以下、本発明の照明装置の実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
(実施形態1)
本実施形態の照明装置1は、目覚まし装置としての機能を有するものであって、図1に示すように、白熱灯(白熱電球)等の光源6の調光制御用の調光回路部2と、2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成されるとともに光源6の光軸上に配置され、印加電圧(交流電圧)に応じて所定の色温度の光(本実施形態では、主に色温度が低い、すなわち可視領域において長波長の光)の透過率が変化する液晶フィルタ部3と、該液晶フィルタ部3に印加する交流電圧を制御する調色回路部4と、予め設定された照明プログラムに従って調光回路部2及び調色回路部4を制御する照明制御部5とを備えている。尚、調光回路部2、及び調色回路部4の回路構成については従来周知のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
調光回路部2は、図2に示すように、直列接続された商用電源等の交流電源ACと光源6に直列接続されるトライアック(3端子双方向サイリスタ)Q1を有しており、トライアックQ1と交流電源ACとの間には、雑防用のインダクタL1が介装され、交流電源ACには雑防用のコンデンサC1が並列に接続されている。また、トライアックQ1とインダクタL1との接続点と、トライアックQ1のゲートとの間には、コンデンサC2及び抵抗R1からなる並列回路が接続されており、トライアックQ1のゲートには、トランジスタ(PNPトランジスタ)Q2のエミッタが接続されている。このトランジスタQ2のコレクタは、抵抗R2を介してグラウンドに接続され、トランジスタQ2のベースは、パルス信号からなる後述の調光用の制御信号S1が入力される入力端子INに接続されるとともに、抵抗R3を介してエミッタに接続されている。
以上により構成された調光回路部2によれば、入力端子INに入力される制御信号S1のオンデューティを変化させることによって(すなわちデューティ比を調整することによって)、トライアックQ1がオンとなる時間を制御することができ、これにより交流電源ACから光源6に電力を供給する時間を制御して、光源6の調光制御を行うことができるようになっている。
液晶フィルタ部3は、分子配向により光吸収率が変化する2色性色素として、長波長の光を吸収して色温度を増加させる2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成された青色液晶フィルタである。このような液晶フィルタ部3は、図3(a)に示すように、2色性色素3aを混合させたネマティック液晶3bを透明樹脂(アクリル樹脂やエポキシ樹脂等)3cに分散してなる液晶層3dを、互いに対向する面に透明電極(ITO等)3eが形成された一対の透明基板(ガラス基板や、透明なプラスチック基板)3fで挟み込んで素子化することで得られる。また、透明電極3eの表面には、ネマティック液晶3bの液晶分子を所望の方向に配向させるために、ナイロン繊維付のロールでラビング(摩擦)されたポリイミド配向膜(図示せず)が設けられている。ここで、ネマティック液晶3bとしては、例えば、シアノビフェール系や、シクロヘキサン系等の化学的に安定で耐光性に優れたものを用いることが望ましい。また、長波長の光を吸収して色温度を増加させる2色性色素3aとしては、ネマティック液晶3bに対して溶解性を有するものが望ましく、例えば、アントラキノン系色素が好適である。
以下、このような液晶フィルタ部3の透過率特性について図3(b)を参照して説明する。まず液晶フィルタ部3に交流電圧が印加されていない場合は、2色性色素の色素分子がネマティック液晶の液晶分子とともに入射偏光に平行に配向しており(ホモジニアス配向)、このとき細長い2色性色素分子の軸が偏光と平行であるため、2色性色素の特性に従って、図3(b)中にグラフB1で示すように長波長の光を吸収する。この状態から液晶フィルタ部3に交流電圧を印加すると、液晶分子とともに色素分子が電界方向に配向して吸収が解消し、これにより図3(b)中にグラフB2で示すように、長波長の光に対する吸収率が減少し(換言すれば、透過率が増加し)、液晶フィルタ部3に印加される交流電圧の電圧値が所定値以上となると、図3(b)中にグラフB3で示すように、長波長の光をほとんど吸収しなくなり、略全ての波長の光に対して略100%の透過率を有するようになる。
一方、液晶フィルタ部3に、例えば電圧値が約15V以上で、周波数が数百Hz〜数kHzと低い交流電圧を印加した場合には、液晶分子とともに色素分子が十分に電界方向に配向できる時間が増えるために光の吸収率が減少し、図3(b)中にグラフB3で示すように、長波長の光をほとんど吸収しなくなる。この状態から交流電圧の周波数を高くしていくと、交流電圧が連続的に印加される時間が減少するために、色素分子が十分に電界方向に配向されなくなり、結果として光の吸収率が増えていき(換言すれば、透過率が減少していき)、周波数が数kHz〜数百kHz程度になると図3(b)中にグラフB1で示すように、長波長の光のほとんどを吸収するようになる
以上述べたように、液晶フィルタ部3は、印加される交流電圧の電圧値の大小と、交流電圧の周波数の高低とによって、光の吸収率(光の透過率)が変化するものである。具体的には、液晶フィルタ部3は、印加される交流電圧の電圧値が大きければ、長波長の光に対する吸収率が減少し(透過率が増加し)、印加される交流電圧の電圧値が小さければ、長波長の光に対する吸収率が増加し(透過率が減少し)、また、印加される交流電圧の周波数が高ければ、長波長の光に対する吸収率が増加し(透過率が増加し)、印加される交流電圧の周波数が低ければ、長波長の光に対する吸収率が減少する(透過率が増加する)ことになる。
調色回路部4は、液晶フィルタ部3に所定の電圧値及び周波数の交流電圧を印加することで、液晶フィルタ部3の透過率(吸収率)を調整するためのものであり、図1に示すように商用電源等の交流電源ACを元にして所定電圧の直流電源を生成する電源回路4aと、電源回路4aで生成した直流電源を元にして所定周波数の交流電源を生成するインバータ回路4bとで構成されている。
電源回路4aは、図4に示すように、商用電源等の交流電源ACの両端間に1次巻線N1が介装されたトランスTR1と、トランスTR1の2次巻線N2の両端がそれぞれ入力端子に接続されたダイオードブリッジDB1と、ダイオードブリッジDB1の出力端子間に接続された雑防用のコンデンサC3とを有している。このコンデンサC3の両端間には、スイッチング素子Q3と、インダクタL2と、ダイオードD1とからなる降圧チョッパ回路BCが接続されており、この降圧チョッパ回路BCの出力端子間には、電解コンデンサC4が接続されている。また、電源回路4aは、照明制御部5の出力する後述する第1の調色用の制御信号S2に応じて降圧チョッパ回路BCのスイッチング素子Q3をオンオフ制御するスイッチング制御部SC1を有している。
このような電源回路4aによれば、スイッチング制御部SC1によりスイッチング素子Q3のオンデューティを調整することによって、降圧チョッパ回路BCの出力電圧を所望の値に設定することができ、この降圧チョッパ回路BCの出力電圧が液晶フィルタ部3に印加される交流電圧の電圧値となる。
一方、インバータ回路4bは、例えば図5(a)に示すように、電解コンデンサC4に並列に接続されるスイッチング素子Q4,Q5の直列回路と、スイッチング素子Q4,Q5の直列回路に並列接続されるコンデンサC5,C6の直列回路と、スイッチング素子Q4,Q5の接続点に一端が接続されるインダクタL3と、後述する調色用の制御信号S3に応じて各スイッチング素子Q4,Q5をオンオフ制御するスイッチング制御部SC2とを有する所謂ハーフブリッジ方式のインバータ回路であり、インダクタL3の他端と、コンデンサC5,C6の接続点との間に液晶フィルタ部3が介装される。
このようなインバータ回路4bによれば、スイッチング制御部SC2により各スイッチング素子Q4,Q5のオンオフを切り替えるタイミングを制御することで、液晶フィルタ部3に印加する交流電圧の周波数の高低を調整することができるようになっている。
ところで、液晶フィルタ部3用のインバータ回路としては、図5(a)に示すものに限られるものではなく、例えば図5(b)に示すようなインバータ回路4cを用いてもよい。
ここで、図5(b)に示すインバータ回路4cは、電解コンデンサC4に並列に接続されるスイッチング素子Q6,Q7の直列回路と、該直列回路に並列に接続されるスイッチング素子Q8,Q9の直列回路と、スイッチング素子Q6,Q7の接続点に一端が接続されるインダクタL4と、各スイッチング素子Q6〜Q9をオンオフ制御するスイッチング制御部SC3とを有する所謂フルブリッジ方式のインバータ回路であり、インダクタL4の他端と、スイッチング素子Q8,Q9の接続点との間に液晶フィルタ部3が介装される。
