JP2007270598A - 構造壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】人力により簡易に施工を行うことができ、かつ、剛性および耐力等の力学的にすぐれていて、なおかつ、美観性、採光性および通風等、機能的にもすぐれている構造壁を提案する。
【解決手段】縦片12と横片13とを組み合わせることにより構成された複数の分割ピース11,11,…を、互いに連結することにより形成された格子状部材10を備えた構造壁1であって、縦片12および横片13は、小口面が格子状部材10の面外方向を向くように配置された板材からなり、分割ピース11同士は、隣接する分割ピース11同士の縦片12または横片13を跨ぐように配設された固定板材により連結されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造物の剛性および耐力を増加させるために構築される構造壁に関する。
例えば、耐震性が不十分であると判断された既設構造物に対する一般的な補強構造としては、柱と梁から形成される既設梁柱架構の内側空間に、現場打ち鉄筋コンクリート耐震壁や、鉄骨ブレース等を配置することにより、耐震補強を行っていた。
ところが、鉄筋コンクリート耐震壁は、梁柱架構の内側空間を壁体により塞いでしまうため、美観および彩光が悪化するとともに、ダクトを含めた必要な配管等を行うことができないなどの問題点を有していた。また、鉄骨ブレースによる耐震補強は、採光や配管等は可能であるものの、鉄骨の配置により意匠的な設計の自由度が制限されるという問題点を有していた。
そのため、特許文献1には、図15(a)に示すように、美観性および採光性の向上を図ることを目的として、梁柱架構110の内側空間に固定された鋼板102と、縦横方向に整列して当該鋼板102に形成された開口部103とを有する耐震補強壁101が提案されている。
また、本出願人は、図15(b)に示すように、既存建物の梁柱架構210の内側空間内に分割可能な間柱203と中間梁204とのユニット202をボルト接合にて格子状に配置して、既存建物の耐震補強を行う耐震補強壁201を開示し、実用化に至っている。これにより採光性を確保するとともに、分割された部材を搬入することで既存建物への補強壁の搬入および設置を可能としている(特許文献2参照)。
特開2002−70213号公報([0020]−[0039]、図1−図15) 特開2000−240296号公報([0009]−[0013]、図1)
ところが、前記特許文献1に記載の耐震補強壁101は、梁柱架構110の内空断面と同形状の一枚の鋼板102に開口部103を設けることにより形成された格子状の部材であるため、既存建物の間取りによっては、搬入できない場合があった。また、この耐震補強壁101は、その重量や大きさにより、人力による施工が困難なため、施工機械を介して施工を行う必要がある。そのため、施工機械を配置することが可能なスペースを確保することが可能な建物に限定されるという、問題点も有していた。
一方、特許文献2に記載の発明は、分割されたユニット202を格子状に組み立てることで、既存建物の間取りや規模に限定されることなく、部材の搬入および設置を可能とし、採光性も確保しつつ、補強を行うことを可能としているものの、それぞれが構造材である間柱203や中間梁204を架構面内に配置するため、それぞれの部材厚が厚く、視界や美観を損ねる場合があった。また、H形鋼等により構成された各ユニット202(間柱203および中間梁204)は、分割されてはいるものの、重量が重く、人力による搬送や設置が困難な場合があり、施工性に影響をきたす場合があった。
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、人力により簡易に施工を行うことができ、かつ、剛性および耐力等の力学的にすぐれていて、なおかつ、美観性、採光性および通風等、機能的にもすぐれている構造壁を提案することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明の構造壁は、複数の開口部を有した格子状の壁本体と、前記複数の開口部のうち、少なくとも一部に設置される板状部材と、を備える構造壁であって、前記壁本体は、複数の分割ピースを互いに連結することにより形成されていることを特徴としている。
かかる構造壁は、壁本体が格子状に構成されていることにより、この構造壁が構築された構造物に作用する外力を適切に分散させるため、構造物の耐力や剛性が増加する。また、複数形成された格子状の壁本体の開口部のうち、所定の開口部に板状部材が配置されるため、より耐力や剛性等の力学的に優れた構造壁が構築される。また、この構造壁は、複数の開口部を有した状態で形成することが可能なため、採光性に優れているとともに配管等を可能としており、さらに、意匠的な設計の自由度にも優れている。そして、この構造壁は、複数の分割ピースを連結することにより形成されるため、各分割ピースの重量を人力による取り扱いが可能な程度(例えば、30kg以下)に設定すれば、別途機械等を要することなく、人力により構造壁を構築することが可能となるため、例えば、既存の建物等、作業スペースの確保が困難な箇所への構造壁の構築も可能となり、好適である。さらに、この構造壁は、複数の分割ピースに細かく細分化されているため、部材の搬入ルートが限定されることがない。
ここで、本明細書において壁本体とは、分割ピースを連結することにより構成されて、構造壁の主材として、その強度により構造物の剛性と耐力とを高めることを目的として配置される構造材である。また、板状部材とは、所定の強度を有した板状の部材であって、構造壁の所定の開口部に適切に配置されることにより当該構造壁が配置される構造物の剛性と耐力を高めることを可能とする部材をいう。
