JP2007512253A - ゴーシェ病を治療するための、ヒドロキシピペリジン誘導体 - Google Patents

ゴーシェ病を治療するための、ヒドロキシピペリジン誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、(i)ピラノース環のアノマー位に相当する位置の正電荷、(ii)ピラノースの環酸素に相当する位置から出ている短い柔軟なリンカー、および(iii)リンカーに結合している親油性部分を有する新規のヒドロキシピペリジン(HP)誘導体、ならびに薬学的に許容できるその塩を提供する。親油性部分が、鎖長が炭素6個以上の炭化水素鎖に相当する場合は、リンカーは存在しなくてもよい。本発明は、この疾患に関連する変異のグルコセレブロシダーゼに対する「シャペロン」として新規のHP誘導体を投与することにより、ゴーシェ病を有する個体を治療するための方法をさらに提供する。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
本出願は、参照として本明細書に組み入れられる2003年11月12日に出願された出願番号60/519496号仮出願の優先権を主張するものである。
発明の分野
本発明は、(i)ピラノース環のアノマー位に相当する位置の正電荷、(ii)ピラノースにおける環酸素に相当する位置から出ている短い柔軟なリンカー、および(iii)リンカーに結合している親油性部分を有する新規のヒドロキシピペリジン(HP)誘導体、ならびに薬学的に許容できるその塩を提供する。あるいは、親油性部分が炭素6個以上の鎖長の炭化水素鎖に相当する場合は、リンカーは存在しなくてもよい。本発明は、疾患に関連する変異グルコセレブロシダーゼに対する「活性部位特異的シャペロン」として新規のHP誘導体を投与することにより、ゴーシェ病を有する個体を治療するための方法をさらに提供する。
発明の背景
(タンパク質の折りたたみ)
タンパク質は細胞質で合成され、新しく合成されたタンパク質のうち大部分は折りたたまれた状態で小胞体(ER)の内腔中に分泌される。一般的に、タンパク質の折りたたみは自己集合の原理により支配されている。新しく合成されたポリペプチドは、折りたたまれてそのアミノ酸配列に基づいた天然の立体配座になる(Anfinsenら、Adv.Protein Chem.、1975年、29巻、205〜300頁)。周囲の温度と高濃度タンパク質の組合せにより、通常疎水性のコアに埋もれているアミノ酸がその近隣のアミノ酸と非特異的に相互作用をする凝集の過程が促進されるので、in vivoではタンパク質の折りたたみは複雑である。この問題を回避するために、タンパク質の折りたたみは、通常新生のポリペプチド鎖が凝集するのを防止する分子シャペロンと呼ばれる特別なグループのタンパク質により促進され、このタンパク質が天然の立体配座で再び折りたたまれるように、折りたたまれていないタンパク質に結合する(Hartl、Nature、1996年、381巻、571〜580頁)。
分子シャペロンは、実質的にすべてのタイプの細胞、およびほとんどの細胞内コンパートメントに存在する。タンパク質の輸送に関わり、熱ショックおよびグルコース飢餓などのストレス下で細胞が生存できるようにするものもある。分子シャペロンの中では(Gethingら、Nature、1992年、355巻、33〜45頁;Caplan、Trends Cell.Biol.、1999年、9巻、262〜268頁;Linら、Mol.Biol.Cell.、1993年、4巻、109〜1119頁;Bergeronら、Trends Biochem.Sci.、1994年、19巻、124〜128頁)、Bip(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質、Grp78)が最も特徴を表しているER内のシャペロンである(Haas、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、1991年、167巻、71〜82頁)。他の分子シャペロン同様、BipはER内の多くの分泌タンパク質および膜タンパク質と、それらの成熟の間中、相互作用をするが、折りたたみが円滑に運ぶ場合には、通常この相互作用は弱く一時的である。天然のタンパク質の立体配座を実現すると、分子シャペロンはもはやタンパク質と相互作用をしなくなる。折りたたみ、集合、または適切なグリコシル化できなかったタンパク質に結合しているBipは安定となり、通常、次いで、ERに関連する分解を介してタンパク質が分解される。このプロセスは、ERにおける「品質管理」システムとして働き、確実に、このような適切に折りたたまれ集合したタンパク質だけがさらなる成熟のためにERの外に輸送され、不適切に折りたたまれたタンパク質は、次いで分解されるために留まるようにしている(Hurtleyら、Annu.Rev.Cell.Biol.、1989年、5巻、277〜307頁)。
ある種のミスセンス変異により、タンパク質の天然の適切な折りたたみを変更するアミノ酸置換がもたらされる。これらの誤った折りたたみを正すために、様々な分子を人工のシャペロンとして用いる研究が試みられている。高濃度のグリセロール、ジメチルスルホキシド、トリメチルアミンN−オキシド、または重水は、いくつかの疾患で変異タンパク質を安定化させ、変異タンパク質の細胞間トラフィッキングを増加させることが示されている(Brownら、Cell Stress Chaperons、1996年、1巻、117〜125頁;Burrowsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、2000年、97巻、1796〜801頁)。これらの化合物は一般のタンパク質の折りたたみを増強する非特異的な化学シャペロンと考えられているが、作用のメカニズムは未だ知られていない。このクラスの化合物が効力を表すには、高投与量が必要とされるため、臨床上で使用するのが困難または不適切であるが、細胞内でのタンパク質の折りたたみの欠陥を生化学的に実験するのには有用である。これらも特異性を欠いている。
(酵素に対する活性部位特異的シャペロン)
本明細書に参照として組み入れられる、共同所有の米国特許第6274597号明細書および第6774135号明細書は、リソソームのα−ガラクトシダーゼA(α−GalA)活性の欠損により引き起こされるリソソーム蓄積症(LSD)であるファブリー病の新規な治療的方策を開示している。α−GalA欠損は、折りたたみの欠陥をもたらす変異タンパク質をコードする遺伝子の変異に起因することが多い。α−GalAの強力な競合阻害剤である1−デオキシガラクトノジリマイシン(DGJ)を投与すると、中性のpHで変異α−GalA(R301Q)のin vitroの安定性を効果的に上昇させることが見出された。これらの結果は、R301QまたはQ279Eの変異を有するファブリー病患者から樹立されたリンパ芽球でも観察された。驚くべきことに、細胞を阻害濃度より低い濃度のDGJと培養すると、残存酵素活性が実質的に上昇した。さらに、変異の(R301Q)α−GalAを過剰発現するトランスジェニックマウスにDGJを経口投与すると、主要な臓器における酵素活性が実質的に上昇した(Fanら、Nat.Med.、1999年、5巻、112〜115頁)。
この方策の原理は以下の通りである。変異酵素が、in vitroではpH7.0で不安定であることから証明されるように、pHが中性であるERでは不適切に折りたたまれるようであるので(Ishiiら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1993年、197巻、1585〜1589頁)、酵素はERからゴルジ装置への通常の輸送経路において妨害され、迅速な分解をうける。変異酵素はpH5.0未満で十分に安定であるため、変異酵素がリソソームに効果的に輸送され得る場合は、正常の、または正常に近い動力学的な性質を保つことができ、活性を保つ。したがって、この目標は、ERにおける適切な立体配座を調節する変異酵素を誘発することであった。特に、酵素の安定な分子の立体配座を誘発することができる化合物は、「活性部位特異的シャペロン」(ASSC)または「薬理学的シャペロン」として働いて、変異酵素をリソソームに輸送するための適切な立体配座で安定化させることができる。酵素の場合は、このような化合物は酵素の競合阻害剤であることが予想外に見出された。ある酵素の競合阻害剤は、適切に折りたたまれた酵素の触媒部位を占領し、in vitroでその正確な立体配座における安定化をもたらすことが知られている。競合阻害剤は、また、in vivoで酵素の適切な折りたたみを誘発するASSCまたは薬理学的シャペロンとして働き、したがってERの品質管理システムから変異酵素を救済することが見出された。
Fanらへの、共同所有の米国特許第6583158号明細書、第6589964号明細書、第6599919号明細書、および米国特許出願公開第10/304395号明細書は、ゴーシェ病を含む数々の他のリソソーム蓄積症へのASCC方策を例示している。これらの発見は、患者の細胞における残存酵素活性を上昇させるためにASCCとして強力な競合阻害剤を用いるこの治療的方策はファブリー病に限定されず、この種の酵素欠乏疾患、特にリソソーム蓄積症に適用できることを実証している。一般的には、特定の疾患に関連する特異の酵素の効果的なASSCは、その酵素の強力な競合阻害剤である。意外なことに、その酵素のより強力な阻害剤は、変異酵素に対するより良好なASSCとして働く(Fan、Trends Pharmacol Sci.、2003年、24巻、355〜60頁)。
(β−グルコセレブロシダーゼの強力な阻害剤)
β−グルコセレブロシダーゼ(GCase、すなわち酸β−グルコシダーゼ)は、グルコシルセラミドからグルコースへの加水分解による開裂を触媒する、リソソームの加水分解酵素である(Bradyら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、1965年、18巻、221〜225頁)。この酵素活性が欠損すると、マクロファージのリソソームに、グロボシドおよびガングリオシドの異化作用における通常の中間体であるグルコシルセラミドの進行性の蓄積を引き起こし、最も一般的なリソソーム蓄積症であるゴーシェ病を引き起こす(Beutlerら著、The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、第8版、ニューヨーク McGraw−Hill社、2001年、3635〜3668頁)。
この疾患および治療的処置に関する詳細を、本明細書の以下に記載する。Sawkarらは、線維芽細胞の培養液にGCaseの阻害剤を加えるとN370S GCaseの活性が2倍上昇し、これはGCaseの強力な阻害剤はゴーシェ病の治療では治療的に重要であり得ることを示しているが、これらの特定の阻害物質は細胞毒性が強いので治療用物質としては十分ではなかったと報告している(Sawkar A.R.ら、Proc Natl Acad Sci USA.、2002年、99巻(24)、15428〜33頁)。したがって、GCaseの強力な阻害剤をデザインし合成するために努力がなされている。
β−グリコシダーゼの触媒のメカニズムは、共有結合性のグリコシル酵素の中間体およびアノマー位で生じる正電荷を介して進められると考えられている(Ichikawaら、J.Am.Chem.Soc.、1998年、120巻、3007〜3018頁;Heightmanら、1999年、Angew.Chem.Int.Ed.、1999年、38巻、750〜770頁)。Ichikawaらは、1種のβ−グリコシダーゼの強力な阻害剤である、窒素原子が単糖類のアノマー位にある1−N−イミノ糖(構造1A、イソファゴミン(Isofagomine)すなわちヒドロキシピペリジン)をデザインした。予備研究では、D−グルコース−タイプ1−N−イミノ糖(イソファゴミン、すなわちヒドロキシピペリジン1)はGCaseの強力な阻害剤であることが示されている(Fanらへの米国特許第6583158号明細書)。1−デオキシノジリマイシン(DNJ)のN−アルキル誘導体は、GCase、特により長い(Cアルキル鎖よりも長い)アルキル基を有するものの強力な阻害剤でもあるが、DNJ自体およびより短い鎖を有するN−アルキルDNJは阻害性ではない(構造1B、N−ノニル1−デオキシノジリマイシン)(米国特許第6583158号明細書)。しかし、これらの阻害剤はGCaseに対し十分に特異的でも十分に強力でもなく、ゴーシェ病の治療に適さない。これらの発見に基づくと、GCaseは触媒領域に基質結合性部位を2つ含む可能性があり、一方はグルコシル残基を認識する部位であり、他方はセラミド部分を認識する部位であることが理解された(構造1C、6−C−ノニルヒドロキシピペリジン、RD−1:認識領域1;RD−2:認識領域2)。GCaseの結晶構造を決定すると、疎水性残基は環形であり単糖類結合部位の入り口を取り囲むことが明らかになり(Dvirら、EMBO reports、2003年、4巻、1〜6頁)、これは長いアルキル鎖で糖の残基に結合している疎水性部分は、疎水性アミノ酸残基に対する相互作用に必要とされていることを示唆していた。
Figure 2007512253
したがって、当技術分野においては、酵素の特異的な競合阻害剤をデザインしまたは同定し、かつ数々のLSDに関連する相当する変異酵素に対するシャペロンとして、特にゴーシェ病、および誤って折りたたまれたタンパク質に起因する他の障害に関連するGCaseの阻害剤として働くそれらの能力を評価する必要が未だにある。
発明の概要
本発明は、式I:
Figure 2007512253
[式中、A、B、R、R、R、およびLは、本明細書の下記に記載する]の化合物を提供する。本発明は、式Iの化合物の塩、エステル、およびプロドラッグも提供する。
さらに、本発明は式Iの化合物を合成する方法を記載した。
本発明は、GCaseの活性を増強するのに有効な量、すなわち非阻害的な量の式Iの化合物と細胞を接触させることにより、哺乳類細胞におけるGCaseの活性を増強する方法をさらに提供する。
本発明は、GCaseを安定化するのに有効な量の式Iの化合物と細胞を接触させることにより、哺乳類細胞におけるGCaseを安定化する方法も提供する。
本発明は、式Iの化合物および薬学的に許容できる担体を含む組成物も提供する。
GCaseの活性を増強するのに有効な量の式Iの化合物を含む薬剤組成物を、そのような治療を必要とする個体に投与することによる、ゴーシェ病を治療する方法も提供する。
さらに、本発明は、細胞を式Iの化合物と接触させることによる、阻害濃度で使用した場合に哺乳類細胞におけるGCaseを阻害する方法を提供する。
本発明は、酵素を式Iの化合物と接触させることによる、阻害濃度で使用した場合にin vitroでGCaseを阻害する方法を提供する。
本発明は、細胞を阻害濃度の式Iの化合物と接触させることによる、阻害濃度で使用した場合に哺乳類細胞におけるβ−グルコシダーゼを阻害する方法を提供する。
本発明は、酵素を式Iの化合物と接触させることによる、阻害濃度で使用した場合にin vitroでβ−グルコシダーゼを阻害する方法を提供する。
詳細な説明
本発明は、新種の、GCaseの強力な競合阻害剤であり、グルコース誘導体である6−アルキルヒドロキシピペリジン(HP)のデザインおよび合成を提供し、N370S変異を有するゴーシェ病患者からの線維芽細胞における残存酵素活性を上昇させる能力を実証するものである。
ゴーシェ病
ゴーシェ病は、β−グルコセレブロシダーゼ(以下、GCaseと呼ぶ)の活性が欠損し、分解されなかったその基質であり、グロボシドおよびガングリオシドの異化作用における正常の中間体であるグルコシルセラミド(グルコセレブロシド)が蓄積することに起因するリソソーム蓄積症である(Beutlerら、The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、第8版、2001年;Scriver,C.R.、Beaudet,A.L.、Sly,W.S.、およびValle,D.、編集、3635〜3668頁、McGraw−Hill、ニューヨーク)。ある場合には、GCaseの活性の欠損はGCase遺伝子における変異により引き起こされ、ERにおける遺伝子産物の誤った折りたたみ、およびそれに続く分解がもたらされる。主要な神経学的関与の程度および発症年齢に基き、3つの臨床上の表現型:(i)非神経型(1型、すなわち成人型)、(ii)急性神経型(2型、すなわち乳児型)、および(iii)亜急性神経型(3型、すなわち若年型)に一般的に分類される。肝脾腫大、2次性脾機能亢進症、および骨格異常によって特徴付けられる1型ゴーシェ病は最も一般的な形態であり、この型の重症度および臨床経過は、早期発症から臨床上の徴候がないといった範囲にわたり、特に不均一である(Grabowski、Gaucher disease:Enzymology,genetics,and treatment、1993年、Plenum Press、ニューヨーク)。それとは対照的に、神経学的形態(2型および3型)を有する患者は稀である。臨床上の重症度と遺伝子型との相互関係により、残存酵素活性を表す軽い変異が1型の疾患をもたらすことが多いが、重度の変異または変異がまったくないと、3型または2型の疾患を引き起こすことが示唆される。
ゴーシェ病患者は、世界全域にみられる。特に、この疾患はアシュケナージユダヤ人集団に最も一般的であり、この場合ゴーシェ病を引き起こす対立遺伝子の頻度は約0.0343である(Beutlerら、上述)。発病率は1:4000と推定されている(Mathothら、Am J Med Genet.、1987年、27巻、561〜5頁)。5つの最も一般的な変異をスクリーニングすることにより、アシュケナージユダヤ人集団ではGCase変異の約97%を、非ユダヤ人集団ではGCase変異の約75%を検出することができる。現在記録されている多くの変異の中では、もっぱら1型ゴーシェ病を引き起こすN370S変異が最も一般的な変異であり、アシュケナージユダヤ人集団の約6%に存在すると報告されている(Beutlerら、Blood、1992年、79巻、1662〜6頁)。ホモ接合体の中で3型疾患を引き起こすL444P変異は、北スウェーデンに多型のレベルで存在する(Dahlら、Am J Hum Genet、1990年、47巻、275〜8頁)。cDNAのヌクレオチド84位におけるGの挿入が、ユダヤ人の変異では2番目に一般的である。これはユダヤ人集団の約0.6%にみられる。この変異は、成熟したタンパク質のN末端の前であってもフレームシフトを引き起こし、この変異を担う対立遺伝子は酵素活性を生成せず2型疾患を引き起こす(Beutlerら、Proc Natl Acad Sci USA、1991年、88巻、10544〜7頁)。
