JP2007500312A - ポンプ組立体 - Google Patents

Abstract

燃料を内燃機関のコモンレールに送給するのに用いられるポンプ組立体は、タペット（３４）の形態にある中間駆動部材と連動して作動可能なポンププランジャー（２８，１２８）を備えている。タペット（３４）は、使用時に、プランジャー（２８，１２８）に駆動力を付与するために、エンジン駆動カム（１１）と連動して作動可能である。略管状のカムライダー部材（３８）は、カム（１１）と連動して作動可能な内面と、バケットタペット（３４）と連動して作動可能な外面とを有している。主ポンプハウジング（１０）は、半径方向延在開口（１８ａ）を備え、別体のポンプヘッド（２０ａ）がその開口（１８ａ）の第１端に嵌入され、タペット（３４）がその開口（１８ａ）の第２端に嵌入され、これによって、開口（１８ａ）は、使用時に、タペット（３４）の軸方向運動を案内するように機能している。別体のポンプヘッド（２０ａ）は、プランジャー（２８，１２８）の運動を案内するように機能するプランジャー穴（２６）を備え、プランジャー（２８）が駆動されるときに燃料が加圧されるポンプ室（３０）は、プランジャー穴（２６）内に画成されている。
【選択図】図２

Description

本発明は、高圧燃料を圧縮点火内燃機関に供給するためのコモンレール燃料噴射システムに用いるのに適したポンプ組立体に関する。特に、本発明は、エンジン駆動カムに取り付けられたカムライダーと、ポンププランジャーに連結され、使用時に、往復ポンプ運動をプランジャーに付与するためにカムライダーと連動して作動する中間駆動部材とを有する形式のポンプ組立体に関する。

知られているラジアルポンプ設計のコモンレール燃料ポンプでは、３つのポンププランジャーがエンジン駆動カムの周囲において等角度で離間された箇所に配置されている。各プランジャーは、主ポンプハウジング内に設けられたプランジャー穴内に取り付けられている。カムが使用時に駆動されると、これらのプランジャーは、同調した周期でそれらの穴内で往復運動する。これらのプランジャーが往復運動すると、各プランジャーは、関連するプランジャー穴の一端に画成されたポンプ室内で燃料を加圧する。ポンプ室からコモン高圧供給ラインへの燃料の送給は、送給弁によって制御される。高圧ラインは、コモンレール燃料システムの下流側噴射器に送給するために、燃料をコモンレール又は他の蓄圧室に供給するものである。

カムは、カムライダーを保持しており、このカムライダーは、駆動軸と同軸に延在し、各プランジャーに１つが配置される複数の平面を備えている。タペットの形態にある中間駆動部材は、カムライダーの平面と連動して作動し、かつプランジャーに連結され、これによって、タペットがカムの回転によって駆動されると、駆動力がプランジャーに付与されることになる。

この種のポンプにおいて、プランジャーとタペットの両方が駆動される間、それらの運動が案内されることが重要である。しかし、製造の観点から、主ポンプハウジングが両方の部品用の１つの案内経路を画成するポンプ組立体では、これを達成するのが困難である。

本発明者らが改良された構造の燃料ポンプ組立体を提供するのは、この矛盾を解消するためである。

本発明によれば、燃料を内燃機関のコモンレールに送給するのに用いられるポンプ組立体が提供される。このポンプ組立体は、中間駆動部材と連動して作動可能なポンププランジャーを備え、中間駆動部材は、使用時に、駆動力をプランジャーに付与するために、エンジン駆動カムと連動して作動可能である。さらに、ポンプ組立体は、カムと連動して作動可能な内面と中間駆動部材と連動して作動可能な外面とを有するカムライダー部材と、半径方向延在開口を備える主ポンプハウジングであって、別体のポンプヘッドがその開口の第１端に嵌入され、中間駆動部材がその開口の第２端に嵌入され、これによって、半径方向延在開口が中間駆動部材の運動を案内するように機能し、別体のポンプヘッドは、プランジャーの運動を案内するように機能するプランジャー穴を備え、プランジャーが駆動されるときに燃料が加圧されるポンプ室が、このプランジャー穴内に画成されるような主ポンプハウジングとを備えている。

