JP2007265757A - 燃料電池発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料から発電に必要な水素を生成させる過程で生成する二酸化炭素の回収が容易であって、高効率発電が可能な、燃料電池発電システムを提供することにある。
【解決手段】燃料貯蔵部11から供給されたメタノール水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解装置20と、電解装置20で生成された二酸化炭素を回収して燃料貯蔵部11に供給するための二酸化炭素回収装置29と、電解装置20で生成された水素を回収する水素回収装置28と、水素と酸素とを電気化学反応させることによって発電を行う固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108と、水素回収装置29で回収された水素を固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108に供給する水素供給装置40,41,84を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素と酸素を電気化学反応させることによって発電を行う燃料電池発電システムに関し、特に、発電に必要な水素を生成させる過程で生成する地球温暖化ガスである二酸化炭素の回収が容易であって、高効率発電が可能な、地球環境に優しい燃料電池発電システムに関する。
近年、炭化水素系の燃料から水素を生成させ、この生成させた水素と空気とを燃料電池セルスタックに供給し、水素と空気中の酸素との燃料電池反応によって発電を行う燃料電池発電システムが、注目されている。このような燃料電池発電システムは、例えば、特開2002−372199号公報(特許文献1)に開示されている。
図5は、燃料から生成させた水素を燃料電池セルスタックに供給し発電を行う従来の燃料電池発電システムの構成の一例を示している。図5に示した燃料電池発電システムでは、燃料電池セルスタックとして、3組の固体高分子形燃料電池セルスタックを用いている。この燃料電池発電システムは、炭化水素(図示した例では天然ガス1)と水蒸気(H2O)155とが供給され、炭化水素の水蒸気改質反応によって水素58を発生させる部分と、3組の固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108を含む燃料電池部分とに大別される。
まず、水蒸気改質反応によって水素を生成させる部分について説明する。
水素を生成する部分は、主な構成要素として、脱硫器2、改質器3、COシフトコンバータ4、水素分離器53、凝縮器55、流量制御弁27,33,162,164,167,171,174、空気供給用ブロワ12、改質器バーナ156、気化器157、気化器用ポンプ158、水タンク159、補給水ポンプ161、気化器バーナ170を備えている。
燃料である天然ガス1は、流量制御弁27を介して脱硫器2に供給され、流量制御弁164を介して改質器バーナ156に供給され、流量制御弁171を介して気化器バーナ170に供給される。気化器バーナ170は、水蒸気改質反応に必要な水蒸気を水から生成させる気化器157を加熱するためのものであり、天然ガス1のほかに、空気供給用ブロア12からの空気14が流量制御弁167を介して供給され、燃焼排出ガス175を排出する。改質器バーナ156は、水蒸気改質反応を行わせる改質器3を加熱するためのものであり、天然ガス1のほかに、空気供給用ブロア12からの空気14が流量制御弁164を介して供給され、燃焼に伴って燃焼排出ガス166を排出する。この燃焼排出ガス166は、高温であるので、気化器157において水蒸気を気化するための熱源として用いるために気化器157に送られ、気化器157から、排出ガス176として排出されるようになっている。気化器157に対しては、水タンク159から気化器用ポンプ158を介して水173が供給される。水173は気化器157において気化し、水蒸気155として気化器157から排出される。水タンク159には、補給水ポンプ161を介して補給水160が供給されるようになっている。
脱硫器2には、天然ガス1のほかに、COシフトコンバータ出口ガス21からリサイクルされる脱硫器リサイクルガス32が、流量制御弁33を介して供給される。脱硫器2からの脱硫された天然ガス、すなわち、脱硫天然ガス24は、気化器157から流量制御弁174を介して供給された水蒸気155とが混合され、混合ガス154として改質器3に供給されるようになっている。改質器3では、後述するメタン等の炭化水素の水蒸気改質反応が起こる。改質器50からの出口ガス(すなわち水素リッチな改質ガス22)は、次にCOシフトコンバータ4に供給される。COシフトコンバータ出口ガス21は、一酸化炭素濃度を1体積%以下に低減させた改質ガスであり、前述したように、一部が脱硫器2に脱硫器リサイクルガス32としてリサイクルされるほかは、水素分離器供給ガス52として、水素分離器53に供給される。なお、「水素リッチ]とは、燃料電池反応によって発電に寄与するに足りる濃度の水素を含有することを意味する。
水素分離器53は、水素分離器供給ガス52から水素58を分離するものであり、水素58が分離された残りのガスすなわち水素分離器排出ガス54は、凝縮器(コンデンサ)55に供給される。凝縮器53で凝縮した水(凝縮水57)は、水タンク159にリサイクルされる。凝縮器53で水が凝縮除去された水素分離器排出ガス54は、水素分離器乾燥排出ガス56として、凝縮器55から排出される。
次に、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108を含む燃料電池部分について説明する。
固体高分子形燃料電池セルスタック9は、流量制御弁86を介して水素58が供給される燃料極6、空気供給用ブロア115から流量制御弁10を介して空気25が供給される空気極8と、燃料極6および空気極8によって挟まれた固体高分子電解質7と、を備えている。燃料電池反応に伴って、空気極8からは、空気極排出ガス13と生成水30が排出されるようになっている。燃料極6には、燃料極6内のガスをパージガス61としてパージするために、パージ弁60が設けられている。このような固体高分子形燃料電池スタック9で発生する直流電力(燃料電池直流出力18)は、出力調整装置16に供給されて交流電力に変換され、送電端交流出力19として負荷17に供給されるようになっている。
同様に、固体高分子形燃料電池セルスタック95,108は、それぞれ、流量制御弁87,88を介して水素58が供給される燃料極92,105と、固体高分子電解質93,106と、空気供給用ブロア89,102から流量制御弁90,103を介して空気91,104が供給される空気極94,107とを備えている。燃料極92,105には、パージガス120,123を排出するためのパージ弁119,122が取り付けられている。空気極94,107からは、空気極排出ガス100,113と生成水116,117が排出されるようになっている。固体高分子形燃料電池セルスタック95,108からの燃料電池直流出力98,111は、出力調整装置96,109に送られて交流電力に変換され、送電端交流出力99,112として負荷97,110に供給されるようになっている。
図5においては、各固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108は、いずれも、1組の燃料極6,92,105、固体高分子電解質7,93,106および空気極8,94,107からなる単セルによって構成されているように示されているが、実際には、これらの固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108は、単セルを複数組み合わせることに、所定の直流電流および直流電圧を出力できるように構成されている。
次に、図5に示した従来の燃料電池発電システムの動作を説明する。
燃料の天然ガス1は、脱硫器2、気化器バーナ170、及び改質器バーナ156に供給される。脱硫器2に供給される天然ガスは、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108での発電に用いられる水素58を生成するためのものであり、その供給量は、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108の燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計と流量制御弁27の開度(すなわち脱硫器2への天然ガス供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁27の開度を制御することによって、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計に見合った値に設定される。