GCaseをコードする遺伝子は、染色体1のq21に位置付けられている(Ginnsら、Proc Natl Acad Sci USA、1985年、82巻、7101〜5頁)。GCaseの遺伝子は、長さ約7kbでエキソンを11個含む。GCaseのcDNAの長さは約2kbであり、活性のある酵素は、COS細胞、およびバキュロウィルスに感染した昆虫の細胞を含む様々な真核生物の細胞で、cDNAのin vivoの翻訳から生成することができる(Grabowskiら、Enzyme、1989年、41巻、131〜42頁)。ヒトGCaseはホモマーの糖タンパク質である。成熟したポリペプチドはアミノ酸497個であり、計算分子量は55575である。胎盤からのグリコシル化された酵素の分子量は約65kDである。サポシンCは、負に荷電したリン脂質の存在下、in vitroでGCaseを活性化する。
<現在の治療>
1型ゴーシェ病患者には、酵素補充療法が現在利用可能である。ヒト胎盤のGCaseまたは組換えのGCase(修飾されてカバーされたマンノース残基を暴露している)を静脈注入すると、1型ゴーシェ病患者における多くの特徴的な臨床的徴候を逆転させるのに有効であることが示されている(Kayら、Trans Assoc.Am.Phys.、1991年、104巻、258〜264頁;およびGrabowskiら、Pediatr.Res.、1993年、33巻、139頁A)。静脈注入後、酵素は血液脳関門を通過しないので、神経学的関与を有する2型または3型の患者には酵素補充療法(ERT)はあまり効果的ではない。
ゴーシェ病の治療に対する別の取組みは、GCaseの阻害剤を使用してグルコシルセラミドおよび糖脂質のレベルを低下させることである(Inokuchiら、Lipid Res.、1987年、28巻、565〜71頁;Plattら、Biochem.Pharmacol.、1998年、56巻、421〜430頁;およびRadinら、Glycoconjugate J.、1996年、13巻、153〜157頁)。これは基質減少療法(SRT)として知られている。小分子のグルコース誘導体で1年治療した後、患者に臨床症状の中程度の改善がみられた(Coxら、Lancet、2000年、355巻、1481〜1485頁)。SRTは、小分子の阻害剤を使用して病原となる基質の合成を防止するものであるが、いくつかのLSDに対して評価中であり、N−ブチル1−デオキシノジリマイシン(NB−DNJ)は、ゴーシェ病の治療のために欧州および米国で条件付販売許可を得ている(Buttersら、Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci、2003年、358巻、927〜945頁)。SRTをERTと比べた利点の1つには、小分子の阻害剤は血液脳関門を通過する可能性があり、脳に基質が蓄積するのを防止することができることがある。最も頻繁な有害作用は下痢であり、これは治療開始後すぐに79%の患者に生じた。糖脂質が長期間減少した場合に他の有害作用があるか否かは不確かである。
上述のように、最近発展した別の小分子の取組みは、活性部位特異的シャペロン(ASSC)療法として知られている(Fanら、Nat Med、1999年、5巻、112〜115頁;Fan、Trends Pharmacol Sci、2003年、24巻、355〜360頁)。ASSCは変異の(または野生型の)酵素に特異的な強力な酵素阻害剤を低濃度で使用して、LSD患者における変異タンパク質の折りたたみおよび活性を増強する。ASSCで用いられる活性部位阻害剤は疾患を引き起こす酵素に特異的であるので、この治療法は、合成経路全体を阻害するSRTとは異なり、単一のタンパク質および特定の代謝経路を標的とする。SRT同様、ASSCの小分子阻害剤は脳血液関門を通過する可能性があり、そのため神経学的な形態のLSDを治療するために用いることができる。
<GCaseの強力な阻害剤およびゴーシェ病に効果的なASSCのデザインと合成>
ある酵素のより強力な阻害剤は、変異酵素に対するより良好なASSCとして働く(Fan、Trends Pharmacol Sci、2003年、24巻、355〜60頁)。したがって、本発明は、新規のクラスのGCaseに対する強力な阻害剤をデザイン、合成し、かつゴーシェ病患者からの細胞における残存酵素活性を増強するためのASSCとしてこれらの阻害剤を使用した。
Fanらは、また、この疾患に関連する変異のグルコセレブロシダーゼに対する「活性部位特異的シャペロン」としてゴーシェ病を有する個体に投与することができる、グルコイミダゾール(GIZ)およびポリヒドロキシシクロヘキセニルアミン(PHCA)誘導体を用いて、ゴーシェ病を治療するのにASSC療法を用いることができると決定している(2004年11月12日に出願された、Glucoimidazole and Polyhydroxycyclohexenyl Amine Derivatives to Treat Gaucher Diseaseというタイトルの米国特許出願)。
LSDに関連する変異の(または野生型の)酵素の活性を増強するほかに、ASSCは対応する野生型の酵素の活性を増強することも実証されており(Fanらへの米国特許第6589964号明細書を参照されたい)、したがってLSD患者における酵素補充療法の共同療法で、および遺伝子治療でこれらを使用することを示唆している。
本発明は、β−グルコセレブロシダーゼ(GCase)の阻害も企図するものである。このような阻害は、例えば、動物モデルにおいてb−グルコセレブロシダーゼが不足した結果を研究するのに有用である。哺乳類ではβ−グルコセレブロシダーゼの標的付けした欠失は死に到るので、ゴーシェ病の状態を評価する目的でノックアウトマウスを産生することはできない。本発明は、阻害量のβ−グルコシダーゼ阻害剤を動物に投与してゴーシェ病の表現型を模倣することを企図している。
(定義)
本明細書で用いる用語は、以下の定義を有する。
(化学)
「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、分子の残り部分に単結合により結合している、直鎖または分枝のC〜C20炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル),n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)である。本明細書で用いられるアルキルは、C〜Cアルキルが好ましい。
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖または分枝した鎖であってよい、C〜C20脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、iso−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルである。
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、C〜C20直鎖または分枝の鎖の炭化水素基を意味し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニルである。
「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの、不飽和の、非芳香族の、単環式または多環式炭化水素環系を意味する。多環式シクロアルキル基の例として、パーヒドロナフチル、アダマンチル、およびノルボルニル基が架橋した環式基またはスピロビシクロ基、例えば、スピロ(4,4)ノン−2−イルが含まれる。
「シクロアルケニル」は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどの、炭素原子を3から約14個含む環含有基を意味する。
「シクロアルカルキル」は、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチルなど、安定な構造の生成をもたらすように、上記に定義したアルキル基に直接結合している上記に定義したシクロアルキルを意味する。
「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニルなど、約6から約14個の範囲の炭素原子を有する芳香族基を意味する。
「アリールアルキル」は、−CH、−Cなど、上記に定義したアルキル基に直接結合している上記に定義したアリール基を意味する。
「複素環」は、炭素原子と、窒素、リン、酸素、および硫黄からなる群から選択される1個から5個のヘテロ原子とからなる安定な3〜15員環の基を意味する。本発明の目的では、複素環基は、単環系でも、二環系でも、三環系でもよく、縮合系、架橋系、またはスピロ環系を含むことができ、複素環基における窒素、リン、炭素、酸素、または硫黄原子は、場合により酸化されて様々な酸化状態であることができる。さらに、窒素原子は、場合により四級化されていてもよく、環状基は部分的に、または完全に飽和されていてもよい(すなわち、複素環式芳香族、または芳香族ヘテロアリール)。このような複素環基の例には、それだけには限定されないが、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフリル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、パーヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾイル、イミダゾリル、テトラヒドロイソウイノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフルチル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、イソクロマニルが含まれる。
複素環基は、安定な構造の生成をもたらすように、あらゆるヘテロ原子または炭素原子で主要構造に結合していてよい。
「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル基に直接結合している上記に定義したヘテロアリール環基を意味する。ヘテロアリールアルキル基は、安定な構造の生成をもたらすように、アルキル基からのあらゆる炭素原子で主要構造に結合していてよい。
「複素環」は、上記に定義した複素環基を意味する。複素環基は、安定な構造の生成をもたらすように、あらゆるヘテロ原子または炭素原子で主要構造に結合していてよい。
「複素環アルキル」は、アルキル基に直接結合している上記に定義した複素環基を意味する。複素環アルキル基は、安定な構造の生成をもたらすように、アルキル基の炭素原子で主要構造に結合していてよい。
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルカルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換アリールアルキル」、「置換アリール」、「置換複素環」、「置換ヘテロアリール環」、「置換ヘテロアリールアルキル」、または「置換複素環アルキル環」における置換基は、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、または任意選択で、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環、−COOR、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)NR、−C(O)ONR、−NRCONR、−N(R)SOR、−N(R)SO、−(=N−N(R)R)、−NRC(O)OR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(S)NR、−SONR、−SONR−、−SONR−、−OR、−ORC(O)NR、−ORC(O)OR−、−OC(O)R、−OC(O)NR、−RNR、−R、−RCF、−RNRC(O)R、−ROR、−RC(O)OR、−RC(O)NR、−RC(O)R、−ROC(O)R、−SR、−SOR、−SO、−ONOから選択される置換基の群から選択される1つまたは複数と同じまたは異なることができ、ここで、上記の各基におけるR、R、およびRは、水素原子、置換または非置換のアルキル、ハロアルキル、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルカルキル、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、置換または非置換のヘテロアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールアルキルであることができる。
「親油性」は、疎水性のアミノ酸残基と相互作用することができる官能残基を意味する。親油性の基の例には、それだけには制限されないが、C〜C12の置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、および置換または非置換のヘテロアリールアルキルが含まれる。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素の基を意味する。
「水素化可能な保護基」は、ベンジルおよび4−メトキシベンジルなど、水素化条件により除去することができる保護基を意味する。
「酸」は、硫酸、塩酸塩、または酸塩化物とアルコールとの反応により生成された塩酸塩などのルイス酸を意味する。
「有機酸」は、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などの有機ルイス酸を意味する。
「クラウンエーテル」は、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6など、規則的なパターンでいくつかの酸素原子を含む大型の環状化合物を意味する。
「有機金属試薬」は、有機リチウム、有機亜鉛、有機銅、グリニャール試薬など、炭素原子と金属原子との結合を含む化合物を意味する。
「水素化分解条件」は、それだけには限定されないPd(OH)/C、Pd/C、Pt、またはラネーニッケルなどの触媒を用いた、水素供給源の存在下での触媒的な水素化分解を意味する。
「水素化」は、それだけには限定されないPd(OH)/C、Pd/C、Pt、またはラネーニッケルなどの触媒を用いて、水素供給源の存在下で、炭素原子間の不飽和結合を、水素原子をそれぞれの炭素原子に結合させることにより、還元する化学反応を意味する。
「還元剤」は、LiAlH、NaBH、Zn(BH、i−BuAlH、およびLi−s−BuHなど、ある分子における官能基を、ある酸化状態からより低い酸化状態へ変換する試剤を意味する。
「脱離基」は、TsO−、TfO−、MsO−、Cl、Br、Iなど、求核試薬で置換することができる基を意味する。
「N−保護基」は、それだけには限定されないが、4−メトキシベンジル、ベンジル、tert−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなど、一時的にアミン基またはイミン基を保護してさらなる反応部位を避ける基を意味する。
「O保護基」は、それだけには限定されないが、4−メトキシベンジル、ベンジル、およびトリメチルシリルなど、一時的にヒドロキシを保護してさらなる反応部位を避ける基を意味する。
「塩基」は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機ルイス塩基を意味する。
「求核部分および求核試薬」は、アルコール、チオール、または1−アルキンの金属塩など、両者の結合電子を供与することにより、その反応パートナー(求電子試薬)への結合を形成する試薬を意味する。
「短い柔軟なリンカー」は、鎖長が約6Åから約12Å、好ましくは約9Åのリンカーを意味する。
(生物学)
本明細書で用いられる、「活性部位特異的シャペロン」(ASSC)は、タンパク質の活性部位と可逆的に特異的に相互作用をし、安定な分子の立体配座の形成を増強する、タンパク質、ペプチド、核酸、炭化水素を含むがそれだけには限定されないあらゆる分子を意味する。本明細書で用いられる「ASSC」は、Bip、カルネキシン、もしくはカルレティキュリンなど、細胞のERに存在する内因性の一般的なシャペロン、または重水、DMSO、もしくはTMAOなどの一般的な非特異的な化学シャペロンを含まない。
本明細書で用いられる「活性部位」は、基質または結合パートナーに結合し、化学結合の生成および破壊に直接関与するアミノ酸残基に寄与するタンパク質の領域を意味する。本発明によると、活性部位はGCaseの触媒領域を含む。
「野生型の活性」は、細胞におけるGCaseの正常の生理機能を意味する。このような機能性は、タンパク質、特に酵素の機能性を確立することが知られているあらゆる手段により試験することができる。ある種の試験では、そのタンパク質のin vivoの実際の機能に相当してもしなくてもよいタンパク質の特性を評価することができるが、それにもかかわらずある種の試験はタンパク質の機能性の凝集体の代用物であり、このような試験における野生型の挙動は、本発明のタンパク質の折りたたみ救済技術の許容できる結果である。本発明によるこのような活性の1つには、細胞におけるGCaseの特定の目的地、すなわちリソソームへ小胞体から適切に輸送することがある。
「機能性GCaseタンパク質」は、適切な立体配座に折りたたまれる能力を有するGCaseタンパク質を意味し、細胞でその天然の位置を実現し、グルコセレブロシドおよび他の脂質基質に対する異化活性を有する。機能性GCaseタンパク質は、例えば、配列番号2に図示したような野生型のGCaseタンパク質(以下の定義を参照されたい)を含む。
