JP2007220705A - ソレノイドの駆動制御方法およびプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動用コイルに駆動電圧が印加されているにもかかわらず、プランジャが動作しないという状況が生じたときであっても、プランジャを適切に動作させることが可能なソレノイドの駆動制御方法を提供すること。
【解決手段】駆動用コイルにプランジャの駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップS3と、駆動電圧印加ステップS3後にプランジャの動作の有無を判断する動作判断ステップ(ステップS5〜S7)とを備えるソレノイドの駆動制御方法では、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップS3と動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップS3で、駆動電圧に補正値を加えた新たな駆動電圧を駆動用コイルに印加する。
【選択図】図14
【解決手段】駆動用コイルにプランジャの駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップS3と、駆動電圧印加ステップS3後にプランジャの動作の有無を判断する動作判断ステップ(ステップS5〜S7)とを備えるソレノイドの駆動制御方法では、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップS3と動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップS3で、駆動電圧に補正値を加えた新たな駆動電圧を駆動用コイルに印加する。
【選択図】図14
Description
本発明は、ソレノイドの駆動制御方法およびプリンタに関する。
様々な被駆動体を駆動するアクチュエータとして、電圧が印加される駆動用コイルと、駆動用コイルの中に挿入されたプランジャとを備えたソレノイドが広く用いられている。かかるソレノイドとして、PWM回路とスイッチング素子とを有する駆動回路によって駆動制御されるソレノイドが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。すなわち、特許文献1および2に記載されたソレノイドでは、駆動用コイルに印加される駆動電圧はPWM方式で制御されている。
特許文献1では、流量調整弁を構成するバルブケースの内部で摺動するスプールを被駆動体として、プランジャが直線動作することでスプールを駆動している。特許文献2では、方向切換弁を構成するバルブケースの内部で摺動するスプールを被駆動体として、プランジャが直線移動することでスプールを駆動している。また、特許文献1および2に記載されたソレノイドでは、スプールの一端が付勢バネによってプランジャに向かって付勢され、プランジャの一端も付勢バネによってスプールに向かって付勢されている。
アクチュエータとしてソレノイドを用いた場合、被駆動体の経時的な負荷の変動や温度条件による被駆動体の負荷の変動等によって、駆動用コイルに駆動電圧が印加されてもプランジャが動作しない場合がある。また、特許文献1および2に記載されたソレノイドでは、付勢バネのバネ力のばらつきによっても、プランジャが動作しない場合が生じうる。
しかしながら、特許文献1および2には、駆動用コイルに駆動電圧が印加されているにもかかわらず、プランジャが動作しないという状況が生じたときに、プランジャを適切に動作させるための具体的な駆動制御方法が開示されていない。
そこで、本発明の課題は、駆動用コイルに駆動電圧が印加されているにもかかわらず、プランジャが動作しないという状況が生じたときであっても、プランジャを適切に動作させることが可能なソレノイドの駆動制御方法を提供することにある。また、本発明の課題は、適切な駆動制御方法で駆動制御されるソレノイドを備えるプリンタを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、電圧が印加される駆動用コイルと、駆動用コイルの中に挿入されるプランジャとを備えるソレノイドの駆動制御方法において、駆動用コイルにプランジャの駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップと、駆動電圧印加ステップ後にプランジャの動作の有無を判断する動作判断ステップとを備え、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップと動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップでは、駆動電圧に補正値を加えた新たな駆動電圧を駆動用コイルに印加することを特徴とする。
本発明のソレノイドの駆動制御方法では、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップと動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップでは、駆動電圧に補正値を加えた新たな駆動電圧を駆動用コイルに印加している。そのため、駆動用コイルに駆動電圧が印加されているにもかかわらず、プランジャが動作しないという状況が生じたときであっても、プランジャを確実に動作させることができる。また、補正値を加えながら次第に駆動電圧を増加させているため、適切な補正値を設定することで、駆動用コイルに必要以上の駆動電圧を印加しないようにすることができる。したがって、ソレノイドでの消費電力を低減できる。すなわち、本発明では、ソレノイドでの消費電力を低減しつつ、プランジャを確実に動作させることができ、プランジャの適切な動作が可能になる。さらに、駆動用コイルに必要以上の駆動電圧を印加しないようにすることができるため、駆動用コイルの寿命を延ばすことも可能になる。
本発明において、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップと動作判断ステップとをn(nは1以上の整数)回繰り返すとともに、駆動電圧の初期値をVo、補正値をVrとしたとき、n回目の駆動電圧印加ステップでは、駆動電圧として{Vo+Vr×(n−1)}を駆動用コイルに印加することが好ましい。このように構成すると、繰り返される駆動電圧印加ステップでは、一定の補正値を駆動電圧に段階的に加えることができるため、駆動電圧印加ステップでの処理が簡素化される。
本発明において、駆動電圧は、PWM方式で制御されることが好ましい。このように構成すると、駆動電圧のデューティ比を変更するといった簡易な構成で、駆動電圧を制御できる。また、簡易な構成で、駆動電圧の微調整も可能になる。
本発明において、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されたときの駆動電圧に基づいて初期駆動電圧を算出して記憶する初期駆動電圧算出記憶ステップと、プランジャの次回の駆動時に印加される駆動電圧の初期値を、初期駆動電圧に基づいて設定する初期値設定ステップとを備えることが好ましい。このように構成すると、ソレノイドで駆動される被駆動体やソレノイド自体の経時的な負荷の変動を駆動電圧の初期値に反映させることができ、プランジャを動作させるための駆動電圧の初期値の適切な設定が可能になる。
本発明において、初期駆動電圧算出記憶ステップで、初期駆動電圧が、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されたときの駆動電圧と、前回記憶された初期駆動電圧との平均から算出されることが好ましい。このように構成すると、動作判断ステップでプランジャが動作したと判断されたときの駆動電圧が異常値であったとしても、この異常値の影響を低減させた初期駆動電圧を算出できる。
本発明において、初期値設定ステップで、初期駆動電圧から補正値を引いた電圧を駆動電圧の初期値として設定することが好ましい。ソレノイドで駆動される被駆動体の構成や温度条件によっては、より低い駆動電圧でプランジャが動作することもある。そのため、このように構成することで、プランジャを確実に動作させつつ、ソレノイドでの消費電力をさらに低減することが可能になる。
本発明において、動作判断ステップでプランジャが動作していないと判断されたとき、動作判断ステップ後、駆動電圧印加ステップまで所定時間待機する待機ステップを備えることが好ましい。このように構成すると、駆動用コイルでの発熱を抑制することができ、駆動用コイルの焼き付きを防止するとともに、駆動用コイルの寿命を延ばすことが可能となる。
