JP2007253247A - 表面処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工対象物を覆うマスク内への削り屑の入り込みを防止して、省スペース品質及び生産性の向上を図った表面処理装置を提供する。
【解決手段】 電磁コイルが、現像スリーブ132及び磁性砥粒が収容された収容槽内に磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により磁性砥粒を現像スリーブ132に衝突させる。マスク64が、現像スリーブ132の両端を外挿して現像スリーブ132の外表面の一部を覆うことにより磁性砥粒の衝突を防ぐ。従動軸73が、ベアリング79によって、マスク64を軸芯P回りに回転可能に保持する。マスク64が、回転磁場の発生により軸芯P回りに回転力が生じるように配置されている。
【選択図】図3
【解決手段】 電磁コイルが、現像スリーブ132及び磁性砥粒が収容された収容槽内に磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により磁性砥粒を現像スリーブ132に衝突させる。マスク64が、現像スリーブ132の両端を外挿して現像スリーブ132の外表面の一部を覆うことにより磁性砥粒の衝突を防ぐ。従動軸73が、ベアリング79によって、マスク64を軸芯P回りに回転可能に保持する。マスク64が、回転磁場の発生により軸芯P回りに回転力が生じるように配置されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば、円筒状、または円柱状に形成された加工対象物の外表面に磁性砥粒を衝突させることで、該加工対象物の表面を粗面化する表面処理装置に関するものである。
従来、画像形成装置の外表面に付着した現像剤を感光体ドラムに搬送する現像ローラの現像スリーブなどの加工対象物の外表面を粗面化するには、磁性砥粒と加工対象物を収容槽内に封入した後に、モータを使って加工対象物を回転させ、この状態で、磁場発生部としての電磁コイルを用いて磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させ、回転磁場と磁性砥粒との間に働く電磁力によって、磁性砥粒をランダムに励磁させ、回転中の加工対象物に衝突させることによって、加工対象物の外表面を粗面化する表面処理装置(例えば、特許文献1ないし4参照)が知られている。
この種の表面処理装置は、砥粒を空気圧又は水圧で噴出させて、該砥粒を加工対象物に衝突させるサンドブラスト装置やショットブラスト装置に比べ、加工効率が良いことが知られている。
特開2003−305634号公報
特開2001−138207号公報
特許第3486221号
特開昭61−38862号公報
上述した加工対象物の中には、外表面全てを粗面化せずに、一部、粗面化を行わないように表面処理されるものもある。例えば、加工対象物が現像スリーブであった場合、図7に示すように、その両端部132aは表面の粗面化を行わない。現像スリーブは、その両端部132aをガイド部材に摺動させて回転しながら感光体ドラムに近づいたり、感光体ドラムから離れたりする。このように現像スリーブの両端部132aは、ガイド部材のような別部材が摺動する面となるため粗面化を行わない。逆に、現像スリーブの両端部にキズや異物が付着すると不良品となる。
そこで、図8に示すように、現像スリーブ132の両端部132aに、筒状のマスク64を被せて磁性砥粒の衝突を防ぐことが考えられている。しかしながら、上記マスク64をした状態で加工対象物の表面化処理を続けると、図8(b)に示すように、磁性砥粒の衝突によって削られた削り屑Kがマスク64内に侵入する。この結果、加工対象物の両端に異物(削り屑)が付着したり、マスクを加工対象物から着脱する際に加工対象物の両端にキズがついてしまう。そして加工対象物が不良品となってしまう。
このマスク64内への削り屑Kの入り込みに対して、一般的にエアーブローによってマスクと加工対象物との間に空気を吹き付けて削り屑Kをマスク64外へ排出させる対策も検討されている。しかしながら、エアーブローによって空気が垂れ流しされるとエネルギ消費量が増大し、この結果、騒音も増大して作業環境が悪化する。また、エアーブロー設置に伴って生産コストがアップしたり、装置が大型化し、設置スペースの制約などの問題が懸念される。
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、加工対象物を覆うマスク内への削り屑の入り込みを防止して、省スペース品質及び生産性の向上を図った表面処理装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、加工対象物及び磁性砥粒を収容する収容槽と、該収容槽内に前記磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により前記磁性砥粒を前記加工対象物に衝突させる磁場発生部と、前記加工対象物の一部を外挿して当該加工対象物の外表面の一部を覆うことにより前記磁性砥粒の衝突を防ぐ筒状のマスクと、を有する表面処理装置において、前記マスクを軸芯回りに回転させる回転手段が、設けられていることを特徴とする表面処理装置に存する。
請求項2記載の発明は、加工対象物及び磁性砥粒を収容する収容槽と、該収容槽内に前記磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により前記磁性砥粒を前記加工対象物に衝突させる磁場発生部と、前記加工対象物の一部を外挿して当該加工対象物の外表面の一部を覆うことにより前記磁性砥粒の衝突を防ぐ筒状のマスクと、を有する表面処理装置において、前記マスクを軸芯回りに回転可能に保持するマスク保持手段が、設けられ、前記マスクが、前記回転磁場の発生により軸芯回りに回転力が生じるように配置されていることを特徴とする表面処理装置に存する。
請求項3記載の発明は、前記円筒状のマスクが、当該内周面から内側に突出した板状のフィンを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置に存する。
請求項4記載の発明は、前記フィンが、前記マスク内の回転に応じて軸芯方向に風を発生させるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の表面処理装置に存する。
請求項5記載の発明は、前記フィンが、前記マスクの軸芯方向に対して所定角度に傾いて設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表面処理装置に存する。
請求項6記載の発明は、前記磁性砥粒が、ステンレスで構成された円柱体であることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の表面処理装置に存する。
