JP2007320786A - 石膏用分散剤及び石膏用分散剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の構造単位と、カルボン酸基を有する構造単位と、ポリアルキレングリコール基を有する構造単位を必須単位として含み、重合により得られた水溶性両性高分子化合物を主成分とすることを特徴とする石膏用分散剤及び石膏用分散剤組成物を為すことにより、著しい硬化遅延性を引き起こすことなく分散性に優れた分散剤及び分散剤組成物を提供する。
【選択図】なし
Description
従来、石膏用の分散剤としては、ホルムアルデヒドを原料とするナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、及び、ビスフェノール類とアミノベンゼンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物などの化合物が広く使用されてきた(特許文献1及び特許文献2参照)。
また引用文献3には、ポリカルボン酸系の分散剤を石膏水性組成物に含有させることによって、高いフロー値と優れたセルフレベリング性を有するセルフレベリング性石膏水性組成物を為すことが提案されている。
しかし一般に、上述したこれまで提案されたポリカルボン酸系分散剤は、pHなどの使用条件を適宜選択することにより、石膏スラリーに対して優れた分散性能を発現することができるものの、同時に硬化遅延をも引き起こすこととなり、結果として石膏ボードの生産性を低下させる問題を抱えていた。
ある。
すなわち本発明は、アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の構造単位と、カルボン酸基を有する構造単位と、ポリアルキレングリコール基を有する構造単位を含み、重合により得られた水溶性両性高分子化合物を主成分とすることを特徴とする石膏用分散剤に関する。
また、好ましい態様の本発明は、前記窒素原子含有の構造単位が、ポリアルキレンイミン、アルキレンオキサイドを付加したポリアルキレンイミン、並びにそれらの混合物のうちいずれかに由来するものであることを特徴とする、前記石膏用分散剤に関する。
さらに好ましい態様の本発明は、前記カルボン酸基を有する構造単位が重合性カルボン酸類由来のものであり、該重合性カルボン酸類は、メタクリル酸、アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び不飽和脂肪酸からなる群から選択されることを特徴とする前記石膏用分散剤に関する。
そして上記石膏用分散剤又は石膏用分散剤組成物を石膏スラリーに含有させることにより、生産性を低下させることなく石膏ボードを製造することができる。
一般に、セメント系で使用されるポリカルボン酸系分散剤は、セメントスラリーが強い塩基性(約pH11)を示す為、充分な分散性を発現できる。これは、分散剤に含まれるカ
ルボン酸基が弱酸性基であり、pH10以上、すなわち、セメントスラリーのpH条件で完全にカルボン酸塩となり、セメント分散体に吸着することで分散効果の発現が実現することによる。
しかしセルフレベリング用途を除く石膏スラリーの場合、一般に弱酸性から中性となる。ここにポリカルボン酸系分散剤を用いると、カルボン酸は酸型と中和型が共存することとなる。そしてこのため分散剤の石膏への吸着が緩慢になることが、分散性が低下する一つの要因と考えられている。
一方、硬化遅延は分散剤の過剰添加により引き起こされることが多いが、特にポリカルボン酸系分散剤の場合には、過剰添加によるものだけでなく、その化学構造の構成や使用原料の種類などによっても著しく硬化遅延を引き起こすことがあった。
このように、石膏スラリーにおいて分散性と硬化遅延性のバランスをとるのは大変難しい課題であった。
そこで本発明者らは硬化遅延性を抑え、充分な分散性を発現するに最適な分散について鋭意検討した結果、本発明の石膏用分散剤を開発するに至った。すなわち、本発明の分散剤は、主成分とする水溶性両性高分子化合物中に、アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の構造単位、カルボン酸基を有する構造単位、及びポリアルキレングリコール基を有する構造単位を必須の構造として含むことにより、該高分子化合物中にカチオン性基、アニオン性基及び非イオン性基が共存していることを特徴としている。
pHが中性領域である石膏スラリーの使用環境においても、本発明の石膏用分散剤が有する優れた分散性及び硬化遅延性の抑制効果の発現機構に関する詳細なメカニズムは不明であるが、その効果を生ずる要因として現時点で推量されるものの一つとして、上記に挙げたカチオン性基、アニオン性基、非イオン性基からなる化学構造によるものと考えられる。
本明細書において、「水溶性両性グラフト高分子化合物」とは、斯様なグラフト結合基が導入された上記構造単位A乃至構造単位Cを必須に含む水溶性両性高分子化合物をいう。以下、各構造単位並びに水溶性両性高分子化合物等の詳細を説明する。
前記構造単位Aとしては、ポリアマイドポリアミン、アルキレンオキサイドを付加したポリアマイドポリアミン及びそれらの混合物、並びに、ポリアルキレンイミン、アルキレンオキサイドを付加したポリアルキレンイミン及びそれらの混合物のうちいずれかに由来するものを挙げることができる。
なお、該構造単位Aの由来となる上記化合物及び混合物について、以降「化合物A」と称する。
