5日に出願された、仮出願第60/500,708号、および2004年4月7日に出願された仮出願第60/560,147号に対する優先権を主張し、前述の出願の各々は、その全体が参考として本明細書により援用される。
(政府の支援)
本発明は、国立衛生研究所からの、助成金第CA103823号(以前は、第AI16943号)、第T32−CA62948号、および第AI051883号により一部支援された。米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
(発明の背景)
糖タンパク質は、リボソームから出てくる、新しく作られたタンパク質の翻訳後グリコシル化により生合成された重要な生体高分子である。糖タンパク質における関心は、多くのレベルで生じる。化学ベースの糖鎖生物学の高まりを見せる分野の長期的な目標は、タンパク質の折り畳み、タンパク質分解に対する安定性、および細胞接着のような重要な特性に対する、グリコシル化の重要性の描写である。このような洞察は、なぜ自然が、そうでなくても官能性のタンパク質をわざわざグリコシル化するのかを説明し得る。さらに、糖タンパク質は、ワクチン、診断薬および治療薬の脈絡において、重要な臨床的役割を有する可能性がある。実際、エリスロポエチンは、異種性の糖タンパク質であるにも関わらず、数ある適応症の中でも、貧血の処置として臨床的に価値がある4a
多くの天然に存在する、医学的に重要な糖タンパク質(例えば、エリスロポエチン4aおよびgp12011を参照)は、大きなオリゴ糖ドメインを含む複数のグリコシル化部位を示す。しかし、生物学的なグリコシル化の経路の複雑さおよび可変性を考慮すると10、かなり大量の天然の供給源からの同種の糖タンパク質の単離は、非常に困難である。
化学合成による糖ペプチドの生成のための多数の方法が存在する。例えば、グリカンは、ペンダントで保護された糖類26〜31を有するアミノ酸「カセット」を介して、糖ペプチドの酵素的操作32〜38によってか、または、短い合成ペプチドへの十分に精巧な複雑な糖類の結合39〜41によって、ペプチド内に導入される。より大きなO−連結糖ペプチドが、特別なタンパク質の連結44〜46のような連結技術42、43を使用して合成されてきた。Bertozziおよび共同研究者は、2つの単一残基O−連結グリカンを有する生物学的に活性な糖タンパク質の合成に、自然に起こる化学的連結(native chemical ligation)を適用することによって、「カセット」アプローチの範囲を拡張した47。TolbertおよびWongは、392残基のインテイン(intein)生成されたペプチドチオエステルと、単一のN−アセチルグルコサミン残基で官能化されたジペプチドとの連結を記載した。しかし、これらのアプローチのいずれも、指定部位が多重に官能化された(例えば、多重にグリコシル化された)複雑な糖ペプチドまたは糖タンパク質の組立てを可能にしなかった。
従って、同種性の多官能化ペプチドおよび/または多官能化タンパク質の調製をもたらす、新規合成方法に対する必要性が存在したままである。具体的には、このような糖ペプチドおよび/または糖タンパク質を調製するための収束性で、立体選択的かつ用途の広い方法が必要とされている。
(発明の要旨)
多官能化ペプチドおよび多官能化タンパク質へのアクセスを提供することの必要性を認識して、本発明は、1つの局面において、4つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含む多官能化ペプチドを調製するためのシステムを提供し、この4つ以上のアミノ酸のうち、2つ以上の非隣接アミノ酸は、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する部分で置換されている。但し、任意の2つの連続した、A−L−部分を有する非隣接のアミノ酸間のペプチド配列は、少なくとも1つのシステイン残基を含み;
上記方法は、以下の工程:
連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する2つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含むペプチドアシルドナーを、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアミンアクセプターと反応させる工程
を包含し、
上記構造において、k1およびk2は、独立して、1〜約20の間の整数であり;
A、AおよびAの各存在は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基もしくは実体であり;
S1は、スルフィド保護基であり;
X0は、部分−C(=O)ORX0が、ペプチドアミンアクセプターと連結を起こすようにされ得るような基であり;
の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖の、環状または非環状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸である。
特定の実施形態において、Aの各存在は、独立して、薬学的に有用な基または実体である。特定の実施形態において、Aの各存在は、独立して、生体分子、低分子、高分子、または診断用ラベルである。
特定の例示的な実施形態において、Aの各存在は、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する炭水化物決定基であり、この構造において、
a、b、c、d、e、f、g、h、i、x、yおよびzは、独立して、0、1、2もしくは3であり、但し、x、yおよびzの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分もしくはピラノース部分を表し、そして、bとcの合計は、1もしくは2であり、dとfの合計は、1もしくは2であり、そして、gとiの合計は、1もしくは2であり、但し、x、yおよびzは、同時に0であることはなく;
は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基またはアリール基であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各存在は、独立して、水素、OH、OR、NHR、NHCOR、F、CHOH、CHOR、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;Rの各存在は、独立して、水素、CHO、COORii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、もしくはアリール基、または以下の構造:
Figure 2007527864
を有する糖部分であり;
上記構造において、YおよびZは、独立して、NHまたはOであり;ここでk、l、r、s、t、u、vおよびwは、各々独立して、0、1または2であり;但し、vおよびwの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分またはピラノース部分を表し、かつ、lとkの合計は1もしくは2であり、sとuの合計は1もしくは2であり、但し、vおよびwは、同時に0であることはなく;
R’は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であって;ここで、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の各存在は、独立して、水素、OH、ORiii、NHRiii、NHCORiii、F、CHOH、CHORiii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;
16の各存在は、水素、COOH、COORii、CONHRii、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基またはアリール基であり;
ここで、Riiiの各存在は、水素、CHO、COORiv、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;そして
iiおよびRivの各存在は、各々独立して、H、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基である。
特定の実施形態において、本発明は、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する多官能化ペプチドを調製するための方法を提供し、上記構造において、
s1およびs2は、独立して1〜約20の整数であり;
t1、t2およびt3は、各々独立して整数であり;
X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
P1、RP2およびRP3は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
およびAは、各々独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基もしくは実体であり;そして
上記括弧で囲んだ構造t2の少なくとも1つの存在は、システイン残基または保護されたシステイン残基であり;そして
上記方法は、以下:
連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアシルドナーを、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアミンアクセプター
と反応させる工程であって、ここで、t+t’の合計が、(t2)+1に等しく;RS1が、スルフィド保護基であり;そして、RX0が、部分−C(=O)ORX0が、上記糖ペプチドアミンアクセプターと連結され得るような基である、工程
を包含する。
特定の例示的な実施形態において、AおよびAは、各々、独立して、Aについて上に規定されたとおりの炭水化物ドメインである。
特定の実施形態において、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する多官能化ペプチドを調製するための上記工程は、一度行なわれても、所望の回数繰り返されてもよく、上記構造において、
X1およびRX2は、上で規定されたとおりであり;
Aの各存在は、同じであっても異なっていてもよく、そして、AおよびAについて上に規定されたとおりであり得;
P1の各存在は、同じであっても異なっていてもよく、そしてRP1およびRP2について上に規定されたとおりであり得;
qは、2以上の整数であり;
sの各存在は、独立して、1〜約20の整数であり;
tの各存在は、独立して、整数であり;
t0は、整数であり;そして、
P0の各存在は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖である。
(定義)
本発明の方法において規定される特定の具体的な官能基が、以下により詳細に記載される。本発明の目的のために、化学的な要素は、Periodic Table of the Elements,CAS版,Handbook of Chemistry and Physics,第75版の内表紙に従って同定され、そして、具体的な官能基は、この文献中に記載されるように規定される。さらに、有機化学の一般的な原理、ならびに、具体的な官能部分および反応性は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999(この全内容は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
本明細書中に記載される化合物は、任意の数の置換基または官能部分で置換され得ることが理解される。一般に、用語「必要に応じて」が先行していようとそうでなかろうと、用語「置換される」、および本発明の式に含まれる置換とは、所定の構造内の水素ラジカルの、指定された置換基のラジカルでの置き換えを指す。任意の所定の構造内の1つ以上の位置が、指定された基から選択される1つ以上の置換基で置換され得る場合、この置換基は、各位置ごとで、同じであっても異なっていてもよい。本明細書中で使用される場合、用語「置換される」とは、有機化合物の全ての許容される置換基を包含することが意図される。広い局面において、許容される置換基としては、有機化合物の、非環式および環式の、分枝および非分枝の、炭素環式および複素環式の、芳香族および非芳香族の、炭素置換基およびヘテロ原子置換が挙げられる。本発明の目的のために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/または本明細書中に記載される有機化合物の任意の許容される置換基を有し得、これらの置換基は、ヘテロ原子の価数を満たす。さらに、本発明は、有機化合物の許容される置換基によって、任意の様式で制限されることは意図されない。本発明により想定される置換基および変数の組み合わせは、好ましくは、例えば、上に一般的に記載された障害の処置および予防に有用な安定な化合物の形成を生じる組み合わせである。置換基の例としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族、複素環式芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;または−GRG1が挙げられるがこれらに限定されず、ここでGは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO−、−NRG2SONRG3−、または−SONRG2−であり、ここで、RG1、RG2およびRG3の各存在としては、独立して、水素、ハロゲン、または、必要に応じて置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、芳香族、複素環式芳香族、アリール部分、ヘテロアリール部分、アルキルアリール部分、もしくはアルキルヘテロアリール部分が挙げられるがこれらに限定されない。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される具体的な実施形態により例示される。
用語「安定な」とは、本明細書中で使用される場合、好ましくは、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、そして、本明細書中で詳述される目的のために有用であるように、十分な時間にわたって化合物の完全性を維持する化合物を指す。
用語「脂肪族」とは、本明細書中で使用される場合、飽和および不飽和の、直鎖(すなわち、非分枝)または分枝の脂肪族炭化水素の両方が挙げられ、これらは、必要に応じて、1つ以上の官能基で置換される。当業者に理解されるように、「脂肪族」は、本明細書中で、アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分を含むが、これらに限定されないことが意図される。従って、本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」とは、直鎖および分枝鎖のアルキル基を含む。類似の約束事が、他の一般用語(例えば、「アルケニル」、「アルキニル」など)にも適用される。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換基および非置換基の両方を包含する。特定の実施形態において、本明細書中で使用される場合、「低級アルキル」は、約1〜6個の炭素原子を有する(置換、非置換、分枝または非分枝の)アルキル基を示すために使用される。
特定の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜4個の炭素原子を含む。従って、例示的な脂肪族基としては、例えば、メチル、エチル部分、n−プロピル部分、イソプロピル部分、アリル部分、n−ブチル部分、sec−ブチル部分、イソブチル部分、tert−ブチル部分、n−ペンチル部分、sec−ペンチル部分、イソペンチル部分、tert−ペンチル部分、n−ヘキシル部分、sec−ヘキシル部分などが挙げられるがこれらに限定されず、そして、ここでも、1つ以上の置換基を有し得る。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられるがこれらに限定されない。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「脂環式」は、本明細書中で使用される場合、脂肪族化合物および環状化合物の特性を組み合わせた化合物を指し、これらとしては、環式、または多環式の脂肪族炭化水素、および架橋したシクロアルキル化合物が挙げられるがこれらに限定されず、これらの化合物は、必要に応じて、1つ以上の官能基で置換される。当業者に理解されるように、「脂環式」は、本明細書中で、シクロアルキル部分、シクロアルケニル部分およびシクロアルキニル部分を含むがこれらに限定されないことが意図され、これらの部分は、必要に応じて、1つ以上の官能基で置換される。従って、例示的な脂環式基としては、例えば、シクロプロピル部分、−CH−シクロプロピル部分、シクロブチル部分、−CH−シクロブチル部分、シクロペンチル部分、−CH−シクロペンチル−n部分、シクロヘキシル部分、−CH−シクロヘキシル部分、シクロヘキセニルエチル部分、シクロヘキサニルエチル部分、ノルボルビル(norborbyl)部分などが挙げられるがこれらに限定されず、これらの部分は、ここでも、1つ以上の置換基を有し得る。