本発明の駆動制御方法で駆動制御されるソレノイドを、本体フレームと、所定の印刷対象物にインク滴を吐出する印刷ヘッドが搭載され本体フレームの内部で移動可能なキャリッジと、本体フレームに取り付けられ印刷ヘッドに供給されるインクが充填されるインクカートリッジと、本体フレームに開閉可能に取り付けられ、インクカートリッジを覆うカートリッジカバーと、カートリッジカバーを閉状態に維持するロック部材とを備えるプリンタに用い、このソレノイドでロック部材を駆動して、カートリッジカバーを開状態にすることができる。
インクカートリッジが本体フレームに取り付けられたプリンタの場合、インクカートリッジと、キャリッジに搭載された印刷ヘッドとはインク供給用のチューブで接続される。また、このチューブを介してインクカートリッジから印刷ヘッドまでインクを供給するため、インクは加圧されている。そのため、インクカートリッジの交換時に、極めて短い時間でカートリッジカバーからロック部材が外れ、すぐにカートリッジカバーを開けることができると、インクが加圧された状態でインクカートリッジが交換され、インクの漏れが生じうる。ここで、本発明の駆動制御方法で駆動制御されるソレノイドでロック部材を駆動すると、補正値を加えながら駆動電圧を次第に増加させることができるため、駆動電圧の初期値および補正値を適切に設定することで、インクの減圧が終了した後に、ロック部材が駆動して、カートリッジカバーからロック部材を外すことが可能になる。その結果、インクカートリッジ交換時のインクの漏れを確実に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかるソレノイドの駆動制御方法およびプリンタを図面に基づいて説明する。
(プリンタの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるプリンタ1を示す正面図である。図2は、図1のプリンタ1内部の概略構成を示す斜視図である。図3は、図1のプリンタ1の紙送りに関する部分の概略構成を示す側面図である。図4は、図1のプリンタ1のギャップ調整機構10の一部を示す斜視図である。図5は、図4のギャップ調整機構10を示す側面図である。図6は、図1のカートリッジカバー31とロック機構32との配置関係を示す図である。図7は、図3の印刷ヘッド2と図2のインクカートリッジ8との接続関係を説明するための概念図である。
図1は、本発明の実施の形態にかかるプリンタ1を示す正面図である。図2は、図1のプリンタ1内部の概略構成を示す斜視図である。図3は、図1のプリンタ1の紙送りに関する部分の概略構成を示す側面図である。図4は、図1のプリンタ1のギャップ調整機構10の一部を示す斜視図である。図5は、図4のギャップ調整機構10を示す側面図である。図6は、図1のカートリッジカバー31とロック機構32との配置関係を示す図である。図7は、図3の印刷ヘッド2と図2のインクカートリッジ8との接続関係を説明するための概念図である。
本形態のプリンタ1は、印刷対象物となる印刷用紙P等に対してインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ1は、図1から図3に示すように、インク滴を吐出する印刷ヘッド2(図3参照)が搭載されたキャリッジ3と、主走査方向MSにキャリッジ3を駆動するキャリッジモータ(CRモータ)4と、印刷用紙Pを副走査方向SSへ搬送する紙送りモータ(PFモータ)5と、PFモータ5に連結されたPF駆動ローラ6と、印刷ヘッド2のノズル面(図3の下面)と対向するように配置されたプラテン7と、印刷ヘッド2へ供給される各種インクが充填された9個のインクカートリッジ8a〜8iと、これらの構成が搭載された本体フレーム9とを備えている。本形態のCRモータ4およびPFモータ5はともに、DC(直流)モータである。なお、以下では、9個のインクカートリッジ8a〜8iをまとめて表すときには、インクカートリッジ8と表記する。
また、プリンタ1は、図3に示すように、印刷前の印刷用紙Pが載置されるホッパ11と、ホッパ11に載置された印刷用紙Pをプリンタ1の内部へ取り込むための給紙ローラ12および分離パッド13と、ホッパ11からプリンタ1の内部へ取り込まれた印刷用紙Pの通過を検出する紙検出器14と、プリンタ1の内部から印刷用紙Pを排出する排紙駆動ローラ15とを備えている。さらに、プリンタ1は、印刷用紙Pの種類等に応じて、印刷ヘッド2のノズル面とプラテン7との隙間(ギャップ)を調整するギャップ調整機構10(図4、図5参照)を備えている。
図2に示すように、本形態のインクカートリッジ8a〜8iはそれぞれ、所定の取付部材(図示省略)を介して本体フレーム9に着脱可能に取り付けられている。また、本体フレーム9には、図1および図6に示すように、インクカートリッジ8を覆うカートリッジカバー31が、本体フレーム9に対して開閉できるように取り付けられている。このカートリッジカバー31は、主としてインクカートリッジ8の交換時に開閉される。また、本形態のプリンタ1は、図6に示すように、カートリッジカバー31を閉まった状態に維持するロック機構32と、カートリッジカバー31の開閉状態を検出するためのカバーロック検出器33とを備えている。
キャリッジ3は、本体フレーム9に固定された支持フレーム16に支持されたガイドシャフト17と、タイミングベルト18とによって、本体フレーム9の内部で主走査方向MSに移動可能に構成されている。すなわち、タイミングベルト18は、その一部がキャリッジ3に固定される(図3参照)とともに、CRモータ4の出力軸に取り付けられたプーリ19と支持フレーム16に回転可能に取り付けられたプーリ20とに掛け渡された状態で一定の張力を有するように配設されている。ガイドシャフト17は、キャリッジ3を主走査方向MSへ案内するように、キャリッジ3を摺動可能に保持している。
給紙ローラ12は、ギア35を介して給紙モータ(ASFモータ)36に連結され、ASFモータ36によって駆動される。本形態のASFモータ36はステッピングモータである。ホッパ11は、図3に示すように、印刷用紙Pを載置可能な板状部材であり、図示を省略するカム機構によって、上部に設けられた回動軸22を中心に揺動可能となっている。そして、カム機構による揺動によって、ホッパ11の下端部が給紙ローラ12に弾性的に圧接され、また、給紙ローラ12から離間する。分離パッド13は、摩擦係数の高い部材から形成され、給紙ローラ12に対向する位置に配置されている。そして、給紙ローラ12が回転すると、給紙ローラ12の表面と分離パッド13とが圧接する。そのため、給紙ローラ12が回転すると、ホッパ11に載置された印刷用紙Pのうち、一番上の印刷用紙Pは、給紙ローラ12の表面と分離パッド13との圧接部分を通過して排紙側へ送られるが、上から2番目以降に載置された印刷用紙Pは、分離パッド13によって、排紙側への搬送が阻止される。
PF駆動ローラ6は、PFモータ5に直接あるいは図示を省略するギアを介して連結されている。また、図3に示すように、プリンタ1には、PF駆動ローラ6とともに印刷用紙Pを搬送するPF従動ローラ23が設けられている。PF従動ローラ23は、回転軸25を中心に回動可能に構成された従動ローラホルダ24の排紙側に回動可能に保持されている。従動ローラホルダ24は、図示を省略するバネによって、PF従動ローラ23がPF駆動ローラ6へ向かう付勢力を常時受けるように、図示反時計方向へ付勢されている。そして、PF駆動ローラ6が駆動されると、PF駆動ローラ6とともに、PF従動ローラ23も回転する。また、図3に示すように、回転軸25にはギア37が固定されており、このギア37はレリースモータ38に連結されている。そして、通常の印刷用紙Pよりも厚い特殊印刷用紙等へ印刷を行う際や、プリンタ1の内部で紙詰りが発生したとき等には、レリースモータ38によって、従動ローラホルダ24が図3の時計方向に回動して、PF駆動ローラ6からPF従動ローラ23を離間させる。本形態のレリースモータ38は、DCモータである。
紙検出器14は、図3に示すように検出レバー26とセンサ27とから構成され、従動ローラホルダ24の近傍に設けられている。検出レバー26は、回転軸28を中心に回動可能になっている。そして、図3に示す印刷用紙Pの通過状態から、検出レバー26の下側を印刷用紙Pが通過し終わると、検出レバー26が反時計方向へ回動する。検出レバー26が回動すると、センサ27の発光部から受光部へ向かう光を遮断して、印刷用紙Pの通過を検出できる構成となっている。