天然ガス1には、メルカプタン等の腐臭剤が含まれており、この腐臭剤は、改質器3に充填された改質触媒や固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108の燃料極6,92,105の電極触媒の劣化原因となる硫黄成分を含んでいる。そこでまず、天然ガス1を脱硫器2に供給する。脱硫器2では、充填された脱硫触媒のコバルト−モリブデン系触媒と酸化亜鉛吸着剤の働きにより、天然ガス1中の硫黄成分が水添脱硫により吸着除去される。すなわち、コバルト−モリブデン系触媒により、最初に硫黄と水素を反応させて硫化水素を生成させ、次にこの硫化水素と酸化亜鉛を反応させることによって硫化亜鉛を生成させて、硫黄成分を除去する。硫化水素の生成に必要な水素を供給するために、一酸化炭素濃度を1%以下に低減させた水素リッチな改質ガスであるCOシフトコンバータ出口ガス21の一部を、脱硫器リサイクルガス32として脱硫器2にリサイクルしている。脱硫器リサイクルガス32の供給量は、流量制御弁27の開度(すなわち、発電用の天然ガスの供給量)と流量制御弁33の開度(すなわち、脱硫器リサイクルガス32の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁33の開度を制御することによって、発電用の天然ガスの供給量と見合った値に設定される。硫化水素の生成反応と硫化亜鉛の生成反応は吸熱反応であり、これらの反応に必要な反応熱は、後述する発熱反応であるCOシフトコンバータ4での水性シフト反応によって発生する熱をCOシフトコンバータ4から脱硫器2に供給することによってまかなう。
脱硫器2で脱硫された天然ガス、すなわち、脱硫天然ガス24は、気化器157から供給された水蒸気155と混合され、水蒸気155と脱硫天然ガス24との混合ガス154として、ニッケル系触媒やルテニウム系触媒を改質触媒として充填した改質器3に供給される。脱硫天然ガス24と混合する水蒸気155の供給量は、流量制御弁27の開度(すなわち、発電用の天然ガスの供給量)と流量制御弁174の開度(すなわち、水蒸気155の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁174の開度を制御することによって、混合ガス154のスチームカーボン比(水蒸気の炭素に対するモル比)が予め設定された値となるように、設定される。
気化器157では、水タンク159から気化器用ポンプ158で供給された水173を気化させる。水173の気化に必要な熱は、改質器バーナ156のからの高温の燃焼排出ガス166を気化器157に供給し、水173と熱交換させることによって供給する。気化器157において水173と熱交換を行った燃焼排出ガス166は、排出ガス176として、気化器157から排出される。気化器157での水173の気化に必要な熱の供給が、改質器バーナ156の燃焼排出ガス166との熱交換だけでは不足する場合には、天然ガス1を気化器バーナ170に供給するとともに、空気供給用ブロワ12で取り込んだ空気14の一部である空気172を気化器バーナ170に供給し、両者を燃焼させることによって、気化器157にさらに熱を供給する。気化器バーナ170からは燃焼排出ガス175が排出される。
気化器バーナ170に供給される天然ガスの供給量は、気化器157の温度と流量制御弁171の開度(すなわち、気化器バーナ用の天然ガスの供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁171の開度を制御することによって、予め設定された所定の気化器温度となるように設定する。また、気化器バーナ170に供給される空気172の供給量は、流量制御弁171の開度(すなわち、気化器バーナ170への天然ガス168の供給量)と流量制御弁167の開度(すなわち、気化器バーナ170の空気172の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁167の開度を制御することによって、予め設定された所定の空燃比(空気対燃料比)となるように設定される。
水タンク159には、凝縮器55で凝縮させた凝縮水57が供給される。これだけでは水タンク159の水が不足する場合には、必要に応じて補給水ポンプ161を作動させ、補給水160を水タンク159に供給する。
改質器3では、充填された改質触媒の働きにより、天然ガスに含まれる炭化水素の水蒸気改質反応が行われ、水素リッチな改質ガス22がつくられる。天然ガス1の主成分であるメタンの水蒸気改質反応は、(1)式で表される。
(メタンの水蒸気改質反応)
CH4 +H2O → CO + 3H2 (1)
(1)式に示したメタンの水蒸気改質反応などの炭化水素水蒸気改質反応は、一般に吸熱反応であり、効率的に水素を生成させるためには、改質器3の外部から必要な反応熱を供給し、改質器3の温度を700〜750℃に維持しなければならない。このため、天然ガス1を燃料として改質器バーナ156に供給するとともに、空気165を改質器バーナ156に供給し、両者を燃焼させることによって、水蒸気改質反応に必要な反応熱を改質器3に供給する。改質器バーナ156への天然ガスの供給量は、予め設定された流量制御弁27の開度(すなわち、発電用の天然ガスの供給量)と流量制御弁162の開度(すなわち、改質器バーナ156への天然ガスの供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁162の開度を制御することによって、発電用の天然ガスの供給量に見合った値に設定する。また、改質器バーナ156への空気165の供給量は、流量制御弁162の開度(すなわち、改質器バーナ156への天然ガスの供給量)と流量制御弁164の開度(すなわち、改質器バーナ156への空気165の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁164の開度を制御することによって、予め設定された所定の空燃比となるように設定される。
改質器3の排出ガスである水素リッチな改質ガス22中には、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108の燃料極6,92,105の電極触媒の劣化原因となる一酸化炭素が含まれているので、この水素リッチな改質ガス22は、銅−亜鉛系触媒等のシフト触媒が充填されたCOシフトコンバータ4に供給される。シフト触媒の働きにより(2)式に示す水性シフト反応を行わせることによって、水素リッチな改質ガス22中の一酸化炭素濃度が1%以下まで低減される。
(水性シフト反応)
CO + H2O → CO2 + H2 (2)
水性シフト反応は発熱反応であるので、発生した熱を脱硫器2に供給し、前述したように、吸熱反応である脱硫器2での硫化水素の生成反応と硫化亜鉛の生成反応のための反応熱として利用する。
一酸化炭素濃度を1%体積以下に低減させた改質ガスであるCOシフトコンバータ出口ガス21の一部は、前述したように脱硫器リサイクルガス32として脱硫器2に供給され、残りは、水素分離器供給ガス52として、パラジウム膜等の水素分離膜を有する水素分離器53に供給される。水素分離器53では、水素分離器供給ガス52から水素58が分離される。その際、効率的な水素分離を行うために、必要に応じて水素分離器供給ガス52の加圧を行う。水素分離器排出ガス54は、凝縮器55で凝縮水57を凝縮させた後に、水素分離器乾燥排出ガス56として排出される。水素分離器53で分離した水素58は、流量制御弁86を介して固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6に供給され、流量制御弁87を介して固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92に供給され、流量制御弁88を介して固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給される。