用語「シクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、具体的には、3〜7個、好ましくは、3〜10個の炭素原子を有する基を指す。適切なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらは、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分または複素環式部分の場合、必要に応じて、置換され得る。類似の約束事が、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」などのような他の一般用語にも適用される。
用語「ヘテロ脂肪族」は、本明細書中で使用される場合、主鎖の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子で置換されている脂肪族部分を指す。従って、ヘテロ脂肪族基は、1つ以上の酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子またはケイ素原子を、例えば、炭素原子の代わりに含む、脂肪族鎖を指す。ヘテロ脂肪族部分は、分枝であっても、直線状の非分枝であってもよい。特定の実施形態において、ヘテロ脂肪族部分は、その上の1つ以上の水素原子が1つ以上の部分による独立した置き換えにより置換されており、これらの部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;芳香族、複素環式芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;または−GRG1が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO−、−NRG2SONRG3−または−SONRG2−であり、ここで、RG1、RG2およびRG3の各存在としては、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換された脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、芳香族部分、複素環式芳香族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、アルキルアリール部分、もしくはアルキルヘテロアリール部分が挙げられるがこれらに限定されない。一般的に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される具体的な実施形態により例示される。
用語「ヘテロ脂環式」、「ヘテロシクロアルキル」または「複素環式」は、本明細書中で使用される場合、ヘテロ脂肪族化合物および環式化合物の特性を組み合わせた化合物を指し、これらとしては、飽和および不飽和の単環式または多環式の複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジニル、フラニル、チオフラニル、ピロリルなど)が挙げられるがこれらに限定されず、これらは、必要に応じて、本明細書中で定義されるような、1つ以上の官能基で置換される。特定の実施形態において、用語「複素環式」とは、非芳香族の、5員、6員もしくは7員の環、または多環式基(酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する、縮合6員環を含む、二環式もしくは三環式の基が挙げられるがこれらに限定されない)を指し、ここで、(i)各5員環は、0〜2個の二重結合を有し、各6員環は、0〜2個の二重結合を有し、(ii)窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子は、必要に応じて酸化され得、(iii)窒素ヘテロ原子は、必要に応じて、四級化され得、そして、(iv)上記の複素環式環のいずれかは、アリール環もしくはヘテロアリール環に縮合され得る。代表的な複素環としては、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルおよびテトラヒドロフラニルが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、「置換ヘテロシクロアルキルまたは複素環式」基が利用され、これらは、本明細書中で使用される場合、1個、2個または3個の水素原子の独立した置き換えにより置換された、上記のようなヘテロシクロアルキル基または複素環式基を指し、これらは、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族、複素環式芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;または−GRG1(これらに限定されない)で置換され、ここで、Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO−、−NRG2SONRG3−、または−SONRG2−であり、ここでRG1、RG2およびRG3の各存在としては、独立して、水素、ハロゲン、または必要に応じて置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、もしくはアルキルヘテロアリール部分が挙げられるがこれらに限定されない。さらなる例または一般に適用可能な置換基は、本明細書中に記載される実施例に示される具体的な実施形態により例示される。
さらに、上記および本明細書中で記載される脂環式部分またはヘテロ脂環式部分のいずれかは、これらの部分に縮合されたアリール部分またはヘテロアリール部分を含み得ることが理解される。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される具体的な実施形態により例示される。
一般に、用語「芳香族部分」は、本明細書中で使用される場合、安定な、置換もしくは非置換の、不飽和の単環式もしくは多環式の炭化水素部分を指し、この部分は、好ましくは、3〜14個の炭素原子を有し、芳香族性に関するHuckel則を満たす少なくとも1つの環を含む。芳香族部分の例としては、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェナトリルおよびアントラニル(anthracyl)が挙げられるがこれらに限定されない。
一般に、用語「複素環式芳香族部分」とは、本明細書中で使用される場合、置換もしくは非置換の、不飽和モノ複素環式部分、または不飽和ポリ複素環式部分を指し、これらの複素環式部分は、好ましくは、3〜14個の炭素原子を有し、芳香族性についてのHuckel則を満たす少なくとも1つの環を含む。複素環式芳香族部分の例としては、ピリジル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリル、およびテトラヒドロキナゾリルが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で定義にされるような芳香族部分および複素環式芳香族部分は、脂肪族部分(例えば、アルキル)またはヘテロ脂肪族部分(例えば、ヘテロアルキル)を介して結合され得、従って、これらはまた、−(脂肪族)芳香族部分、−(ヘテロ脂肪族)芳香族部分、−(脂肪族)複素環式芳香族部分、−(ヘテロ脂肪族)複素環式芳香族部分、−(アルキル)芳香族部分、−(ヘテロアルキル)芳香族部分、−(アルキル)複素環式芳香族部分および−(ヘテロアルキル)複素環式芳香族部分のような部分を含み得ることがまた理解される。従って、本明細書中で使用される場合、句「芳香族部分または複素環式芳香族部分」および「芳香族、複素環式芳香族、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)複素環式芳香族、および−(ヘテロアルキル)複素環式芳香族」は、交換可能である。置換基としては、安定な化合物の形成を生じる、以前に言及した置換基のいずれか、すなわち、脂肪族部分について列挙した置換基、または本明細書中に開示した他の部分について列挙した置換基、が挙げられるがこれらに限定されない。
一般に、用語「アリール」は、上記のような芳香族部分を指し、脂肪族部分(例えば、アルキル)、またはヘテロ脂肪族部分(例えば、ヘテロアルキル)を介して結合されたものを除く。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は、芳香族性についてのHuckel則を満たす1つまたは2つの環を有する、単環式もしくは二環式の炭素環式の環系を指し、これらとしては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
同様に、用語「ヘテロアリール」は、上記のような複素環式芳香族部分を指し、脂肪族部分(例えば、アルキル)またはヘテロ脂肪族部分(例えば、ヘテロアルキル部分)を介して結合されたものを除く。本発明の特定の実施形態において、用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、約5個〜約10個の環原子を有する、環式の不飽和ラジカルを指し、この環原子の1個は、S、OおよびNから選択され;0個、1個または2個の環原子は、S、OおよびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子であり;そして、残りの環原子は、炭素である。上記ラジカル(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど)は、環原子のいずれかを介して分子の残りに結合されている。
アリール部分およびヘテロアリール部分に対する置換基としては、安定な化合物の形成を生じる、以前に言及した置換基のいずれか、すなわち、脂肪族部分について列挙した置換基、または本明細書中に開示されるような他の部分について列挙した置換基が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、アリール基およびヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は、非置換であっても置換されていてもよく、ここで、置換としては、1個、2個または3個の水素原子の、1つ以上の以下の部分のいずれかでの独立した置き換えが挙げられ、これらの部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;脂環式;ヘテロ脂環式;芳香族、複素環式芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−またはGRG1が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、Gは、−O−、−S−、−NRG2−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO−、−C(=O)O−、−C(=O)NRG2−、−OC(=O)−、−NRG2C(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRG2−、−NRG2C(=O)O−、−NRG2C(=O)NRG2−、−C(=S)−、−C(=S)S−、−SC(=S)−、−SC(=S)S−、−C(=NRG2)−、−C(=NRG2)O−、−C(=NRG2)NRG3−、−OC(=NRG2)−、−NRG2C(=NRG3)−、−NRG2SO−、−NRG2SONRG3−、または−SONRG2−であり、ここで、RG1、RG2およびRG3の各存在としては、独立して、水素、ハロゲン、または、必要に応じて置換された脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、芳香族部分、複素環式芳香族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、アルキルアリール部分、またはアルキルヘテロアリール部分が挙げられるがこれらに限定されない。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態により例示される。
用語「アルコキシ」(または「アルキルオキシ」)、および「チオアルキル」は、本明細書中で使用される場合、以前に定義されたように、酸素原子を介して(「アルコキシ」)、または硫黄原子を介して(「チオアルキル」)親分子の部分に結合したアルキル基を指す。特定の実施形態において、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、アルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシおよびn−ヘキソキシが挙げられるがこれらに限定されない。チオアルキル基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、などが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「アミン」は、Rの各存在が、独立して、水素、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、芳香族部分、もしくは複素環式芳香族部分であるか、または、R基が一緒になって、複素環式部分を形成し得る、構造−N(R)を有する基を指す。
用語「アルキルアミノ」は、本明細書中に定義されるように、R’がアルキルである、構造−NHR’を有する基を指す。用語「アミノアルキル」は、本明細書中に定義されるように、R’がアルキルである、構造NHR’−を有する基を指す。特定の他の実施形態において、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、約1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルキルアミノの例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノなどが挙げられるがこれらに限定されない。
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書中で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
用語「アシルオキシ」は、本明細書中で使用される場合、当該分野でのこの用語の一般的な意味と実質的に異ならず、Rが置換もしくは非置換の、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分である、構造−OC(O)Rの部分を指す。
用語「アシル」は、本明細書中で使用される場合、当該分野でのこの用語の一般的な意味とは実質的に異ならず、そして、Rが、置換もしくは非置換の、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分である、構造−C(O)Rの部分を指す。