排紙駆動ローラ15は、プリンタ1の排紙側に配置され、図示を省略するギアを介してPFモータ5に連結されている。また、図3に示すように、プリンタ1には、排紙駆動ローラ15とともに印刷用紙Pを排紙する排紙従動ローラ29が設けられている。排紙従動ローラ29も、PF従動ローラ23と同様に、図示を省略するバネによって、常時、排紙駆動ローラ15へ向かう付勢力を受けている。そして、排紙駆動ローラ15が駆動されると、排紙駆動ローラ15とともに、排紙従動ローラ29も回転する。
ギャップ調整機構10は、カム機構によって、ガイドシャフト17を支持フレーム16に対して昇降させる構成となっている。このギャップ調整機構10は、支持フレーム16の一側面16a(図2の右側面)側および他側面16b(図2の左側面)側の両側に設けられている。以下では、支持フレーム16の一側面16a側に設けられたギャップ調整機構10を例に、ギャップ調整機構10の構成を説明する。図4および図5に示すように、ギャップ調整機構10は、ガイドシャフト17の一端部側に固定された偏心カム40と、ガイドシャフト17の一端部に固定された従動ギア41と、偏心カム40を回動させる駆動用モータ(APGモータ)42の動力を従動ギア41に伝達するギア輪列43と、一側面16aに固定され、偏心カム40のカム面40aが当接する固定ピン44とを備えている。本形態のAPGモータ42は、ステッピングモータである。
図4および図5に示すように、支持フレーム16の一側面16aには、上下方向に長い長穴状の貫通孔16cが形成されている。ガイドシャフト17は貫通孔16cに挿通されている。また、一側面16aから突出したガイドシャフト17の端部に、偏心カム40と従動ギア41とが内側からこの順番で固定されている。固定ピン44は、貫通孔16cの下側に固定され、固定ピン44には、キャリッジ3等の重量によって、偏心カム40のカム面40aが所定の当接力で当接している。また、偏心カム40のカム面40aは、回転中心に対する半径が段階的に変化するように形成されている。たとえば、印刷ヘッド2のノズル面とプラテン7とのギャップを5段階で調整できるように、偏心カム40の回転中心に対するカム面40aの半径は、円周方向で5段階に変化している。
このギャップ調整機構10では、APGモータ42が回転すると、ギア輪列43を介して従動ギア41にAPGモータ42の駆動力が伝達され、従動ギア41とともに、ガイドシャフト17および偏心カム40が回転する。偏心カム40が回転すると、偏心カム40の回転中心となるガイドシャフト17と、偏心カム40のカム面40aが当接する固定ピン44との距離が変動し、支持フレーム16に対して、ガイドシャフト17が昇降する。すなわち、キャリッジ3が昇降して、印刷ヘッド2のノズル面とプラテン7とのギャップが調整される。
キャリッジ3に搭載された印刷ヘッド2と、本体フレーム9に取り付けられたインクカートリッジ8a〜8iとはそれぞれ、図7に示すように、インク供給用のフレキシブルなチューブ46で接続されている。また、本形態のプリンタ1では、チューブ46を介してインクカートリッジ8a〜8iから印刷ヘッド2までインクを供給するため、インクカートリッジ8a〜8i内のインクを、ポンプ47によって加圧できるように構成されている。ポンプ47は、加圧モータ48によって駆動される。本形態の加圧モータ48はDCモータである。
また、プリンタ1では、印刷用紙Pの種類に応じて2種類の黒インクの使い分けが行われている。具体的には、本形態のプリンタ1では、2種類の黒インクがそれぞれインクカートリッジ8a、8bに充填されており、印刷用紙Pの種類に応じて、インクカートリッジ8a内の黒インクが印刷ヘッド2から吐出されるか、インクカートリッジ8b内の黒インクが印刷ヘッド2から吐出されるかが選択される。すなわち、プリンタ1は、図7に示すように、印刷ヘッド2に供給される黒インクを選択するためのインクセレクタ49を備えている。インクセレクタ49は、インクカートリッジ8a、8bにそれぞれ接続される2本のチューブ46に接続されており、セレクタモータ50によって駆動される。本形態のセレクタモータ50はDCモータである。インクセレクタ49とセレクタモータ50とはともにキャリッジ3に搭載されている。
さらに、プリンタ1は、図7に示すように、使用される黒インクの種類が変更される際に印刷ヘッド2の内部に残っている黒インクの排出を行ったり、印刷ヘッド2の内部のクリーニング(フラッシング)を行うために印刷ヘッド2の内部に残っているインクの排出等を行うポンプ51を備えている。ポンプ51は、ポンプモータ52によって駆動され、このポンプ51によって、印刷ヘッド2の内部のインクが所定位置に配設されたインク吸収部材(図示省略)に向かって吐出(排出)される。本形態では、ポンプ51およびポンプモータ52は、本体フレーム9におけるキャリッジ3のホームポジション側(図2の右側)に、所定の取付ブラケットを介して取り付けられている。なお、本形態のポンプモータ52はステッピングモータである。
カートリッジカバー31は、図1および図6に示すように、プリンタ1の前面側(図1の紙面手前側、図6の右側)に設けられている。本形態のカートリッジカバー31は、上端側を回動中心として回動して上側に開く構成となっている。たとえば、カートリッジカバー31は、上端側でかつ後面側(図1の紙面奥側、図6の左側)を回動中心として回動して上側に開く。また、カートリッジカバー31は、図示を省略するバネ等の付勢部材によって常時開く方向に付勢されている。上述のように、ロック機構32によって、カートリッジカバー31は閉まった状態に維持されるようになっており、カートリッジカバー31は、ロック機構32を構成する後述の第1爪部58aが係合される係合孔31aが形成された係合部31bを備えている。この係合部31bは、図1に示すように、たとえば、カートリッジカバー31の下端側で、かつ、図1の左端側に形成されている。
ロック機構32は、図1に示すように、たとえば、係合部31bの内側(図1の右側)に隣接するように本体フレーム9に取り付けられている。このロック機構32の詳細な構成については後述する。また、カバーロック検出器33はたとえば機械式の接点スイッチである。このカバーロック検出器33は、図6に示すように、カートリッジカバー31が閉じた状態で、カートリッジカバー31の下端がスイッチ部分に当接するように、本体フレーム9に取り付けられている。また、カートリッジカバー31の下端がスイッチ部分に当接した状態(すなわち、カートリッジカバー31が閉じた状態)のときに、カバーロック検出器33はL(ロー)レベルの検出信号を出力し、カートリッジカバー31が開いた状態のときに、カバーロック検出器33はH(ハイ)レベルの検出信号を出力する。
本形態のプリンタ1では、給紙ローラ12や分離パッド13によってホッパ11からプリンタ1の内部に取り込まれた印刷用紙Pを、PFモータ5で回転駆動されたPF駆動ローラ6で副走査方向SSへ送りながら、CRモータ4で駆動されたキャリッジ3が主走査方向MSで往復移動する。キャリッジ3が往復移動する際には、印刷ヘッド2からインク滴が吐出され、印刷用紙Pへの印刷が行われる。また、印刷用紙Pへの印刷が終了すると、排紙駆動ローラ15等によって印刷用紙Pはプリンタ1の外部へ排出される。
(ロック機構の構成)
図8は、図6のロック機構32を示す正面図である。図9は、図8のY−Y方向からロック機構32の要部を示す側面図であり、(A)は係合部31bがロック機構32に保持される状態を示し、(B)は係合部31bがロック機構32から解放される状態を示す。図10は、図8のY−Y方向から第2ロック部材59を示す側面図である。なお、図8では、図1のX方向からロック機構32を見た状態が図示されている。また、図10では、第1ロック部材58を取り外した状態が図示されている。
図8は、図6のロック機構32を示す正面図である。図9は、図8のY−Y方向からロック機構32の要部を示す側面図であり、(A)は係合部31bがロック機構32に保持される状態を示し、(B)は係合部31bがロック機構32から解放される状態を示す。図10は、図8のY−Y方向から第2ロック部材59を示す側面図である。なお、図8では、図1のX方向からロック機構32を見た状態が図示されている。また、図10では、第1ロック部材58を取り外した状態が図示されている。
なお、以下では、図9および図10における上方向(図8の紙面手前方向)を上方向、図9および図10における下方向(図8の紙面奥方向)を下方向、図9および図10における紙面手前方向(図8の下方向)を手前方向、図9および図10における紙面奥方向(図8の上方向)を奥方向、図8から図10における右方向を右方向、および、図8から図10における左方向を左方向として、ロック機構32の構成を説明する。
ロック機構32は、図8から図10に示すように、カートリッジカバー31の係合部31bと係合するロック部材55と、ロック部材55を駆動するソレノイド56と、ロック部材55およびソレノイド56が収納されるケース体57を備えている。