本明細書で用いられる「変異GCase」は、通常ERに存在する条件下でその天然の立体配座を実現しないタンパク質配列の変更をもたらす、1つまたは複数の遺伝子の変異を含む遺伝子から翻訳されたGCaseを意味する。この立体配座を実現できないと、タンパク質輸送システムにおけるその通常の経路を介して細胞内の適切な位置に輸送されないで、GCaseの分解が引き起こされる。
このようなGCase変異が特に具体化したものには、N370S変異およびL444P変異がある。
GCaseの「活性を増強すること」とは、ERにおける変異GCaseタンパク質の適切な立体配座を安定化し、その結果このタンパク質が適切な立体配座に折りたたまれ、細胞における天然の位置を実現し、その脂質基質であるセレブロシドに対する異化活性を有することを意味する。この語は、外因性に投与されたGCaseタンパク質の野生型の活性を上昇させる、すなわち、野生型GCaseの安定性を向上させin vivoの半減期を延ばすことにより、それに伴って活性を長く保つことも意味する。
「適切な立体配座を安定化すること」とは、本発明の化合物が、ERにおいても他の細胞内コンパートメントにおいても、野生型酵素の立体配座と機能的に同一である変異GCaseの立体配座を誘導し、または安定化する能力を意味する。本発明の「機能的に同一」が意味するのは、立体配座に軽度の変動があることがある(確かにほとんどすべてのタンパク質が、それらの生理的状態においていくらかの立体配座上の柔軟性を表す)が、この立体配座上の柔軟性は(1)凝集、(2)小胞体に関連する分解を介した排出、(3)酵素機能の損傷、および/または(4)細胞内の不適切な輸送をもたらさないことである。この語は、ある化合物が、in vivoで外因性にGCaseを添加した後に、またはin vitroで酵素を配合した際に、野生型のGCaseの適切な立体配座を安定化する能力も意味する。
「野生型GCase遺伝子」は、in vivoで機能性生物活性を有することができるASMタンパク質をコードする核酸配列を意味する。野生型GCaseの核酸配列は、ヌクレオチドの変化が生物活性に殆どまたはまったく影響を及ぼさないアミノ酸置換をもたらす限りは、周知の公表されている配列、例えば配列番号1の配列と異なるヌクレオチドの変化を含んでもよい。本明細書で用いられる野生型は、内因性のまたは天然のGCaseタンパク質に比べて、活性を上昇または増強することができるGCaseタンパク質をコードするように操作されたGCaseの核酸配列を含むこともできる。
「野生型GCaseタンパク質」は、in vivoで発現されまたは誘導される場合に、機能性生物学的活性を有することができる野生型遺伝子によりコードされるあらゆるタンパク質を意味する。
(分子生物学)
本発明によると、当技術分野の技術範囲内で、従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術を使用することができる。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook、Fritsch、およびManiatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989年)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク、コールドスプリングハーバー(本明細書中「Sambrookら、1989年」);DNA Cloning:A Practical Approach、IおよびII巻(D.N.Glover編集、1985年);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編集、1984年);Nucleic Acid Hybridization;B.D.HamesおよびS.J.Higgins編集(1985年);Transcription And Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編集、1984年);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編集、1986年);Immobilized Cells And Enzymes;IRL Press、(1986年);B.Perbal、A Practical Guide To Molecular Cloning(1984年);F.M.Ausubelら(編集)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons社(1994年)を参照されたい。
本明細書で用いられる「分離された」は、言及される材料が、それが通常見出される環境から移動されることを意味する。したがって、分離された生物学的材料には細胞成分、すなわちその材料が見出されまたは生成される細胞の成分がない可能性がある。核酸分子の場合は、分離された核酸には、PCR産物、分離されたmRNA、cDNA、または制限フラグメントが含まれる。別の実施形態では、分離された核酸は、それが見出され得る染色体から切り出されることが好ましく、非制御の非コードの領域、または染色体に見出される場合には分離された核酸分子に含まれる遺伝子の上流もしくは下流に位置する他の遺伝子にもはや結合しないことがより好ましい。さらなる別の一実施形態では、分離された核酸には1つまたは複数のイントロンが欠如している。分離された核酸分子には、プラスミド、コスミド、人工染色体などの中に挿入された配列が含まれる。したがって、特定の一実施形態では、組換えの核酸は分離された核酸である。分離されたタンパク質は、細胞でそれが関連する他のタンパク質もしくは核酸、またはその両者と、あるいはそれが膜関連タンパク質である場合には細胞膜と関連することができる。特定の一実施形態では、分離されたGCaseタンパク質は、発現ベクターから発現された組換えのGCaseタンパク質である。分離された材料は、精製されていてもよいが、精製されている必要はない。
本明細書で用いられる「精製された」は、混入物などの関連のない材料を減少させ、または除去する条件下で分離された材料を意味する。例えば、精製されたGCaseタンパク質には、GCaseが通常細胞において関連する他のタンパク質または核酸が実質的にないことが好ましい。本明細書で用いられる「実質的にない」は、材料の分析試験の状況において実効的に用いられる。好ましくは、混入物が実質的にない精製されたASMは、少なくとも50%純粋であり、より好ましくは少なくとも90%純粋であり、より好ましくはさらに少なくとも99%純粋である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、免疫測定法、組成分析、生物学的アッセイ、および当技術分野で周知の他の方法により評価することができる。
「およそ」および「約」は、測定値の性質または精度を考慮して、測定された量に対する許容できる程度の誤差を一般的に意味する。典型的な例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20%(パーセント)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物系においては、「およそ」および「約」は、オーダーの範囲内にある平均値、好ましくは所与の値の10または5倍以内、より好ましくは2倍以内であってよい。本明細書で与えられる数量は、別段の記載がなければ約であり、明確に述べていない場合でも「およそ」または「約」が推測され得ることを意味する。
「宿主細胞」は、細胞による物質の生成のために、例えば、変異のまたは機能性哺乳類の、DNAもしくはRNA配列を含むGCase遺伝子の細胞、またはGCase酵素による発現のために、選択され、修飾され、形質転換され、増殖され、もしくは使用され、または何らかの方法で扱われるあらゆる生物体のあらゆる細胞を意味する。宿主細胞を、ASSC概念の他のアッセイを予備的に評価するためにさらに用いることができる。「組換えDNA分子」は、分子生物学的手技または操作を受けたDNA分子である。
「遺伝子」は、「遺伝子産物」をコードするヌクレオチドの配列である。一般的に、遺伝子産物はタンパク質である。しかし、遺伝子産物は、RNA(例えば、tRNAまたはrRNA)など、細胞における別のタイプの分子であってもよい。本発明の目的では、遺伝子産物は、細胞で見出すことができるmRNA配列も意味する。本明細書で用いられる遺伝子は、野生型または変異GCaseをコードするヌクレオチド配列を意味する。
「発現する」および「発現」は、GCase遺伝子もしくはDNA配列の情報が顕在化するのを可能にすること、または引き起こすこと、例えば、対応するGCase遺伝子またはDNA配列、すなわちGCaseをコードする配列の転写および翻訳に関わる細胞機能を活性化することにより、RNA(rRNAもしくはmRNAなど)またはGCaseタンパク質を生成することを意味する。GCaseDNA配列は細胞により発現されて、GCaseRNA(例えば、mRNAもしくはrRNA)またはGCaseタンパク質などの「発現産物」を形成する。発現産物自体(例えば、得られたGCaseRNAまたはタンパク質)も、細胞により「発現される」と言うことができる。
「形質移入」は、外来性の核酸を細胞内に導入することを意味する。「形質転換」も、「外来性の」(すなわち、外因性または細胞外の)遺伝子、DNA、またはRNAの配列を宿主細胞に導入し、その結果宿主細胞が導入された遺伝子または配列を発現して、本発明では導入された遺伝子または配列によりコードされるRNAが典型的であるが、導入された遺伝子または配列によりコードされるタンパク質または酵素でもある所望の物質を生成することを意味する。導入された遺伝子または配列は、「クローン化された」または「外来性の」遺伝子または配列と呼ぶこともでき、制御の、または調節の配列(例えば、細胞の遺伝子機構による開始、停止、プロモータ、シグナル、分泌、または他の配列)を含むことができる。遺伝子または配列は、非機能的な配列または知られた機能のない配列を含むことができる。導入されたDNAまたはRNAを受容し発現する宿主細胞は、「形質転換され」ており、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、宿主細胞として同属もしくは同種の細胞、または異属もしくは異種の細胞を含む、あらゆる源に由来することができる。本明細書で用いられる、形質移入または形質転換は、変異された内因性のGCase遺伝子を有する個体で機能性GCaseをコードする配列を導入することを含む。
「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」は、GCaseDNAまたはRNA配列(例えば、外来遺伝子)が宿主を形質転換し、導入された配列の発現(例えば、転写および翻訳)を促進するように、宿主細胞中に導入することができる媒体を意味する。ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウィルス、ビリオンなど、適切な調節因子に関連する場合に複製を行うことができ、細胞間のGCaseの遺伝子配列を伝達することができるあらゆる遺伝因子を含む。したがって、この語には、クローニングおよび発現の媒体、ならびにウィルスベクターが含まれる。
「発現系」は、例えばベクターにより運ばれる外来性のDNAによりコードされ、宿主細胞に導入されるGCaseタンパク質の発現に適する条件下での、宿主細胞および適合するベクターを意味する。一般的な発現系には、E.coli宿主細胞と、プラスミドベクターと、Sf9細胞、Hi5細胞、またはS2細胞などの昆虫宿主細胞と、バキュロウィルスのベクターおよび発現システムと、哺乳類の宿主細胞とベクターとが含まれる。
「遺伝子治療」は、遺伝子、すなわちGCase遺伝子の外因性の投与により、内因性の遺伝子の発現を変化させる方法を意味する。本明細書で用いられる遺伝子治療は、欠陥のある、または損失されたGCase遺伝子に相当する機能性遺伝子を、必要とする個体の体細胞または幹細胞中に導入することにより、欠陥のあるGCase遺伝子を置き換え、または損失されたGCase遺伝子を置き換えることも意味する。遺伝子治療は、分化した幹細胞または体細胞性の幹細胞を個体の身体から除去し、次いで、欠陥のある遺伝子の通常のコピーを外植した細胞中に、遺伝子を配達する媒体としてウィルスベクターを用いて導入する「ex vivo」法により達成することができる。さらに、in vivoの直接遺伝子輸送は、治療上の結果を達成するために、広範なウィルスベクター、リポソーム、タンパク質DNA複合体、またはネーキッドDNAを用いて、in situで個体の細胞中に遺伝子を輸送する。
「組換えタンパク質」は、ベクター上に保有されている治療用のGCase遺伝子によりコードされるGCaseタンパク質(遺伝子産物)を意味する。一般的に、ベクターを受容する細胞は、組換えタンパク質に対応するあらゆる内因性のGCaseタンパク質の発現および/または活性が欠如し、あるいは、そのような内因性のGCaseタンパク質の発現がある場合には、それは変異の発現であり、または大変低いレベルの発現である。一実施形態においては、組換えのタンパク質は、実験および治療目的のための組織培養の細胞により生成される。別の一実施形態では、組換えのタンパク質は、ベクターで形質転換された細胞からin vivoで生成され、このベクターまたはベクターを含む細胞は対象に投与されている、すなわち遺伝子治療である。組換えのGCaseタンパク質は、正常の個体、すなわちタンパク質の欠損がなくまたはゴーシェ病を有さない個体では、おそらく野生型タンパク質と区別不可能である。
(治療および投与)
「対象」または「患者」は、ゴーシェ病を発症した、または発症する可能性のあるヒトまたは動物、より詳しくは哺乳類、好ましくはげっ歯動物または霊長動物、最も好ましくはヒトである。一実施形態では、患者は、GCase遺伝子の変異を遺伝により受け継いだためゴーシェ病を発症する危険が高いと診断され、または決定されたアシュケナージユダヤ人集団の一員である。しかし「対象」は、ゴーシェ病を有し、または遺伝的に発症する危険のある、世界中のすべての者を包含する。
「防止」は、疾患の発症を防止することを意味し、この疾患、例えばゴーシェ病を引き起こす病理メカニズムを予防的に妨げることを意味する。本発明の状況においては、このような病理メカニズムは、変異タンパク質の折りたたみおよびGCaseの発現の増加であり得る。
「治療」は、この疾患の症状を示す対象の疾患の発症に、治療的に介入することを意味する。本発明の状況においては、これらの症状は、それだけには限定されないが、リソソームにおけるGCaseの蓄積、肝脾腫大、精神運動遅滞、肺異常、骨および関節の変性、ならびに進行性の神経変性を含むことができる。
本明細書で用いられる「治療有効量」は、変異GCase発現のレベルを、例えば、通常の細胞、すなわちゴーシェ病を有さない個体からの細胞にみられるレベルの約3〜5%、好ましくは約10%、より好ましくは約30%上昇させるのに十分な、本発明のHP誘導体の量または投与量を意味するのに用いられる。好ましくは、治療有効量は、対象における臨床上意義のあるGCase活性の欠損を、改善し、または防止することができる。あるいは、治療有効量は、対象における臨床的に意義のある状態の改善、例えば、2型および3型のゴーシェ病患者の進行性の神経変性の改善をもたらすのに十分である。
「薬学的に許容できる」は、生理的に耐容性がある分子の存在物および組成物を意味し、ヒトに投与した場合にアレルギー性または同様の有害反応、例えば、急性胃蠕動異常高進および眩暈を通常生じない。好ましくは、本明細書で用いる「薬学的に許容できる」は、連邦政府または州政府の監督機関により認可され、あるいは、動物、より詳しくはヒトに使用するために米国薬局方または他の一般に承認された薬局方に列記されることを意味する。
「担体」は、それと共に化合物を投与する希釈剤、補助剤、添加剤、または賦形剤を意味する。このような製薬担体は、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油など、石油、動物、植物、または合成起源のものを含む油および水などの無菌の液体であってよい。水、または水溶液、食塩水、およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液は、担体として、特に注射可能な溶液に用いることが好ましい。適切な製薬上の担体は、E.W.Martin著「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
新規化合物と合成
(化合物)
本発明によると、ASSCは、(i)ピラノース環のアノマー位に相当する位置の正電荷、(ii)ピラノースにおける環酸素に相当する位置から出ている短い柔軟なリンカー、および(iii)リンカーに結合している親油性部分を有するHPの6−誘導体(および場合によりさらにN−アルキル化されたもの)である。詳しい一実施形態では、ASSCは、6−ノニル−HP、または(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ノニル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。グルコース残基のC−6位は、殆どのGCaseおよびβ−グルコシダーゼが認識しないので(De Bruyneら、Eur.J.Biochem.、1979年、102巻、257〜67頁)、C−6位の置換は水素、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルであることができる。
より詳しくは、本発明は、以下の式Iの新規化合物を提供する。
Figure 2007512253
式中、
Aは、炭素または窒素を表し、Bは、水素、ヒドロキシ、N−アセトアミド、またはハロゲンであり、Rは、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキル;−C(O)R、または−S(O)である。好ましくは、Rは、Hまたは炭素原子1〜12個の有機部分を含む。
