JP2007230118A - インクジェットプリンタヘッドとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 駆動回路の発熱を効果的に放熱し、容易に製造・組立てすることができる放熱板を備えたインクジェットプリンタヘッドとその製造方法を提供することである。
【解決手段】 略箱状で上面が開放されたヘッドホルダ3に、記録ヘッド1と放熱板7とインク貯留室4を塔載する。放熱板7は、側壁部7aと上壁部7bとをほぼ同一平面状に並ぶように形成し、その下端の底壁部7cをヘッドホルダ3の底壁部3cに記録ヘッド1の駆動回路49と接触させて設置する。その後、側壁部7aに隣接してインク貯留室4をヘッドホルダ3内に設置し、上壁部7bを、インク貯留室4の上面4bを覆うようにインク貯留室4側にほぼ直角に曲げる。
【選択図】 図3
【解決手段】 略箱状で上面が開放されたヘッドホルダ3に、記録ヘッド1と放熱板7とインク貯留室4を塔載する。放熱板7は、側壁部7aと上壁部7bとをほぼ同一平面状に並ぶように形成し、その下端の底壁部7cをヘッドホルダ3の底壁部3cに記録ヘッド1の駆動回路49と接触させて設置する。その後、側壁部7aに隣接してインク貯留室4をヘッドホルダ3内に設置し、上壁部7bを、インク貯留室4の上面4bを覆うようにインク貯留室4側にほぼ直角に曲げる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、インクジェットプリンタヘッドとその製造方法に関するものである。
従来、特許文献1のようにインクジェットプリンタヘッドからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタヘッドは、インクを吐出する列状に配列された複数のノズルと、その各々のノズルに連通して配置された圧力室を有するキャビティユニットに、圧力室内のインクに圧力を印加するプレート型のアクチュエータを積層し、更にアクチュエータを選択的に駆動させる駆動回路を備えたフレキシブル配線材を重ねた構造をしている。インクジェットプリンタヘッドは、インク供給口から供給されたインクが、キャビティユニット内の各流路を通って、圧力室に分配されノズルに至る。
また、インクジェットプリンタヘッドは、特許文献2のようにキャリッジとして機能する略箱形のヘッドホルダに、インクをキャビティユニットに供給するためにインクを貯留するインク貯留室(特許文献2ではバッファタンク)とともに取り付けられる。そして、インクジェットプリンタヘッドのフレキシブル配線材には、インクを吐出するための駆動回路を有するICチップを設け、その駆動回路の発熱を放熱するためにICチップを放熱板(特許文献2ではヒートシンク)に接触して配置し、さらにフレキシブル配線材の先端はヘッドホルダの最背面の回路基板(特許文献2では制御回路基板)と接続されている。
インクジェットプリンタは、高解像度化および小型化に伴い、駆動回路の高速処理化や、インクジェットプリンタヘッドのノズル数増加や高密度化がなされてきている。そのため、駆動回路の発熱量が多くなり、その熱により駆動回路自身が故障や破壊したり、アクチュエータやインク貯留室内のインクの特性が変化し、吐出品質のばらつきを招いていた。そのため、駆動回路からの熱を放熱するヒートシンクを大きくして、放熱量を多くすることが有効であるが、小型化の点を考慮する必要がある。
たとえば、特許文献2では、小型でかつ放熱板の放熱量を多くし、さらに、インクジェットプリンタヘッドへ供給するインクの温度のばらつきを少なくするために、特許文献2の放熱板のうち図7のものは、インク貯留室の側面に対して立設された側面部材と、インク貯留室の上面側およびインク供給口側面にも延びた延長部材からなっている。この放熱板は、インク貯留室を上方から覆う形状であるため、ヘッドホルダ内にインク貯留室を設置した後、ヘッドホルダに固定するようになっている。
上述した放熱板は、小型でかつその表面積が大きくなることで、駆動回路の熱をヘッドホルダ内の空間、またインク貯留室内のインクに対して効率よく伝導、放熱することができる。しかし、インクジェットプリンタヘッドの製造時において、インク貯留室を設置した狭いヘッドホルダ内に放熱板を固定するには、放熱板にヘッドホルダの底壁付近まで達する切り欠き部を設けておき、その切り欠き部を通して固定作業をする必要があり、作業性が悪く、生産性も悪いという問題点があった。さらに、放熱板は駆動回路を接触させて配置させなくてはいけないため、容易でかつ確実な位置に固定させることが望まれる。
また、上記のようにインク貯留室の上面側に沿って延びた放熱板の延長部材は、放熱量が多くなる反面、ヘッドホルダの最上面の制御基板に設けられている端子などと延長部材が組立ての際に接触したりすることで、ショートを起こす可能性があった。