請求項1記載の発明によれば、マスクを軸芯回りに回転させる回転手段が設けられているため、マスクが回転し、その回転によってマスク内から外へ向かう送風が発生してマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができ、そのため、エアーブローを用いることなくマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができ、省スペースで品質及び生産性の向上を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、マスク保持手段がマスクを軸芯回りに回転可能に保持し、マスクが回転磁場の発生により軸芯回りに回転力が生じるように配置されているため、回転磁場が発生するとマスクが軸回りに回転し、この回転によってマスク内から外へ向かう送風が発生してマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができ、そのため、エアーブローを用いることなく削り屑入り込み防止を図ることができ、省スペースで品質及び生産性の向上を図ることができる。また、表面処理時に発生させる回転磁場を利用してマスクを回転させることにより、モータのようにマスクを回転させる回転手段が不要となるため省エネルギ化や簡素化を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、円筒状のマスクが、その内周面から内側に突出した板状のフィンを備えている。従って、フィンによって強い送風を発生させることができるため、より一層確実にマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、フィンが、マスク内の回転に応じて軸芯方向に風を発生させるように配置されている。従って、フィンによって軸芯方向、即ちマスク内から外へ向かうより強い送風を発生させることができるため、より一層確実にマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができる。
請求項5記載の発明によれば、フィンが、マスクの軸芯方向に対して所定角度に傾いて設けられている。従って、フィンによって軸芯方向、即ちマスク内から外へ向かうより強い送風を発生させることができるため、より一層確実にマスク内への削り屑入り込み防止を図ることができる。
請求項6記載の発明によれば、磁性砥粒がステンレスで構成された円柱体であるため、加工対象物の表面に楕円形の穴を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の表面処理装置の一実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示された表面処理装置の収容槽などの断面図である。
表面処理装置1は、外表面に粗面化処理を施して、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に用いられる現像ローラの現像スリーブ132(図7に示す)を製造する装置である。現像スリーブ132の外径は、17mm〜18mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の軸方向の長さは、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の外表面の表面粗さは、該現像スリーブ132の軸芯方向の中央部から両端部132a、132bに向かうにしたがって、徐々に大きく(粗く)なっている。
表面処理装置1は、図1に示すように、ベース3と、固定保持部4と、移動手段としての電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、磁場発生部としての電磁コイル8と、収容槽9と、回収部10と、冷却部11と、検出手段としてのリニアエンコーダ75と、制御手段としての制御装置76(図2に示す)とを備えている。
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
固定保持部4は、ベース3の長手方向(以下、矢印Xで示す)の一端部から立設した複数の支柱12と、保持ベース13と、立設ブラケット14と、円筒保持部材15と、保持チャック16と、を備えている。
保持ベース13は、平板状に形成され、支柱12の上端に取り付けられている。立設ブラケット14は、平板状に形成され、保持ベース13から立設している。円筒保持部材15は、円筒状に形成され、立設ブラケット14と保持ベース13とに取り付けられている。円筒保持部材15は、その軸芯が水平方向と矢印Xとの双方と平行な状態でかつ前記立設ブラケット14よりベース3の中央部寄りに配置されている。円筒保持部材15は、内側に収容槽9の後述する一端部9aに取り付けられた後述するフランジ部材51b,51c,51d(即ち一端部9a)を収容する。
保持チャック16は、前述した円筒保持部材15即ち保持ベース13の近傍に配され、前述したベース3に取り付けられている。保持チャック16は、円筒保持部材15内に一端部9aが収容された収容槽9をチャックして、該収容槽9の一端部9aを保持する。前述した構成の固定保持部4は、収容槽9の一端部9aを保持する。
電磁コイル移動部5は、一対のリニアガイド17と、電磁コイル保持ベース18と、電
磁コイル移動用アクチュエータ19と、を備えている。リニアガイド17は、レール20と、スライダ21とを備えている。レール20は、ベース3上に設置されている。レール20は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向即ち矢印Xと平行に配されている。スライダ21は、レール20に該レール20の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド17は、レール20がベース3の幅方向(以下、矢印Yで示す)に沿って互いに間隔をあけて配されている。なお、矢印Xと矢印Yとは、勿論、互いに直交しているとともに、それぞれ水平方向と平行である。
磁コイル移動用アクチュエータ19と、を備えている。リニアガイド17は、レール20と、スライダ21とを備えている。レール20は、ベース3上に設置されている。レール20は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向即ち矢印Xと平行に配されている。スライダ21は、レール20に該レール20の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド17は、レール20がベース3の幅方向(以下、矢印Yで示す)に沿って互いに間隔をあけて配されている。なお、矢印Xと矢印Yとは、勿論、互いに直交しているとともに、それぞれ水平方向と平行である。