このようなインバータ回路4cによれば、図5(a)に示すインバータ回路4bと同様に、スイッチング制御部SC3により各スイッチング素子Q6〜Q9のオンオフを切り替えるタイミングを制御することで、液晶フィルタ部3に印加する交流電圧の周波数の高低を調整することができる。
したがって、このような調色回路部4によれば、液晶フィルタ部3に印加する交流電圧の電圧値と周波数とを調整することで、液晶フィルタ部3の透過率を所望の値に設定することができる。
照明制御部5は、図1に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御部5aと、照明装置1の調光、調色制御用のプログラムである照明プログラムが記憶された記憶部5bと、水晶振動子(図示せず)等を用いて時間をカウントするクロック部5cと、現時刻や起床設定時刻等の表示等、様々な機能の表示を行うための表示部5dと、現時刻の修正や、起床設定時刻の入力等を行うための操作部5eとを有している。ここで、クロック部5cや、表示部5d、操作部5eは、従来の目覚まし装置にも用いられているように周知のものであるから説明を省略する。
制御部5aは、記憶部5bに記憶されている照明プログラムに従って、調光回路部2に前述のパルス信号からなる調光用の制御信号S1を、調色回路部4に調色用の制御信号S2,S3をそれぞれ出力して、調光回路部2及び調色回路部4を制御する自動制御機能と、操作部5eの入力に応じて制御信号S1〜S3を出力して、調光回路部2及び調色回路部4を制御する手動制御機能とを有している。この他、制御部5aは、操作部5eの入力に応じて現時刻(現在時刻)の設定、修正を行うとともに、クロック部5cに従って現時刻のカウントを行う機能や、現時刻を表示部5dに表示する機能、操作部5eの入力に応じて起床時刻の設定、修正等を行う機能等、目覚まし装置として必要な機能を有している。
記憶部5bは、RAM等の記憶装置であって、制御部5aにより調光回路部2及び調色回路部4を制御させるための照明プログラムが記憶されている。ここで、照明プログラムの一例としては、光刺激により就寝者を目覚めさせるための起床プログラムがあり、例えば、照明装置1の照射する光(以下、「照射光」と略す)により人(就寝者)を照らす際の照度と、照射光の色温度とを制御することによって、就寝者に自然界の光に近い光を照射することによって、就寝者を速やかに目覚めさせる(覚醒させる)ためのものである。
例えば、この起床プログラムは、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)以前は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに低くすることで、就寝者に朝の自然界の雰囲気を感じさせて眠りが浅くなるように誘導し、起床時刻以降は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに高くすることで、就寝者に覚醒を促すように構成されている。
以下に、このような起床プログラムについてさらに詳細に説明する。この起床プログラムは、図6(a)に示すように、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)である時刻t3より所定時間前(例えば、30分〜60分前)の時刻t1から時刻t3の所定時間前(例えば、5分〜10分前)の時刻t2までの期間である低照度期間T1と、時刻t2から時刻t3までの期間である中照度期間T2と、時刻t3から所定の時刻(例えば、起床プログラムの動作終了時刻)の期間である高照度期間T3との3つの期間に分けて照明装置1の動作(制御部5aの動作)を制御することで、照射光による照度を図6(a)中にaで示すように変化させ、照射光の色温度を図6(a)中にbで示すように変化させるように構成されている。
ここで、低照度期間T1は、照明装置1により就寝者に日の出(夜明け)前後の朝の自然界の雰囲気を感じさせるための期間であり、起床プログラムは、クロック部5cを用いてカウントした現時刻が時刻t1となった際に、制御部5aに制御信号S1を出力させて光源6の点灯を開始させ、この後に時刻t2において照射光による照度がLx1(例えば250lx以下)になるまで光源6の光度を徐々に高くするように、制御部5aに制御信号S1を出力させる。また、低照度期間T1では、日の出前後、例えば日の出40分後から日の出1時間後程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度が徐々に上昇する、具体的には時刻t1で色温度を3000Kに設定し、徐々に色温度を上昇させて時刻t2で色温度を4000Kに設定するように、制御部5aに制御信号S2,S3を出力させる。
ところで本実施形態で用いている光源6は、図6(b)に示すように放射する光の色温度が3000Kの白熱灯であり、照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において低い(照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において最低値である)ので、起床プログラムは、光源6の光度と、色温度が低い光に対する液晶フィルタ部3の透過率とが反比例するように調光回路部2及び調色回路部4を制御するように設定されている。したがって、液晶フィルタ部3は、時刻t1において透過率が最高になるとともに、時刻t2に近づくにつれて透過率が徐々に低くなるように制御される。
中照度期間T2は、日の出後の朝の自然界の雰囲気を就寝者に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx2(例えば500lx〜1000lx程度)になるまで光源6の光度を高くするように、制御部5aに制御信号S1を出力させる。また、中照度期間T2では、起床プログラムは、低照度期間T1で設定した色温度を保持するように、すなわち照射光の色温度が4000Kである状態を維持するように、制御部5aに制御信号S2,S3を出力させる。したがって、この中照度期間T2では、液晶フィルタ部3の透過率は略一定に保たれる。
高照度期間T3は、日の出後の日射がある状態、すなわち朝から昼にかけての自然界の雰囲気を人に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx3(例えば2000lx以上)になるまで光源6の光度を高くするように、制御部5aに制御信号S1を出力させる。また、高照度期間T3では、午後3時程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度を徐々に上昇させる、具体的には照射光の色温度が5000K以上となるように、制御部5aに制御信号S2,S3を出力させる。したがって、この高照度期間T3では、液晶フィルタ部3の透過率が中照度期間T2のときよりも減少させられる。
そして、高照度期間T3を経た後は、起床プログラムは、動作を終了し、これにより光源6が消灯される。
したがって、以上述べた起床プログラムによれば、照明装置1は、図6(a)に示すように、低照度期間T1において光出力及び色温度が低い照射光を就寝者に照射することで、朝の自然界に近い雰囲気を就寝者に感じさせ、続く中照度期間T2において就寝者の眠り(睡眠レベル)が浅くなるように促し、この後の高照度期間T3において光出力及び色温度が高い照射光を就寝者に照射することで就寝者に覚醒を促すように、動作することになる。これにより、就寝者に朝の起床をスムーズに行わせることが可能となる。また、一般的な音刺激により就寝者を目覚めさせる目覚し装置とは異なり、耳障りな音を鳴動させることなく、就寝者に覚醒を促すことから、起床時に人に不快感を与えることを抑制できる。尚、本実施形態の照明装置1に音刺激を発生させるための装置を付設してもよいが、この場合であっても、光刺激により就寝者に覚醒を促していることによって、音刺激による不快感を抑制できる。
尚、照明プログラムとしては、上記の起床プログラムに限られるものではなく、光源6の光度とともに色温度を低くするような就寝プログラムであってもよいし、また、時間帯に応じて(例えば、図6(b)に示すような時間帯と色温度の情報に基づいて)照射光の色温度を変化させることで、人に自然界の雰囲気を感じさせるようなものであってもよく、さらには所望の照明が得られるように照明プログラムを自由に設定できるようにしてもよい。この点は後述する他の実施形態においても同様である。
以上述べた調光回路部2と、液晶フィルタ部3と、調色回路部4と、照明制御部5とで照明装置1は構成されている。