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、インクジェットプリンタヘッドの駆動回路の発熱を効果的に放熱し、容易に製造・組立てすることができる放熱板を備えたインクジェットプリンタヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に記載の発明によると、インクジェットプリンタヘッドの製造方法において、インクを吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、前記インクを貯留し、前記ノズル列に対して前記インクを供給するインク貯留室と、前記記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、前記駆動回路と接触し、駆動回路から発する熱を放熱する放熱板とが、略箱状のヘッドホルダに塔載されていて、前記ヘッドホルダがその上面を開放して形成されていて、前記放熱板が、前記ヘッドホルダの開放面とほぼ平行で前記インク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、その上壁部とほぼ直交して連続して前記インク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しているインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記放熱板を、前記上壁部と側壁部とがほぼ同一平面上に並ぶように形成する第1の工程と、前記ヘッドホルダに、前記放熱板を前記側壁部および上壁部が前記開放面とほぼ直交するように立たせて固定するとともにその放熱板に隣接する位置に前記インク貯留室を前記ヘッドホルダに設置する第2の工程と、前記放熱板の上壁部が、前記インク貯留室の上面を覆うように前記上壁部を曲げる第3の工程とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法のおいて、前記第2の工程において前記放熱板を固定する工程は、前記ヘッドホルダに駆動回路を設置した後、該駆動回路に接触させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記第2の工程の後、前記ヘッドホルダに、前記駆動回路を前記放熱板と接触するように設置させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記放熱板は、前記上壁部と側壁部との接続部分に凹部を備えるものであって、前記第3の工程は、その凹部の箇所で前記上壁部を曲げることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記第3の工程の後、前記ヘッドホルダの最上面に回路基板を塔載する第4の工程を行い、前記第3の工程は、前記放熱板の前記上壁部を、前記回路基板と平行な関係に配置するものであって、前記放熱板の前記上壁部において前記回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、インクを吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、前記インクを貯留し、前記ノズル列に対して前記インクを供給するインク貯留室と、前記記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、前記駆動回路と接触し、駆動回路から発する熱を放熱する放熱板と、前記インク貯留室の上面を覆う回路基板とが、略箱状のヘッドホルダに塔載されているインクジェットプリンタヘッドにおいて、前記放熱板が、前記回路基板よりも下で前記インク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、その上壁部とほぼ直交して連続して前記インク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しており、前記放熱板の前記上壁部において前記回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、前記回路基板には、前記放熱板の前記回路基板と対向する面と接触しないようにスペーサーが取り付けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、前記ヘッドホルダと前記放熱板との間に弾性部材が配設され、前記駆動回路が前記弾性部材によって前記放熱板に押圧されていることを特徴とする。
以上説明したことから明らかなように、請求項1に記載の発明によると、ノズル列を有する記録ヘッドと、インクを貯留しノズル列に供給するインク貯留室と、記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、駆動回路と接触して駆動回路が発する熱を放熱する放熱板とが、略箱状のヘッドホルダに塔載され、ヘッドホルダがその上面を開放して形成されていて、放熱板が、ヘッドホルダの開放面とほぼ平行でインク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、その上壁部とほぼ直交して連続してインク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しているインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、放熱板を、上壁部と側壁部とがほぼ同一平面上に並ぶように形成する第1の工程と、ヘッドホルダに、放熱板を側壁部および上壁部が開放面とほぼ直交するように立たせて固定するとともにその放熱板に隣接する位置にインク貯留室をヘッドホルダに設置する第2の工程と、放熱板の上壁部が、インク貯留室の上面を覆うように上壁部を曲げる第3の工程とを備えているため、表面積を大きくした放熱板を、容易にヘッドホルダに設置することができ、放熱板の放熱量の増加とヘッドホルダの小型化を実現することができる。