固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6への水素58の供給量は、燃料電池直流出力18での電池電流と流量制御弁86の開度(すなわち、燃料極6への水素58の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁86の開度を制御することによって、燃料電池直流出力18の電池電流に見合った値に設定される。固体高分子形燃料電池セルスタック9の空気極8には、空気供給用ブロワ115で取り込んだ空気25が供給されるが、この空気25の供給量は、燃料電池直流出力18の電池電流と流量制御弁10の開度(すなわち、空気極8への空気25の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁10の開度を制御することによって、燃料電池直流出力18の電池電流に見合った値に設定される。固体高分子形燃料電池セルスタック9の発電温度は、60〜80℃が一般的であり、電池反応による発熱によりこの発電温度が維持される。
なお、図5には示されていないが、固体高分子形燃料電池セルスタック9の発電温度を60〜80℃に維持するためには、冷却水による固体高分子形燃料電池セルスタック9の冷却が必要であり、この冷却過程で得られた温水を給湯に利用することが可能である。
固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6では、白金系電極触媒の働きで、水素(H2)の約80%が、(3)式に示す燃料極反応によりプロトン(H+)と電子(e-)に変わる。
(燃料極反応)
2 → 2H+ +2e- (3)
燃料極6で生成したプロトンは、固体高分子電解質7の内部を移動し、空気極8に到達する。固体高分子電解質7は、例えば、スルフォン酸基を有するフッ素系高分子から構成される。そのような固体高分子電解質7の例として、商品名「ナフィオン」と呼ばれるものがある。一方、燃料極6で生成した電子は、外部回路を移動し、空気極8に到達する。この電子が外部回路を移動する過程で、電気エネルギーを燃料電池直流出力18として取り出すことができる。
固体高分子形燃料電池セルスタック9の空気極8では、白金系電極触媒の働きで、燃料極6から固体高分子電解質7の内部を空気極8に移動してきたプロトン、燃料極6から外部回路を空気極8に移動してきた電子、及び空気極8に供給された空気25中の酸素(O2)が、(4)式に示す空気極反応により反応し、水(H2O)が生成する。この水は、電池反応による生成水30として、外部に排出される。
(空気極反応)
2H+ + (1/2)O2 + 2e- → H2O (4)
(3)式と(4)式をまとめると、固体高分子形燃料電池セルスタック9の電池反応は、(5)式に示す水素と酸素から水ができる、水の電気分解の逆反応として表すことができる。
(電池反応)
2 + (1/2)O2 → H2O (5)
固体高分子形燃料電池セルスタック9の発電によって得られた燃料電池直流出力18は、負荷17に合わせて出力調整装置16で電圧の変換と直流から交流への変換を行った後に、送電端交流出力19として負荷17に供給される。なお、図5では、出力調整装置16で直流から交流への変換を行っているが、出力調整装置16で電圧変換のみを行い、送電端直流出力を負荷17に供給してもよい。また、図5には示されていないが、固体高分子形燃料電池セルスタック9の発電によって得られた燃料電池直流出力18を、負荷17,97,110の少なくとも一つ以上に合わせて出力調整装置16で電圧の変換と直流から交流への変換を行った後に、送電端交流出力19として負荷17,97,110の少なくとも一つ以上に供給してもよい。さらに、出力調整装置16で電圧変換のみを行い、送電端直流出力を負荷17,97,110の少なくとも一つ以上に供給してもよい。
固体高分子形燃料電池セルスタック9の空気極8では、供給された空気25は、酸素の一部を(4)式に示した空気極反応により消費した後に、空気極排出ガス13として排出される。一方、燃料極6では、供給された水素の約80%が(3)式に示した燃料極反応により消費された後に、残りに水素が燃料極水素排出ガス59として排出される。この未反応水素からなる燃料極水素排出ガス59は、固体高分子形燃料電池セルスタック9の送電端効率を向上させるために、すペて燃料極6にリサイクルして発電に利用する。しかし、燃料極水素排出ガス59中には水素以外の不純物が若干含まれるので、次第にこの不純物が燃料極6に蓄積する。そこで、パージ弁60を間欠的に開け、パージガス61を放出することにより、燃料極6に蓄積された不純物ガスを系外に排出する。
固体高分子形燃料電池セルスタック95,108においても、固体高分子形燃料電池セルスタック9の場合と同様に、水素58と空気25,91,104の供給量が調整され、前述の電池反応に基づいて発電が行われ、燃料電池直流電力98,111が出力調製装置96,109に供給され、それにより、送電端交流出力99,112として負荷に電力が供給される。この場合、未反応の水素を含んで燃料極92,105から排出される燃料極水素排出ガス118,121は、前述と同様に燃料極92,105にリサイクルされるが、燃料極92,105内への不純物の蓄積を抑えるために、パージ弁119,122を間欠的に開け、パージガス120,123を放出する。
次に、前述したような従来の技術による燃料電池発電システムの問題点について説明する。図5に示した従来の燃料電池発電システムでは、改質器3において発電用の天然ガスに含まれる炭化水素の水蒸気改質反応を行わせるために、天然ガスを改質器バーナ156に供給して燃焼させる必要があった。また、気化器157を設け、改質器バーナ156の燃焼排出ガス166と熱交換を行わせるとともに、気化器バーナ170において天然ガス168を燃焼させることによって、水173の気化に必要な熱を外部から気化器157に供給し、改質器3での炭化水素の水蒸気改質反応に必要な水蒸気155を生成させなければならなかった。このように、従来の燃料電池発電システムでは、改質器バーナ156および気化器バーナ170に対して天然ガスと空気とを供給し、天然ガスと空気中の酸素との燃焼反応を行わせることによって、炭化水素の水蒸気改質反応を行わせ水素を生成させるために必要な熱を得る必要があった。このとき、改質器バーナ156の燃焼排出ガス166と気化器バーナ170の燃焼排出ガス175には、天然ガスの燃焼により生成した二酸化炭素と水蒸気の他に、空気中の窒素が多量に含まれることになり、地球温暖化ガスである二酸化炭素の分離回収のためには、高価で大規模な二酸化炭素の分離回収装置が必要となる。例えば、予め定められた温度になると二酸化炭素を吸収し予め定められた高温度になると吸収していた二酸化炭素を放出する性質を有するリチウム化合物等のガス吸収放出剤を充填した二酸化炭素吸収放出器に燃焼排出ガス166,175を供給すれば、これら燃焼排出ガス166,175中の二酸化炭素を回収することは可能であるが、連続的に水素生成を行うためには、最低2組の二酸化炭素吸収放出器を新たに設けて二酸化炭素の連続的な吸収放出を行う必要があり、システムコストが上昇するといった問題点がある。また、ガス吸収放出剤の交換等のために保守コストが上昇するといった問題点や、二酸化炭素吸収放出器では温度により二酸化炭素の吸収放出を行わせるので、エネルギー消費が増大するといった問題点もある。
特開2002−372199号公報
本発明の目的は、燃料から発電に必要な水素を生成させる過程で生成する地球温暖化ガスである二酸化炭素の回収が容易であって、高効率発電が可能な、地球環境に優しい燃料電池発電システムを提供することにある。
本発明の第1の燃料電池発電システムは、水素と酸素を電気化学反応させることによって発電を行う燃料電池発電システムにおいて、水溶性有機化合物水溶液を貯蔵する燃料貯蔵手段と、燃料貯蔵手段から供給された水溶性有機化合物水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解手段と、電解手段で分離して生成させた二酸化炭素を回収し、燃料貯蔵手段に供給する二酸化炭素回収手段と、電解手段で分離して生成させた水素を回収する水素回収手段と、燃料電池セルスタックと、水素回収手段で回収された水素を燃料電池セルスタックに供給する水素供給手段と、を有し、燃料電池セルスタックは水素供給手段により供給された水素と酸素とを電気化学反応させることによって発電を行うことを特徴とする。
