JP2007223989A - 防虫具 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化によって自己発熱する熱源を用いる防虫具において、発熱が阻害されにくく、効率的に害虫防除成分の揮散を行うことが可能なものを提供する。
【解決手段】本発明の防虫具1は、薬剤保持部材10と熱源11とを有し、薬剤保持部材10は、厚み方向に通気性を有する樹脂製のシート状であって害虫防除成分が保持されたものであり、熱源11は、酸化によって自己発熱する発熱体30が袋体31に入れられたものであり、熱源11の熱によって薬剤保持部材10を加熱することが可能である。したがって、薬剤保持部材10により自己発熱が阻害されにくく、また、熱源11から加熱されやすく温度が高い熱源11側から放出される害虫防除成分を揮散させやすい。
【選択図】図1

Description

本発明は、防虫具に関するものであり、特に、携帯する場合などに便利な防虫具に関するものである。
虫除けなどを行う場合、殺虫成分を放出させることが必要である。そして、このような殺虫成分を放出して虫除けなどを行う方法として、蚊取り線香などのように火を用いて行うものや、電気蚊取器等のように電気によるヒーターの加熱により行うものがある。
火を用いて行うものでは、他のものに対して引火するおそれがあり、電気式のものでは電源が必要となるので、電源のない野外などで安全に使用することができるようにするため、特許文献1に記載されるような防虫具が開発されている。
特許文献1に記載されている防虫具では、袋体に金属粉、水、触媒、発熱助剤などからなる発熱体組成物を封入した、いわゆる使い捨てカイロを熱源とし、この熱によって害虫防除成分を揮散させるものである。
特開2001−316203号公報
特許文献1などに記載されている防虫具は、熱源であるカイロの袋体の表面に、害虫防除成分を含むシートを貼り付けたものである。そのため、シートが空気(酸素)の通過を妨げるので、熱源である使い捨てカイロ内の発熱に充分な酸化ができなくなり、温度上昇が不十分となって、充分な量の害虫防除成分を揮散させることができなくなるおそれがあった。そして、カイロに密着させない場合にも、害虫防除成分を含むシートを熱源であるカイロに近づける必要があり、同様な問題が発生するおそれがあった。
また、このような防虫具では、害虫防除成分を含むシートの温度の高い部分から、より多くの害虫防除成分が放出される。そして、熱源の発熱が行われている場合には、通常、シートの熱源側の温度が高くなる。そのため、害虫防除成分の放出量は、シートの熱源側とは反対側(表側)からは少なく、シートの熱源側(内側)からは多くなる。
しかし、シートの内側で放出された害虫防除成分はシート自身によって外部への拡散を妨げてしまい、多くの害虫防除成分を揮散させることができず、効率的な虫除けができなかった。
そこで本発明は、熱源の発熱が阻害されにくく、効率的に害虫防除成分の揮散を行うことが可能な防虫具を提供することを課題とするものである。
そして、上記した目的を達成するための請求項1記載の発明は、薬剤保持部材と熱源とを有し、薬剤保持部材は、厚み方向に通気性を有する樹脂製のシート状であって害虫防除成分を含む薬剤が保持されたものであり、熱源は、酸化によって自己発熱する発熱体が袋体に入れられたものであり、該熱源の熱によって薬剤保持部材を加熱することが可能であることを特徴とする防虫具である。
請求項1に記載の発明によれば、厚み方向に通気性を有する樹脂製のシート状であって害虫防除成分を含む薬剤が保持された薬剤保持部材が用いられ、酸化によって自己発熱する発熱体が袋体に入れられた熱源を用いて、該熱源の熱によって薬剤保持部材を加熱することができるので、薬剤保持部材によって自己発熱が阻害されにくく、また、熱源から加熱されやすく温度が高い熱源側から放出される害虫防除成分を揮散させやすい。
請求項2に記載の発明は、薬剤保持部材は、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の防虫具である。
請求項2に記載の発明によれば、薬剤保持部材は、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているので、より確実に、空気(酸素)や、害虫防除成分を通過させることができる。
請求項3に記載の発明は、薬剤保持部材は、複数の線状樹脂体を有し、線状樹脂体同士が交差するように配置してシート状となるものであり、貫通孔は線状樹脂体に囲まれることによって形成されてほぼ全面に配置しており、前記交差部分において線状樹脂体同士が融着していることを特徴とする請求項2に記載の防虫具である。
請求項3に記載の発明によれば、複数の線状樹脂体を有して線状樹脂体同士が交差するように配置してシート状となる薬剤保持部材が設けられており、前記交差部分において線状樹脂体同士が融着しているので、薬剤保持部材の交差部分での熱伝導を向上させ、害虫防除成分を効率よく放出させることができ、また、薬剤保持部材の貫通孔は線状樹脂体に囲まれることによって形成されてほぼ全面に配置しているので、より確実に、空気(酸素)や、害虫防除成分を通過させることができる。
請求項4に記載の発明は、外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、収納空間には仕切板が配置され、仕切板で仕切られた一方の空間に薬剤保持部材が、他方の空間に熱源が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防虫具である。