また、予め放熱板をヘッドホルダに固定してからインク貯留室を設置することができるため、組立作業がしやすく、それぞれの配置位置に確実に設置でき、生産性が良い。また、放熱板の形状が簡易であるため、生産効率が良くなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、第2の工程において前記放熱板を固定する工程は、ヘッドホルダに駆動回路を設置した後、駆動回路に接触させるため、駆動回路の位置を確かめて放熱板と接触させることができるため、確実に駆動回路と放熱板とを接触でき、また、小型なヘッドホルダの空間内でも組立しやすいため生産性が良くなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、第1の工程の後、ヘッドホルダに駆動回路を放熱板と接触するように設置させるため、既に固定されている放熱板に対して調整して駆動回路を接触して設置できるため、確実に駆動回路と放熱板とを接触させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、放熱板は、上壁部と側壁部との接続部分に凹部を備えるものであって、前記第3の工程は、その凹部の箇所で前記上壁部を曲げるため、放熱板の上壁部をインク貯留室の上面を覆うように曲げやすくなり、曲げ具合の調整が可能となり精度のばらつきが少なくなる。また再現性も良い。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、第3の工程の後、ヘッドホルダの最上面に回路基板を塔載する第4の工程を行い、第3の工程は、放熱板の上壁部を、回路基板と平行な関係に配置するものであって、放熱板の上壁部において回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっているため、小型なヘッドホルダ内においても、回路基板と放熱板の上壁部が接触してショートを起こすことを防ぐことができる。
請求項6に記載の発明は、インクを吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、前記インクを貯留し、前記ノズル列に対して前記インクを供給するインク貯留室と、前記記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、前記駆動回路と接触し、駆動回路から発する熱を放熱する放熱板と、前記インク貯留室の上面を覆う回路基板とが、略箱状のヘッドホルダに塔載されているインクジェットプリンタヘッドにおいて、前記放熱板が、前記回路基板よりも下で前記インク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、その上壁部とほぼ直交して連続して前記インク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しており、放熱板の前記上壁部において、回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっているため、小型なヘッドホルダ内においても、回路基板と放熱板の上壁部が接触してショートを起こすことを防ぐことができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、回路基板には、放熱板の回路基板と対向する面と接触しないようにスペーサーが取り付けられているため、小型なヘッドホルダ内においても、回路基板と放熱板の上壁部が接触してショートすることを防ぐことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載のインクジェットプリンタヘッドにおいて、ヘッドホルダと放熱板との間に弾性部材が配設され、駆動回路が弾性部材によって放熱板に押圧されているため、駆動回路の発熱を効率よく放熱板に伝導することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、インクを吐出する側を下面および下方向とし、その反対側を上面および上方向とする。
図1はインクジェットプリンタの概略図である。インクジェットプリンタ100は、複数色のインク、例えば、ブラックBK、シアンC、イエローY、マゼンタMのインクカートリッジ101を着脱可能に装着し、その複数色のインクカートリッジ101からの各インクが複数のインク供給チューブ103を介して供給されるインクジェットプリンタヘッド2を備えている。インクジェットプリンタヘッド2は、インクカートリッジ101から供給された各色のインクを貯留するインク貯留室4と、各色のインクを吐出し列状に配設された複数のノズル(図示せず)を備えた記録ヘッド1とを、その上面が開放して形成された樹脂製略箱状のヘッドホルダ3に搭載している。ヘッドホルダ3は、キャリッジとしての機能も備えていて、ガイド軸11、12に沿ってX方向に往復移動しながら、インクの吐出情報に従い、ノズル(図示せず)からインクを吐出することでY方向に移動する記録媒体Pに記録する。