電磁コイル保持ベース18は、平板状に形成され、前述したスライダ21上に取り付けられている。電磁コイル保持ベース18の上面は、水平方向と平行に配されている。電磁コイル保持ベース18は、電磁コイル8を表面上に設置する。電磁コイル移動用アクチュエータ19は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した電磁コイル保持ベース18を矢印Xに沿って、スライド移動させる。前述した電磁コイル移動部5は、電磁コイル移動用アクチュエータ19により電磁コイル保持ベース18即ち電磁コイル8を矢印Xに沿ってスライド移動させる。また、電磁コイル移動部5による電磁コイル8の移動速度は、0mm/秒〜300mm/秒の間で変更可能である。さらに、電磁コイル移動部5の電磁コイル8の移動範囲は、600mm程度である。
移動保持部6は、一対のリニアガイド22と、保持ベース23と、第1アクチュエータ24と、第2アクチュエータ25と、移動ベース26と、軸受け回転部27と、保持チャック28と、を備えている。
リニアガイド22は、レール29と、スライダ30とを備えている。レール29は、ベース3上に設置されている。レール29は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印X即ちベース3の長手方向と平行に配されている。スライダ30は、レール29に該レール29の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド22は、レール29が矢印Y即ちベース3の幅方向に沿って互いに間隔をあけて配されている。
保持ベース23は、平板状に形成され、前述したスライダ30上に取り付けられている。保持ベース23の上面は、水平方向と平行に配されている。第1アクチュエータ24は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した保持ベース23を矢印Xに沿って、スライド移動させる。
第2アクチュエータ25は、保持ベース23に取り付けられているとともに、移動ベース26を矢印Yに沿って、スライド移動させる。移動ベース26は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
軸受け回転部27は、一対の軸受31と、芯軸としての中空保持部材32と、駆動用モータ33と、チャック用シリンダ34とを備えている。一対の軸受31は、矢印Xに沿って、互いに間隔をあけて配置されているとともに、移動ベース26上に設置されている。中空保持部材32は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、前述した軸受31により軸芯回りに回転自在に支持されている。中空保持部材32は、その軸芯が前述した矢印X即ち固定保持部4の円筒保持部材15の軸芯と平行に配置されている。中空保持部材32は、一端部が収容槽9内に位置するように移動ベース26上から固定保持部4に向かって突出した格好で、かつ、他端部32cが移動ベース26上に位置した状態に配されている。中空保持部材32は、図2に示すように、円筒状の現像スリーブ132内に通される。また、中空保持部材32の移動ベース26上に位置付けられた他端部32cには、プーリ35が固定されている。プーリ35は、中空保持部材32と同軸に配置されている。
駆動用モータ33は、移動ベース26に設置されているとともに、その出力軸にプーリ36が取り付けられている。駆動用モータ33の出力軸の軸芯は、矢印Xと平行である。前述したプーリ35,36には、無端状のタイミングベルト37が掛け渡されている。駆動用モータ33は、中空保持部材32を軸芯回りに回転させる。駆動用モータ33は、中空保持部材32を軸芯回りに回転させることで、現像スリーブ132を収容槽9の長手方向と平行な中空保持部材32の軸芯回りに回転させる。
チャック用シリンダ34は、移動ベース26に設置されたシリンダ本体38と、該シリンダ本体38にスライド自在に設けられたチャック軸39とを備えている。チャック軸39は、円柱状に形成されその長手方向が矢印Xと平行に配されている。チャック軸39は、中空保持部材32内に収容されているとともに、該中空保持部材32と同軸に配置されている。チャック軸39には、一対のチャック爪40が複数取り付けられている。
一対のチャック爪40は、チャック軸39の外周面から該チャック軸39の外周方向に突出する格好で、該チャック軸39に取り付けられている。また、チャック爪40は、中空保持部材32の外周面から該中空保持部材32の外周に向かって突出可能となっている。チャック爪40は、チャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が変更自在に設けられている。複数対のチャック爪40は、前述したチャック軸39の長手方向即ち矢印Xに沿って、間隔をあけて配置されている。一対のチャック爪40は、チャック用シリンダ34のチャック軸39がシリンダ本体38に近づく方向に縮小すると、前述したチャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が増加する。
前述したチャック用シリンダ34は、チャック軸39がシリンダ本体38に縮小することで、チャック爪40をよりチャック軸39の外周方向に突出させて、該チャック爪40を中空保持部材32の外周に取り付けられた現像スリーブ132の内周面に押圧させて、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132とを固定する。このとき、勿論、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132と後述の円筒部材50即ち収容槽9は、同軸になる。
前述したチャック用シリンダ34とチャック爪40は、中空保持部材32と収容槽9と同軸となるように現像スリーブ132を保持する。即ち、チャック用シリンダ34とチャック爪40は、現像スリーブ132を収容槽9の中心に保持する。
保持チャック28は、前述した移動ベース26上に設置されている。保持チャック28は、収容槽9の他端部9bに取り付けられた後述のフランジ部材51aをチャックして、該収容槽9の他端部9bを保持する。保持チャック28は、収容槽9がその軸芯回りに回転することを規制する。
前述した構成の移動保持部6は、保持チャック28及び中空保持部材32などをアクチュエータ24,25により互いに直交する矢印X,Yに沿って移動させる。即ち、移動保持部6は、保持チャック28で保持した収容槽9を矢印X,Yに沿って移動させる。