用語「イミン」は、本明細書中で使用される場合、当該分野でのこの用語の一般的な意味とは実質的に異ならず、そして、Rが、水素、または必要に応じて置換された、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分であり;かつ、Rが、必要に応じて置換された、脂肪族部分、脂環式部分、ヘテロ脂肪族部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分である、構造−C(=NR)Rの部分を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「脂肪族」、「ヘテロ脂肪族」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」などは、置換および非置換、飽和および不飽和、ならびに直鎖および分枝鎖の基を包含する。同様に、用語「脂環式」、「ヘテロ脂環式」、「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」などは、置換および非置換、ならびに飽和および不飽和の基を包含する。さらに、用語「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、置換および非置換の両方の基を包含する。
一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される具体的な実施形態により例示されるが、これらの実施形態に限定されないことが理解される。
本明細書中で使用される用語「保護基」によって、特定の官能部分(例えば、O、SまたはN)が、一時的にブロックされ、その結果、反応が、多官能化合物の別の反応部位において選択的に行なわれ得ることを意味する。好ましい実施形態において、保護基は、選択的に反応して、良好な収率で、計画された反応に対して安定な保護された物質を生じる;この保護基は、容易に利用可能な、好ましくは、他の官能基を攻撃しない無毒性の試薬によって、良好な収量で選択的に除去されなければならない;この保護基は、(より好ましくは、新しい立体認知中心を生成することなく)容易に分離可能な誘導体を形成する;そして、この保護基は、反応のさらなる部位を避けるために、最小数のさらなる官能性を有する。本明細書中に詳述されるように、酸素、硫黄、窒素および炭素の保護基が利用され得る。例えば、特定の実施形態において、本明細書中に詳述されるように、特定の例示的な酸素保護基が利用される。これらの酸素保護基としては、メチルエーテル、置換メチルエーテル(例えば、小数の名前を挙げると、MOM(メトキシメチルエーテル)、MTM(メチルチオメチルエーテル)、BOM(ベンジルオキシメチルエーテル)、PMBMまたはMPM(p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル))、置換エチルエーテル、置換ベンジルエーテル、シリルエーテル(例えば、小数の名前を挙げると、TMS(トリエメチルシリルエーテル)、TES(トリエチルシリルエーテル)、TIPS(トリイソプロピルシリルエーテル)、TBDMS(t−ブチルジメチルシリルエーテル)、トリベンジルシリルエーテル、TBDPS(t−ブチルジフェニルシリルエーテル))、エステル(例えば、小数の名前を挙げると、ホルメート、アセテート、ベンゾエート(Bz)、トリフルオロアセテート、ジクロロアセテート)、カーボネート、環状アセタールおよびケタールが挙げられるがこれらに限定されない。特定の他の例示的な実施形態において、窒素保護基が使用される。これらの窒素保護基としては、少数の名前を挙げると、カルバメート(少数の名前を挙げると、メチルカルバメート、エチルカルバメートおよび置換エチルカルバメート(例えば、Troc)が挙げられる)、アミド、環式イミド誘導体、N−アルキルアミンおよびN−アリールアミン、イミン誘導体、ならびにエナミン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。特定の他の例示的な保護基は、本明細書中に詳述されるが、本発明は、これらの保護基に制限されることは意図されず;むしろ、種々のさらなる等価な保護基が、上記の基準を使用して容易に同定され得、本発明において利用されることは、明らかである。さらに、種々の保護基は、「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、Greene,T.W.およびWuts,P.G.編、John Wiley & Sons,New York:1999(この全内容が、本明細書により参考として援用される)に記載される。
用語「天然のアミノ酸側鎖」とは、本明細書中で使用される場合、天然に存在するタンパク質において見られる、一般的な、天然に存在するL−アミノ酸:グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、システイン(Cys)およびメチオニン(Met)のいずれか1つの側鎖を指す。
用語「非天然のアミノ酸側鎖」は、本明細書中で使用される場合、天然のアミノ酸でないあらゆるアミノ酸の側鎖を指す。これは、例えば、α−アミノ酸残基、β−アミノ酸残基、D−アミノ酸残基、L−アミノ酸残基、および側鎖Rが、天然に存在するアミノ酸側鎖以外のものである、一般式
Figure 2007527864
の化合物を含む。
より一般的に、用語「アミノ酸側鎖」は、本明細書中で使用される場合、天然のアミノ酸側鎖および非天然のアミノ酸側鎖を包含する。
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に有用な基または実体」は、ペプチドもしくはタンパク質に共有結合した場合に、被験体に投与された際にいくつかの生物学的もしくは診断的な機能または活性を発揮し得るか、または、生物医学的な用途において親ペプチドおよび/もしくはタンパク質の治療的、診断的、もしくは予防的な特性を高めるか、または、安全性を改善するか、生分解もしくは排泄を変化させるか、または、検出可能である、化合物もしくはそのフラグメント、または、実体をいう。適切な薬学的に有用な基または実体の例としては、親水性/疎水性モディファイア、薬物動態学的モディファイア、生物学的に活性なモディファイア、検出可能なモディファイアが挙げられる。モディファイアは、1つ以上の薬学的な機能(例えば、生物学的活性および/または薬物動態学的な変更)を有し得る。薬物動態学的モディファイアとしては、例えば、抗体、抗原、レセプターリガンド、親水性基、疎水性基、または荷電基が挙げられ得る。生物学的に活性なモディファイアとしては、例えば、治療薬およびプロドラッグ、抗原、免疫調節因子が挙げられる。検出可能なモディファイアとしては、診断用ラベル(例えば、放射活性、蛍光、常磁性、超常磁性、強磁性、X線変調性(X−ray modulating)、X線不透過性、超音波反射性、および、臨床もしくは実験室の方法で利用可能なもの(例えば、シンチグラフィー、NMR分光法、MRI、X線トモグラフィー、ソノトモグラフィー、光画像法(photoimaging)、ラジオイムノアッセイ)の1つにより検出可能な他の物質が挙げられる。モディファイアは、低分子または高分子であり得、そして、任意の化学的もしくは薬学的な分類(例えば、ヌクレオチド、化学療法剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤、免疫調節剤、ホルモンもしくはそのアナログ、酵素、インヒビター、アルカロイドおよび治療用放射性核種)に属し得る。ウイルスおよび非ウイルスの遺伝子ベクターは、薬学的に有用な実体または基と考えられる。
用語「生体分子」とは、本明細書中で使用される場合、天然に存在していようと、(例えば、合成もしくは組換えの方法によって)人工的に作製されたものであろうと、通常細胞および組織において見られる、化合物の分類に属する分子(例えば、タンパク質、アミノ酸、ペプチド、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、核タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ステロイドなど)を指す。特定の分類の生体分子としては、酵素、レセプター、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、細胞応答モディファイア(例えば、成長因子、および化学走性因子、抗体、ワクチン、ハプテン、毒素、インターフェロン、リボザイム、アンチセンス薬剤、プラスミド、DNAおよびRNAが挙げられるがこれらに限定されない。)
本明細書中で使用される場合、用語「低分子」とは、天然に存在していようと、(例えば、化学合成によって)人工的に作製されていようと、比較的低い分子量を有する分子を指す。好ましい低分子は、これらが、動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒト)において局所的もしくは全身的な効果を生じるという点で生物学的に活性である。代表的には、低分子は、約1500g/モル未満の分子量を有する。特定の好ましい実施形態において、低分子は薬物である。必須ではないが、好ましくは、薬物は、該当する政府代行機関または団体によって、既に使用について安全かつ有効と判断されているものである。例えば、21 C.F.R.§§ 330.5、331〜361および440〜460の下、FDAにより列挙されたヒトへの使用のための薬物;21 C.F.R.§§ 500〜589の下、FDAにより列挙された獣医学における使用のための薬物(これらは、本明細書中に参考として援用される)は、全て、既存の親水性ポリマーとともに使用するのに適切であると考えられる。
本発明の実施において使用され得る低分子薬物の分類としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ビタミン、抗AIDS物質、抗癌物質、抗生物質、免疫抑制剤、抗ウイルス物質、酵素インヒビター、神経毒、オピオイド、催眠薬、抗ヒスタミン剤、潤滑剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋弛緩剤、および抗パーキンソン物質、鎮攣薬、および筋収縮剤(チャネル遮断薬、縮瞳薬および抗コリン作動薬を含む)、抗緑内障化合物、抗寄生生物化合物および/または抗原虫化合物、細胞−細胞外マトリクス相互作用の調節因子(細胞増殖インヒビターおよび抗接着分子を含む)、血管拡張剤、DNA合成、RNA合成もしくはタンパク質合成のインヒビター、抗高血圧薬、鎮痛剤、解熱薬、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤、抗血管新生因子、抗分泌因子(anti−secretory factor)、抗凝固剤、および/もしくは抗血栓剤、局所麻酔薬、目薬(ophthalmic)、プロスタグランジン、抗鬱薬、抗精神病物質、制吐剤、造影剤(imaging agent)。多くの高分子がまた薬物である。
より完全な(網羅的ではない)、分類のリスト、および本発明を実施するために適切な特定の薬物は、Axel KleemannおよびJurgen Engelによる「Pharmaceutical Substances:Syntheses,Patents,Applications」、Thieme Medical Publishing,1999ならびに「Merck Index:An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals」、Susan Budavariら編、CRC Press,1996(これらの両方が、参考として本明細書中に援用される)に見られ得る。
本明細書中で使用される場合、用語「高分子」とは、天然に存在していようと、(例えば、化学合成により)人工的に作製されようと、比較的高い分子量(例えば、一般的には、1500g/モルを超える)を有する分子を指す。好ましい高分子は、動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒト)において生物学的な機能を発揮するという点で、生物学的に活性である。高分子の例としては、以下が挙げられる:タンパク質、酵素、成長因子、サイトカイン、ペプチド、ポリペプチド、ポリリジン、タンパク質、脂質、高分子電解質、免疫グロブリン、DNA、RNA、リボザイム、プラスミドおよびレクチン。本発明の目的に関して、ウイルスおよびタンパク質の会合物(例えば、二量体)のような超分子構築物は、高分子とみなされる。ペプチドまたはタンパク質に共有結合した場合、高分子は、上記ペプチドまたはタンパク質に共有結合される前に、化学修飾され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「診断用ラベル」とは、当該分野で公知の分析法を使用して、インビボまたはエキソビボで検出され得る、原子、原子団、部分もしくは官能基、ナノ結晶、または、物質の組成物(composition of matter)の他の別個の要素を指す。ペプチドまたはタンパク質に共有結合された場合、このような診断用ラベルは、このペプチドまたはタンパク質を、インビボでモニタリングすることを可能にする。他方、診断用ラベルを含む構築物および組成物は、生物学的な機能または構造をモニターするために使用され得る。診断用ラベルの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:医療用の診断手順において使用され得るラベル、例えば、γシンチグラフィーおよびポジトロン放出断層撮影(PET)のための放射性医薬品もしくは放射活性同位体、磁気共鳴映像法(MRI)のための造影剤(contrast agent)(例えば、常磁性原子および超常磁性ナノ結晶)、コンピュータ断層撮影法のための造影剤、X線画像化法のための造影剤、超音波診断法のための薬剤、中性子放射化のための薬剤、ならびに、種々の光学手順における、X線、超音波、電波およびマイクロ波、フルオロフォアなどを反射するか、散乱するか、またはこれらに影響を与え得る部分。
(本発明の特定の好ましい実施形態の詳細な説明)
1つの局面において、本発明は、2つ以上の非隣接アミノ酸が官能化された、ペプチドおよび/またはタンパク質(例えば、ポリペプチド/タンパク質鎖の少なくとも2つの非隣接アミノ酸残基に共有結合した、薬学的に有用な基もしくは実体を有するもの)の合成のための新規方法論を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ポリペプチド/タンパク質鎖の非隣接アミノ酸残基に共有結合された少なくとも2つのグリカンを有する、ポリペプチドおよびタンパク質の合成のためのシステムを提供する。特定の実施形態において、エリスロポエチンのグリコシル化フラグメントの全体的な合成のために開発された合成研究の脈絡において、一般化された方法論が、ポリグリコシル化されたペプチドおよびタンパク質の改善された合成のために開発された。これらの一般的な合成方法は、自然に起こる化学的連結(NCL)が、糖ペプチド構築ブロックに由来する、大きな幾重にもグリコシル化されたポリペプチドを組み立てるために使用され得る、グリカン適合性のプロセスであるという理解を包含する。なお別の局面において、本発明はまた、C末端システインを含む糖ペプチドの、糖ペプチドチオエステルとの化学選択的な反応が、対応するジグリコシル化ペプチド付加物から達成され得るという理解を提供する。
具体的な例、特に、二官能性糖ペプチド(すなわち、ジグリコシル化ペプチド)の合成に関しては、以下により詳細に、そして、本明細書中の実験例に、これらの合成の過程において開発された特定の一般的な方法論と共に記載されている。これらの例は、限定的ではなく;むしろ、あらゆる等価物が、本発明の範囲内に組み込まれることが意図されることは、当業者に理解される。特に、本発明の方法は、一般に、多官能化ペプチドおよびタンパク質の調製に適合され得る。
(1)本発明の方法の特定の実施形態の説明)
本発明の1つの局面において、4つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含む多官能化ペプチドを調製するための方法が提供され、このアミノ酸において、2つ以上の非隣接アミノ酸は、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する部分で置換され、ここで、
の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖の、環状または非環状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
Aの各存在は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基もしくは実体であり;
ただし、任意の2つの連続した、隣接しないアミノ酸を有するA−L−部分の間のペプチド配列が、少なくとも1つのシステイン残基を含む。