上記ポリアマイドポリアミンを構成するポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタ
ミン、及びこれら以外の高分子量ポリアルキレンポリアミン混合物等を挙げることができる。
また、上記ポリアマイドポリアミンを構成する二塩基酸(類)としては、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、アゼライン酸又はセバシン酸を基本骨格とした二塩基酸、これら二塩基酸のアルキルエステル及び二塩基酸ハライド等を挙げることができる。
上記ポリアマイドポリアミンを構成する該ポリアルキレンポリアミンと該二塩基酸(類)の反応モル比は2:1〜21:20の範囲であるものが好ましい。この範囲のモル比を超えて反応させると、ポリアマイドポリアミンが高分子量となり、高粘度となるばかりか凝集性が出て分散性を低下させるため好ましくない。
この種の化合物Aにおけるポリアマイドポリアミンとしては、上述のポリアマイドポリアミンと同種のものが使用され得る。
上記アルキレンオキサイドを付加したポリアマイドポリアミンは、前記ポリアマイドポリアミンに直接アルキレンオキサイドを付加し得る方法と、水溶液中で得る方法の何れによっても得られる。
また、上記アルキレンオキサイドの量は上記ポリアマイドポリアミンのアミノ残基(アミノ基、イミノ基、アミド基)1当量に対し0〜8モルが好ましい。
8モルを越えると化合物Aの分子量が大きくなるためにカチオン当量が低下し、本発明の水溶性両性高分子化合物としての十分な効果が得られない。
上記ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ−3−メチル−プロピルイミン又はポリ−2−エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体などの、直鎖状又は分岐鎖状の化合物を挙げることができる。また、ポリアルキレンポリアミンもこれに含まれる。
この種の化合物Aにおけるポリアルキレンイミンとしては、上述のポリアルキレンイミンと同種のものが使用され得る。
上記アルキレンオキサイドを付加したポリアルキレンイミンも、ポリアマイドポリアミン
の場合と同様、ポリアルキレンイミンに直接アルキレンオキサイドを付加し得る方法と、水溶液中で得る方法の何れによっても得られる。
また、上記アルキレンオキサイドの量は上記ポリアルキレンイミンのアミノ残基(イミノ基)1当量に対し0〜8モルが好ましい。
上記構造単位Bは重合性カルボン酸類由来のものである。重合性カルボン酸類とは、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び不飽和脂肪酸並びにそれらの酸無水物、例えば無水マレイン酸を表す。このうち、特にメタクリル酸類が好ましい。
なお、該構造単位Bの由来となる重合性カルボン酸類について、以降「化合物B」と称する。
上記構造単位Cは水溶性ポリアルキレングリコール由来のものである。該水溶性ポリアルキレングリコールとは、具体的には、ポリエチレングリコール単位を主成分とする基を有し、分子量が200〜10,000の範囲にあり、且つ、ポリエチレングリコール単位が全ポリアルキレングリコール基質量のうち80%以上であるものに限られる。
なお、該構造単位Cの由来となる水溶性ポリアルキレングリコールについて、以降「化合物C」と称する。
上記構造単位A乃至構造単位C以外で、上記水溶性両性高分子化合物に含み得る構造単位として、以下の公知の単量体由来のものを挙げることができる;(1)(非)水系単量体類:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、スチレンなど;(2)アニオン系単量体類:ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、メタクリル酸リン酸エステルなど;(3)アミド系単量体類:アクリルアミド、アクリルアミドのアルキレンオキサイド付加物など、(4)ポリアルキレングリコール系単量体類:アリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコールの無水マレイン酸とのエステルなど。
なお、上記その他含有可能な構造単位の由来となる上記単量体について、以降「その他含有可能な化合物」と称する。
上記水溶性両性高分子化合物中における構造単位A:構造単位B:構造単位Cの構成割合は、5〜30質量部:5〜30質量部:40〜90質量部の範囲であり、合計が100質量部となるように適宜選択される。なお、その他含有可能な構造単位が含まれる場合、その構成割合は、上記高分子化合物の全質量の10質量%以下であることが望ましい。上記共重合割合の範囲を外れると優れた分散性と硬化遅延性改善の両立という本発明の効果が得られない。
なお、構造単位A乃至構造単位Cの構成割合は、前記高分子化合物を共重合によって得る前の単量体成分における配合量を基準として定められるものである。
上記構造単位A乃至構造単位Cはそれぞれ、アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の化合物(化合物A)、カルボン酸基を有する化合物(化合物B)、ポリアルキレングリコール基を有する化合物(化合物C)を共重合させることによって、前記高分子化合物中に構成される。
したがって、上記構造単位A乃至構造単位Cの構成割合とは、上記化合物A乃至化合物Cの配合割合に相当するものである。