本発明の好ましい一実施形態において、ポンプ組立体は、エンジン駆動カムの周囲に等角度で離間された第１、第２、及び第３プランジャーを備え、カムライダー部材は、第１、第２、及び第３中間駆動部材とそれぞれ連動して作動するための第１、第２、及び第３面を備え、各中間駆動部材は、プランジャーの関連する１つと連結されている。ここで、中間駆動部材の各々は、主ポンプハウジング内に設けられた第１、第２、又は第３半径方向延在開口の各１つ内に案内され、第１、第２、及び第３プランジャーの各々は、主ポンプハウジングに取付けられている第１、第２、又は第３ポンプヘッドの各１つ内に設けられた第１、第２、又は第３プランジャー穴の各１つ内に案内されるようになっている。

従って、このポンプ組立体の好ましい実施形態は、カムの周囲に半径方向に離間された３つのポンプ「ユニット」であって、各々がポンプヘッドと、主ポンプハウジング内の半径方向延在開口内での取付けのための中間駆動部材に連結されるプランジャーとを有する３つのポンプ「ユニット」を有すると考えられる。半径方向延在開口は、室を画成し、始動時に、この室は燃料で満たされ、この室内で中間駆動部材が往復運動されるようになっている。

本発明のこの好ましい実施形態のポンプ組立体は、３つのポンプユニットを有することに制限されず、必要に応じて、さらに多数のポンプユニットが設けられてもよいことが理解されるだろう。

好ましくは、中間駆動部材は、タペット、典型的には、対向側壁とタペット基部を有するバケットタペットの形態を取っている。ここで、タペット側壁は、主ポンプハウジング内に案内され、タペット基部は、カムライダーの外面の平面と連動して作動するようになっている。燃料が主ポンプハウジング内の半径方向延在開口によって画成される空洞から排出され、及びそこへ供給されることを可能にするための手段を、ポンプ組立体に設けることがさらに好ましい。例えば、各タペット側壁は、プランジャー戻り行程中に、燃料がその空洞内及びタペットの周囲に流れることを可能にし、またプランジャーポンプ行程中に、燃料がその空洞から排出されることを可能にする窓の形態にある側壁開口を備えているとよい。

このポンプ組立体は、知られているポンプ組立体を上回るいくつかの利点を有している。各プランジャーが別体のポンプヘッド（すなわち、他のポンプヘッドから分離したハウジング部分）内に案内され、各タペットがポンプヘッドから分離した主ポンプハウジング内に案内されているので、案内穴が、プランジャーとタペットの両方が主ポンプハウジング内に案内される組立体におけるよりもはるかに容易に、機械加工されることになる。これは、主ポンプハウジングに対するポンプヘッドのずれ又は「傾斜」がプランジャー及び／又はタペットの軸外側方負荷をもたらし、その結果、望ましくない程度の磨耗を生じさせ得るという他の問題を引き起こす可能性がある。この点を考慮して、タペットが、駆動軸とカムライダー部材の両方を支持及び位置付けるポンプ組立体の部分である主ポンプハウジング内において案内されるのが、本発明の好ましい特徴である。

また、各タペットがカムの外面と連動して作動するローラを備えている他の知られたポンプを上回る利点がもたらされている。この利点は、各タペット用の個々のローラの必要条件が、３つのプランジャーとタペットの全てを駆動させる単一のカムライダーを用いることによって排除されるので、達成されることになる。

使用時に、カムが駆動軸によって回転されると、カムライダーがカム面に乗り上げるようになっている。カムライダー部材の表面の平面、すなわち、平坦な領域がタペットの基部と連動して作動し、その結果、タペットは、カム軸から軸方向及び半径方向外方に駆動されるようになっている。このとき、（カムライダーが軸方向に案内されるタペットに対して滑動することができるので）、ある程度の相対的なすべり運動が、ライダーの平面とタペットとの間で、横方向において生じることになる。

好ましくは、主ポンプハウジングは、駆動軸を受入れるための軸方向延在開口を備えている。３つのプランジャーポンプにおいて、第１、第２、及び第３半径方向延在開口の各々は、その内端において、主ポンプハウジング内の軸方向延在開口と連通している。カムライダーは、好ましく、駆動軸と同軸に配置された略管状部材の形態を取っている。

一実施形態において、主ポンプハウジングは、タペットの案内経路を画成する挿入手段を備えている。例えば、挿入部材は、それぞれがタペットの各１つ用の案内経路を画成するように、第１、第２、及び第３半径方向延在開口の各々の内端内に嵌入されているとよい。挿入部材は、スリーブの形態を取るような略円筒形状であるとよい。好ましくは、プランジャー穴と挿入部材は、実質的に同軸に位置合わせされている。