は、鎖長が約6Åから約12Åの、任意選択の短い柔軟なリンカーである。あるいは、Rは、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、O、S、S(O)、および−S(O)NRからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルキル、C〜Cの置換または非置換のアルケニル、または、C〜Cの置換または非置換のアルキニルからなる群から選択される。
は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキルである。好ましくは、Rは、H、または炭素原子1〜12個、もしくはより好ましくは炭素原子1〜6個の有機部分を含む。
mは、1または2であり、Rは、水素、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルである。
Lは、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキルを含む炭素原子1〜12個の親油性の基である。
式Iの化合物の薬学的に許容できる塩およびプロドラッグも企図される。
が水素であると、さらに好ましい。
が、NH、NR、およびOからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルキル;NH、NR、およびOからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルケニル;NH、NR、およびOからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルケニル;NH、NR、およびOからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルケニルからなる群から選択されると、さらに好ましい。
が、
Figure 2007512253
からなる群から選択されると、さらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のC〜C12アルキルであると、さらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のC〜C12アルキルであると、いっそうさらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のCアルキルであると、さらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のCアルキルであると、さらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のCアルキルであると、さらに好ましい。
が存在せず、Lが非置換のCアルキルであると、さらに好ましい。
が存在せず、Lがベンジルであると、さらに好ましい。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ブチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘキシル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘプチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−オクチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ノニル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
本発明のさらに好ましい化合物は、(3R,4R,5R,6S/6R)−5−(ヒドロキシメチル)−6−ベンジル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである。
集合的に、式Iの化合物は、本明細書では「HP誘導体」と呼ばれる。
本発明の化合物は、式Iの薬学的に許容できる塩およびプロドラッグを含む。本発明の一部を構成する薬学的に許容できる塩には、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Zn、Mnなどの無機塩基由来の塩;N,N’−ジアセチルエチレンジアミン、グルカミン、トリエチルアミン、コリン、水酸化物、ジシクロヘキシルアミン、メトホルミン、ベンジルアミン、トリアルキルアミン、チアミンなどの有機塩基の塩;アルキルフェニルアミン、グリシノール、フェニルグリシノール、天然アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、チロシン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチジン、オミチン(omithine)、リジン、アルギニン、セリンなど)の塩などのキラル塩基;D−異性体または置換されたアミノ酸などの非天然アミノ酸;グアニジン、ニトロ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アンモニウム、または置換されたアンモニウム塩およびアルミニウム塩から選択される置換基で置換されたグアニジンが含まれる。塩は、適宜、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、含水岩塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、パルモエート(palmoate)、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、グリセロリン酸塩、ケトグルタル酸塩である、酸付加塩を含むことができる。薬学的に許容できる溶質は、水和物であることができ、またはアルコールなど他の結晶化の溶媒を含むことができる。
プロドラッグは、in vivoで活性型に変換される化合物である(例えば、R.B.Silverman、1992年、「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action」、Academic Press、第8章を参照されたい)。プロドラッグは、特定の化合物の体内分布(例えば、通常はプロテアーゼの反応部位に入らない化合物を許容する)、または薬学動態を変更するのに用いることができる。例えば、カルボン酸基を、例えば、メチル基またはエチル基でエステル化してエステルを得ることができる。このエステルを対象に投与すると、エステルは、酵素的にもしくは非酵素的に、還元的に、酸化的に、または加水分解的に切断されてアニオン性の基が表れる。アニオン性の基を、切断されてその後分解する中間化合物を表す部分(例えば、アシルオキシメチルエステル)でエステル化して、活性化合物を得ることができる。
プロドラッグの例およびその使用については、当技術分野ではよく知られている(例えば、Bergeら、(1977年)、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、66巻、1〜19頁を参照されたい)。プロドラッグは、化合物を最終的に分離し精製する間にin situで、または精製した化合物を適切な誘導体化剤と別々に反応させることにより調製することができる。例えば、ヒドロキシ基は、触媒の存在下でカルボキシル酸と処理することによりエステルに変換することができる。切断可能なアルコールのプロドラッグ部分の例には、置換および非置換の、分枝または非分枝の低級アルキルエステル部分(例えば、エチルエステル)、置換および非置換の、分枝または非分枝の低級アルケニルエステル、置換および非置換の、分枝または非分枝のジ−低級アルキル−アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、置換および非置換の、分枝または非分枝のアシルアミノ低級アルキルエステル、置換および非置換の、分枝または非分枝のアシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、置換および非置換の、分枝または非分枝のアリールエステル(フェニルエステル)、置換および非置換の、分枝または非分枝のアリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換された(例えば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基で)アリールおよびアリール低級アルキルエステル、アミド、低級−アルキルアミド、ジ−低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが含まれる。
(合成)
さらに、本発明は、
a)酸の存在下で、L−キシロースを水素化可能な保護基前駆化合物と反応させて、式II:
Figure 2007512253
[式中、Pは水素化可能な保護基である]
の化合物を生成するステップと、
b)有機酸もしくは無機触媒の存在下で、式IIの化合物を、2−メトキシプロペンもしくは1,1−ジメトキシシクロヘキサンなどの、アセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルと反応させて、式III:
Figure 2007512253
[式中、X、Yは、H、アルキル、アリール、シクロアルキルであるか、またはC〜Cアルキル基を介して結合していてもよい]
の化合物を生成するステップと、
c)三級アミン塩基またはピリジンからなる群から選択される有機塩基の存在下で、式IIIの化合物を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させて、式IV:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
d)クラウンエーテルの存在下で、式IVの化合物を、MがLi、K、およびNaからなる群から選択されるMCNと反応させて、式V:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
e)式Vの化合物を式VI:
L−R
[式中、RおよびLは請求項1に記載した通りであり、Mは、MgBr、MgCl、Li、CuLi、ZnBrからなる群から選択される]の有機金属試薬と反応させ、次いで、還元剤と反応させて、式VII:
Figure 2007512253
の化合物を形成するステップと、
f)式VIIの化合物を脱保護し転位させ、次いで、水素化条件でルイス酸または無機触媒の存在下で環化および還元して、式VIII:
Figure 2007512253
の化合物(式VIIIは、L−R置換基についてRおよびSの両立体配置を表す)を生成するステップと、
g)任意選択で、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、H/Pd/C、またはH/Pd(OH)/Cなどの還元試薬の存在下で、式VIIIの化合物をアルデヒドまたはケトンなどのカルボニル化合物と反応させて、あるいは、Rが請求項1に記載されXが脱離基であるRXと反応させて、式IX:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと
を含む式Iの化合物を合成する方法を記載する。
本発明は、
a)酸塩化物の存在下で、L−キシロースを水素化可能な保護基前駆化合物と反応させて、式II:
Figure 2007512253
[式中、Pは水素化可能な保護基である]
の化合物を生成するステップと、
b)有機酸または無機酸の存在下で、式IIの化合物を、2−メトキシプロペンもしくは1,1−ジメトキシシクロヘキサンなどの、アセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルで保護して、式III:
Figure 2007512253
[式中、X、Yは、H、アルキル、アリール、シクロアルキルであるか、またはC〜Cアルキル基を介して結合していてもよい]
の化合物を生成するステップと、
c)三級アミン塩基およびピリジンからなる群から選択される塩基の存在下で、式IIIの化合物を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させて、式IV:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
d)クラウンエーテルの存在下で、式IVの化合物を、MがLi、K、およびNaからなる群から選択されるMCNと反応させて、式V:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
e)式Vの化合物を式X:
Figure 2007512253
[式中、Xは、BrおよびClからなる群から選択される]の化合物、次いで、還元剤と反応させて、式XI:
Figure 2007512253
の化合物を形成するステップと、
f)式XIの化合物におけるアミノ基を保護し、次いで、二重結合をオゾン分解し、アルデヒドを保護し、水素化して式XII:
Figure 2007512253
の化合物を形成するステップと、
g)式XIIによるアセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルの各基を酢酸水溶液で選択的に脱保護して式XIII:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
h)4−メトキシベンジル基などの保護基でNおよびO−保護して、式XIV:
Figure 2007512253
[式中、P、P、P、およびPは、同じまたは異なる保護基である]
の化合物を形成するステップと、
i)式XIVの化合物をHOAc、HCl、CFCOOHなどの酸性条件下で加水分解して、式XV:
Figure 2007512253
の化合物を生成するステップと、
j)式XVの化合物を、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させ、次いで、得られたアルコールを脱離基ハロ、OMs、OTfに転換して式XVI:
Figure 2007512253
[式中、Lvは脱離基である]
の化合物を形成するステップと、
k)式XVの化合物をアミンと還元条件下で反応させ、または式XVの化合物をウィティッヒ(Wittig)試薬と反応させ、または式XVIの化合物を:
−Z
[式中、Rは、
Figure 2007512253
からなる群から選択される求核性部分である]
と反応させ、次いで、任意選択で、硝酸セリウムアンモニウムまたはPd(OH)/C/Hで脱保護して式XVIIの化合物(式XVIIはリンカーの親油性部分に対するRおよびSの両立体配置を表す):
Figure 2007512253
[式中、Xは、O、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、S、CH、HC=CH、およびC≡Cからなる群から選択される]
を形成するステップと
からなる式Iの化合物を合成する代替の方法をさらに記載する。
本発明は、式XV:
Figure 2007512253
の化合物を合成するための方法をさらに記載する。
任意選択で存在するRおよびRは、鎖長約6Åから12Å、好ましくは約9Åの、短い、柔軟なリンカーである。RおよびRは、独立に、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、O、S、S(O)、および−S(O)NRからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよいC〜Cの置換または非置換のアルキル、C〜Cの置換または非置換のアルケニル、または、C〜Cの置換または非置換のアルキニル;C〜Cであり、mは1または2である。さらに、R−LまたはR−Lのどちらかが水素以外である場合、R−LまたはR−Lは水素であってよい。
およびLは、C〜C12の置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、置換または非置換のヘテロアリールアルキルからなる群から選択される親油性の基である。
は、独立に、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、C〜Cの置換または非置換のアルキルに結合している−C(O)からなる群からの各存在から選択され、
a)極性の非プロトン性溶媒中で、式XX:
Figure 2007512253
[式中、P、P、P、およびPは、O保護基である]の化合物をN−ヨードスクシンイミドと反応させ、または式XXIIの3−ヨード基の選択的除去を行うためにさらなる反応をして、式XXI、XXII、またはXXIII:
Figure 2007512253
の化合物をもたらすステップと、
b)極性の非プロトン性溶媒中、Pd(PPhなどのパラジウム触媒の存在下で、式XXI、XXII、またはXXIIIの化合物を、式XXIV、またはXXV:
Figure 2007512253
[式中、LはLまたはLであり、RはRまたはRである]の化合物と反応させて、式XXVI:
Figure 2007512253
の化合物をもたらすステップと、
c)O保護基の脱保護により、式XV:
Figure 2007512253
をもたらすステップと
を含む。
治療用途
本発明は、さらに、治療の必要な被検体または患者において、変異GCaseの発現または活性を増加させること、あるいは、組換え野生型補充GCaseの活性を増加または安定させること(すなわち、ERTまたは遺伝子治療)を含む方法による、ゴーシェ病の予防または治療方法を提供するものである。
本発明によれば、「治療有効量」は、GCaseタンパク質の活性を阻害することなく増大させるHP誘導体の量も意味する、すなわち、有効量は阻害するよりも増大させ、正味の効果が増大となる。この量は、細胞内でGCaseに対する阻害剤のIC50値未満、または培地中約50μM未満のどこかに含まれるであろう。
GCase発現または活性を増加させる小分子アナログは、薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物中に好適に処方される。この状況では、HP誘導体は、活性成分または治療薬である。