また、本発明の構造壁において、前記壁本体は、任意の間隔で配された縦材と横材で構成される格子状部材であって、前記板状部材には、四辺に固定部材が形成されていて、前記格子状部材は、縦片と横片とで構成される複数の分割ピースを互いに連結することにより形成されており、前記分割ピース同士は、隣接する該分割ピースの前記縦片同士または前記横片同士を跨ぐように配設された固定部材により連結されていてもよい。
かかる構造壁は、壁本体(格子状部材)が縦材と横材とを格子状に組み合わせて構成されていることにより、この構造壁が構築された構造物に作用する外力を縦材および横材へと分散させるため、構造物の耐力や剛性が増加する。また、隣り合う分割ピース同士が、縦片同士または横片同士を跨ぐように配設された固定部材により連結されているため、連続した縦材および横材による格子状部材が形成されて、優れた耐力や剛性を発揮する。また、板状部材の四辺に固定部材が形成されているため、板状部材が配置される開口部に隣接する分割ピース同士は、板状部材の配置とともに連結されるため、施工性に優れている。
前記構造壁において、前記分割ピースは、小口面が前記格子状部材の面外方向を向くように配置された板材で構成されていてもよい。このような構成により、構造壁を正面からみると、線状の格子が形成される。このため、この構造壁は、視界を遮ることがなく、美観性に優れている。
また、前記構造壁において、前記板状部材が、前記複数の開口部に対して市松状に配置されていれば、別途固定部材を要することなく分割ピースを連結するとともに、板状部材が構造壁に斜め方向に連続して配置されるため、トラス状の抵抗機構が形成されて、力学的に有利な構造となる。そのため、地震時や強風時等の水平耐力を増強することが可能となる。
また、前記構造壁において、前記固定部材を、前記分割ピースとの当接面を接着剤により接着することで、該分割ピースに固定すれば、作業が容易で、早期施工が可能となる。また、供用中の建物への構造壁の設置工事であって、火気設備等が使用できない場合であっても、構造壁の構築が可能となる。また、ナットやボルトの頭等の突出部がないため、意匠設計上でも優れている。なお、接着剤としては、例えば、エポキシ系やアクリル系等、金属の接着に適した公知の接着剤の中から適宜選定して、使用すればよい。
また、前記構造壁において、前記固定板材が、該固定板材または前記分割ピースに形成された複数の溶接孔を介して栓溶接することにより、前記分割ピースに固定されていてもよい。つまり、当該接合部に期待されるせん断力に応じて形成された数および形状の溶接孔について栓溶接することで固定するため、固定板材全周囲について溶接する通常の溶接に比べて容易に構造壁を構築することが可能となるため、好適である。
また、前記構造壁において、前記分割ピースが、十字状、T字状またはL字状に形成されていれば、各分割ピースの形状が小さく、軽量なため、取り扱いが容易で、作業の効率化が可能となる。
また、本発明の構造壁は、前記分割ピースが、角形筒状部材により構成されており、前記壁本体は、前記筒状部材の隣り合う辺同士を重ね合わせた状態で連結することにより形成されていることを特徴としている。
かかる構造壁は、角形筒状の分割ピースを積み重ねた状態で、上下左右に隣り合う分割ピースの辺同士を連結することにより、連続した縦材と横材とからなる格子状の壁本体が形成されるため、優れた耐力や剛性を有している。また、この壁本体の形成は、角筒状の分割ピースを積み重ねた状態で連結することが可能なため、分割ピースを仮止め(仮押さえ)する手間を省略することが可能となり、施工性に優れている。
前記構造壁において、前記板状部材が、前記筒状部材に内空面に溶接されていれば、別途板状部材を配置するための手間を省略することが可能となり、好適である。
本発明によれば、人力により簡易に施工を行うことができ、かつ、剛性および耐力等の力学的にすぐれていて、なおかつ、美観性、採光性および通風等、機能的にもすぐれている構造壁を提供することが可能となった。
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
<第1の実施の形態>
図1は第1の実施の形態に係る構造壁を示す正面図である。図2(a)〜(c)は、第1の実施の形態に係る構造壁の各分割ピースを示す斜視図である。図3は、第1の実施の形態に係る構造壁の板状部材を示す斜視図である。図4は、第1の実施の形態に係る分割ピースの連結構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。また、図5(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る構造壁の構築方法を示す図である。
第1の実施の形態に係る構造壁1は、図1に示すように、左右に立設された柱2,2とこれらの柱2,2に横設されている上下の梁3,4とにより形成された梁柱架構5の内側空間に配設されている。
構造壁1は、任意の間隔により配された縦材と横材とを組み合わせることにより複数の開口部14,14,…を有して形成された格子状部材10と、格子状部材10に形成された少なくとも一部の開口部14を閉塞するように配置される板状部材20とから構成されている。そして、格子状部材10と梁柱架構5とは、その隙間に充填されたグラウト材40により一体に固定されている。ここで、第1の実施の形態では、開口部14,14,…が、同一寸法の正方形に形成されているが、長方形に形成されていてもよく、また、位置に応じて異なる寸法に形成されていてもよい。
構造壁1は、図1に示すように、縦4段、横9列の開口部14を有した格子状部材10と、格子状部材10の開口部14を一つおきに閉塞し、市松状に配置された複数枚(第1の実施の形態では18枚)の板状部材20とから構成されている。なお、格子状部材10の開口部の縦横の段数や列数は限定されないことはいうまでもない。また、板状部材20の配置ピッチや枚数等も限定されるものではなく、必要とされる構造壁の強度や格子状部材10の形状等に応じて、適宜設定すればよい。