本発明の第2の燃料電池発電システムは、水素と酸素を電気化学反応させることによって発電を行う燃料電池発電システムにおいて、水溶性有機化合物の水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解手段と、電解手段で分離して生成させた二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収手段と、二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素を二酸化炭素の供給先に供給する二酸化炭素供給手段と、電解手段で分離して生成させた水素を回収する水素回収手段と、燃料電池セルスタックと、水素回収手段で回収した水素を燃料電池セルスタックに供給する水素供給手段と、を有し、燃料電池セルスタックは水素供給手段により供給された水素と酸素とを電気化学反応させることによって発電を行うことを特徴とする。この燃料電池発電システムでは、二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を設けてもよい。
本発明の燃料電池発電システムでは、水素回収手段で回収された水素を精製する水素精製手段を設けてもよく、その場合、水素精製手段で精製された水素を貯蔵する水素貯蔵手段や、水素精製手段で精製された水素を加圧する水素加圧手段を設けてもよい。
本発明の燃料電池発電システムでは、水素回収手段で回収された水素と二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素とが供給され、供給された二酸化炭素に含まれる酸素と水素とを反応させて水もしくは水蒸気を生成させる酸素反応手段をさらに設けてもよい。水素精製手段が設けられている場合には、酸素反応手段は、水素回収手段で回収された水素の代わりに、水素精製手段からの排出ガスが供給されて、この排出ガス中に含まれる水素を二酸化炭素中の酸素と反応させるようにしてもよい。いずれの場合も、酸素反応手段で生成された水または水蒸気を回収する水分回収手段を設けることが好ましい。
本発明の燃料電池発電システムでは、水素回収手段で回収された水素を加圧する水素加圧手段を設けてもよく、水素加圧手段で加圧された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を設けてもよく、水素回収手段で回収された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を設けてもよい。
本発明において、燃料電池セルスタックとしては、例えば、固体高分子電解質膜を電解質とする固体高分子形燃料電池セルスタック、または、りん酸を電解質とするりん酸形燃料電池セルスタックが用いられる。水溶性有機化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
本発明によれば、燃料電池発電システムの電解装置を構成する電解セルで水溶性有機化合物水溶液を電気分解することによって、水の電気分解と比較して少ない電解電力で、電解セルのアノードで選択的に高濃度の二酸化炭素を含むアノード室出口ガスを生成させることができ、また、対極のカソードで選択的に高濃度の水素を含むカソード室出口ガスを生成させることができるので、水素の分離回収と二酸化炭素の分離回収が容易である。このため、地球温暖化ガスである二酸化炭素の回収のためのシステムコストと保守コスト、エネルギーコスト等のランニングコストの削減が可能である。さらに、本発明によれば、回収したカソード室出口ガスの水素濃度が高いので、水素精製手段での水素の損失を抑制するとともに、水素精製手段のコンパクト化によるシステムコストとの削減が可能である。従って、木発明によれば、二酸化炭素の回収が容易で、高効率発電が可能であるという利点がある。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の燃料電池発電システムの構成を示している。図1に示す例では、3組の固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108を用いているが、固体高分子形燃料電池セルスタックの数は必ずしも3組に限定されるわけではなく、固体高分子形燃料電池セルスタックはいくつあっても構わない。
図1に示した燃料電池発電システムは、主な構成要素として、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108と、メタノール水溶液5を貯蔵するとともに回収した二酸化炭素の貯蔵も行う燃料貯蔵部11と、固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108で発生した直流電力を交流電力に変換する出力調整装置16,96,109と、メタノール水溶液5に電気分解反応を行わせる電解装置20と、ポンプ23,77と、メタノール水溶液5の電気分解に必要な直流電力46を電解装置20に供給する直流電源26と、電解装置2で生成させた水素をカソード室出口ガス65として回収する水素回収装置28(図1では「H2回収」と表示)と、電解装置2で生成させた二酸化炭素をアノード室出口ガス64として回収する二酸化炭素回収装置29(図1では「CO2回収」と表示)と、流量制御弁31,34〜36と、カソード室出口ガス65を精製して高純度水素78を得る水素精製装置67と、カソード室出口ガス65を加圧して加圧カソード室出口ガス75を生成する水素加圧装置62と、高純度水素78を加圧して加圧高純度水素79を生成する水素加圧装置37と、加圧高純度水素79、高純度水素78および加圧カソード室出口ガス75をそれぞれ所蔵する水素貯蔵部38,39,63と、水素貯蔵部38,39に貯蔵された高純度水素を固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108に供給する水素供給装置40,41と、水素貯蔵部63に貯蔵されたカソード室出口ガスを固体高分子形燃料電池セルスタックに供給する水素供給装置84と、二酸化炭素回収装置29で回収されたアノード室出口ガス64を加圧して加圧アノード室出口ガス66を生成して燃料貯蔵部11に供給する二酸化炭素加圧装置42と、アノード室出口ガス64中の酸素を反応させる酸素反応装置43と、酸素反応装置43の排出液または排出ガスから水または水蒸気を回収する水分回収装置44と、パージ弁60,119,122と、流量制御弁10,76,86〜88,90,103と、空気供給用ブロワ89,102,115と、を備えている。すなわち、図1に示した本実施形態の燃料電池発電システムは、図5に示した従来の燃料電池発電システムとは、脱硫器2、改質器3、COシフトコンバータ4、水素分離器53、凝縮器55、気化器157、水タンク159、および気化器バーナ170を不要とし、その代わりに、燃料貯蔵部11、電解装置20、直流電源26、水素回収装置28、二酸化炭素回収装置29、水素加圧装置37,62、水素貯蔵部38,39,63、水素供給装置40,41,84、二酸化炭素加圧装置42、酸素反応装置43、水分回収装置44、および水素精製装置67を設けた点で大きく異なっている。
図1において、前述した図5と同一のものは同一の符号で表し、これらのものについてはその詳細についての説明を省略する。特に、図1に示した燃料電池発電システムにおいて、流量制御弁86から固体高分子形燃料電池セルスタック9側の部分の構成、流量制御弁87から固体高分子形燃料電池セルスタック95側の部分の構成、および、流量制御弁88から固体高分子形燃料電池セルスタック108側の部分の構成は、図5に示した該当部分の構成と完全に同一である。
燃料貯蔵部11は、水溶性有機化合物の水溶液のひとつであるメタノール水溶液5を貯蔵する交換可能なタンクとする。メタノール水溶液5の代わりに、水溶性有機化合物の水溶液として、エタノール水溶液、2−プロパノール水溶液等を用いてもよい。メタノール水溶液5におけるメタノールと水のモル比は、後述するように、メタノールと水が等モル反応して水素が生成することから、1:1が望ましいが、必ずしも1:1に限定させるものではない。燃料貯蔵部11に貯蔵したメタノール水溶液5は、ポンプ23によって、電解装置30を構成する電解セル74のアノード室68に供給される。電解セル74の構成は、図2に示されている。
電解セル74は、アノード69と、アノード69を備えるアノード室68と、電解質膜70と、カソード71と、カソード71を備えるカソード室72と、から構成されている。電解質膜70は、アノード室68とカソード室72とを分離しており、アノード69とカソード71は、電解質膜70を挟むように電解質膜70に接して設けられている。アノード69で発生したプロトン(H+)は、電解質膜7中を移動してカソード69にまで到達するようになっている。なお、図2では、電解装置20が一組の電解セル74から構成されているが、必ずしも一組に限定されるわけではなく、複数組の電解セル74から電解装置2を構成してもよい。