挿入手段は、代替的に、硬化被膜、例えば、鋼被膜の形態を取ってもよい。これは、主ポンプハウジングが便利でかつ比較的軽量の鋳鉄から形成される場合、鋼挿入手段（例えば、スリーブ部材又は被膜）の硬度が主ポンプハウジングの磨耗を回避するので、特に有利である。

代替的に、半径方向延在開口の内面がタペットの案内経路を画成してもよい。

さらに他の好ましい実施形態において、各ポンプヘッドは、各半径方向延在開口内に増大されたプランジャーの密封長さを画成するように突出する延在部を備えている。これは、漏れによる損失が低減されるので、ポンプ効率を改良するという利点をもたらすことになる。

各ポンプユニットのポンプ室は、ポンプ室とコモンレールとの間の連通を開閉するために、弁シートと係合可能な弁部材を備える出口弁装置を有し、弁部材の開運動が、少なくとも２つの燃料用流路を画成する停止プラグによって、制限されている。

好ましくは、停止プラグは、高圧燃料用流路を画成する少なくとも２つの軸方向延在凹部を備える外面を有している。この構造の出口弁は、特に製造に都合がいい。

本発明の有利な特徴は、３つのポンプユニット（すなわち、３つのプランジャー）を有するポンプ組立体のみならず、２つのポンプユニットだけしか有しないポンプ組立体にも適用される。従って、他の好ましい実施形態において、ポンプ組立体は、第１及び第２ポンプユニットのみを備えていてもよい。

換言すれば、ポンプ組立体は、第１プランジャーであって、第１ポンプヘッド内に設けられた第１プランジャー穴内で往復可能で、主ポンプハウジング内に設けられた第１半径方向延在開口内で往復可能な第１中間駆動部材と連動して作動可能な第１プランジャーを備え、さらに、第２プランジャーであって、第２ポンプヘッド内に設けられた第２プランジャー穴内で往復可能で、主ポンプハウジング内に設けられた第２半径方向延在開口内で往復可能な第２中間駆動部材と連動して作動する第２プランジャーを備え、第１及び第２ポンプヘッドは、それらの半径方向最外端において、第１及び第２半径方向延在開口の各１つ内に嵌入され、前記開口は、主ポンプハウジング内において実質的に直径に沿って対向して配置されるように、構成されていてもよい。

以下、添付の図面を参照して、単なる例示にすぎないが、本発明を説明する。

図１〜図３を参照すると、ポンプ組立体は、軸方向延在開口１７を備える主ポンプハウジング１０の形態にある第１ハウジング部を備えている。組立体が用いられるエンジン内に設置されるとき、カム駆動軸１２は、軸方向延在開口１７内に取り付けられ、その軸方向延在開口１７内に延在している。図２に示される断面において、駆動軸１２自体は示されていないが、その中心軸１３が認められている。

駆動軸１２は、偏心して取付けられたカム１１を備えるカム装置と連動して作動するようになっている。主ポンプハウジング１０は、駆動軸１２のほぼ全長を収容するために、その前端が突出している。組立体は、その後端において、後側閉鎖板（図示せず）によって閉鎖され、その前端において、３つの耳、すなわち、フランジ１６を有する前側閉鎖板１５によって閉鎖されている。フランジ１６は、各々、ポンプ組立体をエンジンに取付けるための適切な固定具を受入れるための個々の開口１４を有している。前側閉鎖板１５は、主ポンプハウジング１０内に突出する後方を向いた突出部（図示せず）を有している。

主ポンプハウジング１０は、典型的には、鋳鉄から形成され、第１、第２、及び第３半径方向延在開口、すなわち、貫通穴１８ａ，１８ｂ，１８ｃをそれぞれ備え、これらの各々は、ハウジング１０を通って、その半径方向内端において、軸方向延在開口１７と連通している。各開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの半径方向外端は、ポンプヘッドを収容している。第１、第２、及び第３ポンプヘッドには、それぞれ、符号２０ａ，２０ｂ，２０ｃが付されている。各ポンプヘッド２０ａ，２０ｂ，２０ｃは、実質的に同一であり、従って、以下、第１ポンプヘッド２０ａについてのみ、詳細に説明する。