格子状部材10は、縦片12と横片13とを組み合わせることにより構成された複数の分割ピース11を互いに連結することにより形成されている。つまり、格子状部材10の縦材は、連結された分割ピース11同士の縦片12,12,…であって、格子状部材10の横材は、連結された分割ピース11同士の横片13,13…である。そして、分割ピース11同士の連結は、板状部材20の四辺に形成されて、隣接する分割ピース11,11の縦片12同士または横片13同士を跨ぐように配設された固定板材(固定部材)21により行われている(図4(a)参照)。
第1の実施の形態では、分割ピース11として、縦片12と横片13とが交差する交点を1箇所含み、略十字状に組み合わされた十字状ピース11a(図2(a)参照)と、縦片12と横片13とを直角を成す交点を1箇所含み、略L字状を呈するL字状ピース11b(図2(b)参照)と、縦片12また横片13の中央に横片13または縦片12を接合する交点を1箇所含み、略T字状を呈するT字ピース11c(図2(c)参照)を使用する。
各分割ピース11を構成する縦片12および横片13は、図1および図2に示すように、小口面が構造壁1(格子状部材10)の面外方向を向くように配置された鋼製の板材からなる。なお、板材の厚みや幅等の形状寸法は限定されるものではないが、第1の実施の形態では、板厚が16mm、幅が200mmのものを使用する。そして、第1の実施の形態に係る各分割ピース11は、開口部14が略400×400mmの正方形となるように、交点から縦片12または横片13の先端までの長さが195mmに構成されている。これにより分割ピース11は20kg以下に構成されている。なお、分割ピース11を構成する材料や形状寸法等は前記のものに限定されるものではなく、人力により取り扱いが可能な程度の形状および重量となるように、適宜設定すればよい。
ここで、分割ピース11は、板材を溶接等により一体に接合することにより構成してもいいし、また、鋳物により構成してもよい。
板状部材20は、図3に示すように、略正方形に形成されており、この正方形の四辺には、固定部材として、長方形状のフランジ(固定板材21)が形成されている。また、板状部材20の各角部は、切り欠かれていて、図4(a)に示すように、板状部材20を格子状部材10の開口部14に設置した状態で略5角形状の開口が形成されるような、欠損部22が形成される。ここで、第1の実施の形態では、固定部材として、板状の固定板材21を形成するものとしたが、固定部材の形状は限定されるものではなく、適宜任意の形状に形成することが可能である。
第1の実施の形態に係る板状部材20は、板厚が9mmの低降伏点鋼材(LYP)からなり、この四辺に、フランジ部である板厚が16mmの固定板材21を一体に接合することにより構成されている。これにより、板状部材20は、全体として重量が27kgに構成されており、人力による取り扱いが可能である。なお、板状部材20を構成する材料や形状寸法等は前記のものに限定されるものではなく、人力により取り扱いが可能な程度の形状および重量となるように、適宜設定すればよい。例えば、板厚が薄い普通鋼材により同形状の板状部材20を構成してもよい。また、第1の実施の形態では、板状部材20に欠損部22を形成するものとしたが、欠損部22は必ずしも形成される必要はない。また、第1の実施の形態では、板状部材20の周縁に固定板材21,21,…を固定するものとしたが、鋳物により板状部材20の周縁にフランジ部(固定板材21,21,…)が予め形成されていてもよく、板状部材20の形成方法は限定されるものではない。また、固定板材21の板状部材20への固定方法は、例えば溶接により固定するなど、適宜公知の手段により行えばよい。
分割ピース11,11の連結は、図4(a)および(b)に示すように、隣接する分割ピース11の縦片12同士または横片13同士を跨ぐように固定板材21を配設し、縦片12または横片13と固定板材21との当接面全体について接着剤30を介して接着(全面接着)することで行う。
分割ピース11と固定板材21との接着に使用する接着剤は、鋼製部材同士の接着性に優れており、構造壁1に作用することが想定される外力によりはく離することやせん断破壊することがないものであれば限定されないが、本実施形態では、エポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤を使用する。また、分割ピース11,11と固定板材21との接着は、必ずしも全面接着する必要はなく、分割ピース11同士の連結に必要な強度を発現することが可能であれば、部分的な接着でもよいことはいうまでもない。
なお、本実施形態では、分割ピース11同士の間に、隙間が形成されているが、分割ピース11同士の隙間の有無は限定されるものではない。
次に、図5(a)〜(d)を参照して、本実施形態に係る構造壁1の構築方法について、説明する。
構造壁1の構築は、図5(a)に示すように、まず、梁柱架構5の内側空間であって、構造壁1の下端に対応する箇所に、グラウト材40を敷設する。そして、グラウト材40の上面に、最下段の分割ピース11(L字状ピース11bおよびT字状ピース11c)を配設する。
次に、最下段の板状部材20を配置し、固定部材21の分割ピース11との当接面を接着剤30により分割ピース11に全面接着する(図5(b)参照)。
最下段の板状部材20を配設したら、図5(c)に示すように、2段目の分割ピース11(十字状ピース11aおよびT字状ピース11c)を配置する。この時、新たに配置された分割ピース11と既存の板状部材20とを、接着しながら行う。2段目の分割ピース11の配置が完了したら、2段目の板状部材20,20,…を2段目の分割ピース11に接着しつつ配設する。