活性成分の濃度または量は、後述するように、所望の投薬量および投与計画に依存する。小分子アナログの適切な投薬範囲としては、1日あたり、約10μg/kg体重から約100mg/kg体重が挙げられるだろう。
(併用療法)
<HPシャペロンおよびタンパク質補充>本発明の医薬組成物は、本発明のHP誘導体に加えて、他の生物学的に活性な化合物も含んでいてもよい。例えば、一実施形態では、小分子は、補充療法における酵素点滴の間に、補充野生型(または機能性)組換えGCaseを含む溶液として投与されてもよい。タンパク質補充療法は、点滴により野生型または生物学的に機能性のタンパク質を体外から導入することにより、タンパク質の量を増加させる。この治療法は、ゴーシェ病を含む多くの遺伝的疾患用として開発されてきた。野生型酵素は、組換え細胞発現系(例えば、哺乳類細胞または昆虫細胞−Desnickらによる米国特許第5,580,757号明細書;Seldenらによる第6,395,884号明細書および第6,458,574号明細書;Calhounらによる第6,461,609号明細書;Miyamuraらによる第6,210,666号明細書;Seldenらによる第6,083,725号明細書;Rasmussenらによる第6,451,600号明細書;Rasmussenらによる第5,236,838号明細書;ならびにGinnsらによる第5,879,680号明細書を参照のこと)、ヒト胎盤、または畜乳(Reuserらによる米国特許第6,188,045号明細書を参照のこと)から精製される。
点滴後、外来性GCaseは、非特異的または受容体特異的機構を介して組織に取り込まれると予想される。一般には、取り込み効率は高くなく、外来性タンパク質の循環時間は短い。さらに、外来性GCaseは不安定で、急激な細胞内分解にさらされる。
すなわち、酵素のシャペロンとして作用する本発明のHP化合物との同時投与により、安定性が改善され、体外から投与されるGCaseの分解が妨げられることが期待される。
他の実施形態では、必ずしも同じ組成物である必要はないが、組換え野生型またはその他の機能性GCaseタンパク質と共に小分子アナログが投与されてもよい。この実施形態では、組換えGCaseタンパク質および本発明のHP化合物は、別々の組成物に処方される。例えば静脈内注射などの同一経路、または、例えば補充タンパク質では静脈内注射およびHP化合物では経口投与などの異なる経路によって、HP誘導体および組換えGCaseを投与してもよい。
<HP誘導体および遺伝子治療>
さらに、本発明のHP組成物は、野生型または機能性GCase遺伝子をコードする組換えベクターと共に、すなわち、遺伝子治療に際して、投与してもよい。近年、組換え遺伝子治療法が、リソソーム蓄積症の治療用として臨床または前臨床開発中である。例えば、ファブリー病のための組換えα−ガラクトシダーゼA療法に関しては米国特許第5,658,567号明細書;融合タンパク質としての生物学的に活性なα−ガラクトシダーゼAのクローニングおよび発現に関しては米国特許第5,580,757号明細書;リソソーム蓄積症を治療するための組成物および方法に関しては米国特許第6,066,626号明細書;ヒトα−ガラクトシダーゼAタンパク質を発現する形質転換されたヒト細胞に関しては米国特許第6,083,725号明細書;組換えアデノ随伴ウィルス粒子を用いてDNAを筋細胞に送達し、リソソーム蓄積症を治療するための方法に関しては米国特許第6,335,011号明細書;Bishop,D.F.ら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 1986年;83巻:4859〜4863頁;Medin,J.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1996年;93巻:7917〜7922頁;Novo,F.J.、Gene Therapy 1997年;4巻:488〜492頁;Ohshima,T.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997年;94巻:2540〜2544頁;Sugimoto Y.ら、Human Gene Therapy 1995年;6巻:905〜915頁;Slyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2002年;99巻(9):5760〜2頁;Rabenら、Curr.Mol.Med 2002年;2巻(2):145〜66頁;Etoら、Curr.Mol.Med.2002;2巻(1):83〜9;Voglerら、Pediatr.Dev.Pathol.2001年;4巻(5):421〜33頁;Barrangerら、Expert Opin.Biol.Ther.2001年;1巻(5):857〜67頁;Yewら、Curr.Opin.Mol.Ther.2001年;3巻(4):399〜406頁;Caillaudら、Biomed.Pharmacother.2000年;54巻(10):505〜12頁およびIoannuら、J.Am.Soc.Nephrol.2000年;11巻(8):1542〜7頁参照のこと。
発現したGCase酵素を安定化させることに加えて、HP誘導体は、適正な折畳みおよび小胞体(ER)でのプロセシングを阻害する突然変異の結果として欠損している任意の外来性変異GCaseの発現についても安定化させ、増強させるであろうことに留意することが重要である。
(処方および投与)
本発明によれば、例えばHP誘導体などの本発明の医薬組成物は、非経口的、経粘膜的(例えば経口的(口から)、経鼻的もしくは経直腸的など)、または経皮的に導入し得る。非経口経路としては、静脈内、細動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内投与が挙げられる。
タンパク質補充との併用療法に関して、HP誘導体が補充GCase酵素と共に同じ組成中で投与される実施形態では、こういった処方は、静脈内、皮下、および腹腔内などの非経口投与に好適であるが、経口、鼻腔内、または経皮などの他の投与経路に好適な処方も考えられる。
一実施形態では、経皮投与はリポソームにより達成される。脂質二重膜小胞は、極性(親水性)および非極性(新油性)部位を有する個々の分子より主に形成される、閉じられた、液体に満たされた微小球である。親水性部位は、ホスフェイト、グリセリルホスフェイト、カルボキシ、スルフェイト、アミノ、ヒドロキシ、コリンまたは他の極性基を含んでもよい。親油基の例としては、アルキル、アルケニルまたはその他の脂質基などの飽和または不飽和炭化水素基がある。小胞の安定性を改善し、または、他の所望の特性を与えるために、ステロール(例えば、コレステロール)およびその他の薬学的に許容できるアジュバント(α−トコフェロールなどの抗酸化剤を含む)が含まれていてもよい。
リポソームは、これらの脂質二重膜小胞の一部であり、脂肪酸鎖からなる2本の疎水性尾部を含む主にリン脂質分子からなる。水に曝すと、これらの分子は自然発生的に整列し、各層の分子の親油性末端が膜の中心で会合し、反対の極性末端がそれぞれ二分子膜の内側および外側の表面を形成するように二分子膜の球を形成する。したがって、膜の両側は親水性表面を示すが、膜内部は、親油性の媒体を含む。これらの膜は、タマネギの層と似たように、水を含む内部空間の周囲に、水の薄い層により分離される一連の濃縮した球形の膜状に配置されてもよい。これらの多重膜リポソーム(MLV)は、剪断力を与えて、単膜リポソーム(UV)に変換し得る。
注射可能な用途に好適な製剤処方としては、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射液または分散液の即時調製用の滅菌散剤が挙げられる。すべての場合において、形態は滅菌されてなければならず、また、注射針通過容易性(easy syringability)を有する範囲で流体である必要がある。製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、また、細菌および菌類などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。例えば、レクチンなどの皮膜の利用により、分散液の場合には必要とされる粒径の管理により、および、界面活性剤の利用により、適当な流動性が保持されていてもよい。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸などの、種々の抗生物質および抗真菌薬により達成し得る。多くの場合において、例えば、糖または塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム(aluminum monosterate)およびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の組成中で使用することにより、達成され得る。本発明の方法に係るセラミドおよびスフィンゴミエリンアナログを送達するためにリポソームを使用する利点は、リポソームが血液脳関門を通過することである。ゴーシェ病2型、3型は、グルコシルセラミドの蓄積のための神経変性により特徴付けられるので、脳に対する効果的なターゲティングがいずれの治療に対しても重要である。
滅菌注射溶液は、必要に応じて、上記に列挙した様々な他の成分と共に、所要量の精製したGCaseおよびHP誘導体を適当な溶媒に混合することにより調製し、次いでろ過または最終的な滅菌を行う。一般的に、分散液は、様々な滅菌された活性原料を塩基性分散媒および必要とされる上記に列挙したものから選ばれる他の成分を含む滅菌担体中に混合することにより調製される。滅菌注射液の調製用の滅菌散剤の場合には、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、予め滅菌ろ過したそれらの溶液から得られる、任意の所望の追加成分を補充した活性成分粉末が得られる。
製剤は、賦形剤を含むことが好ましい。製剤中に含めてもよい、薬学的に許容できる賦形剤としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、および炭酸緩衝液などの緩衝液、アミノ酸、ウレア、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質;アルブミン、コラーゲンおよびゼラチンなどのタンパク質;EDTAまたはEGTA、および塩化ナトリウムなどの塩;リポソーム;ポリビニルピロリドン;デキストラン、マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールなどの糖類;プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール(例えば、PEG−4000、PEG−6000);グリセロール;グリシンまたはその他のアミノ酸;および脂質がある。製剤と共に使用する緩衝液系としては、クエン酸;酢酸;炭酸;およびリン酸緩衝液が挙げられる。リン酸緩衝液が好ましい実施形態である。
製剤は、非イオン性界面活性剤を含むことも好ましい。好ましい非イオン性界面活性剤としては、Polysorbate 20、Polysorbate 80、Triton X−100、Triton X−114、Nonidet P−40、オクチルα−glucoside、オクチルβ−glucoside、Brij 35、Pluronic、およびTween 20が挙げられる。
GCaseおよびHP製剤の油剤化物では、酵素濃度が0.1〜10mg/mLであってもよい。油剤化物に、グリシン、マンニトール、アルブミンおよびデキストランなどの増量剤を加えてもよい。さらに、油剤化混合物に、二糖類、アミノ酸、およびPEGなどの可能な抗凍結剤を加えてもよい。上記に挙げた任意の緩衝液、賦形剤、および界面活性剤を加えてもよい。
吸入投与用のHP化合物の製剤(GCaseを含むまたは含まない)は、ラクトースまたはその他の賦形剤を含んでもよく、あるいは、水溶液であってもよく、この水溶液は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココール酸塩またはデオキシココレート(deoxycocholate)を含んでもよい。好ましい吸入用エアロゾルは、密度が小さく、サイズの大きい粒子を有することを特徴としている。密度0.4g/cm未満で、平均直径が5μmを越える粒子は、吸入用治療薬を体循環に効率よく送達する。このような粒子は、肺に深く吸い込まれ、肺の自然の除去機構から逃れ、吸入された粒子は治療有効量を送達する(Edwardsら、Science 1997年;276巻:1868〜1872頁)。本発明の補充タンパク質製剤は、例えば、米国特許第5,654,007号明細書、第5,780,014号明細書、および第5,814,607号明細書に記載の調製方法および製剤を用いて、エアロゾル型で投与されてもよく、各文献は、本明細書に援用される。鼻腔内投与用の製剤は、点鼻薬形態で、または鼻腔内に適用されるゲルとして投与する場合には、油性溶液を含んでもよい。
皮膚表面に局所適用するための製剤は、ローション、クリーム、軟膏、または石鹸などの皮膚に許容可能な担体で本組成物を分散させることにより調製してもよい。特に、皮膚に膜または層を形成可能な担体が、適用を局所化し、除去を妨げるのに有用である。内部組織表層に局所適用するためには、組織表面の吸収を高めるものとして知られている液状の組織接着剤またはその他の物質に組成物を分散させてもよい。あるいは、ペクチン含有製剤などの組織を覆う溶液を用いてもよい。
好ましい実施形態では、本発明の製剤は、所定量の製剤を好都合に投与するデバイスにより液状または粉末状のいずれかの製剤として供給される。このようなデバイスの例としては、皮下注射または筋肉内注射のいずれかに用いられる無針注射器、および、計量式エアロゾル送達装置が挙げられる。その他の例としては、製剤は、経皮投与用の皮膚に適用するパッチまたは包帯剤、あるいは、経粘膜投与用の分解性デバイスを経るなどの持続性放出に最適な形態で供給してもよい。例えばHPなどの製剤がタブレットまたはカプセル形態で経口投与される場合には、製剤は除去可能なカバーを有する容器に、またはブリスターパッチとして供給されるであろう。
HP誘導体が、GCase(またはGCase遺伝子を含むベクター)とは別に投与される、すなわち、単剤治療として単独で投与される実施形態では、化合物は任意の投与経路に最適な形態とすることができ、限定するものではないが、例えば上述したようなすべての形態が含まれる。あるいは、好ましい実施形態では、小分子アナログを、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)などの薬学的に許容できる賦形剤;充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)と共に従来法により調製されるタブレットまたはカプセルの形態で経口投与用に製剤化してもよい。タブレットを当該技術分野で既知の方法により被覆してもよい。
HP誘導体の経口投与用の液状製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとってもよく、あるいは、使用前に水または他の好適な担体と組成をなすために、乾燥物として提供してもよい。このような液状製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化した食用脂);乳化剤(例えば、レクチンまたはアカシア);非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精製植物油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、またはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤と共に、従来法により調製してもよい。製剤は、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤および甘味剤を含んでいてもよい。経口投与用の製剤は、活性化合物の放出を制御するために好適に処方されてもよい。
小分子アナログは、例えば、カカオ脂またはその他のグリセリドなどの従来の坐薬における基剤を含む坐薬または停留浣腸などの直腸組成物中に処方されてもよい。
上述した製剤に加え、HP誘導体は、持効性製剤として処方されてもよい。このような長時間作用する製剤は、(例えば、皮下または筋肉内)注入または筋肉内注射により投与されてもよい。したがって、例えば、HP誘導体は、(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)好適な重合性または疎水性物質、またはイオン交換樹脂と共に、あるいは、例えば難溶性塩などの難溶性誘導体として処方されてもよい。
<タイミング>補充GCaseタンパク質およびHP誘導体が、別の製剤である場合には、投与は同時であってもよく、あるいはHP誘導体は、GCase補充タンパク質の投与の前または後に投与されてもよい。例えば、補充タンパク質が静脈内投与される場合には、HP誘導体は、0から6時間後までの間に投与されてもよい。あるいは、HP誘導体を投与して0から6時間後に、タンパク質を投与してもよい。
好ましい実施形態では、HP誘導体および補充タンパク質が別々に投与され、また、循環半減期が短い(例えば小分子)場合には、HP誘導体は、循環系に一定量を維持するために、例えば毎日などのように持続的に経口投与されてもよい。このような一定量は、患者に無毒となるように、また、非阻害的治療効果を与えるために、投与期間の間、標的補充タンパク質との相互作用に関して最適となるように、決定される量となろう。
他の実施形態では、HP誘導体は、(小分子アナログの投与により延長されるであろう)補充GCaseタンパク質のターンオーバーに必要とされる期間に投与される。
タイミングにかかわらず、GCaseおよびHP誘導体の濃度は小分子が安定化する濃度になる必要があるが、in vivoでのタンパク質の活性を予防または阻害しないように投与する必要がある。これは、同一製剤中に補充タンパク質および小分子を投与する場合にも適用される。