請求項4に記載の発明によれば、外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、収納空間には仕切板が配置され、仕切板で仕切られた一方の空間に薬剤保持部材が、他方の空間に熱源が配置されているので、使用者が使用中に薬剤保持部材や熱源に触れにくくすることができ、また、薬剤保持部材及び熱源それぞれについて、交換を行いながら使用することができる。
請求項5に記載の発明は、薬剤保持部材と熱源とが密着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防虫具である。
請求項5に記載の発明によれば、薬剤保持部材と熱源とが密着しているので、熱源の熱を薬剤保持部材に直接伝熱して薬剤保持部材を加熱することができ、害虫防除成分の放出をより効率的に行うことができる。
請求項6に記載の発明は、外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、薬剤保持部材は収納部材の収納空間に配置されていることを特徴とする請求項1〜3、5のいずれかに記載の防虫具である。
請求項6に記載の発明によれば、外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、薬剤保持部材は収納部材の収納空間に配置されているものであるので、使用者が使用中に薬剤保持部材や熱源に触れにくくすることができる。
請求項7に記載の発明は、薬剤保持部材は、害虫防除成分を含む薬剤を樹脂に練り込んだ材料を用いて成形されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防虫具である。
請求項7に記載の発明によれば、薬剤保持部材は、害虫防除成分を含む薬剤を樹脂に練り込んだ材料を用いて成形されたものであるので、薬剤保持部材の製造が容易であり、さらに、害虫防除成分の含有状態にむらが発生しにくく、害虫防除成分が全体にほぼ均一に分散された薬剤保持部材を安定的に製造することができる。
また、害虫防除成分として、式(1)で示されるエステル化合物を用いることができる(請求項8)。
Figure 2007223989
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、
2はメチル基又はCH=CR2122
(式中、R21及びR22は独立して、水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。)
で示される基を表し、
3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
さらに、害虫防除成分として、式(2)で示されるエステル化合物を用いることができる。
Figure 2007223989
〔式中、R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表し、
21及びR22は独立して、水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。〕
本発明の防虫具では、熱源の発熱が阻害されにくく、効率的に害虫防除成分の揮散を行うことが可能である。
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における防虫具の斜視図である。図2は、図1に示す防虫具の分解斜視図である。図3は、本発明の第2の実施形態における防虫具の斜視図である。図4は、図3に示す防虫具の分解斜視図である。図5は、図3に示す防虫具の断面図である。図6は、本発明の第3の実施形態における防虫具の分解斜視図である。図7は、図6に示す防虫具の断面図である。
本発明の第1の実施形態における防虫具1は、図1に示すように、薬剤保持部材10と熱源11とを有するものである。そして、薬剤保持部材10は接着剤などにより熱源11に貼り付けられており、薬剤保持部材10と熱源11とは密着している。
薬剤保持部材10は、害虫防除成分を含む薬剤が保持されたものであり、網状をしたシート状の樹脂であり、全体形状は円形である。また、薬剤保持部材10の大きさは、熱源11よりも小さく、薬剤保持部材10の全面で熱源11と密着している。
また、薬剤保持部材10は、2方向に延びる線状樹脂体20によって構成されるものであり、線状樹脂体20に囲まれて厚み方向に貫通する貫通孔21が薬剤保持部材10の全面に設けられている。そして、この貫通孔21によって、薬剤保持部材10が通気性を有するものとなっている。
それぞれの方向に延びる線状樹脂体20の配列の間隔は、ほぼ等間隔である。そして、貫通孔21の大きさもほぼ同じである。また、異なる方向に延びる線状樹脂体20同士の交差角は、60°程度である。
貫通孔21の形状はほぼ菱形状であり、線状樹脂体20の配列の間隔がほぼ同じであるので、貫通孔21は全てほぼ同じ形状となっている。また、貫通孔21の幅、すなわち、線状樹脂体20同士の間隔が、線状樹脂体20の幅よりも長くなっている。
なお、線状樹脂体20の配列の間隔や交差角、貫通孔21の形状などは特に限定されるものではない。
薬剤保持部材10は、ネット成形用の異形ダイスを用いて押出成形することにより行われる。そのため、交差する線状樹脂体20同士は、成形の際に交点で融着されることになり、薬剤保持部材10の交差部分での伝熱性を確保することができる。したがって、使用時に、熱源11側(裏側)から受けた熱が、熱源11とは反対側(表側)に伝熱されやすく、熱源11とは反対側(表側)の温度をより高温にすることができる。
本実施形態では、薬剤保持部材10に用いられる樹脂として、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの2種類のものが用いられている。