同様に、分割ピース11および板状部材20を下から順に配設することにより、格子状部材10を完成させる。そして、格子状部材10が完成したら、格子状部材10の上面および側面と、梁柱架構5との間にグラウト材40を充填する(図5(d)参照)。なお、グラウト材40は、適宜公知のグラウト材の中から選定して使用すればよく、限定されるものではないが、本実施形態では、構造壁1の側面および下端に対応する箇所には通常モルタル41を使用し、構造壁1の上端に対応する箇所には無収縮モルタル42を使用する。構造壁1の上端の梁柱架構5との接合部に無収縮モルタル42を使用することにより、グラウト材40の収縮により隙間が形成されることを防止している。
以上、第1の実施の形態に係る構造壁1によれば、格子状部材10が、それぞれ人力による取り扱いが可能な重量および形状となるように分割された分割ピース11,11,…により構成されているため、既存の建物等、搬入ルートとして限られた空間しか確保することができないような場合でも、部材を搬入することができるため、設置箇所に限定されることなく、あらゆる構造物の耐力や剛性の増強を図ることができる。
また、分割ピース11に加え、板状部材20も、人力による取り扱いが可能な重量および形状に形成されているため、人力のみにより構造壁1を容易に構築することができ、施工性に優れている。また、従来、構造壁の構築に必要としていた、各種建設機械や設備を省略することができるため、費用も大幅に削減することが可能となる。
構造壁1は、適切な位置に配置された板状部材20と格子状部材10とにより構成されているため、従来の耐震壁やブレース材等と同様に、地震時や強風時に構造壁1が配置された構造物に作用する応力に対して、十分な耐力や剛性を有する構造物を構築することができる。また、板状部材20として、低降伏点鋼材を使用しているため、板状部材20が構造壁1に作用する外力を吸収し、構造物の耐力が増強される。
第1の実施の形態に係る板状部材20は、四隅が切り欠かれて欠損部22が形成されているため、構造壁1に応力が作用した際に、応力および歪が一点(板状部材20の角)に集中することがなく、格子状部材10(縦片12または横片13)に分散されるため、エネルギーを効果的に吸収することを可能としている。
また、板状部材20の配置により、採光や通風、または、美観性のデザインを自由に設計することができるため、好適である。
また、板状部材20として、ガラス繊維強化プラスチック、グレーチング、パンチングメタル等の材質の板材を使用すれば、デザインの自由度が増し、好適である。
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に付いて、図6を参照して説明する。ここで、図6は、第2の実施の形態に係る分割ピースの連結構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。
第2の実施の形態に係る構造壁1は、板状部材20を栓溶接により分割ピース11と接合する点で、分割ピース11と板状部材20(固定板材21)との接合を、接着剤30により行う第1の実施の形態と異なっている。
図6の(a)に示すように、板状部材20の固定板材21と分割ピース11’を挟んで対向する箇所には、板状部材20の分割ピース11’への接合時の受材として、固定板材15が配置されている。
第2の実施の形態に係る分割ピース11’の縦片12および横片13(図2参照)には、図6(a)および(b)に示すように、板状部材20の四辺に対応する箇所に、それぞれ溶接孔11h,11h,…が所定の間隔により複数個(本実施形態では各縦片12または横片13につき4箇所ずつ)形成されている。
分割ピース11’の板状部材20が設置されない開口部14側の面には、固定板材15(15’)が配置されている。そして、板状部材20の上面および左右のいずれか一方(本実施形態では図6(a)において右側)に対応する箇所に配置された固定板材15’には、分割ピース11’の溶接孔11h,11h,…に対応して、溶接孔15h,15h,…が形成されている。なお、固定板材15(15’)の形状寸法は限定されるものではないが、本実施形態では板状部材20の四辺に形成された固定板材21と同形状の鋼板により構成する。また、固定板材15(15’)は、必要に応じて配置すればよく、必ずしも配置されるものではない。
また、第2の実施の形態に係る板状部材20には、図6(a)および(b)に示すように、左右のいずれか一方(本実施形態では図6(a)において左側)および下端に形成された固定板材21’が、分割ピース11’の溶接孔11h,11h,…に対応して溶接孔21h,21h,…が複数箇所(本実施形態ではそれぞれ8箇所)形成されている。これに対し、板状部材20の左右の他方(図6(a)において右側)および上端に形成された固定板材21には、溶接孔21hは形成されていない。なお、溶接孔21hが形成されていない固定板材21の分割ピース11’を挟んで対向する箇所に配置される各固定板材15’には、溶接孔15hが分割ピース11’に形成された溶接孔11hに対応して形成されている。
第2の実施の形態における分割ピース11’同士の連結は、分割ピース11’,11’,…により形成された開口部に14に板状部材20を配置した後、溶接孔11hおよび21hまたは溶接孔11hおよび15hを利用して、分割ピース11’と固定板材21’とを溶接接合(栓溶接)する。
なお、栓溶接は、上方から下向き、あるいは、側方から横向きに行うものとする。つまり、板状部材20の上部および一方の側部(図6(a)における右側)の接合は、板状部材20が配設された開口部14に隣接する開口部14,14から、固定板材15’に形成された溶接孔15hおよび分割ピース11’に形成された溶接孔11hから栓溶接を行うことにより、分割ピース11’と固定板材15’,21とを接合する。また、板状部材20の下部および他方の側部(図6(a)における左側)の接合は、板状部材20の固定板材21’ に形成された溶接孔21hおよび分割ピース11’に形成された溶接孔11hから栓溶接を行うことにより分割ピース11’と固定板材15,21’とを接合する。