HP誘導体および遺伝子治療併用療法のタイミングに関し、本発明に係る小分子の投与は、標的細胞/組織による組換え酵素の発現を可能にするために、一般的にGCase遺伝子の送達の後になるであろう。GCase遺伝子の発現は所定期間持続するであろうから、遺伝子が発現し得る限り、HP誘導体は組換え酵素のシャペロンおよび安定化剤としての有効性を維持するであろう。したがって、シャペロン分子の投与は、遺伝子が発現されるのと同じ期間必要となるであろう。
好ましい実施形態では、HP誘導体は循環半減期が短い可能性があるので、循環系で一定量を維持するために、毎日といったように、頻繁に経口投与されることが好ましい。このような一定量は、患者に対して毒性がなく、また、非阻害的治療効果を与えるために、持続的に産生されるであろうタンパク質との相互作用に関して最適となるように、決定される量となろう。
本発明によれば、治療GCase遺伝子が、内在性変異GCase遺伝子の不十分な活性を補うので、小分子アナログ送達のタイミングは、有効量が内在性変異GCaseの活性を向上させ得ると共に治療GCase遺伝子産物の有効性を増加させ得るので、重要でなくなるであろう。
投与されたGCase遺伝子によりコードされるGCaseに対する小分子シャペロン、例えば本発明のHP誘導体の存在は、ERでの合成の間タンパク質プロセシングの効率を改善すること(すなわち、会合を予防することによる)、ならびに、循環系および組織でGCase半減期を長期化することのメリットを有するので、より長期に亘って有効レベルを維持するであろう。このことは、臨床的患部組織での発現を増加させる結果となるであろう。このことは、苦痛軽減の促進、治療頻度の減少、および/またはGCase遺伝子の投与量の減少のような有益な効果をゴーシェ病患者に与える。このことは、治療費用も減少させるであろう。
(用量)
投与するGCaseタンパク質および/または内在性GCase変異タンパク質を安定化させるのに有効なHP化合物の量は、当業者により決定し得る。半減期(t1/2)、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度に対する時間(tmax)、曲線下面積(AUC)により測定される暴露(exposure)、および補充GCaseタンパク質および小分子アナログの両方の組織分布と同様に、小分子アナログ−補充GCaseタンパク質結合(親和定数、会合および解離定数、ならびに結合価)のデータといった薬物動態および薬力学を、当業界で知られた通常の方法を用いて取得することにより、補充GCaseたんぱく質をその活性を阻害することなく安定化させ、治療効果を与えるのに必要な適合量を決定することができる。
本組成物の毒性および治療効果は、標準的な製剤手順、例えば、細胞培養試験、または、実験動物を用いて決定され、LD50およびED50を決定することができる。パラメーターLD50およびED50は当業界でよく知られており、それぞれ、集団の50%が致死に至る化合物の量、および、集団の50%に治療上有効な化合物の量をいう。毒性および治療効果の用量比は、治療係数と称され、比(LD50/ED50)として表されてもよい。
治療有効量は、最初に細胞培養試験により見積もってもよく、また、動物モデルで処方し、IC50を含む循環濃度範囲を達成してもよい。化合物のIC50濃度は、症状の最大阻害の半分に到達する濃度である(例えば、細胞培養試験により決定される)。次いで、特定の個体、例えば、ヒト患者に使用する適当な用量を、このような情報を用いてより正確に決定してもよい。
血漿中における化合物の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィーなどの技術により患者などの個体で一般的に測定されてもよい。
任意の治療に用いられる特定の用量は、採用する特定の投与形態、利用する投与経路、個体(例えば、患者)の状態などの因子によって、当該範囲で異なっていてもよい。
現行の手法によれば、補充GCaseタンパク質の濃度は、0.05〜5.0mg/kg体重の間で、典型的には毎週または隔週に投与される。タンパク質は、0.1μg/kgから約10mg/kg、好ましくは、約0.1mg/kgから約2mg/kgの投与範囲で投与することが可能である。タンパク質の規則的な繰り返し投与は、患者の生きている間、必要とされる。皮下注射は、より長い期間の薬剤への全身的暴露を保持する。GCaseは、例えば、静脈内ボーラス投与、緩圧静脈注射、持続静脈注射により、静脈内投与されることが好ましい。持続注入IV(例えば、2から6時間以上)により、血中の特定量の維持を可能にする。
HP誘導体の最適濃度が、その活性、組織または循環系における小分子アナログの生物学的利用率、および、組織または循環系における小分子アナログの代謝を妨げることなく、in vivo、組織、または循環系の組換えGCaseタンパク質を安定化させるのに必要な量に従って、決定されるであろう。例えば、C−ノニル−HPの濃度を、GCaseに対するC−ノニル−HPのIC50値を計測することにより決定してもよい。次いで、化合物の生物学的利用率および代謝を考慮すると、IC50値付近または僅かにIC50値を越える濃度は、GCase活性、例えば、GCase活性の量を増加させまたは補充GCaseの活性を長期化するのに必要な小分子アナログの量に与える影響に基づいて評価することが可能である。
(実施例1:6−アルキル−ヒドロキシピペリジンの合成)
[a.ベンジルα−L(+)−キシロピラノシド]
L(−)−キシロース(5.0g、33.3mmol)を、ベンジルアルコール25mlと混合し、塩化アセチル1mlで処理する。得られる混合物を50℃に温め、24時間攪拌する。室温に冷却後、tert−ブチルメチルエーテル80mlを加え、混合物を5℃に24時間保持する。生じる結晶を回収し、氷冷tert−ブチルエーテルで洗浄し、標題化合物をα−アノマーとして得る。m.p.120℃。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ7.40-7.28 (m,5H), 4.93 (d, 1H, J=4.8 Hz), 4.71 (d, J=3.6 Hz), 4.82-4. 78 (m, 2H), 4.65 (d, 1H, J=12.4 Hz), 4.44 (d, 1H, J= 12 Hz), 3.47-3. 38 (m, 2H), 3.36-3. 27 (m, 3H), 3.25-3.21 (m, 1H). MS: 258 [M+NH4 +].
[b.ベンジル2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
ベンジルα−L−キシロピラノシド(15g、62.5mmol)、2−メトキシプロペン(15ml、156.6mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(300mg、1.6mmol)の混合物を、無水THFに溶解し、0℃で1.5時間攪拌する。トリエチルアミン(1ml)を加え、攪拌を10分間続ける。反応混合物を、酢酸エチル(400ml)で希釈し、飽和NaCl水溶液、氷水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥する。ろ過後、溶液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーカラムを用い、ヘプタン/EtOAc(4:1)で溶離し、精製する。標題化合物を、無色のシロップとして単離する。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.27-7.20 (m, 5H), 5.10 (d, 1H, J=2.4 Hz), 4.70 (d, 1H, J=2.4Hz), 4.53 (d, 1H, J=12Hz), 3.92-3. 88 (m, 2H), 3.65 (dd, 1H, J=4.8 Hz and 11.6 Hz), 3.38-3.36 (m, 1H), 3.27 (t, 1H, J=9.6 Hz), 1.38 (s, 3H), 1.35 (s, 3H). MS (ES+): 281[M+1]
[c.ベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
ベンジル2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド(4g、14.3mmol)およびピリジン(3.8ml)を、CHCl50mlに溶解し、攪拌し、−78℃に冷却する。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(3.2ml、19mmol)をゆっくり加え、反応混合物を1.5時間攪拌し、次いで、0℃でさらに2時間温める。EtOAc(500ml)を加え、有機溶液を、飽和NaClおよび氷水で連続的に洗浄する。有機層を乾燥し(NaSO)、蒸発する。溶離液としてCHClを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、所望のトリフルオロメタンスルホネートが得られる。MS(ES+):413[M+1]。上記トリフルオロメタンスルホネート(5.3g、12.9mmol)、KCN(9g、138mmol)、18−クラウン−6(4g)、および4Aモレキュラーシーブ(10g)を混合し、外界温度で16時間、乾燥DMF300ml中で攪拌する。EtOAc(400ml)を加え、この溶液を飽和NaCl水溶液およびHOで連続的に洗浄する。有機層を乾燥し(NaSO)、蒸発する。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)により、標題化合物を淡黄色シロップとして得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ7.28-7.22 (m, 5H), 5.28 (d, 1H, J=3Hz), 4.69 (d, 1H, J=12 Hz), 4.59 (d, 1H, J=12Hz), 4.04 (dd, 1H, J=4.8 Hz and 9.6 Hz), 3.87-3.80 (m, 2H), 3.70 (dd, 1H, J=3 Hz and 12 Hz), 3.23-3.21 (m, 1H), 1.42 (s, 6H). MS(ES+): 290[M+1], 307[M+NH4 +].
[d.ベンジル4−(1−アミノペンチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
ベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド(65mg、0.225mmol)を、無水エーテル1mlに溶解し、室温で攪拌する。塩化ブチルマグネシウム(2Mのジエチルエーテル溶液0.225ml)をゆっくり加え、反応混合物を14時間攪拌する。LiAlH(25mg)を加え、反応混合物を外界温度でさらに5時間攪拌する。水(5ml)およびNaOH(1N、5ml)を加え、混合物を30分間攪拌する。混合物を分液漏斗に移し、t−ブチルメチルエーテル(2×20ml)で抽出する。有機層を乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発する。残渣をクロマトグラフィー(CHCl、次いで、CHCl/MeOH/EtN 200:20:1)で精製し、標題化合物を黄色シロップとして得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.35-7. 29 (m, 5H), 5.13 (d, 1H, J=2.4 Hz), 4.69 (d, 1H, J=12Hz), 4.51 (d, 1H, J=12Hz), 4.06 (t, 1H, J=10.4 Hz), 3.65 (dd, 1H, J= 4.8 Hz), 3.65 (dd, 1H, J=4.8 Hz and 11.6 Hz), 3.63-3. 55 (m, 2H), 3.40 (dd, J= 2.8 and 9.6 Hz), 2.96-2.90 (m, 1H), 1.36 (s, 3H), 1.35 (s, 3H), 1.20-1.10 (m, 6H), 0.82 (t, 3H, J=6.8 Hz). MS(ES+): 350[M+1].
[e.ベンジル4−(1−アミノデシル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
実施例1dに記載の方法と同様の方法で、n−C19MgBrをベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドと反応させ、標題化合物を得る。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ7.35-7.29 (m, 5H), 5.24 (d, 1H, J= 2.8Hz), 4.74 (d, 1H, J=12 Hz), 4.61 (d, 1H, J=12 Hz), 4.31 (dd, 1H, J= 5.2 Hz and 10.4 Hz), 3.80 (dd, 1H, J=3.2 Hz and 9.6 Hz), 3.71-3.64 (m, 2H), 3.43-3.40 (m, 1H), 2.41-2.38 (m, 1H), 1.47 (s, 3H), 1.45 (s, 3H), 1.29-1.20 (m, 16H), 0.87 (t, 3H, J=6.4 Hz). MS(ES+): 420[M+1].
f.ベンジル−4−(1−アミノオクチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド
実施例1dに記載の方法と同様の方法で、n−C15MgBrをベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドと反応させ、標題化合物を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.20-7. 31 (m, 5H), 5.19 (d, 1H, J=2.0 Hz), 4.69 (d, 1H, J= 7.5 Hz), 4.56 (d, 1H, J= 7.75 Hz), 4.26 (dd, 1H, J= 3.0 Hz and 6.5 Hz), 3.79 (dd, 1H, J= 2.0 Hz and 6.25 Hz), 3.65-3. 58 (m, 2H), 3.24-3.20 (m, 1H), 2.22-2.15 (m, 1H), 1.40 (s, 6H), 1.23-1.15 (m, 12H), 0.9 (t, 3H, J=6.4 Hz); MS(ES+): 329[M+1].
[g.ベンジル−4−(1−アミノヘプチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
実施例1dに記載の方法と同様の方法で、n−C13MgBrをベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドと反応させ、標題化合物を得る。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.30-7.20 (m, 5H), 4.85 (d, 1H, J=l1.2 Hz), 4.65 (d, 1H, J=1.6 Hz), 4.55 (d, 1H, J=11.2 Hz), 4.30 (t, 1H, J= 3.6), 4.09 (dd, 1H, J= 4.8 Hz and 11.6 Hz), 3.94 (dd, 1H, J=2.4 Hz and 12.8 Hz), 3.86 (dd, 1H, J=1.6 Hz and 4.0 Hz), 3.75 (m, 1H), 2.71-2. 80 (m, 1H), 1.40-1.21 (m, 16H), 0.83 (t, 3H, J=6.4 Hz). MS(ES+): 378[M+1]
[h.ベンジル−4−(1−アミノノニル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
実施例1dに記載の方法と同様の方法で、n−C17MgBrをベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドと反応させ、標題化合物を得る。
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ7.30-7.20 (m,5H), 5.20 (d, 1H, J=2.0 Hz), 4.70 (d, 1H, J=8. 0 Hz), 4.50 (d, 1H, J= 8.0 Hz), 4.25 (dd, 1H, J= 4.0 Hz and 8.0 Hz), 3.74 (dd, 1H, J=3.1 Hz and 9.3 Hz), 3.65-3.50 (m, 2H), 3.25-3.15 (m, 1H), 2.20-2.10 (m, 1H), 1.40 (s, 6H), 1.25-1.15 (m, 14H), 0.80 (t, 3H, J=6.3 Hz); MS(ES+): 406[M+1]
[i.ベンジル−4−(1−アミノ−2−フェニルエチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
実施例1dに記載の方法と同様の方法で、PhCHMgClとベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドを反応させ、標題化合物を得る。
1H NMR (300 MHz, CDC13): δ7.38-7.26 (m, 10H), 5.24 (d, 1H, J=2.8 Hz), 4.78 (d, 1H, J=13.7 Hz), 4.64 (d, 1H, J=13.3 Hz), 4.34 (dd, 1H, J=5.6 Hz and 11.6 Hz), 3.88 (m, 2H), 3.75 (dd, 1H, J=3.3 Hz and 14.3 Hz), 3.55-3.46 (m, 1H), 3.09 (dd, 1H, J=3.0 Hz and 14.3 Hz), 2.41 (dd, 1H, J=11.3 Hz and 14.4 Hz), 2.21 (m, 1H), 2.13 (s, 2H), 1.45 (s, 3H), 1.40 (s, 3H); MS (ES+): 384 [M+1].