また、上記高分子化合物は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、アルキルアミン、有機アミン類などの中和剤によって、予め部分中和、或いは完全中和された形態として、本発明の分散剤に含有されることが好ましい。
まず、前記構造単位Aの由来となる前記化合物A、すなわち上記ポリアマイドポリアミン又はポリアルキレンイミンは、従来公知の方法で製造することができる。
そして該化合物A、前記構造単位Bの由来となる前記化合物B、前記構造単位Cの由来となる前記化合物C、並びに所望によりその他の化合物を共重合させることにより、該水溶性両性高分子化合物を容易に得ることができる。
まず化合物B、所望により前記化合物A乃至C(但し化合物Bは最初に用いた化合物Bとは異なる)並びにその他の化合物を重合して(共)重合体を得る。次に、グラフト反応により、前記化合物A及び/又は化合物Cを該(共)重合体にグラフト化することにより、上記水溶性両性グラフト高分子化合物を得ることができる。また、グラフト化反応を容易に行うために、該(共)重合体にグラフト結合基を有する化合物を単量体成分として加え、(共)重合体を得た後に、前記化合物A及び/又は化合物Cをグラフト化することもできる。
上記水溶性両性高分子化合物を含む本発明の石膏用分散剤は、石膏用分散剤に添加され得る公知の添加剤を添加し、石膏用分散剤組成物と為すことができる。上記添加剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩等の泡剤類、また整泡剤、消泡剤類、撥水剤、接着剤等を挙げることができる。これらは一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本発明の分散剤と共に石膏ボード用に使用される添加剤としては汎用減水剤、泡剤、消泡
剤、整泡剤、硬化調整剤などがあり、更に強化繊維としてガラス繊維、炭素繊維、古紙、バージンパルプ等を添加する、或いは、軽量骨材であるパーライト、発泡スチール等とともに石膏ボードを作製することも行なわれる。
なお、これまで説明してきた通り、本発明の分散剤を石膏用プラスターへの応用することもまた容易に為し得る。
本実施例で用いたアミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の化合物(以降、窒素含有化合物と称する)(化合物A1〜A4、B1及びB2)を以下の手順を用いて製造した。
温度計、窒素導入管、攪拌機、検水管付コンデンサーを備えたガラス製反応容器にジエチレントリアミン103gを仕込み、窒素を液中に導入しながら攪拌した。撹拌しながらアジピン酸121g(ポリアルキレンポリアミン/二塩基酸のモル比は6モル/5モル)を仕込み、150℃まで昇温し、流出水を除去しながら同温度で20時間反応を継続した。次にハイドロキノンメチルエーテル1.1gを仕込み30分間混合したあと、メタクリル酸14.3g(ポリアマイドポリアミン鎖に対し1モル相当)を仕込み、更に10時間反応させた(アマイド化反応)。この時の総反応流出水は33g、酸価は20であった。
反応終了後、イオン交換水138gを仕込み、ポリアマイドポリアミンの60%水溶液345g(化合物A1)を得た。
化合物A1のアマイド化反応までは同様に行い、次に、イオン交換水177gを仕込み30分攪拌を行った。窒素導入管、エチレンオキサイド導入管を備えたガラス製耐圧容器に移し窒素で充分に置換し温度を60℃まで昇温した。60℃〜70℃を維持しながらエチレンオキサイド265gを徐々に吹き込み、その後1時間同温度で熟成させた。ポリエチレンオキサイド付加ポリアマイドポリアミンの60%水溶液786g(化合物A2)を得た。
温度計、窒素導入管、攪拌機、検水管付コンデンサーを備えたガラス製反応容器にテトラエチレンペンタミン94gを仕込み、窒素を液中に導入しながら攪拌した。撹拌しながらアジピン酸49g(ポリアルキレンポリアミン/二塩基酸のモル比は3モル/2モル)を仕込み、150℃まで昇温し、流出水を除去しながら同温度で20時間反応を継続した。次にハイドロキノンメチルエーテル1.1gを仕込み30分間混合したあと、メタクリル酸14.3g(ポリアマイドポリアミン鎖に対し1モル相当)を仕込み、更に10時間反応させた。この時の総反応流出水は15g、酸価は18だった。
反応終了後、イオン交換水315gを仕込み30分攪拌を行った。窒素導入管、エチレンオキサイド導入管を備えたガラス製耐圧容器に移し窒素で充分に置換し温度を60℃まで昇温した。60℃〜70℃を維持しながらエチレンオキサイド329gを徐々に吹き込み、その後1時間同温度で熟成した。ポリエチレンオキサイド付加ポリアマイドポリアミンの60%水溶液786g(化合物A3)を得た。
温度計、窒素導入管、攪拌機、検水管付コンデンサーを備えたガラス製反応容器にジエチ
レントリアミン68gを仕込み、窒素を液中に導入しながら攪拌した。撹拌しながらアジピン酸88g(ポリアルキレンポリアミン/二塩基酸のモル比は11モル/10モル)を仕込み、150℃まで昇温して流出水を除去しながら同温度で20時間反応を継続した。次にハイドロキノンメチルエーテル1.1gを仕込み30分間混合したあと、メタクリル酸7.7g(ポリアマイドポリアミン鎖に対し1.5モル相当)を仕込み、更に10時間反応させた。この時の総反応流出水は22g、酸価は25だった。