そして、本実施形態の照明装置1によれば、調光回路部2により光源6の光度(明るさ)を所望の値に設定することができるとともに、調色回路部4により液晶フィルタ部3の透過率を調整することで照射光の色温度を所望の値に設定することができるから、照射光により人を照らす際の照度と、照射光の色温度を個別に制御することが可能となり、例えば、就寝時には照度及び色温度を低くし、起床時には照度及び色温度を高くするような制御が行えるようになり、結果として幅広い照明制御が行えるという効果を奏する。また、照明装置1によれば、上記のように照射光により人を照らす際の照度と色温度を個別に制御できるので、上記の起床プログラムに従って、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)以前は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに低くすることで、就寝者に朝の自然界の雰囲気を感じさせて眠りが浅くなるように誘導するという動作が可能になる。また、起床時刻以降は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに高くすることで、就寝者に覚醒を促すという動作が可能となる。これにより、就寝者に朝の起床をスムーズに行わせることができるようになる。
さらに、上述したように、本実施形態の照明装置1において照明プログラムである起床プログラムは、光源6が放射する光の色温度が、起床プログラムで制御する色温度の範囲内において低い(照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において最低値の3000K)場合に、光源6の光度と、色温度が低い光に対する液晶フィルタ部3の透過率とが反比例するように調光回路部2及び調色回路部4を制御するようにプログラムしている。そのため、照明装置1によれば、光源6の光度を低くした際には、液晶フィルタ部3の透過率が高くなるために、就寝者を照らす照度及び色温度が低い照射光を照射することが可能になり、光源6の光度を高くした際には、液晶フィルタ部3の透過率が低くなるために、就寝者を照らす照度及び色温度が高い照射光を照射することが可能になる。これにより、本実施形態の照明装置1によれば、放射する光の色温度が低い光源6を用いた場合に、照射光の色温度を広範囲に変化させることができるという効果を奏する。
(実施形態2)
本実施形態の照明装置10は、実施形態の照明装置1と同様に目覚まし装置としての機能を有するものであって、図7に示すように、放電灯(例えば蛍光灯)からなる光源60の調光制御用の調光回路部20と、2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成されるとともに光源60の光軸上に配置され、印加電圧に応じて所定の色温度の光(本実施形態では、主に色温度の高い、すなわち可視領域において短波長の光)の透過率が変化する液晶フィルタ部30と、該液晶フィルタ部30に印加する交流電圧を制御する調色回路部40と、予め設定されたプログラムに従って調光回路部20及び調色回路部40を制御する照明制御部50とを備えている。
調光回路部20は、図8に示すように、交流電源ACを直流電源に変換する電源回路部20aと、電源回路20aが出力する直流電源を元に光源60駆動用の高周波電圧を生成するインバータ回路20bとで構成されている。
電源回路20aは、図8に示すように、商用電源等の交流電源ACの両端にそれぞれ入力端子が接続されたダイオードブリッジDB2と、ダイオードブリッジDB2の出力端子間に接続された昇圧チョッパ用のチョークコイルからなるインダクタL5とスイッチング素子Q10との直列回路、及びインダクタL5とスイッチング素子Q1との接続点にアノードが接続されたダイオードD2からなる昇圧チョッパ回路と、ダイオードD2のカソードとグラウンドとの間に接続される平滑用のコンデンサC8と、スイッチング制御部SC4とで構成されている。この電源回路20aでは、スイッチング素子Q10がオンのときに、交流電源AC、ダイオードブリッジDB2、インダクタL5、スイッチング素子Q10、ダイオードブリッジDB2、交流電源ACの経路で電流が流れ、スイッチング素子Q10がオフのときに、交流電源AC、ダイオードブリッジDB2、インダクタL5、ダイオードD1、コンデンサC8、ダイオードブリッジDB2、交流電源ACの経路で電流が流れることで、スイッチング素子Q10がオンの際にインダクタL5に蓄積されたエネルギーの分だけ、コンデンサC8に生じる電圧が上昇することになる。尚、昇圧チョッパ回路は、従来周知のものであるから詳細な説明は省略する。
したがって、電源回路20aによれば、スイッチング制御部SC4によりスイッチング素子Q10のオンデューティを調整することによって、昇圧チョッパ回路の出力電圧を所望の値に設定することができ、この昇圧チョッパ回路の出力電圧がインバータ回路20bに出力されることになる。
一方、インバータ回路20bは、図8に示すように、コンデンサC8に並列に接続されるスイッチング素子Q11,Q12及び抵抗R4からなる直列回路と、スイッチング素子Q12と抵抗R4の直列回路に並列接続される直流カット用のコンデンサC9、フィラメント予熱用のコンデンサC10、及びフィラメント予熱用のトランスTR2の1次巻線N10からなる直列回路と、コンデンサC10とトランスTR2の1次巻線N10の直列回路に並列に接続される共振用のインダクタL6及び共振用のコンデンサC11の直列回路と、スイッチング制御部SC4とで構成されている。また、インバータ回路20bは、光源60の一方のフィラメント60a間に直列接続されるトランスTR2の一方の2次巻線N21及び共振用のコンデンサC12の直列回路と、光源60の他方のフィラメント60b間に直列接続されるトランスTR2の他方の2次巻線N22及び共振用のコンデンサC13の直列回路とを有し、光源60は、コンデンサC11の両端間に接続されており、これにより光源60に適切な電流を供給することができるようになっている。
したがって、インバータ回路20bによれば、スイッチング制御部SC4によりスイッチング素子Q11,Q12がオンオフ操作されることにより、電源回路20aより得た出力電圧を元に高周波電圧が生成され、これにより光源60を点灯させることができる。
さらに、インバータ回路20bは、スイッチング素子Q12のソース電圧を元に、光源60に印加する高周波電圧の周波数を制御する調光制御部を有しており、この調光制御部は、スイッチング素子Q12と抵抗R4との接続点に一端が接続された抵抗R5と、反転入力端子に抵抗R5の他端が接続され、反転入力端子に調光レベルの基準を与える後述する照明制御部50の制御信号S4が入力されるオペアンプOPと、オペアンプOPの出力端子と非反転入力端子との間に接続される抵抗R6及びコンデンサC14からなる並列回路と、オペアンプOPの出力端子に一端が接続される抵抗R7と、抵抗R7の他端にカソードが接続され、アノードがスイッチング制御部SC4に接続されるダイオードD3と、ダイオードD3のアノードとグラウンドとの間に接続される抵抗R8と、スイッチング制御部SC4とで構成されている。つまり、この調光制御部では、オペアンプOPの反転入力端子に入力される制御信号S4の電圧と、非反転入力端子に入力される電圧とを比較し、この比較結果をスイッチング制御部SC4に出力するようになっている。そして、スイッチング制御部SC4は、上記の比較結果に基づいて各スイッチング素子Q10,Q11,Q12のオンオフを制御するように構成されており、これにより光源60に供給する高周波電圧の電圧値及び周波数が調整されて、所望の光度で光源60を点灯させることができるようになっている
したがって、以上により構成された調光回路部20によれば、オペアンプOPの反転入力端子に入力される制御信号S4によって、光源60の調光制御を行うことができるのである。
液晶フィルタ部30は、分子配向により光吸収率が変化する2色性色素として、短波長の光を吸収して色温度を減少させる2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成された黄色液晶フィルタである。ここで、短波長の光を吸収して色温度を減少させる2色性色素としては、ネマティック液晶3bに対して溶解性を有するものが望ましく、例えば、アゾ系色素が好適である。尚、このような液晶フィルタ部30は、2色性色素の種類が異なる点を除いては、上記実施形態1の液晶フィルタ部3と同様の構成を有しているため、他の構成については説明を省略する。
以下、液晶フィルタ部30の透過率特性について図9を参照して説明する。まず液晶フィルタ部30に交流電圧が印加されていない場合は、2色性色素の色素分子がネマティック液晶の液晶分子とともに入射偏光に平行に配向しており(ホモジニアス配向)、このとき細長い2色性色素分子の軸が偏光と平行であるため、2色性色素の特性に従って、図9中にグラフY1で示すように短波長の光を吸収する。この状態から液晶フィルタ部30に交流電圧を印加すると、液晶分子とともに色素分子が電界方向に配向して吸収が解消し、これにより図9中にグラフY2で示すように、短波長の光に対する吸収率が減少し(換言すれば、透過率が増加し)、液晶フィルタ部30に印加される交流電圧の電圧値が所定値以上となると、図9中にグラフY3で示すように、短波長の光をほとんど吸収しなくなり、略全ての波長の光に対して略100%の透過率を有するようになる。