電解セル74のアノード室68へのメタノール水溶液5の供給量は、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計とポンプ23の回転数(すなわち、メタノール水溶液5の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、ポンプ23の回転数を制御することによって、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計に見合った値に設定される。
直流電源26には、太陽電池、風力発電機、燃料電池、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等の自家発電機や商用電源などの所定のエネルギー源から得た電力45が供給される。直流電源26に供給された電力45は、直流電源26で所定の変換が行われ直流電力46の形で電解セル74に供給され、電解セル74のアノード室68に供給されたメタノール水溶液5の電気分解に使用される。電解セル74に供給される直流電力46の電流量は、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計と直流電力46の電流量との間の予め設定された関係に基づいて、直流電源26を制御することによって、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計に見合った値に設定される。
直流電源26から電解セル74に供給された直流電力46により、電解セル74のアノード69とカソード71との間には電解電圧が印加され、電解電流が流れることによって、メタノール水溶液3の電気分解が起こる。アノード69では(6)式に示すメタノール(CH3OH)と水(H2O)の電気化学反応が起こり、二酸化炭素(CO2)とプロトン(H+)と電子(e-)が生成する。
CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ +6e- (6)
アノード69でのメタノールと水の電気化学反応を進行させるためには触媒が必要であり、カーボン担体等に白金や白金−ルテニウム合金を担持した白金触媒や、白金−ルテニウム合金触媒が一般的に用いられている。(6)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード69で生成したプロトン(H+)は、プロトン伝導性を有する電解質膜70中を移動し、カソード71に到達する。このプロトン伝導性を有する電解質膜70には、スルフォン酸基を有するパーフルオロスルフォン酸膜がよく用いられている。また、(6)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード69で生成した電子(e-)は、直流電源26を含む外部回路を移動し、カソード71に到達する。カソード71では、(4)式に示すように、電解質膜70中をアノード69から移動してきたプロトンと外部回路をアノード69から移動してきた電子との電気化学反応が起こり、水素が生成する。
6H+ + 6e- → 3H2 (7)
メタノール水溶液5の電気分解反応は、全体として、(6)式に示したアノード69での反応と、(7)式に示したカソード71での反応を組み合わせたものであって、(8)式に示すような、メタノールと水が反応して二酸化炭素と水素が生成する反応となる。
CH3OH + H2O → CO2 + 3H2 (8)
前述したように、電解装置20の電解セル74のアノード69で二酸化炭素が生成し、カソード71で水素が生成する。電解セル74の電解質膜70のガス気密性が高いので、アノード69で生成した二酸化炭素とカソード71で生成した水素とが混合する可能性は低い。したがって、このような電解装置20を用いることにより、電解セル74から水素と二酸化炭素とを分離して回収することができる。アノード69で生成した二酸化炭素は、アノード室68に隣接して設けられた二酸化炭素回収装置29において、未反応メタノール水溶液47と分離されて、アノード室出口ガス64として回収される。電解セル74のアノード室68に供給されたメタノール水溶液の一部は、電解質膜70を透過してカソード室72に移動するおそれがあるが、その場合は、カソード71で生成した水素は、カソード室72に隣接して設けられた水素回収装置28において電解質膜70を透過したメタノール水溶液73から分離されて、カソード室出口ガス65として回収される。
二酸化炭素回収装置29でアノード室出口ガス64と分離された未反応メタノール水溶液47のメタノール濃度と、水素回収装置28でカソード室出口ガス65と分離された電解質膜70を透過したメタノール水溶液73のメタノール濃度は、電解セル74のアノード室68に供給されたメタノール水溶液5のメタノール濃度にほぼ等しいので、二酸化炭素回収装置29で分離された未反応メタノール水溶液47と水素回収装置28で分離された電解質膜70を透過したメタノール水溶液73は、必要に応じて燃料貯蔵部11あるいは電解セル74のアノード室68にリサイクルされる。水素回収装置28で分離された電解質膜70を透過したメタノール水溶液73は、ポンプ77に送られる。ポンプ77の出口は2分岐し、一方は流量制御弁35を介して燃料貯蔵部11に通じ、他方は流量制御弁36を介してポンプ23と電解装置20を結ぶ供給管路に接続している。同様に、二酸化炭素回収装置29の未反応メタノール水溶液47を排出する出口は2分岐し、一方は流量制御弁31を介して燃料貯蔵部11に通じ、他方は流量制御弁34を介してポンプ23と電解装置20を結ぶ供給管路に接続している。したがって、二酸化炭素回収装置29で分離された未反応メタノール水溶液47の燃料貯蔵部11及び電解セル74のアノード室68へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁31,34の開度を調節することによって制御される。同様に、水素回収装置28で分離された電解質膜70を透過したメタノール水溶液73の燃料貯蔵部11及び電解セル74のアノード室68へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁35,36の開度を調節することによって制御される。
電解装置20の電解セル74のカソード71で生成した水素を含むカソード室出口ガス65は、必要に応じて、例えばパラジウム膜で代表される水素分離膜を有する水素分離器などの水素精製装置67に供給され、高純度水素78がつくられる。水素精製装置67でつくられた高純度水素78は、必要に応じて、水素加圧装置37に供給して加圧された後に加圧高純度水素79として高圧タンク等の水素貯蔵部38に供給され貯蔵される。一方、水素精製装置67で分離除去された不純物を含むガスは、水素精製装置排出ガス80として水素精製装置67から排出される。水素貯蔵部38に貯蔵された加圧高純度水素79は、水素供給装置40を用いて、必要に応じて固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給される。水素供給装置40では、必要に応じて加圧高純度水素79の減圧を行う。なお、水素加圧装置37と水素貯蔵部38を設けず、高純度水素78を水素供給装置40を用いてそのまま固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給してもよい。
また、水素精製装置67でつくられた高純度水素78は、水素加圧装置37で加圧することなく、水素吸蔵合金タンク等の水素貯蔵部39に常圧で貯蔵してもよい。この場合も、水素貯蔵部39に貯蔵された高純度水素78は、水素供給装置41を用いて、そのまま、固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給される。水素供給装置41では、必要に応じて、高純度水素78の加圧を行う。なお、水素貯蔵部39を設けず、高純度水素78を水素供給装置41を用いてそのまま固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給してもよい。