また、害虫防除成分は、防虫効果を有して揮散する有効成分のことであり、本実施形態では、常温でも揮散性を有するピレスロイド系殺虫性化合物である、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが害虫防除成分として用いられている。そして、本実施形態では、害虫防除成分のみを薬剤として用いているが、害虫防除成分以外の他のものを加えたものを薬剤として用いることができ、さらに、2種類以上の害虫防除成分を含む薬剤を用いることもできる。
なお、薬剤保持部材10に用いられる樹脂や害虫防除成分を含む薬剤は、後述する他のものを採用することもできる。
本実施形態の薬剤保持部材10は、害虫防除成分を含む薬剤を樹脂に練り込んで成形して製造されたものである。
そして、薬剤保持部材10の樹脂と害虫防除成分を含む薬剤とを、密閉式加圧ニーダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、ミキシングロール、単軸ないし多軸スクリュウ押出機等の混練機を用いて混練し、得られる混練物を熱可塑性樹脂に通常用いられる成形方法(例えば、射出成形、押出成形、カレンダー成形、ブロー成形、真空成形)により賦形することにより、薬剤保持部材10は製造される。
さらに、前記の賦形された成形体をスリット加工、スライス加工、ペレット加工等の二次加工により形状を変更したものを薬剤保持部材10とすることもできる。
本実施形態の薬剤保持部材10の具体的な製法としては、害虫防除成分を含む薬剤と、樹脂成分とを密閉式加圧ニーダー(例えば森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得る。このペレットと直鎖状低密度ポリエチレンのペレットとを混合・混練して混練物を得、次いで、この混練物を押出成形機から網成形用異形ダイスを介して押出すことにより、網状である円筒状の連続成形体とする。そして、この成形体から所定の形状に切断して、薬剤保持部材10が製作される。
そして、本実施形態における薬剤保持部材10は、菱形の貫通孔21を有する網状体であって押出成形によって製造されるものであるが、他の形態や他の製造方法を採用することができる。例えば、他の形態として、貫通孔21の形状を菱形以外の形状としても良い。また、他の製造方法として、繊維状若しくはフィラメント状に成形し、紡績、編成及び切断等の加工により網状する方法により製造することができる。
また、薬剤保持部材10の製造を、害虫防除成分を含む薬剤を樹脂に練り込んで製造するのではなく、樹脂を所定の形状に成形して、これに害虫防除成分を含む薬剤を浸漬などにより保持する方法も採用することもできる。
また、薬剤保持部材10に対する害虫防除成分の割合は、0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%で含有されている。
薬剤保持部材10の線状樹脂体20の幅は、使用目的に応じて定めるべきであるが、通常0.05〜3mmであり、0.1〜2mmが好適である。これより太くなると害虫防除成分の揮散が不十分となるおそれがあり、これより細くなると、強度不足になるおそれや、害虫防除成分の揮散が早すぎて寿命が短くなるおそれがある。
薬剤保持部材10の貫通孔21の辺長は、通常0.1〜20mmであり、0.5〜10mmが好適である。これより大きくなると、薬剤保持部材10の全体の面積に対する貫通孔21の面積の割合が大きくなりすぎて、保持される害虫防除成分の量が少なくなる。また、小さすぎると、通気性が悪くなり、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)から放出される害虫防除成分が外部に拡散しにくくなり、また、熱源11側への空気(酸素)を供給しにくくなる。
また薬剤保持部材10の厚みは、通常0.1〜50mmであり、0.3〜20mmが好適である。これより厚くなると害虫防除成分の揮散が不十分となるおそれがあり、これより薄くなると、強度不足になるおそれや、害虫防除成分の揮散が早すぎて寿命が短くなるおそれがある。
熱源11は、発熱体30と袋体31とを有するものである。
発熱体30は酸化によって自己発熱する粉体状ないし粒体状の物質である。発熱体30の具体的な成分としては、鉄粉、水、木粉、活性炭、バーミキュライト、吸水性樹脂、食塩等であり、主に、鉄粉などの金属粉が空気中の酸素と反応して発熱する。そして、全体の量や、各成分の組み合わせや割合を変えることや、酸素の量をコントロールする事で、温度、発熱時間を変えることが出来る。
袋体31は通気性を有する平面状の袋であり、発熱体30が充填されている。そして袋体31は、空気(酸素)が通過することができるものであって粉状体の発熱体30が漏れないものが用いられている。そして、使用時には、空気(酸素)が袋体31を通過し、発熱体30が自己発熱する。また、袋体31の一方の面に薬剤保持部材10が密着しているので、熱源11の発熱体30で発熱した熱は、袋体31に密着している薬剤保持部材10に直接伝熱される。
そして、本発明の熱源11では、市販の使い捨てカイロを用いることができる。また、本実施形態で用いられる熱源11の発熱特性は、その形状、大きさや周囲の温度により異なるが、熱源11の表面温度40〜70℃における持続時間が8〜24時間程度である。
なお、防虫具1を使用しない場合に、熱源11が発熱するのは望ましくないので、かかる場合に酸素を遮断する素材からなる袋(図示せず)に入れておき、防虫具1の使用時に当該袋から熱源11取り出して使用することができる。この場合、薬剤保持部材10についても当該袋に入れて、害虫防除成分の放出を防ぐようにしてもよく、また、薬剤保持部材10のみを別途保存することもできる。
次に、防虫具1の使用方法について説明する。
防虫具1を使用する場合には、上記した袋などから取り出すなどして、熱源11の発熱体30が発熱する状態とする。そうすると、熱源11が発熱し、熱源11に密着する薬剤保持部材10に伝熱し、薬剤保持部材10が加熱される。