移動チャック部7は、保持ベース41と、リニアガイド42と、保持チャック43とを備えている。保持ベース41は、リニアガイド22のレール29の固定保持部4寄りの端部に固定されている。保持ベース41は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
リニアガイド42は、レール44と、スライダ45とを備えている。レール44は、保持ベース41上に設置されている。レール44は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印Y即ちベース3の幅方向と平行に配されている。スライダ45は、レール44に該レール44の長手方向即ち矢印Yに沿って移動自在に支持されている。
保持チャック43は、スライダ45上に設置されている。保持チャック43は、前述した保持チャック16,28間に位置付けられている。保持チャック43は、収容槽9の他端部9b寄りの箇所をチャックして、該収容槽9を保持する。前述した移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、該収容槽9を位置決めする。また、移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、収容槽9が軸芯に沿って移動する際に、前述した保持チャック28と協働して収容槽9を保持して、該収容槽9が軸受け回転部27即ち表面処理装置1から脱落することを防止する。
電磁コイル8は、図2に示すように、円筒状に形成された外皮46と該外皮46内に配された複数のコイル部47とを備えて、全体として円環状に形成されている。電磁コイル8の内径は、収容槽9の外径より大きい。即ち、電磁コイル8の内周面と収容槽9の外周面との間には、空間が形成されている。また、電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長より十分に短い。電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長の2/3以下であるのが望ましい。図示例では、電磁コイル8の内径は、90mmであるとともに、電磁コイル8の軸芯方向の長さは、85mmである。
外皮46は、その軸芯即ち電磁コイル8自身の軸芯が矢印Xと平行な状態で前述した電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。電磁コイル8は、中空保持部材32、チャック軸39及び収容槽9と同軸に配置されている。複数のコイル部47は、外皮46即ち電磁コイル8の周方向に沿って互いに並設されている。コイル部47は、図2に示す三相交流電源48により印加される。複数のコイル部47には互いに位相のずれた電力が印加されて、これらの複数のコイル部47が互いに位相のずれた磁場を発生する。そして、電磁コイル8は、これらの磁場を合成して形成される該電磁コイル8の軸芯回りの回転方向の磁場(回転磁場)を内側に生じさせる。
前述した電磁コイル8は、三相交流電源48から印加されて、回転磁場を発生するとともに、電磁コイル移動部5によりその軸芯即ち収容槽9の長手方向に沿って移動される。そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により、収容槽9内に収容された磁性砥粒65を現像スリーブ132の外周に位置付け、該磁性砥粒65を収容槽9及び現像スリーブ132の軸芯回りに回転(移動)させる。そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により移動させた磁性砥粒65を現像スリーブ132の外表面に衝突させる。
また、三相交流電源48と電磁コイル8との間には、磁場変更手段としてのインバータ49が設けられている。則ち、表面処理装置1は、磁場変更手段としてのインバータ49を備えている。インバータ49は、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更自在である。インバータ49は、電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更することで、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力を増減させて、該電磁コイル8が発生する回転磁場の強さを変更する。
収容槽9は、図2に示すように、外壁が一重構造(外壁が一枚の壁からなること)の円筒部材50と、複数のフランジ部材51と、一対の削り屑封止ホルダ52と、一対の削り屑封止板53と、一対の位置決め部材54と、複数の仕切手段としての仕切部材55と、一対の封止板56とを備えている。
円筒部材50は、円筒状に形成されており、収容槽9の外殻を構成している。このため、収容槽9は、円筒部材50が一重構造に形成されていることで、外壁が一重構造に形成されているとともに、円筒状に形成されている。円筒部材50即ち収容槽9の外径は、40mm〜80mm程度であるのが望ましい。さらに、円筒部材50の肉厚は、0.5mm〜2.0mm程度であるのが望ましい。円筒部材50の軸芯方向の長さは、600mm〜800mm程度であるのが望ましい。円筒部材50は、非磁性体で構成されている。
円筒部材50には、複数の砥粒供給孔57が設けられている。砥粒供給孔57は、勿論、円筒部材50を貫通して、該円筒部材50の内外を連通している。砥粒供給孔57には、封止キャップ58が取り付けられている。砥粒供給孔57は、内側に磁性砥粒65を通して、該磁性砥粒65を円筒部材50即ち収容槽9に出し入れする。また、封止キャップ58は、砥粒供給孔57を塞いで、磁性砥粒65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
複数のフランジ部材51は、円環状又は円柱状に形成されている。複数のフランジ部材51のうち一つを除く大多数のフランジ部材51(図示例では、三つ)は、円筒部材50の一端部9aに取り付けられ、一つのフランジ部材51(以下、符号51aで示す)は、円筒部材50の他端部9bに取り付けられている。
円筒部材50の一端部9aに取り付けられた複数のフランジ部材51のうち一つのフランジ部材51(以下、符号51bで示す)は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の外周に嵌合している。他の一つのフランジ部材51(以下、符号51cで示す)は、円環状に形成され、かつ前述したフランジ部材51bの外周に嵌合している。残りのフランジ部材51(以下、符号51dで示す)は、円環状のリング部59と、円柱状の円柱部60とを一体に備えている。リング部59は、円柱部60の外縁から立設した格好となっている。フランジ部材51dは、リング部59がフランジ部材51cの外周に嵌合している。