本発明の1つの局面において、4つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含む多官能化ペプチドを調製するための方法が提供され、このアミノ酸のうち2つ以上の隣接しないアミノ酸が、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する部分で置換されており、ただし、任意の2つの連続した、隣接しないアミノ酸を有するA−L−部分の間のペプチド配列が、少なくとも1つのシステイン残基を含み;
この方法は、以下の工程:
連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する2つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含むペプチドアシルドナーを、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアミンアクセプターと反応させる工程
を包含し、
上記構造において、k1およびk2は、独立して、1〜約20の間の整数であり;
A、AおよびAの各存在は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基もしくは実体であり;
S1は、スルフィド保護基であり;
X0は、部分−C(=O)ORX0が、このペプチドアミンアクセプターと連結を起こすようにされ得るような基であり;
の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖の、環状または非環状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして
X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸である。
特定の実施形態において、Aの各存在は、独立して、薬学的に有用な基または実体である。特定の実施形態において、Aの各存在は、独立して、生体分子、低分子、高分子または診断用ラベルである。
特定の例示的な実施形態において、Aの各存在は、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する炭化水素決定基であって、上記構造において、
a、b、c、d、e、f、g、h、i、x、yおよびzは、独立して、0、1、2もしくは3であり、但し、x、yおよびzの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分もしくはピラノース部分を表し、そして、bとcの合計は、1もしくは2であり、dとfの合計は、1もしくは2であり、そして、gとiの合計は、1もしくは2であり、但し、x、yおよびzは、同時に0であることはなく;
は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基またはアリール基であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各存在は、独立して、水素、OH、OR、NHR、NHCOR、F、CHOH、CHOR、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;Rの各存在は、独立して、水素、CHO、COORii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、もしくはアリール基、または以下の構造:
Figure 2007527864
を有する糖部分であり;
上記構造において、YおよびZは、独立して、NHまたはOであり;ここでk、l、r、s、t、u、vおよびwは、各々独立して、0、1または2であり;但し、vおよびwの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分またはピラノース部分を表し、かつ、lとkの合計は1もしくは2であり、sとuの合計は1もしくは2であり、但し、vおよびwは、同時に0であることはなく;
R’は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であって;ここで、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の各存在は、独立して、水素、OH、ORiii、NHRiii、NHCORiii、F、CHOH、CHORiii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;
16の各存在は、水素、COOH、COORii、CONHRii、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基またはアリール基であり;
ここで、Riiiの各存在は、水素、CHO、COORiv、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;そして
iiおよびRivの各存在は、各々独立して、H、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基である。
特定の実施形態において、Lは、自然に起こる化学的連結反応条件と適合性である、任意の官能基部分を含み得る。特定の実施形態において、Lは、水性条件と適合性である、任意の官能基部分を含み得る。特定の実施形態において、適合性のある官能基は、安定で、不反応性で、そして/または反応と最小限に干渉する、官能基である。チオール基は、反応を減速させ得るにもかかわらず、適合性の官能基であると考えられる。適切な官能基の例としては、炭化水素、アミン、アミド、イミン、ヒドロキシル、エーテル、カルボン酸エステル、アルデヒド、チオール、オレフィン、アルキン、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがこれらに限定されない。特定の例示的な実施形態において、Lは、チオール基を含まない。
特定の実施形態において、Lの各存在は、独立して、nが0〜9の−O−(CH−、またはグルコシド含有部分(例えば、単糖または多糖)である。
特定の実施形態において、Lの各存在は、−O−(CH−CH−であり、そして、2つ以上の非隣接アミノ酸は、独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する部分で置換され、上記構造において、nの各存在は、独立して0〜8であり;そして、Aは、上で定義した通りである。特定の実施形態において、Aは、炭水化物部分であり、n−アルキルグリコシド部分の各存在は、独立して、上記骨格のアミノ酸残基にα−結合もしくはβ結合されている。本発明の方法に従って作製された多官能化ペプチドは、Lの各存在がn−アルキルを含むものには限定されないことが理解され、ここで、nは、1以上であり;むしろ、Aの各存在は、独立して、従来の直接結合(n=0)によってか、n−アルキル(例えば、ペンチル)を介してか、単糖部分を介してか、またはこれらの任意の組み合わせを介して連結され得る。好ましい実施形態において、Aの各存在は、独立して、Globo−H、フコシルGM1、KH−1、グリコホリン、STN、(2,3)ST、Le、Le、N3、Tn、2,6−STn、Gb3およびTFからなる群より選択される
特定の実施形態において、Aの存在は、同じであっても異なっていてもよい。
特定の実施形態において、Aの特定の存在は、クラスター形成している。例えば、特定の実施形態において、多官能化ペプチドは、少なくとも1つのシステイン残基を含むペプチドアミノ酸配列によって、もう一方の官能化された部位から間隔を空けられた、少なくとも2つの隣接する官能化アミノ酸(すなわち、クラスター形成した官能化アミノ酸)を含む。
特定の実施形態において、Aの存在は、クラスター形成したグリコシドである。例えば、特定の実施形態において、幾重にもグリコシル化したペプチドは、少なくとも1つのシステイン残基を含むペプチドアミノ酸配列によって、もう一方の官能化された部位から間隔を空けられた、少なくとも2つの隣接するグリコシル化アミノ酸(すなわち、クラスター形成したグリコシル化アミノ酸)を含む。
特定の実施形態において、本発明は、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する多官能化ペプチドを調製するための方法を提供し、ここで、
s1およびs2は、独立して1〜約20の整数であり;
t1、t2およびt3は、各々独立して整数であり;
X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
P1、RP2およびRP3は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
およびAは、各々独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基または実体であり;そして
前記括弧で囲んだ構造t2の少なくとも1つの存在は、システイン残基または保護されたシステイン残基であり;そして
この方法は、以下の工程:
連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアシルドナーを、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアミンアクセプター
と反応させる工程であって、ここで、t+t’の合計が、(t2)+1に等しく;RS1が、スルフィド保護基であり;そして、RX0が、部分−C(=O)ORX0が、上記糖ペプチドアミンアクセプターと連結され得るような基である、工程
を包含する。
特定の例示的な実施形態において、AおよびAは、各々独立して、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する炭化水素決定基であって、上記構造において、
a、b、c、d、e、f、g、h、i、x、yおよびzは、独立して、0、1、2もしくは3であり、但し、x、yおよびzの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分もしくはピラノース部分を表し、そして、bとcの合計は、1もしくは2であり、dとfの合計は、1もしくは2であり、そして、gとiの合計は、1もしくは2であり、但し、x、yおよびzは、同時に0であることはなく;
は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基またはアリール基であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各存在は、独立して、水素、OH、OR、NHR、NHCOR、F、CHOH、CHOR、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;Rの各存在は、独立して、水素、CHO、COORii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、もしくはアリール基、または以下の構造:
Figure 2007527864
を有する糖部分であり;
上記構造において、YおよびZは、独立して、NHまたはOであり;ここでk、l、r、s、t、u、vおよびwは、各々独立して、0、1または2であり;但し、vおよびwの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分またはピラノース部分を表し、かつ、lとkの合計は1もしくは2であり、sとuの合計は1もしくは2であり、但し、vおよびwは、同時に0であることはなく;
R’は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であって;ここで、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の各存在は、独立して、水素、OH、ORiii、NHRiii、NHCORiii、F、CHOH、CHORiii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;
16の各存在は、水素、COOH、COORii、CONHRii、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基またはアリール基であり;
ここで、Riiiの各存在は、水素、CHO、COORiv、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;そして
iiおよびRivの各存在は、各々独立して、H、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であり;そして
各グリコシド部分は、アミノ酸にα結合されるか、またはβ結合されるかのいずれかである。
特定の実施形態において、上記工程は、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する多官能化ペプチドを調製するために、所望の回数繰り返され、
上記構造において、RX1およびRX2は、上で規定されたとおりであり;
Aの各存在は、同じであっても異なっていてもよく、AおよびAについて上で規定されたとおりであり得;
P1の各存在は、同じであっても異なっていてもよく、RP1およびRP2について上で規定されたとおりであり得;
qは、2以上の整数であり;
sの各存在は、独立して、1〜約20の整数であり;
tの各存在は、独立して、整数であり;
t0は整数であり;そして
P0の各存在は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖である。
特定の実施形態において、qは、2と約5との間の整数である。特定の実施形態において、qは、2と約10との間の整数である。特定の実施形態において、qは、2と約15との間の整数である。特定の実施形態において、qは、2と約20との間の整数である。特定の実施形態において、qは、2と約25との間の整数である。特定の実施形態において、qは、2と約30との間の整数である。特定の実施形態において、qは、30より大きい整数である。特定の実施形態において、qは2である。
特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約6との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約10との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約15との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約20との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約50との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約100との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約150との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、約2と約200との間である。特定の実施形態において、s+tの合計は、200より大きくあり得る。
特定の実施形態において、t0は、0〜約2の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約5の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約10の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約15の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約20の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約25の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約30の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約50の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約100の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約150の整数である。特定の実施形態において、t0は、0〜約200の整数である。特定の実施形態において、t0は、200より大きい整数である。
特定の実施形態において、RX1は、水素、FmocまたはAcである。