ここで、溶接孔11h,15h,21hの形状、数、配置等は限定されるものではなく、格子状部材10と板状部材20との接合に必要なせん断力等により適宜設定すればよい。また、栓溶接に使用する設備機器等も限定されるものではなく、適宜公知のものから選定して使用すればよい。
この他、第2の実施の形態に係る構造壁1の構成および構築方法は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態に係る構造壁1によれば、格子状部材10と板状部材20と固定板材15とが、栓溶接により強固に固定されているため、接着剤30のはく離強さまたはせん断強さ以上の負荷が構造壁1に作用しても、構造壁1に破損が生じることがなく、構造物の耐力、剛性を増強させることが可能となる。
また、第2の実施の形態に係る構造壁1は、溶接孔11h,15hおよび21hを利用して、部分的に溶接するのみで固定されるため、固定板材21の周囲を全体的に溶接する場合に比べて作業を大幅に省略することができ、好適である。
また、構造壁1は、格子状部材10の開口部14に、板状部材20または固定板材15が配置されているため、強度が高く、構造物の耐力や剛性の増強することを可能としている。
この他、第2の実施の形態に係る構造壁1の作用効果は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に付いて、図7を参照して説明する。ここで、図7は、第3の実施の形態に係る構造壁と梁柱架構との接合部を示す部分断面図である。
第3の実施の形態に係る構造壁1は、図7に示すように、アンカー工法により構造壁1と梁柱架構5とを接合する点で、グラウト材の充填により行う第1の実施の形態と異なっている。
図7に示すように、第3の実施の形態に係る構造壁1の梁柱架構5への接合構造42は、格子状部材10の外周囲に所定の間隔により梁柱架構5方向に突出するように形成されたスタッド16,16と、梁柱架構5の左右の柱2,2および上下の梁3,4(図1参照)から格子状部材10側に突出するように突設された複数本のアンカー43,43と、格子状部材10と梁柱架構5との間に形成された隙間を遮蔽するように打設される鉄筋コンクリート44と、により構成されている。
第3の実施の形態では、接合構造42において、梁柱架構5と格子状部材10との隙間において、主筋45とスパイラル筋46とを配筋して、鉄筋コンクリート構造としている。なお、図7における符号47は、腹鉄筋である。
アンカー43は、梁3(または柱2、梁4)の主筋5aを避けて梁3(または柱2、梁4)に配置されており、鉄筋コンクリート44と梁柱架構5との一体化を可能としている。また、スタッド16は、格子状部材10を構成する各分割ピース11に一体に固定されており、格子状部材10と鉄筋コンクリート44との一体化を行う。
以上のように、格子状部材10と梁柱架構5との接合を行うことにより、力の伝達性がより優れていて、より強固に接合する接合構造42が構成される。
この他、第3の実施の形態に係る構造壁1の構成や作用効果等は、第1の実施の形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態に付いて、図8を参照して説明する。ここで、図8は、第4の実施の形態に係る構造壁を示す図であって、(a)は構造壁の一部を示す正面図、(b)から(e)は分割ピースの形状を示す正面図である。
第4の実施の形態に係る構造壁1’は、図8に示すように、板状部材20,20,…が、縦方向に連続して配置されている点で、第1の実施の形態に係る構造壁1と異なっている。
第4の実施の形態に係る構造壁1’は、図8(a)に示すように、構造物の鉛直方向の耐力の増強を目的として、格子状部材10の開口部14について、一列おきに縦方向に連続した板状部材20,20,…が配置されている。
このため、第4の実施の形態に係る各分割ピース11は、図8(b)〜(e)に示すように、それぞれが縦片12と横片13との交点が2箇所ずつ含まれるように構成されており、T字が左右に連結するような形状の分割ピース11d(図8(b)参照)、十字が連結された形状の分割ピース11e(図8(c)参照)、T字と十字とが連結されたような形状の分割ピース11f(図8(d)参照)、略F字を呈する分割ピース11g(図8(e)参照)により構成されている。
なお、各分割ピースの連結方法は、第1の実施の形態で示した内容と同様に、板状部材20を介して行うものとし、詳細な説明は省略する。
第4の実施の形態に係る構造壁1’によれば、格子状部材10の縦の段数(図8(a)では4段)と同数の板状部材20,20,…(図8(a)では4枚)を、縦方向に連続して配置されているため、柱2と柱2(図1参照)との間に間柱を配置するのと同等の効果を得ることが可能となる。
なお、第4の実施の形態では、分割ピース11部材として縦片12と横片13との交点を2箇所含む部材を使用するものとしたが、第1の実施の形態で示した分割ピース11のように、縦片12と横片13との交点が1箇所のみの分割ピースを組み合わせることにより構成してもよいことはいうまでもない。
<第5の実施の形態>
図9は第5の実施の形態に係る構造壁を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。図10は、第5の実施の形態に係る分割ピースの構成を示す斜視図である。図11(a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る構造壁の各分割ピースを示す展開図である。図12は、第5の実施の形態に係る構造壁の変形例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。図13(a)および(b)は、第5の実施の形態に係る構造壁の他の変形例を示す正面図である。