さらに、カソード室出口ガス65をそのまま水素加圧装置62に供給して加圧した後に加圧カソード室出口ガス75として水素貯蔵部63に供給し、水素貯蔵部63内に貯蔵してもよい。この場合には、水素貯蔵部63に貯蔵された加圧カソード室出口ガス75は、水素供給装置84を用いて、必要に応じて固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給される。水素供給装置84では、必要に応じて加圧カソード室出口ガス75の減圧を行う。なお、水素加圧装置62と水素貯蔵部63を設けず、カソード室出口ガス65を水素供給装置84を用いてそのまま固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給してもよい。
なお、カソード室出口ガス83を精製することなく、そのまま固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105に供給する場合には、カソード室出口ガス83における水素の純度が高純度水素78よりも低いことから、燃料極59,92,105からの燃料極水素排出ガス59,118,121中には水素以外の不純物が含まれている可能性がある。そこで、カソード室出口ガス83をそのままで燃料極59,92,105に供給する場合には、燃料極水素排出ガス59,118,121を燃料極6,92,105にリサイクルさせずにそのまま放出することが好ましい。
固体高分子形燃料電池セルスタック9の燃料極6への高純度水素81または高純度水素82またはカソード室出口ガス83の供給量は、燃料電池直流出力18の電池電流と流量制御弁86の開度(すなわち、燃料極6への高純度水素81または高純度水素82またはカソード室出口ガス83の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁86の開度を制御することによって、燃料電池直流出力18の電池電流に見合った値に設定される。同様に、固体高分子形燃料電池セルスタック95の燃料極92への高純度水素81または高純度水素82またはカソード室出口ガス83の供給量は、予め設定された関係に基づいて、流量制御弁87の開度を制御することによって、燃料電池直流出力98の電池電流に見合った値に設定され、固体高分子形燃料電池セルスタック108の燃料極105への高純度水素81または高純度水素82またはカソード室出口ガス83の供給量は、予め設定された関係に基づいて、流量制御弁88の開度を制御することによって、燃料電池直流出力111の電池電流に見合った値に設定される。
本実施形態の燃料電池発電システムでは、電解装置20の電解セル74のアノード69で生成した二酸化炭素を含むアノード室出口ガス64の二酸化炭素濃度は、90体積%以上と高い。そのため、本実施形態の燃料電池発電システムでは、二酸化炭素を分離回収するために二酸化炭素を吸収放出させる二酸化炭素吸収放出器を新たに設ける必要はなく、また、二酸化炭素を分離回収するためにエネルギーを消費する必要もない。アノード室出口ガス64をそのまま回収することによって、二酸化炭素の効率的な回収が可能である。
なお、電解装置20の電解セル74のアノード69では、(6)式に示したメタノールと水の電気化学反応以外に、(9)式に示す水の電気分解反応も起こるため、二酸化炭素回収装置29で回収された高濃度の二酸化炭素を含有するアノード室出口ガス64中には、若干の酸素が含まれる可能性がある。
2O → (1/2)O2 + 2H+ +2e- (9)
そこで、本実施形態では、白金等の貴金属触媒を用いた触媒燃焼器等の酸素反応装置43を必要に応じて設け、アノード出口ガス64と高濃度の水素を含むカソード室出口ガス65とを酸素反応装置72に供給し、アノード室出口ガス64中の酸素とカソード室出口ガス65中の水素を(10)式に示す燃焼反応により燃焼させることによって水または水蒸気を生成させ、アノード室出口ガス64中の酸素を除去する。
(1/2)O2 +H2 → H2O (10)
酸素反応装置43へのカソード室出口ガス65の供給量は、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計と流量制御弁76の開度(すなわち、酸素反応装置43へのカソード室出口ガス65の供給量)との間の予め設定された関係に基づいて、流量制御弁76の開度を制御することによって、燃料電池直流出力18,98,111の電池電流の合計に見合った値に設定される。なお、カソード室出口ガス65の代わりに水素を含む水素精製装置排出ガス80を同様に酸素反応装置43に供給してもよい。
酸素反応装置43で生成した水または水蒸気は、必要に応じて、凝縮器、水分吸着器(シリカゲルなどを充填)等の水分回収装置44を設けて回収される。水分回収装置44で水または水蒸気が回収されたアノード室出口ガス64は、必要に応じて、二酸化炭素加圧装置42で加圧された後に、加圧アノード室出口ガス66として燃料貯蔵部11に貯蔵される。燃料貯蔵部11に貯蔵された高濃度の二酸化炭素を含有する加圧アノード室出口ガス66は、燃料貯蔵部11に貯蔵されたメタノール水溶液5がなくなった時点で、燃料貯蔵部11ごと交換することによって回収することができる。アノード室出口ガス64は、電解装置20によって数気圧程度(数百kPa)程度まで加圧できるので、二酸化炭素加圧装置42を設けてアノード室出口ガス64を加圧することなく、そのまま二酸化炭素を含むアノード室出口ガス64を燃料貯蔵部11に供給することも可能である。
なお、二酸化炭素は不活性ガスであるので、メタノール水溶液5を貯蔵する燃料貯蔵部11の気相部分に貯蔵しても危険はない。燃料貯蔵部11は、メタノール水溶液5の消費とともに減圧状態になるので、二酸化炭素、すなわち、アノード室出口ガス64を燃料貯蔵部11に供給すると減圧を抑えることができ、メタノール水溶液5をポンプ23でスムースに電解装置20に供給することができるようになるという利点もある。
本実施形態では、加圧アノード室出口ガス66またはアノード室出口ガス64を燃料貯蔵部11に貯蔵するが、別途、二酸化炭素貯蔵部と二酸化炭素供給装置とを設け、加圧アノード室出口ガス66またはアノード室出口ガス64を二酸化炭素貯蔵部に貯蔵し、二酸化炭素貯蔵部に貯蔵された加圧アノード室出口ガス66またはアノード室出口ガス64を、二酸化炭素供給装置を用いて必要に応じてタンクローリー等で二酸化炭素処理装置に供給しても本実施形態と同様な効果が得られる。ここでいう二酸化炭素処理装置の中には、環境中に二酸化炭素を放出することなくこの二酸化炭素を処理したり固定したりする装置も含まれる。また、別途、二酸化炭素供給装置を設け、加圧アノード室出口ガス66またはアノード室出口ガス64を二酸化炭素供給装置を用いてパイプラインで二酸化炭素処理装置に供給しても、本実施形態と同様な効果が得られる。
図1に示した本実施形態の燃料電池発電システムにおいて、水素加圧装置37,62、水素貯蔵部38,39,63、二酸化炭素加圧装置42、酸素反応装置43、水分回収装置44、および水素精製装置67については、本発明の実施のために不可欠というものではなく、必要に応じてそれぞれ適宜に設けることができるものである。
本実施形態の燃料電池発電システムでは、電解装置20の電解セル74のアノード室68に隣接した二酸化炭素回収装置29により、二酸化炭素濃度が90体積%以上である高濃度二酸化炭素をアノード室出口ガス64として回収できるので、二酸化炭素の分離回収のための二酸化炭素を吸収放出させる二酸化炭素吸収放出器が不要となる。また、本実施形態の燃料電池発電システムでは、二酸化炭素のみを貯蔵するための貯蔵タンクなどを設ける必要がなく、燃料であるメタノール水溶液を貯蔵する燃料貯蔵部11に、回収された二酸化炭素を貯蔵するので、燃料貯蔵部11を交換することによって、燃料の補給と二酸化炭素の回収とを同時に容易に行うことができる。したがって、本実施形態によれば、二酸化炭素吸収放出器を設置するために必要なシステムコスト、及びメンテナンスコスト、エネルギーコスト等のランニングコストが削減できるとともに、二酸化炭素のみを貯蔵するタンクを設置するのに必要なシステムコストの削減も可能で、経済的に二酸化炭素の回収が可能な燃料電池発電システムが実現できる。