第１ポンプヘッド２０ａは、ヘッド部２２と、主ポンプハウジング１０内の開口１８ａの半径方向外端内に、（図示される方向に）突出する下方延在部２４とを備えている。この延在部２４は、ポンププランジャー２８が嵌入されるプランジャー穴２６を備えている。プランジャー穴２６の止まり端は、第１ポンプヘッド２０ａのヘッド部２２内に位置している。プランジャー穴２６の止まり端は、プランジャー２８の半径方向外端面と一緒になって、ポンプ室３０を画成している。このポンプ室３０には、比較的低圧の燃料が送給され、このポンプ室３０内において、使用時に、プランジャー２８が駆動軸１２の回転によってポンプ行程を行なうように駆動されると、噴射に適した比較的高圧レベルへの燃料の加圧が行なわれることになる。

ポンプヘッド２２の延在部２４がプランジャー穴２６の密封長さを増大させ、これによって、ポンプ室３０からの高圧燃料漏れの低減をもたらすのが、この装置の１つの利点である。

半径方向延在開口１８ａの半径方向内端には、タペット３４の形態にあるプランジャー２８の中間駆動部材が嵌入されている。タペットは、Ｕ字状又は溝状の断面を有し、タペット基部によって相互接続される第１及び第２対向側壁を有している。この構造のために、タペットは、「バケットタペット」と呼ばれることがある。タペット３４は、開口１８ａの半径方向内端内に位置し、これによって、開口１８ａの内面が、使用時に、タペット３４の軸方向運動を案内するように機能している。従って、主ポンプハウジン１０は、軸方向タペット運動用の案内面を画成し、カムライダー３８を横切る横方向におけるタペットの運動を拘束することになる。

バケットタペット３４は、図３に示されるように、止め輪２９によって、プランジャー２８に連結されている。実際には、タペット３４とプランジャー２８を共に接続するための他の連結手段であってもよく、その連結が、プランジャーの行程の少なくとも一部の間、一方（例えば、タペット）の運動が他方（例えば、プランジャー）の運動をもたらすのであれば、設けられていてもよい。例えば、タペット３４とプランジャー２８は、主プランジャー軸に沿ったそれらの間のある程度の相対的な運動が許容されるように、互いに連結されていてもよい。

タペット基部の上面は、プランジャー戻りバネ３６の一端を位置付けるための凹部を備えている。このバネ３６は、プランジャー２８及び延在部２４の両方と同心に取付けられ、開口１８ａの内面と延在部２４との間に画成された隙間領域又は空洞を占めている。プランジャー戻りバネ３６の他端は、第１ポンプヘッド２０ａのヘッド部２２と当接し、これによって、バネ３６は、戻り付勢力をプランジャー２８、従って、タペット３４に加え、プランジャー戻り行程を行なう働きをすることになる。

駆動軸１２は、カム１１と連動して作動し、従って、その軸１２と同軸に延在する略管状のカムライダー部材３８と連動して作動することになる。カムライダー３８は、その外面に、平面と呼ばれる第１、第２、及び第３の平坦な面３８ａ，３８ｂ，３８ｃを備えている。平面３８ａ，３８ｂ，３８ｃの各１つは、各プランジャー２８に対するタペット３４の基面と連動して作動するようになっている。例えば、第１ポンプヘッド２０ａのプランジャー２８に対するタペット３４は、カムライダー３８の第１平面３８ａと連動して作動している。タペット３４がプランジャー２８に連結されると、軸１２の回転によって、カムライダー３８は、カム１１の面に乗り上げ、これによって、タペット３４及びプランジャー２８の両方に駆動力を付与することになる。タペット３４が駆動されると、カムライダー３８が軸方向に案内されるタペット３４に対して平行移動することができるので、タペット基部の下面とライダー３８の第１平面３８ａとの間にある程度の横方向のすべり運動が許容されることになる。燃料のような潤滑流体が、摩擦による磨耗を制限するために、これらのすべり面間に供給されている。

カム１１が駆動されると、タペット３４は、開口１８ａ内で往復運動し、プランジャー２８は、プランジャー穴２６内で往復運動するようになる。従って、タペット３４及びポンププランジャー２８は、一緒に駆動され、プランジャー２８は、ポンプ行程を含むポンプサイクルを行い、このポンプサイクル中、タペット３４及びプランジャー２８は、軸から半径方向外方に（すなわち、第１ポンプヘッド２０ａの場合、図１〜図３において垂直方向上方に）駆動され、ポンプ室３０の容積を減少させることになる。このポンプ行程中、ポンププランジャー２８は、プランジャー穴２６内において内方に駆動され、ポンプ室３０内の燃料は、この技術分野の熟練者によく知られている方法で比較的高圧レベルに加圧されている。