ロック部材55は、図8から図10に示すように、係合孔31aに係合する第1爪部58aが形成された第1ロック部材58と、第1爪部58aとともに係合部31bを保持する第2爪部59aが形成された第2ロック部材59と、ソレノイド56を構成する後述のプランジャ68が連結され第1ロック部材58および第2ロック部材59を回動させる駆動部材60とを備えている。図8に示すように、第1ロック部材58と第2ロック部材59とは、手前方向と奥方向とで隣接するように配置され、駆動部材60は、第1ロック部材58および第2ロック部材59の左側に配置されている。
第1ロック部材58は、図9に示すように、縦片部58bと横片部58cとを備えており、この縦片部58bと横片部58cとによって、側面側から見た形状が略T形状となるように形成されている。また、縦片部58bと横片部58cとの交点部分には、第1ロック部材58の回動中心となる軸部58dが、手前方向に伸びるように形成されている。さらに、第1ロック部材58では、横片部58cの右端から、奥方向に伸びるように腕部58eが形成されている。第1爪部58aは、腕部58eの奥方向の端部から上方向へ突出するように形成されている。
図8に示すように、軸部58dの手前側端部(図8の下端)は、ケース体57に回動可能に保持されている。この軸部58dの中心には、第2ロック部材59に形成された後述の小径軸部59eが回動可能に挿入される挿通孔58fが奥側から手前側(図8の上側から下側)に向かって形成されている。また、図9に示すように、縦片部58bの下端部には、右端がケース体57に取り付けられた引張りコイルバネ61の左端が取り付けられており、第1ロック部材58は、軸部58dを回動中心として図9における反時計方向に付勢されている。さらに、第1爪部58aの上端部分の左右両端には、曲面加工が施されている。
第2ロック部材59は、図10に示すように、縦片部59bと横片部59cとを備えており、この縦片部59bと横片部59cとによって、側面側から見た形状が略T形状となるように形成されている。また、縦片部59bと横片部59cとの交点部分には、第2ロック部材59の回動中心となる軸部59dが、手前方向および奥方向に伸びるように形成されている。手前方向に形成された軸部59dの手前方向端には、軸部59dよりも小径に形成され挿通孔58fに回動可能に挿通される小径軸部59eが手前側に突出するように形成されている。第2爪部59aは、横片部59cの右端から上方向へ突出するように形成されている。第2爪部59aは、図8に示すように、第1爪部58aと左右方向に所定の間隔と保った状態で、第1爪部58aと隣接するように配置されている。
図8に示すように、奥方向に伸びるように形成された軸部59dの奥側端部(図8の上端)は、ケース体57に回動可能に保持されている。また、上述のように、小径軸部59eは、挿通孔58fに回動可能に挿通されている。本形態では、図8に示すように、第1ロック部材58の回動中心と第2ロック部材59の回動中心とはほぼ等しくなっている。また、図10に示すように、縦片部59bの下端部には、右端がケース体57に取り付けられた引張りコイルバネ62の左端が取り付けられており、第2ロック部材59は、軸部59dを回動中心として図10における反時計方向に付勢されている。さらに、第1爪部58aと同様に、第2爪部59aの上端部分の左右両端には、曲面加工が施されている。
駆動部材60は、図9に示すように、縦片部60bと横片部60cとを備えており、この縦片部60bと横片部60cとによって、側面側から見た形状が略L形状となるように形成されている。また、縦片部60bと横片部60cとの交点部分には、駆動部材60の回動中心となる軸部60dが、手前方向および奥方向に伸びるように形成されている。さらに、横片部60cの右端には、第1ロック部材58の横片部58cの左端部分、および、第2ロック部材59の横片部59cの左端部分が上側から当接する当接部60eが手前方向および奥方向に伸びるように形成されている。
図8に示すように、軸部60dの両端部は、ケース体57に回動可能に保持されている。また、図9に示すように、縦片部60bの下端部には、右端がケース体57に取り付けられた引張りコイルバネ63の左端が取り付けられており、駆動部材60は、軸部60dを回動中心として図9における反時計方向に付勢されている。さらに、縦片部60bの下端側には、後述のプランジャ68を連結するための連結ピン64が手前側に突出するように固定されている。
なお、本形態では、図9における駆動部材60の時計方向の回動を規制するストッパ(図示省略)がケース体57に固定されており、駆動部材60が、図9(A)に示す状態からさらに時計方向に回動しないように構成されている。同様に、図9における駆動部材60の反時計方向の回動を規制するストッパ(図示省略)もケース体57に固定されており、駆動部材60が、図9(B)に示す状態からさらに反時計方向に回動しないように構成されている。
ソレノイド56は、図8および図9に示すように、図示を省略するボビンに円筒状に巻回された2個の駆動用コイル66、66と、駆動用コイル66、66の右側に取り付けられた永久磁石67と、駆動用コイル66、66の中に挿入されるプランジャ68とを備えている。図9に示すように、2個の駆動用コイル66、66は、上下方向に隣接するように配置されている。また、2個の駆動用コイル66、66は、たとえば、直列に接続されている。この駆動用コイル66、66には、プランジャ68を駆動するための駆動電圧が印加される。また、プランジャ68は、図9に示すように、連結ピン64が挿通される連結孔68aが形成された連結部68bと、2個の駆動用コイル66、66にそれぞれ挿入される2本の挿入部68c、68cとを備え、側面側から見た形状が略U形状になるように形成されている。なお、以下では、2個の駆動用コイル66、66を駆動用コイル66と表記する。
ロック機構32では、駆動用コイル66に駆動電圧が印加されていないとき、永久磁石67がプランジャ68を吸引する力は引張りコイルバネ63の付勢力よりも強い。そのため、駆動用コイル66に電圧が印加されていないときには、図9(A)に示すように、プランジャ68が永久磁石67に吸引されて、2本の挿入部68cがそれぞれ駆動用コイル66の中に入った状態になる。したがって、第1ロック部材58、第2ロック部材59および駆動部材60のそれぞれの横片部58c、59c、60cはほぼ水平になり、第1爪部58aが係合孔31aに係合可能になる。この図9(A)に示す状態が、ロック機構32がカートリッジカバー31を閉まった状態に維持している状態である。すなわち、第1爪部58aが係合孔31aに挿通され、第1爪部58aと第2爪部59aとによって、係合部31bの端部(図9の左端部)が挟み込まれることで、係合部31bがロック部材55に保持される。
一方、駆動用コイル66に駆動電圧が印加されたときには、駆動電圧が所定の値以上になると、永久磁石67がプランジャ68を吸引する力よりも、プランジャ68が右方向へ移動しようとする力に引張りコイルバネ63の付勢力を加えた力が強くなる。そのため、このときには、図9(B)に示すように、図9(A)に示す状態から、プランジャ68が右方向へ突出して駆動部材60が反時計方向へ回動するとともに、第1ロック部材58および第2ロック部材59は時計方向へ回動する。第1ロック部材58および第2ロック部材59の回動により、第1爪部58aが係合孔31aから外れ、ロック機構32から係合部31bが解放される。係合部31bが解放されると、図示を省略する付勢部材の付勢力で、カートリッジカバー31はプリンタ1の上側に開く。すなわち、ソレノイド56でロック部材55を駆動することで、カートリッジカバー31は開状態になる。
なお、カートリッジカバー31が開いているときのロック機構32の状態も図9(A)に示す状態となっている。そして、カートリッジカバー31が閉まるときには、まず、係合部31bが、右側から第1爪部58aの上端部の曲面部分に当接する。係合部31bが第1爪部58aに当接すると、第1ロック部材58がわずかに時計方向に回動し、第1爪部58aが係合孔31aに係合するまで、係合部31bが第1爪部58aを乗り越える。第1爪部58aが係合孔31aに係合すると、係合部31bがロック部材55に保持され、ロック機構32がカートリッジカバー31を閉まった状態に維持する。
(プリンタの制御部の概略構成)
図11は、図1のプリンタ1の制御部71およびその周辺機器の概略構成を示すブロック図である。図12は、図11のモータ駆動回路83の回路図である。図13は、図12のモータ駆動回路83から出力される駆動電圧の一例を示す図である。