第5の実施の形態に係る構造壁6は、図9(a)および(b)に示すように、左右に立設された柱2,2とこれらの柱2,2に横設されている上下の梁3,4とにより形成された梁柱架構5の内側空間に配設されている。なお、図中の符号3aおよび4aは、上下の床スラブである。
構造壁6は、任意の間隔により配された縦材と横材とを組み合わせることにより複数の開口部63,63,…を有して格子状に形成された壁本体である格子状部材60と、格子状部材60に形成された少なくとも一部の開口部63を閉塞するように配置される板状部材70とから構成されている。そして、格子状部材60と梁柱架構5とは、その隙間に充填されたグラウト材40により一体に固定されている。ここで、第5の実施の形態では、開口部63,63,…が、同一寸法の正方形に形成されているが、長方形に形成されていてもよく、また、位置に応じて異なる寸法に形成されていてもよい。
構造壁6は、図9(a)に示すように、縦4段、横7列の開口部63を有した格子状部材60と、格子状部材60の開口部63を一つおきに閉塞し、市松状に配置された複数枚(第5の実施の形態では14枚)の板状部材70とから構成されている。なお、格子状部材60の開口部の縦横の段数や列数は限定されないことはいうまでもない。また、板状部材70の配置ピッチや枚数等も限定されるものではなく、必要とされる構造壁6の強度や格子状部材60の形状等に応じて、適宜設定すればよい。
格子状部材60は、図9および図10に示すように、複数の分割ピース61,61,…を、上下左右に連続するように積み重ねた状態で、隣り合う分割ピース61同士の重なり合った辺を、高力ボルト65を介して連結することにより形成されている。
本実施形態に係る分割ピース61は、図10に示すように、断面略正方形の角形筒状部材62により構成されている。筒状部材62は、断面正方形の鋼管を、所定の長さで切断することにより構成されており、構造壁6は、この筒状部材62の開口面が構造壁6の前後方向に向くように連結することにより構成されている。ここで、筒状部材62の部材厚、形状幅等は限定されるものではなく、構造壁6の形状寸法や構造壁6に作用する応力等に応じて適宜設定すればよい。また、筒状部材62の製造は、角形鋼管を切断する方法に限定されるものではなく、プレス成形や溶接組立て等、適宜公知の手段により行ってもよい。
筒状部材62には、図10に示すように、隣接する他の分割ピース61(筒状部材62)と当接する側の辺に、高力ボルト65を挿通するためのボルト孔66が、6個形成されている。なお、ボルト孔66の数や形状は限定されるものではなく、高力ボルト65の寸法や本数等応じて適宜設定すればよい。また、分割ピース61同士の連結は、高力ボルト65によるものに限定されないことはいうまでもなく、適宜公知の方法から選定して行えばよい。さらに、高力ボルト65の本数は、限定されるものではなく、高力ボルト65の強度と構造壁6に作用する応力等から適宜設定すればよい。
分割ピース61には、図11(a)に示すように、筒状部材62の内空に何も配置されておらず、開口部63が開口された分割ピース61aと、図11(b)に示すように、筒状部材62の内空が、板状部材70により閉塞された分割ピース61bとがある。本実施形態に係る構造壁6は、板状部材70が配置されていない分割ピース61aと、板状部材70が配置された分割ピース61bとを交互に配置することにより、市松状に構成されている(図9(a)参照)。
板状部材70は、筒状部材62の内空断面と同形状の鋼板であって、筒状部材62の内面の長さ方向(図9(b)において左右方向)の略中央に全周囲が溶接接合されている。
なお、板状部材70の固定方法は溶接によるものに限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。また、板状部材70を構成する材料や板厚等は適宜設定すればよく、限定されるものではないが、本実施形態では、板厚が9mmの低降伏点鋼材(LYP)を使用するものとする。
また、構造壁6の側部(梁柱架構5に当接する位置)に配置される分割ピース61cには、図10および図11(c)に示すように、梁柱架構5側の辺(面)に6本のスタッド64,64,…が、突設されている。また、構造壁6の角部に配置される分割ピース61dには、図10および図11(d)に示すように、柱2と梁3,4側の辺(面)にそれぞれ6本のスタッド64,64,…が突設されている。ここで、スタッド64の本数は限定されるものではなく、スタッド64の形状や構造壁6に作用する応力等により適宜設定すればよい。
分割ピース61,61の連結は、図10に示すように、分割ピース61を所定の箇所に配置した後、隣り合う分割ピース61,61に形成されたボルト孔66,66に高力ボルト65を挿通し、締め付けることにより行う。
構造壁6と梁柱架構5との接合は、格子状部材60と梁柱架構5との間の隙間にグラウト材40を充填することにより行う。なお、格子状部材60の周縁には、スタッド64,64,…が突設されているため、接合性に優れている。なお、構造壁6と梁柱架構5との接合方法は、前記の方法に限定されるものではなく、例えば、第3の実施の形態で説明した方法と同様に、アンカー工法により行ってもよい。
以上、第5の実施の形態に係る構造壁6によれば、格子状部材60が、それぞれ人力による取り扱いが可能な重量および形状となるように分割された分割ピース61,61,…により構成されているため、既存の建物等、搬入ルートとして限られた空間しか確保することができないような場合でも、部材を搬入することができるため、設置箇所に限定されることなく、あらゆる構造物の耐力や剛性の増強を図ることができる。
また、分割ピース61に加え、板状部材70も、人力による取り扱いが可能な重量および形状に形成されているため、人力のみにより構造壁6を容易に構築することができ、施工性に優れている。また、従来、構造壁の構築に必要としていた、各種建設機械や設備を省略することができるため、費用も大幅に削減することが可能となる。