一方、液晶フィルタ部30に、例えば電圧値が約15V以上で、周波数が数百Hz〜数kHzと低い交流電圧を印加した場合には、液晶分子とともに色素分子が十分に電界方向に配向できる時間が増えるために光の吸収率が減少し、図9中にグラフY3で示すように、短波長の光をほとんど吸収しなくなる。この状態から交流電圧の周波数を高くしていくと、交流電圧が連続的に印加される時間が減少するために、色素分子が十分に電界方向に配向されなくなり、結果として光の吸収率が増えていき(換言すれば透過率が減っていき)、周波数が数kHz〜数百kHz程度になると図9中にグラフY1で示すように、短波長の光のほとんどを吸収するようになる。
以上述べたように、液晶フィルタ部30は、印加される交流電圧の電圧値の大小と、交流電圧の周波数の高低とによって、光の吸収率(光の透過率)が変化するものである。具体的には、液晶フィルタ部30は、印加される交流電圧の電圧値が大きければ、短波長の光に対する吸収率が減少し、印加される交流電圧の電圧値が小さければ、短波長の光に対する吸収率が増加し、また、印加される交流電圧の周波数が高ければ、短波長の光に対する吸収率が増加し、印加される交流電圧の周波数が低ければ、短波長の光に対する吸収率が減少することになる。
調色回路部40は、液晶フィルタ部30に所定の電圧値及び周波数の交流電圧を印加することで、液晶フィルタ部30の透過率(吸収率)を調整するためのものであり、実施形態1の調色回路部4と同様に、電源回路40aと、インバータ回路40bとで構成されている。尚、電源回路40aとインバータ回路40bは、上記実施形態1の電源回路4aとインバータ回路4b,4cと同様のものを採用できるから、本実施形態では説明を省略する。
したがって、本実施形態の調色回路部40によれば、液晶フィルタ部30に印加する交流電圧の電圧値と周波数とを調整することで、液晶フィルタ部30の透過率を所望の値に設定することができる。
照明制御部50は、図7に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御部50aと、照明装置10の調光、調色制御用のプログラムである照明プログラムが記憶された記憶部50bとを有するとともに、上記実施形態1と同様のクロック部5cと、表示部5dと、操作部5eとを有している。
制御部50aは、記憶部50bに記憶されている照明プログラムに従って、調光回路部20に調光レベルの基準を与える前述の制御信号S4を出力するとともに、調色回路部40に液晶フィルタ部30の透過率を制御するための制御信号S2,S3を出力することで、調光回路部20及び調色回路部40を制御する自動制御機能を有している。また、制御部50aは、操作部5eの入力に応じて制御信号S2〜S4を出力して、調光回路部20及び調色回路部40を制御する手動制御機能を有する他、操作部5eの入力に応じて現時刻の設定、修正を行うとともに、クロック部5cに従って現時刻のカウントを行う機能や、現時刻を表示部5dに表示する機能、操作部5eの入力に応じて起床時刻の設定、修正等を行う機能等、目覚まし装置として必要な機能を有している。
記憶部50bは、RAM等の記憶装置であって、制御部50aにより調光回路部20及び調色回路部40を制御させるための照明プログラムが記憶されている。ここで、照明プログラムの一例としては、上記実施形態1と同様の起床プログラムであり、以下に、本実施形態の起床プログラムについて詳細に説明する。
本実施形態の起床プログラムは、図6(a)に示すように、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)である時刻t3より所定時間前(例えば、30分〜60分前)の時刻t1から時刻t3の所定時間前(例えば、5分〜10分前)の時刻t2までの期間である低照度期間T1と、時刻t2から時刻t3までの期間である中照度期間T2と、時刻t3から所定の時刻(例えば、起床プログラムの動作終了時刻)の期間である高照度期間T3との3つの期間に分けて照明装置1の動作(制御部5aの動作)を制御することで、照射光による照度を図6(a)中にaで示すように変化させ、照射光の色温度を図6(a)中にcで示すように変化させるように構成されている。
ここで、低照度期間T1は、照明装置1により就寝者に日の出(夜明け)前後の朝の自然界の雰囲気を感じさせるための期間であり、起床プログラムは、クロック部5cを用いてカウントした現時刻が時刻t1となった際に、制御部50aに制御信号S4を出力させて光源60の点灯を開始させ、この後に時刻t2において照射光による照度がLx1(例えば250lx以下)になるまで光源60の光度を徐々に高くするように、制御部50aに制御信号S4を出力させる。また、低照度期間T1では、日の出前後、例えば日の出40分後から日の出1時間後程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度が徐々に上昇する、具体的には時刻t1で色温度を3000Kに設定し、徐々に色温度を上昇させて時刻t2で色温度を4000Kに設定するように、制御部50aに制御信号S2,S3を出力させる。
ところで本実施形態で用いている光源60は、図6(b)に示すように放射する光の色温度が5000Kの蛍光灯であり、照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において高い(照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において最高値である)ので、起床プログラムは、光源60の光度と、色温度が高い光に対する液晶フィルタ部30の透過率とが比例するように調光回路部20及び調色回路部40を制御するように設定されている。したがって、液晶フィルタ部30は、時刻t1において透過率が最低になるとともに、時刻t2に近づくにつれて透過率が徐々に高くなるように制御される。
中照度期間T2は、日の出後の朝の自然界の雰囲気を就寝者に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx2(例えば500lx〜1000lx程度)になるまで光源60の光度を高くするように、制御部50aに制御信号S4を出力させる。また、中照度期間T2では、起床プログラムは、低照度期間T1で設定した色温度を保持するように、すなわち照射光の色温度が4000Kである状態を維持するように、制御部50aに制御信号S2,S3を出力させる。したがって、この中照度期間T2では、液晶フィルタ部30の透過率は略一定に保たれる。
高照度期間T3は、日の出後の日射がある状態、すなわち朝から昼にかけての自然界の雰囲気を人に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx3(例えば2000lx以上)になるまで光源60の光度を高くするように、制御部50aに制御信号S4を出力させる。また、高照度期間T3では、午後3時程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度を徐々に上昇させる、具体的には照射光の色温度が5000Kとなるように、制御部50aに制御信号S2,S3を出力させる。したがって、この高照度期間T3では、光源60の光をそのまま照射するために、液晶フィルタ部3の透過率が最も高く設定される。
そして、高照度期間T3を経た後は、起床プログラムは、動作を終了し、これにより光源60が消灯される。
したがって、以上述べた起床プログラムによれば、照明装置10は、図6(a)に示すように、低照度期間T1において光出力及び色温度が低い照射光を就寝者に照射することで、朝の自然界に近い雰囲気を就寝者に感じさせ、続く中照度期間T2において就寝者の眠り(睡眠レベル)が浅くなるように促し、この後の高照度期間T3において光出力及び色温度が高い照射光を就寝者に照射することで就寝者に覚醒を促すように、動作することになる。これにより、就寝者に朝の起床をスムーズに行わせることが可能となる。
以上述べた調光回路部20と、液晶フィルタ部30と、調色回路部40と、照明制御部50とで照明装置10は構成されている。
そして、本実施形態の照明装置10によれば、調光回路部20により光源60の光度を所望の値に設定することができるとともに、調色回路部40により液晶フィルタ部30の透過率を調整することで照射光の色温度を所望の値に設定することができるから、照射光の光度と色温度を個別に制御することが可能となり、例えば、就寝時には照射光の光度及び色温度を低くし、起床時には照射光の光度及び色温度を高くするような制御が行えるようになり、結果として幅広い照明制御が行えるという効果を奏する。また、照明装置10によれば、上記のように照射光の光度と色温度とを個別に制御できるため、上記の起床プログラムに従って、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)以前は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに低くすることで、就寝者に朝の自然界の雰囲気を感じさせて眠りが浅くなるように誘導し、起床時刻以降は、照射光により就寝者を照らす際の照度、及び照射光の色温度をともに高くすることで、就寝者に覚醒を促すという動作が可能となり、これにより、就寝者に朝の起床をスムーズに行わせることが可能となる。