その後のプランジャー戻り行程中、タペット３４及びプランジャー２８は、半径方向内方向（すなわち、第１ポンプヘッド２０ａの場合、図１〜図３において垂直方向下方）に付勢され、ポンプ室３０の容積を増大させている。プランジャー２８とそのタペット３４の戻り行程中に、プランジャー２８は、プランジャー穴２６から外方に付勢され、比較的低圧の燃料が関連するポンプ室３０を満たすことになる。

プランジャー戻りバネ３６の設置は、プランジャー２８を付勢し、その戻り行程を行い、さらに、タペット３４とライダー３８の平面３８ａとの間の接触がポンプサイクルを通して常に維持されることを確実にするものである。

タペット３４及びプランジャー２８は、周期的な正弦運動を行い、約１２０Ｈｚの最大周波数で駆動されるようになっている。タペット３４は、典型的には、約１０ｍｍの下死点と上死点との間の移動範囲を有している。

プランジャーの運動がポンプヘッド１８ａによって（すなわち、プランジャー穴２６内において）案内され、タペットの運動が主ポンプハウジング１０によって（すなわち、半径方向延在開口１８ａ内において）案内されることが、本発明のポンプ組立体の特別の特徴である。タペット３４の側壁は、略円筒形状の外面を有し、タペット３４が往復運動する間、タペット３４の運動が案内されるように、開口１８ａの実質的に円筒状の内面と連動して作動するのは、これらの外面である。タペットを案内する主ポンプハウジングとは、別のポンプ部品（すなわち、ポンプヘッド１８ａ）内におけるプランジャー２８の運動を案内することによって、製造上の利点が達成される。何故なら、開口１８ａ、１８ｂ、１８ｃとプランジャー穴（例えば、２８）との間の位置合せは、極めて容易に行なわれるからである。

ポンプヘッド１８ａ，１８ｂ，１８ｃと主ポンプハウジング１０との間の傾斜の問題は、タペット３４の案内面が駆動軸１２及びカムライダー３８を支持かつ位置付けする同一のハウジング（すなわち、主ポンプハウジング）によって画成されているので、回避される。傾斜の問題は、そうでない場合、例えば、ポンプヘッドのポンプ部２２と主ポンプハウジング１０との間の面対面接触が正確に平坦でないと、生じることがある。

主ポンプハウジング１０は、カムライダー３８の対応する平面３８ａと適切に接触すべきタペット基部の平坦な「すべり」面の能力に悪影響を与え得る幾何学的な偏差を可能な限り抑えるように、機械加工されている。開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの軸線と軸受装置の軸線との間の正確な直角度及び軸の軸線に対して直交する共通面における開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの角間隔を得る必要があり、それによって、偏位が生じることがある。また、主ポンプハウジング１０も、実用に適した程度の正確さで、軸受を支持している。後側軸受は、主ハウジング１０内に直接嵌入され、前側軸受は、前側閉鎖板１５内に嵌入される。主ポンプハウジング１０は、前後の軸受が実質的に同心であるように、前側閉鎖板１５を位置付ける。関連する特徴部材（例えば、半径方向に延在開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃ、前側軸受用の前側閉鎖板１５の穴、前側閉鎖板１５の内側突出部の直径）の全てが、寸法及び関連する位置の両方に関して、正確に機械加工されている。重要な特徴部材は、殆ど単一部品（すなわち、主ポンプハウジング１０）内に配置されているので、主要な特徴部材を標準又は基準として用いて従属する特徴部材を機械加工することによって、誤差を最小限に抑えることができる。この場合、基準は、主ポンプハウジング１０内の後側軸受用の穴である。これは、主ポンプハウジング１０が製造中に機械工具に取付けられるのに必要な回数を可能な限り抑止することによって（好ましくは、一回）、さらに向上することになる。

窓、すなわち、側壁開口３５を側壁に形成し、燃料を開口１８ａ内に画成された隙間領域、すなわち、空洞に流入及び流出するのを可能にする手段を設けることが、本発明におけるタペット３４の他の特徴である。タペット３４及びプランジャー２８がポンプ行程によって駆動されると、燃料が窓３５を通して隙間領域から排出されることになる。タペット３４及びプランジャー２８が戻り行程を行なうと、燃料が窓３５を通して隙間領域内に引込まれることになる。