反応終了後、イオン交換水384gを仕込み30分攪拌を行った。窒素導入管、エチレンオキサイド導入管を備えたガラス製耐圧容器に移し窒素で充分に置換し温度を60℃まで昇温した。60℃〜70℃を維持しながらエチレンオキサイド436gを徐々に吹き込み、その後1時間同温度で熟成した。ポリエチレンオキサイド付加ポリアマイドポリアミンの60%水溶液960g(化合物A4)を得た。
温度計、窒素導入管、攪拌機、滴下装置、還流冷却機を備えたガラス製反応容器にエチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン(ポリエチレンイミンにエチレンオキサイドを活性水素に対し平均2モルを付加した分子量1,000の化合物)300g、ハイドロキノンメチルエーテル0.15g、酢酸9.2gを仕込み90℃で30分間維持した。その後同温度でグリシジルメタクリレート85.3g(エチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン鎖に対し2モル相当)を90℃に維持しながら60分かけて滴下した。その後イオン交換水263gを投入しエチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン60%水溶液657g(化合物B1)を得た。
温度計、窒素導入管、攪拌機、滴下装置、還流冷却機を備えたガラス製反応容器にエチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン(ポリエチレンイミンにエチレンオキサイドを活性水素に対し平均3モルを付加した分子量600の化合物)300g、ハイドロキノンメチルエーテル0.15g、酢酸9.2gを仕込み90℃で30分間維持した。その後同温度でグリシジルメタクリレート142.2g(エチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン鎖に対し2モル相当)を90℃に維持しながら60分かけて滴下した。その後イオン交換水301gを投入しエチレンオキサイド付加ポリエチレンイミン60%水溶液752g(化合物B2)を得た。
次に以下の手順を用いて実施例1乃至8、比較例1及び比較例2の共重合体の水溶液を得た。該水溶液の主成分である高分子化合物の分子量の測定条件は、以下に示す通りである。
<分子量分布測定>
カラム:OHpak SB-803HQ, OHpak SB-804HQ(昭和電工(株)製)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=80/20
検出器:示差屈折計
検量線:ポリエチレングリコール基準
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水354gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水57g、化合物A2の52g、メタクリル酸の50gおよびポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(以下、MEと略す、続く数字は分子量を表す)1000の56g、ME3000の176gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液31g、10%過硫酸ソーダ水溶液31gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例1の共重合体水溶液857gを得た。
実施例1の共重合体水溶液は固形分40.1%、1%水溶液のpHは6.5、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は42,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水386gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水72g、化合物A2の68g、メタクリル酸の50gおよびME4000の306gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液79g、10%過硫酸ソーダ水溶液79gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例2の共重合体水溶液1089gを得た。
実施例2の共重合体水溶液は固形分40.3%、1%水溶液のpHは6.8、主成分であ
る高分子化合物の重量平均分子量は44,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水246gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水54g、化合物A1の22g、メタクリル酸の50gおよびME1000の93g、ME3000の93gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液50g、10%過硫酸ソーダ水溶液50gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例3の共重合体水溶液705gを得た。