さらに、上述したように、本実施形態の照明装置10において照明プログラムである起床プログラムは、光源60が放射する光の色温度が、起床プログラムで制御する色温度の範囲内において高い(照明プログラムである起床プログラムで制御する色温度の範囲内において最低値の5000K)場合に、光源60の光度と、色温度が高い光に対する液晶フィルタ部30の透過率とが比例するように調光回路部20及び調色回路部40を制御するようにプログラムしている。そのため、照明装置10によれば、光源60の光度を低くした際には、液晶フィルタ部30の透過率が低くなるために、就寝者を照らす照度及び色温度が低い照射光を照射することが可能になり、光源60の光度を高くした際には、液晶フィルタ部30の透過率が高くなるために、就寝者を照らす照度及び色温度が高い照射光を照射することが可能になる。これにより、本実施形態の照明装置10によれば、放射する光の色温度が高い光源60を用いた場合に、照射光の色温度を広範囲に変化させることができるという効果を奏する。
(実施形態3)
本実施形態の照明装置11は、実施形態の照明装置1,2と同様に目覚まし装置としての機能を有するものであって、図10に示すように、放電灯(例えば蛍光灯)からなる光源60の調光制御用の調光回路部20と、2色性色素を有するネマティック液晶を用いて形成されるとともに光源60の光軸上に配置され、印加電圧に応じて色温度が低い光(可視領域において長波長の光)の透過率が変化する青色液晶フィルタ31A及び印加電圧に応じて色温度が高い光(可視領域において短波長の光)の透過率が変化する黄色液晶フィルタ31Bを有する液晶フィルタ部31と、該液晶フィルタ部31の各フィルタ31A,31Bにそれぞれ印加する交流電圧を制御する調色回路部41A,41Bと、予め設定されたプログラムに従って調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御する照明制御部51とを備えている。尚、調光回路部20は、上記実施形態2と同様のものであるから、本実施形態では説明を省略する。
液晶フィルタ部31は、青色液晶フィルタ31Aと黄色液晶フィルタ31Bとの2枚の液晶フィルタとを重ね合わせることで構成されている。ここで、青色液晶フィルタ31Aは、実施形態1の液晶フィルタ部3と同様に、分子配向により光吸収率が変化する2色性色素として、長波長の光を吸収して色温度を増加させるアントラキノン系色素を有するネマティック液晶を用いて、色温度が低い光に対して透過率が変化するように構成された高照度用液晶フィルタであり、その透過率特性は、実施形態1で述べたとおりである。一方、黄色液晶フィルタ31Bは、実施形態2の液晶フィルタ部30と同様に、分子配向により光吸収率が変化する2色性色素として、アゾ系色素を有するネマティック液晶を用いて、色温度が高い光に対して透過率が変化するように構成された低照度用液晶フィルタであり、その透過率特性は、実施形態2で述べたとおりである。
したがって、この液晶フィルタ部31は、青色液晶フィルタ31Aと、黄色液晶フィルタ31Bとに、それぞれ印加される交流電圧の電圧値の大小と、交流電圧の周波数の高低とによって、光の吸収率(光の透過率)が変化するものである。具体的には、液晶フィルタ部31は、青色液晶フィルタ31Aに印加される交流電圧の電圧値が大きければ、長波長の光に対する吸収率が減少し、印加される交流電圧の電圧値が小さければ、長波長の光に対する吸収率が増加し、また、印加される交流電圧の周波数が高ければ、長波長の光に対する吸収率が増加し、印加される交流電圧の周波数が低ければ、長波長の光に対する吸収率が減少することになる。
一方、液晶フィルタ部31は、黄色液晶フィルタ31Bに印加される交流電圧の電圧値が大きければ、短波長の光に対する吸収率が減少し、印加される交流電圧の電圧値が小さければ、短波長の光に対する吸収率が増加し、また、印加される交流電圧の周波数が高ければ、短波長の光に対する吸収率が増加し、印加される交流電圧の周波数が低ければ、短波長の光に対する吸収率が減少することになる。
さらに、このような液晶フィルタ部31によれば、両液晶フィルタ31A,31Bの透過率をともに増加させれば、可視領域における全波長に対する透過率を増加させることが可能となり、両液晶フィルタ31A,31Bの透過率をともに減少させれば、可視領域における全波長に対する透過率を減少させることが可能となる。
調色回路部41Aは、液晶フィルタ部31の青色液晶フィルタ31Aに所定の電圧値及び周波数の交流電圧を印加することで、液晶フィルタ部31の透過率(吸収率)を調整するためのものであり、実施形態2と同様の電源回路40aとインバータ回路40bとで構成されている。尚、本実施形態では、調色回路部41Aは、制御部51aが出力する後述の制御信号S2Aにより電源回路40aが、後述の制御信号S3Aによりインバータ回路40bがそれぞれ制御されるように構成されている。
一方、調色回路部41Bは、液晶フィルタ部31の黄色液晶フィルタ31Bに所定の電圧値及び周波数の交流電圧を印加することで、液晶フィルタ部31の透過率(吸収率)を調整するためのものであり、調色回路部41Aと同様に電源回路40aとインバータ回路40bを有している。また本実施形態では、調色回路部41Bは、制御部51aが出力する後述の制御信号S2Bにより電源回路40aが、後述の制御信号S3Bによりインバータ回路40bがそれぞれ制御されるように構成されている。
尚、これら調色回路部41A,41Bの動作は、上記実施形態1で述べた調色回路部4と同様であるから、本実施形態では説明を省略する。
照明制御部51は、図10に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御部51aと、照明装置11の調光、調色制御用のプログラムである照明プログラムが記憶された記憶部51bとを有するとともに、上記実施形態1と同様のクロック部5cと、表示部5dと、操作部5eとを有している。
制御部51aは、記憶部51bに記憶されている照明プログラムに従って、調光回路部20に調光レベルの基準を与える制御信号S4を、調色回路部41Aに液晶フィルタ部31の青色液晶フィルタ31Aの透過率を制御するための制御信号S2A,S3Aを、調色回路部41Bに液晶フィルタ部31の黄色液晶フィルタ31Bの透過率を制御するための制御信号S2B,S3Bを、それぞれ出力することで、調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御する自動制御機能を有している。また、制御部51aは、操作部5eの入力に応じて制御信号S2A,S2B,S3A,S3B,S4を出力して、調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御する手動制御機能を有する他、操作部5eの入力に応じて現時刻の設定、修正を行うとともに、クロック部5cに従って現時刻のカウントを行う機能や、現時刻を表示部5dに表示する機能、操作部5eの入力に応じて起床時刻の設定、修正等を行う機能等、目覚まし装置として必要な機能を有している。
記憶部51bは、RAM等の記憶装置であって、制御部51aにより調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御させるための照明プログラムが記憶されている。ここで、照明プログラムは、上記実施形態1と同様な起床プログラムであり、以下に、本実施形態の起床プログラムについて詳細に説明する。
本実施形態の起床プログラムは、図6(a)に示すように、操作部5eで入力された起床時刻(又はその1分前等の直前の時刻)である時刻t3より所定時間前(例えば、30分〜60分前)の時刻t1から時刻t3の所定時間前(例えば、5分〜10分前)の時刻t2までの期間である低照度期間T1と、時刻t2から時刻t3までの期間である中照度期間T2と、時刻t3から所定の時刻(例えば、起床プログラムの動作終了時刻)の期間である高照度期間T3との3つの期間に分けて照明装置1の動作(制御部5aの動作)を制御することで、照射光による照度を図6(a)中にaで示すように変化させ、照射光の色温度を図6(a)中にcで示すように変化させるように構成されている。