また、格子状部材60を構成する分割ピース61が、角形鋼管を一定の長さで切断することにより製作されるため、同一形状で同品質のものを安価に形成することができる。
また、各筒状部材62は、同形状に形成されるため、縦横に積み重ねた際に分割ピース同士の間に隙間ができにくい。なお、角形鋼管の製作制度が悪く、隣り合う直交面が真に直角でない場合は、隣接する筒状部材62の上下左右を交互に反転させることにより隙間が形成されること無く、積み上げることが可能となる。
また、分割ピース61同士は、高力ボルト65を介して接合されるため、現場溶接が不要であり、火気の使用が制限されるような既設構造物においても容易に構造壁6の構築を行うことできる。また、溶接に必要な設備等を省略することが可能なため、作業スペースが限られるような場合でも施工が可能である。
また、板状部材70を予め分割ピース61に接合しておくことにより、現場での接合の手間を省くとともに、現場溶接が不要となり火気の使用が制限されるような既設構造物において容易に構造壁6の構築を行うことできる。
また、板状部材70として低降伏点鋼を使用しているため、板状部材70が構造壁6に作用する外力を吸収し、履歴ダンパーとしての機能を発揮する。
構造壁6は、板状部材70が配置された分割ピース61bと配置されていない分割ピース61aとを交互に市松状に配置しているため、板状部材70によるトラス機構が形成されることにより、耐震壁としての力学的性能が確保されている。
構造壁6は、適切な位置に配置された板状部材70と格子状部材60とにより構成されているため、従来の耐震壁やブレース材等と同様に、地震時や強風時に構造壁6が配置された構造物に作用する応力に対して、十分な耐力や剛性を有する構造物を構築することができる。
構造壁6は、アンカーレス工法により梁柱架構5に接合されているため、既設の梁柱架構5へのアンカー設置等、工事に伴う騒音や振動を低減することを可能としている。
また、板状部材70の配置により、採光や通風、または、美観性のデザインを自由に設計することができるため、好適である。また、この構造壁6を飾り棚として使用したり、照明器具をはめ込むことも可能である。
また、板状部材70として、ガラス繊維強化プラスチック、グレーチング、パンチングメタル等の材質の板材を使用すれば、デザインの自由度が増し、好適である。
なお、第5の実施の形態では、板状部材70が市松状に配置される構成としたが、図12(a)および(b)に示す構造壁6aのように、格子状部材61の開口部63の全てに板状部材70を配置する構成としてもよい。この構造壁6aによれば、従来の鉄筋コンクリート壁に比べて、施工性に優れているとともに、養生期間がなく、短期間で施工を行うことが可能となる。また、乾式での施工が可能なため、現場を汚すことがない。また、従来の鋼板壁や鉄骨ブレース等と比較しても、人力による搬送が可能な分割ピース61を搬入して、組み立てることにより施工を行えるため、クレーン等の施工機械を必要とせず、作業スペースが制限された既設構造物内への施工も可能である点で優れている。
また、このような梁柱架構5の内空面を閉塞する構造壁6aを構築する場合において、一部、配管やダクト等のための開口が必要な場合があっても、その箇所の分割ピース61を、板状部材70が設置されていない分割ピース61aに変更するのみで、容易に開口部63を形成することを可能としている。
また、図13(a)に示すように、分割ピース61の配置により、窓開口67が形成された構造壁6bの構築が可能である。なお、構造壁6aにおける窓開口67の数や形状寸法は、限定されるものではない。
さらに、図13(b)に示すように、掃きだし開口を設けて、門型に配置することで、出入口68が形成された構造壁6cの構築も可能である。なお、構造壁6bにおける出入口68の数や形状寸法は限定されるものではない。
以上、本発明について、好適な実施形態の一例を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
例えば、前記各実施形態では、格子状部材を板材により構成するものとしたが、格子状部材を構成する材料は限定されるものではなく、各分割ピースの重量が、人力により取り扱いが可能な程度に形成されるのであれば、例えば、H形鋼や溝形鋼等、適宜公知の材料から適宜選定して、使用すればよい。
また、前記各実施形態では、本発明の構造壁を梁柱架構の内側空間に配置するものとしたが、構造壁の設置箇所は限定されるものではなく、天井スラブ、床スラブ、壁等、その他の躯体により構成された空間に配置してもよい。
また、本発明の構造壁は、外壁として構造物の外側に配置してもよく、その設置箇所は、構造物の内外を問わない。
また、板状部材の格子状部材への取り付け方法は、力の伝達が可能であれば、接着剤や栓溶接による方法に限定されるものではなく、例えば、ボルトとナットによる締着や通常の溶接等、適宜公知の方法から選定して行えばよい。
また、板状部材の配置は、前記のものに限定されるものではなく、構造壁の目的、必要とされる耐力、景観等を考慮して、適宜設定すればよく、例えば、V字状、横V字状、X字状、ブレース状等に配置することで、外力に対する耐力を増強するとともに、個性的な景観を付与する構成としてもよい。
また、構造壁の耐力や剛性の増強を目的として、板状部材にリブを形成してもよい。
また、構造材としての板状部材により閉塞されている開口部以外の開口部に、風雨の浸入を防ぐことや構造壁の美観性を高めること等を目的として、ガラス製やプラスチック製等の非構造材を配置してもよいことはいうまでもない。
板状部材は、鋼板に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維強化プラスチック、グレーチング、パンチングメタル等が使用可能である。また、板状部材3の形状は正方形に限定されるものではなく、開口部5の形状に応じて適宜設定されることはいうまでもない。
