JP2007313913A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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清茂 山内
Hikari Umekida
光 梅木田
Hitohiro Ozawa
仁博 小澤
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Abstract

【課題】結合部の周方向ガタをなくすと共に、長期間に亘って緩みを防止して信頼性と操縦安定性を図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】ハブ輪1と複列の転がり軸受2および等速自在継手3がユニット化され、小径段部1bの加締部1cで内輪5が固定されると共に、外側継手部材14の軸部20がハブ輪1に内嵌された車輪用軸受装置において、ハブ輪1の内周に、アウトボード側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーション13が形成され、このセレーション13に係合するセレーション21が軸部20の外周に形成されると共に、軸部20の端部に雄ねじ22が形成され、この雄ねじ22と、この雄ねじ22に締結される固定ナット24に、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロット23とピン孔25がそれぞれ穿設され、これらピン孔25とスロット23とに割りピン27が嵌挿されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置に関するもので、特に、軸受部と等速自在継手とを着脱自在にユニット化した車輪用軸受装置に関する。
自動車等の車両のエンジン動力を車輪に伝達する動力伝達装置は、エンジンから車輪へ動力を伝達すると共に、悪路走行時における車両のバウンドや車両の旋回時に生じる車輪からの径方向や軸方向変位、およびモーメント変位を許容する必要があるため、エンジン側と駆動車輪側との間に介装されるドライブシャフトの一端を摺動型の等速自在継手を介してディファレンシャルに連結し、他端を固定型の等速自在継手を含む車輪用軸受装置を介して車輪に連結している。
近年、省資源あるいは公害等の面から燃費向上に対する要求は厳しいものがある。自動車部品において、中でも車輪軸受装置の軽量化はこうした要求に応える要因として注目され、強く望まれて久しい。従来から軽量化を図った車輪用軸受装置に関する提案は種々のものがあるが、それと共に自動車等の組立現場あるいは補修市場において、組立・分解作業を簡略化して低コスト化を図ることも重要な課題となっている。
図4に示す車輪用軸受装置は、こうした要求を満たした代表的な一例である。この車輪用軸受装置は、複列の転がり軸受51と等速自在継手52とを着脱自在にユニット化して構成されている。複列の転がり軸受51は、車体に取り付けるための車体取付フランジ53bを一体に有し、内周に複列の外側転走面53a、53aが形成された外方部材53と、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ54bを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面53a、53aに対向する内側転走面54a、54aが形成された内方部材54と、両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体55、55とを備えている。
等速自在継手52は、外側継手部材56と継手内輪57、ケージ58、およびトルク伝達ボール59とを備え、外側継手部材56は、カップ状のマウス部60と、このマウス部60の底部をなす肩部61と、この肩部61から軸方向に延びる中空状の軸部62を一体に有し、軸部62の外周には雄スプライン62aが形成されている。この雄スプライン62aは、内方部材54の内周に形成された雌スプライン54cに係合し、ドライブシャフト(図示せず)からの回転トルクが内方部材54を介して車輪取付フランジ54bに伝達される。
軸部62は最小限に短く形成され、内周に締結ボルト63が螺着する雌ねじ62bが形成されている。内方部材54の雌スプライン54cの外側端には肩部64が形成され、締結ボルト63の頭部63aがワッシャ65を介してこの肩部64に支持されている。そして、この締結ボルト63によって、外側継手部材56の肩部61が内方部材54の内側端面54dに圧接支持され、複列の転がり軸受51と等速自在継手52とが着脱自在にユニット化されている。したがって、外径が比較的大きい当接面によって内方部材54と軸部62の結合部に発生する曲げモーメントが良好に支持されているので、この曲げモーメントが両スプライン54c、62aに悪影響を与えることなく、回転トルクを伝達することができる。また、軸部62の軸方向の長さが肩部61の当接面の径に比べて小さいので、曲げモーメントは両スプライン54c、62aに極僅かに作用するに過ぎない。
さらに、軸部62の軸方向の長さが図示しないディファレンシャル側の摺動型等速自在継手の摺動ストロークよりも短いため、締結ボルト63の支持位置に関係なく、等速自在継手52をディファレンシャルに向って軸方向に摺動させるだけで軸部62を内方部材54に脱着することができ、分解・組立作業が簡素化される。
特公平1−51369号公報
然しながら、こうした車輪用軸受装置は、軽量・コンパクト化が達成できると共に、分解・組立作業が簡素化できると言う特徴を備えているが、両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタを完全に防止することは難しい。両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタが大きいと車両の急加減速時等に異音が発生するだけでなく、両スプライン54c、62aの係合部が摩耗して操縦安定性が低下する恐れがある。また、内方部材54の端面と外側継手部材56の肩部と当接させて締結ボルト63で緊締する構造であるので、外側継手部材56に大きなトルクが負荷され捩じれが生じた場合、当接面で急激なスリップによるスティックスリップ音が発生する恐れがある。