図11は、図1のプリンタ1の制御部71およびその周辺機器の概略構成を示すブロック図である。図12は、図11のモータ駆動回路83の回路図である。図13は、図12のモータ駆動回路83から出力される駆動電圧の一例を示す図である。
プリンタ1の制御部71は、図11に示すように、バス72、CPU73、ROM74、RAM75、キャラクタジェネレータ(CG)76、不揮発性メモリ77、ASIC78、第1から第3の集積回路79〜81、ヘッド駆動回路82等を備えている。
本形態では、第1から第3の集積回路79〜81はそれぞれ、各種モータ等の駆動制御用の3個のモータ駆動回路83を備えている。具体的には、第1の集積回路79は、PFモータ5、セレクタモータ50およびAPGモータ42をそれぞれ駆動制御する3個のモータ駆動回路83を備え、第3の集積回路81は、加圧モータ48、レリースモータ38およびポンプモータ52をそれぞれ駆動制御する3個のモータ駆動回路83を備えている。また、第2の集積回路80は、CRモータ4を駆動制御するモータ駆動回路83と、ASFモータ36を駆動制御するモータ駆動回路83とを備えるとともに、ソレノイド56を駆動制御するためのモータ駆動回路83を備えている。すなわち、本形態では、モータ駆動回路83によって、ソレノイド56の駆動制御が行われている。
CPU73は、ROM74や不揮発性メモリ77等に記憶されているプリンタ1の制御プログラムを実行するための演算処理やその他必要な演算処理を行う。また、ROM74には、プリンタ1を制御するための制御プログラムおよび処理に必要なデータ等が記憶されている。RAM75には、CPU73が実行途中のプログラムや演算途中のデータ等が一時的に格納される。CG76は、ASIC78に入力される印刷信号に対応したドットパターンが展開されて記憶されている。不揮発性メモリ77には、プリンタ1の電源を切った後も保存しておくことが必要となる各種のデータが記憶される。
ASIC78には、紙検出器14およびカバーロック検出器33等からの各種の検出信号が入力される。また、ASIC78は、各種モータ等の制御を行うための制御信号をモータ駆動回路83に供給したり、印刷ヘッド2の制御を行うための制御信号をヘッド駆動回路82へ供給する。このASIC78は、インターフェース回路を内蔵しており、制御指令部84から供給される各種の制御指令を受け取ることができるように構成されている。
各種のモータおよびソレノイド56の駆動制御等は、CPU73とASIC78とが協働することで行われる。すなわち、CPU73の一部とASIC78の一部とによって、各種のモータおよびソレノイド56の駆動制御等を行うための制御回路であるDCユニット85が構成されている。より具体的には、DCユニット85では、たとえば、CPU73の一部が、ASIC78を介して入力される各種の検出信号に基づいて、各種のモータやソレノイド56の駆動制御等を行うための各種演算を行う。また、DCユニット85では、ASIC78の一部が、各種の検出信号を受け取ったり、CPU73での演算結果に基づいて、モータ駆動回路83等へ制御信号を出力する。
モータ駆動回路83は、DCユニット85(具体的にはASIC78)からの制御信号によって各種モータやソレノイド56を駆動制御する。本形態のモータ駆動回路83は、図12に示すように、FET(Field Effect Transistor)86とダイオード87とから構成される半導体スイッチ88を4個使用したいわゆるフルブリッジ回路である。このモータ駆動回路83は、図示を省略する電源に接続される電源端子89と、電圧検出用の検出抵抗90とを備えている。また、各FET86のゲート端子86aにDCユニット85から制御信号が入力される。なお、図12には、ソレノイド56の駆動制御を行うモータ駆動回路83が図示されている。
本形態では、モータ駆動回路83が駆動制御を行う各種モータの制御方法として、PWM制御が採用されている。すなわち、ASIC78からゲート端子86aへ入力される制御信号に基づいて、モータ駆動回路83は、図13に示すように、所定のスイッチング周期Tでオン、オフを繰り返すパルス状の駆動電圧を出力する。同様に、本形態では、ソレノイド56も、モータ駆動回路83によってPWM制御されている。すなわち、駆動用コイル66には、図13に示すように、PWM方式で制御された駆動電圧が印加される。本形態のプリンタ1では、電源端子89に接続される電源の電圧がたとえば、42Vとなっており、駆動用コイル66には、PWM方式で制御された5V程度の駆動電圧が印加される。
ヘッド駆動回路82は、ASIC78から送られてくる制御信号に基づいて、印刷ヘッド2のノズル(図示省略)を駆動する。
バス72は、上述した制御部71の各構成を接続する信号線である。このバス72によって、CPU73、ROM74、RAM75、CG76、不揮発性メモリ77やASIC78等は、相互に接続され、これらの間でデータの授受を行うように構成されている。
(ソレノイドの駆動制御方法)
図14は、図1のカートリッジカバー31を開くときのソレノイド56の駆動制御方法を示すフローチャートである。
図14は、図1のカートリッジカバー31を開くときのソレノイド56の駆動制御方法を示すフローチャートである。
以下、カートリッジカバー31を開くときのソレノイド56の駆動制御方法を説明する。
カートリッジカバー31を開くための制御指令が、制御指令部84から制御部71に入力されることで、カートリッジカバー31を開くためのソレノイド56の駆動制御が始まる。まず、駆動用コイル66に印加されるプランジャ68の駆動電圧Vの初期値Voを設定する(初期値設定ステップ、ステップS1)。具体的には、予め不揮発性メモリ77に記憶された初期駆動電圧V1と、予めROM74または不揮発性メモリ77に記憶された補正値Vrとから、下式(1)によって、初期値Voを算出して設定する。
Vo=V1−Vr・・・(式1)
すなわち、初期値設定ステップS1では、モータ駆動回路83が所定の駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加するための制御信号の出力の準備を、DCユニット85が行う。なお、初期駆動電圧V1は、後述の初期駆動電圧算出記憶ステップS8で算出され、不揮発性メモリ77に記憶されている。また、補正値Vrは、たとえば、初期駆動電圧V1の10分の1から50分の1程度の小さな値である。この補正値Vrは、たとえば、プリンタ1の機種ごとに予め設定されている。
Vo=V1−Vr・・・(式1)
すなわち、初期値設定ステップS1では、モータ駆動回路83が所定の駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加するための制御信号の出力の準備を、DCユニット85が行う。なお、初期駆動電圧V1は、後述の初期駆動電圧算出記憶ステップS8で算出され、不揮発性メモリ77に記憶されている。また、補正値Vrは、たとえば、初期駆動電圧V1の10分の1から50分の1程度の小さな値である。この補正値Vrは、たとえば、プリンタ1の機種ごとに予め設定されている。
その後、DCユニット85内のカウンタをリセットする(ステップS2)。具体的には、後述の駆動電圧印加ステップS3の繰返し回数をnとしたときのnの値をn=1にリセットする。このステップS2でも、モータ駆動回路83のゲート端子86aに入力される制御信号を出力するための準備を、DCユニット85が行う。
その後、駆動用コイル66に駆動電圧Vを印加する(駆動電圧印加ステップ、ステップS3)。具体的には、所定の印加時間t1の間、下式(2)によって算出される駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加する。
V={Vo+Vr(n−1)}・・・(式2)
すなわち、1回目の(n=1のときの)駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vとして、初期値Voを駆動用コイル66に印加する。この駆動電圧印加ステップS3では、式2で算出される駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加するための制御信号がDCユニット85から出力され、モータ駆動回路83のゲート端子86aに入力される。なお、印加時間t1はたとえば、10msec(ミリ秒)である。
V={Vo+Vr(n−1)}・・・(式2)