図2、図3のようにヘッドホルダ3の底壁3cの下側には、補強フレーム6が接着固定され、さらにその下側には記録ヘッド1が、接着剤(図示せず)によって固定されている。そして、ヘッドホルダ3の最上面には、ヘッドホルダ3の一対の側壁3bを橋渡して中継回路基板5が設置される。
図2を用いて、記録ヘッド1について説明する。記録ヘッド1は、特許文献1に記載されたものと同様に、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が配列されたノズル面を最下面に有するキャビティユニット20の上に、キャビティユニット20内のインクに選択的に吐出圧力を与えるプレート型のアクチュエータ30をインク非浸透性の合成樹脂からなる接着シート(図示せず)を介して積層、接着した後、更にその上面に駆動回路49を実装した可撓性の配線材40が、その一端をアクチュエータ30と接合して電気的に接続し、他端をその表面に平行でかつX方向に引き出した構造をしている。
キャビティユニット20は、複数枚のプレートが積層して構成され、その最下層には複数のノズル(図示せず)がインク色ごとに列状に穿設されている。また、最上層には、ノズル(図示せず)に対応して圧力室(図示しない)が列状に形成されている。さらに、キャビティユニット20のY方向の一端にはインク貯留室4から供給された各インクをキャビティユニット20に供給するインク供給口17が設けられている。それぞれのインクは、インク供給口17からキャビティユニット20内のマニホールド室(図示せず)を介して、複数の圧力室に分配されノズルに至る。
アクチュエータ30は、複数枚のセラミックス層、例えばPZTなどの圧電セラミックスを積層した構造で、その上面に配線材40を接合して、駆動回路49に伝達された印字データにもとづいて、各圧力室に対応する複数の圧電変形部を選択的に駆動することにより、圧力室の容積を変化させてインクをノズルから吐出する。駆動回路49は、Y方向に横長形状で、X方向に引き出された配線材40の途中に、幅方向(Y方向)に沿って実装されている。
また、図3(a)、(b)のように、引き出された配線材40は、ヘッドホルダ底壁3cに貫通されたスリット3c1を通り、駆動回路49と後述する放熱板7の底壁部7cを接触させて、放熱板7の側壁部7aとヘッドホルダ3の側壁3aの間を上方に延び、ヘッドホルダ3の最上面にもうけられた中継回路基板5のコネクタ5aに接続し、電気的に接続される。ヘッドホルダ3の底壁3cには、駆動回路49と対応した位置に弾性部材52が接着固定され、その弾性部材52上に駆動回路49が載置され、弾性部材52によって駆動回路49が押圧され放熱板7の底壁部7cと熱伝導可能に接触する。弾性部材52は、例えばゴムや樹脂などの材料で、駆動回路49の下面よりも大きく形成されている。
補強フレーム6は、剛性のある金属製の板状部材で、アクチュエータ30と対向する位置に開口部6aが貫通形成された枠状に形成され、開口部6aからアクチュエータ30と配線材40を表出させてキャビティユニット20と接着剤で接合されている。また、インク供給口17と対応する位置にインク流通口18が貫通形成されている。補強フレーム6と一体化した記録ヘッド1が、底壁3cに接着固定されると、底壁3cに形成された貫通部3c2からは、インク流通口18が表出する。
インク貯留室4は、複数のインクをインク色別に貯留できるようにその内部が壁で仕切られている。インク貯留室4は、インクカートリッジ101からインク供給チューブ103を介して供給されたインクが貯留され、その下面に開口する各インクの流出口4zがインク流通口18と接続され、インク供給口17へインクが供給可能になるように連通されている。
次に放熱板7について説明する。放熱板7は、熱伝導率の良いアルミニウム、銅、鋼などの金属材料からなる板状部材で、図2〜図4に示すように、底壁部7c、側壁部7aおよび上壁部7bを折り曲げて形成している。放熱板7の底壁部7cは、Y方向に横長で、その下面が駆動回路49の上面と接触し、ヘッドホルダ3の底壁3cに平行に沿って間隔をおいて設置されている。
側壁部7aは、底壁部7cの長手方向(Y方向)に沿った両端部のうちヘッドホルダ3の側面側の端部から垂直上方向に立ち上がりインク貯留室4の側面4aとほぼ平行に延びていている。つまり、側壁部7aは、内側がインク貯留室4の側面4aと、外側がヘッドホルダの側壁3aに間隔をおいて対向している。
また、上壁部7bは、側壁部7aのY方向に沿った上端とほぼ直交してインク貯留室4側へ屈曲される。上壁部7bは、その下面がインク貯留室4の上面4bと、上面が中継回路基板5の下面に沿って延び、それぞれに対して間隔をおいて対向している。つまり、上壁部7bは、ヘッドホルダ3の開放面とほぼ平行で、インク貯留室4の上面4bを覆うように位置している。図2では、放熱板7の上方にインク貯留室4が設置されるように見えるが、図2は分解図であり、インク貯留室4は、上述したように放熱板7が形成する内部空間内に間隔をおいて設置されていることを注意されたい。
底壁部7cは駆動回路49と接触するため、駆動回路49の上面よりも大きい面積で形成されている。また、その長手方向(Y方向)の両端部の2箇所に取り付け孔7c2が設けられていて、ヘッドホルダ3の底壁3cに立設された突起部3c3を取り付け孔7c2に挿通して加熱圧潰することで固定される。底壁部7cのヘッドホルダ3への固定は、他の方法でもよく、例えば、取り付け孔7c2に留め具で内側から固定したり、後述するようにヘッドホルダ3を樹脂成形するときに、予めヘッドホルダ3の底壁3cを取り付けて成型するようにしてもよい。