さらに、本実施形態の燃料電池発電システムでは、電解装置20の電解セル74のカソード室72に隣接した水素回収装置28により、水素濃度が90体積%以上の高濃度水素をカソード室出口ガス65として回収できるので、このカソード室出口ガスをそのまま固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108に供給することができる。また、カソード室出口ガス65を水素精製装置67で精製して得られる高純度水素81または高純度水素82を固体高分子形燃料電池セルスタック9,95,108に供給する場合でも、電解セル74での電気分解を利用してカソード室出口ガス65を数気圧(数百kPa)まで加圧することが可能であるので、膜分離を用いた水素精製装置67に必要な圧力とするためにカソード室出口ガス65を加圧する個別の加圧装置を不要にすることができる。また、カソード室出口ガス65における水素濃度が高いので、水素精製装置のコンパクト化も可能である。したがって、燃料電池発電システムのシステムコストとエネルギーコストの削減が可能である。
なお、本実施形態の燃料電池発電システムでは、電解装置20において電解セル74によりメタノール水溶液5の電気分解を行うために、所定のエネルギー源から得た電力45を直流電源26で所定の直流電力45に変換して電解セル74に供給する必要があるが、図3に示すように、メタノール水溶液の電気分解の電解電圧は、水の電気分解の電解電圧の30〜42%である。電解電力は電解電圧によって決まるので、同じモル数の水素を得るために必要な電解電力を考えると、メタノール水溶液の電気分解の場合の電解電力は、水の電気分解の場合の電解電力の30〜42%である。したがって、本実施形態の燃料電池発電システムでは、従来の水の電気分解を用いた燃料電池発電システムと比較して、消費エネルギーの増加に伴うエネルギーコストの上昇を招くことはない。なお、図3は、電解セル74のアノード69の触媒に白金−ルテニウム触媒(メタノール水溶液の電気分解)または白金触媒(水の電気分解)を、カソード71の触媒に白金触媒を、電解質膜70にパーフルオロスルフォン酸膜をそれぞれ用いてメタノール水溶液の電気分解及び水の電気分解を行った場合の電解電圧と電解電流の関係を表したものである。電解セル74のアノード室68に供給したメタノール水溶液の濃度は17mol/l(メタノールと水のモル比が1:1)とし、メタノール水溶液3の供給量は5cm3/分とした。また、電解セル74のアノード69およびカソード71の有効電極表面積は、23cm2とした。なお、メタノール水溶液の電気分解の電解電圧は、水の電気分解の電解電圧と比較して30〜42%に低下したが、図4に示すように、メタノール水溶液の電気分解において、電解電流に見合った理論生成速度で水素が生成することを確認した。
以上の説明では、燃料電池セルスタックとして固体高分子燃料形燃料電池セルスタックが用いられているが、本発明の燃料電池発電システムで用いられる燃料電池セルスタックはこれに限られるものではない。本発明に係る燃料電池発電システムでは、固体高分子燃料形燃料電池セルスタックの代わりに、りん酸電解質を電解質に用いたりん酸形燃料電池セルスタックを用いても、同様な効果が得られる。その際、固体高分子燃料形燃料電池セルスタックのすべてをりん酸形燃料電池セルスタックに置き換えてもよいし、一部をりん酸形燃料電池セルスタックに置き換えて固体高分子形燃料電池セルスタックとりん酸形燃料電池セルスタックを混在させてもよい。なお、りん酸形燃料電池セルスタックを用いた場合には、燃料極反応、空気極反応、および電池反応は、電極反応式としては固体高分子形燃料電池セルスタックを用いた場合と同じであるが、動作温度が約200℃と高いために、電池反応により水蒸気が生成する。この水蒸気は、給湯の他に空調にも利用することができる。
以上説明した本発明に係る燃料電池発電システムは、メタノール水溶液の代わりに、他の水溶液有機化合物の水溶液を燃料として用いても実現することができる。本発明に用いられる水溶性有機化合物としては、水溶性を有する有機化合物であれば特に限定されるものではないが、中でも水に対して任意の割合で溶解する有機化合物が好ましい。また、構成元素が、水素、炭素、及び所望により酸素である有機化合物が好ましい。具体的に本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、水溶性を有するアルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル(環状エーテルを含む)、もしくはアルデヒド、またはそれらの誘導体などが挙げられる。アルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル、及びアルデヒドの炭素原子数は1〜20程度が好ましい。また、環状エーテルは、4〜6員環骨格であることが好ましく、環状エーテルの炭素原子数は5〜10程度が好ましい。
水溶性を有するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソブロパノール(2−プロパノール)、ノルマルブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−へキサノール、2−へキサノール、3−へキサノール、5−メチル−1−へキサノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、sec−イソアミルアルコール(3−メチル−2−ブタノール)、イソウンデシレンアルコール、イソオクタノール、イソペンタノール、イソゲランオール、イソへキサノール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素原子数1〜20の一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール,1,2−ペンタンジオール等の二価アルコール類、または、ブタントリオール、グリセリン、ジグリセリン等の炭素原子数3〜10の多価アルコール等が挙げられる。
水溶性を有する有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。水溶性を有するケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、イソホロン等が挙げられる。水溶性を有するアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン等が挙げられる。水溶性を有するニトロアルカンとしては、例えば、ニトロエタン等が挙げられる。水溶性を有するエーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。水溶性を有する環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン等が挙げられる。水溶性を有するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
その他、本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、酢酸エチル等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、炭素原子数4〜30の一価アルコール、炭素原子数6〜30のフェノール系化合物、炭素原子数6〜30のアルキレングリコール、炭素原子数6〜30の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレンポリアミン等の炭素原子数2〜6のポリアミン(窒素原子数2〜4)等からなる活性水素含有化合物にエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加した水溶性液状アルキレンオキシド付加物(エチレンオキシドのモル数が1〜10)、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、サッカロース、グルコース等の各種糖類、メチルセルロース、水溶性でんぷん等の水溶性多糖類もしくはその誘導体等も挙げられる。
なかでも、本発明で用いる水溶性有機化合物としては、炭素原子数3〜10の多価アルコール、炭素原子数1〜20の一価アルコール、及び炭素原子数3〜20のケトンが好ましく、さらに、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールがより好ましい。なお、本発明で用いる水溶性有機化合物は、前述したような化合物1種類のみを単独に用いてもよいし、前述したような化合物を2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、本発明では、水溶性有機化合物の水溶液には、前述したような水溶性有機化合物が含まれていれば、それ以外の他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることは勿論である。