前述したフランジ部材51dには、軸受74により従動軸73が回転自在に支持されている。従動軸73は、円柱状に形成され、かつ収容槽9の円筒部材50と同軸に配されている。従動軸73は、図3に示すように、端面に中空保持部材32が押し付けられる。従動軸73は、中空保持部材32とともに回転するとともに、該中空保持部材32の自由端としての一端部を支持する。
前述した一つのフランジ部材51aは、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの外周に嵌合している。フランジ部材51aは、内側に中空保持部材32を通している。なお、円筒部材50の一端部9aは、収容槽9の一端部をなしているとともに、円筒部材50の他端部9bは、収容槽9の他端部をなしている。
一対の削り屑封止ホルダ52は、それぞれ、円環状に形成されている。一方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の一端部9aの内周に嵌合し、他方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の他端部9bの内周に嵌合している。該他方の削り屑封止ホルダ52は、内側に中空保持部材32を通している。
一対の削り屑封止板53は、それぞれ、メッシュ状に形成されている。一方の削り屑封止板53は、円板状に形成され、かつ円筒部材50の一端部9aの内周に配されているとともに、前述した一方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。さらに、一方の削り屑封止板53は、内側に従動軸73を通している。他方の削り屑封止板53は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの内周に配されているとともに、前述した他方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。他方の削り屑封止板53は、内側にマスク64を通している。削り屑封止板53は、後述の磁性砥粒65が現像スリーブ132の外表面に衝突して、該現像スリーブ132から削りとられて形成される削り屑が円筒部材50即ち収容槽9外に漏れ出ることを規制する。
一対の位置決め部材54は、円筒状に形成されている。一方の位置決め部材54は、現像スリーブ132の一端132aを覆うマスク64の外周に嵌合している。他方の位置決め部材54は、現像スリーブ132の他端132bを覆うマスク64の外周に嵌合している。一対の位置決め部材54は、互いに間に現像スリーブ132を挟んで、該現像スリーブ132の軸芯P方向を位置決めする。
仕切部材55は、円環状に形成された本体部61と、メッシュ部62とを備えている。本体部61即ち仕切部材55は、円筒部材50の内周に嵌合して、該円筒部材50に取り付けられているとともに、内側に現像スリーブ132を通している。本体部61即ち複数の仕切部材55は、一対の削り屑封止板53間に配されている。また、本体部61即ち複数の仕切部材55は、円筒部材50の軸芯P即ち長手方向に沿って、互いに間隔をあけて、並設されている。図示例では、仕切部材55は、7つ設けられている。
本体部61には、貫通孔63が設けられている。メッシュ部62は、貫通孔63を塞ぐ格好で本体部61に取り付けられている。メッシュ部62は、メッシュ状に形成されており、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、磁性砥粒65が通ることを規制する。
前述した複数の仕切部材55は、円筒部材50内即ち収容槽9内の空間を、該円筒部材50即ち収容槽9の軸芯即ち現像スリーブ132の軸芯Pに沿って、仕切っている。また、軸芯Pは、収容槽9の軸芯と中空保持部材32の軸芯との双方をなしているとともに、収容槽9の長手方向をなしている。即ち、軸芯Pと収容槽9の長手方向とは、互いに平行である。さらに、前述した本体部61とメッシュ部62との双方即ち仕切部材55は、非磁性体で構成されている。
一対の封止板56は、円環状に形成されている。また、封止板56は、メッシュ状に形成されているとともに、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、磁性砥粒65が通ることを規制する。一方の封止板56は、最も一端部9a寄りの仕切部材55に取り付けられているとともに、他方の封止板56は、最も他端部9b寄りの仕切部材55に取り付けられている。封止板56は、内側に現像スリーブ132の点線で示す両端132a、132bに取り付けられた後述するマスク64を通す。封止板56は、仕切部材55間に位置付けられた磁性砥粒65を通すことを規制して、該磁性砥粒65の円筒部材50即ち収容槽9の外部への流出を規制する。
上記マスク64は、磁性体から構成されて円筒状に設けられている。マスク64は、現像スリーブ132の両端132a、132bを外挿してその現像スリーブ132の両端132a、132bを覆って磁性砥粒65の衝突を防ぐ。図3に示すように、上記従動軸73は、ベアリング79によって現像スリーブ132の一端132aを覆うマスク64を軸芯P回りに回転可能に保持する。図4に示すように、中空保持部材32は、ベアリング79によって現像スリーブ132の他端132bを覆うマスク64を軸芯P回りに回転可能に保持する。このことから明らかなように従動軸73及び中空保持部材32はそれぞれ請求項中のマスク保持手段に相当する。
また、マスク64には、図5に示すように、内周面から内側に突出した板状のフィン64aを複数備えている。このフィン64aは、マスク64の軸芯P方向に対して所定角度θ傾けて設けられている。このフィン64aによりマスク64が軸芯P回りに回転すると、マスク64内には、現像スリーブ132の両端132a、132bから中央に向かう軸芯P方向の送風が発生する。また、フィン64aは、マスク64の外周面から外側にも突出している。これにより、マスク64aの外周面と封止板56との間にも現像スリーブ132の両端132a、132bから中央に向かう軸芯P方向の送風が発生する。
また、図3及び図4に示すように、上述した従動軸73及び中空保持部材32の少なくともマスク64に対向する外周面には、軸芯P方向に沿った複数の溝Mが設けられている。この溝Mによってマスク64の回転により発生する送風の通り道が広くなり、より強い送風が生じる。
前述した構成の収容槽9は、複数の仕切部材55間に磁性体で構成される磁性砥粒65を収容するとともに、中空保持部材32に取り付けられた現像スリーブ132を円筒部材50内に収容する。即ち、収容槽9は、現像スリーブ132と磁性砥粒65との双方を収容する。また、磁性砥粒65は、前述した回転磁場により現像スリーブ132の外周を回転(移動)するなどして、現像スリーブ132の外表面に衝突する。磁性砥粒65は、現像スリーブ132の外表面に衝突して、現像スリーブ132の外表面から該現像スリーブ132の一部を削り取り、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。なお、図示例では、磁性砥粒65は、ステンレスから構成され、外径が1.0mmでかつ長さが5.0mmの円柱状に形成されている。