ここで、低照度期間T1は、照明装置1により就寝者に日の出(夜明け)前後の朝の自然界の雰囲気を感じさせるための期間であり、起床プログラムは、クロック部5cを用いてカウントした現時刻が時刻t1となった際に、制御部51aに制御信号S4を出力させて光源60の点灯を開始させ、この後に時刻t2において照射光による照度がLx1(例えば250lx以下)になるまで光源60の光度を徐々に高くするように、制御部51aに制御信号S4を出力させる。また、低照度期間T1では、日の出前後、例えば日の出40分後から日の出1時間後程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度が徐々に上昇する、具体的には時刻t1で色温度を3000Kに設定し、徐々に色温度を上昇させて時刻t2で色温度を4000Kに設定するように、制御部51aに制御信号S2A,S3A,S2B,S3Bを出力させる。
ところで本実施形態で用いている光源60は、上記実施形態2で述べたように、放射する光の色温度が約5000Kの蛍光灯であるから、起床プログラムは、光源60の光度と、色温度が高い光に対する液晶フィルタ部31の透過率(換言すれば、黄色液晶フィルタ31Bの透過率)とが比例するように調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御するように設定されている。したがって、液晶フィルタ部31は、時刻t1において黄色液晶フィルタ31Bの透過率が最低になるとともに、時刻t2に近づくにつれて黄色液晶フィルタ31Bの透過率が徐々に高くなるように制御される。また、液晶フィルタ部31は、低照度期間T1中、青色液晶フィルタ31Aの透過率が最も高くなるように制御される。
中照度期間T2は、日の出後の朝の自然界の雰囲気を就寝者に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx2(例えば500lx〜1000lx程度)になるまで光源60の光度を高くするように、制御部51aに制御信号S4を出力させる。また、中照度期間T2では、起床プログラムは、低照度期間T1で設定した色温度を保持するように、すなわち照射光の色温度が約4000Kである状態を維持するように、制御部51aに制御信号S2A,S3A,S2B,S3Bを出力させる。したがって、この中照度期間T2では、液晶フィルタ部31の各フィルタ31A,31Bの透過率は略一定に保たれる。
高照度期間T3は、日の出後の日射がある状態、すなわち朝から昼にかけての自然界の雰囲気を人に感じさせるための期間であり、起床プログラムは、照射光による照度がLx3(例えば2000lx以上)になるまで光源60の光度を高くするように、制御部51aに制御信号S4を出力させる。
また、高照度期間T3では、午後3時程度の光を演出するために、起床プログラムは、照射光の色温度を徐々に上昇させる、具体的には照射光の色温度が5000K以上となるように、制御部51aに制御信号S2A,S3A,S2B,S3Bを出力させる。
ここで、光源60の色温度は上述したように約5000Kであるから、照射光の色温度が5000Kになるまでは、光源60の光をそのまま照射すればよく、この場合、液晶フィルタ部31は、黄色液晶フィルタ31Bの透過率が最も高くなるように制御される。そして、液晶フィルタ部31は、照射光の色温度が5000Kになった後には、青色液晶フィルタ31Aの透過率を低下させることで、長波長の光を吸収して照射光の色温度を高くするように制御される。
つまり、本実施形態では、液晶フィルタ部31として、色温度を低くする黄色液晶フィルタ31Bに加えて、色温度を高くする青色液晶フィルタ31Aを用いているため、実施形態2の照明装置10とは異なり、照射光の色温度を、光源60の色温度である5000K以上にまで高くすることができ、実施形態2よりも幅広い照明制御が行えるようになっているのである。
そして、高照度期間T3を経た後は、起床プログラムは、動作を終了し、これにより光源60が消灯される。
したがって、以上述べた起床プログラムによれば、照明装置11は、図6(a)に示すように、低照度期間T1において光出力及び色温度が低い照射光を就寝者に照射することで、朝の自然界に近い雰囲気を就寝者に感じさせ、続く中照度期間T2において就寝者の眠り(睡眠レベル)が浅くなるように促し、この後の高照度期間T3において光出力及び色温度が高い照射光を就寝者に照射することで就寝者に覚醒を促すように、動作することになる。これにより、就寝者に朝の起床をスムーズに行わせることが可能となる。また、一般の目覚し装置とは異なり、耳障りな音を鳴動させる前に、就寝者に覚醒を促すことから、起床時に人に不快感を与えることを抑制できる。
以上述べた調光回路部20と、液晶フィルタ部31と、調色回路部41A,41Bと、照明制御部51とで照明装置11は構成されている。
そして、本実施形態の照明装置11によれば、実施形態2と同様の効果を奏する上に、液晶フィルタ部31が、色温度が低い光に対して透過率が変化するように構成された高照度用液晶フィルタである青色液晶フィルタ31Aと、色温度が高い光に対して透過率が変化するように構成された低照度用液晶フィルタである黄色液晶フィルタ31Bとで構成されているので、青色液晶フィルタ31Aの透過率を下げることで、照射光の色温度を光源60の色温度よりも高くすることができ、黄色液晶フィルタ31Aの透過率を下げることで、照射光の色温度を光源60の色温度よりも低くすることができ、これにより光源60に特有の色温度を中心にして、色温度を広範囲に変化させることができるという効果を奏する。
尚、本実施形態の照明装置11では、蛍光灯を光源60として用いているが、光源60には、色温度を広範囲に制御できるようにするため、ほぼ平坦な連続スペクトルを有するキセノン放電ランプやメタルハライド放電ランプが有用である。すなわち、光源が平坦な分光特性であれば、色温度を増減する際の光吸収ロスを最小限に抑制できるからである。
(実施形態4)
本実施形態の照明装置12は、図11に示すように、照明制御部52の構成に特徴があり、その他の構成は実施形態2の照明装置10と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
照明制御部52は、図11に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御部52aと、照明装置10の調光、調色制御用のプログラムである照明プログラムが記憶された記憶部50bと、クロック部5cと、表示部5dと、操作部5eと、リモートコントローラ等の送信機RCより送信される赤外線信号を受信する受光部5fとを有している。
ここで、送信機RCは、例えば、光源60の点灯/消灯や、照射光の明るさの調整、照射光の色温度の調整、照明プログラムの動作のオン/オフ等を実行するための入力装置(図示せず)と、該入力装置で入力された制御内容に応じた赤外線信号を送出する送信部(図示せず)とを有している。
制御部52aは、記憶部50bに記憶されている照明プログラムに従って、調光回路部20に調光レベルの基準を与える前述の制御信号S4を出力するとともに、調色回路部40に液晶フィルタ部30の透過率を制御するための制御信号S2,S3を出力することで、調光回路部20及び調色回路部40を制御する自動制御機能を有している。また、制御部50aは、操作部5eの入力に応じて制御信号S2〜S4を出力して、調光回路部20及び調色回路部40を制御する手動制御機能を有する他、操作部5eの入力に応じて現時刻の設定、修正を行うとともに、クロック部5cに従って現時刻のカウントを行う機能や、現時刻を表示部5dに表示する機能、操作部5eの入力に応じて起床時刻の設定、修正等を行う機能等、目覚まし装置として必要な機能を有している。
さらに、本実施形態では、制御部52aは、受光部5fで受信した赤外線信号の制御内容に応じて、制御信号S2〜S4を出力して、調光回路部20及び調色回路部40を制御する遠隔制御機能を有しており、これにより例えば、光源60の点灯/消灯や、照射光の光度の調整、照射光の色温度の調整、照明プログラムの動作のオン/オフ等を、送信機RCの入力装置を操作することで行えるようになっている。
以上述べた本実施形態の照明装置12によれば、実施形態2の効果を奏する上に、送信機RCを使用することで、照明装置12を遠隔制御することができ、これにより例えば、光源60の点灯/消灯や、照射光の光度の調整、照射光の色温度の調整、照明プログラムの動作のオン/オフ等をスムーズに行うことができるという効果を奏する。
尚、本実施形態の構成が、上記実施形態2だけではなく、他の実施形態にも適用できることは言うまでもない。
(実施形態5)
近年、人の脳の松果体より分泌されるメラトニンと呼ばれるホルモンが、人の睡眠に深い関わりを有しており、メラトニンの分泌量が多くなると、人は眠気を感じ、メラトニンの分泌量が少なくなると、人は眠気を感じ難くなるという傾向があることがわかっている。また、メラトニンは、暗闇下(すなわち、網膜に入射する光量が少ない状態)において分泌が促進され、逆に明るい場所では分泌が抑制されることがわかっており、特に460nmの波長を中心とした青色光によりメラトニンの分泌が効果的に抑制されるという結果が得られている。