[j.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ブチル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
ベンジル4−(1−アミノペンチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド(27mg)をメタノール2mlに溶解し、攪拌する。Pd(OH)(22mgのカーボン担持20wt%)を加え、次いで、1滴の濃HCl(濃1滴)を加える。この混合物を、H雰囲気下で24時間急速に攪拌する。反応混合物を、セライトでろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮する。粗生成物を、Amberlite CG−50イオン交換樹脂(NH 型)を用いたクロマトグラフィーで、0.1N NHOH水溶液により溶離、精製し、標題化合物を得る。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ3.91 (d, 1H, J= 11.6 Hz), 3.79 (d, 1H, J= 12 Hz), 3.50-3. 43 (m, 2H), 3.11 (dd, 1H, J = 2.8 and 10.5 Hz), 2.61 (t, 1H, 9.6 Hz), 2.41 (t, 1H, J= 10 Hz), 1.73- 1.71 (m, 1H), 1.43-1.21 (m, 6H), 0.90 (t, 3H, J = 6.4 Hz). MS (ES+): 204 [M+1].
[k.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘプチル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
実施例1jに記載の方法と同様の方法で、ベンジル4−(1−アミノオクチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドを標題化合物に変換する。
1H NMR (400 MHz, CD30D) : δ3.96 (dd, 1H, J=1.5 Hz and 7.3 Hz), 3.63 (dd, 1H, J=1.8 Hz and 7.3 Hz), 3.45-3.10 (m, 2H), 3.35-3.20 (m, 2H), 3.00-2.95 (m, 1H), 2.65 (t, 1H, J=14.8 Hz), 1.90-1.81 (m, 1H), 1.60-1.25 (m, 14H), 0.90 (t, 3H, J=6.5 Hz); MS (ES+): 246[M+1].
[l.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘキシル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
実施例1jに記載の方法と同様の方法で、ベンジル4−(1−アミノヘプチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドを標題化合物に変換する。
1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ3.95 (dd, 1H, J= 2.4 Hz and 11.4 Hz), 3.68 (dd, 1H, J=3.0 Hz and 11.4 Hz), 3.49-3.43 (m, 2H), 3.16 (dd, 1H, J=4.2 Hz and 12 Hz), 2.83-2.76 (m, 1H), 2.51 (dd, 1H, J=10.8 Hz and 12.7 Hz), 1.79-1.75 (m, 1H), 1.46-1.26 (m, 10H), 0.90 (t, 3H, J=6.6 Hz); MS (ES+): 232[M+1], 254[M+Na].
[m.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−オクチル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
実施例1jに記載の方法と同様の方法で、ベンジル4−(1−アミノノニル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドを標題化合物に変換する。
1H NMR (400 MHz, CD30D) : δ4.11 (dd, 1H, J=1.3 Hz and 7.3 Hz), 3.79-3.69 (m, 2H), 3.62 (t, 1H, J=12.0 Hz), 3.43 (dd, 1H, J=3.3 Hz and 7.8 Hz), 3.36-3.31 (m, 1H), 2.88 (t, 1H, J=15.0 Hz), 2.06-1. 98 (m, 1H), 1.74-1.7- (m, 1H), 1.45-1.40 (m, 14H), 0.99 (t, 3H, J=8.5 Hz); MS(ES+): 260[M+1].
[n.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−ベンジル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
実施例1jに記載の方法と同様の方法で、ベンジル4−(1−アミノ−2−フェニルエチル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドを変換し、標題化合物を得る。
1H NMR (400 MHz, CD30D): δ7.42-7.31 (m, 5H), 4.12 (dd, 1H, J=1.3 Hz and 7.5 Hz), 3.88 (dd, 1H, J=2.0 Hz and 7.3 Hz), 3.73-3. 66 (m, 1H), 3.58-3.53 (m, 2H), 3.49 (dd, 1H, J=2.3 Hz and 9.3 Hz), 3.26 (dd, 1H, J=2.5 Hz and 13.5 Hz), 2.79 (dd, 1H, J=5.3 Hz and 10.0 Hz), 2.68 (t, 1H, J=15.0 Hz), 1.68 (m, 1H); MS(ES+): 238[M+1].
[o.(3R,4R,5R,6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ノニル−3,4−ジヒドロキシピペリジン]
ベンジル4−(1−アミノデシル)−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−α−L−キシロピラノシド(55mg)をTHF(2ml)に溶解し、大気圧で21時間、20%Pd(OH)/C(52mg)で水素化する。反応混合物をろ過し、濃縮して、イソプロピリデンで保護された生成物(31mg)を淡黄色シロップとして得る。このシロップ(13mg)を、1NHCl(2ml)で一晩処理する。真空下で溶媒を除去し、C−18カートリッジを用いて固相抽出することにより残渣を精製する。残渣を水(0.5ml)から凍結乾燥し、標題化合物を白色泡状物として得る。
1H NMR (400 MHz, CD30D): δ3.94 (dd, 1H, J=2.1 Hz and 11.4 Hz), 3.60 (dd, 1H, J=2.8 Hz and 11.4 Hz), 3.58-3. 51 (m, 1H), 3.45 (t, 1H, J=9 Hz), 3.26 (dd, 1H, J=4.8 Hz and 12.4 Hz), 3.22-3.14 (m, 1H), 2.71 (t, 1H, J=11.6 Hz), 1.88-1.81 (m, 1H), 1.47-1.22 (m, 16H), 0.82 (t, 3H, J= 6.4 Hz); MS(ES+): 274 [M+1].
(実施例2:リンカー戦略を用いた6−アルキル−ヒドロキシピペリジンの合成)
[a.ベンジル4−(1−アミノブタ−3−エニル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシド]
ベンジル4−シアノ−4−デオキシ−2,3−O−イソプロピリデン−L(−)−キシロピラノシド(1.67g、5.79mmol)を、無水エーテル40mlに溶解し、室温で攪拌する。臭化アリルマグネシウム(1Mのジエチルエーテル溶液23ml)を滴下して加え、反応混合物を5時間攪拌する。NaBH(1.75g)を加え、反応混合物を外界温度で一晩攪拌する。氷浴で冷却し、メタノール(10ml)および水(10ml)を滴下して加え、混合物を30分間攪拌する。t−ブチルメチルエーテル(100ml)を加え、固体をろ別する。ろ液を分液漏斗に移し、水(2×20ml)で洗浄する。有機層を乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて蒸発させる。残渣をクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc 10:1、次いで、CHCl/MeOH 15:1)により精製し、標題化合物(0.674g、35%)を淡黄色シロップとして得る。
1H NMR (400 MHz, CDC13): δ7.37-7.26 (m, 5H), 5.84-5.77 (m, 1H), 5.24 (d, 1H, J= 3.3 Hz), 5.14-5.08 (m, 2H), 4.75 (d, 1H, J= 12 Hz), 4.60 (d, 1H, J= 12 Hz), 4.30 (dd, 1H, J= 4.8 Hz and 10.2 Hz), 3.86 (dd, 1H, J= 3.3 Hz and 9.9 Hz), 3.76-3.65 (m, 2H), 3.36-3.29 (m, 1H), 2.49-2.41 (m, 1H), 2.11-1.89 (m, 2H), 1.45 (s, 6H). MS(ES+): 334[M+1].
[b.(3R,4R,5R,6S)−6−[(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,4−イソプロピリデンジオキシピペリジン]
ベンジル4−(1−アミノブタ−3−エニル)−4−デオキシ−2,3−イソプロピリデン−L−キシロピラノシドをクロロギ酸ベンジルで処理し、次いで、末端アルケンをオゾン分解することにより、アルデヒドを生成する。アルデヒドとエチレングリコールとの縮合により1,3−ジオキソランを得る。さらに、水素化により標題化合物を生じる。
[c.2−[(2S,3R,4R,5R)−1−ベンジル−4,5−ビス(ベンジロキシ)−3−(ベンジロキシメチル)ピペリジン−2−イル]アセトアルデヒド]
(3R,4R,5R,6S)−6−[(1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,4−イソプロピリデンジオキシピペリジンを、酢酸水溶液で処理することにより、アセトニドを選択的に切断する。臭化ベンジルで処理した後、完全にベンジルで保護された生成物が形成されるであろう。1,3−ジオキソランは、さらにトリフルオロ酢酸により切断することができ、これにより標題化合物を得る。
[d.(3R,4R,5R,6S)−1−6−[2−(ヘキシルアミノ)エチル]−5−(ヒドロキシメチル)ピペリジン3,4−ジオール]
NaBHCNの存在下で、2−[(2S,3R,4R,5R)−1−ベンジル−4,5−ビス(ベンジロキシ)−3−(ベンジロキシメチル)ピペリジン−2−イル]アセトアルデヒドとヘキシルアミンとを反応させ、次いで、接触水素化し、ベンジル基を除去することにより、標題化合物を得る。
(実施例3:GCaseに対する6−ノニルHPの阻害活性)
<方法>酵素活性を、pH5.2のMcIlvaine緩衝液(0.1Mクエン酸緩衝液および0.2Mリン酸緩衝液)中に、0.25%タウロコール酸ナトリウム、0.1% Triton X−100を含んでなる反応緩衝液中で、基質として4−メチルウンベリフェリルβ−グルコシド(最終濃度3mM)を用いて評価した。記載の最終濃度で、化合物を各反応混合物に個別に加えた。希釈したヒトGCaseと共に37℃で30分間インキュベートした後、pH10.8の0.2Mグリシン緩衝液を添加することにより、反応を停止し、放出された4−メチルウンベリフェロンを蛍光光度計(fluoremeter)によりそれぞれ励起波長355nmおよび放射波長460nmで測定した。相対酵素活性は、阻害剤なしのものに対する割合として計算した。IC50は、Prism sigmoid plotを用いて計算した。
<結果>ヒトGCaseに対するHPの6−アルキル誘導体の阻害活性を測定し、表1にまとめた。IFGおよびN−ノニルDNJは、それぞれ約50nMおよび2.5μMのIC50値を有することが確認されたGCaseに対する既知の潜在的阻害剤である(Fanら、US1;Sawkarら、Proc Natl Acad Sci USA.、99巻:15428〜33頁)(構造として図1を参照のこと)。部分的にブチルまたはノニル鎖を用いたイミノ基の修飾により、阻害活性が減少したが(IC50値は、44μM以上であった)、このことは、その位置における正電荷が高い効力を得るのに必要とされるということを示している。ヒドロキシピペリジン環の6−C位へのブチル基の付加、すなわち、6−C−ブチルヒドロキシピペリジン(11)によっては、GCaseに対する効力は得られなかった。しかしながら、6−C−ヘキシルヒドロキシピペリジン(12)は、IFGよりも有意により大きな効力を有し、約13倍の増加が得られた。さらに、炭素鎖長を伸ばすことにより、結果的に効力が改善された(化合物13〜15)。際立って、最も面白い知見としては、6−ノニルヒドロキシピペリジン(15)がIC50値0.4nMを有するヒトGCaseに対する最良の阻害剤であることである(図2)。このことは、グルコースのアノマー炭素に相当する位置の正電荷、および、グルコースの環内酸素の位置から伸びる脂肪親和性の部位の両方が、GCaseの阻害において重要な役割を果たすということを示している。DNJのN−アルキル誘導体の短いアルキル鎖(C=1〜4)がGCaseに対する阻害活性を改善しなかったので、その位置にリンカー(直線状の約6以上の炭素鎖長に相当する)を有する脂肪親和性部位が阻害活性の特別な効力に必要とされるであろうことが予想される。
Figure 2007512253
ヒトGCaseのX線構造は、疎水性残基の環が活性部位の入り口の周囲を囲っていることを示唆している(Dvirら、EMBO reports 2003年;4巻:1〜6頁)。このこともまた、短い、可撓性の鎖を有する脂肪親和性部位が、触媒ポケットの入り口で疎水性アミノ酸残基と相互作用し、阻害活性に寄与し得るであろうという本発見を補強している。
より短いアルキル鎖のHPへの付加、例えば、6−ブチルHPによっては、HP(またはIFG)を越える特別の効力が得られないにもかかわらず、それでもなお、それらは依然としてGCaseの効力阻害剤である。
(実施例4:ゴーシェ細胞におけるGCaseに対する6−ノニルHPのシャペロン活性)
<方法>N370S/N370S変異を有するゴーシェ病患者から樹立した線維芽細胞を、37℃、5%CO下で、10%ウシ胎児血清および抗生物質を補充したDMEM培地中で培養した。試験前に、C−ノニルHPまたはIFGを記載の最終濃度で4日間培地に加えた。リン酸緩衝生理食塩水で細胞を洗浄後、細胞を回収し、McIlvaine緩衝液(pH5.2、反応緩衝液)中0.25%(w/v)タウロコール酸ナトリウムおよび0.1%(v/v) Triton X−100の存在下でホモジナイズし、溶解物10μlを使用して残留酵素活性を決定した。GCaseの活性を、1.25mMのCBEと共に室温で30分間前培養しなかったものまたはしたものでの平行試験で、コンズュリトールBエポキシド(CBE)−感受性活性として、反応緩衝液中、37℃で1時間、3mM 4−MU−β−Glcを用いて測定した。細胞溶解物中のタンパク質濃度を、Pierce社製のマイクロBCAタンパク質アッセイキットを用いて測定した。
<結果>ERでの分解から変異酵素活性を救出する新規化合物の能力を調査するために、上述したGCaseの阻害剤である、6−ノニルHPおよびIFGを同種接合のN370S変異を有するゴーシェ病患者から樹立された線維芽細胞の培地中に、様々な濃度で加えた。阻害剤と共に培養された患者細胞の残った酵素活性は、各化合物の最適濃度が阻害活性の効力にしたがって変化したにもかかわらず、約2倍増加することが示された(図5)。6−ノニルHPは、約3nMでシャペロン活性に対する最適濃度が最も低かったが、IFGの最適濃度は、30μMとなることが見出された。シャペロン活性に対する最適濃度が阻害活性および生物学的利用率に依存していることが示された(Fanら、Trends Pharmacol Sci.2003年;24巻:355〜60頁)。C−ノニルHPの最大阻害活性および良好な浸透性の組合せが、ゴーシェ病のGCase活性に対するシャペロンとしての最も低い最適濃度に寄与しているのであろう。
より短い鎖、すなわち、6未満の炭素を有するHPの6−アルキル誘導体は、より長い鎖を有するHPの6−アルキル誘導体ほど効力を有しないが、親化合物、すなわち、HPまたはIFGに匹敵する効力を維持する。これらは、脂肪および水により親和性(lipohydrophilic)であるので、より短い6−アルキル鎖を有するこれらの化合物は、親化合物よりも良好なASSCであろう。また、親化合物以上に生物学的利用率(bioavailibility)および生物学的到達性(bioaccessibility)を増加させるであろう。