特定の実施形態において、RX2は、NHである。
特定の実施形態において、RX0は、硫黄置換アリール部分である。RX0は、ジスルフィド置換アリール部分である。特定の実施形態において、RX0が、以下の構造:
Figure 2007527864
を有し、上記構造において、Rは、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、または複素環式芳香族部分である。特定の例示的な実施形態において、RX0は、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する。
特定の実施形態において、Rは低級アルキルである。特定の例示的な実施形態において、Rはエチルである。
特定の他の実施形態において、RS1は、−StBuである。
特定の例示的な実施形態において、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアシルドナーを、連結を達成するのに適切な条件下で、ペプチドアミンアクセプターと反応させる工程において、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する中間体がインサイチュで形成され、上記構造において、RX0aは、酸素置換アリール部分である。
特定の実施形態において、連結を達成するための適切な条件は、MES−Naを含む。
特定の例示的な実施形態において、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するペプチドアシルドナーにおいて、−ORX0に直接結合しているアミノアシル残基は、フェニルアラニンである。
特定の実施形態において、Aは、自然に起こる化学的連結反応条件と適合性である、任意の官能基部分を含み得る。特定の実施形態において、Aは、水性条件に適合性である任意の官能基部分を含み得る。特定の実施形態において、適合性のある官能基は、安定で、不反応性であり、そして/または反応と最小限に干渉する官能基である。チオール基は、反応を減速し得るにもかかわらず、適合性のある官能基と考えられる。適切な官能基の例としては、炭化水素、アミン、アミド、イミン、ヒドロキシル、エーテル、カルボン酸エステル、アルデヒド、チオール、オレフィン、アルキン、アリールおよびヘテロアリールが挙げられるがこれらに限定されない。特定の例示的な実施形態において、Aはチオール基を含まない。
特定の実施形態において、Aの少なくとも1つの存在(または、Aおよび/もしくはA、Aについてさらに規定されるとおり)が、炭水化物ドメインであるときに、炭水化物ドメインの一部または全ては、ペプチド骨格にO−連結している。特定の他の実施形態において、Aの少なくとも1つの存在(または、Aおよび/もしくはA、Aについてさらに規定されるとおり)が、炭水化物ドメインであるときに、炭水化物ドメインの一部または全てが、ペプチド骨格にN−連結している。特定の他の実施形態において、Aの少なくとも1つの存在(または、Aおよび/もしくはA、Aについてさらに規定されるとおり)が、炭水化物ドメインであるときに、本発明の方法は、炭水化物ドメインが部分的または完全的に脱保護される(すなわち、露出されたOH基を有する)間に実施され得る。特定の実施形態において、A部分の結合点の各々の間のペプチド配列は、システイン残基を含む。特定の実施形態において、多官能化構築物(すなわち、1つ以上のA部分を有する構築物)は、自然に起こる化学的連結により調製される。特定の実施形態において、本発明の方法により得られる多官能化ペプチドは、対称(結合されるべき官能化ペプチド構築ブロックが、同じペプチド配列(N末端および/またはC末端について安全である)を有し、同じ官能化パターンを有する)、非対称(結合されるべき官能化ペプチド構築ブロックが、ペプチド配列(N末端およびC末端を除く)および/または官能化パターンが異なる)である。特定の実施形態において、本発明の方法は、目的の糖タンパク質/糖ペプチドにおける炭水化物の間隔を空けた位置に近くなるように設計された、幾重にもグリコシル化されたペプチド(例えば、gp120およびエリスロポエチンのような天然に存在する糖タンパク質)の調製を可能にする。
特定の実施形態において、上記方法は、多官能化ペプチドを免疫原キャリアに結合体化させる工程をさらに包含する。特定の例示的な実施形態において、キャリアは、タンパク質、ペプチドまたは脂質である。特定の他の例示的な実施形態において、キャリアは、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、またはポリリジンである。特定の他の実施形態において、キャリアは、以下の構造:
Figure 2007527864
を有する脂質キャリアであって、上記構造において、m、nおよびpは、各々独立して、約8と20との間の整数であり;そして
は、水素、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキル、または置換もしくは非置換のフェニルである。特定の例示的な実施形態において、m’、n’およびp’は、各々14であり、そして、脂質は、トリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリン(例えば、PamCys)である。
キャリアは、直接、またはクロスリンカーを介して多官能化ペプチドに連結しており、従って、ペプチドは、(クロスリンカー−タンパク質)、(クロスリンカー−ペプチド)および(クロスリンカー−脂質)部分と同様に、タンパク質、ペプチドまたは脂質に結合され得ることが理解される。
本発明に適したクロスリンカーは、当該分野で広く知られており(例えば、1994 Pierce Technical Handbook:cross−linking(付録A)(http://www.piercenet.com/resources/browse.cfm?fldID=184で入手可能)を参照のこと)、ブロモ酢酸NHSエステル、6−(ヨードアセトアミド)カプロン酸NHSエステル、マレイミド酢酸NHSエステル、マレイミド安息香酸NHSエステルなどが挙げられる。特定の好ましい実施形態において、クロスリンカーは、MMCCH(4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシルヒドラジド)である。特定の他の好ましい実施形態において、クロスリンカーは、MBS(m−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシニミジルエステル)である。特定の実施形態において、クロスリンカーは、以下の構造:
Figure 2007527864
を有するフラグメントであり、それによって、上記構造が、多官能化ペプチドにおいて適切な官能性と、マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとの結合の際に生成される。
(2)例示的な合成方法論)
(自然に起こる化学的連結(Native Chemical Ligation))
糖ペプチドの合成のためにより広く使用される方法の1つは、自然に起こる化学的連結(NCL)である48。1994年に初めてKentによって報告された、NCLは、大きなタンパク質の、保護されてないペプチド構築ブロックに由来する自然に起こるアミド結合による組み立てを可能にする(スキーム1)。さらに、この反応は、穏やかかつ選択的であり、グリカンの存在と適合性である。グリカンが反応中に存在する場合、グリカンは、代表的には、C末端側鎖上に見られる。結果的には、C末端システインを含む糖ペプチドは、ペプチドチオエステルとの化学選択的な反応を受ける。次いで、生じたペプチドチオエステルが、同時に再編成されて、自然に起こるペプチド結合を提供し、糖ペプチドのペプチド骨格を効率的に延長する。
Figure 2007527864
上で議論したように、複数のグリコシドドメインを有する糖ペプチドは、特に興味深い。このような構造としては、gp120フラグメント、エリスロポエチン(EPO)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、およびアミロイド前駆体タンパク質(APP)の合成が挙げられる。この領域における以前の研究49から取り出すと、NCLは、2つの小さな糖ペプチドをカップリングさせて、1つの大きな糖ペプチドを形成させる方法として検討された。明らかとなった1つの欠点は、保護されていない糖ペプチドα−チオエステルが合成されるという難しさにある50。従って、複数のグリコシドドメインを有する糖ペプチドの組み立てを可能にするための、糖ペプチドα−チオエステル、またはその等価物の合成のための新規の方法が考案された。
NCLの反応機構をより詳しく見ると、この問題がいかにして対処され得るかという糸口が提供された。この反応自体の1つの実施形態において、システインカップリングパートナーのスルフヒドリル基は、最初にt−ブチルジスルフィドとして保護されているが、2−メルカプトエタンスルホン酸(MESNa)とジスルフィド交換により解放され、次いで、上述のようなトランス−チオエステル化を受ける。任意の特定の理論に束縛されることは望まないが、このジスルフィド交換を利用することによって、α−チオエステルを、オルト位置にエチルジスルフィドを有するフェニルエステルとしてマスクすることが可能であり得ると考えられた(スキーム2)。反応条件下では、遊離のスルフヒドリルが解放され、そして、同時の再編成を受けて、NCL経路に入ることができるチオエステルを提供する。
Figure 2007527864
この提案される修飾の実行可能性を試験するために、単純なジペプチドPheCysを合成した。所望のオルト置換フェノールを、酸化およびジスルフィド交換によって、市販の2−メルカプトフェノールから2段階で合成した。フェノールのフェニルアラニンへのカップリングの後、Boc保護基を除去し、発明者らの第1の試みのための準備をした(スキーム3)。反応は、良好な収率で進んだ。より重要なことには、この反応条件下ではラセミ化は観察されなかった。
Figure 2007527864
次いで、2つのグリコシドドメインを有する糖ペプチドの合成を行なった。N末端フラグメント(最終的にマスクされたチオエステルになるフラグメント)の合成を、ペプチド酸の固相合成により開始し、次いで、標準的なペプチドカップリングを行なって、フェニルエステルを有するフェニルアラニンを導入した。側鎖保護基のTFA脱保護により、N末端フラグメントのためのペプチド骨格を提供した(スキーム4)。
Figure 2007527864
過剰のペプチドとのオリゴ糖のカップリングにより、連結の準備ができた、完全に脱保護された糖ペプチドを提供した(スキーム5)。
Figure 2007527864
N末端部分を手にしたら、次いで、C末端カップリングパートナーの合成を行なった。同様の方法で、ペプチド骨格を、固相ペプチド合成により調製した。樹脂からの切断、グリコシル化およびFmocの除去を行い、C末端糖ペプチドを得た(スキーム6)。
Figure 2007527864
特定の例示的な実施形態において、2つのグリコシドドメインを有する糖ペプチドの合成は、以下のように達成された:等モル量のN末端およびC末端の両方の糖ペプチドを、LCMSバイアル中に合わせ、そして、これに、リン酸緩衝化生理食塩水中のMESNa溶液を添加した。この反応を、LCMSによりモニターし、そして、発明者らが驚いたことには、フェニルエステルのチオエステルへの再編成が、極めて迅速に起こり51、さらに、所望の生成物に対応する質量ピークが、ほとんど直ぐに観察された。反応が完了すると、あらゆる残りのジスルフィド結合を、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)の作用により還元した。次いで、粗反応混合物を、精製のためにHPLCに供した。反応は、極めて良好に進行し、代表的に60〜70%の収率で、二重にグリコシル化された糖ペプチドを提供した。本発明の方法により調製され得る例示的なジグリコシル化ペプチドは、以下の実験の節に詳述される。対称、非対称、および混合型(N−連結およびO−連結)の糖ペプチドが使用され得ることに注意すべきである。
従って、少なくとも2つの炭水化物ドメインが共有結合された糖ペプチドを調製するための方法が、本明細書中で提供される。特定の実施形態において、炭水化物ドメインのいくらかまたは全ては、O−連結されている。特定の他の実施形態において、炭水化物ドメインのいくらかまたは全ては、N−連結されている。特定の実施形態において、糖ペプチドは、この糖ペプチドに共有結合された2つ以上の炭水化物ドメインを含み、ここで、炭水化物ドメインの結合点の各々の間の糖ペプチド配列は、システイン残基を含む。特定の実施形態において、多グリカンの糖ペプチドは、自然に起こる化学的連結により調製される。特定の実施形態において、この方法は、各カップリングパートナーが糖ペプチド自体であるカップリングを可能にする。対称、非対称、および混合型(N−連結およびO−連結)の糖ペプチドが得られ得る。特定の実施形態において、この方法は、チオエステルのインサイチュ生成を含み、このチオエステルは、次いで、自然に起こる化学的連結において直ちに使用される。
(ペプチドチオエステル合成)
いくつかの方法が、ペプチドチオエステル合成のために開発されており、これらとしては、最初の「Boc化学」(Boc=tert−ブチルオキシカルボニル)法(例えば、(1) Canne,L.E.;Walker,S.M.;Kent,S.B.H.「A General Method for the Synthesis of Thioester Resin Linkers for Use in the Solid−Phase Synthesis of Peptide Alpha−Thioacids」Tetrahedron Lett.1995,36,1217−1220;および(2)Hojo,H.;Aimoto,S.「Polypeptide Synthesis Using the S−Alkyl Thioester of a Partially Protected Peptide Segment−−Synthesis of the DNA−Binding Domain of C−Myb Protein (142−193)−NH」Bull.Chem.Soc.Jpn.1991,64,111−117を参照のこと)、およびいくつかのFmoc適合性の系(例えば、(1)Shin,Y.;Winans,K.A.;Backes,B.J.;Kent,S.B.H.;Ellman,J.A.;Bertozzi,C.R.「Fmoc−based synthesis of peptide−(alpha)thioesters:Application to the total chemical synthesis of a glycoprotein by native chemical ligation」J.Am.Chem.Soc.1999,121,11684−11689;(2)Ingenito,R.;Bianchi,E.;Fattori,D.;Pessi,A.「Solid phase synthesis of peptide C−terminal thioesters by Fmoc/t−Bu chemistry」J.Am.Chen.Soc.1999,121,11369−11374;(3)Li,X.Q.;Kawakami,T.;Aimoto,S.「Direct preparation of peptide thioesters using an Fmoc solidphase method」Tetrahedron Lett.1998,39,8669−8672;(4)Clippingdale,A.B.;Barrow,C.J.;Wade,J.D.「Peptide thioester preparation by Fmoc solid phase peptide synthesis for use in native chemical ligation」J.Pept.Sci.2000,6,225−234;および(5)Bu,X.Z.;Xie,G.Y.;Law,C.W.;Guo,Z.H.「An improved deblocking agent for direct Fmoc solidphase synthesis of peptide thioesters」Tetrahedron Lett.2002,43,2419−2422を参照のこと)が挙げられる。特定の実施形態において、モデルのチオエステルは、C末端グリシンのチオエステルであり、これは、局所的にアキラルであり、エピマー化され得ず、そして、それゆえ、合成が容易である。所望のGP120チオエステルは、エピマー化傾向性のC末端ヒスチジン(His)残基を含むものの、このようなチオエステルは、以前に合成されており、実際、NCLの速度を有利に変調することが示されている(例えば、Hackeng,T.M.;Griffin,J.H.;Dawson,P.E.「Protein synthesis by native chemical ligation:Expanded scope by using straightforward methodology」Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999,96,10068−10073を参照のこと)。