図3に示すように上壁部7bの中継回路基板5と対向する上面には電気絶縁体7b1が設けられている。中継回路基板5は、図示しないが、その表裏面にはいくつもの端子や回路などが実装されていて、中継回路基板5とインク貯留室4の間の空間に突出している。そのため、中継回路基板5は、組み立て時などに上壁部7bと接触してショートを起こす可能性があるため、上壁部7bの上面は電気絶縁体7b1となっている。電気絶縁体として、例えば、絶縁性の保護フィルムや樹脂シート、レジストが、上壁部7bにモールド成型あるいは接着されている。また、図5では、中継回路基板5の下面には、その長手方向(Y方向)の両端位置近傍に、スペーサー8が設置され、ヘッドホルダの側壁3bの上端に接続されている。スペーサ8が取り付けられることによって、中継回路基板5が嵩上げされるため、上壁部7bとの距離(空間)が大きくなり、ショートの防止をすることができる。
また、放熱板7の側壁部7aと上壁部7bとの接続部には、凹部7dがY方向に延びて形成されている。凹部7dは、後述するように放熱板7の上端部7bをインク貯留室4側へ折り曲げやすくなるために形成されている。実施形態では、凹部7dは、Y方向に沿った直線であるが、直線である必要はなく、側壁部7aと上壁部7bの接続部上にいくつかの凹部7dが個々に穿設されてあってもよい。
次にインクジェットプリンタヘッド2の製造方法について説明する。
インクジェットプリンタヘッド2は、図2に示す各部品をそれぞれヘッドホルダ3に設置および固定されることで製造できる。まず、記録ヘッド1は、複数のプレートを積層、接着したキャビティユニット20と、複数のセラミックス層を積層し焼成したアクチュエータ30を予め別々に作製し、両者を接着、接合させた後、その上面に配線材40を接合させて製造される。補強フレーム6と記録ヘッド1は、開口部6aからアクチュエータ30と配線材40を表出させて接着剤にて接着固定される。
次にヘッドホルダ3への放熱板7とインク貯留室4の設置について図4(a)、(b)を用いて説明する。
ヘッドホルダ3の底壁3cには、スリット3c1とそこから近い側の側壁3aとの間(2つの突起部3c3の間)に、弾性部材52を接着剤にて固定する。上述した記録ヘッド1を備えた補強フレーム6を、配線材40をヘッドホルダ3のスリット3c1に挿入し、ヘッドホルダ3の下面にUV接着剤にて接着固定する。
放熱板7は、側壁部7aと上壁部7bとの接続部に凹部7dを備えて両者がほぼ同一平面上になるように連続して形成し、底壁部7cを側壁部7aに対してほぼ直角に曲げて形成しておく。このとき、上壁部7bには、後に述べるようにインク貯留室4側に折り曲げた時に中継回路基板5と対向する側の面に、樹脂シートなどを接着して電気絶縁体7b1を形成する。そして、底壁部7cを2つの取り付け穴7c2に、突起部3c3を挿入させて固定する。このとき図4(b1)のように、引き出された配線材40の駆動回路49が、弾性部材52によって底壁部7cの下面へ押圧されて接触される。この状態で、上壁部7bは側壁部7aと連続してヘッドホルダ3の上端開放面に対してほぼ直交して上方へ延びている。
次に、図4(a2)(b2)のように、インク貯留室4を放熱板7の側壁部7aに隣接してヘッドホルダ3内に設置する。続いて、上壁部7bを凹部7dに沿って、インク貯留室4の上面4b側に向けて折り曲げる。上壁部7bは、インク貯留室4の上面4bとほぼ平行になる位まで覆うように折り曲げ、その後、中継回路基板5をヘッドホルダ3の最上面に塔載する。配線材40は、ヘッドホルダ3の側壁3aに沿って上方に引き出し、中継回路基板5に実装されたコネクタ5aと接続させる。
実施形態では、放熱板7をヘッドホルダ3に固定する際に、突起部3c3によって固定したが、この方法に限らない。例えば、ヘッドホルダ3を樹脂成型する時に、放熱板7を成型金型内に置き、側壁部7aまたは底壁部7cの一部を樹脂材料の中に埋め込むようにしてヘッドホルダ3を樹脂成型しても良い。その場合も、弾性部材52と駆動回路49が底壁部7cの下面に接触して配置されるように底壁部7cと底部3cとは間隔をあけて配置させる。その後、予め放熱板7が固定されたヘッドホルダ3に、記録ヘッド1を有した補強フレーム6を接着し、スリット3c1から配線材40を引き出し、駆動回路49を底壁部7cと接触させる。
また、放熱板7をヘッドホルダ3に装着する際、側壁部7aと上壁部7bとが同一平面上になくてもよい。インク貯留室4を組み込むときに、上壁部7bが邪魔にならない程度に、上壁部7bが側壁部7aに対して傾斜していてもよい。
以上のように、放熱板7は、側壁部7aと上壁部7bとで、大きな表面積を有し、記録ヘッドの駆動にともなう駆動回路49の発熱を効果的に放出することができる。また、このような大きな表面積を有していても、上壁部7bをインク貯留室4の上面に向け曲げることで、インクジェットプリンタヘッド全体を小型にすることができるとともに、放熱板7とインク貯留室4とをヘッドホルダ3に組み込むことが容易にできる。
1 記録ヘッド
2 インクジェットプリンタヘッド
3 ヘッドホルダ
4 インク貯留室
5 中継回路基板
7 放熱板
7a 側壁部
7b 上壁部
7c 底壁部
7d 凹部
20 キャビティユニット
30 アクチュエータ
49 駆動回路