回収部10は、図2に示すように、気体流入管66と、気体排出用孔67と、メッシュ部材68と、気体排出用ダクト69と、集塵機70(図1に示す)とを備えている。気体流入管66は、他方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端(移動保持部6)寄りに設けられ、円筒部材50即ち収容槽9の内部に開口している。気体流入管66は、図示しない加圧気体供給源から加圧された気体などが供給される。気体流入管66は、加圧された気体を円筒部材50即ち収容槽9内に導く。
気体排出用孔67は、円筒部材50を貫通して、収容槽9の内外を連通しているとともに、一方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端寄り(移動保持部6から離れた側)に設けられている。メッシュ部材68は、気体排出用孔67を塞いだ格好で、円筒部材50に取り付けられている。メッシュ部材68は、削り屑と気体とが通ることを許容し、磁性砥粒65が通ることを規制する。メッシュ部材68は、磁性砥粒65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
気体排出用ダクト69は、配管であるとともに、気体排出用孔67の近傍に取り付けられている。気体排出用ダクト69は、気体排出用孔67の外縁を囲んでいる。気体排出用孔67及び気体排出用ダクト69は、気体流入管66から円筒部材50即ち収容槽9内に供給された気体を、円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。
集塵機70は、気体排出用ダクト69に接続しているとともに、該気体排出用ダクト69内の気体を吸引する。集塵機70は、気体排出用ダクト69内の気体を吸引することで、円筒部材50即ち収容槽9内の気体を前述した削り屑とともに吸引する。集塵機70は、削り屑を回収する。前述した回収部10は、気体流入管66を通して円筒部材50即ち収容槽9内に気体を供給し、該気体と集塵機70により気体排出用孔67と気体排出用ダクト69を通して、削り屑を円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。そして、回収部10は、集塵機70に削り屑を回収する。
冷却部11は、図1に示すように、冷却用ファン71と、冷却用ダクト72とを備えている。冷却用ファン71は、加圧された気体を冷却用ダクト72に供給する。冷却用ダクト72は、配管である。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を電磁コイル8に導く。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を、電磁コイル8に吹き付ける。冷却部11は、加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けて、該電磁コイル8を冷却する。
リニアエンコーダ75は、図2に示すように、本体部77と、該本体部77に移動自在に設けられた検出子78とを備えている。本体部77は、直線状の延在しており、ベース3に取り付けられている。本体部77は、レール20と平行に、該一対のレール20間に配置されている。本体部77の全長は、前述した収容槽9より長い。本体部77は、長手方向の両端部が前述した収容槽9より該収容槽9の長手方向に沿って外側に突出した位置
に配置されている。
に配置されている。
検出子78は、本体部77則ち収容槽9の長手方向に沿って移動自在に設けられている。検出子78は、電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。則ち、検出子78は、電磁コイル保持ベース18を介して、電磁コイル8に取り付けられている。
前述したリニアエンコーダ75は、本体部77則ち収容槽9に対する検出子78の位置を検出して、該検出した結果を制御装置76に向かって出力する。このように、リニアエンコーダ75は、電磁コイル8の収容槽9則ち現像スリーブ132に対する相対的な位置を検出して、検出結果を制御装置76に向かって出力する。
制御装置76は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置76は、電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、電磁コイル8と、インバータ49と、回収部10と、冷却部11と、リニアエンコーダ75などと接続しており、これらを制御して、表面処理装置1全体の制御を司る。
制御装置76は、リニアエンコーダ75の検出した電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じた電磁コイル8の回転磁場の強さを記憶している。則ち、制御装置76は、電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じたインバータ49が電磁コイル8に印加する電力を記憶している。また、制御装置76は、前述した電力を現像スリーブ132の品番毎に記憶している。
図示例では、制御装置76は、電磁コイル8が現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の中央部から両端部に向かうにしたがって、インバータ49が電磁コイル8に印加する電力を徐々に大きくするパターンを予め記憶している。そして、制御装置76は、予め記憶した前述した電力のパターン通りにインバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。このように、図示例では、制御装置76は、現像スリーブ132の両端132a、132bを加工する際の回転磁場が、現像スリーブ132の中央部を加工する際の回転磁場より強くなるように、インバータ49に電磁コイル8の発生する磁場の強さを変更させる。前述したように、制御装置76は、リニアエンコーダ75が検出した電磁コイル8の収容槽9則ち現像スリーブ132に対する相対的な位置に基づいて、インバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。
さらに、制御装置76には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