本実施形態の照明装置は、メラトニンによる睡眠作用を考慮して為されたもので、実施形態2の照明装置10の構成に加えて、図示しないメラトニン抑制用の液晶フィルタ部(以下、「メラトニン抑制フィルタ」と称する)と、図示しないメラトニン抑制フィルタの透過率を調整する調色回路部(以下、「メラトニン用調色回路部」と称する)とを備え、記憶部50bには、照明プログラムとして新たにメラトニン抑制プログラムが記憶されているものである。尚、以下の説明では、本実施形態の特有の構成について説明し、実施形態2の照明装置10と同様の構成については説明を省略する。
ここで、メラトニン抑制フィルタは、分子配向により光吸収率が変化する2色性色素として、短波長の光を吸収して色温度を減少させるアゾ系色素を有するネマティック液晶を用いて形成された黄色液晶フィルタであり、2色性色素の量や種類を調整することにより、特に460nm近傍の波長の光に対する透過率を著しく低くできるように構成されている。尚、このようなメラトニン抑制フィルタは、構成的には、上記実施形態2の液晶フィルタ部30と同様の構成を有しているため、他の構成については説明を省略する。
以下、メラトニン抑制フィルタの透過率特性について図12を参照して説明する。まずメラトニン抑制フィルタに交流電圧が印加されていない場合は、2色性色素の色素分子がネマティック液晶の液晶分子とともに入射偏光に平行に配向しており(ホモジニアス配向)、このとき細長い2色性色素分子の軸が偏光と平行であるため、2色性色素の特性に従って、図12中にグラフY10で示すように、短波長の光、特に460nm近傍の波長の光を吸収する。この状態からメラトニン抑制フィルタに交流電圧を印加すると、液晶分子とともに色素分子が電界方向に配向して吸収が解消し、これにより図12中にグラフY20で示すように、460nm近傍の波長の光に対する吸収率が減少し(換言すると透過率が増加し)、メラトニン抑制フィルタに印加される交流電圧の電圧値が所定値以上となると、図12中にグラフY30で示すように、460nm近傍の波長の光をほとんど吸収しなくなり、略全ての波長の光に対して略100%の透過率を有するようになる。
一方、メラトニン抑制フィルタに、例えば電圧値が約15V以上で、周波数が数百Hz〜数kHzと低い交流電圧を印加した場合には、液晶分子とともに色素分子が十分に電界方向に配向できる時間が増えるために光の吸収率が減少し、図12中にグラフY30で示すように、短波長の光をほとんど吸収しなくなる。この状態から交流電圧の周波数を高くしていくと、交流電圧が連続的に印加される時間が減少するために、色素分子が十分に電界方向に配向されなくなり、結果として光の吸収率が増えていき(換言すれば、透過率が減っていき)、周波数が数kHz〜数百kHz程度になると図12中にグラフY10で示すように、460nm近傍の波長の光のほとんどを吸収するようになる。
以上述べたように、メラトニン抑制フィルタは、印加される交流電圧の電圧値の大小と、交流電圧の周波数の高低とによって、460nm近傍の波長の光の吸収率(光の透過率)が変化するものである。具体的には、メラトニン抑制フィルタは、印加される交流電圧の電圧値が大きければ、460nm近傍の波長の光に対する吸収率が減少し、印加される交流電圧の電圧値が小さければ、460nm近傍の波長の光に対する吸収率が増加し、また、印加される交流電圧の周波数が高ければ、460nm近傍の波長の光に対する吸収率が増加し、印加される交流電圧の周波数が低ければ、460nm近傍の波長の光に対する吸収率が減少することになる。
メラトニン用調色回路部は、メラトニン抑制フィルタに所定の電圧値及び周波数の交流電圧を印加することで、メラトニン抑制フィルタの透過率(吸収率)を調整するためのものであり、実施形態2の調色回路部40と同様に、電源回路と、インバータ回路とで構成されている。したがって、メラトニン用調色回路部によれば、メラトニン抑制フィルタ印加する交流電圧の電圧値と周波数とを調整することで、メラトニン抑制フィルタの透過率を所望の値に設定することができる。尚、メラトニン用調色回路部は、上記実施形態2の調色回路部40と同様に、制御部50aが出力する制御信号によって、電源回路と、インバータ回路とが制御されるようになっている。
前述のメラトニン抑制プログラムは、照明プログラムとして記憶部50bに記憶されている。このメラトニン抑制プログラムは、光刺激によりメラトニンの分泌の抑制又は促進を図るための照明プログラムであり、具体的には、メラトニン抑制フィルタによる460nm近傍の波長の透過率を増減させることで、メラトニンの分泌の抑制又は促進を図るように構成されている。
例えば、このメラトニン抑制プログラムは、図13に示すように、操作部5eで入力された起床時刻t10及び就寝時刻t30(0時より前の時刻とする)に対して、就寝時刻t30より所定時間前(例えば2時間前)の時刻t20から、翌朝の起床時刻t10までの期間Tcにおいて、メラトニン抑制フィルタの透過率を低くすることで、人のメラトニンの分泌の促進を図るように構成されている。またメラトニン抑制プログラムは、期間Tc以外の期間では、メラトニン抑制フィルタの透過率を高くすることで、人のメラトニンの分泌の抑制を図るように構成されている。尚、期間Tcは、時刻t20から0時までの期間としてもよいし、タイマー等により期間Tcを設定できるようにしてもよい。
したがって、以上述べたメラトニン抑制プログラムによれば、照明装置13は、期間Tcにおいて460nm近傍の波長の光が抑制された照射光を人に照射することで、メラトニンの分泌の促進を図り、これにより人に就寝しやすい環境を与え、期間Tc以外の期間では、460nm近傍の波長の光を抑制しない照射光を人に照射することで、メラトニンの分泌の抑制を図り、これにより人に目覚めやすい環境を与えるように、動作することになる。
以上述べたように、本実施形態の照明装置13によれば、実施形態2と同様の効果を奏する上に、メラトニン抑制プログラムに従って動作することで、就寝時には、人に就寝しやすい(入眠しやすい)環境を与えるとともに、起床時には、人に目覚めやすい(覚醒しやすい)環境を与えることができ、人に就寝、及び起床をスムーズに行わせることが可能となるという効果を奏する。また、このように時間帯によってメラトニンの分泌の抑制、促進が図られることで、人の睡眠、覚醒のサイクルを整える効果が期待できる。
尚、本実施形態のメラトニン抑制フィルタ、メラトニン用調色回路、及びメラトニン抑制プログラムは、上記実施形態2のみならず他の実施形態にも採用することができる。
(実施形態6)
本実施形態の照明装置13は、図14に示すように、照明制御部53の構成に特徴があり、その他の構成は実施形態3の照明装置11と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
照明制御部53は、図14に示すように、マイクロコンピュータ等からなる制御部53aと、照明装置13の調光、調色制御用のプログラムである照明プログラムが記憶された記憶部53bと、クロック部5cと、表示部5dと、操作部5eと、明るさセンサ53cと、温度センサ53dとを有している。
ここで、明るさセンサ53cは、照明装置13が設置される屋内の明るさ、すなわち明るさセンサが設置された屋内の所定場所における照度を検出するものであり、例えば、フォトトランジスタ等の受光素子を備えており、照度検出値を制御部53aに出力するように構成されている。一方、温度センサ53dは、照明装置13が設置される屋内の温度(気温)を検出するものであり、例えば、サーミスタ等の温度検知素子を備えており、温度検出値を制御部53aに出力するように構成されている。
制御部53aは、記憶部53bに記憶されている照明プログラムに従って、調光回路部20に調光レベルの基準を与える制御信号S4を、調色回路部41Aに液晶フィルタ部31の青色液晶フィルタ31Aの透過率を制御するための制御信号S2A,S3Aを、調色回路部41Bに液晶フィルタ部31の黄色液晶フィルタ31Bの透過率を制御するための制御信号S2B,S3Bを、それぞれ出力することで、調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御する自動制御機能を有している。また、制御部53aは、操作部5eの入力に応じて制御信号S2A,S2B,S3A,S3B,S4を出力して、調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御する手動制御機能を有する他、操作部5eの入力に応じて現時刻の設定、修正を行うとともに、クロック部5cに従って現時刻のカウントを行う機能や、現時刻を表示部5dに表示する機能、操作部5eの入力に応じて起床時刻の設定、修正等を行う機能等、目覚まし装置として必要な機能を有している。