実施例3の共重合体水溶液は固形分39.8%、1%水溶液のpHは6.4、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は41,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水469gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水76g、化合物A3の70g、メタクリル酸の50gおよびポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート(以下、AEと略す)2000の65g、AE4000の260gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液42g、10%過硫酸ソーダ水溶液42gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例4の共重合体水溶液1,121gを得た。
実施例4の共重合体水溶液は固形分39.8%、1%水溶液のpHは7.1、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は38,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水284gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水46g、化合物A4の42g、メタクリル酸の50gおよびME1000の35g、ME4000の140gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液25g、10%過硫酸ソーダ水溶液25gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例5の共重合体水溶液695gを得た。
実施例5の共重合体水溶液は固形分40.4%、1%水溶液のpHは6.6、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は51,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水326gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水39g、化合物B1の111g、メタクリル酸の50gおよびME3000の216gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液67g、10%過硫酸ソーダ水溶液67gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例6の共重合体水溶液923gを得た。
実施例6の共重合体水溶液は固形分40.5%、1%水溶液のpHは6.9、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は28,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水326gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水61g、化合物B2の56g、メタクリル酸の50gおよびME3000の250gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液67g、10%過硫酸ソーダ水溶液67gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例7の共重合体水溶液925gを得た。
実施例7の共重合体水溶液は固形分39.7%、1%水溶液のpHは7.3、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は26,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水511gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水84g、化合物A2の76g、メタクリル酸の50gおよびME4000の360gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液46g、10%過硫酸ソーダ水溶液46gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、実施例8の共重合体水溶液1,220gを得た。
実施例8の共重合体水溶液は固形分39.6%、1%水溶液のpHは6.8、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は51,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水377gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水83g、アクリル酸の50g、ME4000の284gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液33g、10%過硫酸ソーダ水溶液33gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、比較例1の共重合体水溶液909gを得た。
比較例1の共重合体水溶液は固形分39.4%、1%水溶液のpHは6.1、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は46,000であった。