なお、熱源11の一方の面には、薬剤保持部材10が密着しているが、薬剤保持部材10には貫通孔21が設けられているので、薬剤保持部材10の厚み方向に通気性を有するものとなり、必要な空気(酸素)の供給を行うことができるので、熱源11の発熱を阻害することはない。
薬剤保持部材10は、熱源11側(裏側)から加熱されるので、薬剤保持部材10内での伝熱は、熱源11側(裏側)から熱源11とは反対側(表側)となる。本実施形態では、交差する線状樹脂体20同士が交点で融着しているので、線状樹脂体20同士の熱伝導性が優れており、熱源11側(裏側)と、熱源11とは反対側(表側)との間の温度差を小さくすることができる。
そして、熱源11とは反対側(表側)をより高温とすることができ、熱源11とは反対側(表側)から放散される害虫防除成分をより多くすることができる。
また、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)は、より高温となるので、多くの害虫防除成分が放出される。本実施形態においては、貫通孔21が形成されているので、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)で放出された害虫防除成分は、貫通孔21を通過して、外部に拡散される。
なお、使用途中で、害虫防除成分の揮散を中止する場合には、使用前に入れられていた、酸素を遮断する素材からなる袋(図示せず)に再び入れることにより、熱源11の自己発熱を減少させて、害虫防除成分の揮散を低減させるようにすることもできる。
このように、本発明の防虫具1では、熱源11は酸素により自己発熱するものであるので、空気中の酸素を用いて自己発熱させることができ、火や電気などを用いることなく、薬剤保持部材10を加熱することができる。したがって、防虫具1はいつでもどこでも使用することができる。
また、薬剤保持部材10には貫通孔21が形成されているので、酸素の通過が可能となって熱源11の自己発熱を妨げることが無く、また、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)から放出された害虫防除成分を外部に拡散させることができる。
本発明の防虫具1のそれぞれの構成は、上記の内容に限定されることはなく、以下のものも採用することができる。
本実施形態における薬剤保持部材10に用いられている害虫防除成分は、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートであり、式(1)で示されるエステル化合物、又はその下位概念である式(2)で示されるエステル化合物に含まれるものである。
そして、本発明では、式(1)で示されるエステル化合物、又はその下位概念である式(2)で示されるエステル化合物に含まれる他のものを採用することもできる。
このようなエステル化合物は、特開2000−63329号公報、特開2001−11022号公報、特開昭63−203649号公報等に記載された化合物であり、例えば該公報に記載された方法で製造することができる。
式(1)及び(2)で示されるエステル化合物には不斉炭素に基づく異性体が存在し、また炭素−炭素二重結合に基づく異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
式(1)及び/又は(2)で示されるエステル化合物としては、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−2,2,3−トリメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが挙げられる。
ここに明示した化合物は例示であり、明示しなかった化合物であっても、式(1)及び/又は(2)の一般式を満たす化合物も用いることができる。
上記化合物のうちで、好適なものは、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 1R−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、及び2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートである。
さらに、上記したもの以外のものであっても、害虫を防除することができれば他の害虫防除成分を用いることができる。そして、本発明で用いられる害虫防除成分は、熱源11による加熱によって効率的に放出・拡散されるものが採用される。
本実施形態における薬剤保持部材10に用いられている樹脂成分は、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの2種類のものによって構成されるものであるが、害虫防除成分を保持することができれば、特に限定されるものではなく、以下のものを用いることができる。
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリアミド(例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロンが挙げられる。)、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、メタクリル酸樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系等の熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂成分は、これらのうちから適宜選択すればよいが、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含有してなる樹脂組成物であることが好ましい。特にポリオレフィン系樹脂を含有してなる樹脂組成物であることが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂とはオレフィン単量体を主なモノマー成分とする樹脂を意味する。本発明におけるポリオレフィン系樹脂としては、例えば低密度および高密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂及びポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらのうちから適宜選択すればよいが、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明において樹脂成分は、1種類の樹脂を単独で用いてもよいし、2種類以上の樹脂を適宜混合した樹脂組成物として用いてもよい。