記憶部53bは、RAM等の記憶装置であって、制御部53aにより調光回路部20及び調色回路部41A,41Bを制御させるための照明プログラムが記憶されている。ここで、照明プログラムは、上記実施形態3と同様の起床プログラムに加えて、季節に応じて照射光の色温度を調整する第1の体感温度調整プログラムと、温度に応じて照射光の色温度を調整する第2の体感温度調整プログラムとを有している。
第1の体感温度調整プログラムは、明るさセンサ53cの照度検出値を検出時刻と対応付けて保持するとともに、例えば一日分の照度検出値の経時データに基づいて、照明装置13が設定された屋内に外光が入射している期間の長さや、日の出時間、日没時間等を算出し、これらの算出値と、予め保持されている基準値(外光が入射している期間の長さや、日の出時間、日没時間等の基準値)とを比較して、夏場であるか冬場であるかを判断するように構成されている。例えば、算出した日の出時間が、基準値より早ければ、夏場であると判断し、基準データより遅ければ、冬場であると判断する。尚、このような基準値は、操作部5eを用いて入力できるようにしてもよい。
加えて、第1の体感温度調整プログラムは、現在の季節が夏場であると判断した際には、液晶フィルタ部31の青色液晶フィルタ31Aの透過率を低下させることで、照射光の色温度を高くし、現在の季節が冬場であると判断した際には、液晶フィルタ部31の黄色液晶フィルタ31Bの透過率を低下させることで、照射光の色温度を低くするように構成されている。
したがって、以上述べた第1の体感温度調整プログラムに従って照明装置13が動作した際には、夏場と判断したときには照射光の色温度が高くなり、これにより人に涼しい印象を与えて体感温度を下げることができ、一方、冬場と判断したときには色温度が低くなり、これにより人に暖かい印象を与えて体感温度を上げることができる。
第2の体感温度調整プログラムは、温度センサ53dで検出した温度と、予め保持されている設定温度とを比較して、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より高いときは、液晶フィルタ部31の青色液晶フィルタ31Aの透過率を低下させることで、照射光の色温度を高くし、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より低いときには、液晶フィルタ部31の黄色液晶フィルタ31Bの透過率を低下させることで、照射光の色温度を低くするように構成されている。尚、各液晶フィルタ31A,31Bにおいて透過率を低下させる際には、温度センサ53dで検出した温度と設定温度との差の大きさに基づいて、透過率をどの程度低下させるかを決定するようにしてもよく、例えば、温度センサ53dで検出した温度が設定温度よりも高ければ高いほど、青色液晶フィルタ31Aの透過率を低くするようにしてもよい。また、このような各液晶フィルタ31A,31Bの透過率の増減の幅は、使用者が自由に設定できるようにしてもよい。
したがって、以上述べた第2の体感温度調整プログラムに従って照明装置13が動作した際には、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より高いときは照射光の色温度が高くなり、これにより人に涼しい印象を与えて体感温度を下げることができ、一方、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より低いときは照射光の色温度が低くなり、これにより人に暖かい印象を与えて体感温度を上げることができる。
尚、本実施形態では、操作部5eに、上記の第2の体感温度調整プログラムで用いる設定温度を入力するためのキー等が付設されており、操作部5eで入力された設定温度は、制御部53aに送られるようになっている。
以上述べたように、本実施形態の照明装置13によれば、上記実施形態3の照明装置11と同様の効果を奏する上に、明るさセンサ53cを備えるとともに、照明プログラムとして、第1の体感温度調整プログラムを備えているので、夏場では照射光の色温度が高くなり、これにより人に涼しい印象を与えて体感温度を下げることができ、冬場では色温度が低くなり、これにより人に暖かい印象を与えて体感温度を上げることができるという効果を奏する。加えて、照明装置13は、温度センサ53dを備えるとともに、照明プログラムとして、第2の体感温度調整プログラムを備えているので、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より高いときは照射光の色温度が高くなり、これにより人に涼しい印象を与えて体感温度を下げることができ、温度センサ53dで検出した温度が設定温度より低いときは照射光の色温度が低くなり、これにより人に暖かい印象を与えて体感温度を上げることができるという効果を奏する。
尚、本実施形態の照明装置13では、明るさセンサ53cと温度センサ53dを両方備えているが、いずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
(実施形態7)
本実施形態の照明装置は、上記の実施形態6の照明装置13に、上記実施形態5で述べたメラトニン抑制フィルタと、メラトニン用調色回路部とを設けるとともに、記憶部53bに、照明プログラムとして新たにリラックス用プログラムが記憶されている。尚、以下の説明では、本実施形態の特有の構成であるリラックス用プログラムについて説明し、実施形態5及び6と同様の構成については説明を省略する。
すなわち、リラックス用プログラムは、明るさセンサ53cの照度検出値と、予め設定された設定値とを比較し、照度検出値が設定値以上であれば、照明装置が設置されている屋内に外光が入射していると判断して、メラトニン抑制フィルタの透過率を増加させて(例えば略100%に設定して)、人に目覚め(覚醒)を促す環境を与えるように構成されている。また、リラックス用プログラムは、明るさセンサの照度検出値と、予め設定された設定値とを比較し、照度検出値が設定値未満であれば、照明装置が設置されている屋内に外光が入射していないと判断して、メラトニン抑制フィルタの透過率を減少させて(例えば透過率を最低値に設定して)、人に就寝を促す、すなわち人に和み(リラックス)を促す環境を与えるように構成されている。
したがって、本実施形態の照明装置によれば、上記実施形態6と同様の効果を奏する上に、照明装置が設置されている屋内に外光が入射している場合には、人に目覚め(覚醒)を促す環境を与えることができる一方で、照明装置が設定されている屋内に外光が入射していない場合には、人に和み(リラックス)を促す環境を与えることができ、これにより照明装置が設定されている室内の明るさに応じて、メラトニンの分泌の抑制、促進が図られることで、自動的に人の和み、又は覚醒を促すことができるという効果を奏する。
(実施形態8)
ところで、上記の実施形態6では、光源60として蛍光灯を用いているが、一般に蛍光灯は初期点灯時と、末期(寿命末期)点灯時とでは、同等の電圧を印加した場合でも、その光出力(光度)が異なっており、初期点灯時の光出力は、末期点灯時の光出力に比べて高くなっている。そのため、蛍光灯の寿命を考慮せずに調光制御した場合、初期点灯時と末期点灯時とで、照明装置の照射光による照度が異なってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の照明装置は、上記の実施形態6の照明装置13において、記憶部53bに、照明プログラムとして新たに定照度プログラムを記憶させたことを特徴としている。尚、以下の説明では、本実施形態の特有の構成である定照度プログラムについて説明し、実施形態6と同様の構成については説明を省略する。
すなわち、定照度プログラムは、光源60に所定値の高周波電圧を印加した際に、照明装置により得られる照度が、光源60の累積点灯時間に関わらずに一定となるように調色回路部41A,41Bを制御するように構成されている。例えば、所定値の高周波電圧を印加して光源60を点灯させた際の照明装置の照射光による照度を明るさセンサ53cにより検出し、明るさセンサ53cから得られる照度検出値が、設定値(換言すれば、光源60に前記所定値の高周波電圧を印加した際に得られるべき照度に対応する値)となるように液晶フィルタ部31の液晶フィルタ31A,31Bの透過率をともに増減させることで、可視領域の全波長の光に対する透過率を増減させるように構成されている。尚、実際上、光源60の光出力は累積点灯時間とともに低下していくため、上記の設定値は、末期点灯時の光源60の光出力に対応して設定される。したがって、上記の定照度プログラムによれば、両液晶フィルタ31A,31Bの透過率は、光源60の累積点灯時間に応じて増加する(すなわち、光源60の初期点灯時の透過率に対して、末期点灯時の透過率が高くなる)ように制御されることになる。
以上述べたように本実施形態の照明装置によれば、上記実施形態6と同様の効果を奏する上に、光源60の累積点灯時間に起因する光出力の低下を補正して、光源60に同等の電圧を印加した際の照明装置の照射光による照度を、略一定に保つことができるという効果を奏する。