次に、前述した構成の表面処理装置1を用いて現像スリーブ132の外表面を処理(粗面化)して、現像スリーブ132を製造する工程を、以下説明する。
まず、制御装置76に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の両端132a、132bの外周に円筒状のマスク64を嵌合させる。そして、前述した他方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、両端132a、132bにマスク64が取り付けられた現像スリーブ132内に中空保持部材32を通す。その後、前述した一方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、チャック用シリンダ34のチャック軸39を縮小させて、中空保持部材32に現像スリーブ132を固定する。このとき、中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。こうして、現像スリーブ132を中空保持部材32に取り付ける。
そして、収容槽9内に現像スリーブ132及び中空保持部材32を収容するとともに、収容槽9の円筒部材50内に磁性砥粒65を供給する。こうして、収容槽9内に磁性砥粒65及び現像スリーブ132を収容する。さらに、収容槽9を保持チャック28,43でチャックする。こうして、移動保持部6に現像スリーブ132と収容槽9とを取り付ける。すると、収容槽9の円筒部材50と中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。
前述した作業は、勿論、アクチュエータ24,25で移動ベース26の位置を調整しながら行われる。さらに、前述した作業は、勿論、保持ベース41の位置を調整しながら行われる。保持チャック16で収容槽9の一端部9aをチャックさせるなどして、固定保持部4に収容槽9の一端部9aを保持させる。
そして、回収部10の気体流入管66を通して収容槽9内に気体を供給するとともに、集塵機70で収容槽9内の気体を吸引するとともに、冷却部11に加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けさせる。
そして、駆動用モータ33で中空保持部材32とともに現像スリーブ132を軸芯P回りに回転させる。その後、電磁コイル8に三相交流電源48からの電力を印加して、電磁コイル8に回転磁場を発生させる。すると、電磁コイル8の内側に位置する磁性砥粒65が自転しながら軸芯P回りに公転(回転即ち移動)して、該磁性砥粒65が現像スリーブ132の外表面に衝突して、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。
電磁コイル8に回転磁場を発生させると、この回転磁場によって磁性材料からなマスク64に渦電流が流れてマスク64が軸芯P回りに回転する。このマスク64の軸芯P回りの回転によって、図6に示すように、マスク64内には、現像スリーブ132の両端132a、132bから中央部に向かう軸芯P方向に送風Wが発生する。この送風Wによって、現像スリーブ132の削り屑Kがマスク64内に侵入することを防ぐことができる。また、削り屑Kがマスク64内に入り込んでもマスク64外へ排出することができる。
また、マスク64の軸芯P回りの回転によって、図6に示すように、マスク64の外周面と封止板56(図2)との間にも現像スリーブ132の両端132a、132bから中央に向かう軸芯P方向の送風Wが発生する。この送風Wによって磁性砥粒65が削りカス封止ホルダ52側に侵入することを防止することができる。
そして、電磁コイル移動部5が、適宜、電磁コイル8を軸芯Pに沿って移動する。すると、電磁コイル8の内側に侵入した磁性砥粒65が前述した回転磁場により移動(自転及び公転)するとともに、電磁コイル8の内側から抜け出た磁性砥粒65が停止する。また、仕切部材55が収容槽9内の空間を仕切っているので、磁性砥粒65が仕切部材55を越えて移動することが規制され、電磁コイル8の内側から抜け出た磁性砥粒65が前述した回転磁場内から抜け出ることとなる。さらに、電磁コイル移動部5が予め定められた所定の回数電磁コイル8を矢印Xに沿って往復移動させると、現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了する。
さらに、電磁コイル8が現像スリーブ132の中央部から両端132a、132bに向かうにしたがって、電磁コイル8の発生する回転磁場が強くなる。回転磁場が強くなるにしたがって、磁性砥粒65の動きが激しくなる。すると、回転磁場が強くなるのにしたがって、磁性砥粒65がより勢い良く現像スリーブ132に衝突して、該現像スリーブ132の外表面の表面粗さがより粗くなる。
前述した現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了すると、電磁コイル8への電力の印加を停止するとともに、駆動用モータ33を停止する。さらに、回収部10と冷却部11とを停止する。そして、固定保持部4の保持チャック16の収容槽9の保持を解除するとともに、移動チャック部7の保持チャック43と移動保持部6の保持チャック28とが収容槽9を保持したまま、第1アクチュエータ24で移動ベース26を矢印Xに沿って固定保持部4から離す。すると、収容槽9が固定保持部4から離れる。そして、収容槽9内から外表面の粗面化が終了した現像スリーブ132を取り出して、新たな現像スリーブ132を収容槽9内に収容する。こうして、現像スリーブ132の外表面の粗面化を行って、外表面の表面粗さが中央部から両端132a、132bに向かうにしたがって徐々に粗くなる現像スリーブ132(図7に示す)が得られる。
上述した実施形態によれば、従動軸73及び中空保持部材32が各々、一対のマスク64を軸芯P回りに回転可能に保持し、筒状のマスク64が、回転磁場の発生により軸芯P回りに回転力が生じるように配置されているため、回転磁場が発生するとマスク64が軸回りに回転し、この回転によってマスク64内から外へ向かう送風が発生してマスク64内への削り屑K入り込み防止を図ることができる。このため、エアーブローを用いることなく削り屑入り込み防止を図ることができ、省スペースで品質及び生産性の向上を図ることができる。また、表面処理時に発生させる回転磁場を利用してマスク64を回転させることにより、モータのようにマスク64を回転させる回転手段が不要となるため省エネルギ化や簡素化を図ることができる。
また、上述した実施形態によれば、円筒状のマスク64が、その内周面から内側に突出した板状のフィン64aを備えている。従って、フィン64aによって強い送風を発生させることができるため、より一層確実にマスク64内への削り屑入り込み防止を図ることができる。