図４は、図１〜図３に示されるプランジャーに対する代替的プランジャー１２８を示している。図４において、プランジャー１２８は、２部品、すなわち、主プランジャー体１２８ａとプランジャー基部１２８ｂとによって形成されている。プランジャー基部１２８ｂは、プランジャー対１２８ａの下端と締まり嵌めされ、プランジャー戻りバネが着座するワッシャ（図示せず）又は他の当接片用の台を画成している。プランジャー１２８の２部品構造は、均一な直径のプランジャー体１２８ａが比較的容易に得られ、機械加工中の材料の浪費が最小限に抑制されるので、有益である。

図１〜図３を再び参照すると、ポンプ組立体は、比較的低圧、典型的には、「移送圧」の燃料をポンプ室３０の各々に供給する入口計量供給弁３７（図２に示されているが、図１と図３では見えない）をさらに備えている。入口及び出口弁装置４０，４２は、ポンプ室３０ごとに設けられている。第１ポンプヘッド２０ａ用の入口及び出口弁４０，４２は、図３に示される断面に見られ、第１ポンプヘッド２０ａの入口弁４０は、（プランジャー２８の位置の関係で）、図２の断面図にも見られる。入口及び出口弁４０，４２は、ポンプ室３０のそれぞれの側に配置されているが、これは、ポンプ寸法を考慮した場合に、有益である。従って、入口及び出口弁４０，４２は、両方とも、ポンプヘッド２０ａ内に、従って、タペット運動を案内するポンプ組立体の同じハウジング部内に画成された燃料通路内に位置付けられている。

出口弁４０は、燃料がポンプ室３０から送給通路４３、従って、コモンレールに送給されるかどうかを制御するために、弁シート（図示せず）と係合可能であるボール４１を含むボール弁の形態を取るとよい。ボール４１は、それを横切る圧力差に依存して、流体力によって移動可能である。

入口計量供給弁３７及びポンプ室入口弁４０は、ポンプ室３０への低圧燃料の送給を制御するものである。主に、各充填段階中に送給される燃料の量を制御するのが、入口計量供給弁３７である。ポンプ室３０から（図３に示されるような）送給通路４３、従って、下流のコモンレール又は蓄圧室への加圧燃料の送給は、前述したように、ポンプ室の出口弁４２によって、制御されるようになっている。

ポンプ室３０内の燃料の加圧は、関連するプランジャーのポンプ行程中に生じ、その期間中、入口及び出口弁４０，４２は、閉鎖されている。ポンプ室３０内の燃料が出口弁４２を開弁するのに十分なレベルまで加圧されると、加圧燃料は、送給通路４３を通ってコモンレールに供給される。典型的には、出口弁を通って供給される燃料の圧力は、１５００バールから２０００バールの範囲内にある。

プランジャー２８の戻り行程中、ポンプ室３０の下流における燃料圧力は、ポンプ室３０内の燃料圧力よりも高く、出口弁は閉弁状態に付勢されている。入口弁４０が開弁状態に付勢されるこの戻り行程の期間中に、比較的低圧の燃料が、後続のポンプ行程の開始の準備として、ポンプ室３０に供給される。ポンプ作動のこのサイクルは、前述した特許出願にさらに詳細に記載され、いずれにせよ、当業者によって、よく知られている。

図３に示される出口弁装置４０は、代替的に、図５及び図６に示される形態であってもよい。この場合、ボール４１は、ポンプ室３０とコモンレールとの間で燃料の流れを制御するように弁シート４７と係合可能である。ボール４１は、そのボール４１の開運動の量を制限するために、送給通路４３内に嵌入された挿入部材、すなわち、停止プラグ４６と連動して作動可能である。圧縮可能な金属シールワッシャ４８が、高圧密封をもたらすために、通路４３の拡大領域内に配置されている。