本発明の一実施形態の燃料電池発電システムの構成を示す図である。 図1に示す燃料電池発電システム内の電解装置で用いられる電解セルの構成を示す図である。 メタノール水溶液の電気分解と水の電気分解における電解電圧と電解電流の関係を示すグラフである。 メタノール水溶液の電気分解における水素生成速度と電解電流の関係を示すグラフである。 従来の燃料電池発電システムの構成を示す図である。
符号の説明
1 天然ガス
2 脱硫器
3 改質器
4 COシフトコンバータ
5 メタノール水溶液
6,92,105 燃料極
7,93,106 固体高分子電解質
8,94,107 空気極
9,95,108 固体高分子形燃料電池セルスタック
10,27,31,33〜36,76,86〜88,90,103,162,164,167,171,174 流量制御弁
11 燃料貯蔵部
12,89,102,115 空気供給用ブロワ
13,100,113 空気極排出ガス
14,25,91,104,165,172 空気
16,96,109 出力調整装置
17,97,110 負荷
18,98,111 燃料電池直流出力
19,99,112 送電端交流出力
20 電解装置
21 COシフトコンバータ出口ガス
22 水素リッチな改質ガス
23,77 ポンプ
24 脱硫天然ガス
26 直流電源
28 水素回収装置
29 二酸化炭素回収装置
30,116,117 生成水
32 脱硫器リサイクルガス
37,62 水素加圧装置
38,39,63 水素貯蔵部
40,41,84 水素供給装置
42 二酸化炭素加圧装置
43 酸素反応装置
44 水分回収装置
45 電力
46 直流電力
47 未反応メタノール水溶液
52 水素分離器供給ガス
53 水素分離器
54 水素分離器排出ガス
55 凝縮器
56 水素分離器乾操排出ガス
57 凝縮水
58 水素
59,118,121 燃料極水素排出ガス
60,119,122 パージ弁
61,120,123 パージガス
64 アノード室出口ガス
65,83 カソード室出口ガス
66 加圧アノード室出口ガス
67 水素精製装置
68 アノード室
69 アノード
70 電解質膜
71 カソード
72 カソード室
73 電解質膜を透過したメタノール水溶液
74 電解セル
75 加圧カソード室出口ガス
78,81,82 高純度水素
79 加圧高純度水素
80 水素精製装置排出ガス
154 混合ガス
155 水蒸気
156 改質器バーナ
157 気化器
158 気化器用ポンプ
159 水タンク
160 補給水
161 補給水ポンプ
166,175 燃焼排出ガス
170 気化器バーナ
173 水
176 排出ガス

Claims (17)

  1. 水素と酸素を電気化学反応させることによって発電を行う燃料電池発電システムにおいて、
    水溶性有機化合物の水溶液を貯蔵する燃料貯蔵手段と、
    前記燃料貯蔵手段から供給された前記水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解手段と、
    前記電解手段で分離して生成させた前記二酸化炭素を回収し、前記燃料貯蔵手段に供給する二酸化炭素回収手段と、
    前記電解手段で分離して生成させた前記水素を回収する水素回収手段と、
    燃料電池セルスタックと、
    前記水素回収手段で回収された前記水素を前記燃料電池セルスタックに供給する水素供給手段と、
    を有し、前記燃料電池セルスタックは前記水素供給手段により供給された前記水素と酸素とを電気化学反応させることによって発電を行うことを特徴とする燃料電池発電システム。
  2. 水素と酸素を電気化学反応させることによって発電を行う燃料電池発電システムにおいて、
    水溶性有機化合物の水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解手段と、
    前記電解手段で分離して生成させた前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収手段と、
    前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を二酸化炭素の供給先に供給する二酸化炭素供給手段と、
    前記電解手段で分離して生成させた前記水素を回収する水素回収手段と、
    燃料電池セルスタックと、
    前記水素回収手段で回収した前記水素を前記燃料電池セルスタックに供給する水素供給手段と、
    を有し、前記燃料電池セルスタックは前記水素供給手段により供給された前記水素と酸素とを電気化学反応させることによって発電を行うことを特徴とする燃料電池発電システム。
  3. 前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を有する、請求項2に記載の燃料電池発電システム。
  4. 前記水素回収手段で回収された前記水素と前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素とが供給され、供給された前記二酸化炭素に含まれる酸素と前記水素とを反応させて水もしくは水蒸気を生成させる酸素反応手段をさらに有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  5. 前記酸素反応手段で生成された前記水または水蒸気を回収する水分回収手段を有する、請求項4に記載の燃料電池発電システム。
  6. 前記水素回収手段で回収された前記水素を加圧する水素加圧手段を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  7. 前記水素回収手段で回収された前記水素を精製する水素精製手段を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記水素精製手段からの排出ガスと前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素とが供給され、供給された前記二酸化炭素に含まれる酸素と供給された前記水素精製手段からの排出ガスに含まれる前記水素とを反応させて水もしくは水蒸気を生成させる酸素反応手段を有する、請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記酸素反応手段で生成された前記水または水蒸気を回収する水分回収手段を有する、請求項8に記載の燃料電池発電システム。
  10. 前記水素精製手段で精製された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  11. 前記水素精製手段で精製された前記水素を加圧する水素加圧手段を有する、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  12. 前記水素加圧手段で加圧された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項6または11に記載の燃料電池発電システム。
  13. 前記水素回収手段で回収された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  14. 前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を加圧する二酸化炭素加圧手段を有する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  15. 前記二酸化炭素加圧手段で加圧された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を有する、請求項14に記載の燃料電池発電システム。
  16. 前記燃料電池セルスタックは、固体高分子電解質膜を電解質とする固体高分子形燃料電池セルスタック、または、りん酸を電解質とするりん酸形燃料電池セルスタックである、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
  17. 前記水溶性有機化合物が、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
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