自然に起こる化学的連結に関する上記の議論は、多グリコシル化ペプチドの調製に焦点をあてているが、この方法は、他の多官能化ペプチドおよび/またはタンパク質に容易に適合され得ることが理解される。例えば、1つ以上のアミノ酸部位において、薬学的にッ有用な基もしくは実体で官能化されたペプチドおよび/またはタンパク質が、本発明の方法により調製され得る。
(等価物)
以下の代表的な実施例は、本発明の説明を補助することが意図され、これらが、本発明の範囲を制限するものであることは意図されないばかりか、そう解釈されるべきでない。実際、本明細書中に示され、記載されるものに加え、本発明の種々の改変物、およびその多くのさらなる実施形態が、この文献の全内容(以下の実施例、ならびに本明細書中に引用される科学文献および特許文献に対する参照を含む)から、当業者に明らかとなる。ほんの1つの例示的な実施形態において、保護基は、本明細書中に記載されるように、炭水化物ドメインおよび合成結合体の合成において重要な役割を果たす;しかし、本発明は、当該分野で公知の種々の代替的な保護基の使用を包含することが、当業者により理解される。以下の実施例を含む、本開示において使用されるこれらの保護基は、単なる例にすぎない。
他に示さない限り、上記引用文献の内容は、当該分野の技術水準の例示を補助するために、参考として本明細書中に援用されることが、さらに理解されるべきである。以下の実施例は、その種々の実施形態およびその等価物において、本発明の実施に適合され得る、重要な追加の情報、例示、およびガイダンスを含む。
(実験)
本発明の方法は、本発明の方法が実施され得るいくつかのプロセスを例示する実施例によって、さらに理解され得る。しかし、これらの実施例は、本発明を制限しないことが理解される。現在既知であるか、またはさらに開発される、本発明のバリエーションは、本明細書中に記載され、上記で特許請求される本発明の範囲内に含まれると考えられる。
1)合成方法の一般的な説明:
熟練家は、本明細書中に含まれる情報と組み合わせて、本発明の方法を実施するために有用な合成ストラテジー、保護基および他の材料、ならびに、方法についてのガイダンスのために参考とする、ペプチド、タンパク質およびグリコシドの化学の十分に確立された文献を有する。
本明細書中に援用される種々の参考文献は、本発明の方法に適用および/または適合され得る、複雑なグリコシド、グリコシル化ペプチドおよび他のグリコシル化構築物を調製する際に役立つ背景情報を提供する。
本発明に従って、任意の利用可能な技術が、本発明の方法を実施するために使用され得る。例えば、以下により詳細に記載されるような種々の液相合成法が使用され得る。あるいは、またはさらに、当該分野で公知の種々のコンビナトリアル技術、パラレル合成および/または固相合成法が使用され得る。
以下に、そして本明細書において詳述される本発明の特定の実施形態を実施する際に使用される出発物質および試薬は、市販の供給元(例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Bachem(Torrance,CA)、Sigma(St.Louis,MO))から入手可能であるか、または、例えば、FieserおよびFieser 1991,「Reagents for Organic Synthesis」第1〜17巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Rodd 1989,「Chemistry of Carbon Compounds」第1〜5巻および補遺,Elsevier Science Publishers,1989;「Organic Reactions」第1〜40巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;March 2001,「Advanced Organic Chemistry」,第5版、John Wiley and Sons,New York,NY;ならびにLarock 1990,「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」第2版、VCH Publishersのような参考文献に記載される手順に従って、当業者に周知の方法により調製される。これらのスキームは、本発明のいくつかの実施形態の単なる例示であり、これらのスキームに対する種々の改変がなされ得、そして、本開示を考慮して、当業者に示唆される。
本発明を実施する際に、出発物質、中間体および化合物は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含む従来の技術を使用して単離および精製され得る。これらは、物理定数およびスペクトルデータを含む従来の方法を使用して特徴付けられ得る。
糖ペプチド(例えば、O−連結糖ペプチドまたはN−連結糖ペプチド)を調製するための方法、ならびに、ペプチドおよび糖ペプチドをキャリアに結合体化させるための方法は、当該分野で公知である。例えば、ガイダンスは、米国特許第6,660,714号;米国特許出願第09/641,742号;同第10/209,618号;および同第10/728,041号;米国仮特許出願第60/500,161号および同第60/500,708号;ならびに、国際特許出願第PCT/US03/38453号および同第PCT/US03/38471号(上記の参照される特許文献の各々は、本明細書中に参考として本明細書により援用される)に見出され得る。
(概要)
本発明者らの化学が、他の研究室からの重要な知見と干渉した12、広範囲にわたる以前の研究に従って、本発明者らは、より大きなポリペプチドドメインに、種々の複雑なオリゴ糖を含む完全に合成のN−連結糖ペプチドを連結する能力を実証した13。例えば、前立腺特異的抗原(PSA)3aおよびgp12014の主要なグリコシル化小区分が得られ得る。本明細書中に提供されるのは、指定された部位で幾重にもグリコシル化されたポリペプチドにアクセスするための、例示的な従来のアプローチである15。以前に議論されたように、糖タンパク質は、ワクチン、診断および治療の脈絡において、潜在的に重要な臨床的役割を有する。従って、本発明の方法は、複雑な治療的に有用な糖タンパク質に対するアクセスを提供するので、医薬の分野において重要な用途を有する。
スキーム7は、本発明の一実施形態を図式化する。例えば、糖ペプチド4および7は、そのそれぞれのグリカンおよびペプチド前駆体から、収束性の方向で生成され得、そして、完全に集束して、リーチ(reach)8にカップリングされ得る。
Figure 2007527864
1つの実施形態において、7との連結のための、適切な糖ペプチドアシルドナーの合成を調べた。1つのアプローチは、チオエステルの形態の構築ブロック4をアシルドナーとして利用することに基づいた。しかし、収束性の手段による4のようなチオエステルの調製16は、困難を提示するようであった。
それ自体に魅力的な可能性を提示したことは、この問題を熟考することにあった(スキーム8)。次いで、非対称のジスルフィドを備えるフェノール性エステル(10を参照のこと)の合成を、調べた。フェノール性エステル結合は、それ自体が、おそらく、実行可能なアシル化試薬として機能するために十分な反応性を明示しない。しかし、オルト−ジスルフィド部分を有するものとして備えると、フェノール性エステルは、初発性のアシルドナーとして機能し得た。従って、示されるように、12におけるジスルフィドの還元は、O→Sのアシル移動により、チオエステルへのインサイチュ加工(elaboration)のための段階を十分に準備し得る(13→14を参照のこと)。チオエステル14は、望ましくないが、動的平衡で提示されているが、おそらく、自然に起こる化学的連結(NCL)12cに適切な機械によって妨げられ得、最終的には、8において最高点に達する。
孤立性の(discreet)チオエステル14の仲介の提案は確かに魅力的であるが、これは、必ずしも連結途上の義務的な事象ではない。従って、構造13において示唆したように、遊離のオルト−ベンゼンチオール官能性の存在は、おそらくは、インサイチュ水素結合または隣接基関与(anchimeric assistance)により、フェノール性エステルのアシル化能力を十分に高め得る17。いずれの場合においても、配列は、ジスルフィドの還元的切断の際にのみ開始される。
マスクされた糖ペプチドアシルドナーの合成を、以下のようにして達成した(スキーム8)。市販の2−メルカプトエタノール(9)をその対称ジスルフィドに酸化した。その後の過剰なエチルジスルフィド18との交換により、非対称のアリール−アルキルジスルフィドを提供した。フェノール性ヒドロキシル基のBoc−フェニルアラニンによるアシル化の後、Boc保護基を酸性切断することによって、フェニルアラニン誘導体10を得た。10の完全に保護されたペプチド酸19との標準的なペプチドカップリングの後に全体的に脱保護して、11を提供した20。この11は、遊離アスパラギン酸残基を含む。キオビオース由来のグリコシルアミンの11でのアスパルチル化により、実質的なアシルドナー12を得、これは、本発明者らの標的構造4に対応する(スキーム7)。
Figure 2007527864
試薬および条件:(a)I,MeOH,HO;(b)BF・OEt,EtSSEt,CHCl,99%,2段階;(c)Boc−Phe−OH,EDCI,DMAP,CHCl/THF,93%;(d)4N HCl/ジオキサン,94%;(e)Fmoc−Arg(Pbf)−Asp(Bu)−Arg(Pbf)−Ser(tBu)−Gly−OH,HATU,DIEA,DMF,61%;(f)TFA:フェノール:EtSiH:HO 35:2:1:1,60%;(g)GlcNAcβ1→4GlcNAcβ→NH,HATU,DIEA,DMSO,52%。
このスキームの実行可能性の予備的な調査として、フェニルアラニン誘導体10を、遊離システインと共に上記の中性、水性、還元反応条件に供した(スキーム9)。所望の遊離ジペプチドPhe−Cys(17)を、78%の単離された収率で得た。単一の生成物のみが、LCMSおよびH NMRにより観察され、これは、フェニルアラニンのα−炭素におけるエピマー化が起こらなかったことを強く示唆している。
Figure 2007527864
次いで、二官能性糖ペプチドの合成を実施した。こうして、12を、潜在性のN末端システイン残基を含む1821の存在下で、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中、中性pHにおいて、過剰の2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(MES−Na)で処理した(スキーム10)。反応の間にLCMSにより観察されるように、12は、ほとんど直ちに(3分間未満で)MES−Naに由来するチオエステルに変換された(15を参照のこと);遊離カルボン酸への加水分解は、ごく僅かであったことに注意されたい。さらに数時間にわたって、本発明者らは、このチオエステルの量の漸次の減少と共に、所望の生成物19の付随する増加を観察した。適切な質量の唯一の化合物が、LCMSおよびH NMRによって観察され、ここでも、エピマー化がなかったことを示している。
Figure 2007527864
原理のこの裏づけを手にすると、方法の一般性を調べることに注意を向けた。例えば、20の合成を通して示すように、O−連結ドメイン22を組み込むための方法の適用性を確立した。特に、ヒスチジン含有システム21をまた組み立てた(21および20の構造については、図1を参照のこと)。活性型のC末端ヒスチジン残基は、エピマー化に特に感受性であることが公知であるので23、予防的なジニトロフェニル(DNP)保護基24を、合成の間に、イミダゾール−窒素に使用した。予測された通り、DNP基は、穏やかな求核性カップリング反応の間に、同時に切断された。LCMSまたはH NMRでは、エピマー化の徴候は観察されなかった。
次いで、複雑なグリカンの脈絡における高度に収束性の方法論の妥当性を調べた。グリコシルアミン2213および2325(図2)の合成は、以前に報告されている。これらの化合物は、内部のC環内の単一の不斉座(アスタリスクを参照のこと)が異なることに注意されたい。こうして、22は、完全に立体化学的に適格なN−連結高マンノースオリゴ糖に対応する。対照的に、そのC環のC−2エピマーは、非天然の立体化学変異体である。高マンノース結合レクチンが、合計25の立体化学座のうち1つのみが異なる点変異の間で区別し得るかどうかを評価することを目的とする研究が進行中である。
ペンタ糖由来の糖ペプチドカップリングパートナーの調製を、22と25、そして23と26のランスベリーアスパルチル化2bによって進め、それぞれ、27および28を得た。28の、比較的単純なキトビオース含有アシルドナーとのカップリングにより、77%の収率で24を得た(図2)。
Figure 2007527864
試薬および条件:(a)25または26,HATU,DIEA,DMSO,(22から)27について50%,(23から)28について71%;(b)DMF中20%ピペリジン,63%;(c)0.2Mホスフェート,0.2M NaCl,pH約7.4,過剰MES−Na,75%。
27と28とのカップリングを、27内ジスルフィド結合の還元的切断の際に円滑に達成して、スキーム11に示されるように29を得た。特筆すべき方法でこの方法論を評価するだけでなく、29の合成は、この合成アプローチ全体の能力を正確に示すために役立つ:その炭水化物のうちの1つが非天然であるので、29は、天然の供給源から、または酵素的操作によって容易に得られ得る。
まとめると、ジグリコシル化ペプチドの合成のための収束性の方法が、本明細書中に記載される。スキーム8に示される機械的な理論的説明は、MES−Naチオエステルの反応の中間体としての同定により支持される。さらに、糖ペプチドアシルドナーの潜在的な加水分解およびC末端エピマー化が抑制されている。上記の方法および論理は、生物学上の複雑な糖ペプチドの構築、そしてさらに、医薬の重大性においても適用を享受する可能性があるようである。
上記方法は、幾重にもグリコシル化されたペプチド(例えば、所望の部位に共有結合された2つ以上の非隣接グリコシドを含むもの)の調製に容易に適用され得ることが理解される。
(一般的な反応手順:)
具体的に言及されない限り、反応混合物は、磁気駆動の撹拌子を使用して撹拌した。空気または湿度感受性の試薬または中間体を含む反応は、ヒートガンを有したか、または高度な減圧下で火炎乾燥した、ガラス容器内で、アルゴンもしくは窒素雰囲気下で行った。反応を、実質的にワークアップした反応混合物のサンプルの、薄層クロマトグラフィー、水素イオン核磁気共鳴(NMR)、または、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)のいずれかによってモニターした。
示される反応温度は、反応浴の温度を指すが、一方で、室温(rt)は、22℃として記される。調製反応は、磁気的に撹拌した。テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(EtO)、塩化メチレン(CHCl)、およびトルエンを、乾燥溶媒系(活性型アルミナカラム、アルゴンの陽圧下)から得た。全ての他の溶媒は、Sure/Sealボトル(Aldrich)に受けるものとして使用した。トリエチルアミン(EtN)、ジイソプロピルエチルアミン(i−PrNEt)、ピリジン、および2,6−ルチジンを、使用の直前にCaHから蒸留した。全ての他の試薬を、最高級の化学品質でAldrichから購入し、さらに精製することなく使用した。
(一般的なワークアップ手順:)