100 インクジェットプリンタ
2 インクジェットプリンタヘッド
3 ヘッドホルダ
4 インク貯留室
5 中継回路基板
7 放熱板
7a 側壁部
7b 上壁部
7c 底壁部
7d 凹部
20 キャビティユニット
30 アクチュエータ
49 駆動回路
100 インクジェットプリンタ
Claims (8)
- インクを吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、
前記インクを貯留し、前記ノズル列に対して前記インクを供給するインク貯留室と、
前記記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、
前記駆動回路と接触し、駆動回路から発する熱を放熱する放熱板とが、
略箱状のヘッドホルダに塔載されていて、
前記ヘッドホルダがその上面を開放して形成されていて、
前記放熱板が、前記ヘッドホルダの開放面とほぼ平行で前記インク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、
その上壁部とほぼ直交して連続して前記インク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しているインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、
前記放熱板を、前記上壁部と側壁部とがほぼ同一平面上に並ぶように形成する第1の工程と、
前記ヘッドホルダに、前記放熱板を前記側壁部および上壁部が前記開放面とほぼ直交するように立たせて固定するとともにその放熱板に隣接する位置に前記インク貯留室を前記ヘッドホルダに設置する第2の工程と、
前記放熱板の上壁部が、前記インク貯留室の上面を覆うように前記上壁部を曲げる第3の工程と
を備えるインクジェットプリンタヘッドの製造方法。 - 前記第2の工程において前記放熱板を固定する工程は、前記ヘッドホルダに駆動回路を設置した後、該駆動回路に接触させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 前記第2の工程の後、前記ヘッドホルダに、前記駆動回路を前記放熱板と接触するように設置させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 前記放熱板は、前記上壁部と側壁部との接続部分に凹部を備えるものであって、前記第3の工程は、その凹部の箇所で前記上壁部を曲げることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 前記第3の工程の後、前記ヘッドホルダの最上面に回路基板を塔載する第4の工程を行い、
前記第3の工程は、前記放熱板の前記上壁部を、前記回路基板と平行な関係に配置するものであって、
前記放熱板の前記上壁部において前記回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。 - インクを吐出するノズル列を有する記録ヘッドと、
前記インクを貯留し、前記ノズル列に対して前記インクを供給するインク貯留室と、
前記記録ヘッドを駆動させるための駆動回路と、
前記駆動回路と接触し、駆動回路から発する熱を放熱する放熱板と、
前記インク貯留室の上面を覆う回路基板とが、
略箱状のヘッドホルダに塔載されているインクジェットプリンタヘッドにおいて、
前記放熱板が、前記回路基板よりも下で前記インク貯留室の上面を覆って位置する上壁部と、その上壁部とほぼ直交して連続して前記インク貯留室の側面とほぼ平行に延びる側壁部とを有しており、
前記放熱板の前記上壁部において前記回路基板と対向する面は、電気絶縁体になっていることを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。 - 前記回路基板には、前記放熱板の前記回路基板と対向する面と接触しないようにスペーサーが取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットプリンタヘッド。
- 前記ヘッドホルダと前記放熱板との間に弾性部材が配設され、前記駆動回路が前記弾性部材によって前記放熱板に押圧されていることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェットプリンタヘッド。
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JP2006055950A JP2007230118A (ja) | 2006-03-02 | 2006-03-02 | インクジェットプリンタヘッドとその製造方法 |
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JP2016140987A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出装置 |
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- 2006-03-02 JP JP2006055950A patent/JP2007230118A/ja active Pending
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