本発明において2種以上の樹脂を混合した樹脂組成物としては、例えばポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン、ポリエチレンとエチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とポリブチレンテレフタレート等のブレンドが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂は、単独の重合体からなるものであっても、2種以上の重合体を混合したポリマーブレンドからなるものであってもよい。即ち、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、カルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体そのものを用いることもでき、また、カルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体(オレフィン系共重合体に対するカルボン酸エステル単量体単位の量が例えば10〜40重量%のもの)とオレフィンの単独重合体とを混合してなるポリマーブレンドを用いることもできる。なお、本発明において、オレフィン系共重合体とは、オレフィン単量体を主なモノマー成分とし、他にカルボン酸エステル単量体をモノマー成分として含有する重合体である。
このようなカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体としては、例えばカルボン酸エステル単量体単位を含有するエチレン系共重合体、及びカルボン酸エステル単量体単位を含有するプロピレン系共重合体が挙げられる。
カルボン酸エステル単量体単位を含有するエチレン系共重合体としては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。これらのうちでは、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好適である。エチレン−メタクリル酸メチル共重合体の実例としては、いずれも住友化学株式会社製造に係る商品名「アクリフトWK307」(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%)、同「アクリフトWH303」(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%)、同「アクリフトWD301」(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:10重量%)等が挙げられる。
カルボン酸エステル単量体単位を含有するプロピレン系共重合体としては、例えばプロピレン−アクリル酸メチル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、及びプロピレン−メタクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
これらの重合体は、モノマーを公知のラジカル重合触媒やイオン重合触媒を用いて、公知の重合方法によって重合させることにより製造することができる。公知の触媒としては、例えば、過酸化物触媒、チグラー−ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、高圧ラジカル重合法、及び気相重合法が挙げられる。
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体とを混合してなるポリマーブレンドである場合のポリマーブレンドとしては、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体とポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−アクリル酸エチル共重合体とポリエチレンとのポリマーブレンド、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体とポリエチレンとのポリマーブレンド、及びエチレン−メタクリル酸エチル共重合体とポリエチレンとのポリマーブレンドが挙げられる。これらのうちでは、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体とポリエチレンとのポリマーブレンドが好適である。
本発明において、薬剤保持部材10に用いられる樹脂成分がポリオレフィン系樹脂であり、該ポリオレフィン系樹脂がカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体を単独で、または、カルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体とオレフィンの単独重合体とを混合してなるポリマーブレンドで用いる場合には、樹脂成分に含有されているカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体と、害虫防除成分との混合割合は、以下のようにするのが望ましい。