すなわち、1回目の(n=1のときの)駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vとして、初期値Voを駆動用コイル66に印加する。この駆動電圧印加ステップS3では、式2で算出される駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加するための制御信号がDCユニット85から出力され、モータ駆動回路83のゲート端子86aに入力される。なお、印加時間t1はたとえば、10msec(ミリ秒)である。
その後、カバーロック検出器33の読取時間t2だけ待機する(ステップS4)。すなわち、駆動用コイル66に駆動電圧Vを印加した後のロック機構32の動作時間、および、係合部31bがロック機構32から解放された後のカートリッジカバー31の動作時間を考慮して、所定の読取時間t2の間、待機する。この読取時間t2はたとえば、50msecである。
その後、カバーロック検出器33から出力される検出信号のレベルがH(ハイ)レベルであるか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、駆動用コイル66に印加された駆動電圧Vによってプランジャ68が動作したか否か(突出したか否)を、カートリッジカバー31の下端がスイッチ部分に当接しているか否か(カートリッジカバー31が開いているか否か)を判断することで間接的に判断する。この判断は、カバーロック検出器33からの検出信号に基づいてDCユニット85が行う。
ステップS5で、カバーロック検出器33からの検出信号のレベルがHレベルであると判断すると、カバーロック検出器33の情報確定時間t3だけ待機する(ステップS6)。すなわち、チャタリング等に起因するカバーロック検出器33の誤検出を回避するため、所定の情報確定時間t3だけ待機して、再び、カバーロック検出器33から出力される検出信号のレベルがHレベルであるか否かを判断する(ステップS7)。なお、情報確定時間t3はたとえば、100msecである。
本形態では、ステップS5、S6およびS7によって、駆動電圧印加ステップS3後にプランジャ68の動作の有無を判断する動作判断ステップが構成されている。なお、本形態では、カバーロック検出器33がカートリッジカバー31の下端を検出しているか否かを検出することで、プランジャ68の動作の有無を間接的に判断している。この他にもたとえば、プランジャ68の動作を直接的に検出する検出器を設けて、プランジャ68の動作の有無を直接的に判断しても良い。また、プランジャ68の動作を直接的に検出する検出器と、カバーロック検出器33との両者を設けて、プランジャ68およびカートリッジカバー31の両者の動作の有無を検出しても良い。この場合、たとえば、一方の検出器で動作が検出されているにもかかわらず、他方の検出器で動作が検出されていない場合等に、何らかの不具合が生じることを知ることができる。
ステップS7で、カバーロック検出器33の検出信号レベルがHレベルであると判断すると、初期駆動電圧V1を算出して記憶する(初期駆動電圧算出記憶ステップ、ステップS8)。具体的には、ステップS7でカバーロック検出器33の検出信号レベルがHレベルであると判断したとき(すなわち、プランジャ68が動作したと判断したとき)の駆動電圧Vと、現在、不揮発性メモリ77に記憶されている初期駆動電圧V1(この初期駆動電圧V1は、「初期駆動電圧V1o」と表記する)とから、下式(3)によって初期駆動電圧V1を算出し、記憶する。
V1=(V+V1o)/2・・・(式3)
この初期駆動電圧算出記憶ステップS8では、DCユニット85が初期駆動電圧V1を算出し、算出した新たな初期駆動電圧V1を不揮発性メモリ77に記憶する。不揮発性メモリ77に記憶された新たな初期駆動電圧V1は、次回のプランジャ68の駆動時に、初期値設定ステップ1での初期値Voの設定に用いられる。なお、初期駆動電圧V1の初期値は、プリンタ1の出荷時に不揮発性メモリ77またはROM74に記憶されている。
V1=(V+V1o)/2・・・(式3)
この初期駆動電圧算出記憶ステップS8では、DCユニット85が初期駆動電圧V1を算出し、算出した新たな初期駆動電圧V1を不揮発性メモリ77に記憶する。不揮発性メモリ77に記憶された新たな初期駆動電圧V1は、次回のプランジャ68の駆動時に、初期値設定ステップ1での初期値Voの設定に用いられる。なお、初期駆動電圧V1の初期値は、プリンタ1の出荷時に不揮発性メモリ77またはROM74に記憶されている。
初期駆動電圧算出記憶ステップS8での初期駆動電圧V1の算出、記憶が終わると、プランジャ68が動作してカートリッジカバー31が開いたこと(「カバー開」)を上位へ報告して(すなわち、DCユニット85が、制御指令部84に「カバー開」の信号を出力して)、ソレノイド56の駆動制御が終了する。
一方、ステップS5またはステップS7で、カバーロック検出器33からの検出信号レベルがHレベルではない(すなわち、プランジャ68が動作していない)と判断すると、駆動電圧印加ステップS3の繰返し回数nが所定回数N未満であるか否かを判断する(ステップS9)。この所定回数Nは、たとえば、予め設定され、ROM74等に記憶されている。このステップS9での判断は、DCユニット85が行う。
ステップS9で、繰返し回数nが所定回数N以上であると判断すると、ロック機構32やカートリッジカバー31に何らかの不具合が生じている、あるいは、カートリッジカバー31上に何かが載置されていると判断し、カートリッジカバー31が開かないこと(「カバー開不能」)を上位へ報告して(すなわち、DCユニット85が、制御指令部84に「カバー開不能」の信号を出力して)、ソレノイド56の駆動制御が終了する。
一方、ステップS9で、繰返し回数nが所定回数N未満であると判断すると、繰返し回数n+1を新たな繰返し回数nとして(ステップS10)、その後、所定の待機時間t4の間待機してから(待機ステップ、ステップS11)、再び、駆動電圧印加ステップS3に戻る。たとえば、1回目(n=1)の駆動電圧印加ステップS3での駆動電圧Vの印加によって、プランジャ68が動作していないと判断すると、ステップS10でn=2とし、待機ステップS11を経て駆動電圧印加ステップS3に戻る。また、2回目の駆動電圧印加ステップS3では、式2より、駆動電圧Vとして、(Vo+Vr)を駆動用コイル66に印加する。なお、待機時間t4はたとえば、500msec〜1secである。
このように、本形態のソレノイド56の駆動制御方法では、動作判断ステップ(ステップS5〜S7)でプランジャ68が動作したと判断されるまで、あるいは、ステップS9で、駆動電圧印加ステップS3の繰返し回数nが所定回数N以上であると判断されるまで、駆動電圧印加ステップS3と動作判断ステップとを繰り返す。また、動作判断ステップでプランジャ68が動作していないと判断され、かつ、ステップS9で、繰返し回数nが所定回数N未満であると判断されると、繰り返される(すなわち2回目以降の)駆動電圧印加ステップS3では、前回の駆動電圧印加ステップS3で印加された駆動電圧Vに補正値Vrを加えた新たな駆動電圧V(=Vo+Vr(n−1))を駆動用コイル66に印加する。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、動作判断ステップ(S5〜S7)でプランジャ68が動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップS3と動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vに補正値Vrを加えた新たな駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加している。そのため、カートリッジカバー31やロック部材55の経時的な負荷の変動、温度条件によるカートリッジカバー31やロック部材55の負荷の変動、あるいは、永久磁石67の磁力の初期のばらつきや経時的な変動等の影響で、設計上算出される所定の駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加しているにもかかわらず、プランジャ68が動作しない(あるいは動作しにくい)という状況が生じたときであっても、プランジャ68を確実に動作させることができる。また、補正値Vrを加えながら次第に駆動電圧Vを増加させているため、適切な補正値Vrを設定することで、駆動用コイル66に必要以上の駆動電圧Vを印加しないようにすることができる。したがって、ソレノイド56での消費電力を低減できる。すなわち、本形態では、ソレノイド56での消費電力を低減しつつ、プランジャ68を確実に動作させることができ、プランジャ68の適切な動作が可能になる。さらに、駆動用コイル66に必要以上の駆動電圧Vを印加しないようにすることができるため、駆動用コイル66の寿命を延ばすことができる。