具体的に言及しない限り、反応混合物を、室温以下まで冷却し、次いで、必要な場合、水または塩化アンモニウムの飽和水溶液でクエンチした。所望の生成物を、水と適切な水不混和性溶媒(例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル)との間で分配することによって抽出した。抽出物を含む所望の生成物を、水で、そしてその後、ブラインの飽和溶液で適切に洗浄した。抽出物を含む生成物が、残留の酸化剤を含むと考えられる場合には、上述の洗浄手順の前に、抽出物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液中10%の硫化ナトリウム溶液で洗浄した。抽出物を含む生成物が、残留の酸を含むと考えられる場合は、上述の洗浄手順の前に、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した(所望の生成物自体が酸性の特徴を有した場合は除く)。抽出物を含む生成物が、残留の塩基を含むと考えられる場合には、上述の洗浄手順の前に、抽出物を、10%のクエン酸水溶液で洗浄した(所望の生成物自体が塩基性の特徴を有した場合は除く)。洗浄後に、抽出物を含む所望の生成物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで、濾過した。次いで、粗生成物を、適切な温度(一般的には、45℃未満)にて、減圧下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去することによって、単離した。
(一般的な精製手順:)
具体的に言及されない限り、クロマトグラフィー精製は、溶離液として単一の溶媒もしくは混合溶媒を使用する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーを指す。溶出物を含む適切に精製された所望の生成物を合せ、適切な温度(一般的には、45℃未満)にて、減圧下で一定の質量まで濃縮した。最終的な化合物を50%アセトニトリル水溶液中に溶解させ、濾過し、バイアルに移し、その後、生物学的検定に供する前に、高圧下で、凍結乾燥した。
(分析機器:)
HPLC:全ての分離は、水中0.05%のTFA(v/v)(溶媒A)/アセトニトリル中0.0425%のTFA(溶媒B)の移動相を含んだ。分取、半分取、および分析用HPLCによる分離を、Rainin UV−1検出器、および類似の充填ガードカラム(直径41.4mm(分取)、直径21.4mm(半分取(semipreparative))、または直径4.6mm(分析用))を備えるDynamax−60Å C18軸圧縮カラム250mm長のうちのいずれか1つを備える、Rainin HXPL溶媒送達系を使用して行なった。分離を、48mL/分(分取)、16mL/分(半分取)、または1mL/分(分析用)の流速で行い、カラムの充填に依存して、214nmと230nmとの間の波長でモニターした。LCMSクロマトグラフィー分離を、Waters 2695 Separations Module、およびVarian Microsorb C18 2×150mmカラムを備えるWaters 996 Photodiode Array Detectorを用いて、0.2mL/分の流速で行なった。
ESMSおよびLCMS:電気スプレー質量スペクトルおよびLCMS分析を、上記のWaters HPLC装置と組合せて、Waters Micromass ZQ質量分光計にて得た。
NMR:H NMRスペクトルおよび13C NMRスペクトルを、Hについて400MHzもしくは500MHzにて、13Cについて100MHzもしくは125MHzにて、CDCl、CDODまたはDO中、Bruker機器にて記録した。
試薬:特に記さない限り、全ての市販の物質を、到着した状態のままで使用した。以下の溶媒を、乾燥溶媒系から得、そして、さらに精製することなく使用した:THF、ジエチルエーテル、トルエン、およびDCM。試薬は、Aldrichまたは記されるところから得たが、以下は除く:固相ペプチド合成のためのアミノ酸および樹脂は、NovaBiochemより購入した;生合成グレードのDMFはEM Scienceから購入した;そして、全ての他の溶媒は、Fishcer Scientificより購入した(HPLCグレード)。
Figure 2007527864
O(5.1mL)中の2−メルカプトエタノール(1.0g、7.9mmol)の撹拌した、二相の溶液に、メタノール(3.5mL)中のヨージン(1.0g、4.0mmol)の溶液を滴下して加えた。褐色のヨージン色が残った場合、溶液を、酢酸エチルおよび水で希釈した。水層を、除去し、追加分の酢酸エチルで抽出した。合せた有機層を乾燥させ、ブラインで洗浄し、次いで、乾燥(NaSO)させ、そして、褐色の油状物を得、これを精製することなく使用した(1.5g)。この生成物は、なお、ヨージンを含む。
Figure 2007527864
CHCl(25mL)中の、ジスルフィド(1.5g粗製物、約4mmol)の撹拌溶液に、エチルジスルフィド(10.5mL、79.9mmol)、次いで、BF・OEt(10.1mL、79.9mmol)を加えた。この反応を、室温にて3時間撹拌し、次いで、NaHCO水溶液を加えて、注意深くクエンチした。有機層を流し、そして、水層を、追加分のCHClで抽出した。合せた有機層を乾燥(MgSO)させ、濃縮して、黄色の油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中20%酢酸エチル)により精製して、透明でわずかに黄色の油状物として所望の生成物を得た(1.45g、99%)。
Figure 2007527864
CHCl(25mL)およびTHF(5mL)中のフェノール(1.45g、8mmol)およびBoc−Phe−OH(2.65g、10mmol)の溶液に、EDCI(1.92g、10mmol)およびDMAP(98mg、0.8mmol)を加えた。得られた溶液を室温で18時間撹拌し、この時点で、揮発性物質を真空下で除去した。得られた油状物をEtOAc中に取り、そして、1N HCl、HOで、そして次いで、ブラインで洗浄した。この有機層を乾燥(NaSO)させ、濃縮して、わずかに黄色の油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)により精製して、無色透明の油状物として所望の生成物を得た(3.5g、>99%)。
Figure 2007527864
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、上記のフェニルアラニン誘導体(3.0g、6.9mmol)、ならびに、ジオキサン中の4MのHCl溶液(86mL、345mmol)を加え、この反応を、アルゴン下で、室温にて1.5時間撹拌した。この時点で、反応を、真空下で濃縮し、白色の固体を残した。この物質を、エーテルでトリチュエートし、引き続いて濃縮した。このプロセスを繰返し(3×)、白色固体として粗生成物を残した。この物質を、30%のB中に溶解し、殻を凍結し(shell frozen)、そして、凍結乾燥して、白色の粉末を得た(2.17g、94%)。
Figure 2007527864
フェニルアラニン誘導体10(15mg、45μmol)およびL−システイン(6mg、49μmol)を、小型の(flea−sized)撹拌子と共にLCMSバイアルに入れた。第2のバイアルにおいて、MES−Na(25mg、150μmol)およびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)(0.2M NaCl、0.2M リン酸、pH=7.5、2mL)を混合した。次いで、MES−Na溶液を、直接アミノ酸に加え、この反応をLCMSによりモニターした。2時間後、反応は完了したようであり、TCEP(129mg、450μmol)を加えた。これを、1時間撹拌し、次いで、精製のためにHPLC上に直接注入した。凍結乾燥の後、所望の化合物を、白色の粉末として得た(9.4mg、78%)。
Figure 2007527864
(例示的な連結条件:)
2つの糖ペプチド半体(12、2.2mg、1.44μmol)(18、1.4mg、1.44μmol)を、小型の撹拌子と共にLCMSバイアル内に入れた。生理緩衝化生理食塩水(0.2M NaCl、0.2M リン酸、pH=7.4、1mL)中のMESNa(18.3mg、111mmol)のストック溶液を作製し、このうち600μLを、糖ペプチドに加えた。この反応を、LCMSによりモニターし、そして、一旦終了し、TCEP(25mg、0.087mmol)を添加して、この溶液を2時間撹拌し、次いで、精製のためにHPLCに直接注入した。
Figure 2007527864
LCMS:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=9.98分。HPLC:30分間にわたって25〜55%のB、rt=7.65分。ESI−MS:C931382437Sについての計算値[M+2H]2+ 1108.5、実測値:1108.6、[M+3H]3+ 739.3、実測値:739.5.
Figure 2007527864
LCMS:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=11.40分。HPLC:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=9.85分。ESI−MS:C731202230Sについての計算値[M+2H]2+ 909.4、実測値:909.5、[M+3H]3+ 606.6、実測値:606.8.
Figure 2007527864
LCMS:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=4.02分。HPLC:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=6.71分。ESI−MS:C731202230Sについての計算値[M+2H]2+ 898.4、実測値:898.6.
Figure 2007527864
LCMS:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=7.81分。HPLC:20分間にわたって、5〜65%のB、rt=8.39分。ESI−MS:C981602451Sについての計算値[M+2H]2+ 1261.5、実測値:1261.5、[M+3H]3+ 841.4、実測値:841.5.
Figure 2007527864
LCMS:20分間にわたって、5〜45%のB、rt=10.82分。HPLC:20分間にわたって、5〜45%のB、rt=9.31分。ESI−MS:C981602451Sについての計算値[M+2H]2+ 1504.6、実測値:1504.9、[M+3H]3+ 1003.4、実測値:1003.7。
(略語および用語集)
A:アラニン
Ac:アセチル
Ala:アラニン
Arg:アルギニン
Asn:アスパラギン
Asp:アスパラギン酸
Bn:ベンジル
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル
Bu:ブチル
Bz:ベンゾイル
CAN:硝酸セリウムアンモニウム
C末端:ペプチドのカルボニル末端
Cys:システイン
D:アスパラギン酸
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DTBMP:ジ−tert−ブチルメチルピリジン
DTBP:ジ−tert−ブチルピリジン
Et:エチル
Fmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
G:グリシン
Gal:ガラクトース
Glc:グルコース
Gln:グルタミン
Glu:グルタミン酸
Gly:グリシン
H:ヒスチジン
HATU:7−アザヒドロキシベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
His:ヒスチジン
Ile:イソロイシン
K:リジン
kDa:キロダルトン
KLH:キーホールリンペットヘモシアニン
L:ロイシン
Leu:ロイシン
Lys:リジン
Man:マンノース
MES−Na:2−メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩
MHC:主要組織適合複合体
N:アスパラギン
NAc:N−アセチル
NCL:自然に起こる化学的連結
N末端:ペプチドのアミン末端
O−連結:エーテルの酸素を介した連結
Pam3Cys:トリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリン
PBS:リン酸緩衝化生理食塩水
Ph:フェニル
PMB:p−メトキシベンジル
Pro:プロリン
GP120:前立腺特異的抗原
Py:ピリジン
QS21:糖質ステロイド性免疫アジュバント
R:アルギニン
S:セリン
sat.aq.:飽和水溶液
Ser:セリン
T:スレオニン
TBAF:フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム
TBS:tert−ブチルジメチルシリル
tBu:tert−ブチル
Tf:トリフルオロメタンスルホン酸塩
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
Thr:スレオニン
t−GP120:総前立腺特異的抗原
Trp:トリプトファン
V:バリン
Val:バリン
W:トリプトファン。
(参照)
Figure 2007527864
Figure 2007527864
(14)提出された原稿。
(15)多重にグリコシル化されたタンパク質に関する生物学的アプローチにおける技術水準については、Zhang,Z.;Gildersleeve,J.;Yang,Y.Y.;Xu,R.;Loo,J.A.;Uryu,S.;Wong,C.H.;Shultz,P.G.Science 2004,303,371−373を参照のこと。
(16)この型の問題における有意な進歩は、EllmanのFmocベースのスルホンアミドリンカー(Shin,Y.;Winans,K.A.;Backes,B.J.;Kent,S.B.H.;Ellman,J.A.;Bertozzi,C.R.J ;Am.Chem.Soc.1999,121,11684−11689)の使用によって生じたものであり、これは、糖ペプチドチオエステルの合成において使用されている。しかし、本発明者らが本明細書において実施するこの方法の特定の実施形態において、グリカンの取り込みのための「カセット」アプローチとは対照的に、最大の集束が協調される。本発明者らは、特定のグリコシド結合(例えば、エリスロポエチンにおけるフコシジル結合(fucosidic linkage))が、代表的に保護基の切断に使用される酸性条件(TFA)に対して特に不安定であることを記している。糖ペプチドチオエステルをもたらす可能性のある他の「カセット」ベースのFmoc固相ペプチド合成(SPPS)技術はまた、いくつかの点において酸性条件を含む。これらの方法は、Fmoc脱ブロック条件の変更[(a)Li,X.Q.;Kawakami,T.;Aimoto,S.Tetrahedron Lett.1998,39,8669−8672;(b)Clippingdale,A.B.;Barrow,C.J.;Wade,J.D.J.Pept.Sci.2000,6,225−234;(c)Hojo,H.;Haginoya,E.;Matsumoto,Y.;Nakahara,Y.;Nabeshima,K.;Toole,B.P.;Watanabe,Y.Tetrahedron Lett.2003,44,2961−2964]、またはC末端酸のチオエステルへの直接的な変換(von Eggelkraut−Gottanka,R.;Klose,A.;Beck−Sickinger,A.G.;Beyermann,M.Tetrahedron Lett.2003,44,3551−3554)、エステルへの直接的な変換(Swinnen,D.;Hilvert,D.Org.Lett.2000,2,2439−2442)、またはトリチオオルトエステルへの直接的な変換(Brask,J.;Albericio,F.;Jensen,K.J.Org.Lett.2003,5,2951−2953)を含む。BocベースのSPPSは、多くのグリコシド結合と不適合性の、強酸性切断条件(液体HF)を用いる。
(17)Verhaeghe,J.;Lacassie,E.;Bertrand,M.;Trudelle,Y.Tetrahedron Lett.1993,34,461−464、およびこの文献中の参考文献を参照のこと。
(18)Caserio,M.C.;Fisher,C.L.;Kim,J.K.J Org.Chem.1985,50,4390−4393.