すなわち、薬剤保持部材10に用いられる樹脂成分に含有されているカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体の重量を基準としたときの害虫防除成分の重量比((害虫防除成分の重量)/(樹脂成分に含有されているカルボン酸エステル単量体単位を含有するオレフィン系共重合体の重量))は、通常1以下、好ましくは0.0025〜0.5の範囲、より好ましくは0.005〜0.025の範囲である。
本発明において、薬剤保持部材10に保持される薬剤は害虫防除成分そのものであってもよいが、必要に応じて害虫防除成分とともに酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料等が含有されていてもよい。
かかる酸化防止剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ステアリル β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(TBMTBP)、及びトリフェニルホスファイトが挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸フェニル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
次に、本発明の第2の実施形態における防虫具2について説明する。
防虫具2は、図3に示されるように、薬剤保持部材10、熱源11及び収納部材35とを有しており、上記した第1の実施形態における防虫具1に対して、収納部材35が追加されたものである。
すなわち、本実施形態における防虫具2は、第1の実施形態における防虫具1の薬剤保持部材10及び熱源11と同じものが用いられ、収納部材35に薬剤保持部材10及び熱源11が収納されて保持されている。
そして、防虫具2の薬剤保持部材10及び熱源11についても、第1の実施形態における防虫具1の薬剤保持部材10及び熱源11と同様に、熱源11に薬剤保持部材10が密着するように貼り付けられた構造であり、また、同様な方法で製作されるものである。
収納部材35は、円形の皿状である本体部材36及び蓋部材37を有している。
本体部材36は、図4、図5に示されるように、底板部36aと周壁部36bとを有し、底板部36aと周壁部36bとによって凹部46が形成されている。また、周壁部36bは、小径部36cと、小径部36より大きな大径部36dと、小径部36cと大径部36dとをつなぐ接続部36eとが設けられている。そして、小径部36cは、底板部36aにつながっている。
また、蓋部材37は、天板部37aと周壁部37bとフランジ部37cとを有し、天板部37aと周壁部37bとによって凹部47が形成されている。
そして、図5に示すように、収納部材35は、本体部材36及び蓋部材37を着脱可能に合わせることができ、合わせることにより、内側に収納空間38が形成される。また、収納部材35は、合わせた状態で保持することができる。
収納部材35を合わせる場合には、凹部46、47を互いに内側となるようにして行われる。そして、本体部材36及び蓋部材37が合わせた状態では、本体部材36の大径部36dの内側に、蓋部材37のフランジ部37cが配置し、また、本体部材36の底板部36aと、蓋部材37の天板部37aとが対向する位置関係となる。
収納空間38は、薬剤保持部材10及び熱源11が収納される空間であり、本実施形態では、各凹部46、47が合わさって形成される。そして、収納空間38は、蓋部材37の天板部37aに形成されている孔部39によって、外部に対して開放している。したがって、薬剤保持部材10から放出される害虫防除成分は、孔部39を通過して外部に拡散される。
また、図5に示されるように、収納部材35の本体部材36や蓋部材37には、それぞれネット部材40、41が設けられている。そして、ネット部材40、41は、格子状の網であり、通気性を有しており、それぞれ、本体部材36の周壁部36bや、蓋部材37の周壁部37bに取り付けられている。
なお、ネット部材40、41に形成される貫通孔43は、薬剤保持部材10の貫通孔21よりも大きいものである。
そして、防虫具2を使用する場合には、薬剤保持部材10及び熱源11を収納空間38に配置した状態で、熱源11を自己発熱させる。薬剤保持部材10及び熱源11の収納空間38への配置は、図5に示されるように、薬剤保持部材10が蓋部材37の天板部37a側に、熱源11が本体部材36の底板部36a側になるようにし、ネット部材40、41の間に配置される。また、蓋部材37の天板部37aは、孔部39が塞がれないようにした状態、例えば、底面部36aを下側にして置いた状態や、引っかけ部材42によって防虫具2を引っかけた状態にする。
熱源11が発熱すると、上記した実施形態と同様に、熱源11で発生した熱が薬剤保持部材10に伝熱される。そうすると、薬剤保持部材10内の害虫防除成分が放出され、放出された害虫防除成分は、蓋部材37のネット部材41や天板部37aの孔部39を通過して外部に拡散される。
本実施形態の防虫具2の薬剤保持部材10においても、熱源11は酸素により自己発熱するものであるので、火や電気などを用いることなく、薬剤保持部材10を加熱することができる。また、貫通孔21が形成されているので、空気(酸素)の通過が可能となって熱源11の自己発熱を妨げることが無く、また、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)で放出された害虫防除成分を外部に拡散されやすい。