停止プラグ４６の外面は、４つの軸方向延在凹部、溝、又は縦溝４８を備えている。これらの溝４８の各々は、送給通路４３の内面と一緒になって、出口弁４０が開いたとき、コモンレールへの高圧燃料流れ用の通路を画成している。この凹部４８を設けることは、停止プラグ４６が十字状に配置された２つの相互に直交するアームを有する略十字架状の構成を有することを意味している。凹部４８は、停止プラグの円周の周りに等角度で離間され、４つの個別の高圧燃料用流路を画成している。停止プラグ４６の下端は、テーパが付されるか又は丸められ、停止プラグ４６の上部よりも小さい断面を画成している。図５及び図６における出口弁の設計は、当技術分野で知られているような前記流路を画成するために停止片を穿孔する必要がなく、開状態の弁４０内を通る高圧燃料流れの面積が比較的大きい、という利点をもたらすことになる。

ポンプ組立体内に用いられる他の入口及び出口弁４０，４２の例が、本発明と同時係属中の欧州特許出願第１１１８４５６８Ａ号及び英国特許出願第２３８４５２９Ａ号に見出され得る。

本発明のポンプ組立体は、移送ポンプ４４のような低圧燃料ポンプと共に用いられることが意図されている。移送ポンプ４４は、燃料を入口計量供給弁と入口弁を通してそれぞれのポンプ室３０に供給するために、ポンプ組立体の後部に取付けられている。移送ポンプ４４を主ポンプハウジング１０の閉鎖板に取付け、その移送ポンプを、駆動軸１２と関連して、軸延在部によって駆動すると、便利である。

ポンプ組立体のさらに他の代替的実施形態（図示せず）において、主ポンプハウジング１０は、その半径方向延在開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの各々内に、挿入手段を備えている。挿入手段は、実質的に円筒形状の挿入部材、すなわち、スリーブの形態を取るとよい。このスリーブは、それぞれの開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの半径方向最内端に、プランジャー穴２６と実質的に同軸に位置合わせされ、延在部２４の端領域がこのスリーブ内に部分的に突出している。概して、ここに述べた形式のポンプ内においてタペットを案内するスリーブは、本発明と同時係属中の英国特許出願第０３０８１０７．２号に見出される。このスリーブは、開口１８ａの内面の代わりに、タペット３４の軸方向案内面を直接的に画成している。これは、タペットの側負荷による主ポンプハウジング１０の磨耗が低減されるという利点をもたらすことができる。この理由から、主ポンプハウジング１０を鋳鉄のような硬化材料から形成する必要が回避され、スリーブのみが、負荷に耐えるために、硬化材料から形成されればよい。典型的には、例えば、スリーブは、硬化鋼から形成されているとよい。

代替的に、挿入手段は、開口１８ａ，１８ｂ，１８ｃの内面に施される鋼被膜によって、設けられていてもよい。

本発明のポンプ組立体の斜視図である。 図１のポンプ組立体の背面断面図である。 関連するポンプ室用の入口及び出口弁を示す、図１及び図２におけるポンプ組立体のポンプヘッド部品の断面図である。 図１〜図３に示されたプランジャーに対する代替的プランジャーの概略図である。 図１〜図３のポンプ組立体に用いられる出口弁装置の一形式の拡大断面図である。 図１〜図３のポンプ組立体に用いられる出口弁装置の一形式の拡大斜視図である。

Claims (15)