ここで、軸部62の雄スプライン62aに捩れ角を設け、内方部材54の雌スプライン54cに圧入嵌合させてその両スプライン54c、62aの係合部の周方向ガタを殺すことも考えられるが、軸部62の雄スプライン62aに捩れ角を設けると、内方部材54への外側継手部材56の脱着作業が難しくなると言う問題等々が内在していた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、結合部の周方向ガタをなくすと共に、長期間に亘って緩みを防止して信頼性と操縦安定性を図った車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、ハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手が着脱自在にユニット化された車輪用軸受装置であって、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介してトルク伝達可能に内嵌された車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周に、アウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記軸部の外周に形成されると共に、当該軸部の端部に雄ねじが形成され、この雄ねじと、この雄ねじに締結される固定ナットに、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロットとピン孔がそれぞれ穿設され、これらピン孔とスロットとに割りピンが嵌挿されている。
このように、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、等速自在継手を構成し、ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部がハブ輪にセレーションを介してトルク伝達可能に内嵌された車輪用軸受装置において、ハブ輪の内周に、アウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが軸部の外周に形成されると共に、当該軸部の端部に雄ねじが形成され、この雄ねじと、この雄ねじに締結される固定ナットに、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロットとピン孔がそれぞれ穿設され、これらピン孔とスロットとに割りピンが嵌挿されているので、固定ナットの緩みを効果的に防止することができ、固定ナットを必要最小限の軸力で締結することができる。したがって、結合部の周方向ガタをなくすと共に、長期間に亘って緩みを防止して信頼性と操縦安定性を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記軸部が短軸で構成され、この軸方向長さがディファレンシャル側の摺動型等速自在継手の摺動ストロークよりも小さく設定されていれば、外方部材が懸架装置に固定された状態で、外側継手部材をインナー側に向って摺動させるだけでハブ輪から軸部を容易に分離することができ、脱着作業を簡便化することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部が形成され、この加締部によって所定の軸受予圧が付与された状態で前記内輪が軸方向に固定されていれば、セルフリテイン構造を提供することができ、ねじ手段を強固に緊締することなく初期に設定された軸受予圧を長期間維持することができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記ハブ輪と外側継手部材が結合された状態で、前記加締部と肩部との間に所定の軸方向すきまが形成されていれば、外側継手部材に大きなトルクが負荷されて捩れが生じても、加締部の摩耗が防止されると共に、加締部と肩部との間でスティックスリップ音が発生しない。
好ましくは、請求項5に記載の発明のように、前記肩部の外周に環状溝が形成され、この環状溝に弾性リングが装着されて前記加締部に弾性接触していれば、加締部と肩部との間に形成される環状空間を液密的に閉塞することができ、外部から雨水やダスト等が結合部に侵入するのを防止し、発錆による結合部の固着を防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手が着脱自在にユニット化された車輪用軸受装置であって、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記等速自在継手を構成し、前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介してトルク伝達可能に内嵌された車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周に、アウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記軸部の外周に形成されると共に、当該軸部の端部に雄ねじが形成され、この雄ねじと、この雄ねじに締結される固定ナットに、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロットとピン孔がそれぞれ穿設され、これらピン孔とスロットとに割りピンが嵌挿されているので、固定ナットの緩みを効果的に防止することができ、固定ナットを必要最小限の軸力で締結することができる。したがって、結合部の周方向ガタをなくすと共に、長期間に亘って緩みを防止して信頼性と操縦安定性を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
ハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手が着脱自在にユニット化された車輪用軸受装置であって、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記等速自在継手を構成し、前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された外側継手部材とを備え、この外側継手部材が、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介してトルク伝達可能に内嵌されると共に、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、所定の軸受予圧が付与された状態で前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記ハブ輪の内周にアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記軸部の外周に形成されると共に、当該軸部の端部に雄ねじが形成され、この雄ねじと、この雄ねじに締結される固定ナットに、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロットとピン孔がそれぞれ穿設され、これらピン孔とスロットとに割りピンが嵌挿されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2(a)は、図1の等速自在継手を示す縦断面図、(b)は、(a)のII−II線に沿った横断面図、(c)は、(a)のA矢視図、図3は、図1の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この車輪用軸受装置は、ハブ輪1と複列の転がり軸受2および等速自在継手3を着脱自在にユニット化した、所謂第3世代と称される構成を備えている。
複列の転がり軸受2は、外方部材7と内方部材8と複列の転動体(ボール)9、9とを備えている。外方部材7はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ7bを一体に有し、内周に複列の外側転走面7a、7aが形成されている。この複列の外側転走面7a、7aには、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
一方、内方部材8は、前記した外方部材7の外側転走面7a、7aに対向する複列の内側転走面1a、5aが形成されている。これら複列の内側転走面1a、5aのうち一方(アウター側)の内側転走面1aがハブ輪1の外周に、他方(インナー側)の内側転走面5aが内輪5の外周にそれぞれ一体に形成されている。この場合、内方部材8はハブ輪1と内輪5を指す。そして、複列の転動体9、9がこれら両転走面間にそれぞれ収容され、保持器10、10によって転動自在に保持されている。また、外方部材7と内方部材8との間に形成される環状空間の開口部にはシール11、12が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の周方向等配にハブボルト4aが植設されている。そして、ハブ輪1の外周に内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、この小径段部1bに内輪5が圧入されている。この内輪5は、ハブ輪1の小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1cにより、予圧が付与された状態でハブ輪1に対して軸方向に固定されている。また、ハブ輪1の内周にはアウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーション(またはスプライン)13が形成されている。そして、このセレーション13の小径側の端部には肩部6が形成されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、アウター側のシール11が摺接するシールランド部から内側転走面1aおよび小径段部1bに亙る外周面が高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。なお、加締部1cは鍛造加工後の表面硬さの生のままとされている。また、内輪5および転動体9はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ4の基部となるシールランド部は耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ4に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪1の耐久性が一層向上する。また、小径段部1bと内輪5との間の嵌合面に発生するフレッティング摩耗を最小限に抑えることができる。
なお、ここでは、ハブ輪1の外周に内側転走面1aが直接形成された第3世代の複列の転がり軸受を例示したが、これに限らず、ハブ輪に一対の内輪が圧入された第1世代または第2世代構造であっても良い。また、転動体9にボールを使用した複列のアンギュラ玉軸受を例示したが、転動体9に円錐ころを使用した複列の円錐ころ軸受であっても良い。
等速自在継手3は、外側継手部材14と継手内輪15とケージ16およびトルク伝達ボール17からなる。外側継手部材14は、カップ状のマウス部18と、このマウス部18の底部をなす肩部19と、この肩部19から軸方向に延びる軸部20とを有し、マウス部18の内周および継手内輪15の外周には軸方向に延びる曲線状のトラック溝18a、15aがそれぞれ形成されている。また、外側継手部材14はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、トラック溝18a、15aをはじめ、肩部19から軸部20に亙る外周面に高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。