そして、防虫具2では、薬剤保持部材10及び熱源11が収納空間38に配置されているので、使用者が薬剤保持部材10及び熱源11に触れることが無く、より安全である。
次に、本発明の第3の実施形態における防虫具3について説明する。
防虫具3は、図6、図7に示されるように、薬剤保持部材10、熱源11及び収納部材35とを有しており、上記した第2の実施形態における防虫具2と比較して、薬剤保持部材10及び熱源11の配置が異なるものである。
すなわち、本実施形態における防虫具3は、第2の実施形態における防虫具2の薬剤保持部材10、熱源11及び収納部材35と同じものが用いられ、収納部材35に薬剤保持部材10及び熱源11が収納されて保持されている。
また、本実施形態における防虫具3は、上記した第2の実施形態における防虫具2とは異なり、薬剤保持部材10と熱源11とが密着されておらず、離れた状態で配置されている。
具体的には、図7に示されるように、薬剤保持部材10と熱源11との間に、収納部材35の本体部材36のネット部材40が配置しており、ネット部材40の上側に薬剤保持部材10が配置され、ネット部材40の下側に熱源11が配置されている。そして、ネット部材40によって、収納部材35の収納空間38を仕切っており、ネット部材40は仕切板として機能している。
なお、本実施形態のネット部材40は取り外しが可能となっており、熱源11の配置や交換を容易に行うことができる。
そして、防虫具3を使用する場合には、薬剤保持部材10及び熱源11を収納空間38の上記位置に配置しながら孔部39が塞がれないようにした状態とし、熱源11を自己発熱させる。そうすると、熱源11の熱が薬剤保持部材10へと伝熱され、薬剤保持部材10から害虫防除成分が放出され、放出された害虫防除成分は、蓋部材37のネット部材41や天板部37aの孔部39を通過して外部に拡散される。
仕切板として機能するネット部材40は、網状であって通気性を有するので、ネット部材40を通過して空気の対流が可能となり、熱源11の熱を薬剤保持部材10へ伝熱させやすい。なお、熱源11の熱を薬剤保持部材10へ伝熱させることができれば、他の形状の仕切板を用いることができ、網状以外のものを採用することができる。さらに、仕切板として機能するネット部材40を熱伝導性に優れる金属製のものなどを採用することができ、かかる場合には、熱源11の熱を薬剤保持部材10へより伝熱させやすい。
本実施形態の防虫具3においても、火や電気などを用いることなく、薬剤保持部材10を加熱することができる。また、貫通孔21が形成されているので、空気(酸素)の通過が可能となって熱源11の自己発熱を妨げることが無く、薬剤保持部材10の熱源11側(裏側)で放出された害虫防除成分を外部に容易に拡散させることができる。
そして、防虫具3では、薬剤保持部材10及び熱源11が収納空間38に配置されているので、使用者が薬剤保持部材10及び熱源11に触れることが無く、より安全である。
さらに、本実施形態の防虫具3では、仕切板として機能するネット部材40を有し、これによって収納空間38が仕切られており、一方の空間に薬剤保持部材10が、他方の空間に熱源11が配置されているので、それぞれについて、交換を行いながら使用することができる。
上記した第2、第3の実施形態における防虫具2、3に用いられる収納部材35は、一方の面が開口して凹部46、47が形成されている本体部材36と蓋部材37とを有しているものであったが、内部に収納空間38を形成することができれば他の形状でも良く、また、蓋部材37有さず、本体部材36のみであってもよい。
上記した第3の実施形態における防虫具3に用いられる熱源11と収納部材35との間に、通気性部材(例えば、グラスウールネット)を配置することもできる。
次に、本発明の防虫具について、以下に示すように、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
まず、実施例1における薬剤保持部材10を以下の方法で製作する。
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:25重量%、商品名:アクリフトWK307、住友化学株式会社製)28重量部と、害虫防除成分として、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート5重量部とを密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット33重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体、商品名:スミカセン FV−405、住友化学株式会社製)のペレット67重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、貫通孔21の形状が、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を成形する。
さらに、この成形体を横10cm、縦10cmの正方形のシート状となるように切断して実施例1の薬剤保持部材10を得た。その重量は約0.78g/枚であった。
実施例2
エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体中のメタクリル酸メチルの割合:18重量%、商品名:アクリフトWH303、住友化学株式会社製)18重量部と、害虫防除成分として、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート2重量部とを密閉式加圧ニーダー(森山製作所製)を用いて溶融混練し、得られた混練物を押出機から押し出しながらホットカットして、ペレットを得た。