格子状部材の梁柱架構への取り付けは、格子状部材の外周囲と梁柱架構との隙間にモルタル等のグラウトの充填や、アンカー工法等に限定されるものではなく、例えば摩擦工法など、適宜公知の方法の中から選定して行うことができる。
また、板状部材により閉塞されている開口部以外の開口部に、縦片または横片に沿ってリブを形成することにより、格子状部材の耐力や剛性の増強を行ってもよい。
また、前記第5の実施の形態では、各分割ピース61を構成する筒状部材62の形状の形状が断面略正方形の場合について説明したが、筒状部材62の断面形状は限定されるものではなく、その他の多角形でもよい。例えば、図14(a)に示す構造壁6dのように、断面八角形の筒状部材62’により格子状部材(壁本体)60’を構成してもよい。また、図14(b)に示す構造壁6eのように、断面六角形の筒状部材62”により格子状部材(壁本体)60”を構成してもよい。なお、この場合において、各分割ピース61’,61”の内空に配置される板状部材70’,70”は、筒状部材62’,62”の内空形状に応じて形成されることはいうまでもない。
本実施の形態に係る構造壁を示す正面図である。 (a)〜(c)は、本実施形態に係る構造壁の各分割ピースを示す斜視図である。 本実施形態に係る構造壁の板状部材を示す斜視図である。 本実施形態に係る分割ピースの連結構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。 (a)〜(d)は、本実施形態に係る構造壁の構築方法を示す図である。 第2の実施の形態に係る分割ピースの連結構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。 第3の実施の形態に係る構造壁と梁柱架構との接合部を示す部分断面図である。 第4の実施の形態に係る構造壁を示す図であって、(a)は構造壁の一部を示す正面図、(b)から(e)は分割ピースの形状を示す正面図である。 第5の実施の形態に係る構造壁を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。 第5の実施の形態に係る分割ピースの構成を示す斜視図である。 (a)〜(d)は、第1の実施の形態に係る構造壁の各分割ピースを示す展開図である。 第5の実施の形態に係る構造壁の変形例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。 (a)および(b)は、第5の実施の形態に係る構造壁の他の変形例を示す正面図である。 (a)および(b)は、第5の実施の形態に係る構造壁のその他の変形例を示す正面図である。 (a)、(b)ともに従来の構造壁を示す正面図である。
符号の説明
1,1’ 構造壁
10 格子状部材
11 分割ピース
11a 十字状ピース
11b L字状ピース
11c T字状ピース
12 縦片
13 横片
14 開口部
20 板状部材
21 固定板材(固定部材)
5 梁柱架構
6,6a,6b,6c,6d,6e 構造壁
60 格子状部材(壁本体)
61 分割ピース
62 筒状部材
63 開口部
70 板状部材

Claims (9)

  1. 複数の開口部を有した格子状の壁本体と、
    前記複数の開口部のうち、少なくとも一部に設置される板状部材と、を備える構造壁であって、
    前記壁本体は、複数の分割ピースを互いに連結することにより形成されていることを特徴とする構造壁。
  2. 前記壁本体は、任意の間隔で配された縦材と横材で構成される格子状部材であって、
    前記板状部材には、四辺に固定部材が形成されていて、
    前記格子状部材は、縦片と横片とで構成される複数の分割ピースを互いに連結することにより形成されており、
    前記分割ピース同士は、隣接する該分割ピースの前記縦片同士または前記横片同士を跨ぐように配設された固定部材により連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の構造壁。
  3. 前記分割ピースは、小口面が前記格子状部材の面外方向を向くように配置された板材で構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の構造壁。
  4. 前記板状部材が、前記複数の開口部に対して市松状に配置されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の構造壁。
  5. 前記固定部材が、前記分割ピースとの当接面が接着剤を介して接着されることにより、該分割ピースに固定されることを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の構造壁。
  6. 前記固定板材が、該固定板材または前記分割ピースに形成された複数の溶接孔を介して栓溶接することにより、前記分割ピースに固定されることを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の構造壁。
  7. 前記分割ピースが、十字状、T字状またはL字状に形成されていることを特徴とする、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の構造壁。
  8. 前記分割ピースが、角形筒状部材により構成されており、
    前記壁本体は、前記筒状部材の隣り合う辺同士を重ね合わせた状態で連結することにより形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の構造壁。
  9. 前記板状部材が、前記筒状部材に内空面に溶接されていることを特徴とする、請求項8に記載の構造壁。
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