ここで、図2(a)に示すように、等速自在継手3における外側継手部材14の軸部20は短軸で構成され、この軸部20の外周にハブ輪1のセレーション13に係合するセレーション(またはスプライン)21が形成されている。このセレーション21は、その母線がアウター側(端部)に向って漸次小径となるテーパ状に形成されている。また、端部には雄ねじ22が転造によって形成されている。そして、この雄ねじ22には、図2(b)、(c)に示すように、軸心を通って径方向に貫通するスロット23が複数穿設されている。このスロット23は所定の幅に軸方向に延び、矩形状に形成されている。
一方、図1に示すように、この雄ねじ22に締結される固定ナット24には、軸心を通って径方向に貫通するピン孔25が複数個穿設されている。そして、肩部19と加締部1cの端面との間に所定の軸方向すきまδが介在するように外側継手部材14の軸部20がセレーション13、21を介してハブ輪1に嵌合された後、ハブ輪1の肩部6に当接するワッシャ26を介して固定ナット24が雄ねじ22に所定の締付トルクで締結される。ここで、固定ナット24を締結する過程で、固定ナット24のピン孔25と、雄ねじ22に穿設されたスロット23とが一致した位置で割りピン27が嵌挿されると共に、この割りピン27の先端を折り曲げることにより、ハブ輪1と外側継手部材14とが軸方向に分離可能に結合されている。なお、スロット23およびピン孔25の位相位置が容易に分かるように、軸部20および固定ナット24の端面に相マーク等のマーキングを施しておけば組立が簡便化できる。
このように、外側継手部材14の軸部20が短軸で形成され、この軸部20の外周に母線がテーパ状をなすセレーション21が形成されてハブ輪1のセレーション13に嵌合しているので、軽量・コンパクト化が図れると共に、周方向のガタを殺すことができてガタのない強固な結合が実現できる。また、従来のようなパワープレス等の特殊な専用治具を必要とせず、軸部20の第1の雄ねじ22に第1のナット25を締め込むだけで外側継手部材14をハブ輪1に容易に引き込むことができるので、分解・組立時の作業性を向上させて低コスト化を図ることができる。
この種のテーパ状のセレーション13、21において、ナット等のねじ手段で締結する場合、軸力が増大すると軸部20に外嵌されている内方部材8(ハブ輪1および内輪5)が膨張し、過大なフープ応力が発生する恐れがある。また、このフープ応力を抑制するために軸力、すなわち、ナット等の締付トルクを必要最小限に抑えた場合、ナット等が緩んで結合部にガタが発生して好ましくない。
ここで、本実施形態では、軸部20の端部に雄ねじ22が形成され、この雄ねじ22に複数のスロット23が穿設されると共に、雄ねじ22に締結される固定ナット24に複数のピン孔25が穿設され、このピン孔25とスロット23とに割りピン27を嵌挿させているので、固定ナット24の緩みを効果的に防止することができ、固定ナット24を必要最小限の軸力で締結することができる。したがって、テーパ状の母線を有するセレーション13、21により結合部の周方向ガタをなくすと共に、長期間に亘って緩みを防止して信頼性と操縦安定性を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
また、軸部20の軸方向長さが図示しないディファレンシャル側の摺動型等速自在継手の摺動ストロークよりも小さく設定されていれば、例えば、外方部材7が懸架装置(図示せず)に固定された状態で、外側継手部材14をインナー側に向って摺動させるだけでハブ輪1から軸部20を容易に分離することができ、脱着作業を簡便化することができる。
前述したように、外側継手部材14の肩部19とハブ輪1の加締部1cの端面との間に所定の軸方向すきまδが形成されると共に、図3に示すように、肩部19の外周に環状溝28が形成され、この環状溝28にOリング等からなる弾性リング29が装着されている。この弾性リング29は、加締部1cに弾性接触し、加締部1cと肩部19との間に形成される環状空間を液密的に閉塞する。これにより、外側継手部材14に大きなトルクが負荷されて捩じれが生じても加締部1cの摩耗が防止されると共に、スティックスリップ音が発生することがない。また、外部から雨水やダスト等が結合部に侵入するのを防止し、発錆による結合部の固着を防止して補修時の分解作業性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪を有する軸受部と等速自在継手とをセレーションを介してトルク伝達可能に連結し、ねじ手段により両者を着脱自在にユニット化した車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 (a)は、図1の等速自在継手を示す縦断面図である。 (b)は、(a)のII−II線に沿った横断面図である。 (c)は、(a)のA矢視図である。 図1の要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、5a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・・・・・加締部
2・・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
4・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
4a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
6、19・・・・・・・・・・・・・肩部
7・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
7a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
7b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
8・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