以上説明したように、本形態では、動作判断ステップ(S5〜S7)でプランジャ68が動作したと判断されるまで、駆動電圧印加ステップS3と動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vに補正値Vrを加えた新たな駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加している。そのため、カートリッジカバー31やロック部材55の経時的な負荷の変動、温度条件によるカートリッジカバー31やロック部材55の負荷の変動、あるいは、永久磁石67の磁力の初期のばらつきや経時的な変動等の影響で、設計上算出される所定の駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加しているにもかかわらず、プランジャ68が動作しない(あるいは動作しにくい)という状況が生じたときであっても、プランジャ68を確実に動作させることができる。また、補正値Vrを加えながら次第に駆動電圧Vを増加させているため、適切な補正値Vrを設定することで、駆動用コイル66に必要以上の駆動電圧Vを印加しないようにすることができる。したがって、ソレノイド56での消費電力を低減できる。すなわち、本形態では、ソレノイド56での消費電力を低減しつつ、プランジャ68を確実に動作させることができ、プランジャ68の適切な動作が可能になる。さらに、駆動用コイル66に必要以上の駆動電圧Vを印加しないようにすることができるため、駆動用コイル66の寿命を延ばすことができる。
特に本形態では、n回目の駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vとして{Vo+Vr×(n−1)}を駆動用コイル66に印加している。すなわち、2回目以降の駆動電圧印加ステップS3では、一定の補正値Vrを駆動電圧Vに段階的に加えることで、駆動電圧Vを段階的に増加させているため、駆動電圧印加ステップS3での処理が簡素化される。
本形態では、ソレノイド56は、モータ駆動回路83によってPWM制御されている。そのため、スイッチング周期Tに対するオン時間の比率となるデューティ比を変更するといった簡易な構成で、駆動用コイル66に印加される駆動電圧Vを制御できる。また、簡易な構成で、駆動電圧Vの微調整も可能になる。
本形態では、動作判断ステップ(具体的には、ステップS7)でプランジャ68が動作したと判断されたときの駆動電圧Vに基づいて、初期駆動電圧算出記憶ステップS8で初期駆動電圧V1を算出して記憶し、プランジャ68の次回の駆動時に、初期値設定ステップS1で、この初期駆動電圧V1に基づいて駆動電圧Vの初期値Voを設定している。そのため、カートリッジカバー31、ロック部材55、あるいは、ソレノイド56自体の経時的な負荷の変動等を駆動電圧Vの初期値Voに反映させることができ、プランジャ68を動作させるための駆動電圧Vの初期値Voの適切な設定が可能になる。その結果、駆動電圧印加ステップS3の繰返し回数nを低減させることが可能になる。
特に本形態では、初期駆動電圧算出記憶ステップS8で、初期駆動電圧V1が、ステップS7でプランジャ68が動作したと判断されたときの駆動電圧Vと、前回記憶された初期駆動電圧V1oとの平均から算出されている。そのため、ステップS7でプランジャ68が動作したと判断されたときの駆動電圧Vが異常値であったとしても、この異常値の影響を低減させた初期駆動電圧V1を算出できる。
本形態では、初期値設定ステップS1で、初期駆動電圧V1から補正値Vrを引いた電圧を駆動電圧Vの初期値Voとして設定している。また、1回目の駆動電圧印加ステップS3では、駆動電圧Vとして初期値Voを駆動用コイル66に印加している。プリンタ1が設置される温度環境、あるいは、永久磁石67の磁力の経時的な低下等によって、より低い駆動電圧Vでプランジャ68が動作することもある。そのため、このように構成すると、より低い駆動電圧Vでプランジャ68を動作できるときには、ソレノイド56での消費電力をさらに低減することが可能になる。
本形態では、動作判断ステップでプランジャ68が動作していないと判断されたときには、待機ステップS11で所定時間待機してから、駆動電圧印加ステップS3に戻る。そのため、駆動用コイル66での発熱を抑制することができ、駆動用コイル66の焼き付きを防止するとともに、駆動用コイル66の寿命を延ばすことができる。
また、本形態のように、インクカートリッジ8が本体フレーム9に取り付けられている場合(すなわち、インクカートリッジ8がキャリッジ3に搭載されていない場合)、上述のように、チューブ46を介してインクカートリッジ8から印刷ヘッド2までインクを供給するため、インクは加圧される。そのため、インクカートリッジ8の交換時に、極めて短い時間で、係合部31bからロック部材55(具体的には第1爪部58a)が外れ、すぐにカートリッジカバー31を開けることができると、インクが加圧された状態でインクカートリッジ8が交換され、インクの漏れが生じる。本形態では、カートリッジカバー31が開くまで(すなわち、プランジャ68が動作してロック部材55が駆動するまで)、駆動電圧印加ステップS3を繰り返すとともに、駆動電圧印加ステップS3では、補正値Vrを加えながら駆動電圧Vを次第に増加させている。そのため、駆動電圧Vの初期値Voおよび補正値Vrを適切に設定することで、インクの減圧が終了した後に、ロック部材55を駆動させ、カートリッジカバー31を開いた状態とすることができる。したがって、インクカートリッジ8の交換時のインクの漏れを確実に防止することができる。
特に本形態では、初期値設定ステップS1で、初期駆動電圧V1から補正値Vrを引いた電圧を駆動電圧Vの初期値Voとして、駆動電圧Vの初期値Voを低く設定しているため、1回目の駆動電圧印加ステップS3では、カートリッジカバー31が開きにくくなっている。そのため、カートリッジカバー31が開くまでの時間を稼ぐことができ、インクの減圧を確実に終了させやすくなる。また、本形態では、待機ステップS11で所定時間待機してから、駆動電圧印加ステップS3に戻るため、カートリッジカバー31が開くまでに、インクの減圧を確実に終了させやすくなる。なお、インクの減圧をより確実に終了させるために、カートリッジカバー31を開くための制御指令が御指令部84から制御部71に入力されてから、所定の時間(たとえば、1〜2sec)経過した後に、カートリッジカバー31を開くためのソレノイド56の駆動制御が始まるようにしても良い。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形実施が可能である。
上述した形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形実施が可能である。
上述した形態では、ソレノイド56によって駆動される被駆動体は、ロック部材55であるが、ソレノイドによって駆動される被駆動体はロック部材55には限定されない。たとえば、図15に示すように、印刷用紙P等を切断するカッター91の駆動にソレノイド92を用いても良い。このカッター91とソレノイド92とから構成されるカッターユニット93は、たとえば、キャリッジ3に搭載され、カッター91が突出した状態でキャリッジ3が移動することで、印刷用紙Pの切断が行われる。なお、図15は、カッターユニット93の断面を示しているが、便宜上、断面部分の斜線の図示を省略している。
図15に示すソレノイド92は、円筒状の巻回された駆動用コイル94と、円筒状に形成された永久磁石95と、先端にカッター91が固定されたプランジャ96と、有底円筒状のケース体97とを備えている。このソレノイド92では、ケース体97の底面側から永久磁石95と駆動用コイル94とがこの順番で配設されるとともに、永久磁石95および駆動用コイル94の内周側にプランジャ96が配置されている。そして、駆動用コイル94に駆動電圧Vが印加されていない状態では、プランジャ96が永久磁石95に吸引され、駆動用コイル94に駆動電圧Vが印加されるとプランジャ96が図示下側へ突出する。
また、上述した形態では、ソレノイド56を構成要素とするロック機構32は、カートリッジカバー31を閉じた状態に維持するために設けられているが、ロック機構32によって閉じた状態に維持されるカバーは、カートリッジカバー31に限定されない。たとえば、ロック機構32によって、キャリッジ3が往復移動する空間であるキャリッジ移動空間を覆うカバーを閉じた状態に維持しても良い。従来のプリンタでは、キャリッジ移動空間を覆うカバーにロック機構は設けられておらず、ユーザは任意にこのカバーを開けることができる。そのため、キャリッジ3の移動中に、ユーザがこのカバーを開けたときであっても、ユーザがけがをしないように、キャリッジ3の移動速度が制限されている。ここで、ロック機構32によって、キャリッジ移動空間を覆うカバーを閉じた状態に維持すれば、ユーザは任意にこのカバーを開けることができなくなる。そのため、キャリッジ3の移動速度を上昇させることができ、その結果、印刷の高速化が可能になる。