1. 燃料を内燃機関のコモンレールに送給するのに用いられるポンプ組立体において、
   中間駆動部材（３４）と連動して作動可能なポンププランジャー（２８，１２８）であって、前記中間駆動部材（３４）は、使用時において、前記ポンププランジャー（２８，１２８）に駆動力を付与するために、エンジン駆動カム（１１）とさらに連動して作動可能であるようなポンププランジャー（２８，１２８）と、
   前記カム（１１）と連動して作動可能な内面と、前記中間駆動部材（３４）と連動して作動可能な外面とを有するカムライダー部材（３８）と、
   半径方向延在開口（１８ａ）を備える主ポンプハウジング（１０）であって、別体のポンプヘッド（２０ａ）が前記開口（１８ａ）内の第１端に嵌入され、前記中間駆動部材（３４）が前記開口（１８ａ）の第２端に嵌入され、これによって、前記主ポンプハウジング（１０）は、使用時に、前記中間駆動部材（３４）の運動を案内するように機能し、前記別体のポンプヘッド（２０ａ）は、前記プランジャー（２８，１２８）の運動を案内するように機能するプランジャー穴（２６）を備え、前記ポンププランジャー（２８）が駆動されるときに燃料が加圧されるポンプ室（３０）が、前記プランジャー穴（２６）内に画成されるような主ポンプハウジング（１０）と、
   を備えていることを特徴とするポンプ組立体。
2. 前記主ポンプハウジング（１０）は、使用時に、エンジン駆動軸（１２）を受入れるための軸方向延在開口（１７）を備え、前記半径方向延在開口（１８ａ）の最内端は、前記軸方向延在開口（１７）内に開口していることを特徴とする、請求項１に記載のポンプ組立体。
3. 前記ポンプ組立体は、前記カム（１１）の周囲に等角度で離間された第１、第２、及び第３ポンプユニット（２０ａ，２０ｂ，２０ｃ）を備え、前記第１、第２、及び第３ポンプユニット（２０ａ，２０ｂ，２０ｃ）の各々は、前記主ポンプハウジング（１０）内に設けられた第１、第２、又は第３半径方向延在開口（１８ａ，１８ｂ，１８ｃ）の各１つ内に受入れられたプランジャー（２８）及び中間駆動部材（３４）を備えていることを特徴とする、請求項１又は２に記載のポンプ組立体。
4. 前記ポンプ組立体は、第１及び第２ポンプユニット（２０ａ，２０ｂ）のみを備え、前記第１及び第２ポンプユニットの各々は、前記主ポンプハウジング（１０）内に設けられた第１又は第２半径方向延在開口の各１つ内に嵌入されたプランジャー（２８）及び中間駆動部材（３４）を備え、前記第１及び第２半径方向延在開口は、実質的に直径に沿って向き合って配置されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載のポンプ組立体。
5. 前記中間駆動部材は、対向タペット側壁とタペット基部とを有するタペット（３４）の形態を取り、前記タペット側壁は、前記主ポンプハウジング（１０）内の前記半径方向延在開口（１８ａ）内に案内され、前記タペット基部は、前記カムライダー部材（３８）の外面の平面（３８ａ）と連動して作動するようになっていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載のポンプ組立体。
6. 前記タペット（３４）が使用時に往復運動すると、燃料が前記主ポンプハウジング（１０）内の前記半径方向延在開口（１８ａ）から排出され、及びそこに供給されることを可能にする手段（３５）をさらに備えていることを特徴とする、請求項５に記載のポンプ組立体。
7. 燃料が前記半径方向延在開口（１８ａ）から排出され、及びそこに供給されることを可能にする前記手段は、前記タペット側壁に設けられた側壁開口（３５）を備えていることを特徴とする、請求項６に記載のポンプ組立体。
8. 前記主ポンプハウジング（１０）は、前記中間駆動部材（３４）用の案内経路を画成する挿入手段を備えていることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載のポンプ組立体。
9. 前記挿入手段は、略円筒形状の挿入スリーブ又は前記開口（１８ａ，１８ｂ，１８ｃ）の内面に施される被膜の１つであることを特徴とする、請求項８に記載のポンプ組立体。
10. 前記プランジャー穴及び前記挿入部材は、実質的に同軸に位置合わせされていることを特徴とする、請求項９に記載のポンプ組立体。
11. 前記半径方向延在開口（１８ａ，１８ｂ，１８ｃ）の内面は、前記中間駆動部材（３４）用の案内経路を画成していることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載のポンプ組立体。
12. 前記ポンプヘッド（２０ａ）は、増大されたプランジャー密封長さを画成するように前記半径方向延在開口（１８ａ，１８ｂ，１８ｃ）内に突出する延在部（２４）を備えていることを特徴とする、請求項１〜１１のいずれか一項に記載のポンプ組立体。
13. 前記ポンプ室（３０）は、前記ポンプ室（３０）と前記コモンレールとの間の連通を開閉するように弁シート（４７）と係合可能な弁部材（４１）を備える出口弁装置を有し、前記弁部材（４１）の開運動は、少なくとも部分的に、少なくとも２つの燃料用流路を画成する停止プラグ（４６）によって、制限されていることを特徴とする、請求項１〜１２のいずれか一項に記載のポンプ組立体。
14. 前記停止プラグ（４６）は、高圧燃料用流路を画成するために、少なくとも２つの軸方向延在凹部を備える外面を有していることを特徴とする、請求項１３に記載のポンプ組立体。
15. 前記停止プラグ（４６）は、４つの個別の高圧燃料用流路を画成するために、前記停止プラグの外面の周囲に等角度で離間された４つの軸方向延在凹部を備える外面を有していることを特徴とする、請求項１４に記載のポンプ組立体。
    

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