検水管付コンデンサー、窒素導入管、温度計、滴下漏斗、攪拌機付きガラス製反応容器にイオン交換水247gを仕込み、攪拌し反応系内を窒素置換し窒素を導入しながら80℃まで昇温した。イオン交換水63g、メタクリル酸の50g、ME1000の100g、ME2000の100gの混合物、10%チオグリコール酸水溶液50g、10%過硫酸ソーダ水溶液50gを、各々滴下漏斗を用い反応容器へ2時間かけ滴下した。その後同温度で2時間熟成した。熟成終了後冷却し50℃となったら48%NaOHの48gを徐々に加え中和した。35%過酸化水素水1gを投入し1時間攪拌して、比較例2の共重合体水溶液708gを得た。
比較例2の共重合体水溶液は固形分39.6%、1%水溶液のpHは6.4、主成分である高分子化合物の重量平均分子量は26,000であった。
る水溶液である。
なお、実施例1〜8、比較例1及び2の共重合体水溶液に加えて、比較例3としてメラミンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物を採用し、以降の性能試験に用いた。
<石膏分散性>
実施例1〜8、比較例1及び2の各共重合体水溶液並びに比較例3の縮合物を固形分基準で必要量秤量し、水を加え総量で110gになるように練り水を調整した。これに桜印焼石膏A級(吉野石膏(株)製)200gを加え(水石膏比55%)、小型ジューサーミキサーで20秒間練り混ぜを行った。ウレタン製ボード(35cm×35cm)中央にφ50mm×H50mm円筒形中空筒を事前に準備し、練り混ぜを行った石膏スラリーを容器が一杯になるまで直ちに流し込んだ。その後中空筒をウレタンボードと垂直な方向に引き上げ、石膏スラリーの広がりを測定した。広がりの最大と見られる径とそれと垂直な径を測定し、その平均値を分散性の指標とした。
得られた結果を表3に示す。
分散性試験と同様に、実施例1〜8、比較例1及び2の各共重合体水溶液並びに比較例3の縮合物を固形分基準で必要量正秤し、練り水を添加し合計で162gになるように調整した。これに桜印焼石膏A級(吉野石膏(株)製)250gを加え(水石膏比65%)、小型ジューサーミキサーで10秒間練り混ぜを行った。
練り混ぜ後、出来上がった石膏スラリーを直ちに紙コップに移し変え、ここにデジタル温度計を差し込み、石膏の硬化に伴う発熱温度を1分単位で測定し、最大温度に到達した時間を昇温ピーク時間とし、硬化遅延性の指標とした。
得られた結果を表3に示す。
一方、ポリアマイドポリアミンを含まない従来のポリカルボン酸系分散剤に相当する比較例1は、分散性においては比較的優れた結果を示したものの、硬化遅延を生ずるとする結果が得られた。また、比較例2は、減水性が悪く、硬化遅延性も出る結果となった。
さらに、ホルムアルデヒドを含む従来の分散剤に相当する比較例3は、硬化は早いものの、減水性に劣るとする結果が得られた。
Claims (7)
- アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の構造単位と、カルボン酸基を有する構造単位と、ポリアルキレングリコール基を有する構造単位を含み、重合により得られた水溶性両性高分子化合物を主成分とすることを特徴とする石膏用分散剤。
- 前記窒素原子含有の構造単位が、ポリアマイドポリアミン、アルキレンオキサイドを付加したポリアマイドポリアミン、並びにそれらの混合物のうちいずれかに由来するものであることを特徴とする、請求項1記載の石膏用分散剤。
- 前記窒素原子含有の構造単位が、ポリアルキレンイミン、アルキレンオキサイドを付加したポリアルキレンイミン、並びにそれらの混合物のうちいずれかに由来するものであることを特徴とする、請求項1記載の石膏用分散剤。
- 前記カルボン酸基を有する構造単位が重合性カルボン酸類由来のものであり、該重合性カルボン酸類は、メタクリル酸、アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及び不飽和脂肪酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の石膏用分散剤。
- アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の化合物、カルボン酸基を有する化合物及びポリアルキレングリコール基を有する化合物を単量体成分とし、共重合により得られた水溶性両性高分子化合物を主成分とすることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の石膏用分散剤。
- カルボン酸基を有する化合物を必須の単量体成分として得られた(共)重合体、又は該カルボン酸基を有する化合物及びグラフト結合基を有する化合物を必須の単量体成分として得られた(共)重合体に、グラフト反応により、前記アミド基、アミノ基及びイミノ基から選ばれる少なくとも一種を有する窒素原子含有の化合物及び/又は前記ポリアルキレングリコール基を有する化合物をカルボン酸基及び/又はグラフト結合基を介してグラフト化させてなる水溶性両性グラフト高分子化合物を主成分とすることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の石膏用分散剤。
- 請求項1乃至請求項6記載の石膏用分散剤に加え、更に発泡剤、消泡剤、撥水剤、硬化促進剤等の添加剤を含有してなる石膏用分散剤組成物。
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