9・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
10・・・・・・・・・・・・・・・保持器
11、12・・・・・・・・・・・・シール
13、21・・・・・・・・・・・・セレーション
14・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
15・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
15a、18a・・・・・・・・・・トラック溝
16・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
17・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
18・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
20・・・・・・・・・・・・・・・軸部
22・・・・・・・・・・・・・・・雄ねじ
23・・・・・・・・・・・・・・・スロット
24・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
25・・・・・・・・・・・・・・・ピン孔
26・・・・・・・・・・・・・・・ワッシャ
27・・・・・・・・・・・・・・・割りピン
28・・・・・・・・・・・・・・・環状溝
29・・・・・・・・・・・・・・・弾性リング
51・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
52・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
53・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
53a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
53b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
54・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
54a・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
54b・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54c、62a・・・・・・・・・・セレーション
54d・・・・・・・・・・・・・・内側端面
55・・・・・・・・・・・・・・・転動体
56・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
57・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
58・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
59・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
60・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
61、64・・・・・・・・・・・・肩部
62・・・・・・・・・・・・・・・軸部
62b・・・・・・・・・・・・・・雌ねじ
63・・・・・・・・・・・・・・・締結ボルト
63a・・・・・・・・・・・・・・頭部
65・・・・・・・・・・・・・・・ワッシャ
δ・・・・・・・・・・・・・・・・軸方向すきま

Claims (5)

  1. ハブ輪と複列の転がり軸受および等速自在継手が着脱自在にユニット化された車輪用軸受装置であって、
    内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記等速自在継手を構成し、前記ハブ輪にねじ手段を介して軸方向に分離可能に結合された外側継手部材とを備え、
    この外側継手部材が、カップ状のマウス部と、このマウス部の底部をなす肩部と、この肩部から軸方向に延びる軸部とを一体に有し、この軸部が前記ハブ輪にセレーションを介してトルク伝達可能に内嵌された車輪用軸受装置において、
    前記ハブ輪の内周に、アウター側に向って漸次小径となるテーパ状の母線からなるセレーションが形成され、このセレーションに係合するセレーションが前記軸部の外周に形成されると共に、当該軸部の端部に雄ねじが形成され、この雄ねじと、この雄ねじに締結される固定ナットに、軸心を通って径方向に貫通する複数のスロットとピン孔がそれぞれ穿設され、これらピン孔とスロットとに割りピンが嵌挿されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記軸部が短軸で構成され、この軸方向長さがディファレンシャル側の摺動型等速自在継手の摺動ストロークよりも小さく設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて加締部が形成され、この加締部によって所定の軸受予圧が付与された状態で前記内輪が軸方向に固定されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記ハブ輪と外側継手部材が結合された状態で、前記加締部と肩部との間に所定の軸方向すきまが形成されている請求項3に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記肩部の外周に環状溝が形成され、この環状溝に弾性リングが装着されて前記加締部に弾性接触している請求項4に記載の車輪用軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108026971A (zh) * 2015-09-25 2018-05-11 Ntn株式会社 车轮用轴承装置

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