(19)保護されたペプチド酸を、Fmoc SPPSにより合成した。
(20)アリールエステル官能基は、Fmoc SPPSにおける使用のために意図されない;SPPSに適切なアナログの設計および合成は、現在進行中であり、近いうちに報告される。
(21)糖ペプチド18を、以前に記載されたように調製した(13を参照のこと)。
(22)O−連結した糖ペプチド前駆体を、カセットアプローチを用いて、20および21っへと合成した。この合成において、SPPSにおいて使用したFmocセリンモノマーは、ペンダント糖を含んだ。
Figure 2007527864
Figure 2007527864
Figure 2007527864
(51)MESNaでの第2のトランスチオエステル化が起こる間に、NCLにおいて中間工程が存在する。本発明者らの反応において、本発明者らは、フェニルエステルの遊離スルフヒドリルを、決して観察しなかった。むしろ、N末端の、対応するMESNaチオエステルへの完全な変換が、3分間以内に観察される。
図1は、本発明の方法により調製される、O結合を含む、二官能性糖ペプチド(すなわち、ジグリコシル化ペプチド)の例を図示する。 図2は、単一の不斉中心(アスタリスク)が異なる、芳香族β−グリコシルアミン(22および23)、およびこれらの構造的に複雑なグリカンのうちの1つを含む、二官能性糖ペプチド(24)を図示する。

Claims (40)

  1. 4つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含む多官能性ペプチドを調製するための方法であって、該アミノ酸のうち2つ以上の隣接しないアミノ酸が、独立して、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する部分で置換されており、ただし、該任意の2つの連続した、隣接しないアミノ酸を有するA−L−部分の間のペプチド配列が、少なくとも1つのシステイン残基を含み;
    該方法は、以下の工程:
    連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する2つ以上のアミノ酸から構成されるペプチド骨格を含むペプチドアシルドナーを、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有するペプチドアミンアクセプターと反応させる工程
    を包含し、
    該構造において、k1およびk2は、独立して、1〜約20の間の整数であり;
    A、AおよびAの各存在は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基もしくは実体であり;
    S1は、スルフィド保護基であり;
    X0は、部分−C(=O)ORX0が、該ペプチドアミンアクセプターと連結を起こすようにされ得るような基であり;
    の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖の、環状または非環状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
    X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
    X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸である、
    方法。
  2. A、AおよびAの各存在が、独立して、薬学的に有用な基または実体である、請求項1に記載の方法。
  3. A、AおよびAの各存在が、独立して、生体分子、低分子、高分子、または診断用ラベルである、請求項1に記載の方法。
  4. A、AおよびAの各存在が、独立して、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する炭化水素決定基であって、該構造において、
    a、b、c、d、e、f、g、h、i、x、yおよびzは、独立して、0、1、2もしくは3であり、但し、x、yおよびzの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分もしくはピラノース部分を表し、そして、bとcの合計は、1もしくは2であり、dとfの合計は、1もしくは2であり、そして、gとiの合計は、1もしくは2であり、但し、x、yおよびzは、同時に0であることはなく;
    は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基またはアリール基であり;
    、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各存在は、独立して、水素、OH、OR、NHR、NHCOR、F、CHOH、CHOR、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;Rの各存在は、独立して、水素、CHO、COORii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、もしくはアリール基、または以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する糖部分であり;
    該構造において、YおよびZは、独立して、NHまたはOであり;ここでk、l、r、s、t、u、vおよびwは、各々独立して、0、1または2であり;但し、vおよびwの括弧で囲んだ構造は、フラノース部分またはピラノース部分を表し、かつ、lとkの合計は1もしくは2であり、sとuの合計は1もしくは2であり、但し、vおよびwは、同時に0であることはなく;
    R’は、水素、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であって;ここで、R10、R11、R12、R13、R14およびR15の各存在は、独立して、水素、OH、ORiii、NHRiii、NHCORiii、F、CHOH、CHORiii、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)ヒドロキシアルキル基、(モノ−、ジ−またはトリ)アシルオキシアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;
    16の各存在は、水素、COOH、COORii、CONHRii、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基またはアリール基であり;
    ここで、Riiiの各存在は、水素、CHO、COORiv、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アシル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり;そして
    iiおよびRivの各存在は、各々独立して、H、または置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基である、
    請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、Lの各存在は、独立して、−O−(CH−、またはグリコシド含有部分であり、ここで、nは、0〜9である、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、Lは、−O−(CH−CH−であり、そして、2つ以上の非隣接アミノ酸は、独立して、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する部分で置換され、該構造において、nの各存在は、独立して0〜8である、方法。
  7. A、AおよびAの各存在が、独立して、Globo−H、フコシルGM1、KH−1、グリコホリン、STN、(2,3)ST、Le、Le、N3、Tn、2,6−STn、Gb3およびTFからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有し、ここで、
    s1およびs2は、独立して1〜約20の整数であり;
    t1、t2およびt3は、各々独立して整数であり;
    X1は、水素、アルキル、アシル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
    X2は、−ORX2aまたは−NRX2bX2cであり、ここで、RX2aは、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、カルボン酸保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;そして、RX2bおよびRX2cは、独立して、水素、アルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、窒素保護基、アミノ酸、または保護されたアミノ酸であり;
    P1、RP2およびRP3は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖であり;
    の各存在は、独立して、置換もしくは非置換の脂肪族またはヘテロ脂肪族部分であり;
    およびAは、各々独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、または薬学的に有用な基または実体であり;そして
    前記括弧で囲んだ構造t2の少なくとも1つの存在は、システイン残基または保護されたシステイン残基であり;そして
    該方法は、以下:
    連結を達成するのに適切な条件下で、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有するペプチドアシルドナーを、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有するペプチドアミンアクセプター
    と反応させる工程であって、ここで、t+t’の合計が、(t2)+1に等しく;RS1が、スルフィド保護基であり;そして、RX0が、部分−C(=O)ORX0が、該糖ペプチドアミンアクセプターと連結され得るような基である、工程
    を包含する、請求項1に記載の方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記ペプチドアシルドナーを前記ペプチドアミンアクセプターと反応させる工程が、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する多官能化ペプチドを調製するために、所望の回数繰り返され、
    該構造において、RX1およびRX2は、請求項8において規定されたとおりであり;
    Aの各存在は、同じであっても異なっていてもよく、請求項8においてAおよびAについて規定されたとおりであり得;
    P1の各存在は、同じであっても異なっていてもよく、請求項8においてRP1およびRP2について規定されたとおりであり得;
    qは、2以上の整数であり;
    sの各存在は、独立して、1〜約20の整数であり;
    tの各存在は、独立して、整数であり;
    t0は整数であり;そして
    P0の各存在は、独立して、H、アルキル、ヘテロアルキル、芳香族、複素環式芳香族、アリール、ヘテロアリール、−アルキル(アリール)、−アルキル(ヘテロアリール)、または天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖である、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、qが、2と約5との間の整数である、方法。
  11. 請求項9に記載の方法であって、qが2である、方法。
  12. 請求項9に記載の方法であって、s+tが約2と約6との間である、方法。
  13. 請求項9に記載の方法であって、t0が、0〜約20の整数である、方法。
  14. 請求項9に記載の方法であって、RX1が、水素、FmocまたはAcである、方法。
  15. 請求項9に記載の方法であって、RX2が、NHである、方法。
  16. 請求項9に記載の方法であって、RX0が、ジスルフィド置換アリール部分である、方法。
  17. 請求項9に記載の方法であって、RX0が、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有し、該構造において、Rは、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、または複素環式芳香族部分である、方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、RX0は、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有し、該構造において、Rは低級アルキルである、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、Rはエチルである、方法。
  20. 請求項9に記載の方法であって、RS1は、−StBuである、方法。
  21. 請求項9に記載の方法であって、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する前記ペプチドアシルドナーを、連結を達成するのに適切な条件下で、前記ペプチドアミンアクセプターと反応させる工程において、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する中間体がインサイチュで形成され、該構造において、RX0aは、酸素置換アリール部分である、方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記連結を達成するための適切な条件が、MESNaを含む、方法。
  23. 請求項9に記載の方法であって、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有するペプチドアシルドナーにおいて、−ORX0に直接結合しているアミノアシル残基が、フェニルアラニンである、方法。
  24. 請求項1に記載の方法であって、Aの少なくとも1つの存在(または、Aおよび/もしくはA、Aについてさらに規定されるとおり)が、炭水化物ドメインであるときに、炭水化物ドメインの一部または全てが、前記ペプチド骨格にO−連結している、方法。
  25. 請求項1に記載の方法であって、Aの少なくとも1つの存在(または、Aおよび/もしくはA、Aについてさらに規定されるとおり)が、炭水化物ドメインであるときに、炭水化物ドメインの一部または全てが、前記ペプチド骨格にN−連結している、方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、前記多官能化ペプチドが対称である、方法。
  27. 請求項1に記載の方法であって、前記多官能化ペプチドが非対称である、方法。
  28. 請求項1に記載の方法であって、さらに、前記多官能化ペプチドを免疫原キャリアに結合体化させる工程を包含する、方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、前記キャリアが、タンパク質、ペプチドまたは脂質である、方法。
  30. 請求項28に記載の方法であって、前記キャリアが、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、またはポリリジンである、方法。
  31. 請求項28に記載の方法であって、前記キャリアが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する脂質キャリアであって、該構造において、m、nおよびpは、各々独立して、約8と20との間の整数であり;そして
    は、水素、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖の低級アルキル、または置換もしくは非置換のフェニルである、方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、m’、n’およびp’が、各々14である、方法。
  33. 請求項28に記載の方法であって、前記キャリアが、クロスリンカーを介して前記多官能化ペプチドに連結している、方法。
  34. 前記クロスリンカーが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有するフラグメントであり、それによって、該構造が、前記多官能化ペプチドにおいて適切な官能性と、マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルとの結合の際に生成される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
  36. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
  37. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
  38. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
  39. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
  40. 前記多官能化ペプチドが、以下の構造:
    Figure 2007527864
    を有する、請求項1に記載の方法。
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