さらに、ロック機構32の構成は、上述した形態のものには限定されず、たとえば、プランジャ68が直接、カートリッジカバー31の係合孔31aに係合する構成であっても良いし、他のカム機構等を用いて、所定の爪部等が係合孔31aに係合する構成であっても良い。
さらにまた、上述した形態では、カバーロック検出器33によって、カートリッジカバー31の開閉状態を検出している。この他にもたとえば、モータ駆動回路83の検出抵抗90を流れる電流波形の相違から、カートリッジカバー31の開閉状態を検出しても良い。この場合には、カバーロック検出器33が不要となり、プリンタ1の機械的な構成が簡素化される。
また、上述した形態では、2回目以降の駆動電圧印加ステップS3で、前回の駆動電圧印加ステップS3で印加された駆動電圧Vに一定の補正値Vrを加えた新たな駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加している。この他にもたとえば、2回目以降の駆動電圧印加ステップS3で、変化させた補正値(すなわち、前回の補正値よりも大きな補正値または小さな補正値)を、前回の駆動電圧印加ステップS3で印加された駆動電圧Vに加えた新たな駆動電圧Vを駆動用コイル66に印加しても良い。
さらに、上述した形態では、モータ駆動回路83を用いてソレノイド56のPWM制御を行っている。この他にもたとえば、モータ駆動回路83とは別のスイッチング回路を制御部71に設け、このスイッチング回路を用いて、ソレノイド56のPWM制御を行っても良い。また、ソレノイド56の駆動制御方法は、PWM制御には限定されず、たとえば、DC−DCコンバータを用いてソレノイド56の駆動制御を行っても良い。
さらにまた、上述した形態では、初期駆動電圧算出記憶ステップS8で、初期駆動電圧V1が、ステップS7でプランジャ68が動作したと判断されたときの駆動電圧Vと、前回記憶された初期駆動電圧V1oとの平均から算出されている。この他にもたとえば、ステップS7でプランジャ68が動作したと判断されたときの駆動電圧Vをそのまま、初期駆動電圧V1としても良い。この場合には、カートリッジカバー31やロック部材55の経時的な負荷の変動、温度条件によるカートリッジカバー31やロック部材55の負荷の変動、あるいは、永久磁石67の磁力の初期のばらつきや経時的な変動等の影響を敏感に反映した駆動電圧Vの初期値Voを設定することが可能になる。
また、上述した形態では、プリンタ1を例に本発明の実施の形態にかかるソレノイドの駆動制御方法を説明したが、本発明にかかるソレノイドの駆動制御方法は、たとえば、プリンタ複合機、スキャナ、ADF(Auto Document Feeder)装置、コピー機、ファクシミリ装置等であって、ソレノイドを備えるものについても適用可能である。また、ソレノイドは、上述した形態のいわゆるリニアソレノイドには限定されず、ロータリソレノイドであっても良い。
1 プリンタ、2 印刷ヘッド、3 キャリッジ、8(8a〜8i) インクカートリッジ、9 本体フレーム、31 カートリッジカバー、55 ロック部材、56・92 ソレノイド、66,94 駆動用コイル、68,96 プランジャ、P 印刷用紙(印刷対象物)、S1 初期値設定ステップ、S3 駆動電圧印加ステップ、S5 動作判断ステップの一部、S6 動作判断ステップの一部、S7 動作判断ステップの一部、S8 初期駆動電圧算出記憶ステップ、S11 待機ステップ、V 駆動電圧、V1 初期駆動電圧、Vo 初期値、Vr 補正値。
Claims (8)
- 電圧が印加される駆動用コイルと、該駆動用コイルの中に挿入されるプランジャとを備えるソレノイドの駆動制御方法において、
上記駆動用コイルに上記プランジャの駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップと、該駆動電圧印加ステップ後に上記プランジャの動作の有無を判断する動作判断ステップとを備え、
該動作判断ステップで上記プランジャが動作したと判断されるまで、上記駆動電圧印加ステップと上記動作判断ステップとを繰り返すとともに、繰り返される上記駆動電圧印加ステップでは、上記駆動電圧に補正値を加えた新たな駆動電圧を上記駆動用コイルに印加することを特徴とするソレノイドの駆動制御方法。 - 前記動作判断ステップで前記プランジャが動作したと判断されるまで、前記駆動電圧印加ステップと前記動作判断ステップとをn(nは1以上の整数)回繰り返すとともに、
前記駆動電圧の初期値をVo、前記補正値をVrとしたとき、n回目の前記駆動電圧印加ステップでは、前記駆動電圧として{Vo+Vr×(n−1)}を前記駆動用コイルに印加することを特徴とする請求項1記載のソレノイドの駆動制御方法。 - 前記駆動電圧は、PWM(Pulse Width Modulation)方式で制御されることを特徴とする請求項1または2記載のソレノイドの駆動制御方法。
- 前記動作判断ステップで前記プランジャが動作したと判断されたときの前記駆動電圧に基づいて初期駆動電圧を算出して記憶する初期駆動電圧算出記憶ステップと、
前記プランジャの次回の駆動時に印加される前記駆動電圧の初期値を、上記初期駆動電圧に基づいて設定する初期値設定ステップとを備えることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のソレノイドの駆動制御方法。 - 前記初期駆動電圧算出記憶ステップで、前記初期駆動電圧が、前記動作判断ステップで前記プランジャが動作したと判断されたときの前記駆動電圧と、前回記憶された前記初期駆動電圧との平均から算出されることを特徴とする請求項4記載のソレノイドの駆動制御方法。
- 前記初期値設定ステップで、前記初期駆動電圧から前記補正値を引いた電圧を前記駆動電圧の初期値として設定することを特徴とする請求項4または5記載のソレノイドの駆動制御方法。
- 前記動作判断ステップで前記プランジャが動作していないと判断されたとき、前記動作判断ステップ後、前記駆動電圧印加ステップまで所定時間待機する待機ステップを備えることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のソレノイドの駆動制御方法。
- 本体フレームと、所定の印刷対象物にインク滴を吐出する印刷ヘッドが搭載され上記本体フレームの内部で移動可能なキャリッジと、上記本体フレームに取り付けられ上記印刷ヘッドに供給されるインクが充填されるインクカートリッジと、上記本体フレームに開閉可能に取り付けられ、上記インクカートリッジを覆うカートリッジカバーと、該カートリッジカバーを閉状態に維持するロック部材と、請求項1から7いずれかに記載の駆動制御方法で駆動制御されるソレノイドとを備え、
該ソレノイドで上記ロック部材を駆動して、上記カートリッジカバーを開状態にすることを特徴とするプリンタ。
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JP2006036114A JP2007220705A (ja) | 2006-02-14 | 2006-02-14 | ソレノイドの駆動制御方法およびプリンタ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2525122A1 (de) * | 2011-05-19 | 2012-11-21 | Pierburg GmbH | Elektromagnetventil sowie ein Verfahren zur Ansteuerung eines derartigen Elektromagnetventils |
JP2014183202A (ja) * | 2013-03-19 | 2014-09-29 | Fujitsu Frontech Ltd | ソレノイド駆動装置及びソレノイド駆動方法 |
JP2016068256A (ja) * | 2014-09-26 | 2016-05-09 | ブラザー工業株式会社 | 記録装置及び収容装置 |
-
2006
- 2006-02-14 JP JP2006036114A patent/JP2007220705A/ja not_active Withdrawn
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