このペレット20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エチレンの単独重合体、商品名:スミカセン FV−405、住友化学株式会社製)のペレット80重量部とを混合・混練して混練物を得た。
次いで、この混練物を押出成形機からネット成形用異形ダイスを介して押出すことにより、貫通孔21の形状が、一辺が約2.5mmの略ひし形の網(網を形成するフィラメントの直径は約0.5mm、開孔率64%)が直径約16cmの円筒状となった成形体を成形する。
さらに、この成形体を横10cm、縦10cmの正方形のシート状となるように切断して実施例2の薬剤保持部材10を得た。
次に、上記の薬剤保持部材10を用いて、害虫防除試験を行った。
収納部材35(本体部材36のみ)として、表面処理済みの銅製の線香皿(株式会社大創産業製、高さ約26mm、直径140mmの周壁部36bと直径140mmの円板状の底板部36aを有し、上面全体が開口した形状のもの)を用いた。また、熱源11として使い捨てカイロ(桐灰化学株式会社製、厚み約3mm、13.5cm×10cm、24時間持続タイプ)を用いた。
そして、収納部材35の底面部36aの上側に約4mm角のグラスウールネットを敷き、その上に、開封して40℃付近まで発熱させた熱源11の上面に、実施例1の薬剤保持部材10を密着させ、約5.8m3(高さ:1.8m、床面:1.8m×1.8m)の密閉された試験室内の床面中央部に設置した。設置から10分間経過後にヒトスジシマカ(Aedes albopictus)雌成虫49頭を供試虫として放った。
なお、熱源11の上面に薬剤保持部材10を密着させる際には、セロハンテープで貼付した。
この状態で20分間放置して、ノックダウンしている供試虫数を確認した。その結果、実施例1の薬剤保持部材10では、供試虫が47頭がノックダウンしていた。
このように、実施例1の薬剤保持部材10を用いることにより、ほとんどの供試虫がノックダウンしていることが確認できた。
本発明の第1の実施形態における防虫具の斜視図である。 図1に示す防虫具の分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態における防虫具の斜視図である。 図3に示す防虫具の分解斜視図である。 図3に示す防虫具の断面図である。 本発明の第3の実施形態における防虫具の分解斜視図である。 図6に示す防虫具の断面図である。
符号の説明
1、2、3 防虫具
10 薬剤保持部材
11 熱源
20 線状樹脂体
21 貫通孔
35 収納部材

Claims (9)

  1. 薬剤保持部材と熱源とを有し、薬剤保持部材は、厚み方向に通気性を有する樹脂製のシート状であって害虫防除成分を含む薬剤が保持されたものであり、熱源は、酸化によって自己発熱する発熱体が袋体に入れられたものであり、該熱源の熱によって薬剤保持部材を加熱することが可能であることを特徴とする防虫具。
  2. 薬剤保持部材は、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の防虫具。
  3. 薬剤保持部材は、複数の線状樹脂体を有し、線状樹脂体同士が交差するように配置してシート状となるものであり、貫通孔は線状樹脂体に囲まれることによって形成されてほぼ全面に配置しており、前記交差部分において線状樹脂体同士が融着していることを特徴とする請求項2に記載の防虫具。
  4. 外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、収納空間には仕切板が配置され、仕切板で仕切られた一方の空間に薬剤保持部材が、他方の空間に熱源が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防虫具。
  5. 薬剤保持部材と熱源とが密着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防虫具。
  6. 外部に対して開放している収納空間が形成されている収納部材を有し、薬剤保持部材は収納部材の収納空間に配置されていることを特徴とする請求項1〜3、5のいずれかに記載の防虫具。
  7. 薬剤保持部材は、害虫防除成分を含む薬剤を樹脂に練り込んだ材料を用いて成形されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防虫具。
  8. 害虫防除成分が式(1)で示されるエステル化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防虫具。
    Figure 2007223989
    〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、
    2はメチル基又はCH=CR2122
    (式中、R21及びR22は独立して、水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。)
    で示される基を表し、
    3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表す。〕
  9. 害虫防除成分が式(2)で示されるエステル化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の防虫具。
    Figure 2007223989
    〔式中、R3は水素原子、メチル基又はメトキシメチル基を表し、
    21及びR22は独立して、水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。〕
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