また、上述した実施形態によれば、フィン64aが、マスク64の軸芯P方向に対して所定角度θに傾いて設けられている。即ち、フィン64aは、マスク64内の回転に応じて軸芯P方向に風を発生させるように配置されている。従って、フィン64aによって軸芯P方向、即ちマスク64内から外へ向かうより強い送風を発生させることができるため、より一層確実にマスク64内への削り屑入り込み防止を図ることができる。
また、上述した実施形態によれば、磁性砥粒65がステンレスで構成された円柱体であるため、加工対象物2の表面に楕円形の穴を形成することができる。上述した画像形成装置は、磁性キャリアとトナーとを含んだ現像剤を感光体ドラムと対向する現像領域に搬送し、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像ローラを備えている。
この現像ローラは、円筒状に形成された現像スリーブと、前記現像スリーブ内に収容されかつ当該現像スリーブの表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラと、を備えている。今、上記加工対象物2がこの現像ローラであった場合、上述したようにローラの表面に楕円形の穴を形成することにより、円形の穴に比べて穂立ちの高さを高くすることができる。これにより、現像ローラと感光体ドラムとを接触させることなく、現像ローラに吸着した現像剤を感光体ドラムに転写させることができる。
なお、上述した実施形態によれば、電磁コイル8が発生する回転磁場を利用してマスク64を回転させていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、モータなどの回転手段を別に設けて、モータの回転駆動力をマスク64に伝達してマスク64を軸芯P回りに回転させることも考えられる。モータに回転駆動力を伝える手段としては、例えばマスクの外周面にリングギアを設け、モータ側に設けたギアと噛み合わせることが考えられる。また、モータの回転軸とマスク64とにタイミングベルトを掛け渡すことも考えられる。この回転手段は、上述したギアやタイミングベルトを用いてモータの回転駆動力をマスク64に伝えるものに限らず、本発明の目的に反しない限りどんなものであってもよい。
また、上述した実施形態では、マスク64の内周面に複数のフィン64aを設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、フィン64aを設けなくてもよい。
また、上述した実施形態では、マスク64内に設けたフィン64aを軸芯P方向に対して所定角度θ傾けて設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、フィン64aを軸芯P方向と平行方向に設けてもよい。
また、上述した実施形態では、マスク64が加工対象物としての現像スリーブ132の両端132a、132bを外挿して現像スリーブ132の両端132a、132bを覆っていたが、本発明はこの限りではない。加工対象物によっては両端以外の場所を覆うことも考えられる。即ち、マスク64は加工対象物の一部を外挿していれば実施形態に限定されることはない。
また、上述した実施形態によれば、電磁コイル8をX方向に移動していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、電磁コイル8のX方向の長さを加工対象物2のX方向の長さと同等にして、電磁コイル8を移動させないことも考えられる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、保持手段と回転磁場制御手段は、実施形態に記載された構成及び配置に限定されることなく、種々の構成及び配置にしても良い。
8 電磁コイル(磁場発生部)
9 収容槽
32 中空保持部材(マスク保持手段)
64 マスク
64a フィン
65 磁性砥
73 従動軸(マスク保持手段)
132 現像スリーブ(加工対象物)
P 軸芯
θ 所定角度
9 収容槽
32 中空保持部材(マスク保持手段)
64 マスク
64a フィン
65 磁性砥
73 従動軸(マスク保持手段)
132 現像スリーブ(加工対象物)
P 軸芯
θ 所定角度
Claims (6)
- 加工対象物及び磁性砥粒を収容する収容槽と、該収容槽内に前記磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により前記磁性砥粒を前記加工対象物に衝突させる磁場発生部と、前記加工対象物の一部を外挿して当該加工対象物の外表面の一部を覆うことにより前記磁性砥粒の衝突を防ぐ筒状のマスクと、を有する表面処理装置において、
前記マスクを軸芯回りに回転させる回転手段が、設けられていることを特徴とする表面処理装置。 - 加工対象物及び磁性砥粒を収容する収容槽と、該収容槽内に前記磁性砥粒を移動させる回転磁場を発生させて該回転磁場により前記磁性砥粒を前記加工対象物に衝突させる磁場発生部と、前記加工対象物の一部を外挿して当該加工対象物の外表面の一部を覆うことにより前記磁性砥粒の衝突を防ぐ筒状のマスクと、を有する表面処理装置において、
前記マスクを軸芯回りに回転可能に保持するマスク保持手段が、設けられ、
前記マスクが、前記回転磁場の発生により軸芯回りに回転力が生じるように配置されていることを特徴とする表面処理装置。 - 前記円筒状のマスクが、当該内周面から内側に突出した板状のフィンを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置。
- 前記フィンが、前記マスク内の回転に応じて軸芯方向に風を発生させるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の表面処理装置。
- 前記フィンが、前記マスクの軸芯方向に対して所定角度に傾いて設けられていることを特徴とする請求項4に記載の表面処理装置。
- 前記磁性砥粒が、ステンレスで構成された円柱体であることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の表面処理装置。
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CN113561045A (zh) * | 2021-08-06 | 2021-10-29 | 昆山捷胜精密电子有限公司 | 一种用于对高精密弹簧进行表面处理的设备及其工艺 |
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2006
- 2006-03-20 JP JP2006076978A patent/JP2007253247A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20090602 |