GCase特異的化合物の構造を示す図である。(a)DNJ、1−デオキシノジリマイシン、(b)IFG、イソファゴミン、(c)N−ノニルDNJ、N−ノニル1−デオキシノジリマイシン、(d)6−ノニルHP、すなわち6−ノニルイソファゴミン。 HPの6−アルキル誘導体の合成を示す図である。L−キシロースは、酸の存在下、ベンジルアルコールと共に50℃で攪拌し、次いで、tert−ブチルメチルエーテルから0℃でα−アノマーを結晶化することにより、α−ベンジルキシロシド(1)に変換される。ベンジルα−キシロシドの2,3−O−イソプロピリデン誘導体は、THF中で、酸により触媒される2−メトキシプロペンのトランスアセタール化により形成される。フリーのままの4−ヒドロキシ基を、対応する保護されたベンジルα−キシロシドアセトニド(2)のトリフルオロメタンスルホン酸エステルに変換することにより、化合物3が合成的に有用な収率で得られる。無水DMF中でのシアン化カリウムおよび18−クラウン−6によるその後の処理により、ニトリル(4)が得られる。グリニャール試薬などの有機金属化合物をニトリルに添加し、次いで、中間体のイミンを還元することにより、アミン(5〜10)が得られる。Pd(OH)/Cの存在下で化合物5〜10を水素化分解し、次いで、イソプロピリデン基の脱保護を行うことにより、各6−アルキルHP誘導体が得られる。 HPの6−誘導体の他の合成法を示す図である。化合物4は、上述のように調製される。グリニャール試薬(臭化アリルマグネシウム)をニトリル(4)に添加し、次いで、NaBH(代わりに1を用いてもよい)で還元することにより、アミン化合物(17)が得られる。化合物17は、クロロギ酸ベンジルで保護し、次いで、末端アルケンをオゾン分解し、エチレングリコールでアルデヒドを縮合し、水素化することにより化合物18を得る。HOAc水溶液を用いたイソプロピリデン基の選択的脱保護により、化合物19が得られる。化合物19をNaHで処理することにより、その後、臭化p−メトキシベンジルからN、Oが保護された化合物が生じ、次いで、トリフルオロ酢酸で加水分解することにより、アルデヒド(20)が生じる。化合物20を、以下の方法のうちの1つにより、化合物21に変換してもよい。1)還元条件下でのアミンと化合物20との反応、2)ウィッティヒ試薬と化合物20との反応、または3)還元試薬を用いて化合物20を還元後、SOClおよび求核試薬により処理。化合物21の脱保護により化合物22が得られる。 GCaseに対する6−ノニルHPの阻害活性を示す図である。以下の実施例に記載したように、酵素活性を決定した。阻害剤を含まない反応の活性に対する割合として、相対酵素活性を計算した。IC50をPrism sigmoid plotを用いて計算した。黒三角=IFG、白丸=N−ノニルDNJ、および黒丸=6−ノニルHP。 ゴーシェ病線維芽細胞における残留GCase活性のシャペロンによる救出を示す図である。N370S/N370S突然変異を有する、ゴーシェ病患者から樹立された線維芽細胞を、本発明の化合物を用いて処理し、GCase活性を実施例に記載のように決定した。細胞溶解物中のタンパク質濃度は、Pierce社製のマイクロBCAタンパク質アッセイキットも用いて決定した。黒ひし形=6−ノニルHP;黒四角=イソファゴミン(IFG)。

Claims (50)

  1. 式I:
    Figure 2007512253
    [式中、
    Aは、炭素または窒素であり、
    Bは、水素、ヒドロキシ、N−アセトアミド、またはハロゲンであり、
    は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換の複素環アルキル、または、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル;−C(O)R、または−S(O)であり、
    は、鎖長が約6Åから約12Åである、任意選択の短い柔軟なリンカーであり、
    は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキルであり、
    mは、1または2であり、
    は、水素、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルであり、
    Lは、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキルを含む、炭素原子1〜12個の親油性の基である]
    の化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩およびプロドラッグ。
  2. が、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、O、S、S(O)、および−S(O)NRからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよい、C〜Cの置換または非置換のアルキル、C〜Cの置換または非置換のアルケニル、または、C〜Cの置換または非置換のアルキニルからなる群から選択され、mおよびRは上記に定義される、請求項1に記載の化合物。
  3. が水素である、請求項1または2に記載の化合物。
  4. Bが水素である、請求項1または2に記載の化合物。
  5. がヒドロキシメチルである、請求項1または2に記載の化合物。
  6. が、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、およびOからなる群から選択される1つまたは複数の部分が介在してもよい、C〜Cの置換または非置換のアルキル、C〜Cの置換または非置換のアルケニル、または、C〜Cの置換または非置換のアルキニルからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
  7. が、
    Figure 2007512253
    からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. が存在せず、Lが非置換のC〜C12アルキルである、請求項6に記載の化合物。
  9. が存在せず、Lが非置換のC〜C12アルキルである、請求項8に記載の化合物。
  10. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ブチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  11. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘキシル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  12. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘプチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  13. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−オクチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  14. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ノニル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  15. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−ベンジル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項1に記載の化合物。
  16. a)酸の存在下で、L−キシロースを水素化可能な保護基の前駆物質と反応させて、式II:
    Figure 2007512253
    [式中、Pは水素化可能な保護基である]
    の化合物を生成するステップと、
    b)有機酸の存在下で、式IIの化合物を、アセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルで保護して、式III:
    Figure 2007512253
    [式中、XおよびYは、H、アルキル、アリール、シクロアルキルであるか、またはC〜Cアルキル部分を介して結合していてもよい]
    の化合物を生成するステップと、
    c)三級アミン塩基、およびピリジンからなる群から選択される塩基の存在下で、式IIIの化合物を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させて、式IV:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    d)クラウンエーテルの存在下で、式IVの化合物を、MがLi、K、およびNaからなる群から選択されるMCNと反応させて、式V:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    e)式Vの化合物を式VI:
    L−R …(VI)
    [式中、RおよびLは前述の通りであり、Mは、MgBr、MgCl、Li、CuLi、ZnBrからなる群から選択される]
    の有機金属試薬と反応させ、次いで、還元剤と反応させて、式VII:
    Figure 2007512253
    の化合物を形成するステップと、
    f)式VIIの化合物を脱保護し、次いで、酸水溶液の存在下、水素化条件で環化および還元して、式VIII:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    h)任意選択で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、H/Pd/C、またはH/Pd(OH)/Cなどの還元試薬の存在下で、式VIIIの化合物をカルボニル化合物と反応させて、あるいは、Rが請求項1で定義した通りでありXが脱離基であるRXと反応させて、式IX:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと
    を含む請求項2に記載の化合物を合成するための方法。
  17. 前記水素化可能な前駆物質がベンジルアルコールであり、Pがベンジルである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記有機酸がp−トルエンスルホン酸一水和物である、請求項16に記載の方法。
  19. ステップ(b)における前記アセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルが2−メトキシプロペンである、請求項16に記載の方法。
  20. ステップ(c)における前記塩基がピリジンである、請求項16に記載の方法。
  21. 前記MがKであり、前記クラウンエーテルが18−クラウン−6である、請求項16に記載の方法。
  22. がMgBrまたはLiであり、L−Rが非置換のC〜C12アルキルである、請求項16に記載の方法。
  23. L−RがCアルキルである、請求項22に記載の方法。
  24. L−RがCアルキルである、請求項22に記載の方法。
  25. L−RがCアルキルである、請求項22に記載の方法。
  26. L−RがCアルキルである、請求項22に記載の方法。
  27. L−RがCアルキルである、請求項22に記載の方法。
  28. L−Rがベンジルである、請求項22に記載の方法。
  29. 前記還元剤がLiAlHまたはNaBHである、請求項16に記載の方法。
  30. 前記水素化条件が、Pd(OH)/Cの存在下の水素である、請求項16に記載の方法。
  31. a)酸塩化物の存在下で、L−キシロースを水素化可能な保護基の前駆化合物と反応させて、式II:
    Figure 2007512253
    [式中、Pは水素化可能な保護基である]
    の化合物を生成するステップと、
    b)有機酸もしくは無機酸の存在下で、式IIの化合物をアセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルで保護して、式III:
    Figure 2007512253
    [式中、X、Yは、H、アルキル、アリール、シクロアルキルであるか、またはC〜Cアルキル基を介して結合していてもよい]
    の化合物を生成するステップと、
    c)三級アミン塩基およびピリジンからなる群から選択される塩基の存在下で、式IIIの化合物を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させて、式IV:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    d)クラウンエーテルの存在下で、式IVの化合物を、MがLi、K、およびNaからなる群から選択されるMCNと反応させて、式V:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    e)式Vの化合物を式X:
    Figure 2007512253
    [式中、Xは、BrおよびClからなる群から選択される]
    の化合物と反応させ、次いで、還元剤と反応させて、式XI:
    Figure 2007512253
    の化合物を形成するステップと、
    f)式XIの化合物におけるアミノ基を保護し、次いで、二重結合をオゾン分解し、アルデヒドを保護し、水素化して、式XII:
    Figure 2007512253
    の化合物を形成するステップと、
    g)式XIIのアセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルの各基を酢酸水溶液で選択的に脱保護して、式XIII:
    Figure 2007512253
    の化合物を生成するステップと、
    h)保護基でNおよびO保護して、式XIV:
    Figure 2007512253
    [式中、P、P、P、およびPは、同じまたは異なる保護基である]
    の化合物を形成するステップと、
    i)HOAc、HCl、CFCOOHなどの酸性条件下で、式XIVの化合物を加水分解して、式XV:
    Figure 2007512253
    の化合物を生じるステップと、
    j)式XVの化合物を、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させ、次いで、得られたアルコールを脱離基、ハロ、OMs、OTfに転換して、式XVI:
    Figure 2007512253
    [式中、Lvは脱離基である]
    の化合物を形成するステップと、
    k)還元条件下で、式XVの化合物をアミンと反応させ、あるいは式XVの化合物をウィッティヒ(Wittig)試薬と反応させ、あるいは式XVIの化合物を:
    −Z …(XVI)
    [式中、Rは、
    Figure 2007512253
    からなる群から選択される求核性部分である]
    と反応させ、任意選択で、硝酸セリウムアンモニウムまたはPd(OH)/C/Hで脱保護して、式XVII:
    Figure 2007512253
    [式中、Xは、O、NH、NHCOO、NHCONH、NHCSO、NHCSNH、CONH、NHCO、NR、S、CH、HC=CH、およびC≡Cからなる群から選択される]
    の化合物(式XVIIはリンカーの親油性部分に対してRおよびSの両立体配置を表す)を形成するステップと
    を含む、請求項1に記載の化合物を合成するための方法。
  32. ステップb)のアセタール、ケタール、または環状ホウ酸エステルが、2−メトキシプロペン、または1,1−ジメトキシシクロヘキサンである、請求項31に記載の方法。
  33. ステップh)のNまたはO保護基が4−メトキシベンジルである、請求項31に記載の方法。
  34. 阻害量の請求項2に記載の化合物で、グルコセレブロシダーゼをin vitroで阻害する方法。
  35. 阻害量の請求項2に記載の化合物と細胞とを接触させることを含む、哺乳類細胞におけるグルコセレブロシダーゼを阻害する方法。
  36. 細胞をグルコセレブロシダーゼの活性を増強するのに有効量の請求項2に記載の化合物と接触させることを含み、この有効量はグルコセレブロシダーゼの活性を阻害しない、哺乳類細胞においてグルコセレブロシダーゼの活性を増強する方法。
  37. グルコセレブロシダーゼを請求項2に記載の化合物と接触させることを含む、グルコセレブロシダーゼを安定化する方法であって、前記化合物がグルコセレブロシダーゼを安定化するのに有効な量でグルコセレブロシダーゼと可逆的に結合する方法。
  38. 請求項2に記載の化合物、および薬学的に許容できる担体を含む薬剤組成物。
  39. β−グルコシダーゼを阻害するのに有効量の請求項2に記載の化合物と、β−グルコシダーゼとを接触させることを含む、β−グルコシダーゼを阻害する方法。
  40. 化合物がβ−グルコシダーゼに可逆的に結合する、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ブチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  42. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘキシル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  43. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ヘプチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  44. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−オクチル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  45. 化合物が、(3R、4R、5R、6S)−5−(ヒドロキシメチル)−6−n−ノニル−3,4−ジヒドロキシピペリジンである、請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法。
  46. 請求項2に記載した薬剤組成物を、グルコセレブロシダーゼの活性を増強するのに有効な量で、そのような治療を必要とする個体に投与することを含むゴーシェ病を治療するための方法。
  47. 前記治療が、個体に機能性グルコセレブロシダーゼ酵素を投与することをさらに含む、請求項71に記載の方法。
  48. 前記治療が、個体にベクター機能性グルコセレブロシダーゼ遺伝子を投与することをさらに含む、請求項71に記載の方法。
  49. 式XVIII:
    Figure 2007512253
    [式中、Aは、炭素または窒素を表し、
    Bは、水素、ヒドロキシ、N−アセトアミド、およびハロゲンからなる群から選択され、
    Xは、正電荷を含み、
    は、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のシクロアルケニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のアリールアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の複素環、置換または非置換の複素環アルキル、または、置換または非置換のヘテロアリールアルキル、−C(O)R、または−S(O)であり、
    は、Aから出ている短い柔軟なリンカーであり、
    は、水素、ヒドロキシ、またはヒドロキシメチルであり、
    Lは、Rに結合している親油性部分である]
    の化合物。
  50. ピラノース環のアノマー位に相当する位置に正電荷を有する短い柔軟なリンカーと、リンカーに結合している親油性部分を有するヒドロキシピペリジン誘導体、およびそのような誘導体の薬学的に許容できる塩。
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